説明

照明計器

【課題】スポット光を可視範囲内に発生することがない照明計器を提供する。
【解決手段】アウタケース2内の表面側に計器1の文字板5および指針10が配設されて、この指針10の外周に目盛部11aが形成された目盛部材11を配設すると共に、この目盛部材11の下端面から円周方向に向けて導光するように光源8aを構成した照明計器において、目盛部材11には、目盛部11aの裏面外周に沿って外方に突き出され、かつ略円弧状に繋がれたリブ11bが形成され、この略円弧状のリブ11bに結合されることにより、文字板5と目盛部材11とを固定する構造部材12が設けられ、この構造部材12は、目盛部(11a)の外方に突き出された略円弧状のリブ11bを包含するように形成されている。これにより、スポット光を可視範囲内に発生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車に搭載される計器に関するものであり、特に、目盛部材の端面から導光させて目盛部を照明する照明計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明計器におけるメータ構造として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。すなわち、アウタケース内に固定されるロアハウジング部材には、表面側に計器の文字板が配設されるとともに、その文字板の外周に、目盛部が形成されたリング状目盛部材が配設されている。
【0003】
そして、ロアハウジング部材の文字板の周囲には、被係止部を備える環状溝部が円周方向に対し所定間隔をおいて形成されている。また、ロアハウジング部材の環状溝部に対応する部位、即ちリング状目盛部材の外周側に、被係止部に対し係止される係止爪部が一体に延設されている。
【0004】
そして、文字板の周囲、即ち円周方向に部分的に形成された環状溝部において、被係止部と係止爪部とを環状溝部内で係止させることにより、リング状目盛部材を、文字板とともに、ロアハウジング部材に固定するように構成している。
【特許文献1】特開2005−208012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のメータ構造においては、被係止部と係止爪部とが円周方向に対し部分的に重ね合わせて係止する構造となっているため、リング状目盛部材の下端面から内部に光を導光させて、目盛部を照明させた場合には、導光させた光が係止爪部端で反射、屈折して可視範囲内に意図しないスポット光が見えるという不具合が発生する問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題に鑑み、スポット光を可視範囲内に発生することがない照明計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。即ち請求項1に記載の発明では、メータケース(2)内の表面側に計器(1)の文字板(5)および指針(10)が配設されて、この指針(10)の外周に目盛部(11a)が形成された目盛部材(11)を配設すると共に、この目盛部材(11)の下端面から円周方向に向けて導光するように光源(8a)を構成した照明計器において、
目盛部材(11)には、目盛部(11a)の裏面外周に沿って外方に突き出され、かつ略円弧状に繋がれたリブ(11b)が形成され、この略円弧状のリブ(11b)に結合されることにより、文字板(5)と目盛部材(11)とを固定する構造部材(12)が設けられ、この構造部材(12)は、目盛部(11a)の外方に突き出された略円弧状のリブ(11b)を包含するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、略円弧状に繋がれたリブ(11b)によって、スポット光を運転席からの可視範囲内に発生することがない。
【0009】
請求項2に記載の発明では、目盛部材(11)および構造部材(12)は、ともに樹脂材で形成され、かつ略円弧状のリブ(11b)を介して溶着接合されることを特徴としている。この発明によれば、文字板(5)と目盛部材(11)とを容易に精度良く固定させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、目盛部材(11)および構造部材(12)は、ともに樹脂材で形成され、かつ略円弧状のリブ(11b)を介して目盛部(11a)と文字板(5)との位置決めができることを特徴としている。この発明によれば、文字板(5)の文字意匠部分と目盛部材(11)の目盛部(11a)とのずれが極めて少ない。精度の向上が図れる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、目盛部材(11)は、全体形状が環状に形成されていることを特徴としている。この発明によれば、目盛部材(11)および構造部材(12)を簡素な形状で製造することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、目盛部材(11)は、全体形状が略馬蹄形状に形成されていることを特徴としている。この発明によれば、目盛部材(11)および構造部材(12)を簡素な形状で製造することができる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態の照明計器は、車速計、エンジン回転計、燃料計、水温計等の指針式計器から構成されるコンビネーションメータ装置と称される自動車用計器に適用される。特に、文字板もしくは指針の周囲に配設される目盛部材において、目盛部材の端面から円周方向に導光させる光源を有する指針式計器のメータ構造に適用される。
