説明

燃料ポンプ

【課題】電食の発生を抑制し、かつ必要な樹脂成形品を2部材に抑えて、部品点数を削減し、また組付け易い燃料ポンプを提供する。
【解決手段】エンドカバー20のブラシ挿入孔80、81のブラシ95、96と反対側の端部において、インサート成形されたカラー部材90、91を有し、このカラー部材90、91の内部に圧入されたブラシターミナル105、106を有する。ブラシターミナル105、106は、第2次モールド部材(71)内にモールドされた環状ターミナル(40、41)に接続され、カラー部材90、91の先端部が第2次モールド部材(71)内に圧入されている。この圧入により、異なる電圧が印加されるブラシターミナル105、106相互間、あるいは環状ターミナル40、41相互間に絶縁性の樹脂が介在し燃料を介在するリーク電流が流れることが阻止できるため、電食問題が解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンに燃料を供給する燃料ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の燃料ポンプでは、ポンプ駆動用のモータのブラシアセンブリが、燃料中に存在している。図25は、特許文献1に記載の燃料ポンプの一部断面図である。ブラシ95、96は、合成樹脂製のエンドカバー20のブラシ挿入孔80、81内に収納されている。
【0003】
ブラシ95、96は、ピグテール97、98を有し、このピグテール97、98の先端に夫々真ちゅう製のブラシターミナル105、106が接続されている。ブラシターミナル105、106には、夫々シールリング105a、106aが取り付けられて燃料漏れをシールしている。
【0004】
エンドカバー20には円筒壁200を持ったRFIモジュール201が被せられている。このRFIモジュール201の中には、ブラシターミナル105、106と電気的に接続されるフランジ46、47を有する環状ターミナル40、41が埋め込まれている。
【0005】
このように、エンドカバー20と、RFIモジュール201との2部品の樹脂成形品で組付体が構成されている。組付けにおいては、まず、エンドカバー20のブラシ挿入孔80、81内に、ブラシ95、96、ピグテール97、98、ブラシスプリング101、102、及びインナーエレメント105b、106bを挿入する。
【0006】
次に、ブラシターミナル105、106をインナーエレメント105b、106bにねじ込んで、上記シールリング105a、106aで燃料漏れをシールしている。更に、ブラシターミナル105、106に電気的にフランジ46、47が接続されるように、フランジ46、47を持つRFIモジュール201をエンドカバー20に、円筒壁200の先端が接するまで圧入している。
【0007】
環状ターミナル40、41のフランジ46、47には、燃料ポンプ1の使用中に異なる極性の電圧が印加されている。エンドカバー20には、段差が設けられた円筒部分202が設けられており。この円筒部分202の外側先端表面203は、隙間204を介して、フランジ46、47間の樹脂製の突起部204aと対向している。
【0008】
次に、特許文献2及び特許文献3が知られている。この特許文献2及び特許文献3の構成では、電食の原因になる電位差のある一対の金属が、燃料中に表面を露出しないように合成樹脂でモールドされたものである。
【0009】
図26は、特許文献2及び特許文献3の構成を示し、図26の(a)部分は、エンドカバーを含む組付体の正面図、図26の(b)部分は、組付体の右側面図である。図26に示すように、ブラシ95、96、ピグテール97、98、及びブラシスプリング101、102を保持するブラシ保持部205を持ったベアリングホルダ206を有している。
【0010】
また、ブラシ保持部205内にブラシ95、96、ピグテール97、98の一部、及びブラシスプリング101、102を収納した状態で、ブラシ保持部205の樹脂部の先端が、モールド体60に密接して組付けられる。このときに、モールド体60の荷重受け部60aは、ブラシスプリング101、102の端面と当接してし、弾性変形による力を受けている。
【0011】
そして、ブラシターミナルの接続部207、208と、ブラシ95、96に接続されたピグテール97、98とが接続される。モールド体60の内部には、外部接続ターミナル30、31の一部、チョークコイル、及び上記接続部207、208を持つブラシターミナルがモールドされている。
【0012】
そして、燃料吐出部23を持つエンドカバー20を、モールド体60が固定されたベアリングホルダ206に被せて、エンドカバー20とベアリングホルダ206とを結合している。このときに、外部接続ターミナル30、31の先端が、エンドカバー20を貫通して外部に延出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5013222号明細書
【特許文献2】特開2008−64029号公報
【特許文献3】特開2008−64030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献1の構成では、図25のエンドカバー20とRFIモジュール201との2部品の樹脂成形品で組付体が構成できるという利点が有る。しかし、上記特許文献1の構成では、シールリング105a、106aがあるものの、長い間、燃料ポンプを使用していると、上記隙間204内に燃料が溜まる。
【0015】
そして、高導電性成分が燃料中に含まれていると、燃料中の高導電性成分を介して、フランジ46、47間に電流が流れ、隙間204を起点に周辺の金属部材の電食が進行し、導通不良または折損等の燃料ポンプとしての機能の低下を招くことがあった。特に、燃料がアルコール等のガソリン代替燃料の場合に問題が大きい。
【0016】
