説明

画像形成装置

【課題】本発明は、定着ヒータの両端にそれぞれリレーが接続された回路構成において、各リレーで発生した接点融着を個別に検出できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部110は、定着ヒータ601への通電を開始する前に第1のリレー501をONするように制御信号を出力し、ゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知されていない場合、第2のリレー502をONするように制御信号を出力する。第1のリレー501がONされたときにゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知された場合は、第2のリレーが故障していると判断する。定着ヒータ601への通電を終了する前に第1のリレー501をOFFするように制御信号を出力し、ゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知されていない場合、第2のリレー502をOFFするように制御信号を出力する。第1のリレー501がOFFされたときにゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知された場合は、第1のリレー501が故障していると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用して記録材に画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、記録材に形成担持された未定着トナーを加熱定着する定着装置への給電経路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、一般的に、記録用紙に形成されたトナー像を加熱して定着させる方式(熱定着方式)が採用され、中でも加熱源を内包する回転体に直接トナー像を接触させて定着させる方式が広く用いられている。加熱源としては、ハロゲンヒータ、セラミックヒータ、IHヒーティングなどが知られているが、いずれも数百Wという大電力を必要とする。
【0003】
また、近年の省エネ化の流れに対して、画像形成装置の待機電力の低減が重要な課題となっている。そのため、セラミックヒータを用いたオンデマンド定着技術によって定着温度の立ち上がりを高速化することで、待機電力をほとんど必要としない画像形成装置が提案されている。
【0004】
一方、こうした高速立ち上げの定着装置においては、加熱源である定着ヒータの温度上昇が急峻であるため、異常発生時は速やかに定着ヒータへの通電を遮断することが重要である。また、定着ヒータへの通電を確実に遮断するためには、定着ヒータの両端への電力供給を遮断する必要がある。
【0005】
定着ヒータに供給する電力を遮断するための手段として、メカリレーを使用することが一般的である。メカリレーは、接点を用いているため、ON/OFFを繰り返すと経年変化により接点が融着してしまう可能性がある。万が一、リレーの接点が融着してしまうと、OFFしたはずでも通電してしまうため、定着ヒータへの給電が停止せず、異常発熱するおそれがある。そこで、リレーの後段に入力電圧の有無を検知するゼロクロス検知回路を設け、リレーに対してOFFを指示しているにも関わらず、ゼロクロス信号が出力しているときにリレーの接点溶着が発生したと判断する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−296955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の手法では、リレーの後段にゼロクロス検知回路を配置することでリレーの接点融着を検知可能にしている。
【0008】
しかしながら、定着ヒータの両端にそれぞれリレーを配置した場合、両方のリレーが接点融着したときだけゼロクロス検知回路による検出が可能であり、どちらか一方のリレーの接点融着を検知することはできず、上述の手法が安全性の面で十分とは云えない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、定着ヒータの両端にそれぞれリレーが接続された回路構成において、各リレーで発生した接点融着を個別に検出できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、ヒータと、前記ヒータの両端にそれぞれ接続された第1のリレー及び第2のリレーと、前記第1のリレーから前記ヒータまで及び前記第2のリレーから前記ヒータまでの各経路上で前記ヒータへの入力電圧の有無を検知する電圧検知手段と、前記第1のリレー及び前記第2のリレーのそれぞれをON/OFFするための制御信号を出力するリレー制御手段とを備える画像形成装置において、前記リレー制御手段は、前記ヒータへの通電を開始する前に前記第1のリレーをONするように前記制御信号を出力し、前記電圧検知手段により入力電圧が検知されていない場合、前記第2のリレーをONするように前記制御信号を出力する第1の制御手段と、前記第1の制御手段により前記第1のリレーがONされたときに前記電圧検知手段により入力電圧が検知された場合は、前記第2のリレーが故障していると判断する第1の判断手段と、前記ヒータへの通電を終了する前に前記第1のリレーをOFFするように前記制御信号を出力し、前記電圧検知手段により入力電圧が検知されていない場合、前記第2のリレーをOFFするように前記制御信号を出力する第2の制御手段と、前記第2の制御手段により前記第1のリレーがOFFされたときに前記電圧検知手段により入力電圧が検知された場合は、前記第1のリレーが故障していると判断する第2の判断手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着ヒータの両端にそれぞれリレーが接続された回路構成において、各リレーで発生した接点融着を個別に検出することができる。