説明

画像形成装置において支持面へ塗布される液体の一部を再生するシステム

【課題】オフセット印刷画像形成システムにおいて、摩擦係数の低い、繊維のシェディング(脱落)が削減された、流体をろ過するためのフィルタを有する再生システムおよびプロセスを提供する。
【解決手段】画像形成装置において支持面へ液体を塗布し、該液体の一部分を再生するシステムでは、支持面へ液体を塗布するローラ面と、ろ過裏面と低摩擦ライナー面が固着されたろ過表面とを有する液体透過フィルタと、を含み、ライナー面が、ローラ面と直接摩擦接触し、フィルタが、ろ過裏面の支持面から回収された液体を受取り、再生後の浄化された液体を、ライナー面から、ろ過表面を介して、ローラ面へ送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像形成システムにおけるドラムメンテナンス装置のための改良されたフィルタに係り、より詳細には、流体を再生(回収)し、摩擦が低く、繊維のシェディング(脱落)の少ないフィルタを介して、該流体をろ過するオフセット印刷画像形成システムにおける再生システムおよびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写面を有するオフセットインクジェット印刷システムは公知である。例えば、中間転写面がプリントヘッドとともに用いられるシステムが開示されている。ペーパの最終受取り(印刷)面は、画像がプリントヘッドのノズルによって中間ドラム上に配置された後に中間転写ドラムに接触する。次に、画像は最終受取り面へ転写される。次に、クリーニング媒体が、次の画像が転写面に形成される前にドラムの表面を準備するために、中間転写ドラムと接触する。
【0003】
液体中間転写面が転写ドラムに塗布される他のオフセットインクジェット印刷システムも開示されている。次に、プリントヘッドのノズルがインクの液滴を液体空間転写面へ吐出してインク画像を形成する。次に、ペーパなどの最終受取り基板が中間転写面と接触し、インク画像が最終受取り基板へ転写される。液体中間転写面は、クリーニングされ、次の画像が転写面へ形成される前に、再塗布される。
【0004】
液体中間転写面を使用するインクジェット印刷システムは、所望される量の液体を中間転写支持面へ塗布するために一般に塗布器(アプリケータ)を必要とする。交換可能な転写ドラムメンテナンスカセットにハウジングされたアプリケータも開示されている。
【0005】
プリンタの支持面へ液体中間転写面を塗布するための交換可能な液体塗布システムも公知である。液体塗布システムは、取外し可能なカセットに含まれ、回動接触によって支持面と係合する液体含浸孤状面を使用する。液体含浸孤状面は、カセット内の取外し可能なカートリッジに含まれる。
【0006】
カートリッジは、該カートリッジの耐用寿命を延ばす再生アセンブリも含む。再生アセンブリは、支持面からの液体を回収し、フィルタを通すことによって、該液体をろ過し、支持面へ再塗布するために該液体を弧状面へ返し供給する。しかしながら、時間が経過するにつれて、フィルタにはゴミが詰まることがある。一旦ゴミが詰まると、システムはまるでフィルタが存在しなかったかのごとく作用する。これによって、ゴミはローラまで移動し、いろいろな問題を生じ得る。
【0007】
プリンタの支持面へ液体中間転写面を塗布するための他の交換可能な液体塗布システムも公知である。上記と同様に、この液体塗布システムは、取外し可能なカセットに含まれるとともに、回動接触によって支持面と係合する液体含浸弧状面を使用する。このシステムは、支持面から液体を再生し、フィルタを通すことによって液体をろ過し、支持面へ再塗布するために、弧状面へ液体を返し供給する再生アセンブリも含んでいる。フィルタはポリエステルフェルトであり、転写ローラはポリウレタンフォームから形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の再生システムは、対応するウレタンドラムメンテナンス装置ローラと一緒に使用すると、とりわけ、効率よく作用する。フェルトに直接接触することによる摩擦は、ローラの摩擦係数が相対的に低いことから、あまり問題とされず、また、接触によるフェルト繊維の脱落(shedding)も微少であった。
