物品検査装置及び物品検査方法
【課題】従来の検査装置の設備をできるだけ利用しつつ、従来に比べて、撮像手段の配置の制約を緩和させ、より自由度の高い設定を可能とし、より汎用性が高く、取り扱いが容易な物品検査装置を低コストで提供する。
【解決手段】物品11を搬送する搬送手段2と、物品11を上方側から撮像する第1撮像手段3dと、側方側から撮像する第2撮像手段3a、3bと、制御手段6と、を備え、上面画像12及び側面画像13、14を取得し、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さL1として上面画像における基準部位の長さを測定し、第2の長さL2として側面画像における基準部位の長さを測定し、第3の長さL3として側面画像における測定部位の長さを測定し、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係に基づいて、第3の長さL3を補正して測定部位の長さXを算出する。
【解決手段】物品11を搬送する搬送手段2と、物品11を上方側から撮像する第1撮像手段3dと、側方側から撮像する第2撮像手段3a、3bと、制御手段6と、を備え、上面画像12及び側面画像13、14を取得し、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さL1として上面画像における基準部位の長さを測定し、第2の長さL2として側面画像における基準部位の長さを測定し、第3の長さL3として側面画像における測定部位の長さを測定し、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係に基づいて、第3の長さL3を補正して測定部位の長さXを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の外観を検査する技術に関し、特に物品を搬送手段によって搬送させつつ、少なくとも搬送方向の上流側方、下流側方及び上方のそれぞれに配置された撮像手段によって、物品の外観を撮像して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農作物の色相、損傷、大きさ、形状、腐り具合等を検査するために、撮像手段によって農作物の外観を撮像し、基準となる画像と比較することで、色相、損傷、大きさ、形状、腐り具合等の農作物の情報を収集して検査する検査装置が知られている。かかる検査装置は、農作物を等級毎に仕分けする分別装置における外観検査手段として利用されている。
【0003】
特許文献1には、検査装置として、農作物を搬送させる搬送路の両側に斜め前後から、さらに搬送路の上下から農作物を撮像できるように、複数の撮像カメラを設け、農作物の側部周面および上下周面を撮像することが開示されている。一般的に、各撮像カメラは、画像処理による検査の精度を高めるため、農作物が画面の中心において鮮明にかつ適当な大きさの画像となるように配置される。つまり、標準的な農作物を基準として、画面中央に農作物の中心が位置するように撮像位置を設定し、農作物の表面が被写界深度内に含まれるように各撮像カメラを撮像位置に向けて配置する。特許文献1の図3における撮像カメラの配置から明らかであるが、複数の撮像カメラは、ある撮像位置における農作物に向けて配置されており、農作物が所定の撮像位置に到達したときにすべての撮像カメラを同時に撮像するものである。
【0004】
また、特許文献2には、移動物品の撮像装置において、移動物品検出器と移動物品の移動距離を測定するエンコーダを設け、ベルトコンベアによって搬送されている移動物品を移動物品検出器によって検出し、その後、エンコーダを用いて移動物品の移動距離を計測して、検出位置からの移動距離が所定の距離となったタイミングで撮像素子を動作させて移動物品を撮像させることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、板状体を撮像した画像における測定部位の画素数を測定し、この測定部位の画素数に、予め定めてある1画素あたりの寸法(係数)をかけることによって、板状体の寸法を撮像した画像から画像処理によって算出する方法が開示されている。特許文献3においては、板状体の寸法を算出しているが、特許文献1及び2の農作物の外観検査装置においても同様の方法によって傷や高さの寸法を算出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−249249号公報
【特許文献2】特開平7−333174号公報
【特許文献3】特許第2640400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、撮像カメラの配置は、検査する農作物に対応させて、その向きや位置が決定される。農作物の分別装置は、一日に何品種もの仕分けを行うことがあり、品種によっては、その大きさや形状が大きく異なることもあるため、撮像カメラの配置を変更したり、品種に応じて撮像カメラを複数設けたりする必要があった。さらに、季節や時期に応じて、異なる種類の農作物を仕分けすることもあり、この場合にも、農作物の種類に応じて配置を変更したり、複数設けたりする必要があった。
【0008】
撮像カメラの配置を変えずに、大きさや形状が異なる農作物を同じ配置で撮像した場合、農作物の中心が画面の中心からずれてしまい農作物の画像が小さくなったり、画面から画像がはみ出したりすることがある。画像が小さくなると、解像度不足によって十分な検査を行うことができない場合がある。また、画面から画像がはみ出してしまうと、はみ出した部分の検査ができず、検査装置として不完全なものとなってしまう。さらに、農作物の大きさや形状の違いによって、撮像カメラから農作物の表面までの距離が変わることによって、農作物の表面の一部又は全部が被写界深度の範囲外となり、画像がぼけて不十分な検査となる可能性もある。
【0009】
加えて、撮像カメラで物品を撮像する際に、照明によって物品を照らしながら撮像する場合は、通常、撮像カメラと照明が一体化されているため、撮像カメラから農作物の表面までの距離が遠くなると照明からも遠くなり、その結果、画像が暗くなってしまうので、色相判定等において均一な判定を行うことが困難であった。さらに、物品の上方を撮像するための撮像カメラを設けた場合には、上流側に設けられた撮像カメラからの照明と、下流側の撮像カメラからの照明が均等に照射される位置、すなわち、上流側の撮像カメラと下流側の撮像カメラの中間地点において、上方の撮像カメラの光軸が物品の中心に対し垂直となるように上方の撮像カメラを配置しなければならなかった。上方の撮像カメラを上記配置としないと、その画像に上流側と下流側の照明による明暗のムラが生じてしまうので、色相判定等において均一な判定を行うことができなかったのである。
【0010】
図15は、上記問題点を説明するための図であり、従来の検査装置21の撮像時における撮像カメラ23a〜23dの配置と大きさが異なる農作物31a、31bとの配置状態を示す概略平面図である。また、図16(A)〜(D)は、それぞれ撮像された大きさが異なる農作物31a〜31bの画像を示すものである。図15において、農作物31a〜31bとして、大きい農作物31a及び小さい農作物31bの2つの種類の異なる農作物を例示している(図15においては、撮像位置及び検知位置D以外の農作物は省略している)。農作物31a〜31bは、ベルトコンベアなどの搬送手段22によって、順次、一列に整列された状態で矢印の方向に搬送される。特許文献2に記載されている撮像方法によれば、検査装置21は、移動物品検出器24によって移動する農作物31a〜31bを検出し、エンコーダ(図示せず)を用いて農作物31a〜31bの移動距離を計測して、検出位置Dから所定の距離だけ移動した撮像位置において複数の撮像カメラ23a〜23dを同時に動作させて、一度に農作物31a〜31bの全側面を撮像している。なお、図15の移動物品検出器24は、農作物によって遮断された光線が再び通過するようになった時点、すなわち、農作物の最後部を検出位置Dとして検知する手段である。
【0011】
図15においては、搬送される農作物のうち最も大きい農作物を基準として、撮像カメラ23a〜23dが配置されている。撮像カメラ23a〜23dは、最も大きい農作物が画面内に納まり、且つ農作物の表面が被写界深度の範囲内となるように、撮像位置からある程度の距離を持たせて配置されている。また、農作物の全側面を撮像できるように、4つの撮像カメラ23a〜23dは、農作物を中心として四方に搬送方向に対して斜め45°となるように配置されている。さらに、撮像カメラ23a〜23dで撮像する際に、物品表面を明るく照らすため、各撮像カメラ23a〜23dの上方には、それぞれ照明25a〜25dが設けられている。
【0012】
図16(A)は、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aによる大きい農作物31aの画像であり、図16(B)は、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cによる大きい農作物31aの画像である。図16(A)及び(B)に示すとおり、撮像カメラは大きい農作物31aを基準としているため、画面の中央に、適度な大きさで大きい農作物31aが撮像されている。
【0013】
図16(C)は、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aによる小さい農作物31bの画像であり、図16(D)は、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cによる小さい農作物31bの画像である。前述したとおり、図15の装置は、検出位置Dからの移動距離が所定の距離(撮像位置)となったタイミングで撮像するものであり、農作物の最後端部を検知している。このため、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aでは、撮像位置における大きい農作物31aの表面も小さい農作物31bの表面も、撮像カメラのレンズからほぼ同じ距離である。よって、図16(C)では、中心位置からずれてはいるものの、小さい農作物31bの画像は、大きい農作物31aに比べて、実際の比率と同程度の割合であり、また鮮明なものであった。これに対し、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cでは、撮像位置における大きい農作物31aの表面に比べて、小さい農作物31bの表面は遠くなってしまう。この結果、図16(D)の小さい農作物31bの画像は、中心位置からずれており、大きい農作物31aに対し実物の比率に比べてさらに小さく撮像されてしまう。さらに、撮像カメラ23d及び23cの照明25d及び25cからも遠くなるので、画像が暗くなってしまう。このため、小さい農作物31bの正確な大きさや色相を検査することができず、また場合によっては画像が小さすぎたり、暗すぎて表面の傷などを十分に検査できない場合もあり得る。
【0014】
従来、このような問題が生じていたため、実際の運用においては、撮像対象である農作物の大きさが変わると、その都度、オペレーターが手作業によって撮像カメラの配置やピントを変更していたが、かかる変更作業は、オペレーターにとって負担であったし、変更作業を怠ると正常な検査ができなかった。さらに、従来の手作業による変更では、大きさの異なる農作物が混在していた場合には対応することはできなかった。
【0015】
そこで、大きさの異なる農作物が混在していた場合であっても、オペレーターの手作業を介在することなく正確な検査をするために、本出願人は、検査の対象となる農作物の大きさ及び種類に応じて、上流及び下流の側方に配置された撮像カメラの撮像のタイミングを独立して設定することを提案した(特願2009−265151号)。
【0016】
しかしながら、複数の撮像タイミングを独立して設定した場合、撮像のタイミングによって、側方に配置された各撮像カメラと対象となる農作物の表面との間の距離(WD:Work Distance)が上流と下流とで変わることがあり、各撮像カメラによって撮像された農作物の側面画像毎に、側面画像の見かけの大きさ(画素数)が変わる。すなわち、撮像された側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係が変動するため、一つの係数に基づいて画像の大きさから実際の寸法を算出することができなかった。
【0017】
したがって、例えば、撮像された画像から傷等が発見されたとしても、その傷の見かけの長さ(画素数)を実際の長さに補正し、農作物の良否を判定することが難しかった。
【0018】
本発明は、上記の従来技術を踏まえて、従来の検査装置の設備をできるだけ利用しつつ、従来に比べて、撮像手段の配置の制約を緩和させ、より自由度の高い設定を可能とし、その結果として、より汎用性が高く、取り扱いが容易な物品検査装置及び方法を低コストで提供することを主たる目的とする。また、本発明の副次的な目的としては、大きさや形の異なる物品を複数の撮像手段で撮像する場合において、適切な画像を撮像できるような物品検査装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、本発明の物品検査装置は、前述した課題を解決するため、物品の外観を検査する物品検査装置であって、前記物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を上方側から撮像する第1撮像手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を側方側から撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1撮像手段によって撮像された前記物品の上面画像及び前記第2撮像手段によって撮像された前記物品の側面画像を取得し、前記取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする。
【0020】
また、前記物品検査装置において、前記制御手段は、前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することが好ましい。
【0021】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、前記第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、前記第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることが好ましい。
【0022】
また、前記物品検査装置において、前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、前記搬送手段は、大きさ及び形状の異なる複数種類の物品を搬送するとともに、前記制御手段は、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定することができ、搬送される物品の大きさ、形状又は種類に応じて、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定でき、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを同時に撮像する第1の設定と、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像する第2の設定を有することが好ましい。
【0023】
また、前記第2の設定は、前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が小さい場合に、前記上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記下流の第2撮像手段を撮像し、前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が大きい場合に、前記下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記上流の第2撮像手段を撮像することが好ましい。
【0024】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が長軸及び短軸を有する形状であって、前記搬送手段は、前記物品の長軸又は短軸が前記第2撮像手段の撮像方向に対して略直角となるように前記物品の向きを規制し、前記基準部位は、前記物品の長軸又は短軸であることが好ましい。
【0025】
また、搬送手段によって前記物品を搬送し、第1撮像手段によって前記物品を上方側から撮像し、第2撮像手段によって前記物品を側方側から撮像し、前記物品の上面画像及び側面画像を取得し、該取得した上面画像及び側面画像に基づき物品の外観を検査する物品検査方法であって、該取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする。
【0026】
また、前記物品検査方法において、前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することが好ましい。
【0027】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることが好ましい。
【0028】
また、前記物品検査方法において、前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定して、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像し、前記物品の複数の側面画像を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、検査の対象となる物品の基準部位(第1撮像手段によって撮像された上面画像と第2撮像手段によって撮像された側面画像とにおいて、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位)が、上方から観ても、何れの側方から観ても、略同一の長さとなることを利用して、すなわち、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の長さと側方画面における基準部位の長さとの対応関係を利用して、側面画像における傷等の部位の長さを補正することによって、正確な検査をすることができる。しかも、本発明は、最低限、第2撮像手段の画像を補正する制御手段を付加すれば実現可能であるため、従来の検査装置の設備の大半をそのまま利用することが可能であり、より汎用性が高く、取り扱いが容易な物品検査装置を低コストで提供することができる。
【0030】
また、搬送手段の上流側及び下流側にそれぞれ配置された上流の第2撮像手段及び下流の第2撮像手段に対し、それらの撮像タイミングを独立して制御できる制御手段を設け、搬送手段によって搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、物品と第2撮像手段との距離が所定の関係となるように制御手段によって第2撮像手段の撮像タイミングを制御して、大きさ又は位置が適切な画像を得るようにすれば、大きさの異なる物品に対し、それぞれ適切な画像を得ることができ、従来に比べて、第2撮像手段の配置の制約を緩和させ、より自由度の高い設定が可能である。
【0031】
特に、上流の第2撮像手段と下流の第2撮像手段を同時に撮像する第1の設定と、上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから下流の第2撮像手段を撮像する第2の設定とを有する場合、第1の設定によって、数量の多い標準品等を高速で処理することができ、また、第2の設定によって、上流の第2撮像手段に近い位置で物品の後方部分を撮像した後、物品が搬送され、下流の第2撮像手段に近付いた位置で物品の前方部分を撮像するため、各第2撮像手段から物品の表面までの距離が近くなり、大きさが小さい物品であっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。
【0032】
さらに、下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから上流の第2撮像手段を撮像する第3の設定を有する場合、第3の設定によって、下流の第2撮像手段から離れた位置で物品の前方部分を撮像した後、物品が搬送され、上流の第2撮像手段から離れた位置で物品の後方部分を撮像するため、各第2撮像手段から物品の表面までの距離が遠くなり、外形が大きいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。
【0033】
さらに、物品の大きさを測定する計測手段を備え、制御手段が、計測手段によって測定された物品の大きさに応じて、撮像タイミングの設定を変更すれば、オペレーターによる設定の切り替えが不要であり、何品種もの物品を混在している場合や、同一品種内でサイズのばらつきが大きい物品(主に農産物)であっても、適切なサイズの画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる物品検査装置全体の概略構成図
【図2】(A)及び(B)は、それぞれ複数の撮像手段の配置の他の実施形態を示す概略構成図
【図3】(A)〜(C)は、それぞれ各位置の撮像時における物品の配置と撮像手段との関係を示す図
【図4】(A)〜(C)は、第1撮像手段によって撮像された物品(大)(中)(小)の上面画像を示す説明図
【図5】(A)〜(C)は、第2撮像手段によって上流から撮像された物品(大)(中)(小)の側面画像を示す説明図
【図6】(A)〜(C)は、第2撮像手段によって下流から撮像された物品(大)(中)(小)の側面画像を示す説明図
【図7】補正処理の第1の例を示すフローチャート
【図8】物品の基準部位の実際の長さと、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の第1の長さとの関係を示す説明図
【図9】補正処理の第2の例を示すフローチャート
【図10】紡錘体である物品の配置と撮像手段との関係を示す図
【図11】(A)は第1撮像手段によって撮像された物品の上面画像を示す説明図、(B)は長軸に直角な光軸の第2撮像手段によって撮像された物品の長軸方向の側面画像を示す説明図、(C)は短軸に直角な光軸の第2撮像手段によって撮像された物品の短軸方向の側面画像を示す説明図
【図12】紡錘体である物品の他の配置と撮像手段との関係を示す説明図
【図13】(A)は第1撮像手段によって撮像された物品の上面画像を示す説明図、(B)は図12に示した配置において下流側の第2撮像手段によって撮像された物品の側面画像を示す説明図
【図14】本発明にかかる他の物品検査装置の概略構成図
【図15】従来の検査装置の概略構成図
【図16】(A)〜(D)は従来の検査装置によって撮像された農作物の画像の例
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明にかかる物品検査装置1全体の概略構成図である。図1において、物品検査装置1は、搬送手段2と、複数の撮像手段3(図面の3a、3b等をまとめて「3」とする。以下他の枝番が付加されているもの、例えば物品11a、11b等についても同じ)と、物品検出手段4と、搬送距離測定手段5と、制御手段6とを備えている。
【0037】
搬送手段2は、図示しない駆動源からの駆動力によって、所要の搬送速度で物品11を矢印方向(以下「搬送方向」といい、物品の供給元側を「上流側」と呼び、搬送先側を「下流側」と呼ぶ。以下同じ)に上流側から下流側に搬送するものであり、例えば、ベルトコンベヤ、ローラーコンベヤ、オーバーヘッドコンベヤ、パケットコンベヤ等を使用することができる。搬送手段2は、搬送速度を変化させることができてもよいし、搬送経路が直線であっても、曲線であってもよい。さらに、物品を一列に整列させるための整列手段を備えていることが好ましい。整列手段としては、例えば、物品を所定の位置にガイドするためのガイド板を設けたり、搬送方向と直交する搬送経路の断面形状をV字状にして、傾斜によって物品を所定の位置に整列させてもよい。また、搬送手段2は、ベルト上やローラー上に直接物品11を載せて搬送してもよいし、容器、皿等の上に物品11を載せた状態で搬送してもよい。ただし、物品の下面も検査する場合には、容器、皿等として、透明なものを使用する。
【0038】
搬送され検査される物品としては、少なくとも複数の角度からの側面の画像が必要とされる物品であり、搬送しながら画像が撮像される検査が行われる物品に適用することができる。各物品は、上方から撮像した上面画像と側面から撮像した側面画像とにおいて、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位(領域を含む)を有している。この部位を以下「基準部位」と呼ぶ。
【0039】
第1の実施形態において、検査の対象とする物品は、上方から観た水平断面が略円形となる形状であり、上方から観た水平断面の直径と側方から観た胴部の幅とが略同一となる対応関係を持つため、略円形の断面が基準部位となる。このような形状としては、例えば、球体、円柱、横長の楕円体(短軸を回転軸とする扁楕円体)、円錐、円錐台、円環体、その他の回転体等が当てはまる。なお、後述するように断面が略円形ではない物品であっても、物品の向きと側面からの撮像方向が特定の関係を満たせば、基準部位を有することがある。
【0040】
物品11として、具体的には、例えば、みかん、柿、梨、洋梨、桃、りんご、メロン、スイカ、トマト、いちご、アボカドなどの農産物、競技用のボール、カップ・瓶入りの各種食品等が挙げられる。なお、容器等を用いて縦置きの状態で安定して搬送することができる場合、物品11は、縦長の楕円体(長軸を回転軸とする長楕円体)であってもよい。長楕円体の物体11として、具体的には、例えば、キウイフルーツ、芋、卵等が挙げられる。特に、本発明の検査装置においては、異なる種類(大きさ又は形状)の物品11も搬送、検査することができる。なお、物品11は、搬送手段2によって等間隔に搬送される必要はなく(当然、等間隔であってもよい)、撮像する際に重ならない程度の距離を離間して一列になって搬送されていればよい。図1においては、大中小の3種類の大きさの異なる物品(大)11a、(中)11b、(小)11cを搬送する。
【0041】
