説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成でより確実に、二重チェックを可能とするトナー残量検知手段を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】受光光線18Aは、トナー補給装置13Yと13Mを、受光光線18Bは、トナー補給装置13Cと13Bを、受光光線18Cは、トナー補給装置13Mと13Cを、受光光線18Dは、トナー補給装置13Yと13Bを検知可能としている。従って、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでの検知パターンを判定することによって、どのトナー補給装置がニアエンド状態かを判定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数色のトナー像が形成される複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、特にトナー残量の終期を検知するトナー残量検知手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複数色のトナー像が形成される複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体の表面に形成された静電潜像に、トナーを供給してトナー像化する現像装置が使用されている。そして、この現像装置にトナーを補給するため、それぞれの色のトナーを収容するトナー補給装置が配設されている。そして、これらのトナー補給装置内のトナー残量が少なくなり、終期、即ち交換時期に近づいた状態(以下ニアエンド状態という)になったことを検知する方法の一つとして、透過型フォトセンサを用いてトナー残量を検知する方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載されているように、現像装置内のトナーの有無あるいは残量を低コストで正確に判断するため、発光手段とこの発光手段からの光線を受光する受光センサからなるトナー残量検知手段を使用することが提案させている。そして、発光手段と受光センサを、現像装置を介して対向配置し、現像装置内を透過させた透過光を受光センサで検知し、受光センサの出力で現像剤の有無あるいは残量を判断する現像剤量判断手段を設ける構成が提案されている。
【0003】
この従来提案されている方法においては、いずれも複数色の現像装置それぞれに対して1個ずつのトナー残量検出手段を設けている。そのため、画像形成装置を長期間使用している間に発光手段や受光センサの故障等が発生した場合には、バックアップ機能がなく、ニアエンド状態になってもこれを検知できないといった不具合が発生するおそれがある。この場合、トナーのニアエンド状態を正しく検知できないために、トナー補給装置からトナーが全く供給されずに現像装置内のトナーが枯渇する現象を引き起こし、出力した印字がかすれる等の異常画像を発生する。同時に、トナーを潤滑剤として摺動している部分に供給している場合に、トナーの枯渇によって摺動部分に異常な磨耗や変形などのダメージを与える原因となり、破損した現像装置の交換を要するなど、発生時の損失が大きい。
このような透過型フォトセンサによるトナー残量検出手段の動作不良によって、トナーエンドを検出できなくなった場合においても、信頼性の高いトナー残量検知を行うため、トナー残量検知センサと画素数のカウントによるトナー残量検知を併用する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−347494公報
【特許文献2】特開2005−134794公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2記載のものでは、光透過型のトナー残量検知センサと画素数のカウントによるトナー残量検知の二重チェックを行うものであるが、画素数を常時カウントしておく必要があり、構成が複雑となるだけでなく、画素の検知精度のばらつきによって誤検知等が発生しやすい。
本発明は、これらの不具合を解決し、簡単な構成でより確実に、二重チェックを可能とするトナー残量検知手段を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、表面に静電潜像が形成される複数の感光体と、当該複数の感光体表面に形成された静電潜像に異なる色のトナーを供給してそれぞれの色のトナー像化する複数の現像装置と、当該複数の現像装置にそれぞれの色のトナーを補給する複数のトナー補給装置と、当該複数のトナー補給装置内のトナー残量を検知するトナー残量検知手段とを備えた画像形成装置において、前記トナー残量検知手段は、発光手段と、当該発光手段から放射された光線を受光する受光手段からなる光検知手段を有し、当該光検知手段は、前記受光手段によって受光される各受光光線が前記トナー補給装置の2個をそれぞれ透過するように配設され、前記トナー補給装置内のトナーの残量が終期に近づいた時に、前記受光光線を遮光又は透過する被検知部を当該トナー補給装置内に備え、2個の光検知手段の発光手段から放射された2本の受光光線が1個のトナー補給装置の被検知部によって遮光又は透過されたことを検知して当該トナー補給装置内のトナー残量が終期に近づいたことを判定する判定手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記光検知手段の1個のみが前記1個のトナー補給装置の被検知部で遮光又は透過されたことを検知したときは、前記判定手段は、前記光検知手段に異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0006】