【0009】
しかしながら、最近、新しいドラムメンテナンス用ローラが開発されてきた。これらのローラは、従来のプロウレタンフォームフィルタよりも摩擦係数が高い。既存のフェルトフィルタは、これらのローラと共に使用するには不十分であり、過度のシェディング(繊維の脱落)および摩擦による問題を生じた。これは、従来のフィルトフィルタが(繊維の)縺れによって互いに付着する短繊維を有する材料から形成されていることによる。このフィルタは、負荷を受けると、短繊維の縺れがほどけることによって、繊維を解放する。
【0010】
特に、ドラムメンテナンス装置は、オイルなどの液体をろ過、再生し、それをローラへ返すことによって作用する。この再生後の浄化されたオイルは、接触圧によってフィルタからローラへ移転される。この接触圧によってローラとフィルタの間に摩擦が生じる。さまざまなローラ材料を用いると、この摩擦力は、ローラ上のドラムの駆動力を超えて、ローラの自在回転が阻止される場合もある。更に、余分な摩擦が生じることによって、フィルタ繊維のシェディングが過多になり、これによって、過度に解けた繊維によって、オイルが汚染されたり、プリンタの他の領域(特に、プリントヘッド)が汚染されたり、あるいは、過度のシェディングによってフィルタが破壊されたりすることにより、装置の期待寿命が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、画像形成装置において支持面に液体を塗布するドラムメンテナンス装置に用いるために設計された、改良されたフィルタに関している。この支持面は中間転写ドラムの表面であってよい。本システムは、支持面に液体を塗布する塗布面と、支持面から除去された液体がフィルタを介して塗布面に通過していくように、塗布面に対して配置されるフィルタとを備える。
【0012】
例示的な実施の形態において、ドラムメンテナンス装置フィルタは、ドラムメンテナンス装置によって回収されたゴミから、オイルなどの液体を分離させ、浄化されたオイルをローラへ戻す。このオイルは、接触圧によってフィルタから移転される。
【0013】
例示的な実施の形態において、フィルタは、多孔性の開口セルフィルタ材料である。例示的な実施の形態において、フィルタは、不織布、好ましくは、ポリエステルフェルトから形成される。
【0014】
本明細書中に示されている態様によれば、フィルタは、透過性ポリエステルのライナー(裏地)を含む。
【0015】
種々の例示的な実施の形態において、ライナーは、接着剤や塗料を介して、フィルタ基材に貼り付けられる。好ましい実施の形態において、ライナーおよびフィルタは、別個の層として形成される。感圧接着ドットはフィルタ上で離間されて配置され、ライナーは該フィルタに押圧されて二つの層を共に接着させ、これによって、オイル透過性複合フィルタが形成される。
【0016】
いくつかの実施の形態において、ライナーは互いに接着されることにより連続ウェブを形成する長繊維からなる。長繊維とサーマル(熱融着)ボンドは、負荷を受けて放出される材料の量を減少させる働きをする。
【0017】
種々の実施の形態において、ローラは、吸収性材料からなる。好適なローラは、ポリエステルおよび/またはナイロン混合織り材料である。この材料は、従来のポリウレタンフォームのローラより摩擦係数が高いが、ローラ上でフィルタと直接接触している場合でも、線状(lined)フィルタによってローラは自由に回転することができる。しかしながら、線状フィルタは、従来において使用されているポリウレタンフォームローラとも代替可能である。
【0018】
例示的な実施の形態において、このようなフィルタとライナーの毛細管特性は、フィルタを介してオイルを塗布面へ移動させ、フィルタにインクまたはペーパーダストなどの任意の固体粒子を捕捉して残す。
【0019】
例示的な実施の形態において、塗布面とフィルタは、取り外し交換が可能なカートリッジ内にあり、画像形成装置の耐用寿命を延ばすことができる。
【0020】