複数の撮像手段3は、物品11の外観を撮像するものであり、物品11の検査される角度に合わせて複数設けられ、制御手段6によって撮像タイミングが制御される。本発明の検査装置1においては、物品11の上面を撮像する第1撮像手段3dと、物品11の側面を撮像する第2撮像手段とを有している。第2撮像手段は、搬送方向について異なる位置に配置され、物品11を搬送方向の上流側から撮像する上流の第2撮像手段3aと、物品11を搬送方向の下流側から撮像する下流の第2撮像手段3bとを有していることが好ましい。上流の第2撮像手段3aと下流の第2撮像手段3bは、標準品に対しては、所定の撮像位置において、同時に撮像して画像を取得できるように配置されている。なお、各撮像手段に照明を設けた場合、完全に同時に撮像すると、対向する撮像手段の照明が逆光として入射してしまい正常な画像を取得できないため、従来から、ある撮像手段が撮像している間は他の撮像手段の照明を消灯して撮像していた。このため、検査装置の分野において、同時に撮像するとは、撮像手段のシャッタースピード程度の時間差で順次撮像することも含まれる。例えば、撮像手段のシャッタースピードが1/2000秒(=0.5ms)だとすれば、4つの撮像手段によって四方向から物品を撮像する場合、1/2000秒×4=2ms程度の時間で撮像していた。これは、搬送速度が1000mm/sだった場合は、物品が2mm移動する間に撮像を終了することになる。つまり、所定の撮像位置も、同時と同様に、厳密な一点のみを指すものではなく、数mm程度の領域を含むのである。シャッタースピードは、搬送速度と関連しており、搬送速度が速い場合には、画像がぶれないように、シャッタースピードを短くする必要があり、反対にシャッタースピードを長くするためには搬送速度を遅くする必要がある。このことから、同時に含まれる期間は、数mm程度の所定の撮像位置において撮像できる期間であればよい。
【0042】
さらに、物品11の下面を撮像する撮像手段(図示省略)または物品11を真横から撮像する第2撮像手段3c(図2(B)参照)を設けてもよい。複数の撮像手段3によって撮像された画像は、制御手段6において、外観が検査される。撮像手段としては、通常、撮像カメラ(デジタルカメラ)が使用されるが、かかる構成に限定されるものではなく、二次元画像が得られればよい。また、可視光だけに限定されず、その他の赤外線や紫外線等を検出する撮像手段でもよい。さらに、撮像手段には、物品を照らすための照明(図示せず)を設けることが好ましい。照明としては、LEDランプ又はハロゲンランプを使用することができる。
【0043】
上流の第2撮像手段3aは、物品11を搬送方向の上流側から撮像して、物品11の搬送方向の後方の少なくとも一部を含むような画像を得るためのものである。このため、上流の第2撮像手段3aの光軸は、搬送方向の下流側を0°とした場合(以下、特に断らない限り光軸の角度はかかる基準を適用し、時計回りの角度を正とする)、±90°未満の角度である。また、上流の第2撮像手段3aは、搬送手段上の物品11よりも上方に配置して、物品11の搬送方向の後方上部を中心に撮像してもよいし、物品11よりも下方に配置して、物品11の搬送方向の後方下部を中心に撮像してもよい。上流の第2撮像手段3a自体は、1つ若しくは複数設けることができ、上流の第2撮像手段3aが2つの場合は、通常、搬送手段について対称に配置され、搬送方向の後方の左右両側を同時に観察できるようにされている。従来は、2つの上流の第2撮像手段3aの各光軸が±45°となるように配置されていた。しかし、本発明においては、撮像タイミングを独立して制御可能であるため、かかる配置に限定されない。例えば、複数の上流の第2撮像手段3aを搬送方向において異なる位置に配置してもよいし、複数の上流の第2撮像手段3aを異なる高さに複数設ける構成であってもよい。また、上流の第2撮像手段3aが1つの場合は、上流の第2撮像手段3aは、他の撮像手段の死角を補う位置に配置される。この場合の上流の第2撮像手段3aの光軸の向きは、±30°未満の範囲となることが好ましい。
【0044】
下流の第2撮像手段3bは、物品11を搬送方向の下流側から撮像して、物品11の搬送方向の前方の少なくとも一部を含むような画像を得るためのものである。このため、下流の第2撮像手段3bの光軸の角度は、90°〜180°又は−90°〜−180°の範囲である。また、下流の第2撮像手段3bは、水平面において、物品11よりも上方に配置して、物品11の搬送方向の前方上部を中心に撮像してもよいし、物品11よりも下方に配置して、物品11の搬送方向の前方下部を中心に撮像してもよい。下流の第2撮像手段3b自体は、1つ若しくは複数設けることができ、下流の第2撮像手段3bが2つの場合は、通常、搬送手段について対称に配置され、搬送方向の前方の左右両側を同時に観察できるように配置される。従来は、下流の第2撮像手段3bの各光軸が±135°となるように配置されていた。しかし、本発明においては、撮像タイミングを独立して制御可能であるため、かかる対称な配置に限定されず、複数の下流の第2撮像手段3bを搬送方向において異なる位置に配置してもよいし、複数の下流の第2撮像手段3bを異なる高さに複数設ける構成であってもよい。また、下流の第2撮像手段3bが1つの場合は、下流の第2撮像手段3bは、他の撮像手段の死角を補う位置に配置される。この場合の下流の第2撮像手段3bの光軸の角度は150°〜180°又は−150°〜−180°の範囲となることが好ましい。
【0045】
図1においては、複数の撮像手段として、上面を観察するための第1撮像手段3dと2つの上流の第2撮像手段3aと2つの下流の第2撮像手段3bを有し、さらに、下面を観察するための図示しない撮像手段とを有している。2つの上流の第2撮像手段3aは、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ45°及び−45°となるように配置され、2つの下流の第2撮像手段3bも、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ135°及び−135°となるように配置されている。2つの上流の第2撮像手段3aの光軸及び2つの下流の第2撮像手段3bの光軸が、一点で交差するように配置されることが好ましい。さらに、物品11の中心の上方に上面を観察するための第1撮像手段3dが配置され、物品11の中心の下方に下面を観察するための撮像手段(図示省略)が配置される。典型的には、撮像タイミングを合わせるために、上流の第2撮像手段3a及び下流の第2撮像手段3bの光軸の交点の上方及び下方に第1撮像手段3d及び下面を観察するための撮像手段(図示省略)が配置される。
【0046】
図2(A)及び(B)は、それぞれ複数の撮像手段の配置の他の実施形態を示すものであり、(A)は、2つの上流の第2撮像手段3aと1つの下流の第2撮像手段3bとを備えた実施形態の一例であり、(B)は、1つの上流の第2撮像手段3aと1つの下流の第2撮像手段3bと、さらに搬送方向に対して垂直な光軸を持つ1つの側面の第2撮像手段3cとを備えた実施形態の一例である。図2(A)では、光軸の方向が60°及び−60°の2つの上流の第2撮像手段3aが、搬送方向に対して対称に配置され、下流側には、光軸の方向が180°の1つの下流の第2撮像手段3bが搬送経路上に配置されている。各撮像手段の光軸の交点は上記搬送手段上で交差するように配置されている。なお、ここでいう交差とは、各撮像手段を同時に撮像することによって、物品11の全周囲を撮像するための配置であり、各撮像手段の光軸が厳密に一点で交差する場合だけではなく、物品11の範囲内において上下左右方向に多少のズレがある場合も含んでいる。図2(B)では、光軸の方向が30°の1つの上流の第2撮像手段3aと、光軸の方向が150°の1つの下流の第2撮像手段3bと、光軸の方向が−90°の1つの側面の第2撮像手段3cとが配置されている。図2(B)においても、各撮像手段の光軸の交点が、物品11の中心と重なるように配置されている。なお、図2(B)の側面の第2撮像手段3cの撮像タイミングは、物品の大きさに関係なく、物品の中心が光軸上に到達する時点で撮像することが好ましい。
【0047】
物品検出手段4及び搬送距離測定手段5は、図1においては、位置特定手段の一部となるものであり、物品検出手段4によって物品11を検出し、その後、搬送距離測定手段5によって検出位置からの距離を測定することで、制御手段6は、搬送される物品11の現在位置を特定することができる。ただし、位置特定手段としては、かかる構成に限定されるものではない。例えば、搬送速度が一定であれば、物品検出手段4と時間を測定するクロック回路(水晶振動子等)を組み合わせることで、位置を特定することができる。また、物品検出手段4の検出位置において撮像を開始する場合は、物品検出手段4を複数個設けることによって、検出した物品検出手段4の配置によって物品11の位置を特定することもできる。また、全く異なる手段、例えば物品11を載せる容器に電波の発振機を取り付けておき、電波を受信することで容器に載っている物品11の位置を特定する位置特定手段であってもよい。つまり、撮像するタイミングを制御するために、搬送される物品11の位置を特定できれば位置特定手段として利用することが可能である。
【0048】
また、物品検出手段4及び搬送距離測定手段5は、物品検出手段4が物品11を検出してから検出しなくなるまでの距離を搬送距離測定手段5によって測定することにより、制御手段6は、物品11の長さを測定することができるので、計測手段として機能させることもできる。しかし、上述した位置特定手段と同様、計測手段もかかる構成に限定されるものではなく、その他の手段であっても物品11の大きさを測定できれば計測手段として利用することができる。
【0049】
物品検出手段4は、搬送手段2の搬送経路の少なくとも撮像手段3によって撮像される地点又は同地点よりも上流に配置された物品11の存在を検出するセンサを有する。物品検出手段4として、例えば、発光素子と受光素子の組み合わせを使用することができ、発光素子からの光を物品が遮ることによって物品の前端部を検出でき、さらにその後、遮光されていた光を受光素子が受光し始めることによって物品の後端部を検出できる。しかし、物品検出手段4は、かかる構成に限定されるものではなく、圧力センサや赤外線センサなど適宜使用することができる。物品検出手段4で検出した物品11に関する情報は、制御手段6に入力される。
【0050】
搬送距離測定手段5は、搬送手段2による物品11の搬送距離を測定するものであり、物品検出手段4によって検出された位置からの距離を測定することで、撮像タイミングを制御するためのものである。搬送距離測定手段5として、例えば、エンコーダ等のパルス発生器によって、コンベヤの図示しない回転軸に接続させて回転軸の回転角度を検出して搬送距離を測定してもよいし、搬送速度と搬送時間を検出して搬送距離を測定してもよい。搬送距離測定手段5で検出した距離に関する情報は、制御手段6に入力される。
【0051】
制御手段6は、少なくとも複数の撮像手段3の撮像タイミングを制御するものであり、特に本発明においては、複数の撮像手段3のうち上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定できるものである。そして、制御手段6は、物品11の大きさ又は種類に応じて、上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段3bの撮像タイミングの組み合わせを複数設定できる。このため、搬送される物品11の大きさや種類が変わっても、撮像タイミングの設定を変更するだけで、物品検査装置1を利用することが可能なのである。また、制御手段6は、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された側面画像を取得し、画像処理によって物品の外観を検査する。
【0052】
さらに、制御手段6は、物品検査装置1のその他の機能についても制御してもよい。例えば、装置の起動と終了や、搬送速度の調整、搬送経路の設定の制御ができてもよいし、撮像した画像を加工してもよい。制御手段6としては、例えば、演算機能と記憶機能を備えた情報処理装置を使用することができる。演算機能は、例えば、プロセッサによって構成されてもよい。記憶機能は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク装置等によって構成されてもよい。プロセッサは、例えば、ハードディスク装置から半導体メモリにロードされたプログラムを実行することによって、各種処理を実現する。
【0053】
撮像タイミングの組み合わせとしては、大きく分けて次の3パターンに分類できる。但し、後述するとおり、第2パターン及び第3パターンの場合、一つのパターンの中でも、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定することはできる。
【0054】
第1パターン:上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bを同時に撮像させるパターン
第2パターン:先に上流の第2撮像手段3aを撮像させ、その後、下流の第2撮像手段3bを撮像させるパターン
第3パターン:先に下流の第2撮像手段3bを撮像させ、その後、上流の第2撮像手段3aを撮像させるパターン
【0055】
第1パターンは、従来技術における撮像タイミングと実質的に同じであるが、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bの撮像タイミングを独立して設定できるのであるから、当然、同時に設定することも可能である。第1パターンは、高速処理が可能であるから、検査装置1において、標準又は最頻物となる物品11(以下「標準品」という)の撮像タイミングとすることが好ましい。そして、第1パターンの撮像位置(位置A)は1点であり、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bは、かかる撮像位置Aにおいて、物品11が画面の中心において鮮明にかつ適当な大きさの画像となるように配置されることが好ましい。図1においては、物品(中)11bを標準品としている。図1においては、物品11(中)の中心が、各撮像手段3の光軸の交点に配置されるように位置Aが設定されている。
【0056】
第2パターンは、搬送経路の上流側の位置B1において、上流の第2撮像手段3aによって撮像し、その後、下流側の位置B2において、下流の第2撮像手段3bを撮像させるものである。第2パターンは、標準品に比べて小さい物品の場合に適用することが好ましい。すなわち、上流の第2撮像手段3aに近い位置B1で物品11の後方部分を撮像した後、物品11が搬送され、下流の第2撮像手段3bに近付いた位置B2で物品11の前方部分を撮像する。このため、各撮像手段から物品11の表面までの距離が近くなり、大きさが小さいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。第2パターンにおいては、上流の第2撮像手段3aから位置B1までの距離と下流の第2撮像手段3bから位置B2までの距離をほぼ同じにすることで、撮像した各画像の大きさ(実物との比率)を同じにすることができるので好ましい。
【0057】
第2パターンは単に順番を特定しているだけであり、物品11の大きさや種類に応じて、上流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置B1)や下流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置B2)をそれぞれ変更できる。このため、仮に、制御手段6において設定された撮像タイミングの組み合わせが、第2パターンだけであっても、位置B1又は位置B2の設定を変えることで、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせが設定できる。
【0058】
第3パターンは、搬送経路の上流側の位置C1において、下流の第2撮像手段3bによって撮像し、その後、下流側の位置C2において、上流の第2撮像手段3aを撮像させるものである。第3パターンは、標準品に比べて大きい物品の場合に適用することが好ましい。すなわち、下流の第2撮像手段3bから離れた位置C1で物品11の前方部分を撮像した後、物品11が搬送され、上流の第2撮像手段3aから離れた位置C2で物品11の後方部分を撮像する。このため、各撮像手段から物品11の表面までの距離が遠くなり、外形が大きいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。第3パターンにおいては、上流の第2撮像手段3aから位置C2までの距離と下流の第2撮像手段3bから位置C1までの距離をほぼ同じにすることで、撮像した各画像の大きさ(実物との比率)を同じにすることができるので好ましい。
【0059】
第3パターンは単に順番を特定しているだけであり、物品11の大きさや種類に応じて、上流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置C1)や下流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置C2)をそれぞれ変更できる。このため、仮に、制御手段6において設定された撮像タイミングの組み合わせが、第3パターンだけであっても、位置B1又は位置B2の設定を変えることで、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせが設定できる。
【0060】
なお、上記3パターンは、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bの撮像タイミングについてのみ分類したのであって、さらに、上面、真横、下面を撮像する撮像手段が設けられていた場合には、それらの撮像タイミングによって、さらにパターンは増える。ただし、基本的には、上面、真横、下面を撮像する撮像手段は、撮像手段の光軸上に物品の中心が位置したタイミングで撮像されることになる。
【0061】
さらに、制御手段6は、物品検出手段4及び搬送距離測定手段5によって、物品11の長さを測定し、かかる長さに基づいて、撮像タイミングの設定を自動的に変更できることが好ましい。この場合、撮像タイミングの設定として、ある範囲の長さについては第1の設定、他の範囲については第2の設定を制御手段6に登録しておき、測定した長さが何れの範囲に属するのかを判断して設定を変更してもよい。この場合、物品の種類に関係なく、物品の長さに応じて適切な画像を得ることができる。また、測定した長さから、物品の種類を判別して、判別した種類の物品用の設定に変更してもよい。この場合には、判別した種類の物品に特有の検査(例えば仕分け処理、色合等)も実施することが可能である。また、撮像位置を求める関数に測定した物品の長さを入力して、撮像位置を算出して、撮像タイミングを変更してもよい。この場合、物品の種類に関係なく、物品の長さに応じてより適切な画像を得ることができる。
【0062】
撮像位置である位置A、位置B1、位置B2、位置C1及び位置C2は、物品検出手段4の検出位置Dとそこからの距離(0を含む)によって設定することができる。撮像タイミングとして、物品の何れの部位が撮像位置に到達した時点とするかは、あまり重要ではなく、撮像時における物品と撮像手段の相対的な位置関係が同じであれば、物品の部位と位置との関係は適宜設定することができる。すなわち、長さ10cmの物品の先端部がある位置Aに到達したタイミングは、当該物品の中心部が位置Aの5cm上流側の位置に到達したタイミングと同じであり、さらには、当該物品の後端部が位置Aの10cm上流側の位置に到達したタイミングと同じである。よって、物品検出手段4による物品を検知した部位等から到達する部位と撮像位置を設定すればよい。なお、物品の中心を計測手段によって求める場合は、物品の長さを測定し、その半分となる部位を計算すればよい。図1において各撮像位置は、物品11の後端部の到達位置で設定している。
【0063】
図1では、位置A、位置B1及び位置C2は同じ位置であり、これらの位置A,B1,C2よりも下流側に位置B2が設定され、上流側に位置C1が設定されている。
【0064】
図3(A)は位置B1及びC2の撮像時における物品11a及び11cの配置と撮像手段との関係を示す図であり、同(B)は位置B2の撮像時における物品11cの配置と撮像手段との関係を示す図であり、同(C)は位置C1に関する物品11aの配置と撮像手段との関係を示す図である。図3(A)乃至(C)において、基準として、位置Aにおける標準物である物品11bを点線で示し、使用しない撮像手段に網掛けを付けた。
【0065】
図3(A)において、物品(小)11cが位置B1に到達したタイミングで上流の第2撮像手段3aは作動するが、下流の第2撮像手段3bは作動しない。このため、位置B1における物品(小)11cの後部だけが撮像される。また、物品(大)11aが位置C2に到達したタイミングにおいても、上流の第2撮像手段3aが作動し、位置C2における物品(大)11aの後部だけを撮像する。
【0066】
なお、第1撮像手段3d、及び搬送方向に対して垂直方向に配置された他の撮像手段(真横、下面撮像手段)については、各撮像手段の光軸上に各物品の中心が位置したタイミングで撮像するのが好ましいが、第1撮像手段3d、及び他の撮像手段(真横、下面撮像手段)の撮像タイミングはこれに限定されず、各面の画像において、物品の全体が撮像されるような撮像タイミングであればよい。例えば、第1撮像手段3d、及び他の撮像手段(真横、下面撮像手段)は、第2撮像手段3a又は3bの撮像タイミングに合わせて撮像してよい(図3(B)及び(C)でも同じ)。図1及び図3において、位置Aと位置B1と位置C2を一致させると、上流の第2撮像手段3aから物品11a及び11cの後部表面までの距離が標準品である物品(中)11bとほぼ同じとなるため、物品11a及び11cの後部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも位置A、位置B1及び位置C2を一致させる必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が収まるように、被写界深度の範囲内で位置B1及び位置C2を調整することができる。
【0067】
図3(B)において、位置B1よりも下流側に配置された位置B2に物品(小)11cが到達したタイミングで下流の第2撮像手段3bが作動する。このため、位置B2における物品(小)11cの前部だけが撮像される。図3(B)において、位置B1における物品(小)11cの前端部は、標準品である物品(中)11bの前端部と揃っている。このため、下流の第2撮像手段3bから物品11cの前部表面までの距離が標準品である物品11bとほぼ同じとなるため、物品11cの前部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも標準品と前端部を揃える必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が適度な大きさで収まるように、被写界深度の範囲内で位置B2を調整することができる。
【0068】
図3(C)において、位置C2よりも上流側に配置された位置C1に物品(大)11aが到達したタイミングで下流の第2撮像手段3bが作動する。このため、位置C1における物品(大)11aの前部だけが撮像される。図3(C)において、位置C1における物品(大)11aの前端部は、標準品である物品(中)11bの前端部と揃っている。このため、下流の第2撮像手段3bから物品11aの前部表面までの距離が標準品である物品11bとほぼ同じとなるため、物品11aの前部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも標準品と前端部を揃える必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が適度な大きさで収まるように、被写界深度の範囲内で位置C1を調整することができる。なお、説明の都合上、先に図3(A)における位置C2について説明したが、実際には、より上流側に配置されている位置C1の撮像が位置C2の撮像よりも先に行われる。
【0069】
本実施形態では、搬送手段によって搬送される物品11a〜11cの大きさ又は種類に応じて、物品11a〜11cと第2撮像手段3a、3bとの距離が所定の関係となるように制御手段によって複数の異なる撮像タイミングが設定される。このため、大きさの異なる物品11a〜11cであっても、それぞれ適切な大きさの側面画像を得ることができる。しかし、設定される撮像タイミングによって、第2撮像手段3a、3bと物品11a〜11cとの距離(WD)が変わるため、撮像された側面画像の見かけの大きさ(側面画像を構成する画素数)は物品11毎にも、また第2撮像手段3a、3b毎にも異なる。すなわち、撮像された側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係が変動する。さらに、側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係は、上面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係に対しても変動する。
【0070】
図4(A)〜(C)は、第1撮像手段によって撮像された物品(大)11a、(中)11b、(小)11c--の上面画像12を示す説明図であり、図5(A)〜(C)及び図6(A)〜(C)は、それぞれ上流及び下流の第2撮像手段によってから撮像された物品(大)11a、(中)11b、(小)11cの側面(後面)画像13及び側面(前面)画像14を示す説明図である。図4ないし図6において、物品(大)11aは円柱であり、物品(中)11bは扁平な楕円体であり、物品(小)11cは、円錐台である。
【0071】
図4(A)に示された物品11aの上面画像12aは、例えば、物品11aの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(A)に示された物品11aの側面画像13aは、第3パターンの撮像タイミングによって、物品11aの後端が位置C2(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11aの後面の画像である。図6(A)に示された物品11aの側面画像14aは、第3パターンの撮像タイミングによって、物品11aの後端が位置C1(図3(C)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11aの前面の画像である。
【0072】
図4(B)に示された物品11bの上面画像12bは、例えば、物品11bの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(B)に示された物品11bの側面画像13bは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11bの後端が位置A(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11bの後面の画像である。図6(B)に示された物品11bの側面画像14bは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11bの後端が位置A(図3(B)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11bの前面の画像である。
【0073】
図4(C)に示された物品11cの上面画像12cは、例えば、物品11cの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(C)に示された物品11cの側面画像13cは、第2パターンの撮像タイミングによって、物品11cの後端が位置B1(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11cの後面の画像である。図6(C)に示された物品11cの側面画像14cは、第2パターンの撮像タイミングによって、物品11cの後端が位置B2(図3(B)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11cの前面の画像である。