上記特許文献1の問題は、燃料を介在してリーク電流が流れ、電位差のある金属であるフランジ46、47同士が、電気的に完全に分離されていないことから生じている。よって、この問題を解消したものとして、図26の特許文献2及び特許文献3の構成が知られている。
【0017】
この特許文献2及び特許文献3の構成では、電食の原因になる電位差のある一対の金属が、燃料中に表面を露出しないように合成樹脂でモールドされ、電位差のある金属同士を電気的に完全に分離したものである。
【0018】
しかしながら、上述のように、特許文献2及び特許文献3の構成では、組付け時にベアリングホルダ206と、モールド体60と、エンドカバー20との3部材が必要であり、部品点数が多く、組付けが複雑となる問題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、電食の発生を抑制し、かつ必要な樹脂成形品を2部材に抑えて、部品点数を削減し、組付け易い燃料ポンプを提供することにある。
【0020】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、ポンプハウジング(6、7)内の回転部材(8)をモータ(10)で駆動することにより燃料を昇圧する燃料ポンプ(1)であって、燃料中のモータの整流子(18)が摺接するブラシ(95、96)と、ブラシ(95、96)を収納するブラシ挿入孔(80、81)を有し、ハウジング(4)に結合されたエンドカバー(20)と、エンドカバー(20)のブラシ挿入孔(80、81)のブラシ(95、96)とは反対側の端部において、エンドカバー(20)内にインサート成形されたカラー部材(90、91)と、カラー部材(90、91)の内部に挿入され、ブラシ(95、96)に接続されたブラシターミナル(105、106)とから第1部材を形成し、かつブラシターミナル(105、106)が圧入される環状ターミナル(40、41)と、環状ターミナル(40、41)に接続され、外部から電源が供給される外部ターミナル(30、31)と、外部ターミナル(30、31)と環状ターミナル(40、41)とをモールドする第1次モールド部材(55)と、
第1次モールド部材(55)を更にモールドし、外部ターミナル(30、31)を囲むコネクタ部(79)が形成された第2次モールド部材(71)とから第2部材を形成し、第1部材を成すエンドカバー(20)に、第2部材を成す第2次モールド部材(71)を結合することにより、第1部材を成すブラシターミナル(105、106)に第2部材を成す環状ターミナル(40、41)を接続し、カラー部材(90、91)は、エンドカバー(20)から先端部が突出するようにエンドカバー(20)内にインサート成形されており、環状ターミナル(40、41)は、第2次モールド部材(71)内に一部がモールドされ、カラー部材(90、91)の先端部が、環状ターミナル(40、41)周辺の第2次モールド部材(71)に圧入されていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、カラー部材(90、91)が第2次モールド部材(71)に圧入されていることで、カラー部材(90、91)と第2次モールド部材(71)の絶縁性樹脂との密着が確実となり、ブラシターミナル(105、106)、あるいは環状ターミナル(40、41)の電位差が存在する電極部分に燃料が介在することが阻止できるため、上記電極部分を電気的に完全に分離することができ、燃料中に高導電性成分が存在しても、リーク電流が流れることがなく、電食を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、ブラシターミナル(105、106)は、カラー部材(90、91)の内部に抜けないように圧入され、かつ該圧入により昇圧された燃料をシールしていることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、カラー部材(90、91)とブラシターミナル(105、106)との圧入によって、ブラシターミナル(105、106)が抜けないように強度を確保することができ、かつ昇圧された燃料をシールすることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明では、環状ターミナル(40、41)は、フランジ(46、47)を有し、フランジ(46、47)に、カラー部材(90、91)の先端部よりさらに外部に突出したブラシターミナル(105、106)が圧入されていることを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、フランジ(46、47)に、カラー部材(90、91)の先端部よりさらに外部に突出したブラシターミナル(105、106)が圧入されているから、環状ターミナル(40、41)とブラシターミナル(105、106)との電気的かつ機械的な結合を強固にすることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明では、エンドカバー(20)の平面部には、モータ周辺の燃料通路からの燃料を吐出する燃料吐出口(23)が一体に形成され、かつ該燃料吐出口(23)に隣接する平面部からモータの軸方向に窪んだ凹部(96)を有し、凹部(96)に第2次モールド部材(71)が挿入されて、エンドカバー(20)と第2次モールド部材(71)とが結合されていることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、エンドカバー(20)の凹部(96)に第2次モールド部材(71)が挿入されて、エンドカバー(20)と第2次モールド部材(71)とが圧入されているから、エンドカバー(20)と第2次モールド部材(71)が組付け安く、かつ結合力を強めることができる。
【0029】
