説明

熱源機

【課題】熱源機内部の各部材の形状、大きさに制限を加えることなく、小型化された熱源機であっても採用可能であり、且つ、安価に提供可能な構成によって、ドレン排出系統の水封を実施できる熱源機を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料を燃焼するバーナ15と、バーナ15が作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器18とを備えた熱源機1に、浴槽に湯水を落とし込む風呂落とし込み系統6と、前記熱交換器18で発生したドレンを中和して外部に排出するためのドレン排出系統20とを形成する。そして、ドレン排出系統20の一部を形成する水封装置51及び/又は前記水封装置51の上流部分と、風呂落とし込み系統6から分岐した注水管52とを連続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスの潜熱を回収可能であると共に、潜熱を回収する際に発生するドレンを中和して外部へ排出するドレン排出系統を備えた熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの顕熱だけでなく潜熱まで回収する潜熱回収型の熱源機(コンデンシング型の熱源機とも称される)が市場に普及している。この潜熱回収型の熱源機は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器に加え、潜熱を回収する二次熱交換器が具備されており、燃焼ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて凝縮熱(潜熱)を得ることができるため、高い熱交換効率を有している。
【0003】
このような熱源機では、二次熱交換器に燃焼ガスを導入して潜熱を回収する際に、燃焼ガスと二次熱交換器とが接触することで、燃焼ガス中の水蒸気が結露してドレン(結露水)が発生する。このとき、燃焼ガスには、燃焼によって空気中の窒素と酸素とが反応して生成される窒素酸化物(N0x)や、燃焼によって燃料の硫黄分が酸素と反応して生成される硫黄酸化物(S0x)等が含有されている。そのため、発生したドレンは、これら窒素酸化物や硫黄酸化物によって強酸性を呈する。このように、潜熱回収型の熱源機では、構造上、強酸性のドレンが発生してしまう。
【0004】
この酸性のドレンは、処理を行うことなくそのまま外部へ排水すると、環境等に対して悪影響を及ぼす懸念がある。そのため、潜熱回収型の熱源機では、ドレンを外部に導くドレン排出系統を設け、そのドレン排出系統の中途に酸性のドレンを中和する中和装置が備えられたものがある。この種の熱源機では、二次熱交換器で発生したドレンを中和装置で中和してから外部に排水しているため、環境等に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0005】
ところで、このようなドレン排出系統を備えた熱源機では、燃焼ガスの流路とドレン排出系統とが連通する構成となっている。即ち、上記したように、燃焼ガスが二次熱交換器に接触することによりドレンが発生するので、ドレンが発生する部分は、燃焼ガスが流れる流路に位置することとなる。このことにより、燃焼ガスの流路とドレン排出系統とは、繋がった(連通した)状態となってしまう。
【0006】
このため、ドレン排出系統に燃焼ガスが流入してしまうという問題が考えられる。つまり、ドレンだけでなく燃焼ガスまでもがドレン排出系統に入り込んでしまい、図らずも、燃焼ガスがドレン排出系統から排出されてしまうという問題である。このような問題は、特に熱源機を屋内に設置する場合、居住者の安全を確保するという観点から、確実に防止する必要がある。
【0007】
そこで、特許文献1に開示された湯水加熱装置(熱源機)では、この問題を解消すべく、ドレン排出系統にドレン等の液体を貯留可能な貯留手段を形成している。そして、ドレン排出系統に形成した貯留手段に液体を溜めることで、ドレン排出系統の一部に水封状態となった部分を形成している。このことにより、水封状態となった部分の上流側から下流側への燃焼ガスの流れを強制的に阻止している。特許文献1に開示された湯水加熱装置の構成によると、仮にドレン排出系統に燃焼ガスが流入してしまっても、ドレン排出系統の所定の部分から下流側に燃焼ガスが流れない。そのため、ドレン排出系統からの燃焼ガスの排出を確実に防止できる。
【0008】
ところで、特許文献1に開示された湯水加熱装置の構成では、湯水加熱装置が運転されている間、常に貯留手段に液体が溜まった状態を維持して水封状態を形成する必要がある。そのため、特許文献1に開示された湯水加熱装置では、通常運転時ではドレンを貯留手段に溜めて水封状態とし、水封状態を形成するために十分な量のドレンが貯留手段に存在しない場合は、液補充手段によって貯留手段に液体を補充する構成としている。具体的には、液補充手段として、入水配管から分岐した注水管に弁を形成し、注水管から貯留手段に湯水を供給可能な構成となっている。
【0009】
また、特許文献1のような、入水配管から分岐した注水管に弁を形成する方法のほか、水封状態を形成する手段として、貯留手段に注水袋(注水タンク)を取付けるという構成が広く知られている。この構成では、貯留手段に注水袋を取付け、取付けた注水袋に予め湯水を供給しておく。そして、水封状態を形成するために十分な量のドレンが貯留手段に存在しない場合は、注水袋から貯留手段に湯水を供給して水封状態を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−298367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された湯水加熱装置の構成のように、入水配管から分岐する注水管によって貯留手段へ注水する場合、水道法上の規定により、貯留手段の形状等に制限が加わってしまう。具体的に説明すると、水道法の規定では、水道の給水管と水道以外の管との直接接続を禁止している(所謂クロスコネクションの禁止)。このことにより、入水配管から分岐する注水管によって貯留手段へ注水する場合、貯留手段側の注水管の接続口近傍に空間を形成するといった方法によって、貯留手段内部に貯留されたドレンと、注水管の接続口とが確実に直接接触しないようにする必要がある。換言すると、貯留手段に形成される注水管の接続口近傍に空間等を形成しなければならず、熱源機内部構造の設計自由度が低下してしまう。
