説明

画像形成装置

【課題】原稿の読取の際、精度の良いゴミ付着の検出を行うことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための実施形態によれば、原稿を送り出して読み取りガラス面上を滑走させる自動原稿送り手段112と、ガラス面を介して原稿の搬送方向に対して直交する主走査方向のライン画像を読み取るとともに、原稿の搬送に応じて、原稿の搬送方向と平行する副走査方向の画像を読み取る読取手段111aと、画像読取により取得された原稿の画像データの濃度特徴に基づいてガラス面への異物付着を検知する検知手段11とを有する画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置を構成する画像読取装置として、自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)が搭載された画像読取装置が知られている。この画像読取装置は、原稿を読み取りガラス面上に送り出して滑走させ、そのガラス面の下に配置された画像読み取りセンサを用いて原稿を読み取る。このため、読み取りガラス面(スリットガラス面)に異物であるゴミ(紙粉、糊等)が付着することにより、読取画像の一部領域に副走査方向と平行に筋状画像が混入する現象が生じることがある。このような問題を回避するために、ゴミの付着を検出し、警告を発し、付着物の除去を促す技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−104587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、読み取られた原稿画像から筋状画像の有無を判断することでゴミ付着の検出が行われる。このため、例えば、原稿上に筋状の画像が実際に存在した場合、その画像をゴミと誤検知をしてしまう場合がある。従って、原稿上の画像によってその検出精度に影響が出るという欠点(問題点)がある。
【0005】
本願は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、原稿の読取の際、精度の良いゴミ付着の検出を行うことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための実施形態によれば、原稿を送り出して読み取りガラス面上を滑走させる自動原稿送り手段と、前記ガラス面を介して前記原稿の搬送方向に対して直交する主走査方向のライン画像を読み取るとともに、前記原稿の搬送に応じて、前記原稿の搬送方向と平行する副走査方向の画像を読み取る読取手段と、前記画像読取により取得された前記原稿の画像データの濃度特徴に基づいて前記ガラス面への異物付着を検知する検知手段とを有する、画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の画像形成装置における画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置における自動読取動作を説明するための図である。
【図4】本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の画像形成装置における読み込まれた画像データに生じた筋状領域の一例を示す図である。
【図6】本実施の形態の画像形成装置における濃度特徴検出処理を説明するための図である。
【図7】本実施の形態の画像形成装置における濃度特徴ヒストグラムを説明するための図である。
【図8】本実施の形態の画像形成装置において画像上に副走査方向に直線が描かれている場合の濃度特徴ヒストグラムを模式的に示す図である。
【図9】本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ検知処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ検知処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ判定処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ検知時の動作設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。
画像形成装置100には、プリント部130、用紙トレイ200、スキャン部110、オートフィード部112及びコントロールパネル140が設けられている。
【0009】