【0074】
なお、上面画像12の撮像タイミングは、中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングに限定されない。また、後面の側面画像13と前面の側面画像14における物品11の見かけ上の大きさは一致している必要はない。
【0075】
各上面画像12における基準部位は、水平断面によって形成される略円形の径である。以下、上面画像12における基準部位の長さを「第1の長さ」という。図4(A)では、基準部位(略円形の径)の第1の長さを「L1」で示した。第1の長さ(L1)は、例えば、画素(ピクセル)を単位として示されてもよい。また、以下、実際の物品における基準部位の長さを「L」と記載する。
【0076】
後面の側面画像13及び前面の側面画像14における基準部位は、物体胴部の最大の幅である。以下、側面画像13、14における基準部位の長さを「第2の長さ」という。図5(A)では、第2の長さを「L2」で示した。第2の長さ(L2)は、例えば、ピクセルを単位として示されてもよい。上面画像及び側面画像における基準部位は、実際の物品において対応関係を持ち、基準部位の長さは、水平断面が略円形であるから、何れも略同一の「L」である。
【0077】
上面画像12及び側面画像13、14は、物品11の表面に生じた傷、変色、汚れ等のある部位や高さ等、検査において、その大きさや長さの測定が必要な部位(以下「測定部位」という。)15、16を含むことがある。図4〜6においては、上面画像12には測定部位を確認できないが、各側面画像13、14には測定部位15、16を確認できる。以下、測定部位15、16の長さを「第3の長さ」といい、第3の長さを「L3」と記載する。第3の長さL3は、例えば、ピクセルを単位として示されてもよい。また、以下、実際の物品11における測定部位の長さを「X」と記載する。
【0078】
図4〜6に示したとおり、本実施形態では、上面画像12は、第1撮像手段3dによって、物品11の大きさ及び種類にかかわらず、固定された撮像タイミング(中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミング)で撮像される。このため、上面画像12の大きさと実際の物品11の大きさとは相関しており、1画素あたりの寸法や面積(係数)を掛けることにより、上面画像12の大きさから実際の物品11の寸法や面積を算出できる。
【0079】
側面画像13、14は、上流及び下流の第2撮像手段3a、3bによって、物品11の大きさ及び種類に応じた複数の撮像タイミングで撮像される。このため、大きさ及び種類の異なる物品11に対しても、それぞれ適切な大きさの側面画像13、14を得ることができる。しかしながら、各側面画像13、14における測定部位15、16の長さは、側面画像13、14の大きさが実際の物品11の大きさとは相関していないので、見た目によっては比較することが難しい。そこで、本発明においては、上面画像における基準部位と側面画像における基準部位との対応関係に基づいて、側面画像における測定部位の長さを補正する。以下、補正処理について説明する。
【0080】
図7は、補正処理の第1の例を示すフローチャートである。まず、制御手段6は、ある物品11について、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された複数の前面及び後面の側面画像を取得する(S701)。次に、制御手段6は、取得した上面画像における基準部位(水平断面の径)を選択し、ピクセルを単位とする第1の長さ(L1)を測定する(S702)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における基準部位(胴部の最大幅)を選択し、ピクセルを単位とする第2の長さ(L2)を測定する(S703)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)を選択し、ピクセルを単位とする第3の長さ(L3)を測定する(S704)。
【0081】
そして、制御手段6は、第1の長さ(L1)と第2の長さ(L2)との比(L1/L2)に基づいて、側面画像における測定部位の第3の長さ(L3)を補正する(S705)。具体的には、下記の式1によって比(L1/L2)を測定部位の第3の長さ(L3)に乗じる。
補正後の第3の長さ=(L1/L2)×L3・・・(式1)
【0082】
これによって、側面画像における測定部位の長さが上面画像ではいくつのピクセルに相当するかを算出することができる。制御手段6は、対象となる側面画像又は測定部位が他になければ補正処理を終了する(S706)。なお、各ステップは、図7に示した順序に限定されず、計算が可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS702からS704はいずれの順序によって処理されてもよい。また、ステップS705は、最終的に上記式1が得られれば足りるので、例えば、第3の長さ(L3)と第2の長さ(L2)との比(L3/L2)を第1の長さ(L1)に乗じてもよい。
【0083】
この補正処理によって、異なる撮像タイミングで撮像された側面画像における測定部位の長さを上面画像における画素数に換算することができるので、正確に物品の外観を検査することができる。制御手段6は、前述した補正処理の後、所定の閾値と測定部位の補正された長さとの比較処理を実行し、物品の良否を判定してもよい。複数の閾値を設定すると、物品検査装置は、物品の傷の長さに従って、物品をいくつかの階級に区分することができる。
【0084】
ところで、本実施形態では、上面画像は第1撮像手段3dによって常に固定点で撮像されるので、物品11a〜11cの表面と第1撮像手段3dとの間の距離(WD)はほぼ一定である。よって、第1撮像手段3dの画角、焦点距離等がほぼ一定であるので、第1撮像手段3dによって撮像された物品11a〜11cの上面画像12a〜12cの見かけの大きさは、物品11a〜11cの実際の大きさに対応する。したがって、本実施形態では、上面画像における長さ(例えば、ピクセル)を実際の長さ(例えば、mm)に補正する係数(以下、「第1係数」という。)をあらかじめ設定しておくこと又は計算により求めることができる。
【0085】
図8は、物品の基準部位の実際の長さLと、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の第1の長さL1との関係を示す説明図である。縦軸は、基準部位の実際の長さL(例えば、mmを単位とする)を示す軸であり、横軸は、撮像された上面画像における基準部位の第1の長さL1(例えば、ピクセルを1単位とする)を示す軸である。
【0086】
図8に示した四角は、物品(大)11a(例えば、グレープフルーツ)の測定値である。三角は、物品(中)11b(例えば、伊予柑)の測定値である。丸は、物品(小)11c(例えば、温州ミカン)の測定値である。図8に示した直線は、例えば、最小二乗法によって算出された直線であり、各丸、三角、四角によって示される測定値との差の二乗を最小にする各点を結ぶ直線である。LとL1との関係は、この直線の傾きkを用いると下記の式2によって示される。すなわち、この直線の傾きkを第1係数に設定することができる。
L=k×L1・・・(式2)
【0087】
なお、ここで、物品11の水平断面は略円形であるので、上から観た基準部位の実際の直径と、側面画像における基準部位の実際の幅とは略同一であり、「L」である。このため、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係、及びあらかじめ設定された第1係数を利用すると、側面画像における第2の長さ(例えば、ピクセル)及び第3の長さを実際の長さ(例えば、mm)に補正する係数(以下、「第2係数(j)」という。)を算出することができる。
【0088】
以下、あらかじめ設定された第1係数kに基づいて、撮像された側面画像毎に第2係数を算出し、各側面画像における測定部位の第3の長さを実際の長さに換算する補正処理について説明する。
【0089】
図9は、補正処理の第2の例を示すフローチャートである。まず、制御手段6は、ある物品11について、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された複数の前面及び後面の側面画像を取得する(S901)。次に、制御手段6は、取得した上面画像における基準部位(水平断面の径)を選択し、ピクセルを単位とする第1の長さL1を測定する(S902)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における基準部位(胴部の最大幅)を選択し、ピクセルを単位とする第2の長さL2を測定する(S903)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)を選択し、ピクセルを単位とする第3の長さL3を測定する(S904)。
【0090】
そして、制御手段6は、あらかじめ設定された第1係数kを取得する(S905)。なお、搬送される各物品11の高さが著しく異なる場合、厳密に言えば、物品11の表面と第1撮像手段3dとの間の距離(WD)は一定ではない。よって、この場合には、物品11の高さに応じて、あらかじめ複数の第1係数が設定されてもよい。具体的には、例えば、物品11が位置Dを通過する時に、物品検出手段4が物品11の高さを検出し、検出された物品11の高さに基づいて制御手段6があらかじめ設定された複数の第1係数のうちの一つの第1係数kを取得する。
【0091】
次に、制御手段6は、取得した第1係数kを用い、下記の式3に基づいて、上面画像における第1の長さL1を実際の長さLに換算する(S906)。
L=k×L1・・・(式3)
【0092】
次に、制御手段6は、ステップS903において測定されたL2とステップS906において換算されたLとに基づいて、下記の式4によって、第2係数jを算出する(S907)。
j=k×(L1/L2)・・・(式4)
【0093】
最後に、制御手段6は、算出された第2係数jに基づいて、下記の式5によって、側面画像における測定部位の第3の長さL3を実際の長さXに換算する(S908)。
X=j×L3(=k×(L1/L2)×L3)・・・(式5)
【0094】
制御手段6は、対象となる側面画像及び測定部位が他になければ補正処理を終了する(S909)。なお、各ステップは、図9に示した順序に限定されず、計算が可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS905は、S901の前に実行されてもよいし、ステップS902からS904は、いずれの順序によって実行されてもよい。以上の補正処理によって、異なる撮像タイミングで撮像された側面画像における測定部位の第3の長さL3を実際の長さXに換算することができるので、正確に物品の外観を検査することができる。制御手段6は、前述した補正処理の後、所定の閾値と測定部位の実際の長さとの比較処理を実行し、物品の良否を判定してもよい。
【0095】
また、上面画像にも測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)が観察される場合、ステップS906において、制御手段6は、第1係数kに基づいて、上面画像における測定部位の長さを実際の長さに換算してもよい。また、ステップS908において、制御手段6は、第2係数jに基づいて、側面画像における測定部位のほか、側面画像の高さを実際の高さに換算してもよい。この場合、換算された第2の長さの実際の長さL(物品の幅に相当する)及び実際の高さに基づいて、物品の概略の体積を算出してもよい。
【0096】
さらに、測定部位が線ではなく、例えば、幅をもった領域である場合、制御手段6は、ステップS904において、側面画像における測定部位の面積(画素数)を算出し、ステップS908において、算出された側面画像における測定部位の面積を第2係数(長さの係数の二乗)に基づいて実際の面積に換算してもよい。
【0097】
加えて、制御手段6は、物品検査装置に備えられた図示しない表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)に、物品11の上面画像及び側面画像を表示し、さらに、例えば、mm又はcmを単位として、物品11の幅、高さ、径及び傷等の長さ・面積の検査結果を表示してもよい。検査者は、表示装置に表示されたこれらの検査結果に基づいて、物品検査装置による判定を修正してもよい。
【0098】
なお、本発明の補正処理は、第2撮像手段の撮像タイミングが固定されている従来の物品検査装置にも適用することができる。
【0099】
従来の物品検査装置では、第2撮像手段の撮像タイミングが固定されているので、側面画像の見かけの大きさは、撮像される物品の実際の大きさと対応する。よって、従来の物品検査装置では、図15と同様に、側面画像における基準部位の長さ(ピクセル数)と物品における基準部位の実際の長さとの関係をあらかじめ実験等によって求めておき、この実験結果に基づいて、側面画像における測定部位の長さを実際の長さに換算する第2係数jが設定されていた。しかし、各第2撮像手段にそれぞれ第2係数jが設定されるため、撮像手段の配置を変更した場合には、全ての撮像手段(第1、第2撮像手段)について、第2係数jを求めて設定する必要があった。
【0100】
本発明の補正処理を従来の物品検査装置に適用すると、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係に基づいて、測定部位の長さを算出し、判定できる。さらに、第1係数kによって、第2係数jを算出することができるので、第2係数jをあらかじめ実験等によって求めておく必要がないし、設定を変更する場合であっても、上面画像の第1係数kだけを変更するだけでよい。
【0101】
[第2実施形態]
第2の実施形態においては、検査の対象とする物品の形状は、第1の実施形態において説明した水平断面が略円形である球体、扁楕円体、円柱、円錐台等の回転体に限定されず、例えば、横置きにされた紡錘体、横置きにされた長楕円体、横置きにされた円柱等であってもよい。これらを上方から観た水平断面は、楕円、紡錘形、長方形である。以下、これらの水平断面において、物品の長さ方向の軸を長軸(La)といい、物品の幅方向の軸を短軸(Lb)という(長軸と短軸が同じ場合もある)。このような形状を持つ物品11dとしては、レモン、さつま芋等が挙げられる。
【0102】
長軸及び短軸を有する物品の場合は、搬送手段2において物品11dを搬送する時の物品11dの配置と第2撮像手段の配置とが所定の関係を満たす必要がある。所定の関係とは、第2撮像手段の光軸と物品11dの長軸(La)又は短軸(Lb)とが常に略同じ角度となるような関係である。通常は、第2撮像手段の光軸は固定されているから、搬送手段2によって物品11dを搬送する時に、物品11dの向きを所定の関係を満たすような配置となるように規制する。第2撮像手段の光軸と物品11dの長軸(La)又は短軸(Lb)との角度としては、略直角となることが好ましいが、直角に限定されるものではない。以下、図10及び11において略直角に配置した例を説明するが、後述する図12及び13において直角以外の配置の例を説明する。
【0103】
図10において、各撮像手段の配置は図1に示した物品検査装置の構成と同様であり、2つの上流の第2撮像手段3aは、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ45°及び−45°となるように配置され、2つの下流の第2撮像手段3bも、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ135°及び−135°となるように配置されている。さらに、図10では、検査対象の物品11dが、規制手段(図示省略)によって、長軸(La)が搬送方向に対して−45°の向きになり、かつ、短軸(Lb)が搬送方向に対して45°の向きになるように配置した状態で搬送手段2によって搬送される。規制手段には、例えば、バケット、V字型の溝が形成されたベルトコンベア等を使用することができる。
【0104】
なお、図10では、検査対象の物品11dとして、紡錘体の物品(例えば、レモン、さつまいも等)を例示したが、これに限定されず、例えば、実施形態と同様の水平断面が略円形の物品も、水平断面が略長楕円体の物品(例えば、じゃがいも、なす、アボカド等)も、水平断面が略長方形の物体(例えば、長いも、大根、長ねぎ、きゅうり等)も検査することもできる。
【0105】
さらに、各撮像手段についても、図10に示した配置に限定されず、例えば、図2(A)又は(B)に示すような配置であってもよい。また、物品11dの一方の側面と他方の側面とを撮像する2台の真横の第2撮像手段3cを配置してもよい。図2(B)に示したとおり、真横の第2撮像手段3cが配置された場合、又は、2台の真横の第2撮像手段3cが配置された場合、規制手段は、物品11dの長軸が搬送方向に対して0°、すなわち、長軸の方向と光軸とが直交するように物品11dを置いてもよい。この場合、規制手段は、例えば、V字型に傾けられた2本のベルトコンベアによって構成され、物品11dの向きをその長軸方向が搬送方向となるように規制してもよい。
【0106】
なお、上流の第2撮像手段3aと下流の第2撮像手段3bとは、物品11dの中心が各光軸上に到達する時点で同時に撮像することが好ましい。つまり、第2実施形態では、撮像タイミングの組み合わせとして、第1実施形態における第1パターンを使用する。
【0107】
さらに、物品11の中心の上方に上面を観察するための第1撮像手段3dが配置される。第1撮像手段3dは、その光軸が各第2撮像手段3a、3bの光軸の交点を通る垂直軸となるように配置される。第1撮像手段3dは、物品11dの中心が光軸上に到達する時に物品11dの上面画像を撮像する。
【0108】
なお、撮像タイミングを設定する場合、例えば、図示しない物品検出手段は、搬送される物品11dの前端部と後端部とを検出してもよい。そして、搬送距離測定手段5は、物品11dの搬送距離を測定する。これによって、制御手段6は、搬送される物品11の中心の位置を計算し、その中心位置が各光軸の交点に到達するタイミングを計算することができる。
【0109】
図11(A)は、第1撮像手段3dによって撮像された物品11dの上面画像を示す説明図である。図11図(B)は、物品11dの長軸に直角な光軸の第2撮像手段3a又は3bによって上流又は下流から撮像された物品11dの長軸方向の側面画像を示す説明図である。図11図(C)は、物品11dの短軸に直角な光軸の第2撮像手段3a又は3bによって上流又は下流から撮像された物品11dの短軸方向の側面画像を示す説明図である。
【0110】
上面画像12dは、物品11dの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって撮像された画像である。側面画像13d及び側面画像14dは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11dの中心が各光軸の交点に到達した時に第2撮像手段3a又は3bによって撮像された画像である。
【0111】
上面画像12dにおける基準部位は、水平断面によって形成される略紡錘形の長軸及び短軸である。以下、上面画像12dにおける長軸の長さを「L1a」という。また、上面画像12dにおける短軸の長さを「L1b」という。長軸方向の側面画像13dにおける基準部位は、紡錘形である垂直断面の幅(長軸)であり、幅の長さを「L2a」という。短軸方向の側面画像14dにおける基準部位は、略円形である垂直断面の幅(短軸)であり、幅の長さを「L2b」という。なお、側面画像13、14dは、傷、変色、汚れ等のある測定部位15を含むことがある。前述したように、側面画像における測定部位15の長さは「L3」であり、実際の物品11dにおける測定部位の長さは「X」である。
【0112】
物品11dを上方から観た紡錘形である水平断面の長軸と物品11dを長軸方向に対して略直角の側方から観た垂直断面の幅とは対応関係を持ち、実際の物品11dにおける長さは略同一である。すなわち、「L1a」と「L2a」とは対応関係にあり、これらの実際の長さは「La」である。さらに、物品11dを上方から観た紡錘形である水平断面の短軸と物品11dを短軸方向に対して略直角の側方から観た垂直断面の幅とは対応関係を持ち、実際の物品11dにおける長さは略同一である。すなわち、「L1b」と「L2b」とは対応関係にあり、これらの実際の長さは「Lb」である。
【0113】
第2の実施形態においては、「L1a」と「L2a」との対応関係、又は「L1b」と「L2b」との対応関係を用いて、側面画像に確認された測定部位の長さ「L3」を補正して、実際の物品11dにおける測定部位の長さ「X」を算出することができる。具体的には、「L1a」「L2a」、又は「L1b」「L2b」を「L1」「L2」に読み替えると、図7又は図9に示した第1の実施形態における補正処理を適用することができ、物品11dの側面画像に観察された測定部位の長さを実際の長さに換算することができる。なお、「L1b」と「L2b」との対応関係を用いるよりも、「L1a」と「L2a」との対応関係を用いて補正処理を実行する方が正確な補正係数を算出することができるので好ましい。
【0114】
図12は、紡錘体である物品の他の配置と撮像手段との関係を示す説明図である。図12では、物品11dは、搬送方向に対して、θ°(−θ°)の角度をもって規制され、上流から下流へ搬送される。
【0115】
図13(A)は、図12に示した配置において、第1撮像手段3dによって撮像された物品(紡錘体)の上面画像を示す説明図である。図13(B)は、図12に示した配置において、第2撮像手段3aによって撮像された物品(紡錘体)の側面画像を示す説明図である。
【0116】
上面画像12eにおける長軸の長さは「L1a」である。側面画像13eにおける幅の長さは「L2a’」である。図12に示したとおり、側面画像13eは長軸に対して略直角となる方向から撮像した側面画像ではないので、「L2a’」は、長軸に対して略直角の方向から撮像した場合の側面画像の幅の長さ(L2a)より短い。「L2a’」は下記の式6によって「L2a」に換算することができる。
L2a=L2a’/cos(45°−θ°)・・・(式6)
【0117】
また、側面画像13eに観察された横方向に伸びる測定部位15の長さ「L3’」は、長軸に対して略直角の方向から撮像した場合の側面画像に観察される測定部位の長さより短い。「L3’」は、下記の式7によって「L3」に換算することができる。
L3=L3’/cos(45°−θ°)・・・(式7)
【0118】
なお、「L1a」と「L2a」とは対応関係を持つので、図12に示したとおり、物品11dの長軸に対して略直角の方向から側面画像が撮像されない場合でも本発明の補正処理を適用することができる。具体的には、図7に示した補正処理を実行する場合、まず、ステップS702として、「L1a」を測定する。次に、ステップS703として、前述した式6によって、測定された「L2a’」を「L2a」に換算する。次に、ステップS704として、前述した式7によって、測定された「L3’」を「L3」に換算する。これによって、ステップS705において、側面画像において観測された測定部位の実際の長さを算出することができる。同様にして、図9に示した補正処理を実行することもできる。
【0119】
以上、説明したとおり、第2の実施形態では、検査対象とする物品は、上方から観た水平断面が略円形である物品に限定されず、上方から観た水平断面が紡錘形、長楕円形、円柱等である物品であってもよく、第1の実施形態の補正処理を従来の物品検査装置に適用することもできる。すなわち、上面画像の基準部位と側面画像の基準部位との対応関係を用いて、側面画像における測定部位の長さを算出し、物品の良否を判定することができる。
【0120】
ところで、第1の実施形態では、検査の対象とする物品は水平断面が略円形であり、いずれの側方の向きから観ても幅が一定であると仮定した。しかし、物品の大きさは、撮像手段の光軸に対して垂直な物品の幅と高さによって決定され、厳密に言えば、各撮像手段ごとに、すなわち物品の向きによって異なる場合がある。例えば、物品が農産物等の場合は、個体ごとに大きさも形状も異なっている。このため、通常は、物品の種類に応じて標準サイズを想定し、この標準サイズに基づいて、撮像手段等の配置や撮像タイミングの設定を行う。
【0121】
従来では、物品の向きに応じた幅や高さの違いは、特に考慮されてはおらず、いずれの撮像手段でも同じ大きさとみなして設定していたが、本発明では、かかる物品の向きに応じた大きさの違いを撮像タイミングに反映させることも可能である。すなわち、ある向きにおける物品の大きさが、他の向きにおける大きさに比べて、大きかった場合、その大きい向きを撮像する撮像手段については、撮像タイミングを早くする又は小さい向きを撮像する撮像手段について撮像タイミングを遅くして、実物との縮尺が画像によって異なるが、適度な大きさの画像が得られるようにしてもよい。この設定は、例えば、上流の第2撮像手段3aが2つある場合に、一方の撮像タイミングと他方の撮像タイミングを独立して制御することにより実現できる。
【0122】
以下、実施例において具体的な数値を挙げて説明する。以下の実施例において、物品検出手段4としては光電センサを使用し、物品11の後端部を検知した。さらに、搬送距離測定手段5としてはエンコーダを使用した。搬送手段の搬送速度は、1000mm/sであり、エンコーダの1パルス当たりの搬送距離は0.1mmであった(つまり、1パルスは0.1ms間隔)。また、物品11として、グレープフルーツ(大)、伊予柑(中)、温州みかん(小)を使用した。これらの物品11の長さは、エンコーダのパルス数でグレープフルーツ(大)が約1500パルス、伊予柑(中)が約1000パルス、温州みかん(小)が約500パルスであった。
【0123】
[実施例1]
図14は、本発明にかかる他の物品検査装置の概略構成図である。実施例1においては、図14に示す物品検査装置を使用した。図14の装置は、基本的な構成は図1の装置と同じであるが、物品検出手段4を標準品の撮像位置Aに配置して、物品検出手段4による物品の検出信号の入力を撮像タイミングの一つとして利用している。図14の装置における各構成は図1と同じ符号を付し、その説明を援用する。
【0124】
実施例1の物品検査装置においては、グレープフルーツ(大)を標準品として各撮像手段3を配置した。すなわち、グレープフルーツ(大)の後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した状態で、各第2撮像手段3a及びbの画面内に適度な大きさで鮮明にグレープフルーツ(大)が撮像できるように、各第2撮像手段3a及びbの光軸がグレープフルーツ(大)の中心(撮像位置Aから750パルスの位置)で交差するように配置した。さらに、撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心(各第2撮像手段3a及びbの光軸の交点)の上方に、その光軸がグレープフルーツ(大)の中心を通るように第1撮像手段3dを配置した。