【0012】
また、入水配管から分岐する注水管によって貯留手段へ注水する場合、給水源(水道)の水圧によって流量が変動してしまうことが考えられる。即ち、貯留手段へ供給する湯水の流量が変動してしまい、適正な湯水の供給が実施できないという問題が予測される。そこで、この問題を解決するための方法として、入水配管から分岐する注水管に流量調整弁を設けるという方法がある。しかしながら、貯留手段に注水するためだけに流量調整弁を設けることは、熱源機の製造コストが増大してしまうため望ましくない。
【0013】
さらにまた、上述したような、貯留手段に注水専用の注水袋を取付けるという構成では、熱源機の小型化に対応できないという問題があった。具体的に説明すると、近年、狭い場所に設置可能な小型化された熱源機が開発されており、このような熱源機では、熱源機の内部空間が実質的に狭くなっている。このような熱源機では、貯留手段の設置位置の周辺に広い空間が確保できないため、注水袋を設置するための領域が確保できない。そのため、注水袋を取付けるには、貯留手段を不必要に小型化しなければならないという問題があった。
さらにまた、注水袋を取付けるという構成では、熱源機の設置作業時に施工業者が注水袋への注水作業を実施せねばならず、施工業者の負担が増加してしまうという問題もあった。
【0014】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、熱源機内部の各部材の形状、大きさに制限を加えることなく、小型化された熱源機であっても採用可能であり、安価に提供可能な構成でドレン排出系統の水封を実施できる熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、浴槽に湯水を落とし込む風呂落とし込み系統と、前記熱交換器で発生したドレンを中和して外部に排出するためのドレン排出系統とを有し、ドレン排出系統には、上流側から下流側への気体の流れを遮断する水封装置が設けられており、風呂落とし込み系統から分岐した注水管が、前記水封装置及び/又は前記水封装置の上流部分と連続していることを特徴とする熱源機である。
【0016】
本発明の熱源機は、風呂落とし込み系統から分岐する注水管を有しており、注水管と水封装置(又は水封装置の上流部分)とが連続している。即ち、風呂落とし込み系統から水封装置へ湯水を供給可能となっている。このように、風呂落とし込み系統から注水管を分岐させると、上記したような、水道の供給管たる入水配管に注水管を形成する場合とは異なり、注水管と水封装置との接続に水道法上の制限を受けることがない。つまり、水封装置又はその近傍の部分に対し、注水管の接続口に内部のドレンが接触しないような加工を施す必要がなく、水封装置の設計自由度を向上させることができ、水封装置又はその近傍の部分の構造を簡易化できる。また、風呂落とし込み系統から分岐する注水管によると、入水配管から分岐する注水管ように、給水源(水道)の水圧による流量変動の影響を直接受けないので、水封装置への適正な湯水の供給が簡易な構造で実施できる。
さらにまた、本発明の風呂落とし込み系統から注水管を分岐させる構成によると、熱源機内部の水封装置付近に広い空間が確保できない場合であっても、水封装置への湯水供給動作を実施できる。即ち、風呂落とし込み系統の配管を、浴槽への湯水の落とし込みと、水封装置への湯水供給動作とに共用することにより、風呂落とし込み系統の配管を配する領域だけ確保すればよく、湯水供給動作を実施するための機器(例えば、上記した注水袋)を設置するための領域を新たに確保する必要が無い。このことにより、小型化した熱源機のように内部に広い空間がない場合であっても、水封装置への湯水供給動作を実施できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記風呂落とし込み系統は、下流側から上流側への湯水の流れを防止する逆流防止手段を備え、風呂落とし込み系統の一部を形成する風呂落とし込み管と、前記注水管とが交わる分岐部は、前記逆流防止手段より下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の熱源機である。
【0018】
本発明の熱源機では、風呂落とし込み系統に下流側から上流側への湯水の流れを防止する逆流防止手段が設けられている。そして、逆流防止手段の下流側で風呂落とし込み管と前記注水管とが分岐している。このことにより、風呂落とし込み系統とドレン排出系統とで逆流防止手段を共用できるため、水封装置側からのドレン水等の逆流を防止するために新たに弁等の部材を設ける必要がなく、熱源機の製造コストを低減することができる。
具体的に説明すると、上記したように、水道法には、水道の給水管と水道以外の管との直接接続を禁止する規定がある。そのため、風呂落とし込み系統には、浴槽側から上流の給湯側へと湯水が逆流して流れないように、ホッパ装置、縁切り弁装置等の逆流防止手段が形成されている。ここで、本発明の熱源機では、このような逆流防止手段の下流側に注水管を形成している。このことにより、風呂落とし込み系統の逆流防止手段を、水封装置からのドレン水の逆流防止のために使用することができる。このことにより、水封装置から注水管を介して上流へと向かう、ドレン水の逆流を確実に防止することができる。そして、このドレンの逆流防止のために新たな弁等の部材を設ける必要がないため、熱源機の製造コストを低減できる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記注水管が分岐する分岐部には、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態とを切替え可能な流路切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源機である。