プリント部130は、画像情報を、例えばハードコピーもしくはプリントアウトと称される出力画像として出力する。用紙トレイ200は、画像出力に用いられる任意サイズの用紙である出力媒体をプリント部130に対して供給する。スキャン部110は、原稿から画像情報を画像データとして取り込む。オートフィード部112は、読み取りが終了した原稿を読み取り位置から排出位置に送り出し、次の原稿を読み取り位置に案内する。コントロールパネル140は、プリント部130における画像形成の開始や、スキャン部110による原稿の画像情報の読み取りの開始など画像形成装置100の動作を指示するための指示入力部である。このコントロールパネル140には、指示を入力し、操作者に対して情報を表示するための表示部141が設けられている。
【0010】
図2は、本実施の形態の画像形成装置における画像読取装置111の構成を示す断面図である。図2に示す画像読取装置111は、画像読取装置本体(画像読取部)111aとオートフィード部112により構成されている。
【0011】
画像読取装置本体111aは、光源211、リフレクタ212、第1ミラー213、第2ミラー214、第3ミラー215、第1キャリッジ216、第2キャリッジ217、集光レンズ218、CCDセンサ219、CCD基板220、制御基板221、原稿台ガラス222、および白基準板223などにより構成されている。
【0012】
光源211は、原稿Orgに照射する光を発光する。リフレクタ212は、光源211から発光される光を原稿Orgに対して均一に照射する。即ち、リフレクタ212は、原稿Orgの読取位置における配光特性を調整する。第1ミラー213は、原稿Orgからの反射光を受ける。第2ミラー214は、第1ミラー213からの反射光を受ける。第3ミラー215は、第2ミラー214からの反射光を受ける。集光レンズ218は、第3ミラー215からの反射光を集光する。
【0013】
CCDセンサ219は、CCD基板220に実装されている。CCDセンサ219は、集光レンズ218により結像された光エネルギを電荷に変換する光電変換を行う。これにより、CCDセンサ219は、集光レンズ218により結像された画像を電気信号に変換する。CCD基板220は、CCDセンサ219が光電変換した電気信号を制御基板221に出力する。
【0014】
原稿台ガラス222は、原稿Orgを載置する原稿載置台である。白基準板223は、白色の部材で構成される。白基準板223は、原稿の読取画像を補正(シェーディング補正)するための白基準となる。
【0015】
光源211、リフレクタ212及び第1ミラー213は、第1キャリッジ216に搭載される。第2ミラー214及び第3ミラー215は、第2キャリッジ217に搭載される。第1キャリッジ216は、図示しない駆動手段により左右方向に移動する。第2のキャリッジ217は、第1キャリッジ216と同じ方向に1/2の速度で従動する。これにより、第1キャリッジ216が移動しても、原稿面からCCDセンサ219の結像面へ導かれる光の光路長が変化しないようになっている。
【0016】
次に、オートフィード部112の構成について説明する。
オートフィード部112は、原稿トレイ231、ピックアップローラ232、レジストローラ対233、搬送ドラム234、搬送ローラ235、ジャンプ台236、原稿排紙部237などにより構成されている。
【0017】
原稿トレイ231は、読取対象の原稿Orgが積載されるトレイである。ピックアップローラ232は、原稿トレイ231に積載されている原稿Orgを1つずつピックアップし、レジストローラ対233へ供給する。レジストローラ対233は、ピックアップローラ232によりピックアップされた原稿Orgを搬送ドラム234の方へ搬送する。レジストローラ対233は、原稿Orgの傾きを補正し、かつ、原稿Orgの重送を防止しつつ、原稿Orgを搬送する。
【0018】
搬送ドラム234と搬送ローラ235とは、レジストローラ対233から搬送される原稿Orgを搬送する。また、搬送ドラム234は、読取位置Pにおいて、原稿Orgの読取面を原稿台ガラスの面に押さえつけて搬送する。ジャンプ台236は、搬送ドラム234と搬送ローラ235とにより搬送される原稿Orgを原稿排紙部237へ導く部材である。原稿排紙部237は、排紙する原稿Orgを積載する。
【0019】
図3は、本実施の形態の画像形成装置における自動読取動作を説明するための図である。
【0020】
第1キャリッジ216は、光源11を点灯状態としたまま、原稿の読取位置P1に移動する。図3に示す読取位置P1は、オートフィード部112により搬送される原稿に対する読取位置を示している。
【0021】