また、接点融着検知を、一方はリレーON時、もう一方はリレーOFF時に実施することで二つのリレーの接点融着検知にかかる時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構造を示す断面図である。
【図2】図1のプリンタにおける制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2のヒータ給電回路の概略構成と接続関係を示す図である。
【図4A】第1及び第2のリレーの接点融着を検知するための処理の流れを示すフローチャートである(その1)。
【図4B】第1及び第2のリレーの接点融着を検知するための処理の流れを示すフローチャートである(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構造を示す断面図である。
【0015】
図1において、フルカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」とする)は、4つの画像形成部を備える。即ち、イエロー色の画像を形成するための画像形成部1Yと、マゼンタ色の画像を形成するための画像形成部1Mと、シアン色の画像を形成するための画像形成部1Cと、ブラック色の画像を形成するための画像形成部1Bkである。これら4つの画像形成部1Y,1M,1C,1Bkは一定の間隔をおいて一列に配置される。
【0016】
各画像形成部1Y〜1Bkには、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という)2a,2b,2c,2dが設置されている。各感光ドラム2a〜2dの周囲には、一次帯電器3a,3b,3c,3d、現像装置4a,4b,4c,4d、転写手段としての転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ装置6a,6b,6c,6dがそれぞれ配置されている。一次帯電器3a〜3dと現像装置4a〜4dとの間の下方には、露光装置7が設置されている。
【0017】
各現像装置4a〜4dには、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されている。
【0018】
各感光ドラム2a〜2dは、負帯電のOPC感光体でアルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(図1における時計回り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0019】
一次帯電手段としての一次帯電器3a〜3dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム2a〜2dの表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。
【0020】
現像装置4a〜4dは、トナーを内蔵し、それぞれ各感光ドラム2a〜2d上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0021】
一次転写手段としての転写ローラ5a〜5dは、各一次転写部32a〜32dにて中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2a〜2dに当接可能に配置されている。
【0022】
ドラムクリーナ装置6a〜6dは、感光ドラム2a〜2d上で一次転写時の残留した転写残トナーを、該感光ドラム2a〜2dから除去するためのクリーニングブレード等を有している。
【0023】
中間転写ベルト8は、各感光ドラム2a〜2dの上面側に配置され、二次転写対向ローラ10とテンションローラ11間に張架されている。二次転写対向ローラ10は、二次転写部34において、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。この中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等の誘電体樹脂によって構成されている。
【0024】
また、この中間転写ベルト8は、感光ドラム2a〜2dとの対向面側に形成された一次転写面(下部平面)8bを、二次転写ローラ12側を下方にして傾斜配置してある。すなわち、中間転写ベルト8は、感光ドラム2a〜2dの上面に移動可能に対向して配置され、該感光ドラム2a〜2dとの対向面側に形成された一次転写面8bを、二次転写部34側が下方となるように傾斜配置されている。具体的には、この傾斜角度は約15°に設定されている。