【0020】
本発明の熱源機では、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態とを切替え可能な流路切替手段が設けられている。即ち、浴槽側へ湯水を注水する場合と、水封装置側へ湯水を注水する場合とで、流路を切り替えることができる。より具体的には、浴槽側へ湯水を注水するときは水封装置側へ湯水が流れず、水封装置側へ湯水を注水するときは浴槽側へ湯水が流れない状態にできる。このため、浴槽と水封装置との間に大きな湯水の貯留容量の差があるといった理由により、浴槽と水封装置のそれぞれに対する注水動作で湯水の流量を可変させる必要がある場合、注水される湯水の流量を容易に制御できる。即ち、浴槽と水封装置のそれぞれに対する注水動作を実施するとき、それぞれの注水動作で必要とされる湯水を風呂落とし込み系統へ流入させるだけで実施可能となるため、湯水の流量の調整が容易となる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記注水管が分岐する分岐部には、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態のいずれの状態であるかを検知可能な流路検知手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の熱源機である。
【0022】
本発明の熱源機では、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態のいずれの状態であるかを検知可能な流路検知手段が設けられている。このような構成によると、風呂落とし込み系統の流路の状態を検知してから、浴槽又は水封装置への湯水の供給を実施できる。そのため、浴槽又は水封装置のそれぞれに対する注水動作の実施時において、不必要な流路へ湯水が流れてしまうことを確実に防止でき、注水動作を正確に実施することができる。
【0023】
したがって、請求項4に記載の発明では、前記流路検知手段が、水封装置側へ湯水を注水可能な状態であると検知したことを条件に、水封装置への注水を実施することがより望ましい(請求項5)。
【0024】
請求項6に記載の発明は、前記水封装置は、ドレンを中和して排出するための中和装置と一体に形成され、内部のドレン及び/又は湯水の水位を検出する水位検出手段を有しており、水封装置内部の水位が所定の水位以上であることが検出されたことを条件に、水封装置への注水を停止することを特徴とする請求項4又は5に記載の熱源機である。
【0025】
本発明の熱源機では、水封装置が中和装置と一体に形成されており、ドレンを内部へ一時的に貯留して中和する中和装置が水封装置としても機能する。また、中和装置には、内部のドレン及び/又は湯水の水位を検出する水位検出手段が設けられている。そして、中和装置内部の水位が所定の水位以上であることが検出されたことを条件に、中和装置への注水を停止する。そのため、真に必要な量の湯水を中和装置へ供給することができるため、中和装置へ過剰な量の湯水が供給されたり、中和装置への湯水の供給量が不足してしまったりすることがなく、中和装置への注水動作をより正確に実施できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、風呂落とし込み系統から分岐する注水管が水封装置(又はその近傍)と連続しており、風呂落とし込み系統から水封装置側へ湯水を供給可能となっている。このことにより、水封装置側への注水管の接続に水道法の規定による制限を受けることがなく、注水管の接続のために水封装置側の部材に対して特殊な加工を行う必要がないので、熱源機内部構造の設計自由度が向上するという効果がある。
また、風呂落とし込み系統から水封装置側へ湯水を供給することで、給水源(水道)の水圧による流量変動の影響を直接受けないので、水封装置への適正な湯水の供給が容易に実施できるという効果がある。
さらにまた、風呂落とし込み系統の配管を、浴槽への湯水の落とし込みと、水封装置側への湯水供給動作とに共用できるので、水封装置への注水のために熱源機の内部に新たに部材を配する必要がない。そのことにより、内部に広い空間が確保できない小型化された熱源機であっても、水封装置等の部材の大きさを変更することなく、水封装置への注水動作を実施できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る熱源機を示す作動原理図である。
【図2】図1の熱源機を示す作動原理図であり、給湯系統を黒塗りで示した図である。
【図3】図1の熱源機を示す作動原理図であり、風呂落とし込み系統を黒塗りで示した図である。
【図4】図1の逆流防止装置を示す概念図である。
【図5】図1の接点スイッチを示す斜視図である。
【図6】図1の熱源機を示す作動原理図であり、風呂系統を黒塗りで示した図である。
【図7】図1の熱源機を示す作動原理図であり、ドレン排出系統を黒塗りで示した図である。
【図8】図1の中和装置の構造を示す概念図である。
【図9】本発明の実施形態に係る注水動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る熱源機1について詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0029】
本発明の第1の実施形態の熱源機1は、外部から供給される燃焼ガスを燃焼する燃焼装置2と、給湯系統3、風呂系統4、暖房系統5、風呂落とし込み系統6の各系統を備えている。ここで、給湯系統3では、湯水を給湯栓32から出湯させる一般給湯運転を実施可能となっている。また、風呂系統4では、浴槽46の湯水を循環させて適宜加熱する追い焚き運転を実施可能となっている。さらにまた、暖房系統5では、外部のファンコンベクタ、床暖房器具等の外部の負荷機器との間で湯水を循環させる暖房運転が実施可能となっており、風呂落とし込み系統6では、浴槽46へ湯水を注湯する自動落とし込み運転を実施可能となっている。