【0125】
まず、制御手段6に、グレープフルーツ(大)を撮像するための撮像タイミング(モード1)、伊予柑(中)を撮像するための撮像タイミング(モード2)、及び温州みかん(小)を撮像するための撮像タイミング(モード3)をそれぞれ設定した。グレープフルーツ(大)は、標準品であるから、その撮像タイミングであるモード1は、全ての撮像手段について、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像するように設定した(前述したとおり、各撮像手段が照明を備えている場合は逆光を防止するため、各撮像手段は順次撮像する)。伊予柑(中)は、グレープフルーツ(大)よりも500パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード2は、上流の第2撮像手段3aについては、グレープフルーツ(大)と同じく、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像し、第1撮像手段3dについては、伊予柑(中)の中心が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心位置(各撮像手段の光軸の交点)に到達する250パルス後(25ms後)に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の前端部と同じ位置に前端部が到達する500パルス後(50ms後)に撮像するように設定した。温州みかん(小)は、グレープフルーツ(大)よりも1000パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード3は、上流の第2撮像手段3aについては、グレープフルーツ(大)と同じく、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像し、第1撮像手段3dについては、温州みかん(小)の中心が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心位置(各撮像手段の光軸の交点)に到達する500パルス後(50ms後)に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、温州みかん(小)の前端部が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の前端部と同じ位置に到達する1000パルス後(100ms後)に撮像するように設定した。表1は、実施例1の撮像タイミングの一覧である。
【0126】
【表1】
以上のように撮像タイミングを設定した物品検査装置1において、グレープフルーツ(大)を検査する場合、撮像タイミングをモード1に設定し、搬送手段によってグレープフルーツ(大)を順次一列に搬送させる。グレープフルーツ(大)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光がグレープフルーツ(大)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1500パルス後、グレープフルーツ(大)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3a、第1撮像手段3d及び下流の第2撮像手段3bの全てに対し、撮像信号を出力し、各撮像手段は、グレープフルーツ(大)を撮像し、撮像された画像を制御装置6へ出力する。制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0127】
次に、伊予柑(中)を検査する場合、撮像タイミングをモード2に設定し、搬送手段によって伊予柑(中)を順次一列に搬送させる。伊予柑(中)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光が伊予柑(中)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1000パルス後、伊予柑(中)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、エンコーダ5から250パルスのパルス信号が入力された時点で第1撮像手段3dに対し、撮像信号を出力する。さらに、エンコーダ5から250パルスのパルス信号(検出位置Dからは500パルス)が入力された時点で下流の第2撮像手段3bに対し、撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された伊予柑(中)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0128】
また、温州みかん(小)を検査する場合、撮像タイミングをモード3に設定し、搬送手段によって温州みかん(小)を順次一列に搬送させる。温州みかん(小)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光が温州みかん(小)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約500パルス後、温州みかん(小)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、エンコーダ5から500パルスのパルス信号が入力された時点で第1撮像手段3dに対し、撮像信号を出力する。さらに、エンコーダ5から500パルスのパルス信号(検出位置Dからは1000パルス)が入力された時点で下流の第2撮像手段3bに対し、撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された温州みかん(小)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0129】
実施例1の物品検査装置1においては、最も大きい物品を標準物としたため、他の物品は標準物と同じか小さいので、上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにできた。他方で、標準物よりも小さい物品については、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段3dの撮像タイミングを遅く変更することで、適切な大きさの画像を得ることができた。また、検出信号を撮像タイミングの一つとしたので、エンコーダからのパルス数をカウントする必要がなく、高速処理が可能である。なお、実施例1においては、モード1〜3の切り替えは、オペレーターによって行われたが、その他の手段で切り替えてもよい。例えば、光電センサがOFF状態からON状態となるまでのパルス数をエンコーダによってカウントしておき、そのパルス数に応じて、自動的にモード1〜3を切り替えてもよい。また、実施例1においては、各物品で上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにしたが変えてもよい。例えば、表面の傷を詳細に検査するために、一番小さい温州みかん(小)について、より画像を大きくしたい場合は、撮像位置よりも上流側で撮像してもよい。この場合、光電センサがOFF状態の間(例えばOFF状態になってから600パルス後)に撮像信号を発生させてもよい。
【0130】
[実施例2]
実施例2の物品検査装置1は、図1に示すように、搬送経路の上流側に光電センサを配置し、光電センサによって物品を検出した後、エンコーダからのパルス数をカウントして撮影タイミングとするものである。実施例2の物品検査装置1においては、伊予柑(中)を標準品として各撮像手段3を配置した。すなわち、伊予柑(中)の後端部が撮像位置Aに到達した状態で、各撮像手段の画面内に適度な大きさで鮮明に伊予柑(中)が撮像できるように配置した。さらに、撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心(撮像位置Aから500パルスの位置)の上方に、第1撮像手段3dを配置した。実施例2の物品検査装置1において、光電センサ4から撮像位置Aまでの距離は、3000パルスであった。
【0131】
まず、制御手段6に、グレープフルーツ(大)を撮像するための撮像タイミング(モード1)、伊予柑(中)を撮像するための撮像タイミング(モード2)、及び温州みかん(小)を撮像するための撮像タイミング(モード3)をそれぞれ設定した。グレープフルーツ(大)は、標準品である伊予柑(中)よりも500パルス大きいため、その撮像タイミングであるモード1は、上流の第2撮像手段3aについては、伊予柑(中)と同じく撮像位置Aに後端部が到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後とし、第1撮像手段については、グレープフルーツ(大)の中心が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心位置に到達する時点、すなわち検出位置Dから2750パルス後とし、下流の第2撮像手段3bについては、撮像位置Aにおける伊予柑(中)の前端部と同じ位置に前端部が到達する2500パルス後に撮像するように設定した。伊予柑(中)は、標準品であるから、その撮像タイミングであるモード2は、全ての撮像手段について、後端部が撮像位置Aに到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後に撮像するように設定した。温州みかん(小)は、伊予柑(中)よりも500パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード3は、上流の第2撮像手段3aについては、伊予柑(中)と同じく、後端部が撮像位置Aに到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後とし、第1撮像手段については、温州みかん(小)の中心が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心位置に到達する3250パルス後に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、温州みかん(小)の前端部が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の前端部と同じ位置に到達する3500パルス後に撮像するように設定した。表2は、実施例2の撮像タイミングの一覧である。
【0132】
【表2】
以上のように撮像タイミングを設定した物品検査装置1において、グレープフルーツ(大)を検査する場合、撮像タイミングをモード1に設定し、搬送手段によってグレープフルーツ(大)を順次一列に搬送させる。グレープフルーツ(大)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光がグレープフルーツ(大)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1500パルス後、グレープフルーツ(大)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号の入力後、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、検出信号の入力から2500パルス後、最初に下流の第2撮像手段3bに対し撮像信号を出力し、下流の第2撮像手段3bは、グレープフルーツ(大)の前面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。さらに250パルス後(検出信号の入力から2750パルス後)、制御装置6は、第1撮像手段に対し撮像信号を出力し、第1撮像手段は、グレープフルーツ(大)の上面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。最後に、さらに250パルス後(検出信号の入力から3000パルス後)、制御装置6は、上流の第2撮像手段3aに対し撮像信号を出力し、上流の第2撮像手段3aは、グレープフルーツ(大)の後面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0133】
次に、伊予柑(中)を検査する場合、撮像タイミングをモード2に設定し、搬送手段によって伊予柑(中)を順次一列に搬送させる。光電センサ4によって伊予柑(中)の後端部が検出され、制御装置6に検出信号が入力されると、制御装置6は、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、パルス数が3000パルスとなった時点で、全ての撮像手段に対し、撮像信号を送出し、伊予柑(中)の画像を入手する。
【0134】
また、温州みかん(小)を検査する場合、撮像タイミングをモード3に設定し、搬送手段によって温州みかん(小)を順次一列に搬送させる。光電センサ4によって温州みかん(小)の後端部が検出され、制御装置6に検出信号が入力されると、制御装置6は、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、検出信号の入力からのパルス数が3000パルスとなった時点で上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、パルス数が3250パルスとなった時点で第1撮像手段に対し撮像信号を出力し、さらに3500パルスとなった時点で下流の第2撮像手段3bに対し撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された温州みかん(小)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0135】
実施例2の物品検査装置1においては、標準物よりも大きいグレープフルーツ(大)においては、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段の撮像タイミングを標準物の撮像タイミング(3000パルス)よりも早く設定することにより、適切な大きさの画像を得ることができた。また、標準物よりも小さい温州みかん(小)については、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段の撮像タイミングを遅く設定することにより、適切な大きさの画像を得ることができた。なお、実施例2においても、モード1〜3の切り替えは、オペレーターによっても、その他の手段で切り替えてもよい。また、実施例2においても、各物品で上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにしたが変えてもよい。
【0136】
[実施例3]
実施例3は、光電センサ4において物品を検出する際に、その大きさを測定する機能を併せ持たせ、検出した物品のサイズに応じて、予め制御装置6に登録しておいたモードを読み出して、自動的に撮像タイミングを変更した実施例である。物品検査装置1の基本的な構成は、実施例2と同様である。
【0137】
制御手段6には、上記表1又は2のように、各モードとして、各物品に対する撮像タイミングを設定しておく。さらに、本実施例においては、制御手段6に物品の大きさとモードとの対応関係を登録しておく。表3は、その一例である。
【0138】
【表3】
実施例3の物品検査装置1において、搬送手段2によって搬送される物品は、光電センサ4によって、そのサイズが計測される。すなわち、制御手段6は、物品11の前端部が光電センサ4の位置に到達して、光電センサ4がOFF状態となった時点から、物品11の後端部が通過して光電センサ4がON状態となるまでのパルス数をエンコーダ5でカウントし、物品11の長さを計測する。その計測結果が、表3に示す何れの範囲に属するのか判断し、その範囲に対応するモードで各撮像手段に対し撮像信号を出力する。実施例3においては、選択されたモード及び計測された物品の長さも、物品の検査において重要な情報であるから、選択されたモード又は計測結果を画像と関連付けて記憶したり、表示したり、検査において利用したりすることが好ましい。
【0139】
実施例3の物品検査装置1では、物品の大きさの計測結果に基づいて、モードを変更するため、オペレーターによる設定の切り替えが不要であり、何品種もの物品を混在している場合や、同一品種内でサイズのばらつきが大きい物品(主に農産物)であっても、適切なサイズの画像を得ることができる。なお、実施例3においては、物品を検出するための光電センサ4を用いて物品のサイズを測定したが、物品のサイズを計測するためのセンサを別途に設けてもよい。
【0140】
[実施例4]
実施例4は、実施例1の撮像タイミングによって撮像された各物品の基準部位の長さを示す例である。制御手段6には、上記表1又は表2のように、各モードとして、各物品に対する撮像タイミングを設定しておく。表4は、各物品の基準部位の実際の長さと、設定された撮像タイミングによって撮像された各物品の上面画像及び側面画像における基準部位の長さとの関係を示した一例である。
【0141】
【表4】
実施例4において、グレープフルーツの外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、540ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、495ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、472ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、30ピクセルであった。
【0142】
まず、グレープフルーツの場合において、上面画像における長さを実際の長さに補正する第1係数kは0.28mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1(540ピクセル)から、0.28mm/ピクセル×540ピクセル=151.2mmと算出された。グレープフルーツの基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は150mmであったので、第1係数kによる計算結果もほぼ実寸どおりであった。なお、実際の長さLを測定しておくことで、第1係数kを計算(150mm÷540ピクセル)により求めることもできる。
【0143】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.28×(540÷495)
=0.31mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.31×30=9.3mm
【0144】
また、伊予柑の外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、397ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、485ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、482ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、20ピクセルであった。
【0145】
伊予柑の場合、第1係数kは0.25mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1を使用して、0.25mm/ピクセル×397ピクセル=99.25mmと算出された。伊予柑の基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は100mmであり、計算結果とほぼ一致した。
【0146】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.25×(397÷485)
=0.20mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.20×20=4.0mm
【0147】
また、温州みかんの外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、198ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、501ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、490ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、15ピクセルであった。
【0148】
温州みかんの場合、第1係数kは0.25mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1を使用して、0.25mm/ピクセル×198ピクセル=49.5mmと算出された。温州みかんの基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は50mmであり、計算結果とほぼ一致した。
【0149】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.25×(198÷501)
=0.10mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.10×15=1.5mm
【0150】
なお、以上の実施例1〜4においては、農産物を検査する装置について説明したが、本発明の範囲は、かかる構成に限定されるものではなく、その他の外観の検査が必要な物品において利用可能である。また、上記説明では搬送経路が直線状のものを例示したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば、回転体によって物品を円周方向へ搬送するようにしたいわゆるロータリ式の搬送手段を用いた場合であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 物品検査装置
2 搬送手段
3a 上流の第2撮像手段
3b 下流の第2撮像手段
3c 真横の第2撮像手段
3d 第1撮像手段
4 物品検出手段
5 搬送距離測定手段
6 制御手段
11a、11b、11c 物品
12a、12b、12c 上面画像
13a、13b、13c ある方向から撮像された側面画像
14a、14b、14c 他の方向から撮像された側面画像
15a、15b、15c 測定部位
16a、16b、16c 測定部位
L1 上面画像における基準部位の第1の長さ
L2 側面画像における基準部位の第2の長さ
L3 側面画像における測定部位の第3の長さ
L 上面画像又は側面画像における基準部位の実際の長さ
X 測定部位の実際の長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の外観を検査する技術に関し、特に物品を搬送手段によって搬送させつつ、少なくとも搬送方向の上流側方、下流側方及び上方のそれぞれに配置された撮像手段によって、物品の外観を撮像して検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農作物の色相、損傷、大きさ、形状、腐り具合等を検査するために、撮像手段によって農作物の外観を撮像し、基準となる画像と比較することで、色相、損傷、大きさ、形状、腐り具合等の農作物の情報を収集して検査する検査装置が知られている。かかる検査装置は、農作物を等級毎に仕分けする分別装置における外観検査手段として利用されている。
【0003】
特許文献1には、検査装置として、農作物を搬送させる搬送路の両側に斜め前後から、さらに搬送路の上下から農作物を撮像できるように、複数の撮像カメラを設け、農作物の側部周面および上下周面を撮像することが開示されている。一般的に、各撮像カメラは、画像処理による検査の精度を高めるため、農作物が画面の中心において鮮明にかつ適当な大きさの画像となるように配置される。つまり、標準的な農作物を基準として、画面中央に農作物の中心が位置するように撮像位置を設定し、農作物の表面が被写界深度内に含まれるように各撮像カメラを撮像位置に向けて配置する。特許文献1の図3における撮像カメラの配置から明らかであるが、複数の撮像カメラは、ある撮像位置における農作物に向けて配置されており、農作物が所定の撮像位置に到達したときにすべての撮像カメラを同時に撮像するものである。
【0004】
また、特許文献2には、移動物品の撮像装置において、移動物品検出器と移動物品の移動距離を測定するエンコーダを設け、ベルトコンベアによって搬送されている移動物品を移動物品検出器によって検出し、その後、エンコーダを用いて移動物品の移動距離を計測して、検出位置からの移動距離が所定の距離となったタイミングで撮像素子を動作させて移動物品を撮像させることが開示されている。
【0005】
特許文献3には、板状体を撮像した画像における測定部位の画素数を測定し、この測定部位の画素数に、予め定めてある1画素あたりの寸法(係数)をかけることによって、板状体の寸法を撮像した画像から画像処理によって算出する方法が開示されている。特許文献3においては、板状体の寸法を算出しているが、特許文献1及び2の農作物の外観検査装置においても同様の方法によって傷や高さの寸法を算出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−249249号公報
【特許文献2】特開平7−333174号公報
【特許文献3】特許第2640400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のとおり、撮像カメラの配置は、検査する農作物に対応させて、その向きや位置が決定される。農作物の分別装置は、一日に何品種もの仕分けを行うことがあり、品種によっては、その大きさや形状が大きく異なることもあるため、撮像カメラの配置を変更したり、品種に応じて撮像カメラを複数設けたりする必要があった。さらに、季節や時期に応じて、異なる種類の農作物を仕分けすることもあり、この場合にも、農作物の種類に応じて配置を変更したり、複数設けたりする必要があった。
【0008】
撮像カメラの配置を変えずに、大きさや形状が異なる農作物を同じ配置で撮像した場合、農作物の中心が画面の中心からずれてしまい農作物の画像が小さくなったり、画面から画像がはみ出したりすることがある。画像が小さくなると、解像度不足によって十分な検査を行うことができない場合がある。また、画面から画像がはみ出してしまうと、はみ出した部分の検査ができず、検査装置として不完全なものとなってしまう。さらに、農作物の大きさや形状の違いによって、撮像カメラから農作物の表面までの距離が変わることによって、農作物の表面の一部又は全部が被写界深度の範囲外となり、画像がぼけて不十分な検査となる可能性もある。
【0009】
