説明

画像形成システム、画像形成システム用プログラム、及び画像形成方法

【課題】 従来の画像形成装置によって、後処理で接着剤を塗布することなく、接着部を有する画像を得るためには、接着用のトナーを接着部に付着させる必要があった。このため、画像形成装置は、接着用のトナーを現像する現像装置を備える必要があるという課題があった。
【解決手段】 画像形成装置は、トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって形成されたトナー像を接着対象物に定着させ、このトナー像に光硬化型接着剤を硬化させる光を照射し、トナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で接着対象物を加圧する。これにより、接着専用のトナーを用いることなく、接着対象物を接着させることが可能になるという効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を接着対象物に定着させるとともに、トナー像が定着された接着対象物を所定の被接着対象面に接着させる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づき作成されたトナー像を用紙に定着させることによって画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。電子写真方式の画像形成装置は、外部端末からの個々の要求に応じて画像形成処理を実行することができるため、例えば、顧客向けのダイレクトメールや請求書のように、個人ごとに異なる情報が記載される画像形成物の出力に適している。
【0003】
このような画像形成物を各顧客に発送する場合、個人ごとの情報を隠すために、画像形成面が内側になるように画像形成物を折って、剥離可能なように貼り合わせられることがある。この場合、従来は、画像形成装置によって画像が形成された後に、後処理装置を用いて画像形成物に接着剤を塗布して貼り合わせることが行われていた。ところが、この方法を用いた場合には、別途接着剤の塗布が必要であり手間を要していた。
【0004】
近年、接着剤を別途塗布することなく、貼り合わせ処理を行うことができる画像形成装置が提案された(特許文献1参照)。この画像形成装置によると、画像形成用のトナーを用いてシートに画像を形成すると共に、シートの画像形成用のトナーの形成位置と重ならない位置に、画像形成用のトナーよりも低い温度で溶融する接着用のトナーを付着させる。これにより、折りたたまれたシートを第1の温度よりも低い第2の温度で加熱することで接着用トナーを再溶融させてシートを接着させることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置によって、後処理で接着剤を塗布することなく、接着部を有する画像を得るためには、接着用のトナーを接着部に付着させる必要があった。このため、画像形成装置は、接着用のトナーを現像する現像装置を備える必要があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって接着対象物上にトナー像を形成する像形成手段と、前記像形成手段によって形成されたトナー像を前記接着対象物に定着させる定着手段と、前記定着手段によって定着されたトナー像に、前記光硬化型接着剤を硬化させる光を照射する照射手段と、前記光が照射されたトナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で、前記接着対象物を加圧する加圧手段と、
を有することを特徴とする画像形成システムである。
【0007】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の画像形成システムに用いられる画像形成システム用プログラムであって、前記画像形成システムに、接着対象物の厚みの入力を受け付ける受付処理と、前記受付処理によって受け付けられた前記接着対象物の厚みに基づいて、前記加圧手段が加える圧力を設定する加圧設定処理と、を実行させることを特徴とする画像形成システム用プログラムである。
【0008】
請求項9に係る発明は、トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって接着対象物上にトナー像を形成する像形成工程と、前記像形成工程によって形成されたトナー像を前記接着対象物に定着させる定着工程と、前記定着工程によって定着されたトナー像に、前記光硬化型接着剤を硬化させる光を照射する照射工程と、前記光が照射されたトナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で、前記接着対象物を加圧する加圧工程と、を有することを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、画像形成装置は、トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって形成されたトナー像を接着対象物に定着させ、このトナー像に光硬化型接着剤を硬化させる光を照射し、トナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で接着対象物を加圧する。これにより、接着専用のトナーを用いることなく、接着対象物を接着させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの模式図である。
【図2】用紙表面の紫外線照射対象となるブロックを説明するための模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムのハードウェア構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの機能ブロック図である。
【図5−1】画像形成システムによって形成される画像の一例を説明するための説明図である。
【図5−2】用紙の接着範囲を説明するための説明図である。
【図6】画像形成システムにおける処理方法を示した処理フロー図である。
【図7】トナーを定着させた用紙の断面の一例を示す模式図ある。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの模式図である。
【図9】画像形成システムにおける他の処理方法を示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
<<実施形態の全体構成>>
