画像形成装置及び形成画像補正方法
【課題】回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正する。
【解決手段】図に複数示す扁平な矩形領域はポリゴンミラー(回転多面鏡)の異なる反射面で反射偏向された光ビームにより形成される画像領域を表し、各反射面のばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動によりEOS側端部位置がばらついている。この端部位置のばらつき量を検出し、各反射面で反射偏向される光ビームの変調時に、変調に用いるデータに対して端部位置のばらつき量に応じて画素の追加又は削除を行うことで、端部位置のばらつきを補正する。
【解決手段】図に複数示す扁平な矩形領域はポリゴンミラー(回転多面鏡)の異なる反射面で反射偏向された光ビームにより形成される画像領域を表し、各反射面のばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動によりEOS側端部位置がばらついている。この端部位置のばらつき量を検出し、各反射面で反射偏向される光ビームの変調時に、変調に用いるデータに対して端部位置のばらつき量に応じて画素の追加又は削除を行うことで、端部位置のばらつきを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び形成画像補正方法に係り、特に、画像データを用いて変調した光ビームを回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向させて被照射体上で走査させることで、被照射体上に画像を形成する画像形成装置、及び、該画像形成装置に適用可能な形成画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、形成すべき画像に応じて変調した光ビームをポリゴンミラーによって反射偏向させ、像担持体上で走査(主走査)させることで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像することで得られたトナー像を記録材料に転写することで記録材料上に画像を形成する画像形成装置が知られている。また、光学走査装置及び像担持体を含む画像形成部を複数備え、個々の画像形成部が互いに異なる像担持体上に各色のトナー像を各々独立に形成し、各色のトナー像を重ね合わせて同一の記録材料に転写することで、記録材料上にカラー画像を形成する構成のカラー画像形成装置も知られている。
【0003】
ところで、ポリゴンミラーによって光ビームを反射偏向させて走査させる場合、ポリゴンミラーの各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動、更には、これにポリゴンミラーの前後に配置された光学系の収差等も加わることで、各走査ライン毎に走査方向に沿った画像領域のずれ(ジッタと称する)が生じる。この走査ライン毎の画像領域のずれ(ジッタ)は、走査開始側ではずれ量が小さく走査終了側でずれ量が大きくなるような主走査方向の倍率変動として現れ、その周期はポリゴンミラーの1回転である。そして、上記の画像領域のずれ(ジッタ)は、単色画像では走査終了側端部に近づくに従って大きくなる画像の揺らぎ(走査終了側における画像端部の位置のばらつき)、カラー画像では各色画像の主走査倍率変動による色ずれや色むらとして視認される。
【0004】
上記に関連して特許文献1には、単一の感光体ドラムに各色の画像を順に形成すると共に、形成した各色の画像を中間転写体上で順に重ね合わせるマルチプル方式の画像形成装置において、感光体の回転駆動とポリゴンミラーの回転駆動を同期させ、二色目以降の画像の各ラインが、ポリゴンミラーの各反射面のうち一色目の画像の対応するラインの描画時と同一の反射面を用いて描画されるように制御することで、ジッタによる色ずれや色むらの発生を抑制する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、基準クロックを細かく遅延させて複数の遅延クロックを生成し、複数の遅延クロックの選択を変更することによりクロックの周期をわずかに増加又は減少させて、所定時間内に発生するドットクロックのパルス数を所定数にした信号を生成すると共に、ドットクロックを分周した後に逓倍することで、ドットクロックの周期を増加又は減少させるポイントでのクロック周期の変動を低減させて色むら等を補正する技術が開示されている。
【0006】
また特許文献3には、複数のレーザ光学走査系を備えた画像形成装置において、各レーザ光学走査系に各々独立して設けられたビデオクロック発生器に含まれている分周器の分周比を変更することでビデオクロック周波数を変化させ、各レーザ光学走査系の走査幅のばらつきを補正する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平4−373253号公報
【特許文献2】特開2002−200784号公報
【特許文献3】特公平6−57040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、二色目以降の画像の個々のラインの画像領域を一色目の画像の個々のラインの画像領域と一致させるものであり、各ライン毎の画像領域のずれは補正されない。このため、特許文献1に記載の技術を適用してカラー画像を形成した場合、形成したカラー画像に色ずれが生ずることは抑制できるものの、走査終了側で画像の揺らぎ(画像端部の位置のばらつき)が生じ、これが画質低下として視認されるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2,3に記載の技術は、ビデオクロックの2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行うことで、各色毎の主走査方向倍率の変動を補正しているが、ビデオクロックの周波数は、画像形成装置における形成画像の高解像度化・画像形成速度の高速化に伴って大幅に高周波数化しており、高周波化したビデオクロックの更に2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行おうとすると、構成の大幅な複雑化によって大幅なコストアップを招くと共に、高い分解能で倍率変動を補正することも非常に困難である。また、ポリゴンミラーの1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正するためには、ビデオクロックの周波数が各スキャンライン毎に変化するように制御する必要があるものの、このような制御は応答性の面から考えても非現実的である。
【0009】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる画像形成装置及び形成画像補正方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像形成装置は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する補正手段を備えている。
【0011】
請求項1記載の発明では、画像データを用いて変調された光ビームが、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査されることで、被照射体上に画像が形成される。なお、回転多面鏡の同一の反射面で同時に反射偏向される光ビームの本数は1本でも複数本でもよい。上記構成では、回転多面鏡の各反射面の公差内でのばらつきや回転多面鏡の回転速度の変動等により、被照射体上に形成される画像領域に、所定方向(光ビームの走査方向)に沿ったずれが生ずると共に、当該画像領域のずれにおけるずれ量が回転多面鏡の1回転を1周期として逐次変化する。
【0012】
これに対して請求項1記載の発明に係る補正手段は、光ビームの変調に用いられる画像データを、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する。これにより、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる。また、請求項1記載の発明は、画像データを補正することで画像領域のずれを補正するので、高周波のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行う必要もなく、高解像度の画像を高速に形成する等の場合にも画像領域のずれを補正するために構成が複雑化することを回避することができる。
【0013】
なお、画像領域の所定方向に沿ったずれとしては、例えば画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれが挙げられるが、請求項1記載の発明において、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれを補正することは、例えば請求項2に記載したように、補正手段を、所定方向に沿った画素数が画像領域に相当する画素数よりも多い原画像を表す原画像データに対し、画像領域に相当する範囲外の画素を空白画素に置き換える変換処理を行うことで、光ビームの変調に用いる画像データを生成すると共に、変換処理を行うにあたり、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれ量に応じて、原画像データ上の画像領域に相当する範囲の所定方向に沿った位置を補正することを単位データ毎に行うように構成することで実現することができる。なお、請求項2記載の発明において補正対象の端部位置のずれは、所定方向に沿った画像領域の両端部の位置のうちの何れであってもよい。これにより、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として補正することができる。
【0014】
また、画像領域の所定方向に沿ったずれには、画像領域の所定方向に沿った長さも挙げられる(この長さの変動に応じて所定方向に沿った画像領域の走査終了側端部位置が変動する)。請求項1記載の発明において、画像領域の所定方向に沿った長さのずれを補正することは、例えば請求項3に記載したように、補正手段を、画像データに対し、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、画像領域の所定方向に沿った長さのずれ量に応じて、画素の追加又は削除を行って1ライン当りの画素数を補正することを、単位データ毎に行うように構成することで実現することができる。これにより、画像領域の所定方向に沿った長さのずれを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として補正することができる。また、請求項2に記載した画像領域の端部位置のずれの補正と、請求項3に記載した画像領域の長さのばらつきの補正を併用すれば、所定方向に沿った画像領域の両端部位置のばらつきを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として各々補正することができる。
【0015】
ところで、回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量は、回転多面鏡の各反射面毎に相違しているので、個々の単位データの補正に際しては、個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを把握する必要がある。これは、個々の単位データを何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いるかを予め決定して補正しておき、光ビームが前記決定した反射面で反射偏向されるタイミングで、光ビームの変調に用いるために対応する単位データを出力することによっても実現できるが、例えば請求項4に記載したように、光ビームを反射偏向する反射面を検出する反射面検出手段を更に設け、補正手段を、反射面検出手段による反射面の検出結果に基づいて、画像データを構成する個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを判断するように構成することで実現することができる。
【0016】
また、請求項1記載の発明において、補正手段による補正は、より詳しくは、例えば請求項5に記載したように、回転多面鏡の各反射面毎に画像領域の所定方向に沿ったずれ量を測定した結果に基づいて設定された、画像領域の所定方向に沿ったずれを補正するための各反射面毎の補正データを記憶する記憶手段を更に設け、補正手段を、記憶手段に記憶されている各反射面毎の補正データに基づいて、画像データの補正を単位データ毎に行うように構成することで行うことができる。
【0017】
また、請求項5記載の発明において、画像領域のずれ量の測定及び記憶手段に記憶する補正データの設定は人間が行うことも可能であるが、例えば請求項6に記載したように、回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量を、回転多面鏡の各反射面毎に測定する測定手段と、測定手段によって各反射面毎に測定された画像領域の所定方向に沿ったずれ量に基づいて、画像領域の所定方向に沿ったずれを補正するための補正データを各反射面毎に設定し、設定した各反射面毎の補正データを記憶手段に記憶させる補正データ設定手段と、これにより、画像領域のずれ量を測定して補正データを設定する作業を省力化できると共に、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域の所定方向に沿ったずれ量(の例えば全体的な大きさや変化パターン等)が経時的に変化する可能性があることを考慮して、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を定期的に実行させることで、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持することが可能となる。
【0018】
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項7に記載したように、測定手段による画像領域の所定方向に沿ったずれ量の測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を、画像形成装置の製造時、設置時、構成部品の交換時の少なくとも1つのタイミングで実行させる第1制御手段を更に設けることが好ましい。これにより、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持できると共に、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定が必要以上の頻度で実行されることで、画像形成装置の処理能力の低下を招くことも回避することができる。
【0019】
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項8に記載したように、画像形成装置の機内温度、回転多面鏡の回転時間及び画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つを検知する検知手段と、測定手段による画像領域の所定方向に沿ったずれ量の測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を、検知手段によって検知された画像形成装置の機内温度、回転多面鏡の回転時間及び画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つに応じた周期で定期的に実行させる第2制御手段と、を更に設けることが好ましい。この場合も、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持できると共に、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定が必要以上の頻度で実行されることで、画像形成装置の処理能力の低下を招くことも回避することができる。
【0020】