いくつかの実施の形態において、システムは、支持面へ液体を分散させて供給するための測定ブレードを更に含む。支持面へ液体を分散させて供給する過程において、支持面からの液体の一部が該支持面から除去され得る。本発明の好ましい実施の形態において、次に、該液体は、再利用のためにフィルタを介して塗布面へ流れる。
【0021】
システムが測定ブレードを含む実施の形態において、必ずしもこれに限定されないが、測定ブレードは、塗布面とフィルタを含むカートリッジ内にあってもよい。測定ブレードは、このようなカートリッジへ、または、長形のブレード取付けブラケットによって画像形成装置の他の部分へ、取り付けられてもよい。
【0022】
いくつかの他の実施の形態において、支持面から除去された液体をフィルタへ方向付ける、塗布面に隣接する物理的バリアが設けられてもよい。この物理的バリアは、例えば、測定ブレードによって支持面から除去された液体が、フィルタを通過する前に、塗布面と接触するのを阻止する。また、物理的バリアは、フィルタに対して構造的支持を提供することもできる。具体的には、フィルタが物理的バリアに取り付けられてもよい。
【0023】
好ましい実施の形態において、画像形成装置内の支持面へ液体を塗布し、該液体の一部を再生するシステムが提供される。該システムは、支持面に液体を塗布するローラ面と、ろ過裏面と低摩擦ライナー面が固定されるろ過表面とを有する液体含浸フィルタと、を有し、ライナー面は、ローラ面に直接摩擦接触している。フィルタは、ろ過裏面の支持面から回収された液体を受取り、浄化された液体を、ライナー面から、ろ過表面を介して、ローラ面へ送る。
【0024】
いくつかの実施の形態において、システムは画像形成装置の一部であってもよい。具体的には、画像形成装置は、支持面と、該支持面に液体を塗布して中間液体転写面を形成するローラ面と、該支持面から除去された液体がフィルタを通って塗布面へ送られるように該ローラ面に対して位置決めされる透過性の低摩擦フィルタと、該支持面の中間液体転写面へインクを塗布するプリントヘッドと、を含み得る。好ましい実施の形態において、この画像形成装置は、フェーズチェンジ方式のオフセットインクジェットプリンタである。更に、実施の形態において、画像形成装置の支持面は、該画像形成装置内に回転可能に取り付けられた転写ドラムの面である。
【0025】
本発明はまた、画像形成層内の液体再生のための方法に関する。該方法は、塗布面を支持面に接触させて該塗布面からの液体を支持面へ塗布し、該支持面の液量を計測し、該支持面からの液体の一部を回収し、該支持面から除去された回収液を、支持面へ再塗布するためにフィルタを通して塗布面へ送ることを含み、該フィルタは、支持面に接触してローラの回転自在を可能とする低摩擦透過性ライナー層を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付図面に示されるように、本発明の例示的な実施の形態を詳細に参照する。例示的な実施の形態において、インク印刷装置は、フェーズチェンジ方式のオフセットインク印刷装置である。
【0027】
図1は、液体塗布システムを使用する、一般的に参照番号10が付されたフェーズチェンジ方式オフセットインク印刷装置を示す全体図である。印刷装置10は、ディスプレイパネル11を含み得る。上記に参照されているように、液体塗布システムは、オフセット印刷装置において、中間転写支持面へ液体中間転写面を塗布するために使用され得る。ソリッドインク方式またはフェーズチェンジ方式のインクオフセット画像形成技術のさまざまな例はすでに開示されている。
【0028】
以下の液体塗布システムの例示的な実施の形態によれば、液体塗布システムのフェーズチェンジ方式のインクオフセット印刷装置における使用について説明される。しかしながら、該塗布システムが、異なる画像形成技術および/またはアーキテクチャを使用するとともに液体の塗布を要求する種々の他の画像形成および印刷装置にともに使用され得ることも理解されよう。従って、以下の記述は、本開示の一実施の形態を単に説明するものにすぎない。
【0029】