【0025】
また、中間転写ベルト8は、二次転写部34側に配置されて該中間転写ベルト8に駆動力を付与する二次転写対向ローラ10と、一次転写部32a〜32dを挟んで対向側に配置され中間転写ベルト8に張力を付与するテンションローラ11とで張架されている。
【0026】
二次転写対向ローラ10は、二次転写部34にて中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ12と当接可能に配置されている。また、無端状の中間転写ベルト8の外側で、テンションローラ11の近傍には、該中間転写ベルト8の表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置13が設置されている。また、二次転写部34よりも転写材(記録材)Pの搬送方向の下流側には、定着装置16が縦パス構成で設置されている。
【0027】
露光装置7は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザー発光部、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。露光装置7は、各感光ドラム2a〜2dに露光をすることによって、各一次帯電器3a〜3dで帯電された各感光ドラム2a〜2dの表面に画像情報に応じた各色の静電潜像を形成する。
【0028】
次に、図1のプリンタにおける片面画像形成動作について説明する。
【0029】
画像形成開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転駆動される各画像形成部1Y〜1Bkの各感光ドラム2a〜2dは、それぞれ一次帯電器3a〜3dによって一様に負極性に帯電される。そして、露光装置7は、外部から入力されるカラー色分解された画像信号をレーザー発光素子から照射し、ポリゴンレンズ、反射ミラー等を経由し各感光ドラム2a〜2d上に各色の静電潜像を形成する。
【0030】
次に、感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像装置4aにより、イエローのトナーを付着させてトナー像として可視像化する。このイエローのトナー像は、感光ドラム2aと転写ローラ5aとの間の一次転写部32aにて、一次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された転写ローラ5aにより、駆動されている中間転写ベルト8上に一次転写される。
【0031】
イエローのトナー像が転写された中間転写ベルト8は、画像形成部1M側に移動される。そして、画像形成部1Mにおいても、上記と同様にして、感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて、一次転写部32bにて転写される。このとき、各感光ドラム2a〜2d上に残留した転写残トナーは、ドラムクリーナ装置6a〜6dに設けられたクリーナブレード等により掻き落とされ、回収される。
【0032】
以下、同様にして、中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に画像形成部1C,1Bkの感光ドラム2c,2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を各一次転写部32a〜32dにて順次重ね合わせる。このようにして、フルカラーのトナー像を中間転写ベルト8上に形成する。
【0033】
次に、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12間の二次転写部34に移動される。このタイミングに合わせて、給紙カセット17又は手差しトレイ20から選択されて搬送パス18を通して給紙される転写材Pが、レジストローラ19により二次転写部34に搬送される。
【0034】
二次転写部34に搬送された転写材Pに、二次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された二次転写ローラ12により、フルカラーのトナー像が一括して二次転写される。
【0035】
フルカラーのトナー像が形成された転写材Pは、定着装置16に搬送され、フルカラーのトナー像が加熱及び加圧されて転写材Pの表面に熱定着された後に、排紙ローラ21によって本体上面の排紙トレイ22上に排出されて、一連の画像形成動作を終了する。なお、中間転写ベルト8上に残った二次転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置13によって除去されて回収される。
【0036】
次に、図1のプリンタにおける両面画像形成動作について説明する。
【0037】
定着装置16に搬送されるところまでは片面画像形成動作と同様であり、フルカラーのトナー像が加熱、加圧されて転写材Pの表面に熱定着される。その後に、排紙ローラ21によって本体上面の排紙トレイ22上に転写材Pの大部分を排出された状態で、排紙ローラ21の回転を停止する。その際、転写材Pの後端位置が反転可能位置42に到達しているように、停止している。
【0038】