原稿の搬送開始が指示されると、オートフィード部112では、原稿トレイ231上の原稿Orgの搬送を開始する。原稿トレイ231上の原稿Orgは、ピックアップローラ232により1枚ずつピックアップされ、レジストローラ対233へ搬送される。レジストローラ対233の手前には、レジストローラ対233の手前に原稿が到達したことを検知するセンサ(図示しない)が設置されている。
【0022】
このセンサによりレジストローラ対233の手前に到達したことが検知された原稿Orgは、所定のタイミングでレジストローラ対233により後段へ搬送される。レジストローラ対233の後段において、原稿Orgは搬送ドラム234及び搬送ローラ235により搬送され、原稿の読取位置P1を通過する。原稿読取位置P1を通過した原稿Orgは、ジャンプ台236により上記原稿排紙部237へ誘導される。
【0023】
原稿の読取位置P1では、原稿台ガラス222を通して、光源211からの光が原稿に照射され、その反射光が第1ミラー213へ入射する。第1ミラー213に入射した光(原稿からの反射光)は、第2ミラー、第3ミラー、集光レンズ等の光学系を介してCCDセンサ219へ入射される。すなわち、オートフィード部112によって搬送される原稿Orgは、原稿読取位置P1において、順次、主走査方向の画像が読み取られる。
【0024】
図4は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100の制御系は、画像読取制御部1、画像形成制御部2、コントロールパネル制御部3、及びシステム制御部4を備えている。そして、システム制御部4には、基本制御部4aと拡張制御部4bとが設けられている。なお、これらの各部はシステムバスを介して接続されている。
【0025】
画像読取制御部1は、オートフィード部112を介して原稿画像を読取り、画像データを生成する動作を制御する。画像形成制御部2は、画像データを媒体上に形成(プリント)する動作を制御する。コントロールパネル制御部3は、コントロールパネル140との間での入出力情報の授受動作を制御する。システム制御部4は、読み取った画像データに画像処理を施すとともに、画像形成装置100を統括して制御する。
【0026】
基本制御部4aは、画像形成装置100において必須となる機能(基本機能)の動作を制御する。拡張制御部4bは、画像形成装置100において付加される機能(拡張機能)の動作を制御する。従って、システム制御部4は、基本制御部4aのみで構成することも可能である。
【0027】
続いて、画像形成装置100の本実施の形態に関連する動作について説明する。
【0028】
(1)画像読取制御部1の動作
オートフィード部112を介してガラス面上を滑走する原稿の主走査方向の1ラインの画像は、CCD219によって光電変換される。光電変換されたアナログ信号は、AD変換器26によってデジタル信号に変換され、SHD27によってシェーディング補正が施される。そして、ラインメモリ28を介してシステム制御部4に送信される。なお、画像読取制御部1での動作は、スキャナCPU13によって統括して制御される。
【0029】
(2)システム制御部4の動作
画像読取制御部1から送信されたデジタル信号は、データ切換/バッファメモリ43に蓄積される。そして、画像処理装置44において階調変換、ライン間補正などの画像処理が施される。これらの動作は、基本制御部4aのみの動作ではなく、拡張制御部4bの各メモリとの間で、データの授受を繰り返して実行される。画像処理が終了したデータは、ページメモリ46に格納され、その後、画像形成制御部2に送られる。なお、システム制御部4の動作は、主CPU11によって統括して制御される。
【0030】
(3)画像形成制御部2の動作
画像形成制御部2では、レーザ変換回路36が画像データをレーザ信号に変換する。レーザドライブ回路37はレーザ信号に基づいて半導体レーザ5aを駆動して感光体に画像の潜像を形成する。そして、LCF35を介して供給された媒体と感光体とを接触ささせてトナー画像を転写する。なお、画像形成制御部2の動作は、プリンタCPU14によって統括して制御される。
【0031】
図5は、本実施の形態の画像形成装置における読み込まれた画像データに生じた筋状領域の一例を示す図である。
【0032】
図5に示すように、オートフィード部112を介して読み込まれた画像データは、下地画像121、原稿複写画像122、筋状領域123を含む。例えば、この筋状領域123は、上述のようにスリットガラスにゴミ(紙粉、糊等)が付着したときに発生し、副走査方向と平行な筋状領域としてコピー、スキャナ画像に現れる。コピー、スキャン機能の使用時にこの筋状領域が発生すると、画像不良となる。
【0033】