図2は、液体塗布システムを使用して、オフセットインクジェットプリンタにおいて支持面へ液体中間転写面を塗布する、交換可能カートリッジ12を示す。ドラムメンテナンス装置と称される取外し可能カートリッジは、プリンタ10の支持面へ中間液体転写面を塗布する液体含浸ローラ20を含む。カートリッジ2は、好ましくは、プラスチックなどの低コスト構造材料から作成される。
【0030】
図3は、最初の「パーク(待機)」位置での例示的な交換可能カートリッジ12を示す側断面図を示す。カートリッジ12は、該プリンタの中間転写支持面に隣接して配置されているのが示されている。中間転写支持面は、図3に示されるような転写ドラム23の形態をとってもよいし、または、ベルト、ウェブ、プレートまたは他の好適なデザインであってもよい。取外し可能カートリッジは、全般に参照番号12が付され、液体含浸ローラ20を含む。図3に示される「パーク」位置において、液体含浸ローラ20とブレード34は、転写ドラム23に接触しない。
【0031】
図4に関しては、画像形成前に、転写ドラム23の表面24へ液体中間転写面26を接触させ塗布させるように、液体含浸ローラ20が持上げられる。種々の実施の形態において、ローラ20は、任意の好適な材料から作成され得る。好ましくは、ローラ20は、織布状のポリエステル/ナイロン混紡などの吸収性材料から形成される。しかしながら、ローラ20は、押出成形されたポリウレタンフォームであってもよい。プリンタへ液体転写面を塗布するためのローラ20の寸法は、適切に決定される。
【0032】
引き続いて図3と図4を参照すると、また、カートリッジ12は、転写ドラム23の表面24を横切るように、液体中間転写面26を分散させて供給する測定ブレード34を有し、これによって、ドラム表面へ均一な液体層を安定的にもたらすことができる。例示的な実施の形態において、ブレード34は、弾性材料からなり、長形ブレード取付けブラケット32へ固定される。上記のように、液体含浸ローラ20と弾性ブレード34の機能は、転写ドラム表面24へ微量測定された液体を塗布することである。
【0033】
動作時において、液体含浸ローラ20と弾性ブレード34が持上げられて転写ドラム表面24と接触する間、転写ドラム23は、矢印Aの動作方向へ回転する。ローラ20は、転写ドラム表面24と摩擦接触することによって矢印Bの動作方向に回転するよう駆動され、ドラム表面24へ液体中間転写面26を塗布する。利点としては、ローラ20がドラム表面24へ液体を塗布しながら回転している間、ローラ20の肉部がドラム表面に連続的に接触するようにローラ20の接触点も連続移動し、これによって、液体が塗布される。ドラム表面24の液体中間転写面26がブレード34に到着すると、該ブレード34は、液体を測定し、ドラム表面24にわたって、均一な液体層をまんべんなく分散させて供給する。
【0034】
液体中間転写面26の塗布が完了すると、プリントヘッド100(図3)が該液体表面上へインク画像を射出する。次に、回転押圧ローラ(図示しない)によってペーパを転写ドラム23へ押圧することによって、インク画像は、ペーパなどの最終受取(印刷)媒体へ転写され、定着される。液体中間転写面26は、インク画像とともに最終受取媒体へ少なくとも部分的に転写され得る犠牲層として作用する。液体中間転写面26として使用され得る好適な液体としては、水、フッ化油、グリコール、界面活性剤、鉱油、シリコーン油、機能油およびこれらを組み合わせたものがある。機能油は、限定はされないが、メルカプトシリコーン油、フッ化シリコーン油、などを含んでいてもよい。液体は、シリコーン油、特に、アミノシリコーン油であってもよい。最終印刷媒体は、透明紙、ペーパまたは他の好適な媒体であってもよい。
【0035】
引き続き、図4を参照すると、ブレード34は、ドラム表面24へ塗布される、オイルなどの液体の正確な量を測定し、ペーパ繊維、未転写定着の画素(インク)および他のゴミを捕捉するように作用する。オイル含浸ローラ20は、充分なオイルをドラム表面24へ塗布して、ブレード34の手前で一定した液溜まり(パドル)または「オイルバー」を維持し、これによって、測定されるべき充分な量のオイルが常に確実に使用可能であるようにする。動作時において、ブレード34によって捕捉されたゴミは、以下に詳細に記述されるように、オイルバー内に閉じ込められ、ブレードを下って流れる。ブレード34がオイルを測定するとき、該ブレードは、ドラム表面24から離間されるよう持上げられ、これによって、測定分量のオイルがブレードに沿って流れる。ブレード34がドラム表面24に接触する力とブレードの迎え角を調整することによって、所望のブレード持上げ量が設定される。
