説明

画像処理装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】隣接する補正領域間で発生する画像段差が、非常に微小なものであっても、当該画像段差が連続する長さが長くなると視認されるに至り、画質欠陥として認識されるのを回避することが可能な画像処理装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体上に形成された画像の歪みを検出する画像歪み検出手段42と、画像データ51を主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、複数に分割された補正領域に対して、画像歪み検出手段42によって検出された画像の歪みを補正する手段であって、画像の歪みを補正する際に、画像データ51の倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、各補正領域に対して補正画素の挿入又は間引きを行い、補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像データ51を補正する画像補正手段とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2007−174060号公報
【0003】
従来、上記画像形成装置では、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写する際や、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録媒体上に二次転写する際などに、像担持体と中間転写体の配置の位置ずれや、記録媒体の搬送方向のずれなどの機械的な要因により、当該記録媒体上に形成される画像に、台形状の歪みや平行四辺形状の歪みなど、種々の画像歪みが発生することが知られている。
【0004】
そこで、本出願人は、機械的な要因により発生する画像の歪みを、機械的な調整機構を用いずに、画像の補正によって修正可能とした画像形成装置について、特開2007−174060号公報に開示されているように既に提案している。
【0005】
この特開2007−174060号公報に係る画像形成装置は、画像データに対してスクリーン処理を行うスクリーン処理部と、
前記スクリーン処理の特性に応じて、前記スクリーン処理がされた画像データに対して補正処理を行う補正処理部と、
補正された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部と
を備え、
前記補正処理部は、
画像を複数の領域に分割し、各領域毎に補正パラメータを決定して補正処理を行うように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、上記特開2007−174060号公報に開示された技術を適用した場合に、図15に示すように、隣接する補正領域間で発生する画像段差は、非常に微小なものであるが、当該画像段差が連続する長さが長くなると視認されるに至り、画質欠陥として認識されるのを回避することが可能な画像処理装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載された発明は、記録媒体上に形成された画像の歪みを検出する画像歪み検出手段と、
画像データを主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、前記複数に分割された補正領域に対して、前記画像歪み検出手段によって検出された画像の歪みを補正する手段であって、
前記画像の歪みを補正する際に、前記画像データの倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、前記各補正領域に対して補正画素の挿入又は間引きを行い、前記補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像データを補正する画像補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
また、請求項2に記載された発明は、前記画像歪み検出手段は、テストチャートの画像データと、実際に記録媒体上に出力されたテストチャートの画像とを比較することによって、前記記録媒体上に形成された画像の歪みを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0009】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記画像補正処理手段は、元の画像に対して補正画素の挿入又は間引きを行うことによって画像の歪みを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置である。
【0010】
又、請求項4に記載された発明は、記録媒体上に形成された画像の歪みを検出する画像歪み検出手段と、
画像データを主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、前記複数に分割された補正領域に対して、前記画像歪み検出手段によって検出された画像の歪みを補正する手段であって、
前記画像の歪みを補正する際に、前記画像データの倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、前記各補正領域に対して補正画素の挿入又は間引きを行い、前記補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像データを補正する画像補正手段と、
前記画像補正手段によって補正された画像データに基づいて画像を出力する画像出力部とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
更に、請求項5に記載された発明は、前記画像形成装置は、画像を読み取る画像読取手段を備え、