【0030】
また、熱源機1はコントローラ7を備えており、コントローラ7が熱源機1の各部に動作指令を出すことにより、熱源機1が各種運転を実施する。
【0031】
燃焼装置2は、内部に独立した2系統の缶体及び配管系統を備える。即ち、図1に示すように、右側の缶体は一般給湯運転、自動落とし込み運転に使用され、左側の缶体は、追い焚き運転、暖房運転に使用される。左右の缶体は、いずれも、燃焼部10と、燃焼部10へ空気を供給する送風機11と、燃焼部10において発生した燃焼ガスと湯水や熱媒体等(以下、単に湯水と称す)とが熱交換を行う熱交換部12と、熱交換部12を通過した燃焼ガスを缶体外部へ排出する排気部13とから構成されている。
そして、燃焼部10、熱交換部12、排気部13の各内部を連通する空間が形成され、燃焼部10で発生した燃焼ガスが流動可能となっている。このことにより、燃焼装置2を稼動すると、燃焼部10で発生した燃焼ガスが熱交換部12へと流れ、排気部13へと至る。そして、排気部13の排気口から外部へ放出される。
【0032】
燃焼部10は、バーナ15を備えており、外部から供給されるガスや灯油等の燃料を燃焼することで、高温の燃焼ガスを発生させることができる構成となっている。
【0033】
熱交換部12は、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器17と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器18(熱交換器)とにより構成されている。また、一次熱交換器17は、二次熱交換器18よりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置し、互いに直列に接続されている
【0034】
一次熱交換器17は、主要部分が銅製であり、内部に湯が流れるフィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0035】
二次熱交換器18は、主要部分がステンレス鋼製であり、一次熱交換器17に比べて防腐食性に優れている。ここで、二次熱交換器18は、一次熱交換器17において回収しきれなかった燃焼ガスの熱エネルギーを回収するので、二次熱交換器18を通過した燃焼ガスは、摂氏100度以下の低温となる。このことにより、燃焼ガスに含まれた水蒸気が液化してドレンが発生する。このとき、ドレンは燃焼ガスに晒されるため強酸性を呈する。本実施形態の熱源機1は、この酸性のドレンを中和して外部へ排出可能なドレン排出系統20が設けられている。
【0036】
次に、熱源機1の各系統について詳細に説明する。なお、本発明の特徴的な構成が風呂落とし込み系統6とドレン排出系統20にあるので、風呂落とし込み系統6、ドレン排出系統20、風呂落とし込み系統6に連なる給湯系統3、及び風呂落とし込み系統6の一部を形成する風呂系統4について説明し、暖房系統5については詳細な説明を省略する。
【0037】
給湯系統3は、図2で示されるように、入水管25と、出湯管26と、バイパス管27と、一般給湯管28とを備えている。
【0038】
入水管25は、図示しない給水源から供給される湯水を二次熱交換器18及び一次熱交換器17に流すための配管である。入水管25の中途には、入水流量センサ29が設けられている。
【0039】
出湯管26は、湯水の流れ方向下流側で一般給湯管28と、風呂落とし込み系統6の風呂落とし込み管34とに分岐している。即ち、一般給湯管28及び風呂落とし込み管34に湯水を供給するものである。このとき、出湯管26の一般給湯管28と風呂落とし込み管34に分岐している部分には、出湯流量調整弁30が設けられており、一般給湯管28及び風呂落とし込み管34に流れる湯水の流量を調整可能となっている。
【0040】
バイパス管27は、入水管25と出湯管26と結んで熱交換部12をバイパスする配管である。バイパス管27と入水管25の接続部分たるバイパス管27の流れ方向上流側には、バイパス流量調整弁31が設けられている。バイパス流量調整弁31は、開度を可変することにより、バイパス管27を流れる湯水の流量を増減できるものである。このように、湯水の流量を制御することにより、一般給湯運転、及び自動落とし込み運転における出湯温度を制御することができる。
【0041】
一般給湯管28は、燃焼装置2を通過した湯水をシャワーやカラン等の給湯栓32に供給するものである。
【0042】
風呂落とし込み系統6は、図3に示されるように、風呂落とし込み管34と、風呂系統4によって形成されている。
【0043】
風呂落とし込み管34は、上記した出湯管26と、風呂系統4の風呂戻り管35とを接続するものである。そして風呂落とし込み管34には、上流側から風呂用流量センサ38、注湯電磁弁39、逆流防止装置40(逆流防止手段)が設けられている。
【0044】
逆流防止装置40は、2つの逆止弁41,41と、逆流遮断装置42によって形成されている。
【0045】
逆止弁41は、湯水が順方向に流れた場合は開弁し、逆方向に流れた場合は閉弁する機能を有するバルブである。
【0046】
逆流遮断装置42は、逆方向へ流れた湯水を配管外部へ排出する機能を有するバルブである。即ち、配管の逆流遮断装置42が設けられた部分を通過する湯水は、順方向に流れている場合は配管を流れていき、逆方向に流れている場合は配管外部へと排出される。
具体的に説明すると、図4で示されるように、湯水が順方向に流れて逆流防止装置40を経由する場合、湯水が主流路66と副流路67とに分岐する構造となっている。このとき、主流路66を介して逆流防止装置40に流入した湯水は、2つの逆止弁41a,41bを通過して、配管接続口65から下流側へと流出する。このとき、副流路67を介して逆流防止装置40に流入した湯水は、逆流遮断装置42の逆流防止弁68を押圧して湯水排出口69を閉じた状態とする。このように、逆流防止弁68が閉弁されることで、主流路66から流入した湯水が湯水排出口69から配管外部へ排出されることなく、配管接続口65側へと流れる構成となっている。即ち、主流路66から流れた湯水が1つめの逆止弁41aを通過したときに湯水排出口69側へ流れてしまっても、湯水排出口69が逆流防止弁68によって閉塞されているため、ここから配管外部へ流出することがない。このことにより、湯水は2つめの逆止弁41b側へと流れていき、配管接続口65から下流側へと流出する。