以下、図面を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。まず、図1及び図2を用いて、本実施形態の全体構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの模式図である。図2は、用紙表面の紫外線照射対象となるブロックを説明するための模式図である。
【0012】
本実施形態の画像形成システム1は、図1に示すように、画像形成装置10と、接着対象物を接着させる接着装置の一例としての折装置20とを備えている。画像形成装置10は、接着対象物の一例としての用紙にトナーを定着させることにより画像を形成する。折装置20は、画像形成装置10によって画像形成された用紙を折り曲げて接着させる。
【0013】
<画像形成装置の構成>
図1に示されているように、画像形成装置10は、給紙部110と、搬送部120と、作像部130と、転写部140と、定着部150と、照射部160、制御部170と、を備えている。
【0014】
給紙部110は、図1に示されるように、給紙される用紙が積載された給紙カセット111と、給紙カセット111に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙ローラ112とを備えている。
【0015】
搬送部120は、給紙ローラ112によって給紙された用紙を転写部140の方向へ搬送する複数のローラ121と、ローラ121によって搬送された用紙の先端部を挟み込んで待機し、用紙を所定のタイミングで転写部140に送り出す一対のタイミングローラ122と、を備えている。また、搬送部120は、搬送される用紙を所定の搬送経路に沿ってガイドさせる不図示のガイド部材を備えている。
【0016】
作像部130は、所定の間隔をおいて、図1の左方から右方に向かって順に、クリアトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニットAと、イエローのトナー(有色トナー)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットBと、シアンのトナー(有色トナー)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットCと、マゼンタのトナー(有色トナー)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットDと、ブラックのトナー(有色トナー)を有した現像剤を用いる画像形成ユニットEと、を備えている。
【0017】
図1において5つの画像形成ユニットは、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同様である。それぞれの画像形成ユニットは、反時計回りに回転可能に設けられ、潜像及びトナー像が形成される感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)と、感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の表面を一様に帯電させる帯電器(132a,132b,132c,132d,132e)と、帯電器(132a,132b,132c,132d,132e)によって帯電された感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の表面に、各画像データに基づき光を照射して潜像を形成させる露光器(133a,133b,133c,133d,133e)と、露光器(133a,133b,133c,133d,133e)で感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の表面に形成された潜像をトナー像に現像する磁気ブラシタイプの現像器(134a,134b,134c,134d,134e)と、転写媒体にトナー像が1次転写された後の感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の表面を除電する除電器(135a,135b,135c,135d,135e)と、除電器(135a,135b,135c,135d,135e)で除電された感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の表面に残った転写残トナーを除去する清掃器(136a,136b,136c,136d,136e)とを備えている。
【0018】
なお、本実施形態では、感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)のうち任意の感光ドラムを示す場合には「感光ドラム131」を用いる。帯電器(132a,132b,132c,132d,132e)のうち任意の帯電器を示す場合には「帯電器132」を用いる。また、露光器(133a,133b,133c,133d,133e)のうち任意の露光器を示す場合には「露光器133」を用いる。また、現像器(134a,134b,134c,134d,134e)のうち任意の現像器を示す場合には「現像器134」を用いる。また、除電器(135a,135b,135c,135d,135e)のうち任意の除電器を示す場合には「除電器135」を用いる。また、清掃器(136a,136b,136c,136d,136e)のうち任意の清掃器を示す場合には「清掃器136」を用いる。
【0019】
転写部140は、駆動ローラ141及び従動ローラ142と、それらのローラの下方に設けられた2次対向ローラ143と、従動ローラ142と2次対向ローラ143との間に設けられたテンションローラ144と、これらのローラに掛け渡され駆動ローラ141の駆動に伴い時計回りに回転可能な中間転写ベルト145と、を備えている。
【0020】
また、転写部140は、駆動ローラ141と従動ローラ142との掛け渡し部に、中間転写ベルト145を挟んで、感光ドラム131に対向して設けられた1次転写ローラ(146a,146b,146c,146d,146e)を備えている。1次転写ローラ(146a,146b,146c,146d,146e)のうち任意の1次転写ローラを示す場合には「1次転写ローラ146」を用いる。中間転写ベルト145には、1次転写ローラ146によって1次転写バイアスがかけられることで、感光ドラム131の表面に形成された各トナー像が順に転写される。
【0021】
更に、転写部140は、中間転写ベルト145を挟んで、2次対向ローラ143に対向して設けられた2次転写ローラ147を備えている。これにより、2次転写ローラ147と中間転写ベルト145とによって挟み込まれた搬送中の用紙に2次転写バイアスがかけられることで、中間転写ベルト145に転写されたトナー像が用紙に転写される。
【0022】