【0036】
図5は、図2における取外し可能なカートリッジ12を示す分解斜視図である。図5に示されるように、取外し可能なカートリッジ12は、長形のハウジング42を含む。シャフト30は、ローラ20の各端部から、ハウジング内のアパーチャ(開口)(図示しない)内まで延出される。ローラ20は、ハウジング42内で回転可能に保持される。取外し可能なカートリッジ12は、カバー70を更に含んでよい。
【0037】
図5に示される実施の形態において、取外し可能なカートリッジ12は、測定ブレード34を更に含んでいてよい。該測定ブレード34は、これに限定はされないが、カートリッジ内に設けられてもよい。
【0038】
図3乃至図6によれば、例示的な取外し可能なカートリッジ12は、全般的に参照番号60で示される再生アセンブリを含み、該再生アセンブリ60は、ドラム表面24から回収されたオイルをリサイクルし、オイルからゴミをろ過し、ドラム表面へ再塗布するために、ローラ20へ再生オイルを送る。実施の形態において、再生アセンブリ60は、ポリエステルフェルトなどの合成不織布から形成され得るフィルタ61を含む。更に、フィルタ61は、好適な塗布、結合、接着などによってフィルタの表面に固定される低摩擦の透過性ライナー66を含む。
【0039】
実施の形態において、再生アセンブリは、フィルタ61を定位置に保持する支持体63を更に含む。支持体は、液体不透過であるとともにフィルタ61の位置を保持する充分なストラクチャを提供する任意の材料から形成され得る。支持体63は、ろ過される前の回収液とローラ20の間に物理的なバリアを提供してもよい。図5乃至図6に示されるように、フィルタ61は、支持体63に設けられた穴を貫通して嵌入される。更に、好ましくは、ハウジング42の内部に適合する液体受容部分62は、図示されるように、支持体63の下部に折り込まれてもよい。
【0040】
図4に関してみると、動作時において、液体中間転写面26からの余剰オイルと、ペーパ繊維などのオイル内に捕捉されたゴミ、未転写定着のインク画素などからの余剰オイルは、ブレード34とブレード取付けブラケット32を下って流れ、ハウジング42の下方部分へ滴下される。ブレード取付けブラケット32は、余剰オイルと、混入したゴミが滴下する下方へ方向付けられた滴下点33を含んでよい。滴下点33は、取り付けブラケット32の全長にわたって延出し、フィルタ61へ余剰オイルを均等に分散して供給する。
【0041】
余剰または再生オイルおよび巻き込まれたゴミがハウジング42内で滴下されると、それらはフィルタ61を通って流れ始める。オイルが、フィルタ61を介して流れると、ポリエステル繊維がゴミを閉じ込め保持することによってオイルをろ過すると同時に、該オイルは、フィルタを通って、ローラ20と接触する該フィルタの反対側へ流れる。ライナー66を液体透過性とすることによって、フィルタ61を介してのオイルの流れは、実質的に阻止されない。このオイルは、各々が図4の一組の矢印65によって示される二つの経路を有する。このように、ローラ20へ送り戻される回収オイルは、ブレード34によって捕捉されたゴミを除去するためにろ過され、ろ過されたゴミは、ローラ20と接触しないように、フィルタ61に蓄積される。更に、ローラ20へ戻される再生オイルを再利用することによって、再生アセンブリによって、ローラ20の使用寿命が大いに延び、従って、取外し可能なカートリッジの使用寿命も大いに延びる。
【0042】
フィルタ61の更なる詳細が図7乃至図8に示されている。図7は、フィルタ61がドラムメンテナンス装置ローラと直接接触しているポリエステルフェルト層からなる従来のフィルタのデザインを示す。従来のフィルタは、縺れによって互いに付着する短繊維からなり、シェディングが発生する。図8は、フィルタ61が低シェディング特徴を有する正面側のライナー層66を含む新しいフィルタのデザインを示す。
