画像形成装置
【課題】 複数の現像器を搭載し、現像器を1つずつ、像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体を有する画像形成装置において、保持体を移動させる際に生じる稼動音による騒音問題を緩和できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 表面に静電像が形成される像担持体26と、静電像を現像剤にて現像する複数の現像器25と、複数の現像器25を搭載し、現像器25を1つずつ、像担持体26に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体25aと、を備えた画像形成装置において、所定の時間帯において、保持体25aの動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施する。
【解決手段】 表面に静電像が形成される像担持体26と、静電像を現像剤にて現像する複数の現像器25と、複数の現像器25を搭載し、現像器25を1つずつ、像担持体26に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体25aと、を備えた画像形成装置において、所定の時間帯において、保持体25aの動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から画像情報を読み取り、該画像情報に応じて像担持体に静電像を形成し、この静電像を現像装置にて現像して現像像(トナー像)とする画像形成手段を有し、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、画像形成装置から排紙された記録材に対する排紙処理機能、などを少なくとも一つ以上備えた電子写真方式或いは静電記録方式の画像形成装置に関し、特に、現像装置として可動式の保持体に複数色の現像手段である現像器を配置し、各現像器を像担持体に対面した現像位置へと移動させて色毎に像形成を行う移動現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの像担持体を備えた画像形成装置、例えばドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラムを1個備えたカラープリンタやカラー複写機等の画像形成装置には、回転体の外周に沿って、それぞれ異なる色のトナーを含む現像剤を収容した複数の現像器を搭載し、回転体が回転することによって、順に現像器を感光体ドラムに近接させて現像動作を行わせる、所謂、回転式現像装置を備えた画像形成装置がある。図13(a)、(b)に、その一例を示す。
【0003】
尚、図13(a)、(b)では、画像形成装置の主要構成部材である像担持体1、現像装置2、及び中間転写体26の部分のみを示す。
【0004】
図13(a)に示す構成では、1つの感光体ドラム1に隣接して、現像器保持体として回転体2aを配置し、回転体2aに、現像手段であるイエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25C、ブラック現像器25Kが同心円上に配置されている。そしてカラー画像を印刷する時には、回転体2aを、不図示のステッピングモータで矢印方向に回転させて、それぞれの現像器25における現像剤担持体である現像スリーブ25s、つまり、イエロー現像器25Yの現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像器25Mの現像スリーブ25Ms、シアン現像器25Cの現像スリーブ25Cs、及びブラック現像器25Kの現像スリーブ25Ksを、順次現像ポイントPまで移動させ、一色ずつ現像を行い、感光体ドラム1上の静電像を可視像化し、中間転写体26へ転写する。
【0005】
一方、図13(b)に示す構成では、1つの感光体ドラム1に隣接して、現像器保持体としての回転体2aには、イエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25Cが同心円上に配置され、ブラック現像器25Kは、他の色と独立した状態で回転体2aの上方に位置し、感光体ドラム1に対して矢印Aの方向へ移動可能な構造になっている。ブラック現像器25Kは、現像動作時のみ感光体ドラム1に当接するよう制御される。
【0006】
カラー画像を印刷する時には、回転体2aをステッピングモータ等で矢印方向に回転させて、それぞれの現像器25における現像剤担持体である現像スリーブ25s、つまりイエロー現像器の現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像器の現像スリーブ25Ms、シアン現像器の現像スリーブ25sを順次現像ポイントPまで移動させ、3色の現像を行い、最後にブラック現像器25Kを感光体ドラム1の方向に移動させて現像ポイントPKで現像して静電像を可視像化し、中間転写体26へ転写する。
【0007】
図13(a)、(b)にて、現像手段を搭載した回転体2aを回転させるステッピングモータは、図14に示すように、予めプログラムされた速度テーブルに従い、スタートパルスS1から徐々に加速しトップスピードS2に到達後、一定速度で回転させ、所定パルス数分回転後、スタートパルスS1まで徐々に減速して停止させる。これを各色イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、又は、各色イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に繰り返すことで、各色の現像器25(25Y、25M、25C、25K)、又は、現像器25(25Y、25M、25C)を現像ポイントPまで正確に移動させる。
【0008】
この一連の動作の中で、問題になるのがモータ及び回転体2aの回転による稼動音である。
【0009】
各現像器25には、感光体ドラム1へ現像剤を転写させる現像スリーブ25sの他、現像剤を攪拌するための部材や現像剤を収めるボトル等(不図示)が備えられており、その重量は数百gにもなる。それらが、4色(又は3色)分、回転体2aに装着されるので、総重量は数Kgにも達する。こうした重量物をステッピングモータでギヤを介して回転させることにより、モータ回転音、回転体の振動による共振音等、相当な稼働音が発生する。
【0010】
そこで、こうした稼働音を低減させる手段として、従来は現像手段(現像器)を搭載した回転体の回転速度を可変とし、転写材のサイズ、回転体の初期動作、現像器交換時及びカラーモードに応じて回転速度を変化させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
しかしながら、上記提案の構成では、転写材のサイズ、回転体の初期動作、現像器交換時に、カラーモードに応じて動作モード毎に予め設定された速度で回転させるのみである。
【0012】
一方、比較的小型のオフィス向け機器の場合、設置場所は小さな事務所やマンション等のスモールオフィスであることが多く、オプションとしてFAX機能が追加されているものがほとんどである。又、居住区域と設置場所が同一であることが多いため、上記提案の構成では騒音対策として十分とはいえない。特に、スリープモード(停止状態)に移行中は、ほとんどの電源がOFFされているため、夜間にFAX受信した場合は、スリープからスタンバイに移行する際の初期動作や各種調整動作が突然実行されるので、ユーザーに対して不快感を与えることになりかねない。特に、就寝中の居住者を驚かせる可能性もあり得る。
【特許文献1】特開平9−6206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、複数の現像器を搭載し、現像器を1つずつ、像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体を有する画像形成装置において、保持体を移動させる際に生じる稼動音などの騒音問題を緩和することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、表面に静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像剤にて現像し現像像とする複数の現像器と、前記複数の現像器を搭載し、前記現像器を1つずつ、前記像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体と、前記像担持体上の現像像を記録材に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、
所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、前記保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置は、所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、現像器保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施するので、保持体の稼動音を緩和し、効果的な騒音対策を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例であるデジタルカラー複写機の概略構成を示す断面図である。本実施例の複写機は、コピー機能、プリンタ機能、更には、FAX機能を有しているが、これに限定されるものではなく、本発明は、これら機能の少なくとも一つ以上を有する画像形成装置に適用し得る。