前記画像歪み検出手段は、テストチャートの画像データと、実際に記録媒体上に出力されたテストチャートの画像を前記画像読取手段によって読み取った画像データとを比較することによって、前記記録媒体上に形成された画像の歪みを検出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、隣接する補正領域間で発生する画像段差が、非常に微小なものであっても、当該画像段差が連続する長さが長くなることによって視認され、画質欠陥として認識されるのを回避することが可能となっている。
【0013】
また、請求項2に記載された発明によれば、テストチャートを用いることによって画像の歪みを容易に検出することができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、画像の補正処理を機械的な手段によらずに、画像処理によって容易に行うことができ、中型乃至小型の画像形成装置でも容易に実施することができる。
【0015】
又、請求項4に記載された発明によれば、隣接する補正領域間で発生する画像段差が、非常に微小なものであっても、当該画像段差が連続する長さが長くなることによって視認され、画質欠陥として認識されるのを回避することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0016】
更に、請求項5に記載された発明によれば、画像形成装置の画像読取手段を用いて、画像の歪みを容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。また、このタンデム型のデジタルカラープリンタは、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとしても機能するようになっている。なお、上記画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するものであっても勿論よい。
【0019】
図2において、1はタンデム型のデジタルカラープリンタの本体を示すものであり、このデジタルカラープリンタ本体1は、その一側(図示例では、左側)の上部に、原稿2の画像を読み取る画像読取装置3を備えている。また、上記カラープリンタ本体1の内部には、当該画像読取装置3や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに対して、予め定められた画像処理を施す画像処理装置4が配設されているとともに、デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像処理装置4で予め定められた画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置5が配設されている。
【0020】
上記画像読取装置3は、プラテンカバー6を開閉することにより、原稿2をプラテンガラス7上に載置し、当該プラテンガラス7上に載置された原稿2を光源8によって照明するとともに、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー9及びハーフレートミラー10、11及び結像レンズ12からなる縮小走査光学系を介してCCD等からなる画像読取素子13上に走査露光して、この画像読取素子13によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
【0021】
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(例えば、各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置4に送られ、この画像処理装置4では、原稿2の反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理に加えて、後述する画像処理が施される。
【0022】
そして、上記の如く画像処理装置4で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置4によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換されて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kの画像露光装置15Y、15M、15C、15Kに送られ、これらの画像露光装置15Y、15M、15C、15Kでは、対応する色の画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。
【0023】
ところで、上記タンデム型のデジタルカラープリンタ本体1の内部には、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0024】
これら4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kは、図2に示すように、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される像担持体としての感光体ドラム16と、この感光体ドラム16の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン17と、当該感光体ドラム16の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像書込手段としての画像露光装置15と、感光体ドラム16上に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置18と、感光体ドラム16の表面に残留したトナー等を清掃するクリーニング装置19とから構成されている。
【0025】
上記画像露光装置15は、図2に示すように、半導体レーザー20を画像処理装置4から出力される対応する色の画像データに応じて変調し、この半導体レーザー20からレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザー20から出射されたレーザー光LBは、ミラー21、22等を介して回転多面鏡23の表面に照射され、当該回転多面鏡23によって偏向走査された後、図示しないf−θレンズや反射ミラー22、24、25等を介して感光体ドラム16上にその回転軸方向(主走査方向)に沿って走査露光される。なお、感光体ドラム16の回転方向が副走査方向である。