ここで、主走査方向と副走査方向の定義について補足する。主走査方向は、オートフィード部112による原稿の搬送方向に対して直交する方向であり、副走査方向は、オートフィード部112による原稿の搬送方向に対して平行する方向である。CCDセンサ219は、主走査方向の1ライン分の画像を読み取るように構成されており、原稿の搬送に応じて、順に副走査方向の画像を読み取ることになる。
【0034】
続いて、ゴミの付着を検出する方法について説明する。
【0035】
上述のように本実施の形態において検出の対象となるゴミは、スリットガラス面に付着した紙粉、糊などである。これらは、原稿の表面とは反射率において相違する。従って、CCDセンサ219の測定値(濃度値)を所定の閾値と比較することでゴミの可能性のある信号を抽出することが可能である。
従って、本実施の形態では、CCDセンサ219の出力に対して濃度特徴検出処理を実施し、その結果を濃度特徴ヒストグラムに表して評価することでゴミ付着位置を検出する。
【0036】
図6は、本実施の形態の画像形成装置における濃度特徴検出処理を説明するための図である。この濃度特徴検出処理は、主CPU11の制御の下で画像処理装置44が実行する。
【0037】
画像処理装置44は、画像データに含まれた主走査方向の1ラインについて画素毎に所定濃度閾値と比較し、以下の条件式(1)を満たす場合には、濃度特徴量を1と判定し、また以下の条件式(2)を満たす場合には、濃度特徴量を0と判定する。
注目画素値 > 第一の所定濃度閾値 …条件式(1)
注目画素値 ≦ 第一の所定濃度閾値 …条件式(2)
ここで、第一の所定濃度閾値は階調値で128(黒=255、白=0)以上とすることが望ましい。128よりも小さい階調値では、人の眼では妨害感が少なく、たとえそのようなゴミが存在していたとしても影響が小さいからである。なお、この第一の所定濃度閾値は、画像形成装置100に使用される画像読取装置111によって適正な値が異なる。また、画像形成装置100に使用される紙質によっても適正な値が異なる。従って、画像形成装置100ごとに値を可変とすることが望ましい。この値は画像形成装置100の出荷時に設定されても良く、また、サービスマンが適宜、画像形成装置100に適正な値を設定するようにしても良い。
【0038】
図7は、本実施の形態の画像形成装置における濃度特徴ヒストグラムを説明するための図である。横軸は主走査方向の座標値(画素位置)を表し、縦軸は画素位置ごとの濃度特徴量の累積値である。
【0039】
画像処理装置44は、上述の濃度特徴量の判定処理を副走査方向の全てのラインについて繰返し実行し、図7に示す、主走査座標毎の濃度特徴ヒストグラムを生成する。この濃度特徴ヒストグラムに基づいて、画像処理装置44は、隣接画素との頻度差が第二の所定閾値よりも大きな主走査座標があるか否かを、以下の条件式(3)、(4)に従って判別し、副走査方向と平行な筋状領域の存在有無を検知する。
隣接画素との頻度差>第二の所定閾値の場合、筋状領域である…条件式(3)
隣接画素との頻度差≦第二の所定閾値の場合、筋状領域でない…条件式(4)
この条件式では、隣接画素との頻度差が大きい場合に筋状領域であると判断する。筋状領域を形成する場合には、ゴミが存在する場合のほか、画像上に副走査方向に直線が描かれている場合も含まれる。従って、濃度特徴ヒストグラムから、この2つの場合を識別する必要がある。
【0040】
図8は、本実施の形態の画像形成装置において画像上に副走査方向に直線が描かれている場合の濃度特徴ヒストグラムを模式的に示す図である。
【0041】
オートフィード部112によって原稿を搬送した場合、メカニカルな搬送機構を用いるため必然的にスキューが発生する。従って、画像上に描かれた直線の位置は画素単位で見れば、スキューによる幅をもっている。この結果、濃度特徴ヒストグラムに表される頻度は、スキューする幅に分散され、上記ゴミ等の存在による頻度と比較すると相対的に低く表される。
【0042】
即ち、ゴミが存在する場合は、スキューによる影響を受けず、検知される位置は画素単位でみても狭い範囲にある。従って、濃度特徴ヒストグラムに表される頻度は、相対的に高く表される。
【0043】
ここで、A3サイズ(420mm×297mm)の用紙に600dpiの解像度で画像が得られたとする。スキューが生じていない場合は1つの画素の濃度特徴量が1となるため、当該画素位置での副走査方向(420mm)の頻度の最大値は約10000となる。一方、スキューが生じてそのスキュー量が、例えば0.2mmの場合は、約5画素にわたって濃度特徴量が1となり、副走査方向(420mm)の頻度の最大値は1/5(約2000)となる。
【0044】