つづいて、排紙ローラ21の回転停止により搬送が停止された転写材Pを両面ローラ40,41を備えた両面パスへと送り込むべく、排紙ローラ21を逆回転させる。排紙ローラ21を逆回転させることにより、反転可能位置42に位置していた転写材Pの後端側を先端側とし、両面ローラ40に到達させる。その後、両面ローラ40により転写材Pを両面ローラ41へと搬送し、両面ローラ40,41によりレジストローラ19に向かって転写材Pを順次搬送していく。その間、画像形成開始信号を出力させ、上述した片面画像形成時と同様の動作を行う。即ち、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12間の二次転写部34に移動されるタイミングに合わせてレジストローラ19により二次転写部34へと転写材Pを移動させる。
【0039】
二次転写部34にてトナー像先端と転写材Pの先端を一致させ、転写材Pにトナー像を転写させた後は、片面画像形成動作と同様に、定着装置16にて転写材P上の画像を定着させる。そして、転写材Pが再度排紙ローラ21によって搬送され、最終的に排紙トレイ22上に排出されて、一連の画像形成動作が終了する。
【0040】
図2は、図1のプリンタにおける制御部の概略構成を示すブロック図である。なお、図示例は、本発明に関わる部分と主要な機能部のみが記載されており、その他の構成要素や機能部については省略されている。
【0041】
図2において、制御部110は、プリンタ全体を制御する基本制御部であり、CPU171と、ROM174と、RAM175とを備える。ROM174は、制御プログラム等が記憶されているメモリである。RAM175は、CPU171が制御プログラムを実行する際のワークメモリとして利用するメモリである。CPU171は、ROM174及びRAM175にアドレスバス、データバスを介して接続されている。
【0042】
CPU171は、I/Oポート173を介して、モータやクラッチ等の各種負荷(不図示)、紙の位置を検知するためのセンサ類(不図示)、及び温度検知回路700に接続されている。I/Oポート173には、定着装置16と、定着装置内の定着ヒータ(不図示)へAC電源550の電力を供給するヒータ給電回路500が接続されており、CPU171がこれらの制御を行う。即ち、CPU171は、ROM174から読み出した制御プログラムを実行することで、I/Oポート173を介して順次入出力の制御を行い、定着装置16内の定着ヒータの温度制御を実行する。
【0043】
温度検知回路700は、I/Oポート173を介して、定着装置内の温度センサ(不図示)から出力される温度検出信号が入力される。また、温度検知回路700は、ヒータ給電回路500へ制御信号を出力する。
【0044】
CPU171は、画面表示を行う表示部(不図示)やキー入力部(不図示)を備える操作部172に接続されており、操作部172上の表示画面やキー入力を制御する。操作者は、キー入力部を操作することで、画像形成動作モードや表示の切り替えをCPU171に指示する。その結果、CPU171は、プリンタの状態やキー入力による動作モード設定の表示を行う。
【0045】
また、CPU171は、外部I/F処理部200と、画像メモリ部300と、画像形成部400に接続されている。なお、画像形成部400には、図1の画像形成部1Y〜1Bkが含まれる。
【0046】
外部I/F処理部200は、PCなどの外部機器から画像データや処理データなどを送受信する。画像メモリ部300は、画像を伸張処理や一時的に蓄積処理などをする画像形成部400は、上述した画像形成部1Y〜1Bkを備え、画像メモリ部300から転送されたライン画像データを露光装置7に露光させるべく処理を行う。
【0047】
図3は、図2のヒータ給電回路500の概略構成と接続関係を示す図である。
【0048】
定着装置16は、トナー像を加熱して定着させるための加熱源である定着ヒータ601と、定着ヒータ601の近傍に配置され、該定着ヒータ601の温度を検出するためのサーミスタなどの温度センサ602とを備える。なお、定着装置16は加圧ローラ等も備えるが、それらについては省略する。
【0049】
温度検出手段である温度センサ602は、制御部110と温度検知回路700に接続されている。温度センサ602から出力される温度検出信号604は、制御部110と温度検知回路700に入力される。定着ヒータ601は、その両端がヒータ給電回路500に接続されている。
【0050】
ヒータ給電回路500は、定着ヒータ601の両端へのAC電源550からの電力供給を供給/遮断するための第1のリレー501と第2のリレー502を備える。第1のリレー501は、その一端が定着ヒータ601の一端に接続し、他端がAC電源550に接続されている。第2のリレー502は、その一端が半導体SW510を介して定着ヒータ601の他の一端に接続し、他端がAC電源550に接続されている。第1のリレー501及び第2のリレー502は、リレー制御手段としての制御部110から出力される制御信号503,504により、それぞれON/OFF制御される。制御部110から出力される制御信号503,504は、上述した図2のI/Oポート173を介して、第1のAND回路702、第2のAND回路703にそれぞれ入力される。
【0051】