請求項5に記載の発明では、凹部(96)内の一方の壁面に相対向して、凹部(96)内の他方の壁面を成すガイド用突起(97)の壁面が設けられており、他方の壁面の高さは、一方の壁面の高さより低くされていることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、凹部(96)内の他方の壁面の高さは、一方の壁面の高さより低くされているから、高さの高い一方の壁面に、第2次モールド部材(71)を当接させて位置決めできるから、第2次モールド部材(71)を凹部(96)内に挿入し易い。
【0031】
請求項6に記載の発明では、ポンプハウジング(6、7)内の回転部材(8)を駆動するモータ(10)がハウジング(4)内に収納された燃料ポンプ(1)の製造方法であって、モータの整流子(18)上を摺接するブラシ(95、96)を収納するブラシ挿入孔(80、81)を有し、ブラシ挿入孔(80、81)内にカラー部材(90、91)が先端部を残して挿入されてインサート成形されているエンドカバー(20)を成形し、成形されたエンドカバー(20)のブラシ挿入孔(80、81)内のカラー部材(90、91)内に、ブラシ(95、96)に接続されたブラシターミナル(105、106)を圧入し、モータ(10)に外部からの電源が導入される一対の外部ターミナル(30、31)の一部と該外部ターミナル(30、31)に接続された一対の環状ターミナル(40、41)の一部とを、第1次モールド部材(55)にてモールド成形して、外部ターミナル(30、31)の他部と環状ターミナル(40、41)の他部とを第1次モールド部材(55)から露出させ、第1次モールド部材(55)の周囲を第2次モールド部材(71)によってモールド成形して、第2次モールド部材(71)によって外部ターミナル(30、31)を囲むコネクタ部(79)を形成し、エンドカバー(20)に、第2次モールド部材(71)を組付けて、カラー部材(90、91)の先端部を、環状ターミナル(40、41)周辺の第2次モールド部材(71)に圧入させ、かつエンドカバー(20)のブラシターミナル(105、106)を、環状ターミナル(40、41)に圧入させることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、第1部材を成すエンドカバー(20)のブラシ挿入孔(80、81)にカラー部材(90、91)を挿入し、カラー部材(90、91)に、ブラシ(95、96)に接続されたブラシターミナル(105、106)を圧入し、第1部材を成すエンドカバー(20)に、第2部材を成す第2次モールド部材(71)を組付けて、カラー部材(90、91)の先端部を、環状ターミナル(40、41)周辺の第2次モールド部材(71)に圧入させ、かつエンドカバー(20)のブラシターミナル(105、106)を、環状ターミナル(40、41)に圧入させるから、上記第1部材と第2部材との2つの部材を組付けるだけで燃料のシール構造を持つ組付体が製造でき、かつ、組付体は燃料を介するリーク電流を防止でき、電食問題を解消できる。
【0033】
請求項7に記載の発明では、一対の外部ターミナル(30、31)と一対の環状ターミナル(40、41)とは、繋がり部分(32、45)にて結合された状態で、第1次モールド部材(55)にてモールド成形され、このモールド成形後に、繋がり部分(32、45)が切断されから、第1次モールド部材(55)の周囲を第2次モールド部材によってモールド成形することを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、一対の外部ターミナル(30、31)と一対の環状ターミナル(40、41)とは、繋がり部分(32、45)にて、結合された状態で、第1次モールド部材(55)にてモールド成形される。よって、部品が分散せず、モールド成形が容易になる。また、切断後は第1次モールド部材(55)が部品間の結合を維持するから、部品が分散せず、次の第2次モールド部材によるモールド成形が容易になる。
【0035】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号ないし説明は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を分かり易く示す一例であり、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態における燃料ポンプの一部破砕外形図である。
【図2】上記実施形態における燃料ポンプの一部縦断面図である。
【図3】上記実施形態における燃料ポンプ内の第1次ターミナル構成部材内の通電部分を示す正面図である。
【図4】図3の通電部分の平面図である。
【図5】図3の通電部分の右側面図である。
【図6】図3から図5に示された通電部分の分断状態を示す模式的斜視図である。
【図7】上記通電部材を第1次モールド部材によって第1次インサート成形された第1次ターミナル構成部材の正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】図8の底面図である。
【図10】図8の右側面図である。
【図11】図11は図7の第1次ターミナル構成部材の模式的斜視図である。
【図12】図11の上記第1次ターミナル構成部材を第2次モールド部材によって第2次インサート成形して形成した第2次ターミナル構成部材の正面図である。
【図13】図12の第2次ターミナル構成部材の平面図である。
【図14】図12の第2次ターミナル構成部材の右側面図である。
【図15】図12の第2次ターミナル構成部材の背面図である。
【図16】図12の第2次ターミナル構成部材の底面図である。
【図17】図12の第2次ターミナル構成部材の模式的斜視図である。
【図18】上記第2次ターミナル構成部材が組付けられるエンドカバーの正面図である。
【図19】図18のエンドカバーの平面図である。
【図20】図18のエンドカバーの右側面図である。
【図21】図18のエンドカバーの底面図である。
【図22】上記第2次ターミナル構成部材と上記エンドカバーとを組付けた組付体の正面図である。
【図23】図22の組付体の平面図である。