また、スキューが生じている場合は、上述の考察と図8とからわかるように端部の形状はなだらかに変化する。これに対して図7では端部は急峻な形状となっている。本実施の形態では、図7で示される形状と図8で示される形状とを判別する条件として、条件式(3)で示されるように、隣接画素との頻度差(の絶対値)が、第二の所定閾値よりも大きい場合は、ゴミが存在していると判断する。
【0045】
なお、筋状領域の幅については、筋状領域判定結果の主走査方向の連続性から求めることができる。具体的には、筋状領域であると判断された画素が主走査方向に連続する範囲を筋状領域の幅とすることで判別する。
【0046】
次に、このようにして求めたゴミ位置が誤検出となることを防止する方法について説明する。
【0047】
(1)過検出を防止する、即ち、ゴミが無いにもかかわらずゴミがあるとして検出することを防止するため、本願では、複数の原稿画像がある場合、連続する原稿画像の同じ座標位置にゴミを検知したときにゴミがあると判定する。
【0048】
(2)ゴミの見逃しを防止する、即ち、ゴミがあるにもかかわらずゴミが無いとして判定することを防止するため、本願では、連続していなくとも複数の原稿画像にゴミを検知したときにゴミがあると判定する。
【0049】
図9、図10は、本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ検知処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、システム制御部4の主CPU11が各部を統括して制御することで実行される。
【0050】
図9のアクト01においてユーザは原稿をADF(オートフィード部112)に載置し、アクト02においてコントロールパネル140のスキャンスタートボタンを押下する。CPU11は、ADFを動作させて画像読取装置111により原稿の読み取りを実行する。そして、CPU11は、読み取った原稿の画像データをページメモリ46に格納する。
【0051】
アクト03において、CPU11は、処理用パラメータであるゴミ検知フラグNをリセット(初期化)する。アクト04において、CPU11は、処理用パラメータであるゴミ検知位置X1、X2をリセット(初期化)する。
【0052】
アクト05において、CPU11は、ページメモリ46から読み取った原稿の画像データを抽出する。アクト06において、CPU11は、読み取った1枚の画像データに基づいてゴミ判定処理を実行する。
【0053】
図11は、本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ判定処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
図11のアクト51において、CPU11は、図6に示す濃度特徴量算出処理を実行する。この処理により画素ごとに濃度特徴量(0または1)が算出される。アクト52において、CPU11は、図7に示すように主走査方向の座標位置ごとに濃度特徴量を累積して頻度を求める。アクト53において、CPU11は、主走査方向の座標位置ごとに隣接座標位置との頻度差(=当該画素位置の頻度−隣接する画素位置の頻度)を求める。頻度差が所定の閾値以上であるときは当該座標位置をゴミ検知位置として抽出する。アクト54において、求めたゴミ検知位置からゴミの幅を算出する。そして、メインのゴミ検知処理にリターンする。
【0055】
図9のアクト07において、ゴミ判定処理でゴミが検出されたか否かを調べる。ゴミが検出されなかった場合(アクト07でNO)、アクト08で次の原稿がページメモリ46にあるかどうかを調べる。
次の原稿がページメモリ46にある場合(アクト08でYES)、アクト04に戻って処理を繰り返して実行する。次の原稿がページメモリ46になかった場合(アクト08でNO)、これまでの検知結果をまとめるための処理(図10のアクト20)を実行する。この処理については後述する。
【0056】
ゴミが検出された場合(アクト07でYES)、アクト09において、主走査方向のゴミ検知位置とゴミ幅とを配列X1に記憶する。ここで、ゴミ検知位置が複数個所ある場合は、複数のデータをX1に記憶する。なお、検知した全ての位置を記憶する必要は無く、記憶する個数は予め定められていても良い。アクト10において、ゴミ検知フラグNを1カウントアップする。即ち、ゴミ検知フラグNは、ゴミが存在する原稿の枚数を表すパラメータである。
【0057】
アクト11において、次の原稿がページメモリ46にあるかどうかを調べる。次の原稿がページメモリ46になかった場合(アクト11でNO)、これまでの検知結果をまとめるための処理(図10のアクト20)を実行する。
【0058】