ゼロクロス検知回路505は、図示のように接続され、定着ヒータ601及びAC電源550に並列に接続されている。ゼロクロス検知回路505は、第1のリレー501及び第2のリレー502を介してAC電源550から電力が供給されると、交流波形のゼロクロスタイミングに応じたゼロクロス信号506(検知信号)を制御部110に出力する(電圧検知手段)。ゼロクロス検知回路505から出力されるゼロクロス信号506は、上述した図2のI/Oポート173を介して制御部110に入力される。
【0052】
半導体SW510は、定着ヒータ601へ電力を供給するための経路上に配置され、第1のリレー501及び第2のリレー502のON/OFFとは無関係に、定着ヒータ601へ給電をON/OFFすることができるトライアック(登録商標)等の半導体スイッチである。また、半導体SW510は、制御部110から出力される制御信号512に応じてON/OFF制御される。
【0053】
制御部110は、温度センサ602からの温度検出信号604に応じて制御信号512を出力し、半導体SW510をON/OFF制御することで定着ヒータ601の温調制御を行う。
【0054】
第1のAND回路702は、制御部110から出力される制御信号503と温度検知回路700から出力される制御信号701に基づいて論理積(AND)演算を行い、第1のリレー501に第1のAND信号704を出力する論理回路である。一方、第2のAND回路703は、制御部110から出力される制御信号504と温度検知回路700から出力される制御信号701に基づいて論理積(AND)演算を行い、第2のリレー502に第2のAND信号705を出力する論理回路である。そのため、制御部110及び温度検知回路700のいずれか一方及び両方から第1のリレー501、第2のリレー502をOFFする制御信号が出力されると、いずれのリレーもOFFされる仕組みとなっている。
【0055】
制御部110は、温度センサ602からの温度検出信号604をもとに定着ヒータ601の温調制御を行う。制御部110は、温度検出信号604から検出した温度が閾値Tmax1以上であると判定した場合、定着ヒータ601が適正な温度から上昇したと判断して、定着ヒータ601への給電を停止する。即ち、制御部110は、半導体SW510をOFFするための制御信号512を出力すると共に、第1のリレー501及び第2のリレー502をOFFするための制御信号503,504を出力する。
【0056】
一方、温度検知回路700は、ヒータ温度異常検出手段として機能し、温度センサ602からの温度検出信号604をもとに定着ヒータへの給電を停止させることができる。即ち、温度検知回路700は、温度検出信号604に示すヒータ温度が閾値Tmax2以上であると判定した場合、定着ヒータ601の異常発熱と判断して、定着ヒータ601への給電を停止するための制御信号701を出力する。
【0057】
第1のAND回路702及び第2のAND回路703をOFFするための制御信号701を出力することで、ONするための制御信号503,504が制御部110から入力されていても、第1及び第2のリレーをONするための信号が出力されなくなる。その結果、第1のリレー501及び第2のリレー502がOFFされ、定着ヒータ601への給電が停止する。
【0058】
上述した閾値Tmax1,Tmax2は、Tmax2>Tmax1の関係にある。これにより、制御部110内のCPU171に暴走等の何らかの異常が発生して温調制御ができなくなった場合でも、温度検知回路700により、定着ヒータ601への給電を停止することができる。その結果、定着ヒータ601や周囲の部品を保護すると共に、定着異常等を回避することができる。
【0059】
図4A及び図4Bは、第1及び第2のリレーの接点融着を検知するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図4Aにおいて、ステップS201では、制御部110は、定着ヒータ601への通電を開始するか否かを判断する。通電を開始する場合、通電を開始する前に、制御部110は、第1のAND回路702をONするための制御信号503を出力し、第1のAND回路702から出力される第1のAND信号704により第1のリレー501をONする(ステップS202)。その後、制御部110は所定時間(例えば、100ms)待機する(ステップS203)。これは、第1のリレー501がメカニカルなリレーであるため、接点接続の安定を待つためのものである。
【0061】
次に、ステップS204では、制御部110は、ゼロクロス検知回路505からのゼロクロス信号506を検知したか否かを判断する。ゼロクロス信号506を検知した場合(ステップS204でYES)、ステップS205へ移行する。
【0062】
ステップS205において、制御部110は、第2のリレー502をONするための制御信号504を出力していないにも関わらず、ゼロクロス信号506が検知されていることから、第2のリレー502に接点融着等の故障が発生して通電状態にあると判断する。ステップS205は第1の判断手段の一例である。そして、制御部110は、図1のプリンタの動作を停止し(ステップS217)、操作部172上の表示部にエラーメッセージを表示させ(ステップS218)、本処理を終了する。