【0015】
以下、本発明の一実施形態おける照明計器を、図1乃至図4に基づいて説明する。図1は、一実施形態おけるエンジン回転計を内蔵した照明計器の構成を示す縦断面図である。図2は、目盛部材とロアプレートとの組み合わせ状態を示す斜視図である。図3は、図2に示すA−A断面図である。図4は、目盛部材の全体構成を示す斜視図である。
【0016】
コンビネーションメータ装置16のうち、アナログ計器であるエンジン回転計1が、図1に示すように、メータケースであるアウタケース2内に収納されている。なお、エンジン回転計1以外の指針式計器も、図1と同じように、略同一の構成でアウタケース2内に収納されている(他の指針式計器類の説明は省略する)。このアウタケース2内には、フロントカバー部材3、ロアハウジング部材4、文字板5、インナケース6、配線基板7、8、導光部材9等が収納されている。
【0017】
フロントカバー部材3は、アウタケース2の前面の先端側に組み付けられる表ガラスであって、透明板からなる樹脂材等から形成されている。ロアハウジング部材4は、アウタケース2内に収納された各種計器を区画するためのフードであり、本実施形態では、車室内の運転席からエンジン回転計1に組み込まれた文字板5、指針10、目盛部材11を視認できるようになっている。
【0018】
インナケース6は、アナログ計器に組み込まれる文字板5、指針10、目盛部材11を固定するための支持部材である。文字板5は、図示しない締結手段を介してインナケース6の前面側に配設するように取り付けられている。エンジン回転計1は、文字板5の前面側に指針10を配置するように、後述する回路基板7に取り付けられる。
【0019】
そして、指針10の外周前面側には、目盛部材11が配設されている。この目盛部材11は、構造部材であるロアプレート12と組み合わせて、文字板5の前面側に配設するようにインナケース6に取り付けられている。
【0020】
そのため、目盛部材11およびロアプレート12は、図2および図3に示すように、それぞれの全体形状が略馬蹄形の帯状に形成し、目盛部材11の裏面側にロアプレート12を結合させた状態で文字板5の前面側に配設している。
【0021】
具体的には、図4に示すように、目盛部材11の表面側もしくは裏面側に、指針10によって指し示される目盛部11aが形成されている。この目盛部11aは、文字板5に形成された文字意匠部分(後述する)と対応する円周方向の位置に形成されている。
【0022】
そして、目盛部11aが形成された目盛部材11の裏面外周に沿って外方に突き出された凸状のリブ11bを形成し、その外方に突き出されたリブ11bを包含する凹部12aをロアプレート12に形成して二つの部品を組み合わせている。また、目盛部材11およびロアプレート12は、目盛部11aを内部から照明するため、透明の樹脂材で形成している。ロアプレート12は、図示しない締結手段を介してインナケース6に取り付けられる。
【0023】
ここで、目盛部材11に形成するリブ11bは、図4に示すように、目盛部11a(目盛部材11)の裏面外周に沿って、外方に突き出され、かつ略円弧状に連続的に繋がれて延設されるように形成されている。そして、このリブ11bを、ロアプレート12の凹部12a内に嵌め入れて、リブ11bを溶着接合することにより、目盛部材11とロアプレート12とが一体に結合される。これにより、ロアプレート12が、図示しない締結手段を介してインナケース6に取り付けることによって、文字板5と目盛部材11とが固定される。
【0024】
ところで、運転席から視認できる可視範囲内に上記リブ11bを形成する場合には、略円弧状に連続的に繋がれていることが望ましい。しかも、略円弧状のリブ11bは、本実施形態のように、目盛部材11から一体的に延設させることが望ましい。
【0025】
本実施形態の文字板5には、指針10の作動範囲(円周方向)内に図示しない文字意匠部分(例えば、エンジンの回転数を示す数字)と、その文字意匠部分の上方には、図示しない表示意匠部分(例えば、ウインカーなどの矢印表示)とが形成されている。そして、文字板5の文字意匠部分を照明するために、文字板5とインナケース6との間に、導光部材9を配置して、文字板5がインナケース6に取り付けられている。
【0026】
そのため、インナケース6の後面側および導光部材9の下方には、それぞれの回路基板7、8が配設されている。インナケース6の後面側に配設される回路基板7には、エンジン回転計1を固定するための図示しない複数の係止孔が穿設されると共に、その係止孔に複数の固定端子が実装されている。更に、この回路基板7には、光源7aが電気的に接続されている。この光源7aは、文字板5に形成された表示意匠部分を裏面側から照明するための明かりである。
【0027】
一方、導光部材9の下方に配設される回路基板8には、少なくとも二つの光源8a、8bが電気的に接続されている。一方の光源8aは、目盛部材11の下方に配設され、もう一方の光源8bは、導光部材9の下方に配設されている。いずれの光源8a、8bも、導光部材9もしくは目盛部材11の端面から内部に導光させるための明かりである。
【0028】