定着部150は、ヒータ151が内側に設けられ、用紙をトナーの定着下限温度よりも高い温度に加熱する加熱ローラ152と、加熱ローラ152に回転可能に押し当てて加圧することにより接触面を形成させる加圧ローラ153とを備えている。なお、本実施形態において、定着下限温度とは、トナーが定着する下限の温度を意味する。
【0023】
照射部160は、複数のローラ161に巻き掛けられて、定着部150でトナーが定着された用紙を所定の紫外線照射位置に搬送するとともに、紫外線照射位置で紫外線照射された用紙を折装置20の方向に搬送する搬送ベルト162と、この紫外線照射位置で用紙に紫外線を照射する紫外線照射装置163とを備えている。
【0024】
紫外線照射装置163は、制御部170による制御に従って、予め定められた用紙表面の紫外線照射対象となるブロックのうち任意のブロックに紫外線を照射する。このため、紫外線照射装置163は、複数のUV−LED(Ultraviolet Light Emitting Diode)を備え、用紙と同等の面積を有するパネルであっても良い。例えば、図2に示すように用紙40が、x軸方向に8ブロック、y軸方向に10ブロックの紫外線照射対象となるブロックを有する場合、紫外線照射装置163は、各ブロックに対応する位置に合計80個のUV−LEDを備えたパネルであっても良い。
【0025】
紫外線照射装置163の照射波長は、現像剤に含まれる光硬化型接着剤を硬化させることができる波長であれば特に限定されないが、例えば、350nm以上、380nm以下とすることができる。また、紫外線照射装置163の出力は、現像剤に含まれる光硬化型接着剤を硬化させることができる出力であれば特に限定されない。このような紫外線照射装置としては、市販品を用いても良く、例えば、パナソニック電工社製AICURE UD80シリーズや、浜松ホトニクス社製リニア照射型UV−LEDユニットLC−L5が挙げられる。
【0026】
制御部170は、画像形成システム1の全体の動作を制御する。このため、制御部170は、後述のCPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を備えている。
【0027】
画像形成システム1の制御部170のハードウェア構成について図3を用いて説明する。図3は、画像形成システム1の制御部170のハードウェア構成図である。制御部170は、画像形成システム1の全体の動作を制御するCPU171、画像形成システム1に各種機能又は各種手段を実現させるための画像形成システム用プログラムを記憶したROM172、CPU171のワークエリアとして使用されるRAM173、各種データを記憶するHD(Hard Disk)174、CPU171の制御にしたがってHD174に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)175、画像形成システム1の運転状況を表示する表示パネルと、ユーザからの操作入力を受け付ける操作パネルとを兼ねた表示操作パネル176、情報処理装置などの外部機器とデータ伝送をするためのネットワークI/F(Interface)177、及び、上記各構成要素を図3に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン178を備えている。
【0028】
<折装置の構成>
図1に示されているように、折装置20は、画像形成装置10によって画像が形成された用紙を所定の位置にガイドするガイド部材21と、用紙の端部を整合するためのジョガー22と、ガイドされた用紙の面に対して垂直になるよう設けられ、図中のX方向に移動し、用紙を押し当てることにより折り曲げる折プレート23と、折プレート23によって折り曲げられた用紙を加圧するための一組のローラ24と、用紙を排紙する排紙ローラ25とを備えている。一組のローラ24は、制御部170による制御に基づいて、各ローラの軸が可動して軸間の距離を変えることによって、各ローラの接触面に加えられる圧力を変えられるように構成されている。
【0029】
<現像剤>
続いて、本実施形態で用いられる現像剤について説明する。現像剤は、トナーを有する一成分系の現像剤であっても、トナーとキャリアとを有する二成分系の現像剤であっても良い。上記のトナーとしては、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどの有色トナー、及びクリアトナーが挙げられる。
【0030】
本実施形態において、有色トナーとは、顔料や染料等の色材を付着又は含有し、帯電性を持った樹脂粒子を意味する。また、クリアトナーとは、定着後に素地の記録媒体又は記録媒体上に形成された画像を視認できるように構成された樹脂粒子を意味する。従って、クリアトナーは、定着後に素地の記録媒体等を視認できる程度の量であれば、蛍光顔料や有色の顔料等の色材を含んでも良い。
【0031】
各有色トナーを含有する現像剤、及びクリアトナーを含有する現像剤の少なくとも一つは光硬化型接着剤を含有する。これらの現像剤のうち光硬化型接着剤を含有しない現像剤としては、光硬化型接着剤を含有しない公知の電子写真用のトナーを含有する現像剤が挙げられる。
【0032】
一方、光硬化型接着剤を含有する現像剤としては、光硬化型接着剤を含有するトナー、光硬化型接着剤を含有しないトナーと光硬化型接着剤含有物との混合物、光硬化型接着剤を含有するトナーと光硬化型接着剤含有物との混合物などが挙げられる。光硬化型接着剤含有物としては、光硬化型接着剤を含有するキャリア、及び光硬化型接着剤を含有するマイクロカプセルなどが挙げられる。本実施形態では、クリアトナーが光硬化型接着剤を含有するものとして、以下、説明を続ける。
【0033】
本実施形態で用いられる光硬化型接着剤としては、光によって硬化する接着剤であれば特に限定されないが、紫外線によって硬化する紫外線硬化型接着剤、可視光によって硬化する可視光硬化型接着剤、赤外線によって硬化する赤外線硬化型接着剤などが挙げられる。これらのうち、紫外線硬化型接着剤は、可視光及び赤外線の存在下でも処理を実行できる点で好ましい。
【0034】
紫外線硬化型接着剤としては、重合性置換基を有する化合物を有する化合物が好適に用いられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。上記の重合性置換基としては、(メタ)アクリロイル基、環状エーテル基、アルケニル基、スチリル基、チオール基などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を示す。
【0035】