【0043】
好ましい実施の形態において、ライナー66はフィルタ61の正面全体を包み込む。しかしながら、正面の接触領域のみがライナー66によって被覆されていればよい。このように、図3乃至図4に戻ってみると、ローラ20に接触し得るフィルタ61の部分だけがライナー66を必要とする。
【0044】
ライナー66は、種々の方法によってフェルトフィルタ61に固定され得る。好ましい方法によれば、別個のフェルトフィルタ層61とポリエステルライナー層66が提供される。一連の離間された小さな感圧接着ドット67がフェルトフィルタ61の正面に設けられる。好ましくは、直径約2mmのドット67が、正面全体に沿って、或いは、フェルトフィルタ61の少なくとも周辺縁部に設けられる。次に、ライナー66は、フィルタ層を覆って配置され、適所に押圧される。二つの材料を結合または接着可能なドット67のための任意の好適な接着剤が使用され得る。しかしながら、接着ボンドが液体によって破壊されることがないように、接着剤は再生される流体に対して不透水性でなければならない。フィルタの外周に沿って離間されるような、離間されたドット67を使用することによって、接着剤は、液体に対して透過性である必要がなくなる。寧ろ、ろ過は、フィルタ層61の非結合領域において達成される。
【0045】
ライナー層66を設ける他の方法は、従来の塗布技術を用いたフェルトフィルタ層61の被覆によって行なわれる。
【0046】
ライナー66は、フィルタ61を可撓性に保つために適した厚みを有する一方、ドラムメンテナンス装置の平均余命を維持するために、ローラ20との摩擦接触に耐えるだけの充分な厚みを有する。例示的なライナー層は、0.05乃至0.06mmの間の厚みを有する。
【0047】
ライナー66は、好ましくは、シェッド発生率が低く、摩擦係数がフェルトフィルタ層61より低いポリエステルから形成される。更に、ライナーは、互いに熱結合して連続ウェブを形成する長繊維からなる。ライナーを介して液体の透過性を達成するために、ライナー層66は、所定の多孔率を有する。好ましい実施の形態において、ライナーは、熱結合繊維間の開口領域を介した流体移動を可能にすることによって、ティーバッグと同様に作用する熱結合非織布ポリエステルである。開口領域をコントロールすることによって、ろ過されたオイルをローラまで通過させるだけのある一定の透過性が達成される。例えば、材料としては、BMPアメリカ社(BMP America Inc.)から入手可能なPET タイプ No.227が挙げられる。ライナー層66は、長結合繊維を有するので、ローラ20との摩擦接触の結果として材料のシェディングが低減される。
【0048】
フィルタ61の正面の少なくとも接触部分が低摩擦ライナー66によって被覆されるので、摩擦係数がかなり高いローラを用いた場合でもローラ20の自在回転が確実とされる。また、フェルトフィルタ61がローラ20に直接接触せず、これによって、摩擦力を受けないので、緩く縺れたフェルトフィルタ層61には、繊維がシェディングが発生しない。さらに、ライナー層66は、その長繊維と熱結合の組み合わせによって摩擦力を受けた場合でも、繊維が脱落しない。このため、フィルタ61は、摩擦係数の高いローラを使用した場合でも、長い使用寿命を有することが期待できる。カートリッジ12の耐用寿命は、ローラ20に供給されるオイルの量とカートリッジの種類に応じて変化する。一般的なドラムメンテナンス装置の耐用寿命は、交換が必要となるまでに10,000乃至30,000プリントの間である。繊維のシェディングは、プリントヘッドの汚染物質になり得るので、繊維シェディングの削減は重要である。従って、繊維シェディングの削減は、プリントヘッドの信頼度を改良し得る。
【0049】
好ましい実施の形態において、フィルタ61の下部の液体受容部分62は、従来のデザイン(図7)の比較的長くて凸凹の端部に比較すると、少し短く且つ平らである(図8)。従来の設計は他の材料に依存して、それ自体が折り畳まれることにより、この下部領域においてフィルタの厚みを増す。しかしながら、これはある構成において、ローラとフィルタの間に締まり嵌めが過度に大きくなることによって、ローラに過度の摩擦力が付与される。しかしながら、部分62を短くして、平面化し、下へ折り込まないことによって所望される嵌合と摩擦が得られる。