【図24】上記実施形態における図23の矢印Z24−Z24線方向から見た一部断面拡大図である。
【図25】従来の特許文献1に記載の構成を示す一部断面拡大図である。
【図26】従来の特許文献2及び特許文献3に記載の組付体の構成を分解して示す分解図であり、(a)は正面分解図、(b)は右側面分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図24を用いて詳細に説明する。この実施形態は、第1部材と第2部財の2部材構成のまま、ブラシターミナルに発生する電食問題を解決するために、第2部材を成すエンドカバーに、カラー部材をインサート成形している。これによって、耐電食シールを、シンプルな2部材構成で達成できるようにしたものである。以下において、まず、燃料ポンプの全体構成について説明する。
【0038】
(全体構成)
図1は一実施形態の燃料ポンプの一部破砕外形図、図2は上記実施形態の燃料ポンプの一部縦断面図である。図1において、この燃料ポンプ1は、燃料タンク内に取り付けられるインタンク式ポンプである。
【0039】
底部2には吸込口3が設けられている。この吸込口3には、図示しないフィルタが取り付けられる。4は金属製のハウジングである。ハウジング4の内部には、図2のように、再生ポンプを構成する一対のポンプハウジング6、7が設けられている。
【0040】
一対のポンプハウジング6、7の間には、回転部材を成すインペラ8が回転可能に収納されている。インペラ8はモータ10の回転軸11と共に回転するように結合されている。12は、スラスト軸受、13はポンプハウジングに保持されたベアリングである。
【0041】
ポンプハウジング6、7には、インペラ8の周辺部の表裏にポンプ流路15が円周状に形成されている。ポンプ流路15の一部には図示しない仕切り部が形成され、仕切り部を挟んで上記吸込口3と図示しない吐出口が設けられ、吐出口から吐出されたポンプ流路内の加圧された燃料は。モータ10の電機子17の周辺を流れる。
【0042】
電機子17は、図示しない界磁を成す永久磁石の中を回転する。18は、電機子17に取付けられた平面状の整流子であり、この整流子18の平面は、図2では図示されない後述のブラシを摺接する。
【0043】
20は、エンドカバーで合成樹脂よりなる。エンドカバー20に保持されたベアリング21は、モータ10の回転軸11を軸支している。23は、エンドカバー20から突出したパイプ状の燃料吐出口である。エンドカバー20には、詳細は後述するが、第2次ターミナル構成部材70が圧入されている。
【0044】
この第2次ターミナル構成部材70内には、後述するように、図2では示されない外部ターミナル、チョークコイル、及び環状ターミナルから成る通電部材、第1次モールド部材、及び、第1次モールド部材を包み込む第2次モールド部材が設けられている。そして、上記第2次ターミナル構成部材70にて第1部材が形成され、上記エンドカバー20にて第2部材が構成されている。以下において、まず、第1部材について説明する。
【0045】
(第1部材の構成)
図3は上記実施形態の燃料ポンプ内の第1次ターミナル構成部材内の通電部材50を示す正面図、図4は図3の通電部材50の平面図、図5は図3の通電部材50の右側面図、図6は上記通電部材50の分断状態を示す模式的斜視図である。
【0046】
図2の燃料ポンプ1内のモータ10に通電するため、図示しない車載電源から電圧が印加される逆T字型の一対の外部ターミナル30、31が、繋がり部分32で繋がったままプレス成形されて組付けられている。この外部ターミナル30、31の夫々には、電波雑音抑止用のチョークコイル33、34の一次側が夫々接続されている。
【0047】
チョークコイル33、34は、円柱状のフェライト部材35、36の周りに巻かれている。チョークコイル33、34の二次側は、環状ターミナル40、41に夫々接続されている。この真ちゅう製の環状ターミナル40、41は、図4の左右一対の円形孔42、43が設けられたターミナルから成る。円形孔42、43の周囲にはフランジ46、47が形成されている。
【0048】
この円形孔42、43が設けられた環状ターミナル40、41も繋がり部分45で繋がっており全体として眼鏡状である。最終的には、これらの繋がり部分32、45は、次に述べる第1次インサート成形の後に、図6の斜視図のように分断され、電圧が印加されるプラス側の部材と、マイナス側の部材に分けられる。
【0049】
図7は、上記通電部材50が、第1次モールド部材55によって第1次インサート成形された第1次ターミナル構成部材60の正面図である。図8は図7の平面図、図9は図8の底面図、図10は図8の右側面図である。
【0050】
上述の図3の外部ターミナル30、31、チョークコイル33、34、及び環状ターミナル40、41を持つ通電部材50は、図7の第1次モールド部材55によって第1次インサート成形されている。
【0051】
これによって、図7ないし図10のように、外部ターミナル30、31のチョークコイル33、34側端部、チョークコイル33、34、環状ターミナル40、41のチョークコイル33、34側端部が、第1次モールド部材55を成す合成樹脂によって覆われる。この第1次モールド部材55の合成樹脂は、ポリアセタールであり、略号はPOMである。
【0052】
上述したように、この第1次モールド部材55による第1次インサート成形の後に、図6のように、繋がり部分32、45が切断される。この切断によっても、第1次モールド部材55によって、各部品がばらばらになることがない。
【0053】
図11の第1次インサート成形の後の通電部材50と第1次モールド部材55の組付体は、第1次ターミナル構成部材60と呼ばれる。図11は、この第1次ターミナル構成部材60の模式的斜視図である。なお、この模式的斜視図では、内部構成がわかり易いように、不透明の第1次モールド部材55の合成樹脂を透明であるかのように図示している。
【0054】