図10のアクト20において、ゴミ検知フラグNが枚数mよりも大きいかどうかを調べる。ゴミ検知フラグNが枚数mよりも大きい場合(アクト20でYES)、原稿のうちm枚よりも多い原稿でゴミの存在が検知されたことを示している。アクト21において、主CPU11は、レベル1のゴミ付着の警告をコンソールパネル140に表示する。そして、ゴミ検知処理を終了する。
ゴミ検知フラグNが枚数m以下の場合(アクト20でNO)、ゴミの存在が検知された原稿の枚数がm枚以下であることを示している。そこで、ゴミが存在しないとして、何もせずにゴミ検知処理を終了する。
【0059】
図9のアクト11において、次の原稿がページメモリ46にあるかどうかを調べる。次の原稿がページメモリ46にあった場合(アクト11でYES)、図10のアクト25において、CPU11は、ページメモリ46から読み取った原稿の画像データを抽出する。アクト26において、CPU11は、読み取った1枚の画像データに基づいてゴミ判定処理を実行する。ゴミ判定処理は図11を参照してすでに説明しているため重複した説明は省略する。
【0060】
アクト27において、ゴミ判定処理でゴミが検出されたか否かを調べる。ゴミが検出されなかった場合(アクト27でNO)、アクト32で次の原稿がページメモリ46にあるかどうかを調べる。
次の原稿がページメモリ46にある場合(アクト32でYES)、アクト04に戻って処理を繰り返して実行する。即ち、連続してゴミが検出されなかったため、ゴミ検知位置をリセットして、次の原稿から連続したゴミの存在を検知する処理を実行する。但し、ゴミが検知されたことを示すゴミ検知フラグNは、これまでの値を保持する。
【0061】
次の原稿がページメモリ46になかった場合(アクト32でNO)、これまでの検知結果をまとめるための処理を実行する。即ち、アクト33において、ゴミ検知フラグNが枚数mよりも大きいかどうかを調べる。ゴミ検知フラグNが枚数mよりも大きい場合(アクト34でYES)、原稿のうちm枚よりも多い原稿でゴミの存在が検知されたことを示している。アクト34において、主CPU11は、レベル1のゴミ付着の警告をコンソールパネル140に表示する。そして、ゴミ検知処理を終了する。
ゴミ検知フラグNが枚数m以下の場合(アクト33でNO)、ゴミの存在が検知された原稿の枚数がm枚以下であることを示している。そこで、ゴミが存在しないとして、何もせずにゴミ検知処理を終了する。
【0062】
ゴミが検知された場合(アクト27でYES)、アクト28において、主走査方向のゴミ検知位置とゴミ幅とを配列X2に記憶する。ここで、ゴミ検知位置が複数個所ある場合は、複数のデータをX2に記憶する。なお、検知した全ての位置を記憶する必要は無く、記憶する個数は予め定められていても良い。アクト29において、ゴミ検知フラグNを1カウントアップする。
【0063】
アクト30において、CPU11は、連続した原稿の同じ座標位置でキズが検知されたかどうかを調べる。これは、配列X1とX2とに同じ位置があるか否かで判断される。同じ座標位置でキズが生じていない場合(アクト30でNO)、アクト32で次の原稿がページメモリ46にあるかどうかを調べる。この後の処理は既に説明したため重複した説明は省略する。
【0064】
同じ座標位置でキズが生じている場合(アクト30でYES)、同じ位置に連続してキズが検知されたため、アクト31において、CPU11は、レベル2のゴミ付着警告をコンソールパネル140に表示する。そして、ゴミ検知処理を終了する。即ち、連続して同じ位置にキズが存在していると判断された場合は、キズが存在するとの確率が高いため、更なるキズ検知処理は実行しない。
【0065】
なお、レベル1のゴミ付着警告は、連続しないが複数の原稿画像データでゴミを検知した場合であり、レベル2のゴミ付着警告は、連続する原稿画像データでゴミを検知した場合である。レベル2はレベル1よりもゴミ付着の可能性が高いため、レベル1は注意レベルの表示とし、レベル2は危険レベルの表示としても良い、また、警告の内容として、ゴミの位置、ゴミの大きさなどの情報を表示しても良い。
【0066】
また、ゴミを検知した場合、それ以降の動作を予め設定することが可能である。
図12は、本実施の形態の画像形成装置におけるゴミ検知時の動作設定画面を示す図である。動作設定画面250はコントロールパネル140に表示され、ユーザはこの動作設定画面250からゴミを検知した場合の画像形成装置の動作を指定することができる。
【0067】
動作設定画面250には、動作内容表示欄250a、動作可否入力欄250b、キャンセルボタン250c、及びOKボタン250dが設けられている。
【0068】
ユーザが、動作内容表示欄250aの「警報表示処理」に対応したYESボタンを操作すると、ゴミ検知時にコントロールパネル140にゴミ付着メッセージが表示される。NOボタンを操作するとゴミ付着メッセージは表示されない。