【0026】
上記画像処理装置4からは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kの画像露光装置15Y、15M、15C、15Kに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置15Y、15M、15C、15Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置18Y、18M、18C、18Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0027】
上記各画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kの感光体ドラム16Y、16M、16C、16K上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kの下方に配置された無端ベルト状の中間転写体としての中間転写ベルト26上に、一次転写位置N1において一次転写ロール27Y、27M、27C、27Kによって多重に転写される。この中間転写ベルト26は、駆動ロール28と、張力付与ロール29と、蛇行制御用ロール30と、従動ロール31と、背面支持ロール32と、従動ロール33との間に一定の張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動される駆動ロール28により、矢印B方向に沿って予め定められた移動速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト26としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0028】
上記中間転写ベルト26上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、背面支持ロール32によってトナーと逆極性(正極性)の転写電圧が印加されるとともに、背面支持ロール32に圧接する接地された二次転写ロール34によって、二次転写位置N2において圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙35上に二次転写され、形成する画像の色に応じたトナー像が転写された記録用紙35は、二連の搬送ベルト36、37によって定着装置38へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙35は、定着装置38によって熱及び圧力で定着処理を受け、プリンタ本体1の外部に設けられた排出トレイ39上に排出される。
【0029】
上記記録用紙35は、図2に示すように、プリンタ本体1の底部に配設された給紙トレイ40から所望のサイズ及び材質のものが、給紙ロール41及び図示しない用紙分離用のロール対によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、複数の搬送ロール42、43、44が配設された用紙搬送路45を介してレジストロール46まで一旦搬送される。上記給紙トレイ40から供給された記録用紙35は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール46によって中間転写ベルト26の二次転写位置N2へと送出される。
【0030】
それに先だって、上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色のトナー像が予め定められたタイミングで順次形成されるようになっている。
【0031】
なお、上記感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kは、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置19Y、19M、19C、19Kによって残留トナー等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト26は、従動ロール33と対向するように配設されたベルト用クリーナー47によって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0032】
上記二次転写位置N2における二次転写手段としては、図2及び図3(A)に示すように、中間転写ベルト26を張架する背面支持ロール32と、中間転写ベルト26を介して背面支持ロール32に当接する二次転写ロール34とからなる所謂BTR方式に限らず、図3(B)に示すように、中間転写ベルト26を張架する背面支持ロール32と、中間転写ベルト26を介して背面支持ロール32に当接する二次転写ベルト48とからなる所謂BTB方式を採用しても良い。二次転写ベルト48は、二次転写ロール34と従動ロール49とによって張架されている。なお、上記二次転写手段として所謂BTB方式を採用した場合には、記録用紙35を二次転写ベルト48に静電的に吸着させることができ、薄紙からなる記録用紙35に対する剥離性に優れている。
【0033】
ところで、上記の如く構成されるデジタルカラープリンタでは、図4に示すように、感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kから中間転写ベルト26にトナー像を一次転写する際に、中間転写ベルト26の移動方向と交差する方向への蛇行などによって、感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kの回転方向と中間転写ベルト26の移動方向にずれが生じると、図4(A)に示すように、中間転写ベルト26が感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kに対して斜行することがあり、その結果、図4(B)に示すように、中間転写ベルト26上に一次転写された画像が平行四辺形に歪むことがある。また、中間転写ベルト26から記録用紙35にトナー像を転写する二次転写部N2では、図5に示すように、記録用紙35が二次転写部N2に突入することにより、中間転写ベルト26の安定位置が変化して、中間転写ベルト26の蛇行が起きることもある。また、上記記録用紙35の二次転写位置N2への搬送状態によっては、当該記録用紙35が一定の方向に搬送されずに、記録用紙35の搬送方向が途中で連続的に変化し、記録用紙35が回転しながら二次転写を受けることがあり、図6に示すように、画像の一部または全部が扇形に歪むこともある。