加えて、撮像カメラで物品を撮像する際に、照明によって物品を照らしながら撮像する場合は、通常、撮像カメラと照明が一体化されているため、撮像カメラから農作物の表面までの距離が遠くなると照明からも遠くなり、その結果、画像が暗くなってしまうので、色相判定等において均一な判定を行うことが困難であった。さらに、物品の上方を撮像するための撮像カメラを設けた場合には、上流側に設けられた撮像カメラからの照明と、下流側の撮像カメラからの照明が均等に照射される位置、すなわち、上流側の撮像カメラと下流側の撮像カメラの中間地点において、上方の撮像カメラの光軸が物品の中心に対し垂直となるように上方の撮像カメラを配置しなければならなかった。上方の撮像カメラを上記配置としないと、その画像に上流側と下流側の照明による明暗のムラが生じてしまうので、色相判定等において均一な判定を行うことができなかったのである。
【0010】
図15は、上記問題点を説明するための図であり、従来の検査装置21の撮像時における撮像カメラ23a〜23dの配置と大きさが異なる農作物31a、31bとの配置状態を示す概略平面図である。また、図16(A)〜(D)は、それぞれ撮像された大きさが異なる農作物31a〜31bの画像を示すものである。図15において、農作物31a〜31bとして、大きい農作物31a及び小さい農作物31bの2つの種類の異なる農作物を例示している(図15においては、撮像位置及び検知位置D以外の農作物は省略している)。農作物31a〜31bは、ベルトコンベアなどの搬送手段22によって、順次、一列に整列された状態で矢印の方向に搬送される。特許文献2に記載されている撮像方法によれば、検査装置21は、移動物品検出器24によって移動する農作物31a〜31bを検出し、エンコーダ(図示せず)を用いて農作物31a〜31bの移動距離を計測して、検出位置Dから所定の距離だけ移動した撮像位置において複数の撮像カメラ23a〜23dを同時に動作させて、一度に農作物31a〜31bの全側面を撮像している。なお、図15の移動物品検出器24は、農作物によって遮断された光線が再び通過するようになった時点、すなわち、農作物の最後部を検出位置Dとして検知する手段である。
【0011】
図15においては、搬送される農作物のうち最も大きい農作物を基準として、撮像カメラ23a〜23dが配置されている。撮像カメラ23a〜23dは、最も大きい農作物が画面内に納まり、且つ農作物の表面が被写界深度の範囲内となるように、撮像位置からある程度の距離を持たせて配置されている。また、農作物の全側面を撮像できるように、4つの撮像カメラ23a〜23dは、農作物を中心として四方に搬送方向に対して斜め45°となるように配置されている。さらに、撮像カメラ23a〜23dで撮像する際に、物品表面を明るく照らすため、各撮像カメラ23a〜23dの上方には、それぞれ照明25a〜25dが設けられている。
【0012】
図16(A)は、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aによる大きい農作物31aの画像であり、図16(B)は、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cによる大きい農作物31aの画像である。図16(A)及び(B)に示すとおり、撮像カメラは大きい農作物31aを基準としているため、画面の中央に、適度な大きさで大きい農作物31aが撮像されている。
【0013】
図16(C)は、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aによる小さい農作物31bの画像であり、図16(D)は、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cによる小さい農作物31bの画像である。前述したとおり、図15の装置は、検出位置Dからの移動距離が所定の距離(撮像位置)となったタイミングで撮像するものであり、農作物の最後端部を検知している。このため、搬送方向上流(農作物の後方)に配置された撮像カメラ23aでは、撮像位置における大きい農作物31aの表面も小さい農作物31bの表面も、撮像カメラのレンズからほぼ同じ距離である。よって、図16(C)では、中心位置からずれてはいるものの、小さい農作物31bの画像は、大きい農作物31aに比べて、実際の比率と同程度の割合であり、また鮮明なものであった。これに対し、搬送方向下流(農作物の前方)に配置された撮像カメラ23cでは、撮像位置における大きい農作物31aの表面に比べて、小さい農作物31bの表面は遠くなってしまう。この結果、図16(D)の小さい農作物31bの画像は、中心位置からずれており、大きい農作物31aに対し実物の比率に比べてさらに小さく撮像されてしまう。さらに、撮像カメラ23d及び23cの照明25d及び25cからも遠くなるので、画像が暗くなってしまう。このため、小さい農作物31bの正確な大きさや色相を検査することができず、また場合によっては画像が小さすぎたり、暗すぎて表面の傷などを十分に検査できない場合もあり得る。
【0014】
従来、このような問題が生じていたため、実際の運用においては、撮像対象である農作物の大きさが変わると、その都度、オペレーターが手作業によって撮像カメラの配置やピントを変更していたが、かかる変更作業は、オペレーターにとって負担であったし、変更作業を怠ると正常な検査ができなかった。さらに、従来の手作業による変更では、大きさの異なる農作物が混在していた場合には対応することはできなかった。
【0015】
そこで、大きさの異なる農作物が混在していた場合であっても、オペレーターの手作業を介在することなく正確な検査をするために、本出願人は、検査の対象となる農作物の大きさ及び種類に応じて、上流及び下流の側方に配置された撮像カメラの撮像のタイミングを独立して設定することを提案した(特願2009−265151号)。
【0016】
しかしながら、複数の撮像タイミングを独立して設定した場合、撮像のタイミングによって、側方に配置された各撮像カメラと対象となる農作物の表面との間の距離(WD:Work Distance)が上流と下流とで変わることがあり、各撮像カメラによって撮像された農作物の側面画像毎に、側面画像の見かけの大きさ(画素数)が変わる。すなわち、撮像された側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係が変動するため、一つの係数に基づいて画像の大きさから実際の寸法を算出することができなかった。
【0017】
したがって、例えば、撮像された画像から傷等が発見されたとしても、その傷の見かけの長さ(画素数)を実際の長さに補正し、農作物の良否を判定することが難しかった。
【0018】
本発明は、上記の従来技術を踏まえて、従来の検査装置の設備をできるだけ利用しつつ、従来に比べて、撮像手段の配置の制約を緩和させ、より自由度の高い設定を可能とし、その結果として、より汎用性が高く、取り扱いが容易な物品検査装置及び方法を低コストで提供することを主たる目的とする。また、本発明の副次的な目的としては、大きさや形の異なる物品を複数の撮像手段で撮像する場合において、適切な画像を撮像できるような物品検査装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、本発明の物品検査装置は、前述した課題を解決するため、物品の外観を検査する物品検査装置であって、前記物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を上方側から撮像する第1撮像手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を側方側から撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1撮像手段によって撮像された前記物品の上面画像及び前記第2撮像手段によって撮像された前記物品の側面画像を取得し、前記取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする。
【0020】
また、前記物品検査装置において、前記制御手段は、前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することが好ましい。
【0021】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、前記第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、前記第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることが好ましい。
【0022】
また、前記物品検査装置において、前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、前記搬送手段は、大きさ及び形状の異なる複数種類の物品を搬送するとともに、前記制御手段は、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定することができ、搬送される物品の大きさ、形状又は種類に応じて、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定でき、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを同時に撮像する第1の設定と、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像する第2の設定を有することが好ましい。
【0023】
また、前記第2の設定は、前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が小さい場合に、前記上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記下流の第2撮像手段を撮像し、前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が大きい場合に、前記下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記上流の第2撮像手段を撮像することが好ましい。
【0024】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が長軸及び短軸を有する形状であって、前記搬送手段は、前記物品の長軸又は短軸が前記第2撮像手段の撮像方向に対して略直角となるように前記物品の向きを規制し、前記基準部位は、前記物品の長軸又は短軸であることが好ましい。
【0025】
また、搬送手段によって前記物品を搬送し、第1撮像手段によって前記物品を上方側から撮像し、第2撮像手段によって前記物品を側方側から撮像し、前記物品の上面画像及び側面画像を取得し、該取得した上面画像及び側面画像に基づき物品の外観を検査する物品検査方法であって、該取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする。
【0026】
また、前記物品検査方法において、前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することが好ましい。
【0027】
また、前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることが好ましい。
【0028】
また、前記物品検査方法において、前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定して、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像し、前記物品の複数の側面画像を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、検査の対象となる物品の基準部位(第1撮像手段によって撮像された上面画像と第2撮像手段によって撮像された側面画像とにおいて、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位)が、上方から観ても、何れの側方から観ても、略同一の長さとなることを利用して、すなわち、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の長さと側方画面における基準部位の長さとの対応関係を利用して、側面画像における傷等の部位の長さを補正することによって、正確な検査をすることができる。しかも、本発明は、最低限、第2撮像手段の画像を補正する制御手段を付加すれば実現可能であるため、従来の検査装置の設備の大半をそのまま利用することが可能であり、より汎用性が高く、取り扱いが容易な物品検査装置を低コストで提供することができる。
【0030】
また、搬送手段の上流側及び下流側にそれぞれ配置された上流の第2撮像手段及び下流の第2撮像手段に対し、それらの撮像タイミングを独立して制御できる制御手段を設け、搬送手段によって搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、物品と第2撮像手段との距離が所定の関係となるように制御手段によって第2撮像手段の撮像タイミングを制御して、大きさ又は位置が適切な画像を得るようにすれば、大きさの異なる物品に対し、それぞれ適切な画像を得ることができ、従来に比べて、第2撮像手段の配置の制約を緩和させ、より自由度の高い設定が可能である。
【0031】
特に、上流の第2撮像手段と下流の第2撮像手段を同時に撮像する第1の設定と、上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから下流の第2撮像手段を撮像する第2の設定とを有する場合、第1の設定によって、数量の多い標準品等を高速で処理することができ、また、第2の設定によって、上流の第2撮像手段に近い位置で物品の後方部分を撮像した後、物品が搬送され、下流の第2撮像手段に近付いた位置で物品の前方部分を撮像するため、各第2撮像手段から物品の表面までの距離が近くなり、大きさが小さい物品であっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。
【0032】
さらに、下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから上流の第2撮像手段を撮像する第3の設定を有する場合、第3の設定によって、下流の第2撮像手段から離れた位置で物品の前方部分を撮像した後、物品が搬送され、上流の第2撮像手段から離れた位置で物品の後方部分を撮像するため、各第2撮像手段から物品の表面までの距離が遠くなり、外形が大きいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。
【0033】
さらに、物品の大きさを測定する計測手段を備え、制御手段が、計測手段によって測定された物品の大きさに応じて、撮像タイミングの設定を変更すれば、オペレーターによる設定の切り替えが不要であり、何品種もの物品を混在している場合や、同一品種内でサイズのばらつきが大きい物品(主に農産物)であっても、適切なサイズの画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる物品検査装置全体の概略構成図
【図2】(A)及び(B)は、それぞれ複数の撮像手段の配置の他の実施形態を示す概略構成図
【図3】(A)〜(C)は、それぞれ各位置の撮像時における物品の配置と撮像手段との関係を示す図
【図4】(A)〜(C)は、第1撮像手段によって撮像された物品(大)(中)(小)の上面画像を示す説明図
【図5】(A)〜(C)は、第2撮像手段によって上流から撮像された物品(大)(中)(小)の側面画像を示す説明図
【図6】(A)〜(C)は、第2撮像手段によって下流から撮像された物品(大)(中)(小)の側面画像を示す説明図
【図7】補正処理の第1の例を示すフローチャート
【図8】物品の基準部位の実際の長さと、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の第1の長さとの関係を示す説明図
【図9】補正処理の第2の例を示すフローチャート
【図10】紡錘体である物品の配置と撮像手段との関係を示す図
【図11】(A)は第1撮像手段によって撮像された物品の上面画像を示す説明図、(B)は長軸に直角な光軸の第2撮像手段によって撮像された物品の長軸方向の側面画像を示す説明図、(C)は短軸に直角な光軸の第2撮像手段によって撮像された物品の短軸方向の側面画像を示す説明図
【図12】紡錘体である物品の他の配置と撮像手段との関係を示す説明図
【図13】(A)は第1撮像手段によって撮像された物品の上面画像を示す説明図、(B)は図12に示した配置において下流側の第2撮像手段によって撮像された物品の側面画像を示す説明図
【図14】本発明にかかる他の物品検査装置の概略構成図
【図15】従来の検査装置の概略構成図
【図16】(A)〜(D)は従来の検査装置によって撮像された農作物の画像の例
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明にかかる物品検査装置1全体の概略構成図である。図1において、物品検査装置1は、搬送手段2と、複数の撮像手段3(図面の3a、3b等をまとめて「3」とする。以下他の枝番が付加されているもの、例えば物品11a、11b等についても同じ)と、物品検出手段4と、搬送距離測定手段5と、制御手段6とを備えている。
【0037】
搬送手段2は、図示しない駆動源からの駆動力によって、所要の搬送速度で物品11を矢印方向(以下「搬送方向」といい、物品の供給元側を「上流側」と呼び、搬送先側を「下流側」と呼ぶ。以下同じ)に上流側から下流側に搬送するものであり、例えば、ベルトコンベヤ、ローラーコンベヤ、オーバーヘッドコンベヤ、パケットコンベヤ等を使用することができる。搬送手段2は、搬送速度を変化させることができてもよいし、搬送経路が直線であっても、曲線であってもよい。さらに、物品を一列に整列させるための整列手段を備えていることが好ましい。整列手段としては、例えば、物品を所定の位置にガイドするためのガイド板を設けたり、搬送方向と直交する搬送経路の断面形状をV字状にして、傾斜によって物品を所定の位置に整列させてもよい。また、搬送手段2は、ベルト上やローラー上に直接物品11を載せて搬送してもよいし、容器、皿等の上に物品11を載せた状態で搬送してもよい。ただし、物品の下面も検査する場合には、容器、皿等として、透明なものを使用する。
【0038】
搬送され検査される物品としては、少なくとも複数の角度からの側面の画像が必要とされる物品であり、搬送しながら画像が撮像される検査が行われる物品に適用することができる。各物品は、上方から撮像した上面画像と側面から撮像した側面画像とにおいて、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位(領域を含む)を有している。この部位を以下「基準部位」と呼ぶ。
【0039】
第1の実施形態において、検査の対象とする物品は、上方から観た水平断面が略円形となる形状であり、上方から観た水平断面の直径と側方から観た胴部の幅とが略同一となる対応関係を持つため、略円形の断面が基準部位となる。このような形状としては、例えば、球体、円柱、横長の楕円体(短軸を回転軸とする扁楕円体)、円錐、円錐台、円環体、その他の回転体等が当てはまる。なお、後述するように断面が略円形ではない物品であっても、物品の向きと側面からの撮像方向が特定の関係を満たせば、基準部位を有することがある。
【0040】
物品11として、具体的には、例えば、みかん、柿、梨、洋梨、桃、りんご、メロン、スイカ、トマト、いちご、アボカドなどの農産物、競技用のボール、カップ・瓶入りの各種食品等が挙げられる。なお、容器等を用いて縦置きの状態で安定して搬送することができる場合、物品11は、縦長の楕円体(長軸を回転軸とする長楕円体)であってもよい。長楕円体の物体11として、具体的には、例えば、キウイフルーツ、芋、卵等が挙げられる。特に、本発明の検査装置においては、異なる種類(大きさ又は形状)の物品11も搬送、検査することができる。なお、物品11は、搬送手段2によって等間隔に搬送される必要はなく(当然、等間隔であってもよい)、撮像する際に重ならない程度の距離を離間して一列になって搬送されていればよい。図1においては、大中小の3種類の大きさの異なる物品(大)11a、(中)11b、(小)11cを搬送する。
【0041】
複数の撮像手段3は、物品11の外観を撮像するものであり、物品11の検査される角度に合わせて複数設けられ、制御手段6によって撮像タイミングが制御される。本発明の検査装置1においては、物品11の上面を撮像する第1撮像手段3dと、物品11の側面を撮像する第2撮像手段とを有している。第2撮像手段は、搬送方向について異なる位置に配置され、物品11を搬送方向の上流側から撮像する上流の第2撮像手段3aと、物品11を搬送方向の下流側から撮像する下流の第2撮像手段3bとを有していることが好ましい。上流の第2撮像手段3aと下流の第2撮像手段3bは、標準品に対しては、所定の撮像位置において、同時に撮像して画像を取得できるように配置されている。なお、各撮像手段に照明を設けた場合、完全に同時に撮像すると、対向する撮像手段の照明が逆光として入射してしまい正常な画像を取得できないため、従来から、ある撮像手段が撮像している間は他の撮像手段の照明を消灯して撮像していた。このため、検査装置の分野において、同時に撮像するとは、撮像手段のシャッタースピード程度の時間差で順次撮像することも含まれる。例えば、撮像手段のシャッタースピードが1/2000秒(=0.5ms)だとすれば、4つの撮像手段によって四方向から物品を撮像する場合、1/2000秒×4=2ms程度の時間で撮像していた。これは、搬送速度が1000mm/sだった場合は、物品が2mm移動する間に撮像を終了することになる。つまり、所定の撮像位置も、同時と同様に、厳密な一点のみを指すものではなく、数mm程度の領域を含むのである。シャッタースピードは、搬送速度と関連しており、搬送速度が速い場合には、画像がぶれないように、シャッタースピードを短くする必要があり、反対にシャッタースピードを長くするためには搬送速度を遅くする必要がある。このことから、同時に含まれる期間は、数mm程度の所定の撮像位置において撮像できる期間であればよい。
【0042】
さらに、物品11の下面を撮像する撮像手段(図示省略)または物品11を真横から撮像する第2撮像手段3c(図2(B)参照)を設けてもよい。複数の撮像手段3によって撮像された画像は、制御手段6において、外観が検査される。撮像手段としては、通常、撮像カメラ(デジタルカメラ)が使用されるが、かかる構成に限定されるものではなく、二次元画像が得られればよい。また、可視光だけに限定されず、その他の赤外線や紫外線等を検出する撮像手段でもよい。さらに、撮像手段には、物品を照らすための照明(図示せず)を設けることが好ましい。照明としては、LEDランプ又はハロゲンランプを使用することができる。
【0043】
上流の第2撮像手段3aは、物品11を搬送方向の上流側から撮像して、物品11の搬送方向の後方の少なくとも一部を含むような画像を得るためのものである。このため、上流の第2撮像手段3aの光軸は、搬送方向の下流側を0°とした場合(以下、特に断らない限り光軸の角度はかかる基準を適用し、時計回りの角度を正とする)、±90°未満の角度である。また、上流の第2撮像手段3aは、搬送手段上の物品11よりも上方に配置して、物品11の搬送方向の後方上部を中心に撮像してもよいし、物品11よりも下方に配置して、物品11の搬送方向の後方下部を中心に撮像してもよい。上流の第2撮像手段3a自体は、1つ若しくは複数設けることができ、上流の第2撮像手段3aが2つの場合は、通常、搬送手段について対称に配置され、搬送方向の後方の左右両側を同時に観察できるようにされている。従来は、2つの上流の第2撮像手段3aの各光軸が±45°となるように配置されていた。しかし、本発明においては、撮像タイミングを独立して制御可能であるため、かかる配置に限定されない。例えば、複数の上流の第2撮像手段3aを搬送方向において異なる位置に配置してもよいし、複数の上流の第2撮像手段3aを異なる高さに複数設ける構成であってもよい。また、上流の第2撮像手段3aが1つの場合は、上流の第2撮像手段3aは、他の撮像手段の死角を補う位置に配置される。この場合の上流の第2撮像手段3aの光軸の向きは、±30°未満の範囲となることが好ましい。
【0044】
下流の第2撮像手段3bは、物品11を搬送方向の下流側から撮像して、物品11の搬送方向の前方の少なくとも一部を含むような画像を得るためのものである。このため、下流の第2撮像手段3bの光軸の角度は、90°〜180°又は−90°〜−180°の範囲である。また、下流の第2撮像手段3bは、水平面において、物品11よりも上方に配置して、物品11の搬送方向の前方上部を中心に撮像してもよいし、物品11よりも下方に配置して、物品11の搬送方向の前方下部を中心に撮像してもよい。下流の第2撮像手段3b自体は、1つ若しくは複数設けることができ、下流の第2撮像手段3bが2つの場合は、通常、搬送手段について対称に配置され、搬送方向の前方の左右両側を同時に観察できるように配置される。従来は、下流の第2撮像手段3bの各光軸が±135°となるように配置されていた。しかし、本発明においては、撮像タイミングを独立して制御可能であるため、かかる対称な配置に限定されず、複数の下流の第2撮像手段3bを搬送方向において異なる位置に配置してもよいし、複数の下流の第2撮像手段3bを異なる高さに複数設ける構成であってもよい。また、下流の第2撮像手段3bが1つの場合は、下流の第2撮像手段3bは、他の撮像手段の死角を補う位置に配置される。この場合の下流の第2撮像手段3bの光軸の角度は150°〜180°又は−150°〜−180°の範囲となることが好ましい。
【0045】
図1においては、複数の撮像手段として、上面を観察するための第1撮像手段3dと2つの上流の第2撮像手段3aと2つの下流の第2撮像手段3bを有し、さらに、下面を観察するための図示しない撮像手段とを有している。2つの上流の第2撮像手段3aは、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ45°及び−45°となるように配置され、2つの下流の第2撮像手段3bも、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ135°及び−135°となるように配置されている。2つの上流の第2撮像手段3aの光軸及び2つの下流の第2撮像手段3bの光軸が、一点で交差するように配置されることが好ましい。さらに、物品11の中心の上方に上面を観察するための第1撮像手段3dが配置され、物品11の中心の下方に下面を観察するための撮像手段(図示省略)が配置される。典型的には、撮像タイミングを合わせるために、上流の第2撮像手段3a及び下流の第2撮像手段3bの光軸の交点の上方及び下方に第1撮像手段3d及び下面を観察するための撮像手段(図示省略)が配置される。
【0046】