請求項9記載の発明に係る形成画像補正方法は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するので、請求項1記載の発明と同様に、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正するようにしたので、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るカラー画像形成装置10が示されている。カラー画像形成装置10は、プラテンガラス14上の所定位置に載置された原稿16を露光走査しCCDセンサ13により原稿16の画像R,G,B各色成分に分解して読み取ってR,G,Bの画像信号を出力する原稿読取装置12と、原稿読取装置12が原稿16の画像を読み取ることで得られた画像信号に基づいて、用紙50上にカラー画像を形成する画像形成装置18を備えている。なお、カラー画像形成装置10は本発明に係る画像形成装置に対応している。
【0023】
画像形成装置18は、CCDセンサ13による読み取りによって得られたR,G,Bの画像信号を、Y,M,C,Kの各色材色毎の多値の画像データ(個々の画素のY,M,C,Kの各色材色毎の濃度を各々複数ビット(例えば8ビット)の多値データで表す画像データ)に変換して蓄積する画像蓄積部82と、CPU、ROM、ワークメモリとして使用されるRAM、EEPROMやフラッシュメモリ等から成る不揮発性記億手段を含んで構成されカラー画像形成装置10における処理全般を制御する制御部80を備えている。不揮発性記憶手段には、後述する補正値設定処理を行うための補正値設定プログラム及び画像補正処理を行うための画像補正プログラムが予め記憶されている。また、カラー画像形成装置10の上面には、メッセージ等を表示するディスプレイ84Aと、オペレータが各種コマンド等を入力するためのキーボード84Bとを含んで構成された操作部84が設けられており、操作部84は制御部80と接続されている(図示省略)。
【0024】
また、画像形成装置18は駆動ローラ32、34、36、38に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト30を備えている。中間転写ベルト30はトナー像を静電転写するためにカーボンにより体積抵抗が調整された誘電体であり、駆動ローラ32、34、36、38によって所定方向(駆動ローラ32、38間では図1の矢印B方向)に周回搬送される。中間転写ベルト30の上側には、図1の矢印B方向に沿って、中間転写ベルト30上にY色のトナー像を形成する画像形成部20、中間転写ベルト30上にM色のトナー像を形成する画像形成部22、中間転写ベルト30上にC色のトナー像を形成する画像形成部24、中間転写ベルト30上にK色のトナー像を形成する画像形成部26、及び、中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンを検出するためのパターン検出部28が順に設けられている。なおパターン検出部28は、発光素子及びCCDから成る受光素子を備え中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンを光学的に検出するための検出ユニットが、中間転写ベルト30の幅方向(主走査方向)に沿った両端部(SOS(Start Of Scan)位置及びEOS(End Of Scan)位置)に各々配設されて構成されている(図6(A)も参照)。
【0025】
画像形成部20は、略円筒状で軸線を中心に図1の矢印A方向へ回転可能とされ中間転写ベルト30に外周面が接するように配置された感光体20Cを備えており、感光体20Cの外周には、感光体20Cの外周面を所定の電位に帯電させる帯電器20Dが設けられており、図1の矢印A方向に沿って帯電器20Dよりも下流側には走査露光部20Aが設けられている。
【0026】
図2に示すように、走査露光部20Aは、複数本の光ビームを射出可能なマルチビーム光源として、略ガウシアン分布の光ビームを射出する発光部が多数(本実施形態では32個)形成された面発光レーザアレイ(VCSEL)100を備えている。VCSEL100から射出された光ビームは、後述する走査光学系によって主走査方向に偏向された後に被走査体としての感光体20Cに照射されることで、感光体20Cの軸線に平行な方向(主走査方向)に沿って感光体20Cの周面上を走査される。走査露光部20Aには色材色Yの印刷用画像データ(二値の画像データ)が制御部80から供給され、VCSEL100から射出されるレーザビームは制御部80から供給された印刷用画像データに応じて各々変調され、また感光体20Cが回転することによって副走査が成されることで、感光体20Cの周面上の帯電された部分には色材色Yの画像の静電潜像が形成される。また、VCSEL100に形成された各発光部は、個々の発光部から射出される光ビームの副走査方向に沿った位置が重ならないように配置されている。また、図3(C)に示すように、各発光部から射出された光ビームは、感光体20C上での主走査方向に沿った光ビームの照射位置もずれているが、このずれは画像形成時に個々の発光部から射出される光ビームの変調開始タイミングを相対的に変化させることで補正される。
【0027】
VCSEL100の光ビーム射出側には、VCSEL100との間隔がコリメータレンズ102の焦点距離に一致するように配置されたコリメータレンズ102、スリット104、シリンドリカルレンズ106、ミラー108が順に配置されている。VCSEL100から射出された光ビームはコリメータレンズ102によって略平行光束とされ、スリット104によって整形された後に、シリンドリカルレンズ106へ入射される。シリンドリカルレンズ106は副走査方向にのみパワーを有し、入射された光ビームを、後述するポリゴンミラー110の反射面上に主走査方向に細長い線像として収束させてミラー108へ入射させる。
【0028】
ミラー108で反射された光ビームの射出側には、同一面幅の反射面(偏向面)が側面部に複数形成された正多角柱形状(本実施形態では正八角形状)とされ、図示しない駆動手段により中心軸の回りに等角速度で回転されるポリゴンミラー110(本発明に係る回転多面鏡に相当)が配置されており、ハーフミラー108で反射された光ビームは、ポリゴンミラー110によって反射されると共にポリゴンミラー110の回転に伴って主走査方向に偏向・走査される。また、ポリゴンミラー110の上面には反射部材112が貼付されており、ポリゴンミラー110の上方には発光素子及び受光素子を備えた回転位置検出センサ114が設けられている。回転位置検出センサ114は、ポリゴンミラー110が特定回転角度のときに反射部材112貼付位置の真上となる位置に配置され、かつ制御部80に接続されており、ポリゴンミラー110の回転に同期した信号(ポリゴンミラー110が特定回転角度になる毎に所定期間レベルが変化する信号)を制御部80へ出力する。回転位置検出センサ114及び反射部材112は請求項4に記載の反射面検出手段に対応している。回転位置検出センサ114及び反射部材112に代えて、ポリゴンミラー110に取り付けたロータリーエンコーダによって反射面を検出するようにしてもよい。
【0029】
ポリゴンミラー110の光ビーム射出側には、二枚組のレンズ116A、116Bからなるfθレンズ116が配置されている。fθレンズ116は、ポリゴンミラー110により偏向・走査された光ビームを感光体20Cの周面上に光スポットとして主走査方向に結像させると共に、該光スポットを感光体20Cの周面上で主走査方向に略等速度で移動させる機能を有している。fθレンズ116の光ビーム射出側には、第1のシリンドリカルミラー118、平面ミラー120、第2のシリンドリカルミラー122、ウインドウ124が順に配置されている。fθレンズ116を透過した光ビームは、第1のシリンドリカルミラー118と平面ミラー120とによって光路が略コ字状に曲げられ、更に第2のシリンドリカルミラー122で反射された後、ウインドウ124を透過し、ウインドウ124の下方に配置された感光体20Cの周面上に照射される。
【0030】
第1のシリンドリカルミラー118及び第2のシリンドリカルミラー122は、副走査方向にパワーを有しており、ポリゴンミラー110の反射面と感光体20Cとを略共役関係にすることで、ポリゴンミラー110の反射面の公差内でのばらつきにより生じる感光体20Cの周面上での副走査方向に沿った光ビーム照射位置のずれ(面倒れ)を補正する機能を有している。また、コリメータレンズ102、シリンドリカルレンズ106、第1のシリンドリカルミラー118、第2のシリンドリカルミラー122の副走査方向の曲率は、感光体20C上での副走査方向に沿った光ビームの間隔と、感光体20Cから数ミリ離れた位置での副走査方向に沿った光ビームの間隔が等しい、テレセントリックな関係となるように設定されている。
【0031】
一方、感光体20Cの外周面へのレーザビーム照射位置よりも図1の矢印A方向に沿って下流側には、現像装置20B、転写装置20F及びクリーニング装置20Eが順に設けられている。現像装置20Bは、トナー供給部20GよりY色のトナーが供給され、走査露光部20Aにより形成された静電潜像をY色のトナーによって現像しY色のトナー像を形成させる。また、転写装置20Fは中間転写ベルト30を挟んで感光体20Cの外周面と対向するように配置されており、感光体20Cの外周面に形成されたY色のトナー像を中間転写ベルト30の外周面に転写する。また、トナー像転写後に感光体20Cの外周面に残存しているトナーはクリーニング装置20Eによって除去される。
【0032】
なお、図1より明らかなように、画像形成部22、24、26の構成は画像形成部20の構成と同一である(但し、形成するトナー像の色材色は互いに異なる)ので説明を省略する。画像形成部20、22、24、26は、各々が形成した各色のトナー像が中間転写ベルト30の外周面上で互いに重なり合うようにトナー像を転写させる。これにより、中間転写ベルト30の外周面上にフルカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト30の周回路に沿って、画像形成部20よりも中間転写ベルト30の周回方向上流側には、中間転写ベルト30のトナーの吸着性を良好にするために中間転写ベルト30の表面電位を所定電位に維持する吸着ローラ40、中間転写ベルト30からトナーを除去するクリーニング装置42、中間転写ベルト30上の予め定められた基準位置(例えば光反射率の高いシール等から成るマークが付されている)を検出する基準位置検出センサ44が順に設けられている。
【0033】
一方、中間転写ベルト30配設位置の下方には、多数枚の用紙50を積層状態で収容するトレイ54が設けられている。トレイ54に収容されている用紙50は、引出しローラ52の回転に伴ってトレイ54から引出され、搬送ローラ対55、56、58によって転写位置(駆動ローラ36及び転写ローラ60が配設されている位置)へ搬送される。転写ローラ60は中間転写ベルト30を挟んで駆動ローラ36と対向するように配置されており、転写位置へ搬送された用紙50は、転写ローラ60と中間転写ベルト30とに挟持されることにより、中間転写ベルト30の外周面上に形成されたフルカラーのトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙50は、搬送ローラ対62により定着装置46へ搬送され、定着装置46によって定着処理が施された後、用紙トレイ64へ排出される。
【0034】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係るカラー画像形成装置10のように、ポリゴンミラーによって光ビームを反射偏向させて感光体で走査させることで感光体上に画像を形成する構成では、ポリゴンミラーの各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動を主因として、各反射面で反射された光ビームの走査速度の微小な相違(主走査方向倍率の変動)が生じ、図3(A)及び(B)に示すように、ポリゴンミラーの1回転を周期として、各走査ラインにおける走査方向に沿った画像領域のずれ(ジッタ)が生じる。
【0035】
ジッタの主因であるポリゴンミラーの回転速度の変動や各反射面の公差内でのばらつきは、現在、ポリゴンミラー回転駆動の高精度化やポリゴンミラーの製造の高精度化等により極限まで抑制しているものの、例えばSOS側位置とEOS側位置との間隔(主走査方向に沿った画像領域の長さ)が297mmの場合、主走査方向に沿った画像端部の位置ずれはSOS側位置で10μm程度、EOS側位置で20μm程度生じる。そして、コストダウンを目的としてポリゴンミラー回転駆動部の構成を簡素化したりポリゴンミラーの製造精度を落とした場合、主走査方向に沿った画像端部の位置ずれは、SOS側位置ではそれほど変化しないものの(10〜15μm程度)、EOS側位置では40〜60μm程度にまで悪化する。
【0036】
一方、本実施形態に係るカラー画像形成装置10は、画像形成部20,22,24,26の各々において、走査露光部20AのVCSEL100から射出された32本の光ビームを感光体20C上に同時に照射することで、1回の主走査で32本のラインを一括して走査露光する。例えば形成画像の副走査方向の解像度を2400dpiとした場合、感光体20C上での副走査方向に沿ったラインの間隔は10.58μm(25.4mm/2400dpi)となるので、ポリゴンミラー110の反射面の数が「8」であれば、前述したジッタの副走査方向に沿った周期は2.7mmとなる。この条件で、ジッタ補正のために前出の特許文献1〜3の技術を適用した場合について検討する。
【0037】
特許文献1に記載の技術は、単一の感光体ドラムに各色の画像を順に形成すると共に、形成した各色の画像を中間転写体上で順に重ね合わせるマルチプル方式を前提としており、マルチプル方式の画像形成装置で感光体の回転駆動とポリゴンミラーの回転駆動を同期させている。ここで、マルチプル方式では、中間転写体にクリーニングブレードや二次転写ローラが接触離間することで中間転写体の移動速度の変動が生じ、色ずれ抑制のために感光体の回転速度を中間転写体の移動速度と同期させる必要があるので、その上で感光体の回転駆動を更にポリゴンミラーの回転駆動と同期させるためには、位相差を検出したり検出した位相差を補正する等の機能を実現する新たな構成を追加する必要があり、装置構成が複雑となりコストが嵩むことになる。また、特許文献1に記載されている400dpi、ポリゴンミラーの反射面数が8、光ビームの本数が1という条件では、ジッタの副走査方向に沿った周期が0.5mmと短いが、本実施形態に係るカラー画像形成装置10のようにジッタの副走査方向に沿った周期が2.7mmと長くなると、ジッタの1周期の間の感光体及び中間転写体の速度変動も大きくなるので、更なる構成の複雑化、コストアップを招くことになる。そして先にも説明したように、特許文献1に記載の技術は、色ずれは抑制できるものの画像端部の位置のばらつきを補正することができないので、これが画質低下として視認されるという問題がある。
【0038】
また、特許文献2,3に記載の技術では、光ビームの走査速度の変動が相殺されるように、ビデオクロックの2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行うことで、各色毎の主走査方向倍率の変動を補正するものであるが、例えば600dpi、光ビームの本数が2、等の条件ではビデオクロックの周波数が20〜30MHz程度で済むのに対し、本実施形態に係るカラー画像形成装置10のように、2400dpi、光ビームの本数が32本、といった条件ではビデオクロックの周波数は130〜140MHz程度と大幅に高周波化する(高解像度化及び処理能力向上のニーズを満たすため)ので、高周波化したビデオクロックの更に2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行おうとすると大幅なコストアップを招くという問題がある。また、主走査方向に沿った長さが297mmの画像領域の位置及び長さを10μm刻みで補正するためには、ビデオクロックの周波数を30ppm程度(=10μm/297mm)の分解能で変更する必要があり、100MHz以上の高周波のビデオクロックの周波数に対して上記分解能で上記制御を行うことは非常に困難である。そして先にも説明したように、特許文献2,3に記載の技術は、各色の画像領域のずれ量が、画像を形成している間中一定のまま推移することを前提として補正を行う技術であり、単一の画像を形成している途中でずれ量が動的に変化する画像領域のずれを特許文献2,3に記載の技術によって補正するためには、ビデオクロックの周波数が各スキャンライン毎に変化するように制御する必要があるものの、このような制御は応答性の面から考えても非現実的である。