【0034】
そこで、この実施の形態では、記録媒体上に形成された画像の歪みを画像歪み検出手段によって検出し、画像を主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、前記複数に分割された補正領域に対して、前記画像歪み検出手段によって検出された画像の歪みを補正する補正画素の挿入又は間引きを行うことによって画像補正手段によって画像を補正するように構成されている。
【0035】
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。なお、図3では、本発明に関連する主要な構成要素のみが図示されている。
【0036】
この画像処理装置4は、図1に示すように、スクリーン処理部41と、画像歪み検出部42と、画像補正処理部43とを備えている。
【0037】
上記スクリーン処理部41は、入力される多値(例えば、256値)の画像データ51に対して、スクリーン処理(疑似中間調処理)を行うものである。スクリーン処理部41は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の各色の画像データに対して、互いに干渉しないか又は互いに干渉が目立たないスクリーン特性(角度及び周期)を有するスクリーン処理を行い、2値化された各色の画像データを画像補正処理部23に対して出力する。
【0038】
更に説明すると、上記スクリーン処理部41では、入力される多値の画像データ51を2値化するにあたり、図7(A)又は同図(B)に示すようなスクリーン特性を有するスクリーン処理を行い、擬似的な階調表現を可能としている。このスクリーン処理部41は、画像の属性(写真画像、グラフィック画像及び文字画像など)に対応付けられたディザマトリクスと、多値画像データの各画素値とを比較して、多値の画像データを面積階調法により2値化する。
【0039】
図7(A)は、ドットタイプのスクリーン構造を示したものであり、ドットタイプのスクリーンは、所定のスクリーン角度及びスクリーン周期で配列された「複数の点」で構成されている。一方、図7(B)は、ラインタイプのスクリーン構造を示したものであり、ラインタイプのスクリーンは、所定のスクリーン角度及びスクリーン周期で配列された「複数の線」で構成されている。
【0040】
また、上記画像歪み検出部42は、記録用紙35上に形成された出力画像の歪み(変形)を検出し、検出結果を画像補正処理部43に出力するものである。画像歪み検出部43は、例えば、図8(A)に示すような所定のテストパターン画像50を記録用紙35上に実際に出力し、図8(B)に示すように、記録用紙35上に出力されたテストパターン画像50’を画像読取装置3によって読み取った結果に基づいて、出力画像の歪みを検出する。なお、プリンタ本体1内の適当な位置に設けられたイメージセンサ等で、記録用紙上に形成されたテストパターン画像を読み取ることで、出力画像の歪みを検出するか、又はプリンタ本体1に接続された別の画像読取装置によってテストパータンの画像を読み取るように構成してもよい。また、テストパターン画像50は、図8(A)に示すものに限定されず、記録用紙35上に形成された出力画像の歪み(変形)を検出可能なものであれば、十字状の画像や直線状の画像を適宜組み合わせたものなど、任意のものを用いても良いことは勿論である。
【0041】
上記画像補正処理部43は、図1に示すように、スクリーン処理部41から入力される画像データ52に対して補正処理を行い、画像歪み検出部42によって検出された画像の歪みを補正するものである。すなわち、上記プリンタにおいて転写部や定着部等で発生する画像の歪みを打ち消すように画像データ52に補正をかける。その際、上記画像補正処理部43では、スクリーン処理部41におけるスクリーン処理の特性にも考慮して、当該スクリーン処理部41から入力される画像データ52に対して補正処理を行うのが望ましい。
【0042】
次に、上記デジタルカラープリンタにおいて、機械的な要因で発生する画像の歪みを補正するため、画像処理装置4の画像補正処理部43において行われる補正処理について説明する。
【0043】
上記画像補正処理部43では、基本的に、元の画像に対して画素の挿入を適宜行うことによって画像を拡大する処理と、元の画像から画素の間引きを適宜行うことによって画像を縮小する処理と、元の画像の一部又は全部を移動させる処理とを適宜組み合わせることによって、画像の歪みを補正する。
【0044】
図9は、元の画像に対して副走査方向に沿った予め定められた位置55、56に画素を1画素だけ挿入する方法を説明するための図である。図9(A)は、スクリーン処理部41によって2値化されたデータ52を示し、図9(B)及び(C)は、画素の挿入により、図9(A)に示した画像データを副走査方向に拡大した補正画像データを示すものである。
【0045】
図9(B)に示すように、予め定められた主走査ライン55、56の後に画素を挿入し、この画素の挿入に従って後続の画素を副走査方向にシフトすることにより、画像を拡大することができる。図9(B)に示した例では、副走査方向の2箇所の位置55、56において、それぞれ一つずつ画素を挿入することで、2画素分の画像の拡大が実現されている。
【0046】