【0050】
オペレータにカートリッジ12の取替えを喚起するために、カートリッジの耐用寿命の終わりを決定する寿命状態アセンブリ(図示なし)が使用され得る。寿命状態アセンブリは、カートリッジ12内あるいは画像形成装置の他の部分にあってもよい。いくつかの実施の形態において、寿命状態は、搭載されたカートリッジに配置された電子EEPROM単線デバイス(SWD)によって管理される。回路基板を有するSWDは、カートリッジ12が完全に挿入された時にプリンタに電気的に接続され、プリント作成されるにつれて減分される内部カウンタを含む。回路基板内のカウンタがオイル含浸ローラ20において低オイル状態に対応するように計算された所定の値に達すると、プリンタ10は、ディスプレイパネル11(図1参照)に対して、オペレータにカートリッジ12を交換するように促すメッセージを生成する。カートリッジ12の耐用寿命は、ローラ20に供給されたオイルの量とカートリッジのタイプに応じて変化する。カートリッジ12を取り替える時、新しい寿命状態アセンブリが設けられてもよい。寿命状態アセンブリは、更なるカートリッジ寿命状態データと関連情報を記憶することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ドラムメンテナンス装置を組み込む液体塗布システムを使用する例示的なフェーズチェンジ方式のインクオフセットプリンタを示す全体斜視図である。
【図2】図1のプリンタに挿入され、図1の液体塗布システムを含み得る例示的な交換可能カートリッジを示す斜視図である。
【図3】例示的な実施の形態による液体塗布システムにおいて、図2の分割線3−3に沿って切断されたカートリッジを示す側面図であって、プリンタの転写ドラムに隣接したパーク(待機)位置を示す図である。
【図4】例示的な実施の形態による液体塗布システムにおいて、ローラとブレードが転写ドラムと係合し、ドラムへ液体中間転写面を塗布する塗布位置まで該ローラと該ブレードの位置を引き上げた状態を示す拡大部分側面図である。
【図5】図2の交換可能なカートリッジを示す分解斜視図であって、例示的な再生アセンブリのフィルタと支持体の両方を示す図である。
【図6】例示的な再生アセンブリのフィルタと支持体が嵌合された状態を示す拡大斜視図である。
【図7】従来の再生アセンブリフィルタを示す拡大斜視図である。
【図8】例示的な再生アセンブリフィルタとライナーを示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10:印刷装置
11:ディスプレイパネル
12:交換可能カートリッジ
20:液体含浸ローラ
23:転写ドラム
24:表面
26:液体中間転写面
30:印刷装置
32:ブレード取付けブラケット
33:滴下点
34:ブレード
60:再生アセンブリ
61:フィルタ
63:支持体
66:ライナー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において支持面へ液体を塗布し、該液体の一部分を再生するシステムであって、
前記支持面へ液体を塗布するローラ面と、
ろ過裏面と、低摩擦ライナー面が固着されたろ過表面と、を有する液体透過フィルタと、
を含み、
前記ライナー面が、前記ローラ面と直接摩擦接触し、前記フィルタが、前記ろ過裏面の前記支持面から回収された液体を受取り、浄化された液体を前記ろ過表面を介して前記ライナー面から前記ローラ面へ送る、
システム。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−341607(P2006−341607A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157210(P2006−157210)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】