また、請求項3の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記1個のトナー補給装置の被検知部を第1及び第2の光検知手段で検知したときに、第1の光検知手段が前記トナー補給装置の被検知部を検知して検知出力を出力してから所定時間内に第2の光検知手段からの検知出力を検知しない場合に光検知手段に異常が生じたと前記判定手段は判定することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記所定時間は、画像形成装置の使用開始後の最初に第1の光検知手段によって1個のトナー補給装置の被検知部を検知したときに、第2の光検知手段による当該被検知部の検知と第1の光検知手段からの検知とのタイミングのずれを計測し、当該検知タイミングのずれに基づいて設定されることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記トナー補給装置の2個が前記光検知手段によって同時にトナーの残量が終期にあると判定された場合には、前記判定手段は、警告を表示すると共に、トナー消費量を減少させるモードで印字を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トナー残量検知手段は、発光手段と、当該発光手段から放射された光線を受光する受光手段からなる対をなす光検知手段を有し、当該光検知手段は、前記受光手段によって受光される各受光光線が前記トナー補給装置の2個をそれぞれ透過するように配設され、前記トナー補給装置内のトナーの残量が終期に近づいた時に、前記受光光線を遮光又は透過する被検知部を当該トナー補給装置内に備え、2個の光検知手段の発光手段から放射された2本の受光光線が1個のトナー補給装置の被検知部によって遮光又は透過されたことを検知して当該トナー補給装置内のトナー残量が終期に近づいたことを判定する判定手段を備えたことによって、簡単な構成でより確実に、二重チェックを可能とするトナー残量検知手段を備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の像担持体であるドラム状の感光体1Y、1M、1C、1Kが並行して配設されている。すなわち、この画像形成装置は、タンデム型のカラーレーザー複写機である。これらの感光体1Y、1M、1C、1Kで形成されたそれぞれの色のトナー像は、支持ローラ3A、3Bに張架され矢印A方向に移送される無端状の搬送ベルト2上に支持されて矢印A方向に搬送される転写紙等の転写材P上に重ね合わせて転写され、4色トナー像となる。
画像形成装置の底部付近には、給紙ローラ4が設けられている。この給紙ローラ4が回転すると給紙カセット5から転写材Pが送り出される。給紙カセット5から送り出された転写材Pは、レジストローラ6に搬送され、レジストローラ6で一旦停止され、感光体1Y、1M、1C、1Kからのトナー像の転写タイミングを図って搬送ベルト2に搬送される。
搬送ベルト2の移送と共に搬送される転写材Pは、感光体1Y、1M、1C、1Kと転写ローラ7との転写ニップで転写ローラ7から転写バイアスが印加されることで、感光体1Y、1M、1C、1Kからそれぞれの色のトナー像が積重して転写される。このようにして、4色のトナー像が積重して転写されたカラートナー像が転写された転写材Pは、定着装置9に搬送される。定着装置9では、加熱及び加圧されて、カラートナー像が転写材P上に定着される。そして、定着装置9で定着処理が施された転写材Pは、排紙ローラ8から排紙スタック部Hに排紙される。
【0009】
光書込ユニット10は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいてそれぞれの色の画像データに対応するレーザー光LY、LM、LC、LKを感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射する。すると、帯電装置11によって一様帯電された感光体1Y、1M、1C、1Kは、レーザー光LY、LM、LC、LKが照射された部分について表面電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y、1M、1C、1Kの表面にそれぞれの色画像に対応する静電潜像が形成される。このようにして形成された静電潜像は現像装置12Y、12M、12C、12Kによって現像されてそれぞれの色のトナー像が形成される。これらの現像装置12Y、12M、12C、12Kには、それぞれの現像装置12Y、12M、12C、12Kにそれぞれのトナーを補給するボトル状のトナー補給装置13Y、13M、13C、13Kが設けられている。
なお、感光体1Y、1M、1C、1Kに形成されたトナー像は、上述のように、転写材Pに転写される。転写後の感光体1Y、1M、1C、1Kの表面にはトナーが残っているため、クリーニング装置14によって感光体1Y、1M、1C、1Kの表面がクリーニングされる。そして、クリーニング装置14内に配設された潤滑剤塗布装置によって、感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に潤滑剤が塗布された後、図示しない除電器によって除電され、再度、帯電装置11によって一様帯電され、初期状態に戻る。