本実施形態で用いられる光硬化型接着剤は、必要に応じて光重合開始剤を含有しても良い。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル−エーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノンなどが挙げられる。
【0036】
光重合開始剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、2個以上の重合性置換基を有する化合物100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下とすることができる。
【0037】
現像剤に含まれる光硬化型接着剤の量は、接着強度、接着速度などに応じて適宜選択されるが、1質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上30質量%以下とすることができる。含有量が1質量%以下の場合には、十分な接着強度が得られない場合がある。含有量が50質量%以上の場合には、作業性が低下する場合がある。
【0038】
上記の光硬化型接着剤としては、市販品が好適に用いられる。光硬化型接着剤としては、ビスコート#195,#215,#230,#260(いずれも大阪有機化学工業社製)、アロニックスM−305,M−309,M−310,M−315,M−320,M−350,M−360,OXT−121(いずれも東亜合成社製)、リカレジンBEO−60E(新日本理化社製)、CYRACURE UVR−6105(ダウケミカル社製)、3115B(スリーボンド社製)などが挙げられる。
【0039】
本実施形態では、紫外線照射後に用紙を重ねて接着できる点で、光を照射した後しばらくは液状のままで固まらず、その後に硬化が進行する光遅延硬化性接着剤が好適に用いられる。上記市販品の光硬化型接着剤のうち、光遅延硬化性接着剤としては、3115Bが挙げられる。本実施形態では、光硬化型接着剤が光遅延硬化性接着剤であるものとして、以下、説明を続ける。
【0040】
光硬化型接着剤をトナー、キャリア、又はマイクロカプセルに含有させる方法としては、トナー、又はキャリアを構成する材料と光硬化型接着剤と混合して練り込む方法、トナー、キャリア、又はマイクロカプセルに光硬化型接着剤を内包させる方法などが挙げられる。光硬化型接着剤を内包させる方法としては、特に限定されないが、光硬化型接着剤を媒体中に分散し、その分散質と分散媒の界面で重合反応によりカプセル壁を形成させる方法が挙げられる。カプセル壁としては、トナー、キャリア、又はマイクロカプセルを構成する材料であれば特に限定されないが、ゼラチン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ尿素、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリウレア等が挙げられる。
【0041】
カプセル壁を形成させる方法としては、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法などの化学的カプセル化方法、相分離法、液中硬化被覆法、液中乾燥法、融解分散冷却法などによる物理化学的カプセル化方法、パンコーティング法、気中懸濁化法、噴霧乾燥法などによる機械的カプセル化方法などが挙げられる。本実施形態では、これらの方法を用いた公知の現像剤の製造例(特許文献2,特許文献3参照)に従い、光硬化型接着剤を内包させた現像剤を作成することができる。
【0042】
<<実施形態の機能構成>>
次に、図4、図5−1、及び図5−2を用いて本実施形態の機能構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の機能ブロック図である。図5−1は、画像形成システムによって形成される画像の一例を説明するための説明図である。図5−2は、画像形成システムによって形成される画像の接着範囲を説明するための説明図である。
【0043】
画像形成システム1は、受信部1701と、有色トナー画像データ生成部1702と、クリアトナー画像データ生成部1704と、紫外線照射設定部1706と、加圧設定部1708とを有している。これら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0044】
受信部1701は、図3に示されているネットワークI/F177によって実現され、通信ネットワークを介して画像出力用の端末、装置又はシステムによって送信された各種データ又は情報を受信する。受信されるデータとしては、形成される画像の画像データ、用紙における接着範囲を示す接着範囲情報等を含む。
【0045】
画像データとしては、例えば、用紙40に形成される文字、写真等を含むカラー画像(図5−1参照)を、R(Red)画像データ、G(Green)画像データ、及びB(Blue)画像データに色分解することによって得られたRGB画像データが挙げられる。接着範囲情報としては、用紙40において第1の接着強度で接着させる第1の接着範囲41、及び第2の接着強度で接着させる第2の接着範囲42(図5−2参照)に設定された各位置を示す位置情報が挙げられる。
【0046】
有色トナー画像データ生成部1702は、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって、受信部1701によって受信された画像データに基づいて、イエロー(Y)、ブラック(K)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の各有色トナーによって形成される画像の画像データ(有色画像データ)を生成する。
【0047】
クリアトナー画像データ生成部1704は、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって、クリアトナーによって形成される画像の画像データを生成する。
【0048】
紫外線照射設定部1706は、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって、受信部1701によって受信された接着範囲情報に基づいて、紫外線照射装置163によって照射される紫外線の照射範囲、時間、及び出力を設定する。
【0049】
加圧設定部1708は、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって、一組のローラ24間に掛けられる圧力を設定する。
【0050】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図6を用いて、本実施形態に係る画像形成システム1における処理方法を説明する。図6は、画像形成システム1における処理方法を示した処理フロー図である。