【0039】
上記に基づき、本実施形態では、各回の主走査における光ビームの変調開始タイミングをポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替えることで、SOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきを補正し、各回の主走査で光ビームの変調に用いるデータ(32本分の主走査ラインのデータ:本発明における単位データ)に対して画素の追加又は削除を行うと共に、追加又は削除する画素数をポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替えることで、各走査ライン毎の画像領域の長さのばらつき(すなわち、EOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつき)を補正している。以下、詳細を説明する。
【0040】
図4に示すように、カラー画像形成装置10の制御部80は、用紙50に印刷すべき画像のデータとして、LAN等のネットワークを介して接続されたホストコンピュータからページ記述言語で記述されたデータを受信するか、又は、原稿読取装置12からビットマップデータが入力されると、これらのデータを画像データ生成部130によってY,M,C,Kの各色材色毎の多値画像データ(個々の画素のY,M,C,Kの各色材色毎の濃度を各々複数ビット(例えば8ビット)で表す比較的低解像度(例えば600dpi)の画像データ)に変換する。また、上記の多値画像データはスクリーン処理部132に入力され、スクリーン処理部132は多値画像データに対してスクリーン処理を行って印刷用の画像データ(多値画像データにおける個々の画素の濃度を複数の二値画素によって表す高解像度(例えば2400dpi)のY,M,C,K各色材色毎の二値画像データ)へ変換する。この印刷用画像データはレジ補正処理部134によるレジ補正処理(後述)を経て画像印刷処理部136へ供給される。そして画像印刷処理部136は、供給された印刷用画像データに応じて個々の画像形成部20,22,24,26の走査露光部20AのVCSEL100から射出される光ビームを変調させると共に、個々の画像形成部20,22,24,26の作動を制御することでカラー画像を形成させる。
【0041】
ここで、本実施形態に係る制御部80には、SOS側及びEOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきを補正するために、レジずれ検出処理部138、レジ補正値演算処理部140、前述のレジ補正処理部134及び補正値を記憶するためのメモリ142が各々設けられている。なお、メモリ142は請求項5に記載の記憶手段に、レジ補正処理部134は本発明に係る補正手段(詳しくは請求項3〜請求項5に記載の補正手段)に対応している。また、レジずれ検出処理部138はパターン検出部28の各検出ユニットと共に請求項6に記載の測定手段に対応しており、レジ補正値演算処理部140は請求項6に記載の補正データ設定手段に対応している。
【0042】
以下では、まずレジずれ検出処理部138及びレジ補正値演算処理部140に相当する処理として、制御部80が補正値設定プログラムを実行することで実現される補正値設定処理について、図5を参照して説明する。なお、この補正値設定処理は、カラー画像形成装置10の製造時、カラー画像形成装置10の設置時、及び、カラー画像形成装置10の構成部品の交換時(例えば感光体20Cの交換時や走査露光部20Aの交換時、ポリゴンミラー110の回転駆動に関係する電気回路部品の交換時等)に実行されると共に、上記のタイミング以外に、例えば補正値設定処理を前回実行してからの累積稼働時間が所定時間に達した場合にも実行される。これらのタイミングで補正値設定処理を実行することは請求項7記載の発明に対応している。
【0043】
補正値設定処理では、まずステップ150でレジずれ検出対象の色材色jを選択し、次のステップ152では、色材色jに対応する画像形成部の走査露光部20Aに設けられたポリゴンミラー110の反射面のうち、次に説明するレジずれ検出用パターンの形成が未実行の単一の反射面をレジずれ検出対象として選択する。そしてステップ154では、色材色jに対応する画像形成部により、ステップ152で選択したレジずれ検出対象の反射面で反射された光ビームのみによってレジずれ検出用パターンを形成させる。
【0044】
すなわち、制御部80には回転位置検出センサ114が接続されており、この回転位置検出センサ114からは、ポリゴンミラー110が特定回転角度になる毎に所定期間レベルが変化する検出信号が入力されるので、制御部80は、入力された検出信号を該信号のレベルが変化するタイミングを基準として分周した反射面検知信号に基づいて、ポリゴンミラー110の回転角度、すなわち何れの反射面が光ビームを反射しているかを検知する。そして、ステップ152で選択したレジずれ検出対象の反射面が光ビームを反射する期間が到来する毎に、走査露光部20AのVCSEL100の全ての発光部を発光させて、画像領域のSOS側端部及びEOS側端部にライン状のパターンを形成させるデータを色材色jに対応する画像形成部へ出力することを所定回繰り返す。これにより、例として図6(B)に示すようなストライプ状のレジずれ検出用パターンが、図6(A)に示すようにSOS側端部及びEOS側端部に各々形成されることになる。なお、図6(B)に示すレジずれ検出用パターンは、ポリゴンミラー110に設けられた8個の反射面A〜Hのうち、反射面Cによって形成されたパターンとして示している。
【0045】
次のステップ156では、上述したレジずれ検出用パターンの形成をポリゴンミラー110の全ての反射面に対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ152へ戻り、ステップ156の判定が肯定される迄ステップ152〜ステップ156を繰り返す。これにより、色材色jに対応する画像形成部の感光体20Cの周面上には、ポリゴンミラー110の互いに異なる反射面で反射偏向された光ビームによって形成された複数のレジずれ検出用パターンが各々形成され、これらのレジずれ検出用パターンが中間転写ベルト30に各々転写される。
【0046】
ステップ156の判定が肯定されるとステップ158へ移行し、図6(C)にも示すように、中間転写ベルト30に各々転写された各反射面に対応するレジずれ検出用パターンのうち、中間転写ベルト30の移動に伴ってレジずれ検出用パターン(特定反射面のレジずれ検出用パターン)が転写された箇所がパターン検出部28の検出ユニットの配設位置に到達すると、検出ユニットの配設位置に到達した特定反射面のレジずれ検出用パターンを検出ユニットによって読み取る。個々のレジずれ検出用パターンは、ポリゴンミラー110に設けられた複数(本実施形態では8)の反射面のうちの単一の反射面で反射偏向された光ビームのみによって形成しているので、その濃度(カバレッジ)は12.5%と比較的低くなるが、ストライプ状のレジずれ検出用パターンにおける個々のラインは32本の光ビームによって形成され個々のラインの幅は0.34mmであるので、レジずれ検出用パターンの検出は充分に可能である。
【0047】
またステップ160では、SOS位置に位置している検出ユニットによるレジずれ検出用パターンの読取結果に基づいて、SOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置(すなわちSOS側における画像領域の端部位置)のずれ量を演算し、演算したずれ量に基づいて、SOS側における画像領域の端部位置をSOS側の基準位置に一致させるための光ビームの変調開始タイミング補正値を設定する。例えば光ビームの変調開始タイミングが、一定の基準タイミングからビデオクロックのパルス数をカウントし、パルス数のカウント値が100画素分に相当する規定値になったときに光ビームの変調を開始させる態様において、レジずれ検出用パターンがSOS側へ10μm(=1画素分)ずれていることが検出された場合には、変調開始タイミング補正値として、前記規定値を101画素分に相当する値へ変更する補正値を設定すればよい。これにより、SOS側における画像領域の端部位置がEOS側へ10μm移動されることでSOS側の基準位置と一致されることになる。そしてステップ160では、設定した変調開始タイミング補正値を、色材色jを識別する情報及び読み取りを行ったレジずれ検出用パターンに対応する特定反射面を識別する情報(例えば反射面番号等)と対応付けてメモリ142に記憶させる。
【0048】
また、ステップ162では、EOS位置に位置している検出ユニットによるレジずれ検出用パターンの読取結果に基づいて、EOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置(すなわちEOS側における画像領域の端部位置)のずれ量を演算する。次に、演算したEOS側における画像領域の端部位置のずれ量と、ステップ160で演算したSOS側における画像領域の端部位置のずれ量から画像領域の長さのずれ量を演算し、画像領域の長さのずれを補正することでEOS側における画像領域の端部位置をEOS側の基準位置に一致させるための追加/削除画素数を設定する。
【0049】
図7(A)に示す原画像データに対し、図7(B)に示すように各主走査ラインに同数の画素を各々追加した場合、各主走査ラインの長さ(画像領域の長さ)が追加画素数分長くなり、これに伴ってEOS側における画像領域の端部位置もEOS側へ追加画素数分移動する。また、図7(C)に示すように各主走査ラインから同数の画素を各々削除した場合は、各主走査ラインの長さ(画像領域の長さ)が追加画素数分短くなり、これに伴ってEOS側における画像領域の端部位置もSOS側へ追加画素数分移動する。本実施形態では、光ビームの変調に用いるデータに対し、上記のように画素の追加又は削除を行うことで画像領域の長さを補正し、EOS側における画像領域の端部位置をEOS側の基準位置に一致させている。この補正は、各回の主走査におけるビデオクロックの周波数を変更する制御と比較して処理自体が非常に簡単であり、また補正量の変更も追加又は削除する画素の数を変更するのみで済むので、各主走査ライン毎に所望の倍率に(画像領域を所望の長さに)制御可能である。
【0050】
なお、上記の補正処理における補正の分解能は1画素単位であり、2400dpiでは10μm(正確には10.58μm)となる。例えば図7(B)に示す例ではEOS側における画像領域の端部位置がEOS側へ2画素分、すなわち20μm移動し、図7(C)に示す例ではEOS側における画像領域の端部位置がSOS側へ2画素分(20μm)移動することになる。従って追加/削除画素数は、演算した画像領域の長さのずれ量を画素間隔(例えば10μm)で除算することで求めることができる。そしてステップ162では、設定した追加/削除画素数を、色材色jを識別する情報及び読み取りを行ったレジずれ検出用パターンに対応する特定反射面を識別する情報(例えば反射面番号等)と対応付けてメモリ142に記憶させる。なお、メモリ142に記憶させた追加/削除画素数は請求項5等に記載の補正データに対応している。
【0051】
次のステップ164では、上述したレジずれ検出用パターンの読み取り、補正値(変調開始タイミング補正値及び追加/削除画素数)の設定・記憶をポリゴンミラー110の全ての反射面に対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ158へ戻り、ステップ164の判定が肯定される迄ステップ158〜ステップ164を繰り返す。これにより、色材色jに対応する画像形成部のポリゴンミラー110の全ての反射面について、補正値の設定・記憶が各々行われる。ステップ164の判定が肯定されるとステップ166へ移行し、上述した処理をY,M,C,Kの各色材色について各々行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ150に戻り、ステップ166の判定が肯定される迄ステップ150〜ステップ166を繰り返す。そしてステップ166の判定が肯定されると補正値設定処理を終了する。
【0052】
次に、制御部80が画像補正プログラムを実行することで実現される画像補正処理について、図8を参照して説明する。なお、この画像補正処理はレジ補正処理部134に対応する処理であり、カラー画像の形成時に、各色材色(個々の画像形成部)に対応する画像補正処理が並列に各々実行される。
【0053】
特定色材色jに対応する画像補正処理では、ステップ170において、特定色材色jに対応する画像形成部の回転位置検出センサ114から入力された検出信号に基づいて生成した反射面検知信号に基づき、前記画像形成部において次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面を検知する。次のステップ172では、特定色材色j及びステップ170で検知した反射面に対応する変調開始タイミング補正値をメモリ142から読み出し、読み出した変調開始タイミング補正値を画像印刷処理部136へ通知する。VCSEL100から射出される32本の光ビームは、図3(C)に示すように、感光体20C上での主走査方向に沿った照射位置のずれに応じて変調開始タイミングが相違されているが、画像印刷処理部136は、次周期における個々の光ビームの変調開始タイミングを、通知された変調開始タイミング補正値に応じて各々変更(補正)する処理を行う。これにより、次周期に32本の光ビームによって各々形成される主走査ライン上の画像領域のSOS側における端部位置がSOS側の基準位置に各々一致される。
【0054】
また、次のステップ174では、特定色材色j及びステップ170で検知した反射面に対応する追加/削除画素数をメモリ142から読み出す。そしてステップ176では、次周期の主走査で特定色材色jに対応する画像形成部のVCSEL100から射出される32本の光ビームの変調に用いる32本の主走査ラインのデータ(本発明における単位データ)に対し、ステップ176で読み出した追加/削除画素数分の画素を追加又は削除する倍率補正処理を行い、この倍率補正処理を行った各ラインのデータを画像印刷処理部136へ出力する。なお、画素の追加又は削除を行う位置は、例えば追加/削除画素数が1であれば各ラインの中央で追加又は削除を行い、追加/削除画素数が複数であれば画素の追加又は削除位置が各ライン中に均等に位置するように設定することが好ましい(図10も参照)。また、追加する画素の画素値としては、追加位置に元々存在している画素の画素値と同一の値を適用すればよい。これにより、次周期における32本の光ビームの変調が上記の倍率補正処理を経たデータに従って行われ、これにより、次周期に32本の光ビームによって形成される主走査ライン上の画像領域の長さが基準長さに各々一致されることで、前記主走査ライン上の画像領域のSOS側における端部位置がSOS側の基準位置に各々一致される。
【0055】
次のステップ178では、特定色材色jに対応する画像形成部における画像形成が完了したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ170へ戻り、ステップ178の判定が肯定される迄ステップ170〜ステップ178を繰り返す。ここで、ステップ178の判定が否定されてステップ170に戻る毎に、ステップ170において、次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面として、前回とは異なる反射面が検知されるので、ステップ172でメモリ142から読み出される変調開始タイミング補正値及びステップ174でメモリ142から読み出される追加/削除画素数についても前回とは異なる反射面に対応するデータが読み出され、次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面に対応する補正が行われることになる。
【0056】