【0047】
これに対して、湯水が逆方向に流れてしまい、逆流防止装置40を経由する場合について説明する。家屋の2階といった熱源機1より高い位置に浴槽46があり、断水等が発生したとき、湯水が風呂落とし込み管34を逆流してしまう場合がある。このとき、逆止弁41bが故障する等の理由により、逆流する湯水が配管接続口65から逆流防止装置40へ流入し、逆止弁41bを通過してしまうと、湯水は湯水排出口69側へ向かって流れる。このとき、湯水が順方向に流れている場合とは異なり、逆流防止弁68が押圧されておらず、湯水排出口69が開放された状態となっている。そのため、逆流した湯水は、湯水排出口69から配管外部へと排出される。このように、本実施形態の逆流遮断装置42は、仮に湯水が逆止弁41を通過して逆流してしまっても、逆流した湯水を配管外部へ排出可能な構成となっている。
【0048】
また、風呂落とし込み管34は、図3で示されるように、逆流防止装置40より湯水の流れ方向下流側で、風呂戻り管35へ向かう部分と、ドレン排出系統20の中和装置51(水封装置)に接続される注水管52とに分岐している。換言すると、風呂落とし込み管34の中途部分から、風呂落とし込み管34と中和装置51とを結ぶ注水管52が延びている。
【0049】
また、風呂落とし込み管34では、注水管52の接続部分であり、風呂戻り管35へ向かう流路と、中和装置51へ向かう流路の分岐点となる分岐部に、三方弁43(流路切替手段)と、接点スイッチ44(流路検知手段)とが設けられている。
【0050】
三方弁43は、3つのポート43a〜43cを有し、2経路に流路を切り換えることができるものである。具体的には、この三方弁43は、ポート43aとポート43bが連通すると他のポート43cが閉塞し、中和装置51へと向かう流路を流通可能な状態にすることができる。即ち、出湯管26から風呂落とし込み管34の上流側部分を経て、中和装置51へと至る流路が流通可能な状態となり、中和装置51に湯水を供給可能な状態とすることができる。
【0051】
対して、三方弁43のポート43aとポート43cが連通すると、他のポート43bが閉塞し、風呂戻り管35へと向かう流路を流通可能な状態にすることができる。即ち、出湯管26から風呂落とし込み管34を経て、風呂戻り管35へと至る流路が流通可能な状態となり、浴槽46側へ湯水を供給可能な状態とすることができる。
【0052】
接点スイッチ44は、例えば、公知のリミットスイッチやマイクロスイッチであり、三方弁43のハンドル位置を検知する等の方法により、各ポート43a〜43cの開閉状態を検知可能となっている。具体的に説明すると、図5で示されるように、三方弁43は、切替レバー48の回動操作により、湯水の流れ方向を切り替える構造となっている。そして、切替レバー48を回動操作すると、切替レバー48が接点スイッチ44の一部に接触し、接点スイッチ44の一部が切替レバー48に押されて動く構造となっている。このことにより、切替レバー48の姿勢、即ち、湯水の流れ方向の切り替え状態が接点スイッチ44によって検知可能となる。より具体的には、接点スイッチ44によって、三方弁43のポート43aとポート43bが連通した中和装置51に湯水を供給可能な状態と、三方弁43のポート43aとポート43cが連通した浴槽46側へ湯水を供給可能な状態の2つの状態のうち、いずれの状態であるのかを検知可能となる。
【0053】
風呂系統4は、図6で示されるように、浴槽46を含む循環流路を形成する風呂戻り管35と、風呂往き管36とを備えている。
【0054】
風呂戻り管35は、浴槽46側から燃焼装置2の熱交換部12側に湯水を戻す配管であり、風呂往き管36は、熱交換部12側から浴槽46側に湯水を送りだす配管である。風呂戻り管35と風呂往き管36とは、追い焚き用熱交換器45を介して連続し、浴槽46を含む循環流路を形成している。
なお、追い焚き用熱交換器45では、燃焼装置2の熱交換部12を経由するように形成される循環流路を流れる液体(熱媒)と、浴槽46を含む風呂戻り管35、風呂往き管36によって形成される循環流路を流れる湯水とが熱交換可能となっている。
【0055】
ドレン排出系統20は、図7で示されるように、ドレン導入管50と、中和装置51と、ドレン排出管53とを備えている。
【0056】
ドレン導入管50は、燃焼装置2の二次熱交換器18に近傍に配されたドレンパン等のドレン回収部(図示せず)と、中和装置51とを結ぶ配管であり、二次熱交換器18で発生したドレンを中和装置51の内部へと導入可能なように設けられている。
【0057】
中和装置51は、図8で示されるように、その内部が仕切り壁60によって複数の空間に区切られており、少なくとも1つ以上の空間に炭酸カルシウム等の中和剤(図示せず)が充填されている。そして、流入したドレンは、この複数の空間を順次流れていく。このとき、各空間では、空間内に流れ込んだドレンが一旦留まり、一定以上の水位になると空間外へと流出する。即ち、中和装置51内に流入したドレンは、中和装置51内のそれぞれの空間に、所定時間留まった後で流出することになる。したがって、中和剤が充填された空間をドレンが通過するとき、時間をかけてゆっくりと通過する。また、ドレンは、空間内に留まっている間に中和剤と反応することで中和される。
【0058】
つまり、中和装置51の内部に流入したドレンは、中和装置51内に所定時間貯留され、貯留されている間に中和剤と反応して中和される。そして、中和されたドレンは、中和装置51のドレン排出口62まで流れていき、ドレン排出口62からドレン排出管53(図7参照)へと排出される。
【0059】
ここで、中和装置51の内部に形成される空間にドレンが留まることで、中和装置51のドレン流入口61と、ドレン排出口62の間にドレンが溜まった空間が形成される。このことにより、ドレン流入口61とドレン排出口62の間が水封され、気体が通過できない状態(以下水封状態とも称す)となる。このように、中和装置51は、ドレンを中和するための機能に加え、水封装置としての機能も兼ね備えている。