【0018】
本実施例にて、デジタルカラー複写機は、イメージスキャナ部ISとプリンタ部PRを有する。イメージスキャナ部ISでは、原稿を読み取り、デジタルカラー画像信号を出力し、プリンタ部PRに送信する。プリンタ部PRでは、イメージスキャナ部ISから出力されたデジタルカラー画像信号を、転写材である記録紙に記録し、所望の画像形成物を得るための動作が行われる。
【0019】
まず、イメージスキャナ部ISにおける動作を説明する。
【0020】
外部からの画像情報源となる、原稿台ガラス4上に設置された原稿は、原稿圧板3によって、原稿台ガラス4に密着させられる。
【0021】
イメージスキャナ部ISには、原稿を読み取り、画像情報を電気信号に変換するCCD5を有する。CCD5は、基板6に実装された状態で備えられている。
【0022】
又、蛍光灯制御回路17は、画像処理部8からの点灯制御信号により一定周期で可変デューティのPWMパルス信号を発生し、蛍光灯駆動回路18へ与え、蛍光灯駆動回路18はこのPWMパルス信号を元に原稿を照射する蛍光灯9を点灯させる。その時、蛍光灯制御回路17は光量センサ19の出力を見て、この出力値がある一定値になるようにPWMパルス信号のデューティを変えて光量制御を行う。
【0023】
第一ミラー台15は、原稿を照射する蛍光灯9と、蛍光灯9の光を原稿に集光する反射傘10と、ミラー11と、を収容するキャリッジであり、第二ミラー台16はミラー12、13を収容するキャリッジであり、第一ミラー台15は速度Vで、第二ミラー台16は速度V/2で、CCD5の電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に移動することによって、原稿の全面を走査(副走査)する。そして、第一ミラー台15、第二ミラー台16によって、得られた原稿からの反射光又は投影光は、レンズ14によって、CCD5上に集光される。
【0024】
CCD5で電気信号に変換されたアナログの画像信号は、画像処理部8において、サンプルホールド、増幅、A/D変換等の処理が行われ、例えばRGB各8ビットのディジタル信号に変換され、マスキング処理、γ補正等の各種処理がなされ、プリンタ部PRに送信される画像信号となる。
【0025】
次に、プリンタ部PRの構成について説明する。
【0026】
プリンタ部PRにおける画像形成動作は、各種モータ等の負荷をドライブする回路を備えたプリンタ制御部7によって制御される。
【0027】
ここで、像担持体として、ドラム状の電子写真感光体である感光体ドラム1が備えられ、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって駆動される。この感光体ドラム1は、帯電ローラ21によりその周面が所定の極性・電位に帯電される。そして、その帯電面に、レーザ走査部22から出力される、上記イメージスキャナ部ISの画像処理部8から入力されたディジタル画像信号に対応してパルス幅変調されたレーザ光23による走査露光がなされることで、画像情報の静電像が形成される。レーザ走査部22からのレーザ光は、レーザ光反射ミラー24によって偏向され、感光体ドラム1に対して露光される。
【0028】
このように、回転する感光体ドラム1に対して目的のフルカラー画像の色分解像に各対応する静電像が形成されたら、現像手段により、その静電像のトナー現像が順次に実行され、各色の現像像(トナー像)が順次形成される。
【0029】
現像装置2は、本実施例では、保持体としての円筒形状の回転体2aの外周に沿って複数の現像器、本実施例では4つの現像器25、即ち、イエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25C、ブラック現像器25Kを搭載した回転切り替え式の回転現像装置とされる。
【0030】
従って、回転体2aが回転することによって、各現像器25(25Y、25M、25C、25K)は、順に感光体ドラム1と対向する位置に移動する。各現像器25内には、交換式のトナー容器25t、即ち、イエロートナー容器25Yt、マゼンタトナー容器25Mt、シアントナー容器25Ct、ブラックトナー容器25Ktが内蔵されている。
【0031】
又、各現像器25には、感光体ドラム1上の静電像にトナーを移動させて可視像化するための現像剤担持体である現像スリーブ25s、即ち、イエロー現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像スリーブ25Ms、シアン現像スリーブ25Cs、ブラック現像スリーブ25Ksが備わっている。回転体2aの回転動作については、後に詳しく説明する。
【0032】
感光体ドラム1上に形成された各トナー像は、中間転写体としての中間転写ドラム26に対して順次重ね合わせ転写がなされ、中間転写ドラム26の表面に目的のフルカラー画像の鏡像に対応したフルカラートナー像が形成される。
【0033】
中間転写ドラム26は、感光体ドラム1に接触もしくは近接させて配置してあり、感光体ドラム1に対して順方向に、且つ、感光体ドラム1とほぼ同一周速度で回転駆動される。尚、本実施例では中間転写体としてドラムを想定しているがもちろんベルトでも問題ない。
【0034】
この中間転写ドラム26に対して、給紙カセット28、29から記録材としての転写材Sが給紙ローラ30、31により給紙されて、転写材Sに対して中間転写ドラム26側の鏡像フルカラートナー像が、転写ローラ32により転写されて転写材表面にフルカラートナー像が形成される。転写ローラ32は、転写材Sの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム26から転写材Sにトナー像を転写する。
【0035】
フルカラートナー像の転写を受けた転写材Sは中間転写ドラム26から分離されて定着器33へ導入され、トナー像の加熱定着を受け、排紙処理手段である排紙搬送ローラ36と切り替えフラッパ37で排紙トレイ35または38へ排紙される。
【0036】
なお、必要に応じて、排紙トレイ部にソート機構、ステイプル機構などを設け、排紙された記録紙に対して、ソート、ステイプルなどの各種排紙処理を施す構成とすることも可能である。
【0037】
転写材Sに対するトナー像転写後の中間転写ドラム26の表面は、クリーニング装置27によって清掃され、次回の画像形成に備える。
【0038】
以上説明した本実施例におけるデジタルカラー複写機の全体構成は、従来例に説明した図13(a)に示す構成と同様とされる。
【0039】
つまり、プリンタ部PRにて、現像手段としての4台の現像器25が、回転体2aに搭載されて、回転体2aが回転することによって、順次に現像ポイントPに移動し、現像動作を行う構成とされる。
【0040】
尚、保持体である回転体2aに搭載される現像器25の数については、図13(b)に示すような、3台の現像器を搭載したものでもよく、5台以上の現像器を搭載してもよく、2個以上であれば特に限定されない。
【0041】
回転体2aの端部には、各色の現像スリーブ25sが現像ポイントPに正確に移動できるようにポジションフラグ302(302Y、302M、302C、302K)が備えられ、ポジションセンサ301の検知面を各ポジションフラグ302が遮光した時に、各色の現像スリーブ25s(25Ys、25Ms、25Cs、25Ks)が現像ポイントPに来るようにフラグ302を配置してある。又、非画像形成中は感光体ドラム1表面の傷や汚れを防止する為にホームポジションフラグ302HPがポジションセンサ301を遮光する位置(ホームポジションとする)に移動させて、現像スリーブ25sが現像ポイントPからずれた位置に退避する。
【0042】
尚、回転体2aを駆動する駆動手段としては、本実施例ではステッピングモータ411(図2)が使用されているため、ポジションフラグ302が無くともホームポジションPから何パルス駆動したかさえ管理しておけば、現像ポイントPに現像スリーブ25sを正確に移動させることも可能である。
【0043】
こうした回転体2aを回転させる画像形成装置に関しては、複数分の現像器25の重量が大きくなるため、モータ回転音、回転体の振動による共振音等、相当な稼働音が発生するといった問題が生じた。特に、オプションとしてFAX機能が追加されているものでは、夜間にFAX受信した場合等に、騒音問題となるおそれがある。
【0044】
こうした、画像形成動作時における回転体2aの回転による騒音防止対策として、本発明では、こうした騒音が問題となる時間、例えば夜間等の特定の時間帯に動作させる場合は、この回転体の回転動作に関する画像形成シーケンスを切り替えることを特徴とする。そして、本実施例では、回転体2aの回転速度を、指定した時間帯において、減速するように切り換えるようにした。
【0045】
ここで、図2を用いて、この画像形成シーケンスを制御する、本実施例のデジタルカラー複写機のシステム構成について説明する。
【0046】
本実施例のデジタルカラー複写機のイメージスキャナ部ISに備えられている画像処理部8は、ホストコンピュータ401、402から指示される印刷ジョブ(画像形成動作)を発行するLANへ接続されている。
【0047】
画像処理部8には、CPU403、ROM404、RAM405の他、画像データを格納するHDD406とLANへ接続する為のLAN I/F407を含む。RAM405には、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられるほか、画像データを一時的に格納する記憶領域を含む。そして、画像処理部8は、FAXユニット408に接続され、イメージスキャナ部ISから読み込んだ原稿画像を符号化し圧縮して公衆回線(電話回線)を通して相手先FAXへ原稿画像を伝送したり、相手先FAXから送られてきた画像データを伸張,復号化して一旦HDD406へ蓄積した後、プリント動作を行うことができる。