上記補正について、図面を参照して更に説明する。図3(B)に示したSOS側及びEOS側における画像領域の端部位置のばらつきを図9に拡大して示す。図9に複数示す扁平な矩形領域は1回の主走査で32本の光ビームによって形成される画像領域を表しており、個々の画像領域に付した符号A〜Hは、ポリゴンミラー110の8個の反射面のうち各領域が形成される際に32本の光ビームを反射偏向した反射面を表している。図9からも明らかなように、ポリゴンミラー110の各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラー110の回転速度の変動により、順次形成される画像領域は、ポリゴンミラー110の1回転を1周期としてSOS側及びEOS側の端部位置が各々ばらついている。また、光ビームの変調は、画像形成領域外に配置される書き込み開始基準位置センサからの信号をトリガとして一定時間経過後に(ビデオクロックのパルス数のカウント値が規定値となった時点で)開始されるので、書き込み開始基準位置センサの配置位置に近いSOS側の画像領域の端部位置の変動は比較的小さい一方、上記センサから離間しているEOS側では画像領域の端部位置が大きく変動している。
【0057】
ここで、反射面Aに対応する画像領域の端部位置を基準として、各反射面に対応する画像領域の端部位置がSOS側で±5μm、EOS側で±30μm変動しているものとする。すなわち反射面Aに対応する画像領域のEOS側端部位置に対し、反射面B,Dに対応する画像領域のEOS側端部位置がEOS側に20μm、反射面Cに対応する画像領域のEOS側端部位置がEOS側に30μm、反射面F,Hに対応する画像領域のEOS側端部位置がSOS側に20μm、反射面Gに対応する画像領域のEOS側端部位置がSOS側に30μmずれているものとする。この場合、先に説明した補正値設定処理(図5)では、追加/削除画素数として、反射面B,Dに対しては「2画素削除」、反射面Cに対しては「3画素削除」、反射面F,Hに対しては「2画素追加」、反射面Gに対しては「3画素追加」が設定される。
【0058】
この追加/削除画素数に応じて画像補正処理(図8)で倍率補正処理(画素の追加又は削除)を行った結果を図10に示す。図10に示すように、光ビームが反射面B,Dで反射偏向される際には2画素分のデータが削除されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面Cで反射偏向される際には3画素分のデータが削除されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面F,Hで反射偏向される際には2画素分のデータが追加されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面Gで反射偏向される際には3画素分のデータが追加されたデータに従って光ビームの変調が行われることが繰り返されることでジッタが補正され、各反射面に対応する画像領域のEOS側端部位置が基準位置に揃うことになる。
【0059】
なお、図9,10に示す例では、各反射面に対応する画像領域のSOS端部位置のずれ量が光ビーム変調開始タイミングの補正における補正の分解能(10μm)未満のために、光ビーム変調開始タイミングの補正は行われないが、ビデオクロックの2倍以上のクロックを用いてビデオクロック位相を制御すれば画素間隔(=10μm)未満の分解能で画像領域のSOS端部位置のずれを補正することも可能であり、このような補正を適用すれば、SOS端部位置のずれ量が画素間隔未満であったとしても、図10に示すように画像領域のSOS端部位置を揃えることができる(高周波クロックを用いて周波数変調を行う場合と比較して、高周波クロックを用いた位相制御は容易かつ構成の複雑化も回避できる)。
【0060】
なお、上記では本発明に係る補正(画像データを補正することによる画像領域の所定方向(主走査方向)に沿ったずれの補正)を、画像領域の長さの変動(に応じて変化する画像領域のEOS側端部位置の変動)に対する補正のみに適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、本発明に係る補正を画像領域のSOS側端部位置の変動に対する補正にも適用してもよいことは言うまでもない。以下、画像データを補正することで画像領域のSOS側端部位置の変動を補正する態様を説明する。
【0061】
この態様では、例として図11(A)に示すように、印刷用画像データとして、主走査方向画素数が、用紙に実際に形成される画像に相当する有効画像領域の主走査方向画素数よりも多い画像データ(請求項2に記載の原画像データに相当)がレジ補正処理部134に入力される。一例として、用紙に実際に形成する画像の主走査方向の幅が297mm、主走査方向の解像度が2400dpiである場合、有効画像領域の主走査方向画素数は28064画素(=297mm÷25.4×2400を満たす最小偶数)となり、印刷用画像データの主走査方向画素数は、処理の都合上、2のべき乗であることが望ましいので、例えば32768画素とすることができる。
【0062】
レジ補正処理部134は、画像領域のSOS側端部位置の補正を行わない場合、入力された印刷用画像データに対して主走査方向に沿った所定位置(例えば中央)に有効画像領域を設定し、入力された印刷用画像データの各画素のうち設定した有効画像領域から逸脱している全ての画素(請求項2に記載の「画像領域に相当する範囲外」の画素)を空白画素(Y,M,C,K各色濃度が全て0の画素)に置き換える変換処理を行う。これにより、例として図11(B)に示すように、印刷用画像データの主走査方向両端部には空白画素のみから成る空白領域が形成される。そして、変換処理後の印刷用画像データに対して追加/削除画素数に応じた倍率補正処理(画素の追加/又は削除)を行った後に画像印刷処理部136へ出力する。
【0063】
またレジ補正部134は、先に説明したようにレジずれ検出用パターンの形成・読み取りを行った結果、SOS側の基準位置に対してレジずれ検出用パターンの位置がずれていた場合、ポリゴンミラー110の各反射面毎にずれの方向及びずれ量を検知し、検知したずれ量を画素数に換算する。そして、印刷用画像データに対し、VCSEL100から射出される32本の光ビームの変調に用いる32本の主走査ラインのデータ(単位データ)を単位として、印刷用画像データ上での有効画像領域の位置が、ポリゴンミラー110の対応する反射面について検知したずれの方向と逆の方向に、前記換算した画素数分だけシフトするように、個々の単位データ毎に有効画像領域を設定した後に変換処理を行う。これにより、例として図11(C)に示すように、個々の単位データ毎に、SOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置ずれの方向及びずれ量に応じて、SOS側(及びEOS側)の空白領域の主走査方向に沿った幅(画素数)が増減されることになる。
【0064】
この態様では、レジ補正部134から画像印刷処理部136へ変調開始タイミング補正値が出力されず、画像印刷処理部136は、各回の主走査において一定のタイミングで光ビームの変調を開始させるが、光ビームの変調に用いるデータが空白領域内の画素のデータである間はVCSEL100から光ビームが射出されないので、各回の主走査においてVCSEL100から光ビームの射出が開始されるタイミングがポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替わり、SOS側における各主走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきが補正されることになる。なお、上記態様は請求項2記載の発明に対応している。
【0065】
また、上記では画像データに対する単位データ毎の補正と、補正した画像データに基づく画像形成(光ビームの変調)を並列に行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像データに対する補正を完了させた後に画像形成を行うようにすることも可能である。
【0066】
また、上記では図5に示す補正値設定処理を、カラー画像形成装置10の製造時、カラー画像形成装置10の設置時、及び、カラー画像形成装置10の構成部品の交換時以外に、例えば補正値設定処理を前回実行してからの累積稼働時間が所定時間に達した場合に実行する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ジッタが変化する要因、例えば走査露光部20Aの内部温度や画像形成装置10の機体内部温度の変動、ポリゴンミラー110の回転駆動時間、ポリゴンミラー110の回転駆動時間、カラー画像形成装置10が形成した画像数の累積値(プリント出力枚数の累積値)等の少なくとも1つを考慮して、補正値設定処理の実行周期(動作頻度)を決定し、決定した実行周期で実行するようにしてもよい。この態様は請求項8記載の発明に対応している。
【0067】
更に、上記では中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンをパターン検出部28の検出ユニットによって検出してずれ量を検出する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、レジずれ検出用パターンやそれに類似のパターンを用紙50上に形成・出力し、オンライン又はオフラインのスキャナや、目視等によってずれ量を検出するようにしてもよい。このようにすれば、中間転写ベルト30のような中間転写体を有さず、用紙担持体に担持された用紙に対して感光体上のトナー像を順次転写する画像形成装置にも上記した技術を適用することが可能となる。
【0068】
また、上記ではSOS側の画像領域端部の位置ずれと、画像領域の長さのばらつき(EOS側における画像領域の端部の位置ずれ)を各々補正する態様を説明したが、本発明は何れか一方のみを補正する態様も権利範囲に含むものであり、特に、画像領域の長さのばらつき(EOS側における画像領域の端部の位置ずれ)のみを検出・補正する態様は、容易に視認可能な画質向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】走査露光部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(A)及び(B)は各走査ラインにおける走査方向に沿った画像領域の周期的なずれ(ジッタ)を示す平面図、(C)は面発光レーザアレイ(VCSEL)から射出される多数本の光ビームの照射位置の一例を示す平面図である。
【図4】制御部の機能ブロック図である。
【図5】補正値設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】(A)は検出ユニットとレジずれ検出用パターンとの位置関係、(B)は特定反射面によって形成したパターンの一例、(C)は各反射面によって形成された各パターンの位置ずれの一例を各々示すイメージ図である。
【図7】画素の追加/削除による主走査方向に沿った画像領域の長さの変化を示すイメージ図である。
【図8】各色材色毎に実行される画像補正処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る補正を未実行の画像での各走査ラインにおける画像領域のずれの一例を示すイメージ図である。
【図10】図9に示す画像に対して本発明に係る補正を実行した場合の各走査ラインにおける画像領域の一例を示すイメージ図である。
【図11】本発明を適用して画像領域のSOS側端部位置を補正する態様を説明するためのイメージ図である。
【符号の説明】
【0070】
10 カラー画像形成装置
28 パターン検出部
80 制御部
100 VCSEL
110 ポリゴンミラー
112 反射部材
114 回転位置検出センサ
134 レジ補正処理部
136 画像印刷処理部
138 検出処理部
140 レジ補正値演算処理部
142 メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び形成画像補正方法に係り、特に、画像データを用いて変調した光ビームを回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向させて被照射体上で走査させることで、被照射体上に画像を形成する画像形成装置、及び、該画像形成装置に適用可能な形成画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、形成すべき画像に応じて変調した光ビームをポリゴンミラーによって反射偏向させ、像担持体上で走査(主走査)させることで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像することで得られたトナー像を記録材料に転写することで記録材料上に画像を形成する画像形成装置が知られている。また、光学走査装置及び像担持体を含む画像形成部を複数備え、個々の画像形成部が互いに異なる像担持体上に各色のトナー像を各々独立に形成し、各色のトナー像を重ね合わせて同一の記録材料に転写することで、記録材料上にカラー画像を形成する構成のカラー画像形成装置も知られている。
【0003】
ところで、ポリゴンミラーによって光ビームを反射偏向させて走査させる場合、ポリゴンミラーの各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動、更には、これにポリゴンミラーの前後に配置された光学系の収差等も加わることで、各走査ライン毎に走査方向に沿った画像領域のずれ(ジッタと称する)が生じる。この走査ライン毎の画像領域のずれ(ジッタ)は、走査開始側ではずれ量が小さく走査終了側でずれ量が大きくなるような主走査方向の倍率変動として現れ、その周期はポリゴンミラーの1回転である。そして、上記の画像領域のずれ(ジッタ)は、単色画像では走査終了側端部に近づくに従って大きくなる画像の揺らぎ(走査終了側における画像端部の位置のばらつき)、カラー画像では各色画像の主走査倍率変動による色ずれや色むらとして視認される。
【0004】
上記に関連して特許文献1には、単一の感光体ドラムに各色の画像を順に形成すると共に、形成した各色の画像を中間転写体上で順に重ね合わせるマルチプル方式の画像形成装置において、感光体の回転駆動とポリゴンミラーの回転駆動を同期させ、二色目以降の画像の各ラインが、ポリゴンミラーの各反射面のうち一色目の画像の対応するラインの描画時と同一の反射面を用いて描画されるように制御することで、ジッタによる色ずれや色むらの発生を抑制する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、基準クロックを細かく遅延させて複数の遅延クロックを生成し、複数の遅延クロックの選択を変更することによりクロックの周期をわずかに増加又は減少させて、所定時間内に発生するドットクロックのパルス数を所定数にした信号を生成すると共に、ドットクロックを分周した後に逓倍することで、ドットクロックの周期を増加又は減少させるポイントでのクロック周期の変動を低減させて色むら等を補正する技術が開示されている。
【0006】
また特許文献3には、複数のレーザ光学走査系を備えた画像形成装置において、各レーザ光学走査系に各々独立して設けられたビデオクロック発生器に含まれている分周器の分周比を変更することでビデオクロック周波数を変化させ、各レーザ光学走査系の走査幅のばらつきを補正する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平4−373253号公報
【特許文献2】特開2002−200784号公報