【0051】
まず、画像形成システム1の受信部1701は、通信ネットワークを介して画像出力端末によって送信され、画像データ、接着範囲及び接着強度を示す接着範囲情報、並びに用紙の厚みを示す用紙厚情報が含まれた画像形成要求情報を受信する(ステップS1)。本実施形態では、画像データがRGB画像データである場合について説明する。
【0052】
受信部1701が画像形成要求情報を受信すると、有色トナー画像データ生成部1702は、受信部1701によって受信されたRGB画像データに基づいて、イエロー(Y)、ブラック(K)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の各有色トナーによって形成される画像の画像データ(有色画像データ)を生成する(ステップS2)。この場合、有色トナー画像データ生成部1702は、画像形成要求情報に含まれるRGB画像データを色変換処理して、有色トナーの各色(C,M,Y,K)に対応した色分解データからなる有色画像データを生成する。なお、有色トナー画像データ生成部1702は、画像データに色変換処理の他、色補正処理や空間周波数補正処理等の公知の画像処理を実行しても良い。
【0053】
一方、クリアトナー画像データ生成部1704は、クリアトナー(CL)によって形成される画像のクリア画像データを生成する(ステップS3)。本実施形態では、クリアトナー画像データ生成部1704は、用紙の全面に光沢を発生させるために、用紙の面形状に対応したクリア画像データを生成する。
【0054】
また、クリアトナー画像データ生成部1704は、画像が形成される用紙の厚みに基づいて、階調を変えることができる。この場合、クリアトナー画像データ生成部1704は、用紙の厚みが大きくなるにつれて、クリアトナーの付着量が小さくなるようクリア画像データを生成する。即ち、クリアトナー画像データ生成部1704は、用紙の厚みが大きくなるにつれて、クリアトナーの階調が小さくなるようクリア画像データを生成する。なお、ROM172は、用紙の厚みと階調との相関を示した相関式を予め記憶していても良い。これにより、クリアトナー画像データ生成部1704は、ROM172に記憶された相関式に従って、クリア画像データを生成することができる。
【0055】
本実施形態の処理方法によると、用紙に付着する接着剤の量が一定である場合、接着処理時に用紙に加えられる圧力に比例して接着強度が大きくなる。一方で一組のローラ24間の接触面を用紙が通過する場合、用紙の厚みが大きくなるにつれて用紙に加えられる圧力が大きくなる。そこで、用紙の厚みが大きくなるにつれてクリアトナー(接着剤)の付着量が小さくなるよう設定しておくことで、用紙の厚みの違いに基づく接着強度のばらつきを小さくすることができる。
【0056】
続いて、紫外線照射設定部1706は、受信部1701によって受信された接着範囲情報に基づいて、紫外線照射装置163によって照射される紫外線の照射範囲、時間、出力を設定する(ステップS4)。この場合、紫外線照射設定部1706は、接着範囲情報によって示される各接着範囲に対応する紫外線照射装置163のUV−LEDをONにする紫外線照射信号を作成する。
【0057】
ここで、紫外線照射設定部1706は、接着範囲情報に基づいて、UV−LEDの出力の大きさ、又は照射時間を変えるように設定しても良い。本実施形態では、接着後の画像形成物の配送時に剥離が発生し難くし、剥離時に剥離しやすくするために、第1の接着範囲41の接着強度が第2の接着範囲42の接着強度よりも大きくなるように設定された場合について説明する(図5−2)。
【0058】
この場合、紫外線照射設定部1706は、第2の接着範囲42に対応するUV−LEDの出力をOFFにするか、第1の接着範囲41に対応するUV−LEDの出力よりも小さくなるよう、紫外線照射信号を作成することができる。また、紫外線照射設定部1706は、第2の接着範囲42に対応するUV−LEDの照射時間を、第1の接着範囲41に対応するUV−LEDの照射時間よりも短くなるよう、紫外線照射信号を作成することができる。これにより、第2の接着範囲42では、第1の接着範囲41と比較して、照射される紫外線の量が小さくなり、接着強度も小さくなる。
【0059】
次に、加圧設定部1708は、表示操作パネル176によって入力が受け付けられた用紙の厚さに基づいて、一組のローラ24の接触面に加えられる圧力を設定する(ステップS5)。この場合、加圧設定部1708は、用紙の厚さが大きくなるに従い、一組のローラ24間に加えられる圧力が小さくなるよう設定する。
【0060】
これにより、用紙の厚みの違いによる圧力のばらつきが小さくなるので、接着強度のばらつきの発生を抑制できる。なお、圧力の設定は、例えば、一組のローラ24間の距離を変えることによって行われる。この場合、ROM172は、用紙の厚さとローラ24間の距離の相関を示す相関式を記憶しても良い。これにより、加圧設定部1708は、ROM172に記憶された相関式に基づいて、用紙の厚さをローラ24間の距離に変換することができる。
【0061】
続いて、給紙部110の給紙ローラ112は、給紙カセット111に収容された用紙を一枚ずつ画像形成装置10内の搬送経路に給紙する(ステップS6)。続いて、搬送部120のローラ121は、給紙された用紙を転写部140の方向へ搬送する。タイミングローラ122は、ローラ121によって搬送された用紙の先端部を挟み込み、転写部140で用紙を転写するタイミングになるまで待機する。
【0062】
一方、作像部130の各画像形成ユニットは、生成された有色画像データ、クリア画像データに基づいて、各トナー(C,M,Y,K,CL)のトナー像を作像する(ステップS7)。この場合、帯電器132は、反時計回りに回転する感光ドラム131の表面を一様に帯電させる。
【0063】
続いて、露光器133は、帯電器132によって帯電された感光ドラムの表面に、各画像データに基づき光を照射して潜像を形成させる。この場合、露光器133aは、クリア画像データに基づいて、帯電された感光ドラム131aの表面にレーザーを照射する。これにより、帯電後の感光ドラム131aにはクリア画像データによって示される画像に対応した静電潜像が形成される。
【0064】
同様に、露光器(133b,133c,133d,133e)は、有色画像データに含まれる色分解データ色分解データ(Y,C,M,K)に基づいて、帯電された感光ドラム(131b,131c,131d,131e)の表面にレーザーを照射する。これにより、帯電後の感光ドラム(131b,131c,131d,131e)には各色分解データ(Y,C,M,K)によって示される画像に対応した静電潜像が形成される。
【0065】