図12は、図11の上記第1次ターミナル構成部材を、第2次インサート成形して形成した第2次ターミナル構成部材の正面図、図13は、図12の第2次ターミナル構成部材の平面図、図14は、図12の右側面図である。
【0055】
また、図15は、第2次ターミナル構成部材の背面図、図16は第2次ターミナル構成部材の底面図である。
【0056】
次に、上記図11の第1次ターミナル構成部材60から図12の第2次ターミナル構成部材70を成形する。この成形によって、第1次モールド部材55を成す合成樹脂等が、第2次モールド部材71を成す絶縁性の合成樹脂によって覆われる。
【0057】
また、図7の第1次モールド部材55を成す合成樹脂では覆われなかった外部ターミナル30、31の先端部分が、第2次モールド部材71を成す合成樹脂によって、包み込まれ、図13の開口部分72、73が形成される。
【0058】
また、図11の環状ターミナル40、41が、第2次モールド部材71を成す合成樹脂によって図16の底面開口部分75、76を残して覆われる。これにより、図16のように底面側から覗いたときに、環状ターミナル40、41が見えるだけとなる。
【0059】
特に、図12及び図13において、外部ターミナル30、31の先端部分を覆う第2次モールド部材71は、雄側のコネクタ部79を構成している。このコネクタ部79には、車両側の図示しない雌側のコネクタ部が接続され、外部ターミナル30、31に電圧が印加される。
【0060】
図17は、上記第1次ターミナル構成部材60を第2次モールド部材71によって第2次インサート成形して形成した第2次ターミナル構成部材70の模式的斜視図である。なお、この模式的斜視図では、不透明の第2次モールド部材71の合成樹脂を透明であるかのように図示して内部構成をわかり易くしている。
【0061】
(第2部材の構成)
図2において、第2次ターミナル構成部材70にて第1部材が形成され、エンドカバー20にて第2部材が構成されていることを説明した。以下において、第2部材の主要部であるエンドカバー20について説明する。
【0062】
図18は、エンドカバーの正面図、図19は図18のエンドカバーの平面図、図20は図18のエンドカバーの右側面図、図21は図18のエンドカバーの底面図である。図19の平面図に示されるように、合成樹脂の成形品から成るエンドカバー20には、2つのブラシ挿入孔80、81が設けられている。図19の83は、エンドカバー20の平面側端部、図18及び図21の84は、エンドカバー20の底面側端部である。
【0063】
ブラシ挿入孔80、81の平面側端部83側は、図19に示すように、円形の穴形状であり、穴の奥側は台形の穴形状として形成されている。また、パイプ状の燃料吐出口23がエンドカバー20から突出している。
【0064】
また、エンドカバー20から一部が突出するように、一対のブラシ挿入孔80、81には、円筒形の金属製のカラー部材90、91が先端部を残して埋め込まれている。このカラー部材90、91は、エンドカバー20にインサート成形されている。
【0065】
図19において、エンドカバー20の平面側端部83と同じ高さの平面部95には、図13から図17に示された第2次ターミナル構成部材70が挿入される凹部96及びガイド用突起97が形成されている。
【0066】
ブラシ挿入孔80、81内には、後述するように、プラス用マイナス用の一対のブラシ、ブラシの夫々に接続されたピグテール、一対のブラシスプリング、ピグテールのブラシと反対側の端部に半田付け接続された一対のブラシターミナルが挿入される。
【0067】
ブラシターミナルは、図18のカラー部材90、91内に圧入される。なお、図18ないし図21においては、これらのブラシ、ピグテール、ブラシスプリング、及びブラシターミナルがブラシ挿入孔80、81内に挿入される前の状態を図示している。
【0068】
(第1部材と第2部材とを組付けた組付体の構成)
次に、上述のブラシ、ピグテール、ブラシスプリング、及びブラシターミナルが、図19のブラシ挿入孔80、81内に挿入された後に、第1部材となる第2次ターミナル構成部材70と第2部材となるエンドカバー20とを組付けた構成について説明する。
【0069】
図22は、第2次ターミナル構成部材70とエンドカバー20とを組付けた構成の正面図、図23は図22の平面図、図24は図23の矢印Z24−Z24線方向から見た一部断面拡大図である。
【0070】
図22及び図23において、第1部材となる第2次ターミナル構成部材70と第2部材となるエンドカバー20とが組付けられている。このとき、エンドカバーの凹部96に第2次ターミナル構成部材70が挿入されている。
【0071】
図24の拡大断面図から明らかなように、エンドカバー20の平面側端部83と同じ高さの平面から金属製のカラー部材90、91の一部が突出している。つまり、一対のブラシ挿入孔80、81の燃料吐出口23側の開口部の周囲には、円筒形で金属製のカラー部材90、91が、エンドカバー20の合成樹脂内にインサート成形されている。
【0072】
ブラシ挿入孔80、81内には、整流子18(図1)が摺接するブラシ95、96と、ブラシ95、96に接続された接続ワイヤを成すピグテール97、98と、ブラシスプリング101、102と、ピグテール97、98のブラシ95、96と反対側の端部に半田部102、103で接続されたブラシターミナル105、106が挿入されている。
【0073】
ブラシターミナル105、106は、カラー部材90、91に圧入されている。カラー部材90、91への圧入によって、ブラシターミナル105、106が固定されている。この時、ピグテール97、98は、半田部102、103から、ブラシターミナル105、106内を通り、ブラシ95、96に半田によって固定されている。
【0074】
前述のように、図22の第2次ターミナル構成部材70内には、図3の外部ターミナル30、31、チョークコイル33、34、及び環状ターミナル40、41から成る通電部材50、図7の第1次モールド部材55、及び、第1次モールド部材55を包み込む図12の第2次モールド部材71が設けられている。