【特許文献3】特公平6−57040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、二色目以降の画像の個々のラインの画像領域を一色目の画像の個々のラインの画像領域と一致させるものであり、各ライン毎の画像領域のずれは補正されない。このため、特許文献1に記載の技術を適用してカラー画像を形成した場合、形成したカラー画像に色ずれが生ずることは抑制できるものの、走査終了側で画像の揺らぎ(画像端部の位置のばらつき)が生じ、これが画質低下として視認されるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2,3に記載の技術は、ビデオクロックの2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行うことで、各色毎の主走査方向倍率の変動を補正しているが、ビデオクロックの周波数は、画像形成装置における形成画像の高解像度化・画像形成速度の高速化に伴って大幅に高周波数化しており、高周波化したビデオクロックの更に2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行おうとすると、構成の大幅な複雑化によって大幅なコストアップを招くと共に、高い分解能で倍率変動を補正することも非常に困難である。また、ポリゴンミラーの1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正するためには、ビデオクロックの周波数が各スキャンライン毎に変化するように制御する必要があるものの、このような制御は応答性の面から考えても非現実的である。
【0009】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる画像形成装置及び形成画像補正方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像形成装置は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する補正手段を備えている。
【0011】
請求項1記載の発明では、画像データを用いて変調された光ビームが、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査されることで、被照射体上に画像が形成される。なお、回転多面鏡の同一の反射面で同時に反射偏向される光ビームの本数は1本でも複数本でもよい。上記構成では、回転多面鏡の各反射面の公差内でのばらつきや回転多面鏡の回転速度の変動等により、被照射体上に形成される画像領域に、所定方向(光ビームの走査方向)に沿ったずれが生ずると共に、当該画像領域のずれにおけるずれ量が回転多面鏡の1回転を1周期として逐次変化する。
【0012】
これに対して請求項1記載の発明に係る補正手段は、光ビームの変調に用いられる画像データを、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する。これにより、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる。また、請求項1記載の発明は、画像データを補正することで画像領域のずれを補正するので、高周波のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行う必要もなく、高解像度の画像を高速に形成する等の場合にも画像領域のずれを補正するために構成が複雑化することを回避することができる。
【0013】
なお、画像領域の所定方向に沿ったずれとしては、例えば画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれが挙げられるが、請求項1記載の発明において、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれを補正することは、例えば請求項2に記載したように、補正手段を、所定方向に沿った画素数が画像領域に相当する画素数よりも多い原画像を表す原画像データに対し、画像領域に相当する範囲外の画素を空白画素に置き換える変換処理を行うことで、光ビームの変調に用いる画像データを生成すると共に、変換処理を行うにあたり、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれ量に応じて、原画像データ上の画像領域に相当する範囲の所定方向に沿った位置を補正することを単位データ毎に行うように構成することで実現することができる。なお、請求項2記載の発明において補正対象の端部位置のずれは、所定方向に沿った画像領域の両端部の位置のうちの何れであってもよい。これにより、画像領域の所定方向に沿った端部位置のずれを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として補正することができる。
【0014】
また、画像領域の所定方向に沿ったずれには、画像領域の所定方向に沿った長さも挙げられる(この長さの変動に応じて所定方向に沿った画像領域の走査終了側端部位置が変動する)。請求項1記載の発明において、画像領域の所定方向に沿った長さのずれを補正することは、例えば請求項3に記載したように、補正手段を、画像データに対し、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、画像領域の所定方向に沿った長さのずれ量に応じて、画素の追加又は削除を行って1ライン当りの画素数を補正することを、単位データ毎に行うように構成することで実現することができる。これにより、画像領域の所定方向に沿った長さのずれを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として補正することができる。また、請求項2に記載した画像領域の端部位置のずれの補正と、請求項3に記載した画像領域の長さのばらつきの補正を併用すれば、所定方向に沿った画像領域の両端部位置のばらつきを、所定方向に沿った画素間隔を単位(最小分解能)として各々補正することができる。
【0015】
ところで、回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量は、回転多面鏡の各反射面毎に相違しているので、個々の単位データの補正に際しては、個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを把握する必要がある。これは、個々の単位データを何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いるかを予め決定して補正しておき、光ビームが前記決定した反射面で反射偏向されるタイミングで、光ビームの変調に用いるために対応する単位データを出力することによっても実現できるが、例えば請求項4に記載したように、光ビームを反射偏向する反射面を検出する反射面検出手段を更に設け、補正手段を、反射面検出手段による反射面の検出結果に基づいて、画像データを構成する個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを判断するように構成することで実現することができる。
【0016】
また、請求項1記載の発明において、補正手段による補正は、より詳しくは、例えば請求項5に記載したように、回転多面鏡の各反射面毎に画像領域の所定方向に沿ったずれ量を測定した結果に基づいて設定された、画像領域の所定方向に沿ったずれを補正するための各反射面毎の補正データを記憶する記憶手段を更に設け、補正手段を、記憶手段に記憶されている各反射面毎の補正データに基づいて、画像データの補正を単位データ毎に行うように構成することで行うことができる。
【0017】
また、請求項5記載の発明において、画像領域のずれ量の測定及び記憶手段に記憶する補正データの設定は人間が行うことも可能であるが、例えば請求項6に記載したように、回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量を、回転多面鏡の各反射面毎に測定する測定手段と、測定手段によって各反射面毎に測定された画像領域の所定方向に沿ったずれ量に基づいて、画像領域の所定方向に沿ったずれを補正するための補正データを各反射面毎に設定し、設定した各反射面毎の補正データを記憶手段に記憶させる補正データ設定手段と、これにより、画像領域のずれ量を測定して補正データを設定する作業を省力化できると共に、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域の所定方向に沿ったずれ量(の例えば全体的な大きさや変化パターン等)が経時的に変化する可能性があることを考慮して、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を定期的に実行させることで、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持することが可能となる。
【0018】
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項7に記載したように、測定手段による画像領域の所定方向に沿ったずれ量の測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を、画像形成装置の製造時、設置時、構成部品の交換時の少なくとも1つのタイミングで実行させる第1制御手段を更に設けることが好ましい。これにより、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持できると共に、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定が必要以上の頻度で実行されることで、画像形成装置の処理能力の低下を招くことも回避することができる。
【0019】
また、請求項6記載の発明において、例えば請求項8に記載したように、画像形成装置の機内温度、回転多面鏡の回転時間及び画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つを検知する検知手段と、測定手段による画像領域の所定方向に沿ったずれ量の測定及び補正データ設定手段による補正データの設定を、検知手段によって検知された画像形成装置の機内温度、回転多面鏡の回転時間及び画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つに応じた周期で定期的に実行させる第2制御手段と、を更に設けることが好ましい。この場合も、回転多面鏡の1回転を1周期とする画像領域のずれに対する補正の精度を常に高水準に維持できると共に、測定手段による測定及び補正データ設定手段による補正データの設定が必要以上の頻度で実行されることで、画像形成装置の処理能力の低下を招くことも回避することができる。
【0020】
請求項9記載の発明に係る形成画像補正方法は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するので、請求項1記載の発明と同様に、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明は、回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、反射偏向された光ビームによって被照射体上に形成される画像領域の所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正するようにしたので、回転多面鏡の1回転を1周期としてずれ量が逐次変化する画像領域のずれを補正できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るカラー画像形成装置10が示されている。カラー画像形成装置10は、プラテンガラス14上の所定位置に載置された原稿16を露光走査しCCDセンサ13により原稿16の画像R,G,B各色成分に分解して読み取ってR,G,Bの画像信号を出力する原稿読取装置12と、原稿読取装置12が原稿16の画像を読み取ることで得られた画像信号に基づいて、用紙50上にカラー画像を形成する画像形成装置18を備えている。なお、カラー画像形成装置10は本発明に係る画像形成装置に対応している。
【0023】
画像形成装置18は、CCDセンサ13による読み取りによって得られたR,G,Bの画像信号を、Y,M,C,Kの各色材色毎の多値の画像データ(個々の画素のY,M,C,Kの各色材色毎の濃度を各々複数ビット(例えば8ビット)の多値データで表す画像データ)に変換して蓄積する画像蓄積部82と、CPU、ROM、ワークメモリとして使用されるRAM、EEPROMやフラッシュメモリ等から成る不揮発性記億手段を含んで構成されカラー画像形成装置10における処理全般を制御する制御部80を備えている。不揮発性記憶手段には、後述する補正値設定処理を行うための補正値設定プログラム及び画像補正処理を行うための画像補正プログラムが予め記憶されている。また、カラー画像形成装置10の上面には、メッセージ等を表示するディスプレイ84Aと、オペレータが各種コマンド等を入力するためのキーボード84Bとを含んで構成された操作部84が設けられており、操作部84は制御部80と接続されている(図示省略)。
【0024】
また、画像形成装置18は駆動ローラ32、34、36、38に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト30を備えている。中間転写ベルト30はトナー像を静電転写するためにカーボンにより体積抵抗が調整された誘電体であり、駆動ローラ32、34、36、38によって所定方向(駆動ローラ32、38間では図1の矢印B方向)に周回搬送される。中間転写ベルト30の上側には、図1の矢印B方向に沿って、中間転写ベルト30上にY色のトナー像を形成する画像形成部20、中間転写ベルト30上にM色のトナー像を形成する画像形成部22、中間転写ベルト30上にC色のトナー像を形成する画像形成部24、中間転写ベルト30上にK色のトナー像を形成する画像形成部26、及び、中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンを検出するためのパターン検出部28が順に設けられている。なおパターン検出部28は、発光素子及びCCDから成る受光素子を備え中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンを光学的に検出するための検出ユニットが、中間転写ベルト30の幅方向(主走査方向)に沿った両端部(SOS(Start Of Scan)位置及びEOS(End Of Scan)位置)に各々配設されて構成されている(図6(A)も参照)。
【0025】
画像形成部20は、略円筒状で軸線を中心に図1の矢印A方向へ回転可能とされ中間転写ベルト30に外周面が接するように配置された感光体20Cを備えており、感光体20Cの外周には、感光体20Cの外周面を所定の電位に帯電させる帯電器20Dが設けられており、図1の矢印A方向に沿って帯電器20Dよりも下流側には走査露光部20Aが設けられている。
【0026】
図2に示すように、走査露光部20Aは、複数本の光ビームを射出可能なマルチビーム光源として、略ガウシアン分布の光ビームを射出する発光部が多数(本実施形態では32個)形成された面発光レーザアレイ(VCSEL)100を備えている。VCSEL100から射出された光ビームは、後述する走査光学系によって主走査方向に偏向された後に被走査体としての感光体20Cに照射されることで、感光体20Cの軸線に平行な方向(主走査方向)に沿って感光体20Cの周面上を走査される。走査露光部20Aには色材色Yの印刷用画像データ(二値の画像データ)が制御部80から供給され、VCSEL100から射出されるレーザビームは制御部80から供給された印刷用画像データに応じて各々変調され、また感光体20Cが回転することによって副走査が成されることで、感光体20Cの周面上の帯電された部分には色材色Yの画像の静電潜像が形成される。また、VCSEL100に形成された各発光部は、個々の発光部から射出される光ビームの副走査方向に沿った位置が重ならないように配置されている。また、図3(C)に示すように、各発光部から射出された光ビームは、感光体20C上での主走査方向に沿った光ビームの照射位置もずれているが、このずれは画像形成時に個々の発光部から射出される光ビームの変調開始タイミングを相対的に変化させることで補正される。
【0027】
VCSEL100の光ビーム射出側には、VCSEL100との間隔がコリメータレンズ102の焦点距離に一致するように配置されたコリメータレンズ102、スリット104、シリンドリカルレンズ106、ミラー108が順に配置されている。VCSEL100から射出された光ビームはコリメータレンズ102によって略平行光束とされ、スリット104によって整形された後に、シリンドリカルレンズ106へ入射される。シリンドリカルレンズ106は副走査方向にのみパワーを有し、入射された光ビームを、後述するポリゴンミラー110の反射面上に主走査方向に細長い線像として収束させてミラー108へ入射させる。