【0048】
又、画像処理部8には、時計IC409が備えられ、初期動作やプリント動作、FAX着信の時間を監視し、回転現像装置2の回転体2aを回転駆動する駆動手段であるステッピングモータ411による速度制御をどのように行うかに利用される。そして、デジタルカラー複写機イメージスキャナ部ISに設けられた操作部412から、回転体2aの回転制御を行う時間帯を設定したり解除したりすることが可能である。
【0049】
例えば、低速動作をさせる時間帯を設定する場合、操作部412のタッチパネル式表示部は、図3に概略的に示す開始時間入力部501が設けられ、この部分をタッチし、開始時間を入力する。続いて終了時間入力部502をタッチし、終了時間を入力する。入力した時間帯を、設定ボタン503をタッチして設定し、設定を解除する場合は解除ボタン504をタッチする。そして、設定を確定する場合は、OKボタン505をタッチして設定が完了となる。尚、低速動作をさせる代わりに、通常動作がなされる時間帯を設定するような場合もある。
【0050】
そして、画像処理部8のI/Fは、プリンタ部PRのプリンタ制御部7に備えられたI/Fと連絡し、画像信号や、操作部412からの指示情報をプリンタ部PRに送信する。そして、プリンタ制御部7は、回転体2aの回転動作を実施するステッピングモータ411を駆動する。
【0051】
本実施例においては、ステッピングモータ411を2相励磁方式で駆動する。即ち、図2に示すように、CPU401にてA相、B相、A*相、B*相のパターンが生成され、ステッピングモータ411を駆動させるモータードライバ410へ出力される。図4(a)、(b)に、モータ411を2相励磁方式で駆動する場合の励磁パターンを示す。ステッピングモータ411はパターン1→2→3→4→5・・・の順に入力される相信号に応じて1ステップずつ回転を始める。Tの時間を徐々に短くしていくことで徐々に回転速度が速まっていく。
【0052】
本実施例では、図2に示すシステムにより、画像形成シーケンスを切り換え、このステッピングモータ411を制御し、騒音が問題となりやすい夜間において、回転体2aの回転速度を減速させ、且つ、移動したり停止したりするタイミングを長くする(以下、「低速動作」という。)構成とした。
【0053】
ここで、操作部412より、低速動作させる時間帯を指定する。ここでは、PM22:00から翌AM7:00に設定すると仮定する。その状態で、本体の電源スイッチがONされたとする。つまり、夜間に、FAXを受信する場合において、画像形成装置をスリープ状態から立ち上げて、画像形成を実施する場合である。
【0054】
まず、装置立ち上げから画像形成準備の際の、回転体2aの制御について、図6のフローチャートに従って説明する。図5の(A)、(B)、(C)、(D)は、このときの、4種類の、回転体2aの回転速度(a)とポジションセンサ301の出力(b)の関係を示す。
【0055】
図6にて、電源ON後(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0056】
そして、ステッピングモータ411によって、回転体2aを等速で回転させ、ホームポジション検出動作を行う(S5)。この時、回転体2aの回転中に従って、各色のポジションフラグ302Y、302M、302C、302Kが、ポジションセンサ301を等時間等間隔で遮光し、ポジションセンサ301の出力波形bは、図5の(A)に示すように、等間隔で同じ長さで上部にシフトするような波形となる。ホームポジションフラグ302HPは、他の色のポジションフラグ302より幅が狭い為、遮光している時間が他のものより短い。そのため、ここをホームポジションと判断し、直ちに減速し、停止させる。
【0057】
続いて、各色のトナー残量を調べる為に、イエロー現像器25Yを、現像ポイントPで移動させ(S6)、感光体ドラム1上に特定のパッチパターンを転写し、図示しないセンサでトナー濃度等を読み込む。
【0058】
続いて、マゼンタ、シアン、ブラックの順で現像器25を移動させ、同様のトナー残量検知を行う(S7〜S9)。
【0059】
このときは、回転体2aの動作としては、各色におけるパッチ形成動作時は停止し、パッチの色を切り替える時に回転して現像器を切り替える動作を行う。このときの回転体2aの停止時間、移動時間及び移動速度は同じである。
【0060】
従って、回転体2aの回転速度aとセンサ301の出力波形bは、図5の(C)のようになる。即ち、回転体2aは、一定時間間隔で、速度を上下させ、定期的に停止してパッチ形成が行われ、回転体2aが色の切り替え動作のための回転を停止する前にセンサ301は、定期的に各色のポジションフラグ302を遮光する。
【0061】
ここで、S2で時刻が低速動作時間帯ではない、PM20:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開し(S10)、S5へ移行する。
【0062】
この場合の回転速度は低速駆動時よりも当然早く、回転時間、停止時間共に短くなるので回転速度aとセンサの出力波形bは、ホームポジションになるまでは、図5の(B)のように、また、パッチ検知が実施されている時は、図5の(D)のようになる。即ち、低速動作時における波形より、時間間隔が狭くなり、回転体2aの回転速度aのチャートは、移動時は低速動作時より上部にシフトされる。
【0063】
装置を立ち上げたら、引き続いて画像形成動作が行われるが、次に、低速動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定した時の、スタンバイ状態においてFAX受信し、画像形成動作を実施する際の回転体2aの制御について、図8に示すフローチャートに従って説明する。又、図7の(A)、(B)は、このときの、回転体2aの回転速度(a)とポジションセンサ301の出力(b)の関係を示す。このときは、装置は立ち上がっており、既に回転体2aはホームポジションに移動しているため、ホームポジションに移動する動作は省略できる。
【0064】
スタンバイ中、FAXユニットにデータが送られたことを検出すると(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0065】
そして回転体ドラム20の回転速度(プロセススピード)はそのままで回転体2aの回転速度のみを低下させ、低速コピーモードに移行する(S5)。
【0066】
このとき、最初にイエローの現像が終了後、回転体2aを低速で回転させるが、感光体ドラム1は通常と同じ速度で回転する為、マゼンタの画像形成タイミングにマゼンタ現像器25Mの移動が間に合わない。そこで、中間転写ドラム26をもう1周ダミー回転させ、次の画像形成タイミングでマゼンタの画像形成を行う。このとき、中間転写ドラム26を通常よりも多く回転させるので、画像形成速度は減速されることになる。
【0067】
このときの回転体2aの回転速度(a)とセンサ301の出力波形(b)は、図7の(B)となる。即ち、画像形成時には、回転体2aは、中間転写ドラム26が2回転する時間以上の時間、各色毎に等時間停止し、回転する時は、現像器25切り換え時の回転速度も通常より減速させる。
【0068】
もし、S2で時刻がPM20:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開し(S6)、通常コピーモードに移行する(S7)。この場合の回転速度は低速駆動時よりも当然早いのでダミー回転は必要なく、回転速度とセンサ301の出力波形は図7の(A)となる。
【0069】
即ち、画像形成時には、回転体2aは、中間転写ドラム26が1回転する時間以上停止するが、時刻がAM0:00の時よりも短い時間停止し、現像器25切り換え時の回転速度は高速となる。
【0070】
以上説明したように、本実施例では、指定した所定の時間において、装置立ち上げ動作及び画像形成動作の際に、回転体2aの回転速度を減速することによって、その時間帯における回転体2aの稼動音を抑えることができ、騒音問題が緩和された。
【0071】
尚、減速動作を行う時間帯は自由に選択できることは言うまでもなく、以上に説明した画像形成動作の制御システムの構成や、画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。つまり、中間転写体を設けずに、感光体ドラムから転写材に直接画像を転写する直接転写方式や、静電記録方式の画像形成装置においても本発明は適用できる。
【0072】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同様であるので、同一機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0073】
本実施例では、実施例1の効果に加え、同時にステッピングモータ411に印加する電圧或いは巻線の電流値を切り替えることで、モータの振動が押さえられ、更なる低騒音化を実現することが出来る。
【0074】
図9に、本実施例におけるステッピングモータ411に関する回路ブロック図を示す。
【0075】
図9に示すように、本実施例の画像形成装置では、ステッピングモータ411に流れる電流値を検出する電流検知抵抗を切り替えるスイッチ手段121が備えられ、アナログスイッチ等を用い、CPU401からの制御線でモータードライバ410に接続する電流検知抵抗を切り替える。又、ステッピングモータ411に印加する電源電圧を切り替えるスイッチ手段122を有し、FETアレイ(不図示)等で複数の電源電圧(本実施例では、24V、12V、6V)をCPU401からの制御線を用いて切り替える。