【0010】
このような画像装置において、トナー補給装置13Y、13M、13C、13K内に収容されている各色のトナーが枯渇して現像装置12Y、12M、12C、12Kにトナーを補給することができなくなると所望の色のトナー像がかすれたり、全く形成されず、異常画像が形成されてしまう。このような問題に対処するため、本発明においては、トナーのニアエンド状態を検知し、トナー補給装置の交換等を要求する警告を画像形成装置の図示しないパネル上に表示可能としている。このトナーの二アエンド状態を検知する方法について、図2及び図3に基づいて説明する。
トナー補給装置13Y、13M、13C、13Kは、収容されているトナーが相違するのみで基本構造は同一なので、トナー補給装置13Yを例に説明する。
図2は、トナーTがトナー補給装置内に満杯状態のトナー補給装置13Yの断面構造を示し、(A)は、トナー補給装置13Yの長手方向(前記搬送ベルト2の移送方向Aに対して直交方向)の断面図で、(B)は、図2(A)のA−A線上で切断した断面図である。
図3は、トナーTがトナー補給装置内でニアエンド状態のトナー補給装置13Yの断面構造を示し、(A)は、トナー補給装置13Yの長手方向(前記搬送ベルト2の移送方向Aに対して直交方向)の断面図で、(B)は、図3(A)のB−B線上で切断した断面図である。
【0011】
本発明による一実施形態に係る画像形成装置で使用されるトナー補給装置13Yは、図2(A)に示すように、トナーTを収容するトナー収容部15aとトナー残量検知レバー16の遮光板16cを収容する遮光板収容部15bとを有するボトル状の容器15を備えている。
トナー収容部15aの底部には、トナー収容部15a内に収容されている補給用トナーTを現像装置12Yに供給する供給口15cが設けられている。そして、この供給口15cには、図示しない開閉機構によって開閉される開閉蓋が取り付けられており、この開閉蓋の開閉によって、補給用トナーTが現像装置12Yに必要量だけ落下、供給されるようになっている。そして、トナー補給装置13Y内の図示しないパドルが回転することによりトナー補給装置13内のトナーTが15cを介して現像装置12Y内に補給される。
現像装置12Yは、図1に示すように、トナーを収容する容器であるトナー収容部12Yaを有しており、このトナー収容部12Yaには感光体1Y上にトナーを付与するための現像ローラ12Ybと、現像ローラ12Ybにトナーを供給するためのトナー供給ローラ12Tcと、トナー収容部71内のトナーを攪拌するための図示しないトナー攪拌部材とが設けられている。
【0012】
また、トナー収容部15aと遮光板収容部15bを区画する隔壁15dには、図2(A)に示すように、トナー残量検知レバー16が支点16aで上下方向に回動可能に取り付けられている。トナー残量検知レバー16の一方端には、トナーTの喫水面T0に載置されるアーム状のトナー残量検知子16bが取り付けられており、トナーTの喫水面T0の上下動に伴いトナー残量検知子16bも上下動し、トナー収容部15a内のトナー残量を検知可能となっている。
一方、トナー量検知レバー16の他端には、被検知部である遮光板16cが取り付けられており、トナー残量検知子16bの上下動と連動して、下降、上昇するようになっている。そして、図2(B)に示すように、遮光板16cが所定高さまで上昇したときに、被検知部収容部15bを透過する光検知手段17の受光光線18を遮光板16cが遮断してトナー収容部15a内のトナー残量が終期に近づいた(ニアエンド状態)ことを検知可能となっている。
【0013】
光検知手段17は、赤外線を放射する発行手段17aと、発光手段17aから放射された赤外線(受光光線)18を受光するフォトセンサ等の受光手段17bとから構成されている。
従って、図2(A)及び(B)で示すように、トナー収容部15a内のトナーT量が満杯の状態の場合には、トナー残量検知子16bが上昇しており、それに伴い、遮光板16cが下降して受光光線18を遮断しないため、受光手段17bが受光光線18を受光してハイレベルの検知出力を出力する。
他方、図3(A)で示すように、トナー収容部15a内のトナー残量がニアエンド状態になると、トナー残量検知子16bの下降と共に遮光板16cは上昇し、図3(B)で示すように、遮光板16cは、受光光線18を遮光し、受光手段17bの検知出力をローレベルに変化させる。
本実施形態に係るトナー残量検知手段においては、上記のように、トナーTが消費されニアエンド状態になるとトナー残量検知子16bの位置の移動に伴って遮光板16cの位置が変化し、赤外線からなる受光光線18を遮光してトナー残量がニアエンドに達したことを検知可能となっている。トナー残量の検知方法は、上記の構成に限らず、ニアエンド時以外に受光光線18が遮光され、ニアエンド時に受光光線18が透過する構成であっても良い。また、発光手段17aが発する受光光線18は赤外線に限らず、可視光等の他の光線であっても良い。
【0014】
このような、トナー残量検知手段を使用して、従来は、トナー補給装置1個に対して、1個のトナー検知手段によってトナー補給装置のトナー残量を検知するようにしている。