各静電潜像が形成されると、現像器134は、感光ドラム(131a,131b,131c,131d,131e)の静電潜像をトナー(CL,Y,C,M,K)を用いて現像し、トナー像(CL,Y,C,M,K)を作像する。
【0066】
現像されたトナー像は、1次転写ローラ146によって1次転写バイアスがかけられることで、図1において時計回りに循環移動する中間転写ベルト145に順次重ねて転写される(一次転写)。中間転写ベルト145にトナー像が1次転写された後、感光ドラム131の表面は、除電器135によって除電される。また、除電された感光ドラム131の表面に残った転写残トナーは、清掃器136によって除去される。
【0067】
一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト145に付着した状態で移動し、2次転写ローラ147によって2次転写バイアスがかけられることで用紙に転写される(2次転写)(ステップS8)。この用紙は、中間転写ベルト145上のトナー像が移動するタイミングに合わせて、タイミングローラ122によって送り出されたものである。2次転写された用紙は、不図示のローラによって定着部150に搬送される。
【0068】
定着部150に搬送された用紙は、加熱ローラ152と加圧ローラ154によって形成される接触面を通過するときに、転写されたトナー(CL,C,M,Y,K)の定着下限温度以上の温度になるよう加熱される。これにより、用紙に転写されたすべてのトナー(CL,C,M,Y,K)は、可塑化する。また、可塑化したトナー及び用紙には、加圧ローラ154によって圧力が加えられることで、トナーが用紙に密着すると共に、用紙の繊維間に入り込むことで定着する(ステップS9)。なお、定着温度の上限としては、クリアトナー、及び各有色トナーにオフセット現象が発生しない温度であることが好ましい。ここで、オフセット現象とは、トナー画像の一部がローラに付着して取り去られる現象を意味する。
【0069】
ここで、トナーを定着させた用紙の状態を図7を用いて説明する。図7は、トナーを定着させた用紙の断面の一例を示す模式図ある。図7に示されているように、用紙40には、クリア画像データに基づいてクリアトナー51によって形成されたトナー像と、有色画像データに基づいて有色トナー52によって形成されたトナー像とが形成される。定着されたトナーの表層部は、クリアトナー51からなる。これは、一次転写においてクリアトナーのトナー像が最初に中間転写ベルト145に転写されるためである(ステップS8参照)。
【0070】
また、第1の接着範囲41におけるクリアトナー51の付着量は、第2の接着範囲42におけるクリアトナー51の付着量と同等である。これにより、剥離後に各接着範囲の境界部でクリアトナー51の付着量の違いによって、画像の見映えが低下することを防げる。
【0071】
続いて、搬送ベルト162は、定着部150でトナーが定着された用紙を所定の紫外線照射位置に搬送する。用紙が所定の紫外線照射位置に到達すると、紫外線照射装置163は、紫外線照射設定部1706によって作成され照射範囲、時間、出力の定められた紫外線照射信号に基づいて、用紙に紫外線を照射する(ステップS10)。
【0072】
本実施形態では、光硬化型接着剤が光遅延硬化性接着剤であるため、用紙に紫外線が照射されても、クリアトナーに含まれる光硬化型接着剤は少なくとも数秒間硬化しない。光硬化型接着剤が硬化するまでの時間は、紫外線が照射された用紙が折装置20によって接着処理が行われる時間に基づき、接着剤の種類を変えることにより調整される。
【0073】
続いて、折装置20による接着処理について説明する。紫外線が照射された用紙は、折装置20に搬送され、折処理(ステップS11)及び、接着処理が施される(ステップS12)。この場合、用紙は、ガイド部材21にガイドされて搬送され、ジョガー22に突き当たって止まる。ジョガー22の位置は、用紙幅の中心線43(図5−2参照)が折位置となるよう、予め調整されている。
【0074】
用紙が折位置に達すると、折プレート23は、図1中のX方向に移動し、用紙幅の中心線43に沿って折り曲げる。一組のローラ24は、折プレート23によって折り曲げられた用紙を加圧する。ローラ24の接合面に加えられる圧力は、加圧設定部1708の設定に基づき各ローラの軸間の距離が変えられることにより、紙の厚みに応じて予め調整されている。また、用紙に紫外線照射してから加圧するまでの間に、接着剤の硬化反応は開始する。これにより、用紙は、図5−2の第1の接着範囲41の接着強度が第2の接着範囲42の接着強度よりも大きい状態で接着する。接着された用紙は排紙ローラ25によって排紙され、所定の収容部に収容される。
【0075】
〔第2の実施形態〕
<<実施形態の全体構成>>
以下、図面を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。まずは、図8を用いて、本実施形態の全体構成のうち第1の実施形態の全体構成と相違する点を説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの模式図である。
【0076】
本実施形態の画像形成システム1は、図8に示すように、画像形成装置10と、記録媒体処理装置の一例としての折装置20とを備えている。画像形成装置10は、照射部160を有していない点を除き、第1の実施形態の画像形成装置10と同様である。そのため、詳細な説明を省略する。
【0077】
本実施形態の折装置20は、一組のローラ24と排紙ローラ25との間に照射部260を有する点で第1の実施形態の折装置20と異なる。照射部260は、複数のローラ261に巻き掛けられて、折プレート23によって折り曲げられた用紙を所定の紫外線照射位置に搬送するとともに、紫外線照射位置で紫外線照射された用紙を排紙ローラ25の方向に搬送する搬送ベルト262と、この紫外線照射位置で用紙に紫外線を照射する紫外線照射装置263とを備えている。
【0078】
折装置20の排紙ローラ25は、制御部170による制御に基づいて、各ローラの軸が可動して軸間の距離を変えることによって、排紙ローラ24間に加えられる圧力を変えられるように構成されている。
【0079】
<現像剤>
本実施形態で用いられる現像剤は、第1の実施形態で用いられる現像剤と同様のものが用いられる。但し、現像剤に含まれる光硬化型接着剤は、光遅延硬化性接着剤に限られない。本実施形態では、紫外線照射装置263によって紫外線が照射された用紙は、即座に排紙ローラ25によって加圧されるためである。
【0080】
<<実施形態の機能構成>>