【0069】
ユーザが、動作内容表示欄250aの「ゴミ除去処理」に対応したYESボタンを操作すると、ゴミ検知時において、検知した位置のゴミ画像(筋状領域)を除去する処理が続いて自動で実行される。このゴミ画像を除去する方法は当該位置の画素のデータを周囲の画素のデータに基づいて置き換えるなどの処理を用いることができる。NOボタンを操作するとゴミ画像の除去処理は行なわれない。また、このYESの処理はレベル1のゴミ検知では動作せずに、レベル2のゴミ検知がなされたときに実行する。
【0070】
ユーザが、動作内容表示欄250aの「画像形成処理」に対応したYESボタンを操作すると、ゴミ検知時において、画像形成処理が実行される。NOボタンを操作すると画像形成処理は行われない。また、このNOの処理はレベル1のゴミ検知では動作せずに、レベル2のゴミ検知がなされたときに実行する。
【0071】
なお、上述の実施の形態では、読み取りガラス上に付着したゴミの検知について説明したが、白基準板に付着したゴミによるシェーディング補正で生じた異常の検知についても同様に適用することができる。
【0072】
以上、説明した実施の形態によれば、複数枚の原稿画像についてゴミ検出を行い、ゴミ検出が連続した場合にゴミ付着と判定するため、精度の良いゴミ付着検知を行う事ができる。なお、上述の実施の形態では、2枚連続してゴミ検知が行われた際にゴミ付着と判定しているが、3枚連続してゴミ検知が行われた際にゴミ付着と判定しても良い。
【0073】
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0074】
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
【0075】
尚、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよ い。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…画像読取制御部、2…画像形成制御部、3…コントロールパネル制御部、4…システム制御部、4a…基本制御部、4b…拡張制御部、11…主CPU、100…画像形成装置、111…画像読取装置、111a…画像読取装置本体、112…オートフィード部、250…動作設定画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を送り出して読み取りガラス面上を滑走させる自動原稿送り手段と、
前記ガラス面を介して前記原稿の搬送方向に対して直交する主走査方向のライン画像を読み取るとともに、前記原稿の搬送に応じて、前記原稿の搬送方向と平行する副走査方向の画像を読み取る読取手段と、
前記画像読取により取得された前記原稿の画像データの濃度特徴に基づいて前記ガラス面への異物付着を検知する検知手段とを有する、画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段は、
1つの画像データについて、ライン画像の画素位置ごとに所定濃度閾値よりも大きい濃度をもつ画素の数を副走査方向に積算し、隣接する画素位置の積算数よりも所定数以上の積算数をもつ画素位置を求め、この画素位置に前記濃度特徴があると判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、
取得した少なくとも連続する2枚の原稿の画像データの主走査方向の同一画素位置に前記濃度特徴があるときは前記異物付着があると判断する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段が異物付着を検出したときの前記画像形成装置の動作として、(1)以降の画像形成動作を中止する、(2)前記画像データから前記濃度特徴を除去したのち画像形成動作を実行する、のいずれかを選択可能になされる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、
取得した少なくとも2枚の原稿の画像データに前記濃度特徴があるときは更に前記異物付着があると判断する、請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98979(P2013−98979A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224428(P2012−224428)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】