即ち、図4に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容したトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bに対してそれぞれのトナー残量を検知する光検知手段17A、17B、17C、17Dが使用されており、各光検知手段17A、17B、17C、17Dの発光手段17Aa、17Ba、17Ca、17Daから放射された受光光線18A、18B、18C、18Dがトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのそれぞれ1個を透過し、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでそれぞれのトナー補給装置13Y、13M、13C、13B内のトナー残量を検知するようになっている。
従って、発光手段17Aa、17Ba、17Ca、17Daや、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Db等が1個故障しただけで故障した光検知手段17A、17B、17C、17Dで検知されるトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのトナー残量を適切に検知することができなくなる。その結果、トナー残量がない状態で画像形成を行うことになり、異常画像が形成されてしまう問題があった。なお、図4中符号19は、受光光線18A、18B、18C、18Dを反射するミラーである。
本発明においては、このような問題を解決するために、発光手段17Aa、17Ba、17Ca、17Daから放射された受光光線18A、18B、18C、18Dがトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのそれぞれ2個を透過し、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのトナー残量を検知するようにしている。そのため、仮に、1組の発光手段と受光手段が故障したとしても故障の発見を即座に判定可能となり、その結果、画像形成処理を適切に中断させることが可能となっている。
【0015】
図5は、本発明による一実施形態に係るトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bに対して発光手段17Aa、17Ba、17Ca、17Daから放射された受光光線18A、18B、18C、18Dと受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの配置関係を模式的に示す上面図である。
図6は、図5の被検知部収容部のニアエンド位置にある遮光板と受光光線との配置関係を模式的に示す断面図である。図7は、本発明による一実施形態に係る判定装置のブロック図である。なお、図5中、符号19は、受光光線18A、18B、18Cを反射するミラーである。
図5、図6に示すように、本実施形態に係るトナー残量検知手段においては、1組の発光手段と受光手段で検知する受光光線1本で2個のトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bを検知可能となるように光検知手段17A、17B、17C、17Dが配設されている。即ち、受光光線18Aは、トナー補給装置13Yと13Mを、受光光線18Bは、トナー補給装置13Cと13Bを、受光光線18Cは、トナー補給装置13Mと13Cを、受光光線18Dは、トナー補給装置13Yと13Bを検知可能としている。従って、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでの検知パターンを判定することによって、どのトナー補給装置がニアエンド状態かを判定することが可能となる。
【0016】
表1は、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでの検知パターンとニアエンド状態となっているトナー補給装置の関係を示す表である。
[表1]



この表から明らかなように、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの検知パターン(●印)から、どのトナー補給装置がニアエンド状態になっているかを判定することが可能となる。
【0017】
そして、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの2個がトナー補給装置の1個を検知することによってトナー補給装置のニアエンド状態を判定するようにしているので、仮に、上記表1のNo12で示すように、1組の発光手段と受光手段(17Db)が故障して、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの1個のみでトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bを検知した場合には、光検知手段17A、17B、17C、17Dの故障を即座にしかも容易に判定することが可能となる。
このような判定結果に基づき、図7に示す判定装置によって、判定手段20から画像形成装置の図示しないパネルに「○○色の補給トナーがなくなっているので交換してください」、「光検知手段が故障していますので、修理を依頼してください」等のメッセージを表示し、使用者に喚起を促すことが可能となる。即ち、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbからの検知出力を判定手段20に入力し、これらの検知出力に基づいて判定手段20においてで上記表1で示すテーブルを用いて、どの色のトナー補給装置の交換が必要かを判定することが可能となる。