【0076】
ここで、図10に示すフローチャートを用いて、低速動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定し、その状態で本体の電源スイッチをONした場合を説明する。
【0077】
電源ON後(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0078】
続いて電流値或いは電圧値を通常時よりも低くなるようスイッチ手段121又は122を切り替える(S5)。
【0079】
そして、ステッピングモータ411を回転させ、ホームポジション検出動作を行う(S6)。この後の動作は図6のS6〜S9と同じため、以降の説明は省略する。
【0080】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同様であるので、同一機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0081】
ところで、実施例1及び2に説明したような、所定時間に回転体2aの減速動作を行う以外に、所定時間内にプリント命令を受け付けた時に、画像データがフルカラーであっても強制的に白黒で出力するような画像シーケンスに切り替えることで所定の時間帯における騒音を抑えることも可能である。
【0082】
つまり、一つの現像器25のみで画像形成を行うならば、回転体2aは、その現像器25を現像位置に移動させて、そのまま停止していればよいので、回転動作を行う必要がなくなり、それに伴う稼動音を抑えることができる。尚、ここでは、所定時間において、画像形成動作を白黒画像形成動作とする画像シーケンスに切り替え(以下、「白黒限定動作」と称す。)、ブラック現像器25Kのみで現像動作を行う構成とするが、もちろん他の色の現像器25のみで現像動作を行う構成としてもよいのは言うまでもない。
【0083】
白黒限定動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定し、この時の回転体2aの動作を図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0084】
スタンバイ状態においてプリント命令を受信すると(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2)、次に画像データがフルカラーか白黒かをデータ内に含まれる色情報を元に確認する(S3)。
【0085】
フルカラー画像であった場合はS4で白黒限定動作させる時間帯かどうかをチェックする。
【0086】
時刻がAM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開して、ブラック現像器25Kを現像ポイントPまで低速で移動させ(S5)、白黒コピー動作を行う(S6)。
【0087】
この時の装置立ち上げ時における回転体2aの回転速度a及びポジションセンサ301の出力波形bを図11(a)に示す。この時も、等速で回転体2aが回転し、その間、各色のポジションフラグ302Y、302M、302C、302Kが、ポジションセンサ301を等時間等間隔で遮光する。尚、この時の回転体aの回転速度を通常よりも減速させると、更に好適である。
【0088】
その後、パッチ検知動作は行わず、白黒コピー動作を行うが、このときには、回転体2aの回転は停止し、ポジションフラグ302がポジションセンサ301を遮光することもなくなるので、この時のポジションセンサ301の出力波形bは、図11(b)に示すように、直線となる。
【0089】
S3で時刻がPM19:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開して通常のカラーコピーを行う(S7)。
【0090】
このような動作を行うことで、ひとつの現像器が現像位置に固定された後に、回転体の回転動作が停止されるので、それによる稼動音もなくなる。よって騒音問題も緩和される。
【0091】
実施例4
実施例1、2及び3においては、現像器の保持体として、回転体を使用し、回転移動によって、現像器を現像位置に移動させる構成の画像形成装置について説明してきたが、現像器の保持体としては、回転体以外に、平面或いは湾曲状の平行移動体が用いられることもある。例えば、像担持体に対向して垂直方向或いは水平方向に移動自在とされた保持体に、垂直方向或いは水平方向に整列して複数の現像器を配置し、保持体を上下方向或いは水平方向に移動させ、各現像器を像担持体に離接する構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の制御システムの一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る所定の時間帯を指定する操作部の説明図である。
【図4】ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する場合の励磁パターンを示す図である。
【図5】実施例1の所定時間帯における、初期設定動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図6】実施例1における、所定時間帯における初期設定時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1の所定時間帯における、画像形成動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図8】実施例1における、所定時間帯における画像形成時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図9】実施例2における、回転体の駆動手段を示すブロック図である。
【図10】実施例2における、所定時間帯における初期設定時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図11】実施例3に所定時間帯における、初期設定動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図12】実施例3における、所定時間帯における回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図13】従来の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図14】従来の回転体の駆動制御動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
IS イメージスキャナ部
PR プリンタ部
1 感光体ドラム(像担持体)
2 現像装置(移動現像装置)
2a 回転体(保持体)
7 プリンタ制御部
8 画像処理部
25 現像器
301 ポジションセンサ
302 ポジションプラグ
401 プリンタ部CPU
403 画像処理部CPU
408 FAX
410 モータドライバ
411 ステッピングモータ(駆動手段)
412 装置操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から画像情報を読み取り、該画像情報に応じて像担持体に静電像を形成し、この静電像を現像装置にて現像して現像像(トナー像)とする画像形成手段を有し、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、画像形成装置から排紙された記録材に対する排紙処理機能、などを少なくとも一つ以上備えた電子写真方式或いは静電記録方式の画像形成装置に関し、特に、現像装置として可動式の保持体に複数色の現像手段である現像器を配置し、各現像器を像担持体に対面した現像位置へと移動させて色毎に像形成を行う移動現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの像担持体を備えた画像形成装置、例えばドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラムを1個備えたカラープリンタやカラー複写機等の画像形成装置には、回転体の外周に沿って、それぞれ異なる色のトナーを含む現像剤を収容した複数の現像器を搭載し、回転体が回転することによって、順に現像器を感光体ドラムに近接させて現像動作を行わせる、所謂、回転式現像装置を備えた画像形成装置がある。図13(a)、(b)に、その一例を示す。
【0003】
尚、図13(a)、(b)では、画像形成装置の主要構成部材である像担持体1、現像装置2、及び中間転写体26の部分のみを示す。
【0004】
図13(a)に示す構成では、1つの感光体ドラム1に隣接して、現像器保持体として回転体2aを配置し、回転体2aに、現像手段であるイエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25C、ブラック現像器25Kが同心円上に配置されている。そしてカラー画像を印刷する時には、回転体2aを、不図示のステッピングモータで矢印方向に回転させて、それぞれの現像器25における現像剤担持体である現像スリーブ25s、つまり、イエロー現像器25Yの現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像器25Mの現像スリーブ25Ms、シアン現像器25Cの現像スリーブ25Cs、及びブラック現像器25Kの現像スリーブ25Ksを、順次現像ポイントPまで移動させ、一色ずつ現像を行い、感光体ドラム1上の静電像を可視像化し、中間転写体26へ転写する。