【0060】
また、中和装置51には、水位検出装置(水位検出手段)の一部を形成する複数の電極55,56,57,58が一体に取り付けられている。この複数の電極55,56,57,58は、それぞれ長さが異なっており、電極55,56,57,58の順に長くなっていく。そして、中和装置51内部のドレン等の液体が、複数の電極55、56、57、58のうちの2つ以上と接触することにより、中和装置51のドレン等の液体の水位を検知可能となっている。
【0061】
詳説すると、中和装置51内の水位が上昇していくと、やがて所定の高さL1の位置まで水面が上昇する。すると、最も長い電極58だけでなく、2番目に長い電極57もまた、中和装置51の内部に貯留されたドレン等の液体に接触する。このとき、最も長い電極58と、2番目に長い電極57の間で通電が行われる。このことにより、中和装置51の内部の水位が所定の高さL1に達したことが水位検出装置によって検知される。以下同様に、中和装置51の内部の水位がさらに上昇し、所定の高さL2に達すると、最も長い電極58と、3番目に長い電極56の間で通電が行われ、内部の水位が所定の高さL2に達したことが検知される。またさらに、中和装置51の内部の水位がより上昇し、所定の高さL3に達すると、最も長い電極58と、最も短い電極55の間で通電が行われ、内部の水位が所定の高さL3に達したことが検知される。
【0062】
ここで、特に限定されるものではないが、最も長い電極58と最も短い電極55との間で通電が行われることで検知される水位の高さL3は、ドレン排出口62よりも高位置であり、通常は、中和装置51内の水位がこの高さL3に達することはない。即ち、最も短い電極55は、ドレン排出口62が詰まる等の理由によって、水位が非常に高くなってしまったとき、規定外に上昇してしまった水位を検出するものである。即ち、本実施形態の熱源機1は、中和装置51内における規定外の水位の上昇を検出可能となっており、さらに水位が規定外に上昇してしまったとき、コントローラ7のディスプレイや音声発生装置等、適宜な報知手段によって報知可能となっている。
【0063】
ドレン排出管53は、図7で示されるように、ドレン排出系統20において中和装置51よりドレンの流れ方向下流側に設けられ、中和装置51と熱源機1外部へ連なるドレンの排出口とを結ぶ配管である。即ち、中和装置51の内部から排出されたドレンを、熱源機1の外部へと排出するための配管である。
【0064】
ところで、本実施形態の中和装置51では、上記したように、内部にドレンを留まらせることによって水封状態を形成する。このことにより、ドレン排出系統20における、中和装置51の上流側から、中和装置51の下流側への気体の流れを阻止することができる。したがって、仮に、燃焼部10で発生した燃焼ガスが、誤ってドレン回収部(図示せず)からドレン導入管50へと入り込んでしまい、ドレン排出系統20に浸入しても、中和装置51より下流側へと流れることはない。
【0065】
しかしながら、熱源機1の設置後すぐに実施する試運転時や、メンテナンス実施後に熱源機1を稼動する場合等、中和装置51の内部に、水封状態を形成するにたる十分な量のドレンが存在しない場合がある。そこで、本実施形態の熱源機1では、このように中和装置51の内部に十分な量のドレンがなく、水封状態が形成できない状態で熱源機1を稼動する場合、水封状態を形成するために中和装置51へ湯水を供給する注湯動作を実施する。本実施形態の注水動作について、図9を参照しつつ、詳細に説明する。
【0066】
本実施形態の熱源機1では、三方弁43が手動操作されてポート43aとポート43bとが連通した状態に流路が切り替えられた状態で(ステップ1)、コントローラ7又は熱源機1の内部基盤のスイッチを押下する等して中和装置51への水封が指示されると(ステップ2でYesの場合)、中和装置51への湯水の供給が開始される。具体的には、コントローラ7や内部基盤のスイッチが押下されたとき、接点スイッチ44から発信された信号によって、風呂落とし込み管34から注水管52へ湯水が流れる状態であるのか否かが確認され、注水管52へと湯水が流れる状態である場合に注湯動作が開始される。
【0067】
中和装置51への湯水の供給が指示されると、注湯電磁弁39が開いた状態となる(ステップ3)。そして、図示しない給水源から入水管25及び出湯管26を介して風呂落とし込み管34へ湯水が供給される。このとき、注湯電磁弁39、出湯流量調整弁30、及び風呂用流量センサ38によって、風呂落とし込み管34へ供給される湯水の流量が調整される(ステップ4)。即ち、風呂用流量センサ38が検知する流量の値に基づいて、注湯電磁弁39や出湯流量調整弁30の開度が制御され、所定の流量の湯水が風呂落とし込み管34へと流入する。なお、特に限定されるものではないが、風呂落とし込み管34へ供給される湯水の流量は、2.5L/min程度となるように制御されることが望ましい。
【0068】
このように、風呂落とし込み管34に湯水が供給されると、風呂落とし込み管34に供給された湯水が、注水管52を介して中和装置51の内部へと流れ込む。そして、中和装置51へ湯水が供給され続けると、中和装置51内で湯水の水位が上昇していく。
【0069】
中和装置51内の湯水の水位が一定以上となった場合、即ち、中和装置51の内部に水封状態を形成可能な程度に十分に湯水が供給された場合、中和装置51に取付けられた電極56,58にドレンが接触する。具体的には、図8で示されるように、中和装置51内部の水位が所定の高さL2まで上昇し、中和装置51内の水位が水封可能の高さとなると、最も長い電極58と3番目に長い電極56との間で通電される。このことにより、中和装置51内部の水位が水封可能な高さL2となったことが検出される。
【0070】