この判定結果に基づいて、前記パネル等の表示手段21で交換を必要とするトナー補給装置を表示して使用者の注意喚起を引き起こすことが可能となる。また、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの1個のみの検知出力が検出されない場合には、判定手段20で光検知手段17A、17B、17C、17Dのどれかが故障していると判断して表示手段21でその旨を表示して使用者の注意喚起を引き起こすことが可能となる。
なお、上記表示手段としては、画像形成装置のパネルでの文字表示に限らず、音声、ブザーでの警告やランプの点滅等によって使用者に注意喚起を引き起こすものであれば充分である。
【0018】
また、本実施形態においては、2個のトナー補給装置が同時にニアエンド状態になったことを検知することが可能であるが、このように、2個のトナー補給装置が同時にニアエンド状態になったときには、異常状態と判断して、その旨をパネルに表示すると共に、判定手段20からモード切換手段22を作動させ、トナー消費量を減少させるモードに自動的に切り替え、交換時期を遅延させることが可能である。
なお、本実施形態においては、3個以上のトナー補給装置が同時にニアエンド状態になったときには、どの色のトナー補給装置がニアエンドになっているかは正確に検知することはできないが、一般に各色のトナー消費量には差があり、3個以降が同時にニアエンド状態になる割合は非常に低く、また既に1個目、2個目のニアエンドを検知している状態であり、これらのトナー補給装置を交換することにより解消されるため、実使用においては大きな支障にはならない。
また、本実施形態においては、前述のように、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの1個のみが検知した場合には、故障と判断するようにしているが、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbの2個での検知において、第1の検知出力と第2の検知出力にタイミングのずれが発生し、1個の検知出力と間違って判定される場合がある。このような誤判定を防止するために、本実施形態においては、第1の検知出力を検知してから所定時間内に第2の検知出力が発生するか否かを判断して誤判定を防止するようにしている。このような誤判定を防止するための対策について、図8及び図9に基づいて説明する。
【0019】
図8は、第1及び第2の受光手段で検知される検知出力の波形図でトナー補給装置のニアエンド状態を正常に検知した状態を示す図である。
図9は、第1及び第2の受光手段で検知される検知出力の波形図で第2の受光手段が故障したことを示す図である。図8及び図9中符号1で示す波形は、第1の受光手段の波形図、符号2で示す波形は、第2の受光手段の波形図を示している。
図8に示すように、第1の受光手段、例えば17Abで遮光板16cによる受光光線18Aが遮光されると符号1で示すように、ハイレベルからローレベルに出力が変化して検知信号Xを検知してトナー補給装置13Yがニアエンド状態になっていることを検知する。この場合に、第2の受光手段17Dbにおいても符号2で示す検知出力波形において、ハイレベルからローレベルに出力が変化した検知出力Yが出力するが、検知信号XとYとの間にわずかなタイミングのずれZを発生する。
このタイミングのずれZを考慮しないとXの信号のみを検知したため、故障と判定される可能性がある。そのため、図8で示すように、Y信号を含む所定の時間幅Wの範囲内に、Y信号を検知するか否かによって、故障の有無を判定するようにしている。
従って、図9に示すように、Wの時間内にY信号を検知しないときには、第2の光検知手段17Dに故障が生じたものと判定している。従って、故障の判定をより確実に行うことが可能となる。
【0020】
このような所定時間幅Wの設定は、光検知手段17A、17B、17C、17Dを配設する際に、これらの光検手段の特性を調整して適宜行うことが可能である。しかし、画像形成装置の使用開始後、最初に第1の光検知手段によって1個のトナー補給装置のニアエンド状態を検知して、X信号を検出し、その後第2の光検知手段によって第2の検知信号Yを検出した際のタイミングのずれZを測定し、このタイミングのずれZに基づいて、所定時間幅Wを設定するようにすれば、容易かつ確実おこなうことが可能となるので好適である。
以上のように、本実施形態においては、受光光線18A、18B、18C、18Dがトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのそれぞれ2個を透過し、受光手段17Ab、17Bb、17Cb、17Dbでトナー補給装置13Y、13M、13C、13Bのトナー残量を検知するようにしているので、容易かつ確実に、簡単な構成で二重チェックを行いながらトナー残量の検知を行うことが可能となる。