しかしながら、図9(B)に示すように単純に同じ位置の主走査線上に画素を挿入すると、視覚的に目立ってしまう虞れがある。そこで、実際は、図9(C)に示すように、所定の角度及び周期で、挿入画素の位置を主走査ライン毎に変更するようにするのが望ましい。ここで、挿入画素が並んだ角度及び挿入画素の配列周期を、画素の配列パラメータと呼ぶ。
【0047】
なお、図9に示した例では、画素が追加される場合について説明したが、画像の縮小を行う必要がある場合は、所定の配列位置にある画素を削除することにより、補正画像データを生成することができる。この場合も、図9(B)に示した場合のように、同じ位置の主走査線上に対する単純な画素の削除を行うと、削除された位置に細い直線が重なってしまったような場合に、この細い直線が消えて、画像の情報量が著しく減少してしまう。そこで、実際は、図9(C)に示した場合と同様に、所定の角度及び周期で、削除する画素の位置を走査ライン毎に変更するようにする。
【0048】
上記の如く画像処理装置4では、図1に示すように、スクリーン処理部41におけるスクリーン処理と、画像補正処理部43における画像補正処理とを直列的に行う場合、図7に示すように、スクリーン処理により組み込まれた周期構造と、図9に示すように、補正処理により周期的に挿入又は削除された補正画素とが干渉してモアレなどの画像欠陥が現れる可能性がある。例えば、スクリーンの間隔と、挿入又は削除される画素配列の間隔とが一致したり、非常に近かったりすると、これらが干渉して、画像欠陥として視覚的に目立ってしまうことがある。
【0049】
そこで、画像処理装置4の画像補正処理部43では、スクリーン特性(スクリーン角度、スクリーン周期、スクリーン線数又はスクリーンの種類)に応じて、画像欠陥が生じないような補正画素の配列を決定するのが望ましい。具体的には、画像補正処理部43は、スクリーン角度及びスクリーン周期と、補正画素角度及び補正画素周期とが所定値以上異なるように補正画素の配列を決定することにより、モアレなどの画像欠陥の発生を防止することができる。
【0050】
このように、上記画像処理装置4では、画素の補正(挿入、削除)に対して一定の規則がある。すなわち、1ライン毎の画素を補正する間隔と、次ラインでの画素移動量(オフセット量)、くり返し回数などがパラメータとなっている。
【0051】
以上のような補正処理を行うことにより、画像の拡大や縮小を行うことは可能となるが、これだけでは、画像全体が一律に拡大又は縮小されるだけなので、前述したような転写部や定着部で発生する画像の変形(歪み)には対処できない。
【0052】
そこで、画像処理装置4では、更に、図10(A)に示すように、1ページの画像を主走査方向に沿って複数の補正領域601 〜604に分割するか、又は図10(B)に示すように、1ページの画像を副走査方向に沿って複数の補正領域601 〜60nに分割し、個々の補正領域601 〜604 、601 〜60n毎に、異なる補正パラメータA、B、C・・・(操作画素数や、画素の配列パラメータ等)を適用し、個々の補正領域601 〜604 、601 〜60n毎に変形のさせ方を変えるように構成するのが望ましい。尚、複数の補正領域601 〜604 、601 〜60n毎に、異なる補正量を適用するとともに、異なる画素の配列パラメータを適用してもよい。これは補正量に応じて、または依存せずに変更しても良い。この実施の形態では、画素の配列パラメータとは挿入または削除された画素の並ぶ角度(補正角度)などを指している。また、補正量とは、例えば、補正領域ごとに挿入、または間引きするラインの数にあたる。
【0053】
なお、ここでの元画像データは1画素の移動が視覚的に目立ってしまうような低解像度のものではなく、例えば、2400DPI以上の高解像度のものが前提となっているが、これに限定されるものではなく、2400DPI未満の解像度のものに適用しても勿論良い。
【0054】
画像の分割の仕方は、補正なしに出力した変形画像の先端と後端の長さの差を、1画素の増加量で割って、段数を決めるようにしてもよいし、各補正領域ごとに増やしていく量(画素数)を増減させることで、段数を調整するようにしてもよい。画素の増加量は、前もって記憶しておき、必要に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0055】
図11は1ページの画像を主走査方向に沿って複数(図示例では8)の補正領域601 〜608に分割し、第1の補正領域601 は、補正なしで、第2補正領域602 から順に2画素ずつ挿入する補正を行った例を示すものである。
【0056】
ところで、上記画像補正処理部43では、上記のごとく補正領域60に予め定めれた数の画素を挿入するにあたり、挿入する画素の画像データとしては、例えば、増加させる画素の上部又は下部に位置する画素の画像データをそのままコピーして用いれば良い。
【0057】
ただし、挿入する画素の画像データとして、増加させる画素の上部又は下部に位置する画素の画像データをそのまま用いると、前後の画像が不連続となるなど、目立つ虞れがある。この場合には、次に示すように、挿入する画素の画像データを工夫するのが望ましい。
【0058】
ここでは、ラインを増やす時の具体例について説明する。
【0059】
図12は、ラインを増やす方法の詳細を説明するための模式図である。図12(A)は、ラインを追加する部分の元画像を示し、図12(B),(C)は、1ライン分画素を増やした画像を示し、図12(D)は、1ライン分画素を減らした画像を示している。
【0060】
図12(B)に示すように、基準となるラインに対して、次の(2列目)ラインは基準となるラインの一部を残し、残りの画素はもとの2列目の画素とする。3列目も2列目から落ちてきた画素はそのままにして、残りを元の画素とする。こうやって順次画素をずらしていくが、操作対象ライン数の最後では、一列そのままコピーすることで、ラインを増やす。しかしながら、このままラインを増やしてしまっては、そこで視覚的に変化が見えやすくなってしまうので、図12(C)に示すように、次ラインに残す画素数を少しずつ増やしていき最後に1ライン増やすことにする。こうすると変化点をぼやかすことができる。この場合、操作画素は一列ではなく斜めに挿入されることになる。
【0061】