【0005】
一方、図13(b)に示す構成では、1つの感光体ドラム1に隣接して、現像器保持体としての回転体2aには、イエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25Cが同心円上に配置され、ブラック現像器25Kは、他の色と独立した状態で回転体2aの上方に位置し、感光体ドラム1に対して矢印Aの方向へ移動可能な構造になっている。ブラック現像器25Kは、現像動作時のみ感光体ドラム1に当接するよう制御される。
【0006】
カラー画像を印刷する時には、回転体2aをステッピングモータ等で矢印方向に回転させて、それぞれの現像器25における現像剤担持体である現像スリーブ25s、つまりイエロー現像器の現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像器の現像スリーブ25Ms、シアン現像器の現像スリーブ25sを順次現像ポイントPまで移動させ、3色の現像を行い、最後にブラック現像器25Kを感光体ドラム1の方向に移動させて現像ポイントPKで現像して静電像を可視像化し、中間転写体26へ転写する。
【0007】
図13(a)、(b)にて、現像手段を搭載した回転体2aを回転させるステッピングモータは、図14に示すように、予めプログラムされた速度テーブルに従い、スタートパルスS1から徐々に加速しトップスピードS2に到達後、一定速度で回転させ、所定パルス数分回転後、スタートパルスS1まで徐々に減速して停止させる。これを各色イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、又は、各色イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に繰り返すことで、各色の現像器25(25Y、25M、25C、25K)、又は、現像器25(25Y、25M、25C)を現像ポイントPまで正確に移動させる。
【0008】
この一連の動作の中で、問題になるのがモータ及び回転体2aの回転による稼動音である。
【0009】
各現像器25には、感光体ドラム1へ現像剤を転写させる現像スリーブ25sの他、現像剤を攪拌するための部材や現像剤を収めるボトル等(不図示)が備えられており、その重量は数百gにもなる。それらが、4色(又は3色)分、回転体2aに装着されるので、総重量は数Kgにも達する。こうした重量物をステッピングモータでギヤを介して回転させることにより、モータ回転音、回転体の振動による共振音等、相当な稼働音が発生する。
【0010】
そこで、こうした稼働音を低減させる手段として、従来は現像手段(現像器)を搭載した回転体の回転速度を可変とし、転写材のサイズ、回転体の初期動作、現像器交換時及びカラーモードに応じて回転速度を変化させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
しかしながら、上記提案の構成では、転写材のサイズ、回転体の初期動作、現像器交換時に、カラーモードに応じて動作モード毎に予め設定された速度で回転させるのみである。
【0012】
一方、比較的小型のオフィス向け機器の場合、設置場所は小さな事務所やマンション等のスモールオフィスであることが多く、オプションとしてFAX機能が追加されているものがほとんどである。又、居住区域と設置場所が同一であることが多いため、上記提案の構成では騒音対策として十分とはいえない。特に、スリープモード(停止状態)に移行中は、ほとんどの電源がOFFされているため、夜間にFAX受信した場合は、スリープからスタンバイに移行する際の初期動作や各種調整動作が突然実行されるので、ユーザーに対して不快感を与えることになりかねない。特に、就寝中の居住者を驚かせる可能性もあり得る。
【特許文献1】特開平9−6206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、複数の現像器を搭載し、現像器を1つずつ、像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体を有する画像形成装置において、保持体を移動させる際に生じる稼動音などの騒音問題を緩和することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、表面に静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像剤にて現像し現像像とする複数の現像器と、前記複数の現像器を搭載し、前記現像器を1つずつ、前記像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体と、前記像担持体上の現像像を記録材に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、
所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、前記保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置は、所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、現像器保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施するので、保持体の稼動音を緩和し、効果的な騒音対策を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例であるデジタルカラー複写機の概略構成を示す断面図である。本実施例の複写機は、コピー機能、プリンタ機能、更には、FAX機能を有しているが、これに限定されるものではなく、本発明は、これら機能の少なくとも一つ以上を有する画像形成装置に適用し得る。
【0018】
本実施例にて、デジタルカラー複写機は、イメージスキャナ部ISとプリンタ部PRを有する。イメージスキャナ部ISでは、原稿を読み取り、デジタルカラー画像信号を出力し、プリンタ部PRに送信する。プリンタ部PRでは、イメージスキャナ部ISから出力されたデジタルカラー画像信号を、転写材である記録紙に記録し、所望の画像形成物を得るための動作が行われる。
【0019】
まず、イメージスキャナ部ISにおける動作を説明する。
【0020】
外部からの画像情報源となる、原稿台ガラス4上に設置された原稿は、原稿圧板3によって、原稿台ガラス4に密着させられる。
【0021】
イメージスキャナ部ISには、原稿を読み取り、画像情報を電気信号に変換するCCD5を有する。CCD5は、基板6に実装された状態で備えられている。
【0022】
又、蛍光灯制御回路17は、画像処理部8からの点灯制御信号により一定周期で可変デューティのPWMパルス信号を発生し、蛍光灯駆動回路18へ与え、蛍光灯駆動回路18はこのPWMパルス信号を元に原稿を照射する蛍光灯9を点灯させる。その時、蛍光灯制御回路17は光量センサ19の出力を見て、この出力値がある一定値になるようにPWMパルス信号のデューティを変えて光量制御を行う。
【0023】
第一ミラー台15は、原稿を照射する蛍光灯9と、蛍光灯9の光を原稿に集光する反射傘10と、ミラー11と、を収容するキャリッジであり、第二ミラー台16はミラー12、13を収容するキャリッジであり、第一ミラー台15は速度Vで、第二ミラー台16は速度V/2で、CCD5の電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に移動することによって、原稿の全面を走査(副走査)する。そして、第一ミラー台15、第二ミラー台16によって、得られた原稿からの反射光又は投影光は、レンズ14によって、CCD5上に集光される。
【0024】
CCD5で電気信号に変換されたアナログの画像信号は、画像処理部8において、サンプルホールド、増幅、A/D変換等の処理が行われ、例えばRGB各8ビットのディジタル信号に変換され、マスキング処理、γ補正等の各種処理がなされ、プリンタ部PRに送信される画像信号となる。
【0025】
次に、プリンタ部PRの構成について説明する。
【0026】
プリンタ部PRにおける画像形成動作は、各種モータ等の負荷をドライブする回路を備えたプリンタ制御部7によって制御される。
【0027】
ここで、像担持体として、ドラム状の電子写真感光体である感光体ドラム1が備えられ、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって駆動される。この感光体ドラム1は、帯電ローラ21によりその周面が所定の極性・電位に帯電される。そして、その帯電面に、レーザ走査部22から出力される、上記イメージスキャナ部ISの画像処理部8から入力されたディジタル画像信号に対応してパルス幅変調されたレーザ光23による走査露光がなされることで、画像情報の静電像が形成される。レーザ走査部22からのレーザ光は、レーザ光反射ミラー24によって偏向され、感光体ドラム1に対して露光される。
【0028】
このように、回転する感光体ドラム1に対して目的のフルカラー画像の色分解像に各対応する静電像が形成されたら、現像手段により、その静電像のトナー現像が順次に実行され、各色の現像像(トナー像)が順次形成される。
【0029】
現像装置2は、本実施例では、保持体としての円筒形状の回転体2aの外周に沿って複数の現像器、本実施例では4つの現像器25、即ち、イエロー現像器25Y、マゼンタ現像器25M、シアン現像器25C、ブラック現像器25Kを搭載した回転切り替え式の回転現像装置とされる。