【0075】
そして、固定された図24のブラシターミナル105、106の燃料吐出口23側(図24上方)から、第2次ターミナル構成部材70内の環状ターミナル40、41のフランジ46、47が被せられ、このフランジ46、47内にブラシターミナル105、106が圧入される。このように、第2次ターミナル構成部材70がエンドカバー20の凹部96(図22)内に圧入されて結合されている。
【0076】
図24の環状ターミナル40、41は、ブラシターミナル105、106に圧入されると同時に、一対の環状ターミナル40、41の周囲の第2次モールド部材71の樹脂部に、エンドカバー20にインサートされているカラー部材90、91の外周部が圧入される。このように、カラー部材90、91の外周が第2次モールド部材71に圧入されていることで、カラー部材90、91と第2次モールド部材71の樹脂との密着が確実となり、ブラシターミナル105、106、あるいは環状ターミナル40、41から成る電位差が存在する電極部分に燃料が介在することが阻止できるため、上記電極部分を電気的に完全に分離することができ、電食を防止することができる。
【0077】
このようにして、図22のエンドカバー20の凹部96内に、ガイド用突起97を案内部材として、第2次ターミナル構成部材70が挿入される。それにより、図24のように、第2次ターミナル構成部材70内の環状ターミナル40、41のフランジ46、47に、段付き形状のブラシターミナル105、106の細径部が圧入され、ブラシ95、96はピグテール97、98、半田部102、103、環状ターミナル40、41介して図6のチョークコイル33、34の二次側に接続される。
【0078】
(作用)
次に、上記一実施形態の燃料ポンプの作用について説明する。図23の外部ターミナル30、31の周囲のコネクタ部79に、自動車側の電源に接続された図示されない雌側のコネクタ部が接続されると、直流電流が、外部ターミナル30、31、図6のチョークコイル33、34、環状ターミナル40、41、図24のブラシターミナル105、106、ピグテール97、98、ブラシ95、96、図2の整流子18の順に流れて、モータ10が回転し、回転部材を成すインペラ8が回転可能となる。
【0079】
図2のインペラ8の回転によって加圧された燃料が、モータ10の周辺をとおり、燃料吐出口23から出て行く。このとき、図24のブラシ挿入孔80、81内には燃料が満たされる。
【0080】
この燃料圧によってブラシターミナル105、106が抜け出ないように、ブラシターミナル105、106の細径部内の半田102、103及びブラシターミナル105、106とカラー部材90、91との金属同士の圧接部105c、106cにて抜け止めが成されている。また、カラー部材90、91の先端部が環状ターミナル40、41周辺の第2次モールド部材71に圧入されている。よって、カラー部材90、91と第2次モールド部材71の樹脂が密接して燃料を完全にシールできる。
【0081】
よって、夫々一対のカラー部材90、91相互間あるいは環状ターミナル40、41相互間等の導電部位相互間に燃料が介在しない。従って、たとえ燃料内に高導電性成分が含まれていても、電食の原因となるリーク電流が流れない。
【0082】
つまり、プラス側とマイナス側とのシール性能を確保し、プラス側金属からマイナス側金属へのリーク電流を防止し、プラス側及びマイナス側の両極性の導電部位における電食作用の抑制を実現している。
【0083】
また、上記一実施形態では、エンドカバー20にカラー部材90、91を埋設し、ブラシ95、96にピグテール97、98を介して連結されたブラシターミナル105、106をカラー部材90、91に圧入して抜け止めする構成とし、ブラシターミナル105、106の周囲をカラー部材90、91と樹脂の密接構造で取り囲むことにより、対電食シール構造を、エンドカバー20側と第2次ターミナル構成部材70側との2部材構成で実現できている。
【0084】
(組付け方法)
次に、図2の燃料ポンプ1の組付け方法について説明する。図3の外部ターミナル30、31、チョークコイル34、35、及び環状ターミナル40、41から成る通電部材50を、図7のように、第1次モールド部材55によって第1次インサート成形し、第1次ターミナル構成部材60を構成する。
【0085】
そして、この第1次ターミナル構成部材60に、図12のように、第2次モールド部材71によって第2次インサート成形を行い、第2次ターミナル構成部材70を構成する。
【0086】
また、図19から図21のように、第2次ターミナル構成部材70が挿入できる凹部96と、ブラシ挿入孔80、81と、ブラシ挿入孔80、81の周囲にインサート成形されたカラー部材90、91を備えたエンドカバー20を構成する。
【0087】
また、図24のように、ブラシ挿入孔80、81内にブラシ95、96、ピグテール97、98、ブラシスプリング101、102、ピグテール97、98のブラシ95、96と反対側の端部に半田付け接続されたブラシターミナル105、106を挿入したエンドカバー20を用意する。このようにして、第1部材と成る第2次ターミナル構成部材70と、第2部材と成るエンドカバー20とを組付部品として用意しておく。
【0088】
組付けにおいては、まず円筒の金属からなる図2のハウジング4の中に、ポンプハウジング6、7、インペラ8、モータ10を挿入する。次に、ハウジング4の中に、図2のように、エンドカバー20の一部を挿入し、エンドカバー20に保持されたベアリング21とポンプハウジング6に保持されたベアリング13とでモータ10の回転軸11を電機子17の両側で軸支する。
【0089】