一方、ラインを減らすときは、今度は基準となるラインの次のラインを1列目とし、図12(D)に示すように、2列目の画素の一部を1列目に重ねて行き、2列目には3列目の一部を挿入する。そうすることで順次ラインがずれていき、走査対象の最後のラインを削除して一列ラインを減らすようにする。この際も増やす時と同様に画素を少しずつずらしていく。
【0062】
上記のような補正処理を広い範囲にわたって行う場合には、元画像はイン側とアウト側とで長さが違った台形になることがある。しかしながら、この画像をそのまま出力しても、転写部で紙が回転すると、図13に示すように、イン側とアウト側との長さは一致するようになるが、それぞれが弧を描くような形となる。この形を長方形にするには、もう一段階補正が必要になる。
【0063】
そのため、第2段階として、先ほどの台形を副走査方向位置の途中から主走査方向に順にずらしていく。主走査方向にずらしていく方法は、上述した方法と同様である。ずらす量は予め、元画像がどれだけシフトするか求めておき、その量を画素間隔で割って求める。最終的に、図13(B)に示すような元画像を作れば、転写によって用紙が回転しても、結果として画像は長方形にすることができる。なお、一度に主走査方向にずらす量が小さい方が、スクリーンとの干渉を小さくすることができる。
【0064】
このように多段階補正では、倍率の変更と画素のシフトを組み合わせることによって、画像の大きな歪みをも補正可能となる。
【0065】
更に、この実施の形態に係る画像補正処理部43では、上記の構成に加えて、画像の歪みを補正する補正画素の挿入又は間引きを行うにあたり、前記画像の倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、前記各補正領域に対して強制的に補助画素の挿入又は間引きを行い、前記補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像を補正するように構成されている。
【0066】
また、この実施の形態では、後述するように、上記画像補正部43において、画像の歪みの補正処理に併せて画像の拡大や縮小を行うため、画像露光装置15Y、15M、15C、15Kにおける画像露光時や、一次転写時あるいは二次転写時に、画像補正部43において拡大や縮小された画像を元に倍率に戻す処理を行うように構成されている。
【0067】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像処理装置を適用したデジタルカラープリンタでは、次のようにして、画像処理装置において、隣接する補正領域間で発生する画像段差が、非常に微小なものであっても、当該画像段差が連続する長さが長くなった場合に視認されて、画質欠陥として認識されるのを回避することが可能となっている。
【0068】
すなわち、この実施の形態に係るデジタルカラープリンタでは、図8(A)に示すように、例えば、直線画像を格子状に形成したテストチャート50を記録用紙35上にプリントし、図8(B)に示すように、この記録用紙35上にプリントされたテストチャート50を画像読取装置3で読み取り、図1に示すように、記録用紙35上にプリントされた画像に発生している画像の歪みを画像歪み検出部42によって検出する。この画像歪み検出部42では、図8に示すように、画像読取装置3によって読み取られた記録用紙35上に出力されたテストチャート50の画像データと、テストチャート50の元の画像データとを比較することにより、記録用紙35上に出力された画像にどのような歪みが発生しているかを検出する。
【0069】
いま、上記デジタルカラープリンタでは、図14に示すように、画像の右端が本来の画像長であるのに対して、画像の左端がその最後端部において4画素だけ均等に短くなるような台形状の画像歪みが発生していたとする。
【0070】
すると、画像歪み検出部42は、検出した画像歪みのデータを画像補正部43に出力する。画像補正部43は、図15に示すように、1ページの画像データを、主走査方向に沿って複数(図示例では、5)の補正領域601 〜605に分割する。ここでは、画像の左端が4画素だけ短くなるような台形状の画像歪みが発生しているため、画像補正処理部43は、基本的に、4画素の歪みを補正するため、歪みの画素数プラス1の数である5つのの補正領域601 〜605に、1ページの画像データを主走査方向に沿って分割する。
【0071】
上記画像補正処理部43では、図15に示すように、1ページの画像データを主走査方向に沿って5等分し、これらの主走査方向に沿って1ページの画像データの1/5の幅を有するとともに、副走査方向に沿って全長にわたる5つの細長い帯状(長方形状)の第1〜第5補正領域601 〜605に分割する。
【0072】
そして、上記画像補正部では、第1〜第5補正領域601 〜605のうち、右端の第1の補正領域601 は、元の画像データのままとし、左端側に行くに従って+1画素ずつ挿入することにより、第2の補正領域602 は元の画像データ+1画素、第3の補正領域603は元の画像データ+2画素、第4の補正領域604 は元の画像データ+3画素、第5の補正領域605 は元の画像データ+4画素となるように、補正画素61を挿入する。
【0073】
補正画素61の挿入位置は、第2〜第5補正領域602 〜605に対して、画素の挿入位置が目立たないように、各第2〜第5補正領域602 〜605を副走査方向に沿って等分し、等分された副走査方向の位置に補正画素61を挿入するように設定されている。
【0074】
第2補正領域602 では、図15に示すように、挿入画素61が1画素であるため、第2の補正領域602 を副走査方向に沿って二等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/2の位置に補正画素61を挿入する。第3補正領域603 では、挿入画素が2画素であるため、第3の補正領域603 を副走査方向に沿って三等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/3の位置に各補正画素を挿入する。第4補正領域604 では、挿入画素が3画素であるため、第4の補正領域604 を副走査方向に沿って四等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/4の位置に3つの補正画素を挿入する。第5補正領域605 では、挿入画素が4画素であるため、第5の補正領域605 を副走査方向に沿って五等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/5の位置に5つの補正画素61を挿入する。