【0030】
従って、回転体2aが回転することによって、各現像器25(25Y、25M、25C、25K)は、順に感光体ドラム1と対向する位置に移動する。各現像器25内には、交換式のトナー容器25t、即ち、イエロートナー容器25Yt、マゼンタトナー容器25Mt、シアントナー容器25Ct、ブラックトナー容器25Ktが内蔵されている。
【0031】
又、各現像器25には、感光体ドラム1上の静電像にトナーを移動させて可視像化するための現像剤担持体である現像スリーブ25s、即ち、イエロー現像スリーブ25Ys、マゼンタ現像スリーブ25Ms、シアン現像スリーブ25Cs、ブラック現像スリーブ25Ksが備わっている。回転体2aの回転動作については、後に詳しく説明する。
【0032】
感光体ドラム1上に形成された各トナー像は、中間転写体としての中間転写ドラム26に対して順次重ね合わせ転写がなされ、中間転写ドラム26の表面に目的のフルカラー画像の鏡像に対応したフルカラートナー像が形成される。
【0033】
中間転写ドラム26は、感光体ドラム1に接触もしくは近接させて配置してあり、感光体ドラム1に対して順方向に、且つ、感光体ドラム1とほぼ同一周速度で回転駆動される。尚、本実施例では中間転写体としてドラムを想定しているがもちろんベルトでも問題ない。
【0034】
この中間転写ドラム26に対して、給紙カセット28、29から記録材としての転写材Sが給紙ローラ30、31により給紙されて、転写材Sに対して中間転写ドラム26側の鏡像フルカラートナー像が、転写ローラ32により転写されて転写材表面にフルカラートナー像が形成される。転写ローラ32は、転写材Sの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム26から転写材Sにトナー像を転写する。
【0035】
フルカラートナー像の転写を受けた転写材Sは中間転写ドラム26から分離されて定着器33へ導入され、トナー像の加熱定着を受け、排紙処理手段である排紙搬送ローラ36と切り替えフラッパ37で排紙トレイ35または38へ排紙される。
【0036】
なお、必要に応じて、排紙トレイ部にソート機構、ステイプル機構などを設け、排紙された記録紙に対して、ソート、ステイプルなどの各種排紙処理を施す構成とすることも可能である。
【0037】
転写材Sに対するトナー像転写後の中間転写ドラム26の表面は、クリーニング装置27によって清掃され、次回の画像形成に備える。
【0038】
以上説明した本実施例におけるデジタルカラー複写機の全体構成は、従来例に説明した図13(a)に示す構成と同様とされる。
【0039】
つまり、プリンタ部PRにて、現像手段としての4台の現像器25が、回転体2aに搭載されて、回転体2aが回転することによって、順次に現像ポイントPに移動し、現像動作を行う構成とされる。
【0040】
尚、保持体である回転体2aに搭載される現像器25の数については、図13(b)に示すような、3台の現像器を搭載したものでもよく、5台以上の現像器を搭載してもよく、2個以上であれば特に限定されない。
【0041】
回転体2aの端部には、各色の現像スリーブ25sが現像ポイントPに正確に移動できるようにポジションフラグ302(302Y、302M、302C、302K)が備えられ、ポジションセンサ301の検知面を各ポジションフラグ302が遮光した時に、各色の現像スリーブ25s(25Ys、25Ms、25Cs、25Ks)が現像ポイントPに来るようにフラグ302を配置してある。又、非画像形成中は感光体ドラム1表面の傷や汚れを防止する為にホームポジションフラグ302HPがポジションセンサ301を遮光する位置(ホームポジションとする)に移動させて、現像スリーブ25sが現像ポイントPからずれた位置に退避する。
【0042】
尚、回転体2aを駆動する駆動手段としては、本実施例ではステッピングモータ411(図2)が使用されているため、ポジションフラグ302が無くともホームポジションPから何パルス駆動したかさえ管理しておけば、現像ポイントPに現像スリーブ25sを正確に移動させることも可能である。
【0043】
こうした回転体2aを回転させる画像形成装置に関しては、複数分の現像器25の重量が大きくなるため、モータ回転音、回転体の振動による共振音等、相当な稼働音が発生するといった問題が生じた。特に、オプションとしてFAX機能が追加されているものでは、夜間にFAX受信した場合等に、騒音問題となるおそれがある。
【0044】
こうした、画像形成動作時における回転体2aの回転による騒音防止対策として、本発明では、こうした騒音が問題となる時間、例えば夜間等の特定の時間帯に動作させる場合は、この回転体の回転動作に関する画像形成シーケンスを切り替えることを特徴とする。そして、本実施例では、回転体2aの回転速度を、指定した時間帯において、減速するように切り換えるようにした。
【0045】
ここで、図2を用いて、この画像形成シーケンスを制御する、本実施例のデジタルカラー複写機のシステム構成について説明する。
【0046】
本実施例のデジタルカラー複写機のイメージスキャナ部ISに備えられている画像処理部8は、ホストコンピュータ401、402から指示される印刷ジョブ(画像形成動作)を発行するLANへ接続されている。
【0047】
画像処理部8には、CPU403、ROM404、RAM405の他、画像データを格納するHDD406とLANへ接続する為のLAN I/F407を含む。RAM405には、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられるほか、画像データを一時的に格納する記憶領域を含む。そして、画像処理部8は、FAXユニット408に接続され、イメージスキャナ部ISから読み込んだ原稿画像を符号化し圧縮して公衆回線(電話回線)を通して相手先FAXへ原稿画像を伝送したり、相手先FAXから送られてきた画像データを伸張,復号化して一旦HDD406へ蓄積した後、プリント動作を行うことができる。
【0048】
又、画像処理部8には、時計IC409が備えられ、初期動作やプリント動作、FAX着信の時間を監視し、回転現像装置2の回転体2aを回転駆動する駆動手段であるステッピングモータ411による速度制御をどのように行うかに利用される。そして、デジタルカラー複写機イメージスキャナ部ISに設けられた操作部412から、回転体2aの回転制御を行う時間帯を設定したり解除したりすることが可能である。
【0049】
例えば、低速動作をさせる時間帯を設定する場合、操作部412のタッチパネル式表示部は、図3に概略的に示す開始時間入力部501が設けられ、この部分をタッチし、開始時間を入力する。続いて終了時間入力部502をタッチし、終了時間を入力する。入力した時間帯を、設定ボタン503をタッチして設定し、設定を解除する場合は解除ボタン504をタッチする。そして、設定を確定する場合は、OKボタン505をタッチして設定が完了となる。尚、低速動作をさせる代わりに、通常動作がなされる時間帯を設定するような場合もある。
【0050】
そして、画像処理部8のI/Fは、プリンタ部PRのプリンタ制御部7に備えられたI/Fと連絡し、画像信号や、操作部412からの指示情報をプリンタ部PRに送信する。そして、プリンタ制御部7は、回転体2aの回転動作を実施するステッピングモータ411を駆動する。
【0051】
本実施例においては、ステッピングモータ411を2相励磁方式で駆動する。即ち、図2に示すように、CPU401にてA相、B相、A*相、B*相のパターンが生成され、ステッピングモータ411を駆動させるモータードライバ410へ出力される。図4(a)、(b)に、モータ411を2相励磁方式で駆動する場合の励磁パターンを示す。ステッピングモータ411はパターン1→2→3→4→5・・・の順に入力される相信号に応じて1ステップずつ回転を始める。Tの時間を徐々に短くしていくことで徐々に回転速度が速まっていく。
【0052】
本実施例では、図2に示すシステムにより、画像形成シーケンスを切り換え、このステッピングモータ411を制御し、騒音が問題となりやすい夜間において、回転体2aの回転速度を減速させ、且つ、移動したり停止したりするタイミングを長くする(以下、「低速動作」という。)構成とした。
【0053】
ここで、操作部412より、低速動作させる時間帯を指定する。ここでは、PM22:00から翌AM7:00に設定すると仮定する。その状態で、本体の電源スイッチがONされたとする。つまり、夜間に、FAXを受信する場合において、画像形成装置をスリープ状態から立ち上げて、画像形成を実施する場合である。
【0054】
まず、装置立ち上げから画像形成準備の際の、回転体2aの制御について、図6のフローチャートに従って説明する。図5の(A)、(B)、(C)、(D)は、このときの、4種類の、回転体2aの回転速度(a)とポジションセンサ301の出力(b)の関係を示す。
【0055】
図6にて、電源ON後(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0056】
そして、ステッピングモータ411によって、回転体2aを等速で回転させ、ホームポジション検出動作を行う(S5)。この時、回転体2aの回転中に従って、各色のポジションフラグ302Y、302M、302C、302Kが、ポジションセンサ301を等時間等間隔で遮光し、ポジションセンサ301の出力波形bは、図5の(A)に示すように、等間隔で同じ長さで上部にシフトするような波形となる。ホームポジションフラグ302HPは、他の色のポジションフラグ302より幅が狭い為、遮光している時間が他のものより短い。そのため、ここをホームポジションと判断し、直ちに減速し、停止させる。