【0063】
一方、ステップS204において、制御部110は、ゼロクロス信号506を検知していない場合(ステップS204でNO)、ステップS206へ進む。
【0064】
ステップS206では、制御部110は、第1のAND回路703をONするための制御信号504を出力し、第2のAND回路703から出力される第2のAND信号705により第2のリレー502をONする。ステップS206は第1の制御手段の一例である。第2のリレー502をONさせた後、制御部110は所定時間(例えば、100ms)待機する(ステップS207)。これはステップS203で説明した理由と同じである。
【0065】
次に、ステップS208では、制御部110は、ステップS204と同様に、ゼロクロス検知回路505からのゼロクロス信号506を検知したか否かを判断する。ゼロクロス信号506を検知していない場合(ステップS208でNO)、ステップS209へ移行する。
【0066】
ステップS209において、制御部110は、第1のリレー501及び第2のリレー502の両方をONしたにもかかわらず通電が行われていないことから、第1のリレー501及び第2のリレー502の導通不良等の故障が発生して通電状態にないと判断する。この故障は、第1のリレー501及び第2のリレー502のどちらか一方の導通不良であっても、両方の導通不良であっても検知可能である。ステップS209は第3の判断手段の一例である。導通不良等の故障が発生したと判断すると、制御部110は、ステップS217以降の処理を行って本処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS208において、制御部110は、ゼロクロス信号506を検知した場合、第1のリレー501及び第2のリレー502が正常に動作すると判断し、定着ヒータ601の通電を開始させ(ステップS210)、画像形成動作が可能となる。ステップS210では、制御部110は、半導体SW510をONするための制御信号512を出力することで定着ヒータ601への通電を開始する。
【0068】
図4Bにおいて、画像形成動作が終了すると、制御部110は、定着ヒータ601への通電を終了するか否かを判断する(ステップS211)。通電を終了する場合は、制御部110は、第1のAND回路702をOFFするための制御信号503を出力し、第1のAND回路702から出力される第1のAND信号704により第1のリレー501をOFFする(ステップS212)。その後、制御部110は、所定時間(例えば、100ms)待機(ステップS213)した後、ゼロクロス信号506を検知したか否かを判断する(ステップS214)。ゼロクロス信号506を検知した場合(ステップS214でYES)、ステップS215へ移行する。
【0069】
ステップS215では、制御部110は、第1のリレー501をONするための制御信号503を出力していないにも関わらず、ゼロクロス信号506が検知されていることから、第1のリレー501の接点融着等の故障が発生して通電状態にあると判断する。ステップS215は第2の判断手段の一例である。そして、制御部110は、ステップS217以降の処理を行って本処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS214において、制御部110は、ゼロクロス信号506を検知していない場合(ステップS214でNO)、ステップS216へ移行する。
【0071】
ステップS216では、制御部110は、第2のAND回路703をOFFするための制御信号504を出力し、第2のAND回路703から出力される第2のAND信号705により第2のリレー502をOFFする。ステップS216は第2の制御手段の一例である。なお、第1のリレー501と第2のリレー502の位置が反対であっても、上記処理が適用可能である。
【0072】
温度検知回路700は、ステップS210で通電が開始された後、温度センサ602からの温度検出信号604をもとに定着ヒータへの給電を停止させる。即ち、温度検知回路700が、温度センサ602で検出されたヒータ温度が閾値Tmax2以上であると判定した場合、定着ヒータ601の異常発熱と判断し、定着ヒータ601への給電を停止するための制御信号701を出力する。
【0073】
また、制御部110も、ステップS210で通電が開始された後、温度センサ602からの温度検出信号604をもとに定着ヒータ601への給電を停止させる。即ち、制御部110が、温度センサ602で検出されたヒータ温度が閾値Tmax1以上であると判定した場合、定着ヒータ601が適正な温度から上昇したと判断し、定着ヒータ601への給電を停止するための制御信号503,504を出力する。
【0074】