【0075】
上記各補正領域60に挿入する補正画素61としては、例えば、挿入位置の上部に位置する画素がそのままコピーして用いられるが、これに限定されるものではなく、挿入位置の下部に位置する画素をそのままコピーして用いたり、図12に示すように、挿入位置の上下に位置する画素を混合して用いる等、種々の変更を施しても良い。
【0076】
ところで、この実施の形態では、図15に示すように、上記の如く、画像歪み検出部42によって検出された画像の歪みに基づいて、画像補正処理部43によって画像を補正する際に、補正を施す1ページの画像データを予め定められた倍率だけ拡大又は縮小する処理を施すように構成されている。
【0077】
上記の例では、画像補正処理部43は、図16に示すように、画像データを補正する際に、当該画像データを副走査方向に沿って一律に例えば3画素分だけ拡大するように構成されている。
【0078】
そのため、上記第1補正領域601 では、本来、画像の補正が不要であるが、画像データを副走査方向に沿って一律に例えば3画素分だけ拡大するために、第1補正領域601 には、その副走査方向に沿って3画素だけ挿入する必要がある。
【0079】
同様に、第2乃至第5補正領域602〜605では、それぞれ本来の補正画素数である、+1、+2、+3、+4画素に対して、副走査方向に沿って一律に例えば3画素分だけ拡大するため、3画素を加算した値、つまり+4、+5、+6、+7画素だけ補正画素61を挿入する必要がある。
【0080】
その結果、第1補正領域601 では、挿入画素61が3画素であるため、第1の補正領域601 を副走方向に沿って四等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/4の位置に3つの補正画素61を挿入する。
【0081】
また、第2補正領域602 では、挿入画素が4画素であるため、第2の補正領域60 2を副走査方向に沿って五等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/5の位置に補正画素61を挿入する。第3補正領域603 では、挿入画素が5画素であるため、第3の補正領域603 を副走査方向に沿って六等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/6の位置に5つの補正画素61を挿入する。第4補正領域604 では、挿入画素が6画素であるため、第4の補正領域607 を副走査方向に沿って七等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/7の位置に6つの補正画素61を挿入する。第5補正領域605 では、挿入画素が7画素であるため、第5の補正領域605 を副走査方向に沿って八等分し、当該1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/8の位置に7つの補正画素61を挿入する。
【0082】
そして、上記の如く画像補正処理部43で補正処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kの画像露光装置15Y、15M、15C、15Kに対して対応する色の画像データとして順次出力され、これらの画像露光装置15Y、15M、15
C、15Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラ ム上に走査露光されて、画像が形成される。
【0083】
ただし、この実施の形態では、図16に示すように、第1〜第5補正領域601 〜605に分割された1ページの画像に対して、副走査方向に沿って3画素分だけ挿入することによって拡大されているため、そのまま画像を露光してトナー像を形成した場合には、記録用紙35上に形成された画像は、本来の画像に対して、副走査方向に沿って3画素分だけ拡大されたものとなる。
【0084】
そこで、この実施の形態では、図2に示すように、例えば、画像露光装置15Y、15M、15C、15Kによって画像露光を施す際に、回転多面鏡23の回転速度を予め定められた割合だけ増速し、1ページの画像を感光体ドラム16上に走査露光する際に、副走査方向に沿って3画素分だけ短くなるように構成されている。
【0085】
こうすることによって、記録用紙35上に形成される画像は、本来の倍率に等しい倍率に調整することが可能となる。
【0086】
このように、上記実施の形態では、図16に示すように、画像補正処理部43によって補正処理を施す際に、1ページの画像が主走査方向に沿って3画素分だけ拡大されているため、隣接する第1〜第5の補正領域601〜605の間では、段差発生部分62の連続する長さが、最大でも1ページの画像データの副走査方向に沿った長さLの1/5以下程度に短縮することができ、当該画像段差部分62が視認され難く、画質欠陥として認識されるのを回避することができ、画質を向上させることができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、機械的な補正手段を用いていないため、装置の大型化を招くことがなく、今後普及が見込まれる中型や小型の画像形成装置への搭載が容易に実施可能となっている。
【0088】
また、上記プリンタでは、画像露光装置15Y、15M、15C、15Kによって画像露光を施す際に、回転多面鏡23の回転速度を増速する代わりに、図2に示すように、感光体ドラム16Y、16M、16C、16Kから中間転写ベルト26上にトナー像を一次転写する際に、中間転写ベルト26の移動速度を感光体ドラム16の周速に対して、画像を拡大した分だけ増速するように構成しても良い。