エンドカバー20内にインサート成形されている図24のカラー部材90、91に圧入されて固定されているブラシターミナル105、106に、環状ターミナル40、41のフランジ46、47が覆いかぶさって、このフランジ46、47内にブラシターミナル105、106が圧入されるように、第2次ターミナル構成部材70をエンドカバー20に圧入する。また、カラー部材90、91の先端部を第2次モールド部材71の樹脂に圧入し、エンドカバー20から突出したカラー部材90、91の外周を介して、エンドカバー20と第2次ターミナル構成部材70の樹脂同士を結合させる。そして、図2のハウジング4の両端部は、エンドカバー20とポンプハウジング7に締められる。
【0090】
(一実施形態の主要構成)
なお、一部重複するが、上記一実施形態の主要構成とその作用を述べれば、以下のとおりである。エンドカバー20のブラシ挿入孔80、81のブラシ95、96と反対側の端部において、エンドカバー20内にインサート成形されたカラー部材90、91を有し、カラー部材90、91の内部に圧入され、ブラシに接続されたブラシターミナル105、106を有する。
【0091】
カラー部材90、91とブラシターミナル105、106との圧入部105c、106cによって、燃料漏れがシールされる。環状ターミナル40、41のフランジ46、47に、カラー部材90、91の先端部よりさらに外部に突出したブラシターミナル105、106が圧入されているから、環状ターミナル40、41とブラシターミナル105、106との電気的かつ機械的な結合を強固に行うことができる。
【0092】
カラー部材90、91は、エンドカバー20から先端部が突出するようにエンドカバー20内にインサート成形されており、環状ターミナル40、41は、第2次ターミナル構成部材70の第2次モールド部材71内に一部がモールドされている。
【0093】
カラー部材90、91の先端部の外周を介して、エンドカバー20の合成樹脂と環状ターミナル40、41周辺の第2次モールド部材71とが結合している。これによれば、カラー部材90、91の先端部の外周を介して、エンドカバー20と第2次ターミナル構成部材70の樹脂同士が結合しているから、樹脂同士を強固に結合することができ、かつ、電流が流れる経路に確実に樹脂を介在させて、リーク電流を防止して電食の発生を阻止している。
【0094】
エンドカバー20の凹部96に第2次ターミナル構成部材70が挿入されて、エンドカバー20に第2次ターミナル構成部材70が圧入されているから、エンドカバー20と第2次ターミナル構成部材70が組付け易く、かつ結合力を強めることができる。
【0095】
図22のように、凹部96内の一方の壁面に相対向して、凹部96内の他方の壁面を成すガイド用突起97の壁面が設けられており、ガイド用突起97の壁面の高さは、一方の壁面の高さより低くされている。
【0096】
これによれば、凹部96内の他方の壁面の高さは、一方の壁面の高さより低くされているから、高さの高い一方の壁面に、第2次ターミナル構成部材70を当接させて位置決めできるから、第2次ターミナル構成部材70を凹部96内に挿入し易い。
【0097】
ブラシ95、96を収納するブラシ挿入孔80、81を有し、第1部材を成すエンドカバー20のブラシ挿入孔80、81にカラー部材90、91を挿入し、カラー部材90、91に、ブラシ95、96に接続されたブラシターミナル105、106を圧入している。
【0098】
また、外部ターミナル30、31と環状ターミナル40、41の一部をモールド成形して外部ターミナル30、31の一部と環状ターミナル40、41の一部とが露出した第1次ターミナル構成部材60を成形している。
【0099】
そして第1次ターミナル構成部材60の周囲を第2次モールド部材によってモールド成形して第2部材を成す第2次ターミナル構成部材70を成形し、第1部材となるエンドカバー20に、第2部材を成す第2次ターミナル構成部材70を組付けて、エンドカバー20のブラシターミナル105、106が、環状ターミナル40、41に圧入されるようにしている。これにより、第1部材と第2部材との2つの部材を組付けるだけで組付体が製造できる。
【0100】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の一実施形態では、インタンク式の燃料ポンプに採用したが、タンク外部の配管上に取付けられる燃料ポンプであっても良い。
【0101】
上述の一実施形態では、再生ポンプを採用したが、これはその他の非容積型ポンプあるいは容積型ポンプを採用しても良い。
【0102】
また、燃料ポンプ内のモータに通電するため、車載電源から電圧を印加される逆T字型の一対の外部ターミナルが繋がったままプレス成形されており、環状ターミナルも、左右一対が繋がった状態で第1次インサート成形し、その後に、繋がった部分を切断した。
【0103】
しかし、はじめから分断されている一対の外部ターミナル、及びはじめから分断されている一対の環状ターミナルを用意して、治具を用いて固定するようにし、分断された状態で第1次インサート成形を行っても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 燃料ポンプ
2 底部
3 吸込口
4 ハウジング
6、7 ポンプハウジング
18 整流子
20 エンドカバー
23 燃料吐出口
70 第2次ターミナル構成部材
30、31 外部ターミナル
40、41 環状ターミナル
46、47 フランジ
32、45 繋がり部分
50 通電部材
55 第1次モールド部材
60 第1次ターミナル構成部材
70 第2次ターミナル構成部材
71 第2次モールド部材
79 コネクタ部
80、81 ブラシ挿入孔
90、91 カラー部材
96 凹部
97 ガイド用突起
102、103 半田部
105、106 ブラシターミナル
105c、106c 圧入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジング(6、7)内の回転部材(8)をモータ(10)で駆動することにより燃料を昇圧する燃料ポンプ(1)であって、
前記燃料中の前記モータの整流子(18)が摺接するブラシ(95、96)と、