中和装置51内の水位が所定の高さL2以上であることが検知されると(ステップ5でYesの場合)、注湯電磁弁39が閉じられ(ステップ6)、中和装置51への湯水の供給が停止される。そして、三方弁43が操作されてポート43aとポート43cとが連通した状態に流路が切り替えられる(ステップ7)。即ち、風呂落とし込み管34から風呂戻り管35へ湯水が流れる状態へ流路が戻される。このことをもって、注湯動作を終了する。
【0071】
以上で、本実施形態の注水動作についての説明を終了する。
【0072】
なお、本実施形態では、ポート43aとポート43bとが連通した状態、即ち、注水管52へと湯水が流れる状態において、コントローラ7等により浴槽46への湯水の注湯(落とし込み)が指示されると、コントローラ7のディスプレイ等の適宜な報知手段によって、エラーが報知される構成となっている。
【0073】
本実施形態の熱源機1では、風呂落とし込み管34を流れる湯水を中和装置51に供給するので、入水管から湯水を中和装置へ供給する従来の構成のように、給水源の水圧の変動による影響を受けることがない。そのため、中和装置51への適正な量の湯水の供給を、簡易な構成で実施することができる。また、このように風呂落とし込み管34から分岐する注水管52を中和装置51に接続することにより、中和装置51への注水管52の接続において水道法上の規制を受けないため、注水管52の接続のために中和装置51に対して特殊な加工をする必要がなく、設計自由度を向上させることができる。
【0074】
また、このように、風呂落とし込み管34を流れる湯水を中和装置51に供給することにより、中和装置51への湯水の供給用に注水袋等の容器を設ける必要がない。このことにより、熱源機1の内部に注水袋等の容器を設置する領域を確保する必要がないので、熱源機の筺体内部の容積が小さい場合であっても、各部材の大きさや形状を可変することなく筺体に内蔵できる。換言すると、内部構造の小規模化が可能となり、熱源機を小型化できるという利点がある。
【0075】
さらに、本実施形態の熱源機によると、中和装置に注水袋等の容器を取付ける従来の場合のように、注水袋の取付け作業、注水袋への注水作業等が発生しないため、熱源機の設置業者の負担を軽減できるという利点がある。
【0076】
そして、本実施形態の熱源機1では、出湯流量調整弁30、風呂用流量センサ38、注湯電磁弁39、逆流防止装置40を、風呂系統4による浴槽46への注湯動作と、中和装置51への注水動作とに共用可能な構造となっている。そのため、中和装置51への注水動作のために、湯水の逆流防止構造を新たに設ける必要がなく、熱源機1の製造コストの低減が図れるという利点がある。
【0077】
また、本実施形態の熱源機1では、風呂用流量センサ38により、中和装置51に供給した湯水の積算量を取得できる構成となっている。このことにより、例えば、中和装置51のメンテナンス用の水抜き栓(図示せず)を閉め忘れ、中和装置51に湯水を貯留できない状態で注水動作を実施してしまっても、自動で湯水の供給を停止したり、使用者に報知したりする構成とすることが可能となる。より具体的には、風呂用流量センサ38により、中和装置51へ一定の量の湯水が供給されたことが検知されたことを条件に、自動で湯水の供給を停止する構成とすることで、湯水の垂れ流しを防止できる。また、中和装置51へ一定の量の湯水が供給されたことが検知されたにもかかわらず、中和装置51の水位検出手段で所定以上の水位が検出されなかった場合、エラーを報知する構成とすることで、使用者に湯水が正しく供給されなかったことを知らせることができる。
【0078】
また、本実施形態の熱源機1では、中和装置51内の水位が一定以上であることが検知されると、自動で中和装置51への注水動作を終了する構成となっている。そのため、中和装置51への注水動作を実施するとき、作業者が中和装置への注水作業に掛かり切りになる必要が無く、注水作業の実施中に別の作業を実施できる。このことにより、熱源機1の設置作業やメンテナンス作業を実施する際、作業効率の向上を図ることができる。
【0079】
加えて、本実施形態の熱源機1では、接点スイッチ44により三方弁43の流路の切り替え状態を検知可能となっている。そのため、注水管52へと湯水が流れる状態において浴槽46への湯水の注湯を開始してしまう誤動作や、浴槽46へと湯水が流れる状態において中和装置51への注水動作を開始してしまう誤動作を確実に防止できる。より具体的には、浴槽46への湯水の注湯動作や、中和装置51への注水動作を実施するとき、流路の状態を検知し、流路の状態が誤っていればエラー報知したり、各動作を停止したりする構成にすることができる。
【0080】
上記した実施形態では、注水管52へと湯水が流れる状態において、浴槽46への湯水の注湯(落とし込み)が指示されると、エラーが報知される構成としたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、風呂への注湯を自動で停止する構成であってもよく、エラーを報知すると共に、風呂への注湯を自動で停止する構成であってもよい。
【0081】
上記した実施形態では、流路切替手段として、手動で操作する三方弁43を採用する例を示したが、本発明の熱源機に採用される流路切替手段はこれに限るものではない。例えば、コントローラ7や基盤から発信される信号に基づいて流路を切り替える三方弁、即ち、自動で動作する電動の三方弁であってもよい。このような、電動弁を採用する構成とすると、中和装置51の水位検出手段を使用することで、検出した中和装置51内の水位に基づいて自動で所定のポートを開弁、閉弁することができるため、中和装置51への注水動作を自動で行うことができる。なお、流路切替手段は、三方弁に限らず、二方弁を2つ組み合わせて形成してもよい。
【0082】
上記した実施形態では、接点スイッチ44で三方弁43のハンドル位置を検知することにより、三方弁43による流路の切り替え状態を検知する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。接点スイッチ44は、三方弁のバルブ、コック、リミッター等の適宜の部位の位置を検知すること等の方法により、三方弁による流路の切り替え状態を検知するものであってもよい。また、自動で動作する三方弁を採用する場合、三方弁に内蔵され、流路の切り替え状態を検知するセンサであってもよい。