なお、本実施形態においては、トナー補給装置13Y、13M、13C、13Bの配置順をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順にしているが、このような配置順は、これに限定されることなく、他の配置順であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】トナーTがトナー補給装置内に満杯状態のトナー補給装置13Yの断面構造を示し、(A)は、トナー補給装置13Yの長手方向(前記搬送ベルト2の移送方向Aに対して直交方向)の断面図で、(B)は、(A)のA−A線上で切断した断面図である。
【図3】トナーTがトナー補給装置内でニアエンド状態のトナー補給装置13Yの断面構造を示し、(A)は、トナー補給装置13Yの長手方向(前記搬送ベルト2の移送方向Aに対して直交方向)の断面図で、(B)は、(A)のB−B線上で切断した断面図である。
【図4】従来のトナー補給装置に対して発光手段から放射された受光光線と受光手段の配置関係を模式的に示す上面図である。
【図5】本発明による一実施形態に係るトナー補給装置に対して発光手段から放射された受光光線と受光手段の配置関係を模式的に示す上面図である。
【図6】図5の被検知部収容部のニアエンド位置にある遮光板と受光光線との配置関係を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明による一実施形態に係る判定装置のブロック図である。
【図8】第1及び第2の受光手段で検知される検知出力の波形図でトナー補給装置のニアエンド状態を正常に検知した状態を示す図である。
【図9】第1及び第2の受光手段で検知される検知出力の波形図で第2の受光手段が故障したことを示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1Y、1M、1C、1B 感光体、2 搬送ベルト、3A、3B 支持ローラ、5 給紙カセット、6 レジストローラ、7 転写ローラ、10 光書き込み装置、11 帯電装置、12Y、12M、12C、12B 現像装置、13Y、13M、13C、13B トナー補給装置、14 クリーニング装置、15 容器、15a トナー収容部、15b 遮光板収容部、15c 供給口、16 トナー残量検知レバー、16a 支点、16b トナー残量検知子、16c 遮光板、17A、17B、17C、17D 光検知手段、17Aa、17Ba、17Ca、17Da 発光手段、17Ab、17Bb、17Cb、17Db 受光手段、18A、18B、18C、18D 受光光線、20 判定手段、21 表示手段、22 モード切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される複数の感光体と、当該複数の感光体表面に形成された静電潜像に異なる色のトナーを供給してそれぞれの色のトナー像化する複数の現像装置と、当該複数の現像装置にそれぞれの色のトナーを補給する複数のトナー補給装置と、当該複数のトナー補給装置内のトナー残量を検知するトナー残量検知手段とを備えた画像形成装置において、
前記トナー残量検知手段は、発光手段と、当該発光手段から放射された光線を受光する受光手段からなる光検知手段を有し、当該光検知手段は、前記受光手段によって受光される各受光光線が前記トナー補給装置の2個をそれぞれ透過するように配設され、
前記トナー補給装置内のトナーの残量が終期に近づいた時に、前記受光光線を遮光又は透過する被検知部を当該トナー補給装置内に備え、2個の光検知手段の発光手段から放射された2本の受光光線が1個のトナー補給装置の被検知部によって遮光又は透過されたことを検知して当該トナー補給装置内のトナー残量が終期に近づいたことを判定する判定手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記光検知手段の1個のみが前記1個のトナー補給装置の被検知部で遮光又は透過されたことを検知したときは、前記判定手段は、前記光検知手段に異常が生じたと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記1個のトナー補給装置の被検知部を第1及び第2の光検知手段で検知したときに、第1の光検知手段が前記トナー補給装置の被検知部を検知して検知出力を出力してから所定時間内に第2の光検知手段からの検知出力を検知しない場合に光検知手段に異常が生じたと前記判定手段は判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記所定時間は、画像形成装置の使用開始後の最初に第1の光検知手段によって1個のトナー補給装置の被検知部を検知したときに、第2の光検知手段による当該被検知部の検知と第1の光検知手段からの検知とのタイミングのずれを計測し、当該検知タイミングのずれに基づいて設定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記トナー補給装置の2個が前記光検知手段によって同時にトナーの残量が終期にあると判定された場合には、前記判定手段は、警告を表示すると共に、トナー消費量を減少させるモードで印字を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54951(P2010−54951A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221607(P2008−221607)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】