【0028】
ミラー108で反射された光ビームの射出側には、同一面幅の反射面(偏向面)が側面部に複数形成された正多角柱形状(本実施形態では正八角形状)とされ、図示しない駆動手段により中心軸の回りに等角速度で回転されるポリゴンミラー110(本発明に係る回転多面鏡に相当)が配置されており、ハーフミラー108で反射された光ビームは、ポリゴンミラー110によって反射されると共にポリゴンミラー110の回転に伴って主走査方向に偏向・走査される。また、ポリゴンミラー110の上面には反射部材112が貼付されており、ポリゴンミラー110の上方には発光素子及び受光素子を備えた回転位置検出センサ114が設けられている。回転位置検出センサ114は、ポリゴンミラー110が特定回転角度のときに反射部材112貼付位置の真上となる位置に配置され、かつ制御部80に接続されており、ポリゴンミラー110の回転に同期した信号(ポリゴンミラー110が特定回転角度になる毎に所定期間レベルが変化する信号)を制御部80へ出力する。回転位置検出センサ114及び反射部材112は請求項4に記載の反射面検出手段に対応している。回転位置検出センサ114及び反射部材112に代えて、ポリゴンミラー110に取り付けたロータリーエンコーダによって反射面を検出するようにしてもよい。
【0029】
ポリゴンミラー110の光ビーム射出側には、二枚組のレンズ116A、116Bからなるfθレンズ116が配置されている。fθレンズ116は、ポリゴンミラー110により偏向・走査された光ビームを感光体20Cの周面上に光スポットとして主走査方向に結像させると共に、該光スポットを感光体20Cの周面上で主走査方向に略等速度で移動させる機能を有している。fθレンズ116の光ビーム射出側には、第1のシリンドリカルミラー118、平面ミラー120、第2のシリンドリカルミラー122、ウインドウ124が順に配置されている。fθレンズ116を透過した光ビームは、第1のシリンドリカルミラー118と平面ミラー120とによって光路が略コ字状に曲げられ、更に第2のシリンドリカルミラー122で反射された後、ウインドウ124を透過し、ウインドウ124の下方に配置された感光体20Cの周面上に照射される。
【0030】
第1のシリンドリカルミラー118及び第2のシリンドリカルミラー122は、副走査方向にパワーを有しており、ポリゴンミラー110の反射面と感光体20Cとを略共役関係にすることで、ポリゴンミラー110の反射面の公差内でのばらつきにより生じる感光体20Cの周面上での副走査方向に沿った光ビーム照射位置のずれ(面倒れ)を補正する機能を有している。また、コリメータレンズ102、シリンドリカルレンズ106、第1のシリンドリカルミラー118、第2のシリンドリカルミラー122の副走査方向の曲率は、感光体20C上での副走査方向に沿った光ビームの間隔と、感光体20Cから数ミリ離れた位置での副走査方向に沿った光ビームの間隔が等しい、テレセントリックな関係となるように設定されている。
【0031】
一方、感光体20Cの外周面へのレーザビーム照射位置よりも図1の矢印A方向に沿って下流側には、現像装置20B、転写装置20F及びクリーニング装置20Eが順に設けられている。現像装置20Bは、トナー供給部20GよりY色のトナーが供給され、走査露光部20Aにより形成された静電潜像をY色のトナーによって現像しY色のトナー像を形成させる。また、転写装置20Fは中間転写ベルト30を挟んで感光体20Cの外周面と対向するように配置されており、感光体20Cの外周面に形成されたY色のトナー像を中間転写ベルト30の外周面に転写する。また、トナー像転写後に感光体20Cの外周面に残存しているトナーはクリーニング装置20Eによって除去される。
【0032】
なお、図1より明らかなように、画像形成部22、24、26の構成は画像形成部20の構成と同一である(但し、形成するトナー像の色材色は互いに異なる)ので説明を省略する。画像形成部20、22、24、26は、各々が形成した各色のトナー像が中間転写ベルト30の外周面上で互いに重なり合うようにトナー像を転写させる。これにより、中間転写ベルト30の外周面上にフルカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト30の周回路に沿って、画像形成部20よりも中間転写ベルト30の周回方向上流側には、中間転写ベルト30のトナーの吸着性を良好にするために中間転写ベルト30の表面電位を所定電位に維持する吸着ローラ40、中間転写ベルト30からトナーを除去するクリーニング装置42、中間転写ベルト30上の予め定められた基準位置(例えば光反射率の高いシール等から成るマークが付されている)を検出する基準位置検出センサ44が順に設けられている。
【0033】
一方、中間転写ベルト30配設位置の下方には、多数枚の用紙50を積層状態で収容するトレイ54が設けられている。トレイ54に収容されている用紙50は、引出しローラ52の回転に伴ってトレイ54から引出され、搬送ローラ対55、56、58によって転写位置(駆動ローラ36及び転写ローラ60が配設されている位置)へ搬送される。転写ローラ60は中間転写ベルト30を挟んで駆動ローラ36と対向するように配置されており、転写位置へ搬送された用紙50は、転写ローラ60と中間転写ベルト30とに挟持されることにより、中間転写ベルト30の外周面上に形成されたフルカラーのトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙50は、搬送ローラ対62により定着装置46へ搬送され、定着装置46によって定着処理が施された後、用紙トレイ64へ排出される。
【0034】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態に係るカラー画像形成装置10のように、ポリゴンミラーによって光ビームを反射偏向させて感光体で走査させることで感光体上に画像を形成する構成では、ポリゴンミラーの各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラーの回転速度の変動を主因として、各反射面で反射された光ビームの走査速度の微小な相違(主走査方向倍率の変動)が生じ、図3(A)及び(B)に示すように、ポリゴンミラーの1回転を周期として、各走査ラインにおける走査方向に沿った画像領域のずれ(ジッタ)が生じる。
【0035】
ジッタの主因であるポリゴンミラーの回転速度の変動や各反射面の公差内でのばらつきは、現在、ポリゴンミラー回転駆動の高精度化やポリゴンミラーの製造の高精度化等により極限まで抑制しているものの、例えばSOS側位置とEOS側位置との間隔(主走査方向に沿った画像領域の長さ)が297mmの場合、主走査方向に沿った画像端部の位置ずれはSOS側位置で10μm程度、EOS側位置で20μm程度生じる。そして、コストダウンを目的としてポリゴンミラー回転駆動部の構成を簡素化したりポリゴンミラーの製造精度を落とした場合、主走査方向に沿った画像端部の位置ずれは、SOS側位置ではそれほど変化しないものの(10〜15μm程度)、EOS側位置では40〜60μm程度にまで悪化する。
【0036】
一方、本実施形態に係るカラー画像形成装置10は、画像形成部20,22,24,26の各々において、走査露光部20AのVCSEL100から射出された32本の光ビームを感光体20C上に同時に照射することで、1回の主走査で32本のラインを一括して走査露光する。例えば形成画像の副走査方向の解像度を2400dpiとした場合、感光体20C上での副走査方向に沿ったラインの間隔は10.58μm(25.4mm/2400dpi)となるので、ポリゴンミラー110の反射面の数が「8」であれば、前述したジッタの副走査方向に沿った周期は2.7mmとなる。この条件で、ジッタ補正のために前出の特許文献1〜3の技術を適用した場合について検討する。
【0037】
特許文献1に記載の技術は、単一の感光体ドラムに各色の画像を順に形成すると共に、形成した各色の画像を中間転写体上で順に重ね合わせるマルチプル方式を前提としており、マルチプル方式の画像形成装置で感光体の回転駆動とポリゴンミラーの回転駆動を同期させている。ここで、マルチプル方式では、中間転写体にクリーニングブレードや二次転写ローラが接触離間することで中間転写体の移動速度の変動が生じ、色ずれ抑制のために感光体の回転速度を中間転写体の移動速度と同期させる必要があるので、その上で感光体の回転駆動を更にポリゴンミラーの回転駆動と同期させるためには、位相差を検出したり検出した位相差を補正する等の機能を実現する新たな構成を追加する必要があり、装置構成が複雑となりコストが嵩むことになる。また、特許文献1に記載されている400dpi、ポリゴンミラーの反射面数が8、光ビームの本数が1という条件では、ジッタの副走査方向に沿った周期が0.5mmと短いが、本実施形態に係るカラー画像形成装置10のようにジッタの副走査方向に沿った周期が2.7mmと長くなると、ジッタの1周期の間の感光体及び中間転写体の速度変動も大きくなるので、更なる構成の複雑化、コストアップを招くことになる。そして先にも説明したように、特許文献1に記載の技術は、色ずれは抑制できるものの画像端部の位置のばらつきを補正することができないので、これが画質低下として視認されるという問題がある。
【0038】
また、特許文献2,3に記載の技術では、光ビームの走査速度の変動が相殺されるように、ビデオクロックの2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行うことで、各色毎の主走査方向倍率の変動を補正するものであるが、例えば600dpi、光ビームの本数が2、等の条件ではビデオクロックの周波数が20〜30MHz程度で済むのに対し、本実施形態に係るカラー画像形成装置10のように、2400dpi、光ビームの本数が32本、といった条件ではビデオクロックの周波数は130〜140MHz程度と大幅に高周波化する(高解像度化及び処理能力向上のニーズを満たすため)ので、高周波化したビデオクロックの更に2倍以上の周波数のクロック信号を用いてビデオクロックの周波数変調を行おうとすると大幅なコストアップを招くという問題がある。また、主走査方向に沿った長さが297mmの画像領域の位置及び長さを10μm刻みで補正するためには、ビデオクロックの周波数を30ppm程度(=10μm/297mm)の分解能で変更する必要があり、100MHz以上の高周波のビデオクロックの周波数に対して上記分解能で上記制御を行うことは非常に困難である。そして先にも説明したように、特許文献2,3に記載の技術は、各色の画像領域のずれ量が、画像を形成している間中一定のまま推移することを前提として補正を行う技術であり、単一の画像を形成している途中でずれ量が動的に変化する画像領域のずれを特許文献2,3に記載の技術によって補正するためには、ビデオクロックの周波数が各スキャンライン毎に変化するように制御する必要があるものの、このような制御は応答性の面から考えても非現実的である。
【0039】
上記に基づき、本実施形態では、各回の主走査における光ビームの変調開始タイミングをポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替えることで、SOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきを補正し、各回の主走査で光ビームの変調に用いるデータ(32本分の主走査ラインのデータ:本発明における単位データ)に対して画素の追加又は削除を行うと共に、追加又は削除する画素数をポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替えることで、各走査ライン毎の画像領域の長さのばらつき(すなわち、EOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつき)を補正している。以下、詳細を説明する。
【0040】
図4に示すように、カラー画像形成装置10の制御部80は、用紙50に印刷すべき画像のデータとして、LAN等のネットワークを介して接続されたホストコンピュータからページ記述言語で記述されたデータを受信するか、又は、原稿読取装置12からビットマップデータが入力されると、これらのデータを画像データ生成部130によってY,M,C,Kの各色材色毎の多値画像データ(個々の画素のY,M,C,Kの各色材色毎の濃度を各々複数ビット(例えば8ビット)で表す比較的低解像度(例えば600dpi)の画像データ)に変換する。また、上記の多値画像データはスクリーン処理部132に入力され、スクリーン処理部132は多値画像データに対してスクリーン処理を行って印刷用の画像データ(多値画像データにおける個々の画素の濃度を複数の二値画素によって表す高解像度(例えば2400dpi)のY,M,C,K各色材色毎の二値画像データ)へ変換する。この印刷用画像データはレジ補正処理部134によるレジ補正処理(後述)を経て画像印刷処理部136へ供給される。そして画像印刷処理部136は、供給された印刷用画像データに応じて個々の画像形成部20,22,24,26の走査露光部20AのVCSEL100から射出される光ビームを変調させると共に、個々の画像形成部20,22,24,26の作動を制御することでカラー画像を形成させる。
【0041】
ここで、本実施形態に係る制御部80には、SOS側及びEOS側における各走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきを補正するために、レジずれ検出処理部138、レジ補正値演算処理部140、前述のレジ補正処理部134及び補正値を記憶するためのメモリ142が各々設けられている。なお、メモリ142は請求項5に記載の記憶手段に、レジ補正処理部134は本発明に係る補正手段(詳しくは請求項3〜請求項5に記載の補正手段)に対応している。また、レジずれ検出処理部138はパターン検出部28の各検出ユニットと共に請求項6に記載の測定手段に対応しており、レジ補正値演算処理部140は請求項6に記載の補正データ設定手段に対応している。
【0042】
以下では、まずレジずれ検出処理部138及びレジ補正値演算処理部140に相当する処理として、制御部80が補正値設定プログラムを実行することで実現される補正値設定処理について、図5を参照して説明する。なお、この補正値設定処理は、カラー画像形成装置10の製造時、カラー画像形成装置10の設置時、及び、カラー画像形成装置10の構成部品の交換時(例えば感光体20Cの交換時や走査露光部20Aの交換時、ポリゴンミラー110の回転駆動に関係する電気回路部品の交換時等)に実行されると共に、上記のタイミング以外に、例えば補正値設定処理を前回実行してからの累積稼働時間が所定時間に達した場合にも実行される。これらのタイミングで補正値設定処理を実行することは請求項7記載の発明に対応している。
【0043】
補正値設定処理では、まずステップ150でレジずれ検出対象の色材色jを選択し、次のステップ152では、色材色jに対応する画像形成部の走査露光部20Aに設けられたポリゴンミラー110の反射面のうち、次に説明するレジずれ検出用パターンの形成が未実行の単一の反射面をレジずれ検出対象として選択する。そしてステップ154では、色材色jに対応する画像形成部により、ステップ152で選択したレジずれ検出対象の反射面で反射された光ビームのみによってレジずれ検出用パターンを形成させる。
【0044】
すなわち、制御部80には回転位置検出センサ114が接続されており、この回転位置検出センサ114からは、ポリゴンミラー110が特定回転角度になる毎に所定期間レベルが変化する検出信号が入力されるので、制御部80は、入力された検出信号を該信号のレベルが変化するタイミングを基準として分周した反射面検知信号に基づいて、ポリゴンミラー110の回転角度、すなわち何れの反射面が光ビームを反射しているかを検知する。そして、ステップ152で選択したレジずれ検出対象の反射面が光ビームを反射する期間が到来する毎に、走査露光部20AのVCSEL100の全ての発光部を発光させて、画像領域のSOS側端部及びEOS側端部にライン状のパターンを形成させるデータを色材色jに対応する画像形成部へ出力することを所定回繰り返す。これにより、例として図6(B)に示すようなストライプ状のレジずれ検出用パターンが、図6(A)に示すようにSOS側端部及びEOS側端部に各々形成されることになる。なお、図6(B)に示すレジずれ検出用パターンは、ポリゴンミラー110に設けられた8個の反射面A〜Hのうち、反射面Cによって形成されたパターンとして示している。