【0089】
さらに、上記プリンタでは、画像露光装置15Y、15M、15C、15Kによって画像露光を施す際に、回転多面鏡23の回転速度を増速する代わりに、図2に示すように、中間転写ベルト26上に転写されたトナー像を記録用紙35に二次転写する際に、記録用紙35の搬送速度を中間転写ベルト26の移動速度に対して、画像を拡大した分だけ増速するように構成しても良い。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、画像を拡大する例について主に説明したが、画像を縮小するように構成しても良い。
【0091】
さらに、上述した実施の形態では、説明の便宜上、拡大する画素数として3画素と小さい値について説明したが、実際の画像補正においては、画像の台形歪みや画像長のばらつき等による補正分等をも考慮して、画像データの補正上、十分に拡大や縮小する倍率が高くなるように設定される。
【0092】
この場合、画素を追加することによって、画像の拡大や縮小を行っているので、実際の1画素が初期の長さよりも短いか又は長くなっているため、必要に応じて、台形歪みの補正量や画像長の補正量などを調整するのが望ましい。
【0093】
また、上記実施の形態では、修正する画像の色については特に言及しなかったが、フルカラーの画像を形成する場合は勿論のこと、モノクロの画像を形成する場合にも同様に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が適用される画像形成装置を示す構成図である。
【図3】二次転写部を示す構成図である。
【図4】中間転写ベルトの蛇行を示す説明図である。
【図5】画像のずれを示す説明図である。
【図6】画像ずれが発生した画像を示す説明図である。
【図7】スクリーン処理を示す構成図である。
【図8】画像のずれを示す説明図である。
【図9】画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図10】画像の分割された領域を示す説明図である。
【図11】画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図12】画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図13】画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図14】画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図15】従来の画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【図16】本実施の形態の画像のずれを補正する処理を示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
42:画像歪み検出部、43:画像補正処理部、601 〜605:第1〜第5補正領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に形成された画像の歪みを検出する画像歪み検出手段と、
画像データを主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、前記複数に分割された補正領域に対して、前記画像歪み検出手段によって検出された画像の歪みを補正する手段であって、
前記画像の歪みを補正する際に、前記画像データの倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、前記各補正領域に対して補正画素の挿入又は間引きを行い、前記補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像データを補正する画像補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像歪み検出手段は、テストチャートの画像データと、実際に記録媒体上に出力されたテストチャートの画像とを比較することによって、前記記録媒体上に形成された画像の歪みを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像補正処理手段は、元の画像に対して補正画素の挿入又は間引きを行うことによって画像の歪みを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
記録媒体上に形成された画像の歪みを検出する画像歪み検出手段と、
画像データを主走査方向又は副走査方向に沿って複数の補正領域に分割し、前記複数に分割された補正領域に対して、前記画像歪み検出手段によって検出された画像の歪みを補正する手段であって、
前記画像の歪みを補正する際に、前記画像データの倍率を予め定められた倍率に拡大又は縮小し、前記各補正領域に対して補正画素の挿入又は間引きを行い、前記補正画素の挿入又は間引きに伴って隣接する補正領域間で発生する画像段差が連続する長さを短縮するように画像データを補正する画像補正手段と、
前記画像補正手段によって補正された画像データに基づいて画像を出力する画像出力部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、画像を読み取る画像読取手段を備え、
前記画像歪み検出手段は、テストチャートの画像データと、実際に記録媒体上に出力されたテストチャートの画像を前記画像読取手段によって読み取った画像データとを比較することによって、前記記録媒体上に形成された画像の歪みを検出することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−149315(P2010−149315A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327831(P2008−327831)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】