導光部材9は、光源8bの点灯によって、下端面から導光させて文字板5に形成された文字意匠部分を裏面側から照明するための部材である。そのため、導光部材9は、透明の樹脂製で形成されている。また、目盛部材11は、光源8aの点灯によって、下端面から円周方向に向けて導光させて、目盛部11aが主に照明される。
【0029】
本実施形態では、目盛部材11およびロアプレート12は、全体形状を略馬蹄形の帯状に形成したが、これに限らず、リング(環)状に形成しても良い。これによれば、目盛部材11およびロアプレート12を簡素な形状で製造することができる。
【0030】
次に、一実施形態の構成による照明計器の作用について説明する。コンビネーションメータ装置16を組み立てる際、アウタケース2内に車速計、エンジン回転計1、燃料計、水温計等のアナログ計器を収納するとともに、インナケース6の表面側にアナログ計器(エンジン回転計1)に組み付けられた文字板5、指針10、目盛部材11等が組み付けられている。
【0031】
目盛部材11は、目盛部11aの裏面外周側に沿って外方に突き出され、かつ略円弧状に連続的に繋がれたリブ11bが形成されるとともに、外方に突き出されたリブ11bを包含するロアプレート12を結合させている。そして、目盛部材11の目盛部11aを内部から照明するために、目盛部材11の下方に光源8aを接続した回路基板8を配設した構成の照明計器が提案されている。
【0032】
これによれば、リブ11bが略円弧状に繋がっているため、目盛部材11の下端面から導光させた光が反射もしくは屈折する端面が一切ない。これにより、スポット光を可視範囲内に発生させることもなく主に目盛部11aを照明することができる。
【0033】
目盛部材11に形成した略円弧状のリブ11bを、ロアプレート12の凹部12aに嵌め入れて、リブ11bを溶着接合することにより、文字板5に形成された文字意匠部分と目盛部材11に形成した目盛部11aとのずれが極めて少ない。これにより、文字板5と目盛部11aとの位置決めが容易にできるとともに、精度の向上が図れる。
【0034】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、エンジン回転計、燃料計、水温計等の指針式計器から構成されるコンビネーションメータ装置16に、照明計器を適用したものを示して説明してきたが、これに限らず、単独で使用される指針式計器の照明計器に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一実施形態におけるエンジン回転計を内蔵した照明計器の構成を示す縦断面図である。
【図2】一実施形態における目盛部材とロアプレートとの組み合わせ状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すA−A断面図である。
【図4】一実施形態における目盛部材の全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1…エンジン回転計(計器、アナログ計器)
2…アウタケース(メータケース)
5…文字板
8a…光源
10…指針
11…目盛部材
11a…目盛部
11b…リブ
12…ロアプレート(構造部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータケース(2)内の表面側に計器(1)の文字板(5)および指針(10)が配設されて、前記指針(10)の外周に目盛部(11a)が形成された目盛部材(11)を配設すると共に、前記目盛部材(11)の下端面から円周方向に向けて導光するように光源(8b)を構成した照明計器において、
前記目盛部材(11)には、前記目盛部(11a)の裏面外周に沿って外方に突き出され、かつ略円弧状に繋がれたリブ(11b)が形成され、
前記略円弧状のリブ(11b)に結合されることにより、前記文字板(5)と前記目盛部材(11)とを固定する構造部材(12)が設けられ、
前記構造部材(12)は、前記目盛部(11a)の外方に突き出された前記略円弧状のリブ(11b)を包含するように形成されていることを特徴とする照明計器。
【請求項2】
前記目盛部材(11)および前記構造部材(12)は、ともに樹脂材で形成され、かつ前記略円弧状のリブ(11b)を介して溶着接合されることを特徴とする請求項1に記載の照明計器。
【請求項3】
前記目盛部材(11)および前記構造部材(12)は、ともに樹脂材で形成され、かつ前記略円弧状のリブ(11b)を介して前記目盛部(11a)と前記文字板(5)との位置決めができることを特徴とする請求項1に記載の照明計器。
【請求項4】
前記目盛部材(11)は、全体形状が環状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明計器。
【請求項5】
前記目盛部材(11)は、全体形状が略馬蹄形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の照明計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−78321(P2010−78321A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243456(P2008−243456)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】