【0045】
次のステップ156では、上述したレジずれ検出用パターンの形成をポリゴンミラー110の全ての反射面に対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ152へ戻り、ステップ156の判定が肯定される迄ステップ152〜ステップ156を繰り返す。これにより、色材色jに対応する画像形成部の感光体20Cの周面上には、ポリゴンミラー110の互いに異なる反射面で反射偏向された光ビームによって形成された複数のレジずれ検出用パターンが各々形成され、これらのレジずれ検出用パターンが中間転写ベルト30に各々転写される。
【0046】
ステップ156の判定が肯定されるとステップ158へ移行し、図6(C)にも示すように、中間転写ベルト30に各々転写された各反射面に対応するレジずれ検出用パターンのうち、中間転写ベルト30の移動に伴ってレジずれ検出用パターン(特定反射面のレジずれ検出用パターン)が転写された箇所がパターン検出部28の検出ユニットの配設位置に到達すると、検出ユニットの配設位置に到達した特定反射面のレジずれ検出用パターンを検出ユニットによって読み取る。個々のレジずれ検出用パターンは、ポリゴンミラー110に設けられた複数(本実施形態では8)の反射面のうちの単一の反射面で反射偏向された光ビームのみによって形成しているので、その濃度(カバレッジ)は12.5%と比較的低くなるが、ストライプ状のレジずれ検出用パターンにおける個々のラインは32本の光ビームによって形成され個々のラインの幅は0.34mmであるので、レジずれ検出用パターンの検出は充分に可能である。
【0047】
またステップ160では、SOS位置に位置している検出ユニットによるレジずれ検出用パターンの読取結果に基づいて、SOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置(すなわちSOS側における画像領域の端部位置)のずれ量を演算し、演算したずれ量に基づいて、SOS側における画像領域の端部位置をSOS側の基準位置に一致させるための光ビームの変調開始タイミング補正値を設定する。例えば光ビームの変調開始タイミングが、一定の基準タイミングからビデオクロックのパルス数をカウントし、パルス数のカウント値が100画素分に相当する規定値になったときに光ビームの変調を開始させる態様において、レジずれ検出用パターンがSOS側へ10μm(=1画素分)ずれていることが検出された場合には、変調開始タイミング補正値として、前記規定値を101画素分に相当する値へ変更する補正値を設定すればよい。これにより、SOS側における画像領域の端部位置がEOS側へ10μm移動されることでSOS側の基準位置と一致されることになる。そしてステップ160では、設定した変調開始タイミング補正値を、色材色jを識別する情報及び読み取りを行ったレジずれ検出用パターンに対応する特定反射面を識別する情報(例えば反射面番号等)と対応付けてメモリ142に記憶させる。
【0048】
また、ステップ162では、EOS位置に位置している検出ユニットによるレジずれ検出用パターンの読取結果に基づいて、EOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置(すなわちEOS側における画像領域の端部位置)のずれ量を演算する。次に、演算したEOS側における画像領域の端部位置のずれ量と、ステップ160で演算したSOS側における画像領域の端部位置のずれ量から画像領域の長さのずれ量を演算し、画像領域の長さのずれを補正することでEOS側における画像領域の端部位置をEOS側の基準位置に一致させるための追加/削除画素数を設定する。
【0049】
図7(A)に示す原画像データに対し、図7(B)に示すように各主走査ラインに同数の画素を各々追加した場合、各主走査ラインの長さ(画像領域の長さ)が追加画素数分長くなり、これに伴ってEOS側における画像領域の端部位置もEOS側へ追加画素数分移動する。また、図7(C)に示すように各主走査ラインから同数の画素を各々削除した場合は、各主走査ラインの長さ(画像領域の長さ)が追加画素数分短くなり、これに伴ってEOS側における画像領域の端部位置もSOS側へ追加画素数分移動する。本実施形態では、光ビームの変調に用いるデータに対し、上記のように画素の追加又は削除を行うことで画像領域の長さを補正し、EOS側における画像領域の端部位置をEOS側の基準位置に一致させている。この補正は、各回の主走査におけるビデオクロックの周波数を変更する制御と比較して処理自体が非常に簡単であり、また補正量の変更も追加又は削除する画素の数を変更するのみで済むので、各主走査ライン毎に所望の倍率に(画像領域を所望の長さに)制御可能である。
【0050】
なお、上記の補正処理における補正の分解能は1画素単位であり、2400dpiでは10μm(正確には10.58μm)となる。例えば図7(B)に示す例ではEOS側における画像領域の端部位置がEOS側へ2画素分、すなわち20μm移動し、図7(C)に示す例ではEOS側における画像領域の端部位置がSOS側へ2画素分(20μm)移動することになる。従って追加/削除画素数は、演算した画像領域の長さのずれ量を画素間隔(例えば10μm)で除算することで求めることができる。そしてステップ162では、設定した追加/削除画素数を、色材色jを識別する情報及び読み取りを行ったレジずれ検出用パターンに対応する特定反射面を識別する情報(例えば反射面番号等)と対応付けてメモリ142に記憶させる。なお、メモリ142に記憶させた追加/削除画素数は請求項5等に記載の補正データに対応している。
【0051】
次のステップ164では、上述したレジずれ検出用パターンの読み取り、補正値(変調開始タイミング補正値及び追加/削除画素数)の設定・記憶をポリゴンミラー110の全ての反射面に対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ158へ戻り、ステップ164の判定が肯定される迄ステップ158〜ステップ164を繰り返す。これにより、色材色jに対応する画像形成部のポリゴンミラー110の全ての反射面について、補正値の設定・記憶が各々行われる。ステップ164の判定が肯定されるとステップ166へ移行し、上述した処理をY,M,C,Kの各色材色について各々行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ150に戻り、ステップ166の判定が肯定される迄ステップ150〜ステップ166を繰り返す。そしてステップ166の判定が肯定されると補正値設定処理を終了する。
【0052】
次に、制御部80が画像補正プログラムを実行することで実現される画像補正処理について、図8を参照して説明する。なお、この画像補正処理はレジ補正処理部134に対応する処理であり、カラー画像の形成時に、各色材色(個々の画像形成部)に対応する画像補正処理が並列に各々実行される。
【0053】
特定色材色jに対応する画像補正処理では、ステップ170において、特定色材色jに対応する画像形成部の回転位置検出センサ114から入力された検出信号に基づいて生成した反射面検知信号に基づき、前記画像形成部において次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面を検知する。次のステップ172では、特定色材色j及びステップ170で検知した反射面に対応する変調開始タイミング補正値をメモリ142から読み出し、読み出した変調開始タイミング補正値を画像印刷処理部136へ通知する。VCSEL100から射出される32本の光ビームは、図3(C)に示すように、感光体20C上での主走査方向に沿った照射位置のずれに応じて変調開始タイミングが相違されているが、画像印刷処理部136は、次周期における個々の光ビームの変調開始タイミングを、通知された変調開始タイミング補正値に応じて各々変更(補正)する処理を行う。これにより、次周期に32本の光ビームによって各々形成される主走査ライン上の画像領域のSOS側における端部位置がSOS側の基準位置に各々一致される。
【0054】
また、次のステップ174では、特定色材色j及びステップ170で検知した反射面に対応する追加/削除画素数をメモリ142から読み出す。そしてステップ176では、次周期の主走査で特定色材色jに対応する画像形成部のVCSEL100から射出される32本の光ビームの変調に用いる32本の主走査ラインのデータ(本発明における単位データ)に対し、ステップ176で読み出した追加/削除画素数分の画素を追加又は削除する倍率補正処理を行い、この倍率補正処理を行った各ラインのデータを画像印刷処理部136へ出力する。なお、画素の追加又は削除を行う位置は、例えば追加/削除画素数が1であれば各ラインの中央で追加又は削除を行い、追加/削除画素数が複数であれば画素の追加又は削除位置が各ライン中に均等に位置するように設定することが好ましい(図10も参照)。また、追加する画素の画素値としては、追加位置に元々存在している画素の画素値と同一の値を適用すればよい。これにより、次周期における32本の光ビームの変調が上記の倍率補正処理を経たデータに従って行われ、これにより、次周期に32本の光ビームによって形成される主走査ライン上の画像領域の長さが基準長さに各々一致されることで、前記主走査ライン上の画像領域のSOS側における端部位置がSOS側の基準位置に各々一致される。
【0055】
次のステップ178では、特定色材色jに対応する画像形成部における画像形成が完了したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ170へ戻り、ステップ178の判定が肯定される迄ステップ170〜ステップ178を繰り返す。ここで、ステップ178の判定が否定されてステップ170に戻る毎に、ステップ170において、次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面として、前回とは異なる反射面が検知されるので、ステップ172でメモリ142から読み出される変調開始タイミング補正値及びステップ174でメモリ142から読み出される追加/削除画素数についても前回とは異なる反射面に対応するデータが読み出され、次周期の主走査で光ビームを反射偏向する反射面に対応する補正が行われることになる。
【0056】
上記補正について、図面を参照して更に説明する。図3(B)に示したSOS側及びEOS側における画像領域の端部位置のばらつきを図9に拡大して示す。図9に複数示す扁平な矩形領域は1回の主走査で32本の光ビームによって形成される画像領域を表しており、個々の画像領域に付した符号A〜Hは、ポリゴンミラー110の8個の反射面のうち各領域が形成される際に32本の光ビームを反射偏向した反射面を表している。図9からも明らかなように、ポリゴンミラー110の各反射面の公差内でのばらつきやポリゴンミラー110の回転速度の変動により、順次形成される画像領域は、ポリゴンミラー110の1回転を1周期としてSOS側及びEOS側の端部位置が各々ばらついている。また、光ビームの変調は、画像形成領域外に配置される書き込み開始基準位置センサからの信号をトリガとして一定時間経過後に(ビデオクロックのパルス数のカウント値が規定値となった時点で)開始されるので、書き込み開始基準位置センサの配置位置に近いSOS側の画像領域の端部位置の変動は比較的小さい一方、上記センサから離間しているEOS側では画像領域の端部位置が大きく変動している。
【0057】
ここで、反射面Aに対応する画像領域の端部位置を基準として、各反射面に対応する画像領域の端部位置がSOS側で±5μm、EOS側で±30μm変動しているものとする。すなわち反射面Aに対応する画像領域のEOS側端部位置に対し、反射面B,Dに対応する画像領域のEOS側端部位置がEOS側に20μm、反射面Cに対応する画像領域のEOS側端部位置がEOS側に30μm、反射面F,Hに対応する画像領域のEOS側端部位置がSOS側に20μm、反射面Gに対応する画像領域のEOS側端部位置がSOS側に30μmずれているものとする。この場合、先に説明した補正値設定処理(図5)では、追加/削除画素数として、反射面B,Dに対しては「2画素削除」、反射面Cに対しては「3画素削除」、反射面F,Hに対しては「2画素追加」、反射面Gに対しては「3画素追加」が設定される。
【0058】
この追加/削除画素数に応じて画像補正処理(図8)で倍率補正処理(画素の追加又は削除)を行った結果を図10に示す。図10に示すように、光ビームが反射面B,Dで反射偏向される際には2画素分のデータが削除されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面Cで反射偏向される際には3画素分のデータが削除されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面F,Hで反射偏向される際には2画素分のデータが追加されたデータに従って光ビームの変調が行われ、光ビームが反射面Gで反射偏向される際には3画素分のデータが追加されたデータに従って光ビームの変調が行われることが繰り返されることでジッタが補正され、各反射面に対応する画像領域のEOS側端部位置が基準位置に揃うことになる。
【0059】
なお、図9,10に示す例では、各反射面に対応する画像領域のSOS端部位置のずれ量が光ビーム変調開始タイミングの補正における補正の分解能(10μm)未満のために、光ビーム変調開始タイミングの補正は行われないが、ビデオクロックの2倍以上のクロックを用いてビデオクロック位相を制御すれば画素間隔(=10μm)未満の分解能で画像領域のSOS端部位置のずれを補正することも可能であり、このような補正を適用すれば、SOS端部位置のずれ量が画素間隔未満であったとしても、図10に示すように画像領域のSOS端部位置を揃えることができる(高周波クロックを用いて周波数変調を行う場合と比較して、高周波クロックを用いた位相制御は容易かつ構成の複雑化も回避できる)。
【0060】
なお、上記では本発明に係る補正(画像データを補正することによる画像領域の所定方向(主走査方向)に沿ったずれの補正)を、画像領域の長さの変動(に応じて変化する画像領域のEOS側端部位置の変動)に対する補正のみに適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、本発明に係る補正を画像領域のSOS側端部位置の変動に対する補正にも適用してもよいことは言うまでもない。以下、画像データを補正することで画像領域のSOS側端部位置の変動を補正する態様を説明する。
【0061】
この態様では、例として図11(A)に示すように、印刷用画像データとして、主走査方向画素数が、用紙に実際に形成される画像に相当する有効画像領域の主走査方向画素数よりも多い画像データ(請求項2に記載の原画像データに相当)がレジ補正処理部134に入力される。一例として、用紙に実際に形成する画像の主走査方向の幅が297mm、主走査方向の解像度が2400dpiである場合、有効画像領域の主走査方向画素数は28064画素(=297mm÷25.4×2400を満たす最小偶数)となり、印刷用画像データの主走査方向画素数は、処理の都合上、2のべき乗であることが望ましいので、例えば32768画素とすることができる。
【0062】
レジ補正処理部134は、画像領域のSOS側端部位置の補正を行わない場合、入力された印刷用画像データに対して主走査方向に沿った所定位置(例えば中央)に有効画像領域を設定し、入力された印刷用画像データの各画素のうち設定した有効画像領域から逸脱している全ての画素(請求項2に記載の「画像領域に相当する範囲外」の画素)を空白画素(Y,M,C,K各色濃度が全て0の画素)に置き換える変換処理を行う。これにより、例として図11(B)に示すように、印刷用画像データの主走査方向両端部には空白画素のみから成る空白領域が形成される。そして、変換処理後の印刷用画像データに対して追加/削除画素数に応じた倍率補正処理(画素の追加/又は削除)を行った後に画像印刷処理部136へ出力する。
【0063】