図2(A)及び(B)は、それぞれ複数の撮像手段の配置の他の実施形態を示すものであり、(A)は、2つの上流の第2撮像手段3aと1つの下流の第2撮像手段3bとを備えた実施形態の一例であり、(B)は、1つの上流の第2撮像手段3aと1つの下流の第2撮像手段3bと、さらに搬送方向に対して垂直な光軸を持つ1つの側面の第2撮像手段3cとを備えた実施形態の一例である。図2(A)では、光軸の方向が60°及び−60°の2つの上流の第2撮像手段3aが、搬送方向に対して対称に配置され、下流側には、光軸の方向が180°の1つの下流の第2撮像手段3bが搬送経路上に配置されている。各撮像手段の光軸の交点は上記搬送手段上で交差するように配置されている。なお、ここでいう交差とは、各撮像手段を同時に撮像することによって、物品11の全周囲を撮像するための配置であり、各撮像手段の光軸が厳密に一点で交差する場合だけではなく、物品11の範囲内において上下左右方向に多少のズレがある場合も含んでいる。図2(B)では、光軸の方向が30°の1つの上流の第2撮像手段3aと、光軸の方向が150°の1つの下流の第2撮像手段3bと、光軸の方向が−90°の1つの側面の第2撮像手段3cとが配置されている。図2(B)においても、各撮像手段の光軸の交点が、物品11の中心と重なるように配置されている。なお、図2(B)の側面の第2撮像手段3cの撮像タイミングは、物品の大きさに関係なく、物品の中心が光軸上に到達する時点で撮像することが好ましい。
【0047】
物品検出手段4及び搬送距離測定手段5は、図1においては、位置特定手段の一部となるものであり、物品検出手段4によって物品11を検出し、その後、搬送距離測定手段5によって検出位置からの距離を測定することで、制御手段6は、搬送される物品11の現在位置を特定することができる。ただし、位置特定手段としては、かかる構成に限定されるものではない。例えば、搬送速度が一定であれば、物品検出手段4と時間を測定するクロック回路(水晶振動子等)を組み合わせることで、位置を特定することができる。また、物品検出手段4の検出位置において撮像を開始する場合は、物品検出手段4を複数個設けることによって、検出した物品検出手段4の配置によって物品11の位置を特定することもできる。また、全く異なる手段、例えば物品11を載せる容器に電波の発振機を取り付けておき、電波を受信することで容器に載っている物品11の位置を特定する位置特定手段であってもよい。つまり、撮像するタイミングを制御するために、搬送される物品11の位置を特定できれば位置特定手段として利用することが可能である。
【0048】
また、物品検出手段4及び搬送距離測定手段5は、物品検出手段4が物品11を検出してから検出しなくなるまでの距離を搬送距離測定手段5によって測定することにより、制御手段6は、物品11の長さを測定することができるので、計測手段として機能させることもできる。しかし、上述した位置特定手段と同様、計測手段もかかる構成に限定されるものではなく、その他の手段であっても物品11の大きさを測定できれば計測手段として利用することができる。
【0049】
物品検出手段4は、搬送手段2の搬送経路の少なくとも撮像手段3によって撮像される地点又は同地点よりも上流に配置された物品11の存在を検出するセンサを有する。物品検出手段4として、例えば、発光素子と受光素子の組み合わせを使用することができ、発光素子からの光を物品が遮ることによって物品の前端部を検出でき、さらにその後、遮光されていた光を受光素子が受光し始めることによって物品の後端部を検出できる。しかし、物品検出手段4は、かかる構成に限定されるものではなく、圧力センサや赤外線センサなど適宜使用することができる。物品検出手段4で検出した物品11に関する情報は、制御手段6に入力される。
【0050】
搬送距離測定手段5は、搬送手段2による物品11の搬送距離を測定するものであり、物品検出手段4によって検出された位置からの距離を測定することで、撮像タイミングを制御するためのものである。搬送距離測定手段5として、例えば、エンコーダ等のパルス発生器によって、コンベヤの図示しない回転軸に接続させて回転軸の回転角度を検出して搬送距離を測定してもよいし、搬送速度と搬送時間を検出して搬送距離を測定してもよい。搬送距離測定手段5で検出した距離に関する情報は、制御手段6に入力される。
【0051】
制御手段6は、少なくとも複数の撮像手段3の撮像タイミングを制御するものであり、特に本発明においては、複数の撮像手段3のうち上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定できるものである。そして、制御手段6は、物品11の大きさ又は種類に応じて、上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段3bの撮像タイミングの組み合わせを複数設定できる。このため、搬送される物品11の大きさや種類が変わっても、撮像タイミングの設定を変更するだけで、物品検査装置1を利用することが可能なのである。また、制御手段6は、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された側面画像を取得し、画像処理によって物品の外観を検査する。
【0052】
さらに、制御手段6は、物品検査装置1のその他の機能についても制御してもよい。例えば、装置の起動と終了や、搬送速度の調整、搬送経路の設定の制御ができてもよいし、撮像した画像を加工してもよい。制御手段6としては、例えば、演算機能と記憶機能を備えた情報処理装置を使用することができる。演算機能は、例えば、プロセッサによって構成されてもよい。記憶機能は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク装置等によって構成されてもよい。プロセッサは、例えば、ハードディスク装置から半導体メモリにロードされたプログラムを実行することによって、各種処理を実現する。
【0053】
撮像タイミングの組み合わせとしては、大きく分けて次の3パターンに分類できる。但し、後述するとおり、第2パターン及び第3パターンの場合、一つのパターンの中でも、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定することはできる。
【0054】
第1パターン:上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bを同時に撮像させるパターン
第2パターン:先に上流の第2撮像手段3aを撮像させ、その後、下流の第2撮像手段3bを撮像させるパターン
第3パターン:先に下流の第2撮像手段3bを撮像させ、その後、上流の第2撮像手段3aを撮像させるパターン
【0055】
第1パターンは、従来技術における撮像タイミングと実質的に同じであるが、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bの撮像タイミングを独立して設定できるのであるから、当然、同時に設定することも可能である。第1パターンは、高速処理が可能であるから、検査装置1において、標準又は最頻物となる物品11(以下「標準品」という)の撮像タイミングとすることが好ましい。そして、第1パターンの撮像位置(位置A)は1点であり、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bは、かかる撮像位置Aにおいて、物品11が画面の中心において鮮明にかつ適当な大きさの画像となるように配置されることが好ましい。図1においては、物品(中)11bを標準品としている。図1においては、物品11(中)の中心が、各撮像手段3の光軸の交点に配置されるように位置Aが設定されている。
【0056】
第2パターンは、搬送経路の上流側の位置B1において、上流の第2撮像手段3aによって撮像し、その後、下流側の位置B2において、下流の第2撮像手段3bを撮像させるものである。第2パターンは、標準品に比べて小さい物品の場合に適用することが好ましい。すなわち、上流の第2撮像手段3aに近い位置B1で物品11の後方部分を撮像した後、物品11が搬送され、下流の第2撮像手段3bに近付いた位置B2で物品11の前方部分を撮像する。このため、各撮像手段から物品11の表面までの距離が近くなり、大きさが小さいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。第2パターンにおいては、上流の第2撮像手段3aから位置B1までの距離と下流の第2撮像手段3bから位置B2までの距離をほぼ同じにすることで、撮像した各画像の大きさ(実物との比率)を同じにすることができるので好ましい。
【0057】
第2パターンは単に順番を特定しているだけであり、物品11の大きさや種類に応じて、上流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置B1)や下流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置B2)をそれぞれ変更できる。このため、仮に、制御手段6において設定された撮像タイミングの組み合わせが、第2パターンだけであっても、位置B1又は位置B2の設定を変えることで、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせが設定できる。
【0058】
第3パターンは、搬送経路の上流側の位置C1において、下流の第2撮像手段3bによって撮像し、その後、下流側の位置C2において、上流の第2撮像手段3aを撮像させるものである。第3パターンは、標準品に比べて大きい物品の場合に適用することが好ましい。すなわち、下流の第2撮像手段3bから離れた位置C1で物品11の前方部分を撮像した後、物品11が搬送され、上流の第2撮像手段3aから離れた位置C2で物品11の後方部分を撮像する。このため、各撮像手段から物品11の表面までの距離が遠くなり、外形が大きいものであっても、適度な大きさで鮮明な画像を得ることが可能である。第3パターンにおいては、上流の第2撮像手段3aから位置C2までの距離と下流の第2撮像手段3bから位置C1までの距離をほぼ同じにすることで、撮像した各画像の大きさ(実物との比率)を同じにすることができるので好ましい。
【0059】
第3パターンは単に順番を特定しているだけであり、物品11の大きさや種類に応じて、上流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置C1)や下流の第2撮像手段の撮像タイミング(位置C2)をそれぞれ変更できる。このため、仮に、制御手段6において設定された撮像タイミングの組み合わせが、第3パターンだけであっても、位置B1又は位置B2の設定を変えることで、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせが設定できる。
【0060】
なお、上記3パターンは、上流及び下流の第2撮像手段3a及び3bの撮像タイミングについてのみ分類したのであって、さらに、上面、真横、下面を撮像する撮像手段が設けられていた場合には、それらの撮像タイミングによって、さらにパターンは増える。ただし、基本的には、上面、真横、下面を撮像する撮像手段は、撮像手段の光軸上に物品の中心が位置したタイミングで撮像されることになる。
【0061】
さらに、制御手段6は、物品検出手段4及び搬送距離測定手段5によって、物品11の長さを測定し、かかる長さに基づいて、撮像タイミングの設定を自動的に変更できることが好ましい。この場合、撮像タイミングの設定として、ある範囲の長さについては第1の設定、他の範囲については第2の設定を制御手段6に登録しておき、測定した長さが何れの範囲に属するのかを判断して設定を変更してもよい。この場合、物品の種類に関係なく、物品の長さに応じて適切な画像を得ることができる。また、測定した長さから、物品の種類を判別して、判別した種類の物品用の設定に変更してもよい。この場合には、判別した種類の物品に特有の検査(例えば仕分け処理、色合等)も実施することが可能である。また、撮像位置を求める関数に測定した物品の長さを入力して、撮像位置を算出して、撮像タイミングを変更してもよい。この場合、物品の種類に関係なく、物品の長さに応じてより適切な画像を得ることができる。
【0062】
撮像位置である位置A、位置B1、位置B2、位置C1及び位置C2は、物品検出手段4の検出位置Dとそこからの距離(0を含む)によって設定することができる。撮像タイミングとして、物品の何れの部位が撮像位置に到達した時点とするかは、あまり重要ではなく、撮像時における物品と撮像手段の相対的な位置関係が同じであれば、物品の部位と位置との関係は適宜設定することができる。すなわち、長さ10cmの物品の先端部がある位置Aに到達したタイミングは、当該物品の中心部が位置Aの5cm上流側の位置に到達したタイミングと同じであり、さらには、当該物品の後端部が位置Aの10cm上流側の位置に到達したタイミングと同じである。よって、物品検出手段4による物品を検知した部位等から到達する部位と撮像位置を設定すればよい。なお、物品の中心を計測手段によって求める場合は、物品の長さを測定し、その半分となる部位を計算すればよい。図1において各撮像位置は、物品11の後端部の到達位置で設定している。
【0063】
図1では、位置A、位置B1及び位置C2は同じ位置であり、これらの位置A,B1,C2よりも下流側に位置B2が設定され、上流側に位置C1が設定されている。
【0064】
図3(A)は位置B1及びC2の撮像時における物品11a及び11cの配置と撮像手段との関係を示す図であり、同(B)は位置B2の撮像時における物品11cの配置と撮像手段との関係を示す図であり、同(C)は位置C1に関する物品11aの配置と撮像手段との関係を示す図である。図3(A)乃至(C)において、基準として、位置Aにおける標準物である物品11bを点線で示し、使用しない撮像手段に網掛けを付けた。
【0065】
図3(A)において、物品(小)11cが位置B1に到達したタイミングで上流の第2撮像手段3aは作動するが、下流の第2撮像手段3bは作動しない。このため、位置B1における物品(小)11cの後部だけが撮像される。また、物品(大)11aが位置C2に到達したタイミングにおいても、上流の第2撮像手段3aが作動し、位置C2における物品(大)11aの後部だけを撮像する。
【0066】
なお、第1撮像手段3d、及び搬送方向に対して垂直方向に配置された他の撮像手段(真横、下面撮像手段)については、各撮像手段の光軸上に各物品の中心が位置したタイミングで撮像するのが好ましいが、第1撮像手段3d、及び他の撮像手段(真横、下面撮像手段)の撮像タイミングはこれに限定されず、各面の画像において、物品の全体が撮像されるような撮像タイミングであればよい。例えば、第1撮像手段3d、及び他の撮像手段(真横、下面撮像手段)は、第2撮像手段3a又は3bの撮像タイミングに合わせて撮像してよい(図3(B)及び(C)でも同じ)。図1及び図3において、位置Aと位置B1と位置C2を一致させると、上流の第2撮像手段3aから物品11a及び11cの後部表面までの距離が標準品である物品(中)11bとほぼ同じとなるため、物品11a及び11cの後部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも位置A、位置B1及び位置C2を一致させる必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が収まるように、被写界深度の範囲内で位置B1及び位置C2を調整することができる。
【0067】
図3(B)において、位置B1よりも下流側に配置された位置B2に物品(小)11cが到達したタイミングで下流の第2撮像手段3bが作動する。このため、位置B2における物品(小)11cの前部だけが撮像される。図3(B)において、位置B1における物品(小)11cの前端部は、標準品である物品(中)11bの前端部と揃っている。このため、下流の第2撮像手段3bから物品11cの前部表面までの距離が標準品である物品11bとほぼ同じとなるため、物品11cの前部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも標準品と前端部を揃える必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が適度な大きさで収まるように、被写界深度の範囲内で位置B2を調整することができる。
【0068】
図3(C)において、位置C2よりも上流側に配置された位置C1に物品(大)11aが到達したタイミングで下流の第2撮像手段3bが作動する。このため、位置C1における物品(大)11aの前部だけが撮像される。図3(C)において、位置C1における物品(大)11aの前端部は、標準品である物品(中)11bの前端部と揃っている。このため、下流の第2撮像手段3bから物品11aの前部表面までの距離が標準品である物品11bとほぼ同じとなるため、物品11aの前部についての画像が、標準品と同様に鮮明な画像を得ることができ好ましい。しかし、必ずしも標準品と前端部を揃える必要はない。物品の大きさを勘案して、画面内に物品の画像が適度な大きさで収まるように、被写界深度の範囲内で位置C1を調整することができる。なお、説明の都合上、先に図3(A)における位置C2について説明したが、実際には、より上流側に配置されている位置C1の撮像が位置C2の撮像よりも先に行われる。
【0069】
本実施形態では、搬送手段によって搬送される物品11a〜11cの大きさ又は種類に応じて、物品11a〜11cと第2撮像手段3a、3bとの距離が所定の関係となるように制御手段によって複数の異なる撮像タイミングが設定される。このため、大きさの異なる物品11a〜11cであっても、それぞれ適切な大きさの側面画像を得ることができる。しかし、設定される撮像タイミングによって、第2撮像手段3a、3bと物品11a〜11cとの距離(WD)が変わるため、撮像された側面画像の見かけの大きさ(側面画像を構成する画素数)は物品11毎にも、また第2撮像手段3a、3b毎にも異なる。すなわち、撮像された側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係が変動する。さらに、側面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係は、上面画像の大きさと農作物の実際の寸法との対応関係に対しても変動する。
【0070】
図4(A)〜(C)は、第1撮像手段によって撮像された物品(大)11a、(中)11b、(小)11c--の上面画像12を示す説明図であり、図5(A)〜(C)及び図6(A)〜(C)は、それぞれ上流及び下流の第2撮像手段によってから撮像された物品(大)11a、(中)11b、(小)11cの側面(後面)画像13及び側面(前面)画像14を示す説明図である。図4ないし図6において、物品(大)11aは円柱であり、物品(中)11bは扁平な楕円体であり、物品(小)11cは、円錐台である。
【0071】
図4(A)に示された物品11aの上面画像12aは、例えば、物品11aの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(A)に示された物品11aの側面画像13aは、第3パターンの撮像タイミングによって、物品11aの後端が位置C2(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11aの後面の画像である。図6(A)に示された物品11aの側面画像14aは、第3パターンの撮像タイミングによって、物品11aの後端が位置C1(図3(C)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11aの前面の画像である。
【0072】
図4(B)に示された物品11bの上面画像12bは、例えば、物品11bの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(B)に示された物品11bの側面画像13bは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11bの後端が位置A(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11bの後面の画像である。図6(B)に示された物品11bの側面画像14bは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11bの後端が位置A(図3(B)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11bの前面の画像である。
【0073】
図4(C)に示された物品11cの上面画像12cは、例えば、物品11cの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって、撮像された画像である。図5(C)に示された物品11cの側面画像13cは、第2パターンの撮像タイミングによって、物品11cの後端が位置B1(図3(A)参照)に到達した時に上流の第2撮像手段3aによって撮像された物品11cの後面の画像である。図6(C)に示された物品11cの側面画像14cは、第2パターンの撮像タイミングによって、物品11cの後端が位置B2(図3(B)参照)に到達した時に下流の第2撮像手段3bによって撮像された物品11cの前面の画像である。
【0074】
なお、上面画像12の撮像タイミングは、中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングに限定されない。また、後面の側面画像13と前面の側面画像14における物品11の見かけ上の大きさは一致している必要はない。
【0075】
各上面画像12における基準部位は、水平断面によって形成される略円形の径である。以下、上面画像12における基準部位の長さを「第1の長さ」という。図4(A)では、基準部位(略円形の径)の第1の長さを「L1」で示した。第1の長さ(L1)は、例えば、画素(ピクセル)を単位として示されてもよい。また、以下、実際の物品における基準部位の長さを「L」と記載する。
【0076】
後面の側面画像13及び前面の側面画像14における基準部位は、物体胴部の最大の幅である。以下、側面画像13、14における基準部位の長さを「第2の長さ」という。図5(A)では、第2の長さを「L2」で示した。第2の長さ(L2)は、例えば、ピクセルを単位として示されてもよい。上面画像及び側面画像における基準部位は、実際の物品において対応関係を持ち、基準部位の長さは、水平断面が略円形であるから、何れも略同一の「L」である。
【0077】
上面画像12及び側面画像13、14は、物品11の表面に生じた傷、変色、汚れ等のある部位や高さ等、検査において、その大きさや長さの測定が必要な部位(以下「測定部位」という。)15、16を含むことがある。図4〜6においては、上面画像12には測定部位を確認できないが、各側面画像13、14には測定部位15、16を確認できる。以下、測定部位15、16の長さを「第3の長さ」といい、第3の長さを「L3」と記載する。第3の長さL3は、例えば、ピクセルを単位として示されてもよい。また、以下、実際の物品11における測定部位の長さを「X」と記載する。
【0078】
図4〜6に示したとおり、本実施形態では、上面画像12は、第1撮像手段3dによって、物品11の大きさ及び種類にかかわらず、固定された撮像タイミング(中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミング)で撮像される。このため、上面画像12の大きさと実際の物品11の大きさとは相関しており、1画素あたりの寸法や面積(係数)を掛けることにより、上面画像12の大きさから実際の物品11の寸法や面積を算出できる。
【0079】
側面画像13、14は、上流及び下流の第2撮像手段3a、3bによって、物品11の大きさ及び種類に応じた複数の撮像タイミングで撮像される。このため、大きさ及び種類の異なる物品11に対しても、それぞれ適切な大きさの側面画像13、14を得ることができる。しかしながら、各側面画像13、14における測定部位15、16の長さは、側面画像13、14の大きさが実際の物品11の大きさとは相関していないので、見た目によっては比較することが難しい。そこで、本発明においては、上面画像における基準部位と側面画像における基準部位との対応関係に基づいて、側面画像における測定部位の長さを補正する。以下、補正処理について説明する。
【0080】
図7は、補正処理の第1の例を示すフローチャートである。まず、制御手段6は、ある物品11について、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された複数の前面及び後面の側面画像を取得する(S701)。次に、制御手段6は、取得した上面画像における基準部位(水平断面の径)を選択し、ピクセルを単位とする第1の長さ(L1)を測定する(S702)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における基準部位(胴部の最大幅)を選択し、ピクセルを単位とする第2の長さ(L2)を測定する(S703)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)を選択し、ピクセルを単位とする第3の長さ(L3)を測定する(S704)。
【0081】
そして、制御手段6は、第1の長さ(L1)と第2の長さ(L2)との比(L1/L2)に基づいて、側面画像における測定部位の第3の長さ(L3)を補正する(S705)。具体的には、下記の式1によって比(L1/L2)を測定部位の第3の長さ(L3)に乗じる。
補正後の第3の長さ=(L1/L2)×L3・・・(式1)
【0082】
これによって、側面画像における測定部位の長さが上面画像ではいくつのピクセルに相当するかを算出することができる。制御手段6は、対象となる側面画像又は測定部位が他になければ補正処理を終了する(S706)。なお、各ステップは、図7に示した順序に限定されず、計算が可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS702からS704はいずれの順序によって処理されてもよい。また、ステップS705は、最終的に上記式1が得られれば足りるので、例えば、第3の長さ(L3)と第2の長さ(L2)との比(L3/L2)を第1の長さ(L1)に乗じてもよい。
【0083】
この補正処理によって、異なる撮像タイミングで撮像された側面画像における測定部位の長さを上面画像における画素数に換算することができるので、正確に物品の外観を検査することができる。制御手段6は、前述した補正処理の後、所定の閾値と測定部位の補正された長さとの比較処理を実行し、物品の良否を判定してもよい。複数の閾値を設定すると、物品検査装置は、物品の傷の長さに従って、物品をいくつかの階級に区分することができる。
【0084】
ところで、本実施形態では、上面画像は第1撮像手段3dによって常に固定点で撮像されるので、物品11a〜11cの表面と第1撮像手段3dとの間の距離(WD)はほぼ一定である。よって、第1撮像手段3dの画角、焦点距離等がほぼ一定であるので、第1撮像手段3dによって撮像された物品11a〜11cの上面画像12a〜12cの見かけの大きさは、物品11a〜11cの実際の大きさに対応する。したがって、本実施形態では、上面画像における長さ(例えば、ピクセル)を実際の長さ(例えば、mm)に補正する係数(以下、「第1係数」という。)をあらかじめ設定しておくこと又は計算により求めることができる。
【0085】
図8は、物品の基準部位の実際の長さLと、第1撮像手段によって撮像された上面画像における基準部位の第1の長さL1との関係を示す説明図である。縦軸は、基準部位の実際の長さL(例えば、mmを単位とする)を示す軸であり、横軸は、撮像された上面画像における基準部位の第1の長さL1(例えば、ピクセルを1単位とする)を示す軸である。