続いて、本実施形態の機能構成について、第1の実施形態の機能構成と異なる点を説明する。本実施形態では、紫外線照射装置263は、用紙を透過させて紫外線を照射する。従って、紫外線が用紙を透過する際に、紫外線の強度が低下する。このため、紫外線照射設定部1706で設定される紫外線照射装置263の出力は、第1の実施形態において同等の接着強度で接着を行う場合の出力と比較して大きくなる。
【0081】
加圧設定部1708は、ROM172に記憶されているプログラムに従ったCPU171からの命令によって、表示操作パネル176によって入力が受け付けられた用紙の厚さに基づいて、排紙ローラ25間に加えられる圧力を設定する。
【0082】
<<実施形態の処理・動作>>
続いて、図9を用いて、本実施形態に係る画像形成システム1における他の処理方法について、第1の実施形態の処理方法と異なる点を説明する。図9は、画像形成システム1における他の処理方法を示した処理フロー図である。
【0083】
本実施形態において、画像形成装置10で実行されるステップS21からステップS29までの各処理は、第1の実施形態において画像形成装置10で実行されるステップS1からS9までの処理と同様である(図6参照)。このため、詳細な説明を省略する。
【0084】
続いて、折装置20による接着処理について説明する。トナーが定着された用紙は、折装置20に搬送され、折処理(ステップS30)及び、紫外線照射処理(ステップS31)、及び接着処理が施される(ステップS32)。この場合、用紙は、ガイド部材21にガイドされて搬送され、ジョガー22に突き当たって止まる。ジョガー22の位置は、用紙幅の中心線43(図5−2参照)が折位置となるよう、予め調整されている。
【0085】
用紙が折位置に達すると、折プレート23は、図1中のX方向に移動し、用紙幅の中心線43に沿って折り曲げる。この時点で用紙には紫外線が照射されていないため、硬化反応に伴い粘着性の生じた用紙の接着面と折プレート23とが接触することによって、加工性が損なわれることがない。
【0086】
続いて、一組のローラ24は、折プレート23によって折り曲げられた用紙を加圧する。次に、搬送ベルト262は、一組のローラ24によって加圧された用紙を所定の紫外線照射位置に搬送する。用紙が所定の紫外線照射位置に到達すると、紫外線照射装置263は、紫外線照射設定部1706によって作成され照射範囲、時間、出力の定められた紫外線照射信号に基づいて、用紙に紫外線を照射する。これにより、現像剤に含まれた光硬化型接着剤の硬化反応が開始する。
【0087】
続いて、排紙ローラ25は、折り曲げられた状態で紫外線が照射された用紙を加圧する。排紙ローラ25の接合面に加えられる圧力は、加圧設定部1708の設定に基づき各ローラの軸間の距離が変えられることにより、紙の厚みに応じて予め調整されている。これにより、折り曲げられた用紙が加圧された状態で接着剤が硬化することにより、用紙は接着する。接着された用紙は排紙ローラ25によって排紙され、所定の収容部に収容される。
【0088】
<<実施形態の補足>>
上記実施形態では、画像形成システム1の画像形成装置10、及び折装置20は、別の筐体に収められていた。しかしながら、本実施形態はこれに限られるものではなく、画像形成システム1の画像形成装置10、及び折装置20は、同一の筐体に収められていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、クリアトナーが光硬化型接着剤を含有していた。しかしながら、本実施形態はこれに限られるものではない。光硬化型接着剤は、クリアトナーに代えて、例えば、ブラックトナーに含有されていても良い。この場合、ステップS2で、有色トナー画像データ生成部1702は、図5−2の第1の接着範囲41に対応したブラックトナーによる有色トナー画像データを生成する。その後、ステップS3のクリア画像データ生成処理を実行しない点を除き、第1の実施形態と同様の処理を行うことにより、第1の接着範囲41が接着した画像形成物が得られる。この方法によると、クリアトナーを作像する手段を有していない画像形成装置においても、本発明による接着処理が可能となるという効果を奏する。
【0090】
更に、上記実施形態では、接着装置が折装置20である場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限られるものではない。例えば、接着装置は、用紙と、光硬化型接着剤によって接着可能な任意の物体とを貼り合わせる貼合装置であっても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、紫外線照射装置(163,263)は用紙の全面に紫外線を照射した。しかしながら、本実施形態はこれに限られない。紫外線照射装置(163,263)は、少なくとも用紙の接着が必要なブロックのみを照射すれば良い。
【0092】
<<実施形態の主な効果>>
以上説明したように、本実施形態によれば、画像形成装置1の定着部150は、トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって形成されたトナー像を用紙に定着させる。紫外線照射装置163は、このトナー像に光硬化型接着剤を硬化させる紫外線を照射する。折装置20のローラ24は、トナー像を有する面が折り曲げられて接した状態の用紙を加圧する。トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤は、画像形成用の現像剤と併用できるので、接着専用のトナーを用いることなく、接着対象物を接着させることが可能になるという効果を奏する。
【0093】
また、本実施形態によれば、折装置20の紫外線照射装置263は、用紙を透過させることによりトナー像に光を照射する。この場合、接着面が重ねられた用紙に紫外線を照射することができるので、粘着性の生じた用紙に他の用紙を重ねる処理が不要となり、作業性が向上するという効果を奏する。
【0094】
また、本実施形態によれば、クリアトナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤を用いて画像を形成する。これにより、画像形成物に光沢を発生させるとともに、接着性を発生させることができるという効果を奏する。
【0095】
また、本実施形態によれば、有色トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤を用いて画像を形成することができる。これにより、クリアトナーの現像装置を有していない画像形成装置においても、画像形成物に接着性を発生させることができるという効果を奏する。
【0096】