【0057】
続いて、各色のトナー残量を調べる為に、イエロー現像器25Yを、現像ポイントPで移動させ(S6)、感光体ドラム1上に特定のパッチパターンを転写し、図示しないセンサでトナー濃度等を読み込む。
【0058】
続いて、マゼンタ、シアン、ブラックの順で現像器25を移動させ、同様のトナー残量検知を行う(S7〜S9)。
【0059】
このときは、回転体2aの動作としては、各色におけるパッチ形成動作時は停止し、パッチの色を切り替える時に回転して現像器を切り替える動作を行う。このときの回転体2aの停止時間、移動時間及び移動速度は同じである。
【0060】
従って、回転体2aの回転速度aとセンサ301の出力波形bは、図5の(C)のようになる。即ち、回転体2aは、一定時間間隔で、速度を上下させ、定期的に停止してパッチ形成が行われ、回転体2aが色の切り替え動作のための回転を停止する前にセンサ301は、定期的に各色のポジションフラグ302を遮光する。
【0061】
ここで、S2で時刻が低速動作時間帯ではない、PM20:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開し(S10)、S5へ移行する。
【0062】
この場合の回転速度は低速駆動時よりも当然早く、回転時間、停止時間共に短くなるので回転速度aとセンサの出力波形bは、ホームポジションになるまでは、図5の(B)のように、また、パッチ検知が実施されている時は、図5の(D)のようになる。即ち、低速動作時における波形より、時間間隔が狭くなり、回転体2aの回転速度aのチャートは、移動時は低速動作時より上部にシフトされる。
【0063】
装置を立ち上げたら、引き続いて画像形成動作が行われるが、次に、低速動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定した時の、スタンバイ状態においてFAX受信し、画像形成動作を実施する際の回転体2aの制御について、図8に示すフローチャートに従って説明する。又、図7の(A)、(B)は、このときの、回転体2aの回転速度(a)とポジションセンサ301の出力(b)の関係を示す。このときは、装置は立ち上がっており、既に回転体2aはホームポジションに移動しているため、ホームポジションに移動する動作は省略できる。
【0064】
スタンバイ中、FAXユニットにデータが送られたことを検出すると(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0065】
そして回転体ドラム20の回転速度(プロセススピード)はそのままで回転体2aの回転速度のみを低下させ、低速コピーモードに移行する(S5)。
【0066】
このとき、最初にイエローの現像が終了後、回転体2aを低速で回転させるが、感光体ドラム1は通常と同じ速度で回転する為、マゼンタの画像形成タイミングにマゼンタ現像器25Mの移動が間に合わない。そこで、中間転写ドラム26をもう1周ダミー回転させ、次の画像形成タイミングでマゼンタの画像形成を行う。このとき、中間転写ドラム26を通常よりも多く回転させるので、画像形成速度は減速されることになる。
【0067】
このときの回転体2aの回転速度(a)とセンサ301の出力波形(b)は、図7の(B)となる。即ち、画像形成時には、回転体2aは、中間転写ドラム26が2回転する時間以上の時間、各色毎に等時間停止し、回転する時は、現像器25切り換え時の回転速度も通常より減速させる。
【0068】
もし、S2で時刻がPM20:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開し(S6)、通常コピーモードに移行する(S7)。この場合の回転速度は低速駆動時よりも当然早いのでダミー回転は必要なく、回転速度とセンサ301の出力波形は図7の(A)となる。
【0069】
即ち、画像形成時には、回転体2aは、中間転写ドラム26が1回転する時間以上停止するが、時刻がAM0:00の時よりも短い時間停止し、現像器25切り換え時の回転速度は高速となる。
【0070】
以上説明したように、本実施例では、指定した所定の時間において、装置立ち上げ動作及び画像形成動作の際に、回転体2aの回転速度を減速することによって、その時間帯における回転体2aの稼動音を抑えることができ、騒音問題が緩和された。
【0071】
尚、減速動作を行う時間帯は自由に選択できることは言うまでもなく、以上に説明した画像形成動作の制御システムの構成や、画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。つまり、中間転写体を設けずに、感光体ドラムから転写材に直接画像を転写する直接転写方式や、静電記録方式の画像形成装置においても本発明は適用できる。
【0072】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同様であるので、同一機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0073】
本実施例では、実施例1の効果に加え、同時にステッピングモータ411に印加する電圧或いは巻線の電流値を切り替えることで、モータの振動が押さえられ、更なる低騒音化を実現することが出来る。
【0074】
図9に、本実施例におけるステッピングモータ411に関する回路ブロック図を示す。
【0075】
図9に示すように、本実施例の画像形成装置では、ステッピングモータ411に流れる電流値を検出する電流検知抵抗を切り替えるスイッチ手段121が備えられ、アナログスイッチ等を用い、CPU401からの制御線でモータードライバ410に接続する電流検知抵抗を切り替える。又、ステッピングモータ411に印加する電源電圧を切り替えるスイッチ手段122を有し、FETアレイ(不図示)等で複数の電源電圧(本実施例では、24V、12V、6V)をCPU401からの制御線を用いて切り替える。
【0076】
ここで、図10に示すフローチャートを用いて、低速動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定し、その状態で本体の電源スイッチをONした場合を説明する。
【0077】
電源ON後(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2、S3)、AM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開する(S4)。
【0078】
続いて電流値或いは電圧値を通常時よりも低くなるようスイッチ手段121又は122を切り替える(S5)。
【0079】
そして、ステッピングモータ411を回転させ、ホームポジション検出動作を行う(S6)。この後の動作は図6のS6〜S9と同じため、以降の説明は省略する。
【0080】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本構成及び動作は、実施例1のものと同様であるので、同一機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0081】
ところで、実施例1及び2に説明したような、所定時間に回転体2aの減速動作を行う以外に、所定時間内にプリント命令を受け付けた時に、画像データがフルカラーであっても強制的に白黒で出力するような画像シーケンスに切り替えることで所定の時間帯における騒音を抑えることも可能である。
【0082】
つまり、一つの現像器25のみで画像形成を行うならば、回転体2aは、その現像器25を現像位置に移動させて、そのまま停止していればよいので、回転動作を行う必要がなくなり、それに伴う稼動音を抑えることができる。尚、ここでは、所定時間において、画像形成動作を白黒画像形成動作とする画像シーケンスに切り替え(以下、「白黒限定動作」と称す。)、ブラック現像器25Kのみで現像動作を行う構成とするが、もちろん他の色の現像器25のみで現像動作を行う構成としてもよいのは言うまでもない。
【0083】
白黒限定動作させる時間帯をPM22:00から翌AM7:00に設定したと仮定し、この時の回転体2aの動作を図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0084】
スタンバイ状態においてプリント命令を受信すると(S1)、CPU403で時刻をチェックし(S2)、次に画像データがフルカラーか白黒かをデータ内に含まれる色情報を元に確認する(S3)。
【0085】
フルカラー画像であった場合はS4で白黒限定動作させる時間帯かどうかをチェックする。
【0086】
時刻がAM0:00であった場合、プリンタ制御部7内のCPU401へ通知し、RAM413に低速駆動用の加減速テーブルを展開して、ブラック現像器25Kを現像ポイントPまで低速で移動させ(S5)、白黒コピー動作を行う(S6)。
【0087】
この時の装置立ち上げ時における回転体2aの回転速度a及びポジションセンサ301の出力波形bを図11(a)に示す。この時も、等速で回転体2aが回転し、その間、各色のポジションフラグ302Y、302M、302C、302Kが、ポジションセンサ301を等時間等間隔で遮光する。尚、この時の回転体aの回転速度を通常よりも減速させると、更に好適である。
【0088】
その後、パッチ検知動作は行わず、白黒コピー動作を行うが、このときには、回転体2aの回転は停止し、ポジションフラグ302がポジションセンサ301を遮光することもなくなるので、この時のポジションセンサ301の出力波形bは、図11(b)に示すように、直線となる。