【0086】
図8に示した四角は、物品(大)11a(例えば、グレープフルーツ)の測定値である。三角は、物品(中)11b(例えば、伊予柑)の測定値である。丸は、物品(小)11c(例えば、温州ミカン)の測定値である。図8に示した直線は、例えば、最小二乗法によって算出された直線であり、各丸、三角、四角によって示される測定値との差の二乗を最小にする各点を結ぶ直線である。LとL1との関係は、この直線の傾きkを用いると下記の式2によって示される。すなわち、この直線の傾きkを第1係数に設定することができる。
L=k×L1・・・(式2)
【0087】
なお、ここで、物品11の水平断面は略円形であるので、上から観た基準部位の実際の直径と、側面画像における基準部位の実際の幅とは略同一であり、「L」である。このため、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係、及びあらかじめ設定された第1係数を利用すると、側面画像における第2の長さ(例えば、ピクセル)及び第3の長さを実際の長さ(例えば、mm)に補正する係数(以下、「第2係数(j)」という。)を算出することができる。
【0088】
以下、あらかじめ設定された第1係数kに基づいて、撮像された側面画像毎に第2係数を算出し、各側面画像における測定部位の第3の長さを実際の長さに換算する補正処理について説明する。
【0089】
図9は、補正処理の第2の例を示すフローチャートである。まず、制御手段6は、ある物品11について、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された複数の前面及び後面の側面画像を取得する(S901)。次に、制御手段6は、取得した上面画像における基準部位(水平断面の径)を選択し、ピクセルを単位とする第1の長さL1を測定する(S902)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における基準部位(胴部の最大幅)を選択し、ピクセルを単位とする第2の長さL2を測定する(S903)。次に、制御手段6は、取得した各側面画像における測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)を選択し、ピクセルを単位とする第3の長さL3を測定する(S904)。
【0090】
そして、制御手段6は、あらかじめ設定された第1係数kを取得する(S905)。なお、搬送される各物品11の高さが著しく異なる場合、厳密に言えば、物品11の表面と第1撮像手段3dとの間の距離(WD)は一定ではない。よって、この場合には、物品11の高さに応じて、あらかじめ複数の第1係数が設定されてもよい。具体的には、例えば、物品11が位置Dを通過する時に、物品検出手段4が物品11の高さを検出し、検出された物品11の高さに基づいて制御手段6があらかじめ設定された複数の第1係数のうちの一つの第1係数kを取得する。
【0091】
次に、制御手段6は、取得した第1係数kを用い、下記の式3に基づいて、上面画像における第1の長さL1を実際の長さLに換算する(S906)。
L=k×L1・・・(式3)
【0092】
次に、制御手段6は、ステップS903において測定されたL2とステップS906において換算されたLとに基づいて、下記の式4によって、第2係数jを算出する(S907)。
j=k×(L1/L2)・・・(式4)
【0093】
最後に、制御手段6は、算出された第2係数jに基づいて、下記の式5によって、側面画像における測定部位の第3の長さL3を実際の長さXに換算する(S908)。
X=j×L3(=k×(L1/L2)×L3)・・・(式5)
【0094】
制御手段6は、対象となる側面画像及び測定部位が他になければ補正処理を終了する(S909)。なお、各ステップは、図9に示した順序に限定されず、計算が可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。例えば、ステップS905は、S901の前に実行されてもよいし、ステップS902からS904は、いずれの順序によって実行されてもよい。以上の補正処理によって、異なる撮像タイミングで撮像された側面画像における測定部位の第3の長さL3を実際の長さXに換算することができるので、正確に物品の外観を検査することができる。制御手段6は、前述した補正処理の後、所定の閾値と測定部位の実際の長さとの比較処理を実行し、物品の良否を判定してもよい。
【0095】
また、上面画像にも測定部位(傷、汚れ、変色等がある部位)が観察される場合、ステップS906において、制御手段6は、第1係数kに基づいて、上面画像における測定部位の長さを実際の長さに換算してもよい。また、ステップS908において、制御手段6は、第2係数jに基づいて、側面画像における測定部位のほか、側面画像の高さを実際の高さに換算してもよい。この場合、換算された第2の長さの実際の長さL(物品の幅に相当する)及び実際の高さに基づいて、物品の概略の体積を算出してもよい。
【0096】
さらに、測定部位が線ではなく、例えば、幅をもった領域である場合、制御手段6は、ステップS904において、側面画像における測定部位の面積(画素数)を算出し、ステップS908において、算出された側面画像における測定部位の面積を第2係数(長さの係数の二乗)に基づいて実際の面積に換算してもよい。
【0097】
加えて、制御手段6は、物品検査装置に備えられた図示しない表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)に、物品11の上面画像及び側面画像を表示し、さらに、例えば、mm又はcmを単位として、物品11の幅、高さ、径及び傷等の長さ・面積の検査結果を表示してもよい。検査者は、表示装置に表示されたこれらの検査結果に基づいて、物品検査装置による判定を修正してもよい。
【0098】
なお、本発明の補正処理は、第2撮像手段の撮像タイミングが固定されている従来の物品検査装置にも適用することができる。
【0099】
従来の物品検査装置では、第2撮像手段の撮像タイミングが固定されているので、側面画像の見かけの大きさは、撮像される物品の実際の大きさと対応する。よって、従来の物品検査装置では、図15と同様に、側面画像における基準部位の長さ(ピクセル数)と物品における基準部位の実際の長さとの関係をあらかじめ実験等によって求めておき、この実験結果に基づいて、側面画像における測定部位の長さを実際の長さに換算する第2係数jが設定されていた。しかし、各第2撮像手段にそれぞれ第2係数jが設定されるため、撮像手段の配置を変更した場合には、全ての撮像手段(第1、第2撮像手段)について、第2係数jを求めて設定する必要があった。
【0100】
本発明の補正処理を従来の物品検査装置に適用すると、第1の長さL1と第2の長さL2との対応関係に基づいて、測定部位の長さを算出し、判定できる。さらに、第1係数kによって、第2係数jを算出することができるので、第2係数jをあらかじめ実験等によって求めておく必要がないし、設定を変更する場合であっても、上面画像の第1係数kだけを変更するだけでよい。
【0101】
[第2実施形態]
第2の実施形態においては、検査の対象とする物品の形状は、第1の実施形態において説明した水平断面が略円形である球体、扁楕円体、円柱、円錐台等の回転体に限定されず、例えば、横置きにされた紡錘体、横置きにされた長楕円体、横置きにされた円柱等であってもよい。これらを上方から観た水平断面は、楕円、紡錘形、長方形である。以下、これらの水平断面において、物品の長さ方向の軸を長軸(La)といい、物品の幅方向の軸を短軸(Lb)という(長軸と短軸が同じ場合もある)。このような形状を持つ物品11dとしては、レモン、さつま芋等が挙げられる。
【0102】
長軸及び短軸を有する物品の場合は、搬送手段2において物品11dを搬送する時の物品11dの配置と第2撮像手段の配置とが所定の関係を満たす必要がある。所定の関係とは、第2撮像手段の光軸と物品11dの長軸(La)又は短軸(Lb)とが常に略同じ角度となるような関係である。通常は、第2撮像手段の光軸は固定されているから、搬送手段2によって物品11dを搬送する時に、物品11dの向きを所定の関係を満たすような配置となるように規制する。第2撮像手段の光軸と物品11dの長軸(La)又は短軸(Lb)との角度としては、略直角となることが好ましいが、直角に限定されるものではない。以下、図10及び11において略直角に配置した例を説明するが、後述する図12及び13において直角以外の配置の例を説明する。
【0103】
図10において、各撮像手段の配置は図1に示した物品検査装置の構成と同様であり、2つの上流の第2撮像手段3aは、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ45°及び−45°となるように配置され、2つの下流の第2撮像手段3bも、搬送手段に対し対称に配置されており、それらの光軸が搬送方向に対し、それぞれ135°及び−135°となるように配置されている。さらに、図10では、検査対象の物品11dが、規制手段(図示省略)によって、長軸(La)が搬送方向に対して−45°の向きになり、かつ、短軸(Lb)が搬送方向に対して45°の向きになるように配置した状態で搬送手段2によって搬送される。規制手段には、例えば、バケット、V字型の溝が形成されたベルトコンベア等を使用することができる。
【0104】
なお、図10では、検査対象の物品11dとして、紡錘体の物品(例えば、レモン、さつまいも等)を例示したが、これに限定されず、例えば、実施形態と同様の水平断面が略円形の物品も、水平断面が略長楕円体の物品(例えば、じゃがいも、なす、アボカド等)も、水平断面が略長方形の物体(例えば、長いも、大根、長ねぎ、きゅうり等)も検査することもできる。
【0105】
さらに、各撮像手段についても、図10に示した配置に限定されず、例えば、図2(A)又は(B)に示すような配置であってもよい。また、物品11dの一方の側面と他方の側面とを撮像する2台の真横の第2撮像手段3cを配置してもよい。図2(B)に示したとおり、真横の第2撮像手段3cが配置された場合、又は、2台の真横の第2撮像手段3cが配置された場合、規制手段は、物品11dの長軸が搬送方向に対して0°、すなわち、長軸の方向と光軸とが直交するように物品11dを置いてもよい。この場合、規制手段は、例えば、V字型に傾けられた2本のベルトコンベアによって構成され、物品11dの向きをその長軸方向が搬送方向となるように規制してもよい。
【0106】
なお、上流の第2撮像手段3aと下流の第2撮像手段3bとは、物品11dの中心が各光軸上に到達する時点で同時に撮像することが好ましい。つまり、第2実施形態では、撮像タイミングの組み合わせとして、第1実施形態における第1パターンを使用する。
【0107】
さらに、物品11の中心の上方に上面を観察するための第1撮像手段3dが配置される。第1撮像手段3dは、その光軸が各第2撮像手段3a、3bの光軸の交点を通る垂直軸となるように配置される。第1撮像手段3dは、物品11dの中心が光軸上に到達する時に物品11dの上面画像を撮像する。
【0108】
なお、撮像タイミングを設定する場合、例えば、図示しない物品検出手段は、搬送される物品11dの前端部と後端部とを検出してもよい。そして、搬送距離測定手段5は、物品11dの搬送距離を測定する。これによって、制御手段6は、搬送される物品11の中心の位置を計算し、その中心位置が各光軸の交点に到達するタイミングを計算することができる。
【0109】
図11(A)は、第1撮像手段3dによって撮像された物品11dの上面画像を示す説明図である。図11図(B)は、物品11dの長軸に直角な光軸の第2撮像手段3a又は3bによって上流又は下流から撮像された物品11dの長軸方向の側面画像を示す説明図である。図11図(C)は、物品11dの短軸に直角な光軸の第2撮像手段3a又は3bによって上流又は下流から撮像された物品11dの短軸方向の側面画像を示す説明図である。
【0110】
上面画像12dは、物品11dの中心が第1撮像手段3dの光軸に達した時の撮像タイミングによって撮像された画像である。側面画像13d及び側面画像14dは、第1パターンの撮像タイミングによって、物品11dの中心が各光軸の交点に到達した時に第2撮像手段3a又は3bによって撮像された画像である。
【0111】
上面画像12dにおける基準部位は、水平断面によって形成される略紡錘形の長軸及び短軸である。以下、上面画像12dにおける長軸の長さを「L1a」という。また、上面画像12dにおける短軸の長さを「L1b」という。長軸方向の側面画像13dにおける基準部位は、紡錘形である垂直断面の幅(長軸)であり、幅の長さを「L2a」という。短軸方向の側面画像14dにおける基準部位は、略円形である垂直断面の幅(短軸)であり、幅の長さを「L2b」という。なお、側面画像13、14dは、傷、変色、汚れ等のある測定部位15を含むことがある。前述したように、側面画像における測定部位15の長さは「L3」であり、実際の物品11dにおける測定部位の長さは「X」である。
【0112】
物品11dを上方から観た紡錘形である水平断面の長軸と物品11dを長軸方向に対して略直角の側方から観た垂直断面の幅とは対応関係を持ち、実際の物品11dにおける長さは略同一である。すなわち、「L1a」と「L2a」とは対応関係にあり、これらの実際の長さは「La」である。さらに、物品11dを上方から観た紡錘形である水平断面の短軸と物品11dを短軸方向に対して略直角の側方から観た垂直断面の幅とは対応関係を持ち、実際の物品11dにおける長さは略同一である。すなわち、「L1b」と「L2b」とは対応関係にあり、これらの実際の長さは「Lb」である。
【0113】
第2の実施形態においては、「L1a」と「L2a」との対応関係、又は「L1b」と「L2b」との対応関係を用いて、側面画像に確認された測定部位の長さ「L3」を補正して、実際の物品11dにおける測定部位の長さ「X」を算出することができる。具体的には、「L1a」「L2a」、又は「L1b」「L2b」を「L1」「L2」に読み替えると、図7又は図9に示した第1の実施形態における補正処理を適用することができ、物品11dの側面画像に観察された測定部位の長さを実際の長さに換算することができる。なお、「L1b」と「L2b」との対応関係を用いるよりも、「L1a」と「L2a」との対応関係を用いて補正処理を実行する方が正確な補正係数を算出することができるので好ましい。
【0114】
図12は、紡錘体である物品の他の配置と撮像手段との関係を示す説明図である。図12では、物品11dは、搬送方向に対して、θ°(−θ°)の角度をもって規制され、上流から下流へ搬送される。
【0115】
図13(A)は、図12に示した配置において、第1撮像手段3dによって撮像された物品(紡錘体)の上面画像を示す説明図である。図13(B)は、図12に示した配置において、第2撮像手段3aによって撮像された物品(紡錘体)の側面画像を示す説明図である。
【0116】
上面画像12eにおける長軸の長さは「L1a」である。側面画像13eにおける幅の長さは「L2a’」である。図12に示したとおり、側面画像13eは長軸に対して略直角となる方向から撮像した側面画像ではないので、「L2a’」は、長軸に対して略直角の方向から撮像した場合の側面画像の幅の長さ(L2a)より短い。「L2a’」は下記の式6によって「L2a」に換算することができる。
L2a=L2a’/cos(45°−θ°)・・・(式6)
【0117】
また、側面画像13eに観察された横方向に伸びる測定部位15の長さ「L3’」は、長軸に対して略直角の方向から撮像した場合の側面画像に観察される測定部位の長さより短い。「L3’」は、下記の式7によって「L3」に換算することができる。
L3=L3’/cos(45°−θ°)・・・(式7)
【0118】
なお、「L1a」と「L2a」とは対応関係を持つので、図12に示したとおり、物品11dの長軸に対して略直角の方向から側面画像が撮像されない場合でも本発明の補正処理を適用することができる。具体的には、図7に示した補正処理を実行する場合、まず、ステップS702として、「L1a」を測定する。次に、ステップS703として、前述した式6によって、測定された「L2a’」を「L2a」に換算する。次に、ステップS704として、前述した式7によって、測定された「L3’」を「L3」に換算する。これによって、ステップS705において、側面画像において観測された測定部位の実際の長さを算出することができる。同様にして、図9に示した補正処理を実行することもできる。
【0119】
以上、説明したとおり、第2の実施形態では、検査対象とする物品は、上方から観た水平断面が略円形である物品に限定されず、上方から観た水平断面が紡錘形、長楕円形、円柱等である物品であってもよく、第1の実施形態の補正処理を従来の物品検査装置に適用することもできる。すなわち、上面画像の基準部位と側面画像の基準部位との対応関係を用いて、側面画像における測定部位の長さを算出し、物品の良否を判定することができる。
【0120】
ところで、第1の実施形態では、検査の対象とする物品は水平断面が略円形であり、いずれの側方の向きから観ても幅が一定であると仮定した。しかし、物品の大きさは、撮像手段の光軸に対して垂直な物品の幅と高さによって決定され、厳密に言えば、各撮像手段ごとに、すなわち物品の向きによって異なる場合がある。例えば、物品が農産物等の場合は、個体ごとに大きさも形状も異なっている。このため、通常は、物品の種類に応じて標準サイズを想定し、この標準サイズに基づいて、撮像手段等の配置や撮像タイミングの設定を行う。
【0121】
従来では、物品の向きに応じた幅や高さの違いは、特に考慮されてはおらず、いずれの撮像手段でも同じ大きさとみなして設定していたが、本発明では、かかる物品の向きに応じた大きさの違いを撮像タイミングに反映させることも可能である。すなわち、ある向きにおける物品の大きさが、他の向きにおける大きさに比べて、大きかった場合、その大きい向きを撮像する撮像手段については、撮像タイミングを早くする又は小さい向きを撮像する撮像手段について撮像タイミングを遅くして、実物との縮尺が画像によって異なるが、適度な大きさの画像が得られるようにしてもよい。この設定は、例えば、上流の第2撮像手段3aが2つある場合に、一方の撮像タイミングと他方の撮像タイミングを独立して制御することにより実現できる。
【0122】
以下、実施例において具体的な数値を挙げて説明する。以下の実施例において、物品検出手段4としては光電センサを使用し、物品11の後端部を検知した。さらに、搬送距離測定手段5としてはエンコーダを使用した。搬送手段の搬送速度は、1000mm/sであり、エンコーダの1パルス当たりの搬送距離は0.1mmであった(つまり、1パルスは0.1ms間隔)。また、物品11として、グレープフルーツ(大)、伊予柑(中)、温州みかん(小)を使用した。これらの物品11の長さは、エンコーダのパルス数でグレープフルーツ(大)が約1500パルス、伊予柑(中)が約1000パルス、温州みかん(小)が約500パルスであった。
【0123】
[実施例1]
図14は、本発明にかかる他の物品検査装置の概略構成図である。実施例1においては、図14に示す物品検査装置を使用した。図14の装置は、基本的な構成は図1の装置と同じであるが、物品検出手段4を標準品の撮像位置Aに配置して、物品検出手段4による物品の検出信号の入力を撮像タイミングの一つとして利用している。図14の装置における各構成は図1と同じ符号を付し、その説明を援用する。
【0124】
実施例1の物品検査装置においては、グレープフルーツ(大)を標準品として各撮像手段3を配置した。すなわち、グレープフルーツ(大)の後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した状態で、各第2撮像手段3a及びbの画面内に適度な大きさで鮮明にグレープフルーツ(大)が撮像できるように、各第2撮像手段3a及びbの光軸がグレープフルーツ(大)の中心(撮像位置Aから750パルスの位置)で交差するように配置した。さらに、撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心(各第2撮像手段3a及びbの光軸の交点)の上方に、その光軸がグレープフルーツ(大)の中心を通るように第1撮像手段3dを配置した。
【0125】
まず、制御手段6に、グレープフルーツ(大)を撮像するための撮像タイミング(モード1)、伊予柑(中)を撮像するための撮像タイミング(モード2)、及び温州みかん(小)を撮像するための撮像タイミング(モード3)をそれぞれ設定した。グレープフルーツ(大)は、標準品であるから、その撮像タイミングであるモード1は、全ての撮像手段について、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像するように設定した(前述したとおり、各撮像手段が照明を備えている場合は逆光を防止するため、各撮像手段は順次撮像する)。伊予柑(中)は、グレープフルーツ(大)よりも500パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード2は、上流の第2撮像手段3aについては、グレープフルーツ(大)と同じく、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像し、第1撮像手段3dについては、伊予柑(中)の中心が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心位置(各撮像手段の光軸の交点)に到達する250パルス後(25ms後)に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の前端部と同じ位置に前端部が到達する500パルス後(50ms後)に撮像するように設定した。温州みかん(小)は、グレープフルーツ(大)よりも1000パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード3は、上流の第2撮像手段3aについては、グレープフルーツ(大)と同じく、後端部が撮像位置A(=検出位置)に到達した時点で撮像し、第1撮像手段3dについては、温州みかん(小)の中心が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の中心位置(各撮像手段の光軸の交点)に到達する500パルス後(50ms後)に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、温州みかん(小)の前端部が撮像位置Aにおけるグレープフルーツ(大)の前端部と同じ位置に到達する1000パルス後(100ms後)に撮像するように設定した。表1は、実施例1の撮像タイミングの一覧である。
【0126】
【表1】
以上のように撮像タイミングを設定した物品検査装置1において、グレープフルーツ(大)を検査する場合、撮像タイミングをモード1に設定し、搬送手段によってグレープフルーツ(大)を順次一列に搬送させる。グレープフルーツ(大)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光がグレープフルーツ(大)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1500パルス後、グレープフルーツ(大)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3a、第1撮像手段3d及び下流の第2撮像手段3bの全てに対し、撮像信号を出力し、各撮像手段は、グレープフルーツ(大)を撮像し、撮像された画像を制御装置6へ出力する。制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0127】
次に、伊予柑(中)を検査する場合、撮像タイミングをモード2に設定し、搬送手段によって伊予柑(中)を順次一列に搬送させる。伊予柑(中)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光が伊予柑(中)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1000パルス後、伊予柑(中)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、エンコーダ5から250パルスのパルス信号が入力された時点で第1撮像手段3dに対し、撮像信号を出力する。さらに、エンコーダ5から250パルスのパルス信号(検出位置Dからは500パルス)が入力された時点で下流の第2撮像手段3bに対し、撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された伊予柑(中)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0128】
また、温州みかん(小)を検査する場合、撮像タイミングをモード3に設定し、搬送手段によって温州みかん(小)を順次一列に搬送させる。温州みかん(小)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光が温州みかん(小)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約500パルス後、温州みかん(小)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号を受けて、上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、エンコーダ5から500パルスのパルス信号が入力された時点で第1撮像手段3dに対し、撮像信号を出力する。さらに、エンコーダ5から500パルスのパルス信号(検出位置Dからは1000パルス)が入力された時点で下流の第2撮像手段3bに対し、撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された温州みかん(小)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0129】
実施例1の物品検査装置1においては、最も大きい物品を標準物としたため、他の物品は標準物と同じか小さいので、上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにできた。他方で、標準物よりも小さい物品については、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段3dの撮像タイミングを遅く変更することで、適切な大きさの画像を得ることができた。また、検出信号を撮像タイミングの一つとしたので、エンコーダからのパルス数をカウントする必要がなく、高速処理が可能である。なお、実施例1においては、モード1〜3の切り替えは、オペレーターによって行われたが、その他の手段で切り替えてもよい。例えば、光電センサがOFF状態からON状態となるまでのパルス数をエンコーダによってカウントしておき、そのパルス数に応じて、自動的にモード1〜3を切り替えてもよい。また、実施例1においては、各物品で上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにしたが変えてもよい。例えば、表面の傷を詳細に検査するために、一番小さい温州みかん(小)について、より画像を大きくしたい場合は、撮像位置よりも上流側で撮像してもよい。この場合、光電センサがOFF状態の間(例えばOFF状態になってから600パルス後)に撮像信号を発生させてもよい。