またレジ補正部134は、先に説明したようにレジずれ検出用パターンの形成・読み取りを行った結果、SOS側の基準位置に対してレジずれ検出用パターンの位置がずれていた場合、ポリゴンミラー110の各反射面毎にずれの方向及びずれ量を検知し、検知したずれ量を画素数に換算する。そして、印刷用画像データに対し、VCSEL100から射出される32本の光ビームの変調に用いる32本の主走査ラインのデータ(単位データ)を単位として、印刷用画像データ上での有効画像領域の位置が、ポリゴンミラー110の対応する反射面について検知したずれの方向と逆の方向に、前記換算した画素数分だけシフトするように、個々の単位データ毎に有効画像領域を設定した後に変換処理を行う。これにより、例として図11(C)に示すように、個々の単位データ毎に、SOS側の基準位置に対するレジずれ検出用パターンの位置ずれの方向及びずれ量に応じて、SOS側(及びEOS側)の空白領域の主走査方向に沿った幅(画素数)が増減されることになる。
【0064】
この態様では、レジ補正部134から画像印刷処理部136へ変調開始タイミング補正値が出力されず、画像印刷処理部136は、各回の主走査において一定のタイミングで光ビームの変調を開始させるが、光ビームの変調に用いるデータが空白領域内の画素のデータである間はVCSEL100から光ビームが射出されないので、各回の主走査においてVCSEL100から光ビームの射出が開始されるタイミングがポリゴンミラー110の各反射面毎に切り替わり、SOS側における各主走査ライン毎の画像領域の端部位置のばらつきが補正されることになる。なお、上記態様は請求項2記載の発明に対応している。
【0065】
また、上記では画像データに対する単位データ毎の補正と、補正した画像データに基づく画像形成(光ビームの変調)を並列に行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像データに対する補正を完了させた後に画像形成を行うようにすることも可能である。
【0066】
また、上記では図5に示す補正値設定処理を、カラー画像形成装置10の製造時、カラー画像形成装置10の設置時、及び、カラー画像形成装置10の構成部品の交換時以外に、例えば補正値設定処理を前回実行してからの累積稼働時間が所定時間に達した場合に実行する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ジッタが変化する要因、例えば走査露光部20Aの内部温度や画像形成装置10の機体内部温度の変動、ポリゴンミラー110の回転駆動時間、ポリゴンミラー110の回転駆動時間、カラー画像形成装置10が形成した画像数の累積値(プリント出力枚数の累積値)等の少なくとも1つを考慮して、補正値設定処理の実行周期(動作頻度)を決定し、決定した実行周期で実行するようにしてもよい。この態様は請求項8記載の発明に対応している。
【0067】
更に、上記では中間転写ベルト30上に形成されたレジずれ検出用パターンをパターン検出部28の検出ユニットによって検出してずれ量を検出する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、レジずれ検出用パターンやそれに類似のパターンを用紙50上に形成・出力し、オンライン又はオフラインのスキャナや、目視等によってずれ量を検出するようにしてもよい。このようにすれば、中間転写ベルト30のような中間転写体を有さず、用紙担持体に担持された用紙に対して感光体上のトナー像を順次転写する画像形成装置にも上記した技術を適用することが可能となる。
【0068】
また、上記ではSOS側の画像領域端部の位置ずれと、画像領域の長さのばらつき(EOS側における画像領域の端部の位置ずれ)を各々補正する態様を説明したが、本発明は何れか一方のみを補正する態様も権利範囲に含むものであり、特に、画像領域の長さのばらつき(EOS側における画像領域の端部の位置ずれ)のみを検出・補正する態様は、容易に視認可能な画質向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】走査露光部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】(A)及び(B)は各走査ラインにおける走査方向に沿った画像領域の周期的なずれ(ジッタ)を示す平面図、(C)は面発光レーザアレイ(VCSEL)から射出される多数本の光ビームの照射位置の一例を示す平面図である。
【図4】制御部の機能ブロック図である。
【図5】補正値設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】(A)は検出ユニットとレジずれ検出用パターンとの位置関係、(B)は特定反射面によって形成したパターンの一例、(C)は各反射面によって形成された各パターンの位置ずれの一例を各々示すイメージ図である。
【図7】画素の追加/削除による主走査方向に沿った画像領域の長さの変化を示すイメージ図である。
【図8】各色材色毎に実行される画像補正処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る補正を未実行の画像での各走査ラインにおける画像領域のずれの一例を示すイメージ図である。
【図10】図9に示す画像に対して本発明に係る補正を実行した場合の各走査ラインにおける画像領域の一例を示すイメージ図である。
【図11】本発明を適用して画像領域のSOS側端部位置を補正する態様を説明するためのイメージ図である。
【符号の説明】
【0070】
10 カラー画像形成装置
28 パターン検出部
80 制御部
100 VCSEL
110 ポリゴンミラー
112 反射部材
114 回転位置検出センサ
134 レジ補正処理部
136 画像印刷処理部
138 検出処理部
140 レジ補正値演算処理部
142 メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する補正手段を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記所定方向に沿った画素数が前記画像領域に相当する画素数よりも多い原画像を表す原画像データに対し、前記画像領域に相当する範囲外の画素を空白画素に置き換える変換処理を行うことで、前記光ビームの変調に用いる画像データを生成すると共に、前記変換処理を行うにあたり、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記画像領域の前記所定方向に沿った端部位置のずれ量に応じて、前記原画像データ上の前記画像領域に相当する範囲の前記所定方向に沿った位置を補正することを、前記単位データ毎に行うことで、前記画像領域の前記所定方向に沿った端部位置のずれを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記画像データに対し、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記画像領域の前記所定方向に沿った長さのずれ量に応じて、画素の追加又は削除を行って1ライン当りの画素数を補正することを、前記単位データ毎に行うことで、前記画像領域の前記所定方向に沿った長さのずれを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光ビームを反射偏向する反射面を検出する反射面検出手段を更に備え、
前記補正手段は、前記反射面検出手段による反射面の検出結果に基づいて、前記画像データを構成する個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを判断することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転多面鏡の各反射面毎に前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量を測定した結果に基づいて設定された、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するための前記各反射面毎の補正データを記憶する記憶手段を更に備え、
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶されている前記各反射面毎の補正データに基づいて、前記画像データの補正を前記単位データ毎に行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量を、前記回転多面鏡の各反射面毎に測定する測定手段と、
前記測定手段によって前記各反射面毎に測定された前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に基づいて、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するための補正データを前記各反射面毎に設定し、設定した前記各反射面毎の補正データを前記記憶手段に記憶させる補正データ設定手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記測定手段による前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量の測定及び前記補正データ設定手段による前記補正データの設定を、前記画像形成装置の製造時、設置時、構成部品の交換時の少なくとも1つのタイミングで実行させる第1制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置の機内温度、前記回転多面鏡の回転時間及び前記画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つを検知する検知手段と、
前記測定手段による前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量の測定及び前記補正データ設定手段による前記補正データの設定を、前記検知手段によって検知された前記画像形成装置の機内温度、前記回転多面鏡の回転時間及び前記画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つに応じた周期で定期的に実行させる第2制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する形成画像補正方法。
【請求項1】
回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する補正手段を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記所定方向に沿った画素数が前記画像領域に相当する画素数よりも多い原画像を表す原画像データに対し、前記画像領域に相当する範囲外の画素を空白画素に置き換える変換処理を行うことで、前記光ビームの変調に用いる画像データを生成すると共に、前記変換処理を行うにあたり、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記画像領域の前記所定方向に沿った端部位置のずれ量に応じて、前記原画像データ上の前記画像領域に相当する範囲の前記所定方向に沿った位置を補正することを、前記単位データ毎に行うことで、前記画像領域の前記所定方向に沿った端部位置のずれを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記画像データに対し、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記画像領域の前記所定方向に沿った長さのずれ量に応じて、画素の追加又は削除を行って1ライン当りの画素数を補正することを、前記単位データ毎に行うことで、前記画像領域の前記所定方向に沿った長さのずれを補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光ビームを反射偏向する反射面を検出する反射面検出手段を更に備え、
前記補正手段は、前記反射面検出手段による反射面の検出結果に基づいて、前記画像データを構成する個々の単位データが何れの反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられるかを判断することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転多面鏡の各反射面毎に前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量を測定した結果に基づいて設定された、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するための前記各反射面毎の補正データを記憶する記憶手段を更に備え、
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶されている前記各反射面毎の補正データに基づいて、前記画像データの補正を前記単位データ毎に行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転多面鏡の反射面で反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量を、前記回転多面鏡の各反射面毎に測定する測定手段と、
前記測定手段によって前記各反射面毎に測定された前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に基づいて、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正するための補正データを前記各反射面毎に設定し、設定した前記各反射面毎の補正データを前記記憶手段に記憶させる補正データ設定手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記測定手段による前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量の測定及び前記補正データ設定手段による前記補正データの設定を、前記画像形成装置の製造時、設置時、構成部品の交換時の少なくとも1つのタイミングで実行させる第1制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置の機内温度、前記回転多面鏡の回転時間及び前記画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つを検知する検知手段と、
前記測定手段による前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量の測定及び前記補正データ設定手段による前記補正データの設定を、前記検知手段によって検知された前記画像形成装置の機内温度、前記回転多面鏡の回転時間及び前記画像形成装置による形成画像数の累積値の少なくとも1つに応じた周期で定期的に実行させる第2制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
回転多面鏡に設けられた複数の反射面のうちの何れかの反射面で反射偏向されて被照射体上で所定方向に走査される光ビームの変調に用いられる画像データを、前記回転多面鏡の各反射面毎に予め測定された、前記反射偏向された光ビームによって前記被照射体上に形成される画像領域の前記所定方向に沿ったずれ量に応じて、同一の反射面で反射偏向される光ビームの変調に用いられる単位データ毎に補正することで、前記画像領域の前記所定方向に沿ったずれを補正する形成画像補正方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図2】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−144667(P2007−144667A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339305(P2005−339305)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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