また、本実施形態によれば、画像形成システム1の表示操作パネル176は、用紙の厚みの入力を受け付ける。また、加圧設定部1708は、用紙の厚みに基づいて、ローラ(24,25)が加える圧力を設定する。ローラ(24,25)間の接触面を用紙が通過する場合、用紙の厚みが大きくなるにつれて用紙に加えられる圧力が大きくなるが、予めローラ24間に掛かる圧力を小さく設定しておくことで、用紙の厚みの違いに基づく接着強度のばらつきを抑制することができるという効果を奏する。
【0097】
また、本実施形態によれば、画像形成システム1の表示操作パネル176は、用紙の厚みの入力を受け付ける。また、クリアトナー画像データ生成部1704は、用紙の厚みに基づいてクリアトナーの付着量の異なるクリアトナー画像データを生成する。これにより、用紙の厚みの違いに基づく接着強度のばらつきを抑制することができるという効果を奏する。
【0098】
また、本実施形態によれば、画像形成システム1の受信部1701は、接着強度を示す情報を受信する。また、紫外線照射設定部1706は、受信された情報に基づいて紫外線照射装置(163,263)が照射する光の出力を設定する。これにより、画像形成システム1は所望の接着強度で接着部を形成することができるという効果を奏する。
【0099】
また、本実施形態によれば、画像形成システム1の受信部1701は、接着範囲を示す情報を受信する。また、紫外線照射設定部1706は、受信された情報に基づいて紫外線照射装置(163,263)が光を照射する範囲を設定する。これにより、画像形成システム1は所望の範囲に接着部を形成することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
20 折装置
21 ガイド部材
22 ジョガー
23 折プレート
24 ローラ
25 排紙ローラ
40 用紙
41 第1の接着範囲
42 第2の接着範囲
51 クリアトナー
52 有色トナー
110 給紙部
111 給紙カセット
112 給紙ローラ
120 搬送部
121 ローラ
122 タイミングローラ
130 作像部
131 感光ドラム
132 帯電器
133 露光器
134 現像器
135 除電器
136 清掃器
140 転写部
141 駆動ローラ
142 従動ローラ
143 2次対向ローラ
144 テンションローラ
145 中間転写ベルト
146 1次転写ローラ
150 定着部
151 ヒータ
152 加熱ローラ
154 加圧ローラ
160 照射部
161 ローラ
162 搬送ベルト
163 紫外線照射装置
170 制御部
260 照射部
261 ローラ
262 搬送ベルト
263 紫外線照射装置
1701 受信部
1702 有色トナー画像データ生成部
1704 クリアトナー画像データ生成部
1706 紫外線照射設定部
1708 加圧設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2006−171607号公報
【特許文献2】特開2004−151311号公報
【特許文献3】特開2004−177660号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって接着対象物上にトナー像を形成する像形成手段と、
前記像形成手段によって形成された前記トナー像を前記接着対象物に定着させる定着手段と、
前記定着手段によって定着された前記トナー像に、前記光硬化型接着剤を硬化させる光を照射する照射手段と、
前記照射手段によって前記光が照射された前記トナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で、前記接着対象物を加圧する加圧手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記照射手段が、前記接着対象物を透過させて前記トナー像に前記光を照射することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記トナーがクリアトナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記トナーが有色トナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成システムに用いられる画像形成システム用プログラムであって、
前記画像形成システムに、
接着対象物の厚みの入力を受け付ける受付処理と、
前記受付処理によって受け付けられた前記接着対象物の厚みに基づいて、前記加圧手段が加える圧力を設定する加圧設定処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成システムに用いられる画像形成システム用プログラムであって、
前記画像形成システムに、
接着対象物の厚みの入力を受け付ける受付処理と、
前記受付処理によって受け付けられた前記接着対象物の厚みに基づいて、前記接着対象物上に前記トナーの付着量の異なるトナー像を形成する像形成処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成システムに用いられる画像形成システム用プログラムであって、
前記画像形成システムに、
接着強度の入力を受け付ける受付処理と、
前記受付処理によって受け付けられた前記接着強度に基づいて、前記照射手段が照射する光の出力を設定する照射設定処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成システムに用いられる画像形成システム用プログラムであって、
前記画像形成システムに、
接着範囲の入力を受け付ける受付処理と、
前記受付処理によって受け付けられた前記接着範囲に基づいて、前記照射手段が光を照射する範囲を設定する照射設定処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
【請求項9】
トナー及び光硬化型接着剤を含む現像剤によって接着対象物上にトナー像を形成する像形成工程と、
前記像形成工程によって形成されたトナー像を前記接着対象物に定着させる定着工程と、
前記定着工程によって定着されたトナー像に、前記光硬化型接着剤を硬化させる光を照射する照射工程と、
前記光が照射されたトナー像を有する面と所定の被接着対象面とが接した状態で、前記接着対象物を加圧する加圧工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20038(P2013−20038A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152561(P2011−152561)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】