上記実施形態によれば、制御部110は、定着ヒータ601への通電を開始する前に第1のリレー501をONするように制御信号を出力し、ゼロクロス検知回路505で入力電圧が検知されてない場合、第2のリレー502をONするように制御信号を出力する。第1のリレー501がONされたときにゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知された場合は、第2のリレーが故障していると判断する。定着ヒータ601への通電を終了する前に第1のリレー501をOFFするように制御信号を出力し、ゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知されていない場合、第2のリレー502をOFFするように制御信号を出力する。第1のリレー501がOFFされたときにゼロクロス検知回路505により入力電圧が検知された場合は、第1のリレー501が故障していると判断する。これにより、定着ヒータの両端にそれぞれリレーが接続された回路構成において、各リレーで発生した接点融着を個別に検出できる。
【0075】
このように、二つのリレーの動作タイミングをずらすことで、それぞれのリレーの接点融着を確実に検知することが可能になる。その結果、リレーの接点融着の有無の検知を、一方はリレーON時、もう一方はリレーOFF時に実施することで二つのリレーの接点融着検知にかかる時間を低減させることが可能になる。
【0076】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0077】
1Y,1M,1C,1Bk 画像形成部
16 定着装置
110 制御部
171 CPU
500 ヒータ給電回路
505 ゼロクロス検知回路
601 定着ヒータ
602 温度センサ
700 温度検知回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、前記ヒータの両端にそれぞれ接続された第1のリレー及び第2のリレーと、前記第1のリレーから前記ヒータまで及び前記第2のリレーから前記ヒータまでの各経路上で前記ヒータへの入力電圧の有無を検知する電圧検知手段と、前記第1のリレー及び前記第2のリレーのそれぞれをON/OFFするための制御信号を出力するリレー制御手段とを備える画像形成装置において、
前記リレー制御手段は、
前記ヒータへの通電を開始する前に前記第1のリレーをONするように前記制御信号を出力し、前記電圧検知手段により入力電圧が検知されていない場合、前記第2のリレーをONするように前記制御信号を出力する第1の制御手段と、
前記第1の制御手段により前記第1のリレーがONされたときに前記電圧検知手段により入力電圧が検知された場合は、前記第2のリレーが故障していると判断する第1の判断手段と、
前記ヒータへの通電を終了する前に前記第1のリレーをOFFするように前記制御信号を出力し、前記電圧検知手段により入力電圧が検知されていない場合、前記第2のリレーをOFFするように前記制御信号を出力する第2の制御手段と、
前記第2の制御手段により前記第1のリレーがOFFされたときに前記電圧検知手段により入力電圧が検知された場合は、前記第1のリレーが故障していると判断する第2の判断手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リレー制御手段は、
前記第1の制御手段により前記第2のリレーがONするように前記制御信号が出力された後、前記電圧検知手段により入力電圧が検知されなかった場合は、前記第1及び前記第2のリレーがともに故障していると判断する第3の判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧検知手段はゼロクロス検知回路であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ヒータへ電力を供給するための経路上に配置され、前記リレー制御手段からの制御信号に応じてON/OFFするスイッチ手段と、
前記ヒータの温度を検出して温度検出信号を前記リレー制御手段に出力する温度検出手段とをさらに備え、
前記リレー制御手段は、前記温度検出信号に基づいて前記スイッチ手段を制御することで前記ヒータの温調制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記温度検出手段から出力される温度検出信号から前記ヒータの温度が所定の温度を超えているかを判断するヒータ温度異常検出手段をさらに備え、
前記ヒータ温度異常検出手段は、前記ヒータの温度が所定の温度を超えたと判断した場合、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをOFFするための制御信号を出力することを特徴とした請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ヒータ温度異常検出手段からの制御信号と前記リレー制御手段からの制御信号との論理積を演算する演算手段をさらに備え、
前記演算手段は、前記ヒータ温度異常検出手段または前記リレー制御手段のいずれか一方から前記第1のリレー及び前記第2のリレーをOFFするための制御信号を入力したときは、前記第1のリレー及び前記第2のリレーをOFFする信号を出力することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−237480(P2011−237480A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106404(P2010−106404)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】