【0130】
[実施例2]
実施例2の物品検査装置1は、図1に示すように、搬送経路の上流側に光電センサを配置し、光電センサによって物品を検出した後、エンコーダからのパルス数をカウントして撮影タイミングとするものである。実施例2の物品検査装置1においては、伊予柑(中)を標準品として各撮像手段3を配置した。すなわち、伊予柑(中)の後端部が撮像位置Aに到達した状態で、各撮像手段の画面内に適度な大きさで鮮明に伊予柑(中)が撮像できるように配置した。さらに、撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心(撮像位置Aから500パルスの位置)の上方に、第1撮像手段3dを配置した。実施例2の物品検査装置1において、光電センサ4から撮像位置Aまでの距離は、3000パルスであった。
【0131】
まず、制御手段6に、グレープフルーツ(大)を撮像するための撮像タイミング(モード1)、伊予柑(中)を撮像するための撮像タイミング(モード2)、及び温州みかん(小)を撮像するための撮像タイミング(モード3)をそれぞれ設定した。グレープフルーツ(大)は、標準品である伊予柑(中)よりも500パルス大きいため、その撮像タイミングであるモード1は、上流の第2撮像手段3aについては、伊予柑(中)と同じく撮像位置Aに後端部が到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後とし、第1撮像手段については、グレープフルーツ(大)の中心が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心位置に到達する時点、すなわち検出位置Dから2750パルス後とし、下流の第2撮像手段3bについては、撮像位置Aにおける伊予柑(中)の前端部と同じ位置に前端部が到達する2500パルス後に撮像するように設定した。伊予柑(中)は、標準品であるから、その撮像タイミングであるモード2は、全ての撮像手段について、後端部が撮像位置Aに到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後に撮像するように設定した。温州みかん(小)は、伊予柑(中)よりも500パルス小さいので、その撮像タイミングであるモード3は、上流の第2撮像手段3aについては、伊予柑(中)と同じく、後端部が撮像位置Aに到達した時点、すなわち検出位置Dから3000パルス後とし、第1撮像手段については、温州みかん(小)の中心が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の中心位置に到達する3250パルス後に撮像し、下流の第2撮像手段3bについては、温州みかん(小)の前端部が撮像位置Aにおける伊予柑(中)の前端部と同じ位置に到達する3500パルス後に撮像するように設定した。表2は、実施例2の撮像タイミングの一覧である。
【0132】
【表2】
以上のように撮像タイミングを設定した物品検査装置1において、グレープフルーツ(大)を検査する場合、撮像タイミングをモード1に設定し、搬送手段によってグレープフルーツ(大)を順次一列に搬送させる。グレープフルーツ(大)の前端部が、光電センサ4が配置されている位置まで到達すると、光電センサの光がグレープフルーツ(大)によって遮光されて、光電センサがOFF状態となる。その約1500パルス後、グレープフルーツ(大)が通過することによって、再び光電センサがON状態となり、物品の後端部を検出し、制御装置6に検出信号が入力される。制御装置6は、検出信号の入力後、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、検出信号の入力から2500パルス後、最初に下流の第2撮像手段3bに対し撮像信号を出力し、下流の第2撮像手段3bは、グレープフルーツ(大)の前面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。さらに250パルス後(検出信号の入力から2750パルス後)、制御装置6は、第1撮像手段に対し撮像信号を出力し、第1撮像手段は、グレープフルーツ(大)の上面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。最後に、さらに250パルス後(検出信号の入力から3000パルス後)、制御装置6は、上流の第2撮像手段3aに対し撮像信号を出力し、上流の第2撮像手段3aは、グレープフルーツ(大)の後面を撮像して、その画像を制御装置6へ出力する。制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0133】
次に、伊予柑(中)を検査する場合、撮像タイミングをモード2に設定し、搬送手段によって伊予柑(中)を順次一列に搬送させる。光電センサ4によって伊予柑(中)の後端部が検出され、制御装置6に検出信号が入力されると、制御装置6は、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、パルス数が3000パルスとなった時点で、全ての撮像手段に対し、撮像信号を送出し、伊予柑(中)の画像を入手する。
【0134】
また、温州みかん(小)を検査する場合、撮像タイミングをモード3に設定し、搬送手段によって温州みかん(小)を順次一列に搬送させる。光電センサ4によって温州みかん(小)の後端部が検出され、制御装置6に検出信号が入力されると、制御装置6は、エンコーダ5からのパルス数をカウントし、検出信号の入力からのパルス数が3000パルスとなった時点で上流の第2撮像手段3aに対し、撮像信号を出力する。その後、パルス数が3250パルスとなった時点で第1撮像手段に対し撮像信号を出力し、さらに3500パルスとなった時点で下流の第2撮像手段3bに対し撮像信号を出力する。各撮像手段によって撮像された温州みかん(小)の画像は、制御装置6に入力され、制御手段6は、入力された画像に基づいて所定の検査を行う。
【0135】
実施例2の物品検査装置1においては、標準物よりも大きいグレープフルーツ(大)においては、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段の撮像タイミングを標準物の撮像タイミング(3000パルス)よりも早く設定することにより、適切な大きさの画像を得ることができた。また、標準物よりも小さい温州みかん(小)については、下流の第2撮像手段及び第1撮像手段の撮像タイミングを遅く設定することにより、適切な大きさの画像を得ることができた。なお、実施例2においても、モード1〜3の切り替えは、オペレーターによっても、その他の手段で切り替えてもよい。また、実施例2においても、各物品で上流の第2撮像手段の撮像タイミングを同じにしたが変えてもよい。
【0136】
[実施例3]
実施例3は、光電センサ4において物品を検出する際に、その大きさを測定する機能を併せ持たせ、検出した物品のサイズに応じて、予め制御装置6に登録しておいたモードを読み出して、自動的に撮像タイミングを変更した実施例である。物品検査装置1の基本的な構成は、実施例2と同様である。
【0137】
制御手段6には、上記表1又は2のように、各モードとして、各物品に対する撮像タイミングを設定しておく。さらに、本実施例においては、制御手段6に物品の大きさとモードとの対応関係を登録しておく。表3は、その一例である。
【0138】
【表3】
実施例3の物品検査装置1において、搬送手段2によって搬送される物品は、光電センサ4によって、そのサイズが計測される。すなわち、制御手段6は、物品11の前端部が光電センサ4の位置に到達して、光電センサ4がOFF状態となった時点から、物品11の後端部が通過して光電センサ4がON状態となるまでのパルス数をエンコーダ5でカウントし、物品11の長さを計測する。その計測結果が、表3に示す何れの範囲に属するのか判断し、その範囲に対応するモードで各撮像手段に対し撮像信号を出力する。実施例3においては、選択されたモード及び計測された物品の長さも、物品の検査において重要な情報であるから、選択されたモード又は計測結果を画像と関連付けて記憶したり、表示したり、検査において利用したりすることが好ましい。
【0139】
実施例3の物品検査装置1では、物品の大きさの計測結果に基づいて、モードを変更するため、オペレーターによる設定の切り替えが不要であり、何品種もの物品を混在している場合や、同一品種内でサイズのばらつきが大きい物品(主に農産物)であっても、適切なサイズの画像を得ることができる。なお、実施例3においては、物品を検出するための光電センサ4を用いて物品のサイズを測定したが、物品のサイズを計測するためのセンサを別途に設けてもよい。
【0140】
[実施例4]
実施例4は、実施例1の撮像タイミングによって撮像された各物品の基準部位の長さを示す例である。制御手段6には、上記表1又は表2のように、各モードとして、各物品に対する撮像タイミングを設定しておく。表4は、各物品の基準部位の実際の長さと、設定された撮像タイミングによって撮像された各物品の上面画像及び側面画像における基準部位の長さとの関係を示した一例である。
【0141】
【表4】
実施例4において、グレープフルーツの外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、540ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、495ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、472ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、30ピクセルであった。
【0142】
まず、グレープフルーツの場合において、上面画像における長さを実際の長さに補正する第1係数kは0.28mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1(540ピクセル)から、0.28mm/ピクセル×540ピクセル=151.2mmと算出された。グレープフルーツの基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は150mmであったので、第1係数kによる計算結果もほぼ実寸どおりであった。なお、実際の長さLを測定しておくことで、第1係数kを計算(150mm÷540ピクセル)により求めることもできる。
【0143】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.28×(540÷495)
=0.31mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.31×30=9.3mm
【0144】
また、伊予柑の外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、397ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、485ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、482ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、20ピクセルであった。
【0145】
伊予柑の場合、第1係数kは0.25mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1を使用して、0.25mm/ピクセル×397ピクセル=99.25mmと算出された。伊予柑の基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は100mmであり、計算結果とほぼ一致した。
【0146】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.25×(397÷485)
=0.20mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.20×20=4.0mm
【0147】
また、温州みかんの外観の測定結果を例にすると、上面画像における基準部位の長さL1は、198ピクセルであり、側面画像(1)における基準部位の長さL2は、501ピクセルであり、側面画像(2)における基準部位の長さL2は、490ピクセルであった。さらに、側面画像(1)には、測定部位である傷が認められ、測定部位の長さL3は、15ピクセルであった。
【0148】
温州みかんの場合、第1係数kは0.25mm/ピクセルに設定されていた。このため、基準部位の実際の長さLは、上面画像における基準部位の長さL1を使用して、0.25mm/ピクセル×198ピクセル=49.5mmと算出された。温州みかんの基準部位の実際の長さL(水平断面の直径)は50mmであり、計算結果とほぼ一致した。
【0149】
測定部位の長さL3を実際の長さXに補正する第2係数jは、前述した式4を用いて、次のように算出される。
j=k×(L1/L2)=0.25×(198÷501)
=0.10mm/ピクセル(ただし、小数点以下第3位四捨五入)
さらに、測定部位の実際の長さXは、前述した式5を用いて、次のように算出される。
X=j×L3=0.10×15=1.5mm
【0150】
なお、以上の実施例1〜4においては、農産物を検査する装置について説明したが、本発明の範囲は、かかる構成に限定されるものではなく、その他の外観の検査が必要な物品において利用可能である。また、上記説明では搬送経路が直線状のものを例示したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば、回転体によって物品を円周方向へ搬送するようにしたいわゆるロータリ式の搬送手段を用いた場合であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 物品検査装置
2 搬送手段
3a 上流の第2撮像手段
3b 下流の第2撮像手段
3c 真横の第2撮像手段
3d 第1撮像手段
4 物品検出手段
5 搬送距離測定手段
6 制御手段
11a、11b、11c 物品
12a、12b、12c 上面画像
13a、13b、13c ある方向から撮像された側面画像
14a、14b、14c 他の方向から撮像された側面画像
15a、15b、15c 測定部位
16a、16b、16c 測定部位
L1 上面画像における基準部位の第1の長さ
L2 側面画像における基準部位の第2の長さ
L3 側面画像における測定部位の第3の長さ
L 上面画像又は側面画像における基準部位の実際の長さ
X 測定部位の実際の長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の外観を検査する物品検査装置であって、
前記物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を上方側から撮像する第1撮像手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を側方側から撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1撮像手段によって撮像された前記物品の上面画像及び前記第2撮像手段によって撮像された前記物品の側面画像を取得し、
前記取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、
第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、
前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、
前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、
前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、
前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、
前記第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、
前記第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、
前記搬送手段は、大きさ及び形状の異なる複数種類の物品を搬送するとともに、
前記制御手段は、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定することができ、搬送される物品の大きさ、形状又は種類に応じて、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定でき、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを同時に撮像する第1の設定と、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像する第2の設定を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記第2の設定は、
前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が小さい場合に、前記上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記下流の第2撮像手段を撮像し、
前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が大きい場合に、前記下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記上流の第2撮像手段を撮像することを特徴とする請求項4に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が長軸及び短軸を有する形状であって、
前記搬送手段は、前記物品の長軸又は短軸が前記第2撮像手段の撮像方向に対して略直角となるように前記物品の向きを規制し、
前記基準部位は、前記物品の長軸又は短軸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査装置。
【請求項7】
搬送手段によって前記物品を搬送し、第1撮像手段によって前記物品を上方側から撮像し、第2撮像手段によって前記物品を側方側から撮像し、前記物品の上面画像及び側面画像を取得し、該取得した上面画像及び側面画像に基づき物品の外観を検査する物品検査方法であって、
該取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、
第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、
前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする物品検査方法。
【請求項8】
前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、
前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、
前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することを特徴とする請求項7に記載の物品検査方法。
【請求項9】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、
前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、
第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、
第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることを特徴とする請求項7又は8に記載の物品検査方法。
【請求項10】
前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、
搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定して、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像し、前記物品の複数の側面画像を取得することを特徴する請求項7乃至9に記載の物品検査方法。
【請求項1】
物品の外観を検査する物品検査装置であって、
前記物品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を上方側から撮像する第1撮像手段と、前記搬送手段によって搬送されている前記物品を側方側から撮像する第2撮像手段と、前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1撮像手段によって撮像された前記物品の上面画像及び前記第2撮像手段によって撮像された前記物品の側面画像を取得し、
前記取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、
第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、
前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、
前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、
前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、
前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、
前記第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、
前記第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、
前記搬送手段は、大きさ及び形状の異なる複数種類の物品を搬送するとともに、
前記制御手段は、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定することができ、搬送される物品の大きさ、形状又は種類に応じて、複数の異なる撮像タイミングの組み合わせを設定でき、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを同時に撮像する第1の設定と、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像する第2の設定を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記第2の設定は、
前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が小さい場合に、前記上流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記下流の第2撮像手段を撮像し、
前記第1の設定で撮像する物品に比べ、前記第2の設定で撮像する物品の方が大きい場合に、前記下流の第2撮像手段を先に撮像し、当該物品が所定の距離だけ搬送されてから前記上流の第2撮像手段を撮像することを特徴とする請求項4に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が長軸及び短軸を有する形状であって、
前記搬送手段は、前記物品の長軸又は短軸が前記第2撮像手段の撮像方向に対して略直角となるように前記物品の向きを規制し、
前記基準部位は、前記物品の長軸又は短軸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品検査装置。
【請求項7】
搬送手段によって前記物品を搬送し、第1撮像手段によって前記物品を上方側から撮像し、第2撮像手段によって前記物品を側方側から撮像し、前記物品の上面画像及び側面画像を取得し、該取得した上面画像及び側面画像に基づき物品の外観を検査する物品検査方法であって、
該取得した各画像における部位であって、実際の物品の長さが略同一となる対応関係を有する部位を基準部位とし、
第1の長さとして前記取得した上面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第2の長さとして前記取得した側面画像における前記基準部位の長さを測定し、
第3の長さとして前記取得した側面画像における測定部位の長さを測定し、
前記測定された第1の長さと第2の長さとの対応関係に基づいて、前記第3の長さを補正して前記測定部位の長さを算出することを特徴とする物品検査方法。
【請求項8】
前記第1の長さを所定の第1係数に基づいて実際の物品の長さに換算し、
前記第2の長さと前記換算された実際の長さとの対応関係に基づいて第2係数を算出し、
前記第3の長さを前記算出された第2係数に基づいて実際の物品における測定部位の長さに換算することを特徴とする請求項7に記載の物品検査方法。
【請求項9】
前記物品は、前記第1撮像手段の撮像方向から観た水平断面が略円形であり、
前記基準部位は、前記略円形である水平断面の直径であり、
第1の長さは、前記取得した上面画像における物品の水平断面の直径の長さであり、
第2の長さは、前記取得した側面画像における物品の幅の長さであることを特徴とする請求項7又は8に記載の物品検査方法。
【請求項10】
前記第2撮像手段は、前記搬送手段によって搬送されている物品を搬送方向の上流側から撮像する撮像手段と、下流側から撮像する撮像手段と、を備え、
搬送される物品の大きさ又は種類に応じて、前記上流の第2撮像手段の撮像タイミングと前記下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定して、前記上流の第2撮像手段と前記下流の第2撮像手段とを異なる撮像タイミングで撮像し、前記物品の複数の側面画像を取得することを特徴する請求項7乃至9に記載の物品検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−257312(P2011−257312A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133277(P2010−133277)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508134337)シブヤ精機株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508134337)シブヤ精機株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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