【0083】
上記した実施形態では、逆流防止装置40として、逆止弁41と、逆流遮断装置42とを併用する構成とした例について説明したが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば、逆流防止装置として、ホッパ装置を採用する構成であってもよい。即ち、貯留装置(貯水タンク)を設け、上流側から流し込んだ湯水を貯留装置内に一次的に貯留し、貯留装置に接続された配管から、貯留装置に貯留された湯水を下流側へと流す構成であってもよい。
また、このとき、中和装置へ湯水を供給するための注水管を貯留装置に接続する構成であってもよい。つまり、注水管は、風呂落とし込み系統のいずれかの部分と中和装置の間に設けられればよく、注水管の接続位置は、風呂落とし込み管に限るものではない。
【0084】
上記した実施形態では、中和装置51の水位検出手段によって中和装置51の水位が所定の高さL2(図8参照)となったことを条件に、給水を中止する注水動作の例を示したが、本発明の注水動作はこれに限るものではない。例えば、風呂用流量センサ38によって、中和装置51に供給した湯水の積算量が所定量となったことを条件に給水を中止する注水動作を実施してもよい。
このような注水動作につき、具体的に説明すると、注水動作が開始され、中和装置51内の水位が所定の高さL1(目標とする高さL2より低い高さ)となったことが中和装置51の水位検出手段によって検知されると、風呂用流量センサ38による湯水の供給量の積算を開始する。そして、中和装置51の水位が所定の高さL1となった状態から、所定の量の湯水を中和装置51に供給したことを条件に、注水動作を停止する。本発明の熱源機では、このような注水動作であっても、中和装置51への湯水の供給が可能となっている。
【0085】
上記した実施形態では、水封装置の機能を有する中和装置51、即ち、水封装置と中和装置とが一体に形成された構成を採用した例を示したが、本発明の熱源機はこれに限るものではない。例えば、中和装置と水封装置とを別途設けた構成であってもよい。即ち、ドレン排出系統において、配管を略「S」字等の適宜な形状に屈曲させて形成する所謂排水トラップのような水封装置を設け、そのような水封装置を中和装置の上流側に配し、水封装置(又は水封装置の上流側)に注水管を接続する構成であってもかまわない。つまり、ドレン排出系統に形成した水封装置に、風呂落とし込み系統から分岐した注水管から注水可能な構造であればよい。
【0086】
上記した実施形態では、出湯流量調整弁30、風呂用流量センサ38等によって、注水管52へ供給される湯水の流量を制御する例を示したが、本発明の熱源機はこれに限るものではない。例えば、注水管にオリフィス等の流量調整手段を設けて、水封装置に対する適量な湯水の供給を可能とする構成としてもよい。このような構成の場合、注水管の上流側に位置する配管(風呂落とし込み管等)に必ずしも流量調整機能を有する弁を設ける必要はなく、流量調整機能を有さない切替弁を配する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 熱源機
6 風呂落とし込み系統
15 バーナ
18 二次熱交換器(熱交換器)
20 ドレン排出系統
34 風呂落とし込み管
40 逆流防止装置(逆流防止手段)
43 三方弁(流路切替手段)
44 接点スイッチ(流路検知手段)
51 中和装置(水封装置)
52 注水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼するバーナと、バーナが作動して生成される燃焼ガスの主に潜熱を回収する熱交換器とを備えた熱源機であって、
浴槽に湯水を落とし込む風呂落とし込み系統と、前記熱交換器で発生したドレンを中和して外部に排出するためのドレン排出系統とを有し、
ドレン排出系統には、上流側から下流側への気体の流れを遮断する水封装置が設けられており、
風呂落とし込み系統から分岐した注水管が、前記水封装置及び/又は前記水封装置の上流部分と連続していることを特徴とする熱源機。
【請求項2】
前記風呂落とし込み系統は、下流側から上流側への湯水の流れを防止する逆流防止手段を備え、
風呂落とし込み系統の一部を形成する風呂落とし込み管と、前記注水管とが交わる分岐部は、前記逆流防止手段より下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項3】
前記注水管が分岐する分岐部には、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態とを切替え可能な流路切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源機。
【請求項4】
前記注水管が分岐する分岐部には、浴槽側へ湯水を注水可能な状態と、前記水封装置側へ湯水を注水可能な状態のいずれの状態であるかを検知可能な流路検知手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の熱源機。
【請求項5】
前記流路検知手段が、水封装置側へ湯水を注水可能な状態であると検知したことを条件に、水封装置への注水を実施することを特徴とする請求項4に記載の熱源機。
【請求項6】
前記水封装置は、ドレンを中和して排出するための中和装置と一体に形成され、内部のドレン及び/又は湯水の水位を検出する水位検出手段を有しており、
水封装置内部の水位が所定の水位以上であることが検出されたことを条件に、水封装置への注水を停止することを特徴とする請求項4又は5に記載の熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92295(P2013−92295A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234081(P2011−234081)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】