【0089】
S3で時刻がPM19:00であった場合は、RAM413に通常駆動用の加減速テーブルを展開して通常のカラーコピーを行う(S7)。
【0090】
このような動作を行うことで、ひとつの現像器が現像位置に固定された後に、回転体の回転動作が停止されるので、それによる稼動音もなくなる。よって騒音問題も緩和される。
【0091】
実施例4
実施例1、2及び3においては、現像器の保持体として、回転体を使用し、回転移動によって、現像器を現像位置に移動させる構成の画像形成装置について説明してきたが、現像器の保持体としては、回転体以外に、平面或いは湾曲状の平行移動体が用いられることもある。例えば、像担持体に対向して垂直方向或いは水平方向に移動自在とされた保持体に、垂直方向或いは水平方向に整列して複数の現像器を配置し、保持体を上下方向或いは水平方向に移動させ、各現像器を像担持体に離接する構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の制御システムの一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る所定の時間帯を指定する操作部の説明図である。
【図4】ステッピングモータを2相励磁方式で駆動する場合の励磁パターンを示す図である。
【図5】実施例1の所定時間帯における、初期設定動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図6】実施例1における、所定時間帯における初期設定時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1の所定時間帯における、画像形成動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図8】実施例1における、所定時間帯における画像形成時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図9】実施例2における、回転体の駆動手段を示すブロック図である。
【図10】実施例2における、所定時間帯における初期設定時回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図11】実施例3に所定時間帯における、初期設定動作時の回転体の回転速度とポジションセンサの出力の関係を示す図である。
【図12】実施例3における、所定時間帯における回転体制御動作を示すフローチャートである。
【図13】従来の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図14】従来の回転体の駆動制御動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
IS イメージスキャナ部
PR プリンタ部
1 感光体ドラム(像担持体)
2 現像装置(移動現像装置)
2a 回転体(保持体)
7 プリンタ制御部
8 画像処理部
25 現像器
301 ポジションセンサ
302 ポジションプラグ
401 プリンタ部CPU
403 画像処理部CPU
408 FAX
410 モータドライバ
411 ステッピングモータ(駆動手段)
412 装置操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像剤にて現像し現像像とする複数の現像器と、前記複数の現像器を搭載し、前記現像器を1つずつ、前記像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体と、前記像担持体上の現像像を記録材に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、
所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、前記保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の時間帯における前記画像形成シーケンスは、前記保持体の移動速度を下げるように切り換えることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持体の移動速度を下げる時は、前記保持体の駆動手段に印加される電流値又は電圧値を下げることを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の時間帯における前記画像シーケンスは、前記保持体がホームポジションへ移動する時と、画像形成装置の初期設定時と、画像形成時である時と、において切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の初期設定には、前記現像器に収容される現像剤濃度検知、前記現像機内での現像剤攪拌動作、前記現像器への現像剤補給動作が含まれることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
前記保持体の移動速度を下げる場合は、画像形成速度も下げることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の時間帯における前記画像形成シーケンスは、前記複数の現像器のうちの1つの現像器だけを使用して画像形成を行うように切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記保持体は回転体であり、前記複数の現像器が外周に沿って配置されて搭載されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記保持体は平面或いは湾曲状の平行移動体であり、前記複数の現像器が平行に配置されて搭載されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、前記画像が形成され画像形成装置から排紙された記録材に対する排紙処理機能、の少なくとも一つを有し、前記画像シーケンスは、時間帯設定に関して、任意に選択できる機能、優先順位を設定できる機能、設定解除機能の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
表面に静電像が形成される像担持体と、前記静電像を現像剤にて現像し現像像とする複数の現像器と、前記複数の現像器を搭載し、前記現像器を1つずつ、前記像担持体に対し現像動作を行う位置に移動させる可動式の保持体と、前記像担持体上の現像像を記録材に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、
所定の時間帯において画像形成動作を行う場合には、前記保持体の動作に関する画像形成シーケンスを切り替えて画像形成動作を実施することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の時間帯における前記画像形成シーケンスは、前記保持体の移動速度を下げるように切り換えることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持体の移動速度を下げる時は、前記保持体の駆動手段に印加される電流値又は電圧値を下げることを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の時間帯における前記画像シーケンスは、前記保持体がホームポジションへ移動する時と、画像形成装置の初期設定時と、画像形成時である時と、において切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の初期設定には、前記現像器に収容される現像剤濃度検知、前記現像機内での現像剤攪拌動作、前記現像器への現像剤補給動作が含まれることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
前記保持体の移動速度を下げる場合は、画像形成速度も下げることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の時間帯における前記画像形成シーケンスは、前記複数の現像器のうちの1つの現像器だけを使用して画像形成を行うように切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記保持体は回転体であり、前記複数の現像器が外周に沿って配置されて搭載されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記保持体は平面或いは湾曲状の平行移動体であり、前記複数の現像器が平行に配置されて搭載されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、前記画像が形成され画像形成装置から排紙された記録材に対する排紙処理機能、の少なくとも一つを有し、前記画像シーケンスは、時間帯設定に関して、任意に選択できる機能、優先順位を設定できる機能、設定解除機能の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−171036(P2006−171036A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359221(P2004−359221)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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