前記ブラシ(95、96)を収納するブラシ挿入孔(80、81)を有し、前記ハウジング(4)に結合されたエンドカバー(20)と、
前記エンドカバー(20)の前記ブラシ挿入孔(80、81)の前記ブラシ(95、96)とは反対側の端部において、前記エンドカバー(20)内にインサート成形されたカラー部材(90、91)と、
前記カラー部材(90、91)の内部に挿入され、前記ブラシ(95、96)に接続されたブラシターミナル(105、106)とから第1部材を形成し、かつ
前記ブラシターミナル(105、106)が圧入される環状ターミナル(40、41)と、
前記環状ターミナル(40、41)に接続され、外部から電源が供給される外部ターミナル(30、31)と、
外部ターミナル(30、31)と前記環状ターミナル(40、41)とをモールドする第1次モールド部材(55)と、
前記第1次モールド部材(55)を更にモールドし、前記外部ターミナル(30、31)を囲むコネクタ部(79)が形成された第2次モールド部材(71)とから第2部材を形成し、
前記第1部材を成すエンドカバー(20)に、前記第2部材を成す第2次モールド部材(71)を結合することにより、前記第1部材を成す前記ブラシターミナル(105、106)に第2部材を成す前記環状ターミナル(40、41)を接続し、
前記カラー部材(90、91)は、前記エンドカバー(20)から先端部が突出するように前記エンドカバー(20)内にインサート成形されており、
前記環状ターミナル(40、41)は、前記第2次モールド部材(71)内に一部がモールドされ、
前記カラー部材(90、91)の前記先端部が、前記環状ターミナル(40、41)周辺の前記第2次モールド部材(71)に圧入されていることを特徴とする燃料ポンプ。
【請求項2】
前記ブラシターミナル(105、106)は、前記カラー部材(90、91)の内部に抜けないように圧入され、かつ該圧入により前記昇圧された燃料をシールしていることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。
【請求項3】
前記環状ターミナル(40、41)は、フランジ(46、47)を有し、前記フランジ(46、47)に、前記カラー部材(90、91)の先端部よりさらに外部に突出した前記ブラシターミナル(105、106)が圧入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料ポンプ。
【請求項4】
前記エンドカバー(20)の平面部には、前記モータ周辺の燃料通路からの燃料を吐出する燃料吐出口(23)が一体に形成され、かつ該燃料吐出口(23)に隣接する前記平面部から前記モータの軸方向に窪んだ凹部(96)を有し、
前記凹部(96)に前記第2次モールド部材(71)が挿入されて、前記エンドカバー(20)と前記第2次モールド部材(71)とが結合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
【請求項5】
前記凹部(96)内の一方の壁面に相対向して、前記凹部(96)内の他方の壁面を成すガイド用突起(97)の壁面が設けられており、
前記他方の壁面の高さは、前記一方の壁面の高さより低くされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
【請求項6】
ポンプハウジング(6、7)内の回転部材(8)を駆動するモータ(10)がハウジング(4)内に収納された燃料ポンプ(1)の製造方法であって、
前記モータの整流子(18)上を摺接するブラシ(95、96)を収納するブラシ挿入孔(80、81)を有し、前記ブラシ挿入孔(80、81)内にカラー部材(90、91)が先端部を残して挿入されてインサート成形されているエンドカバー(20)を成形し、
成形された前記エンドカバー(20)のブラシ挿入孔(80、81)内の前記カラー部材(90、91)内に、前記ブラシ(95、96)に接続されたブラシターミナル(105、106)を圧入し、
前記モータ(10)に外部からの電源が導入される一対の外部ターミナル(30、31)の一部と該外部ターミナル(30、31)に接続された一対の環状ターミナル(40、41)の一部とを、第1次モールド部材(55)にてモールド成形して、前記外部ターミナル(30、31)の他部と前記環状ターミナル(40、41)の他部とを前記第1次モールド部材(55)から露出させ、
前記第1次モールド部材(55)の周囲を第2次モールド部材(71)によってモールド成形して、前記第2次モールド部材(71)によって前記外部ターミナル(30、31)を囲むコネクタ部(79)を形成し、
前記エンドカバー(20)に、前記第2次モールド部材(71)を組付けて、前記カラー部材(90、91)の前記先端部を、前記環状ターミナル(40、41)周辺の前記第2次モールド部材(71)に圧入させ、かつ前記エンドカバー(20)の前記ブラシターミナル(105、106)を、前記環状ターミナル(40、41)に圧入させることを特徴とする燃料ポンプ(1)の製造方法。
【請求項7】
前記一対の外部ターミナル(30、31)と前記一対の環状ターミナル(40、41)とは、繋がり部分(32、45)にて結合された状態で、前記第1次モールド部材(55)にてモールド成形され、このモールド成形後に、前記繋がり部分(32、45)が切断されから、前記第1次モールド部材(55)の周囲を第2次モールド部材によってモールド成形することを特徴とする請求項6に記載の燃料ポンプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−200005(P2011−200005A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63086(P2010−63086)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】