説明

異方導電性コネクターおよびその製造方法、アダプター装置並びに回路装置の電気的検査装置

【課題】 電極のピッチが微小で高密度に配置されていても、電極間の所要の絶縁性が確保され、所要の電気的接続が確実に達成される異方導電性コネクターおよびその製造方法、アダプター装置並びに回路装置の電気的検査装置を提供する。
【解決手段】 本発明の異方導電性コネクターは、厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有し、導電路形成部のみに紫外線吸収物質が含有されている。導電路形成部は、紫外線吸収物質を含有する導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られる。絶縁部は、導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板などの回路装置の電気的検査に好適に用いることができる異方導電性コネクターおよびその製造方法、この異方導電性コネクターを具えたアダプター装置並びにこのアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に集積回路装置、その他の電子部品などを構成するまたは搭載するための回路基板については、電子部品などを組み立てる以前に或いは電子部品などを搭載する以前に、当該回路基板の配線パターンが所期の性能を有することを確認するためにその電気的特性を検査することが必要である。
従来、回路基板の電気的検査を実行する方法としては、縦横に並ぶ格子点位置に従って複数の検査電極が配置されてなる検査電極装置と、この検査電極装置の検査電極に検査対象である回路基板の被検査電極を電気的に接続するアダプターとを組み合わせて用いる方法などが知られている。この方法において用いられるアダプターは、ピッチ変換ボードと称されるプリント配線板よりなるものである。
このアダプターとしては、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された複数の接続用電極を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するもの、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された、電流供給用接続用電極および電圧測定用接続用電極よりなる複数の接続用電極対を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するものなどが知られており、前者のアダプターは、例えば回路基板における各回路のオープン・ショート試験などに用いられ、後者のアダプターは、回路基板における各回路の電気抵抗測定試験に用いられている。
而して、回路基板の電気的検査においては、一般に、検査対象である回路基板とアダプターとの安定な電気的接続を達成するために、検査対象である回路基板とアダプターとの間に、コネクターとして異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0003】
この異方導電性エラストマーシートは、厚さ方向にのみ導電性を示すもの、あるいは加圧されたときに厚さ方向にのみ導電性を示す多数の加圧導電性導電部を有するものである。
このような異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、その代表的な例としては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られるもの(例えば特許文献1参照。)、導電性磁性金属粒子をエラストマー中に不均一に分散させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなるもの(例えば特許文献2参照。)、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されたもの(例えば特許文献3参照。)などが挙げられる。
そして、配置ピッチの小さい被検査電極を有する回路基板に対しては、当該回路基板の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って導電路形成部が形成されてなる異方導電性エラストマーシートが、高い接続信頼性が得られる点で好ましい。
【0004】
然るに、このような異方導電性エラストマーシートは、それ自体が単独の製品として製造され、また単独で取り扱われるものであって、電気的接続作業においてはアダプターおよび回路基板に対して特定の位置関係をもって保持固定することが必要である。
しかしながら、独立した異方導電性エラストマーシートを利用して回路基板の電気的接続を達成する手段においては、検査対象である回路基板における被検査電極の配列ピッチ(以下「電極ピッチ」という。) 、すなわち互いに隣接する被検査電極の中心間距離が小さくなるに従って異方導電性エラストマーシートの位置合わせおよび保持固定が困難となる、という問題点がある。
また、一旦は所望の位置合わせおよび保持固定が実現された場合においても、温度変化による熱履歴を受けた場合などには、熱膨張および熱収縮による応力の程度が、検査対象である回路基板を構成する材料と異方導電性エラストマーシートを構成する材料との間で大きく異なるため、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない、という問題点がある。
そして、最近においては、上記の問題を解決するために、異方導電性エラストマーシートの周縁部が金属よりなるフレーム板によって支持されてなる異方導電性コネクターが提案されている(例えば特許文献4参照。)。
【0005】
このような異方導電性コネクターは、例えば次のようにして製造される。
先ず、図37に示すような構成の金型を用意する。この金型は、基板81上に、例えば検査対象である回路基板の被検査電極と同一のパターンに従って強磁性体部82が配置されると共に、当該強磁性体部82以外の部分に非磁性体部83が配置されてなる一方の型板(以下、「上型」という。)80と、基板86上に、検査対象である回路基板の被検査電極と対掌のパターンに従って強磁性体部87が配置されると共に、当該強磁性体部87以外の部分に非磁性体部88が配置されてなる他方の型板(以下、「下型」という。)85とにより構成されている。
そして、この金型内に、図38に示すように、開口91を有するフレーム板90を配置すると共に、このフレーム板90の開口91を塞ぐよう異方導電性エラストマー用材料層95Aを形成する。この異方導電性エラストマー用材料層95Aは、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなるものである。
次いで、上型80の上面および下型85の下面に一対の電磁石(図示省略)を配置し、この電磁石を作動させることにより、上型80の強磁性体部82からこれに対応する下型85の強磁性体部87に向かう方向に平行磁場を作用させる。このとき、上型80の強磁性体部82および下型85の強磁性体部87の各々が磁極として作用するため、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間の領域には、それ以外の領域よりも大きい強度の磁場が作用する。その結果、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいては、当該異方導電性エラストマー用材料層95A中に分散されていた導電性粒子Pが、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間に位置する部分に向かって移動して当該部分に集合し、更に厚み方向に並ぶよう配向する。
この状態で、異方導電性エラストマー用材料層95Aに対して例えば加熱による硬化処理を行うことにより、図39に示すように、導電性粒子Pが含有されてなる厚み方向に伸びる多数の導電路形成部96とこれらを相互に絶縁する絶縁部97とよりなる異方導電性エラストマーシート95が、フレーム板90に支持されてなる異方導電性コネクターが製造される。
【0006】
このような異方導電性コネクターによれば、回路基板の電気的検査において、回路基板に対する異方導電性エラストマーシートの位置合わせ作業を容易に行うことができ、また、異方導電性エラストマーシートの熱膨張をフレーム板によって規制することができるので、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って高い接続信頼性が得られる。
【0007】
しかしながら、上記の異方導電性コネクターにおいては、以下のような問題がある。
電子部品を構成または搭載するための回路基板としては、その電極が例えば矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなるものが知られている。而して、このような回路基板の電気的検査を行うためには、導電路形成部96が矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなる異方導電性エラストマーシート95を有する異方導電性コネクターを用いることが必要である。然るに、このような異方導電性エラストマーシート95は、導電路形成部96に囲まれた中央部分がすべて絶縁部97となるため、当該異方導電性エラストマーシート95の形成において、異方導電性エラストマー用材料層95Aの中央部分に存在する導電性粒子についてはその移動距離が極めて長いものとなる結果、当該導電性粒子を導電路形成部となるべき部分に確実に集合させることは困難である。そのため、得られる導電路形成部96には、所要の量の導電性粒子が充填されず、しかも、絶縁部97には、相当な量の導電性粒子が残存するため、所期の異方導電性エラストマーシートを確実に形成することができない。
【0008】
また、現在、集積回路装置においては、その高機能化、高容量化に伴って電極数が増加し、電極の配置ピッチすなわち隣接する電極の中心間距離が小さくなって高密度化が一層推進される傾向にある。従って、このような集積回路装置を構成または搭載するための回路基板に対して電気的検査を行う場合には、導電路形成部のピッチが小さくて高密度に配置された異方導電性コネクターを用いることが必要である。
而して、このような異方導電性コネクターの製造においては、当然のことながら強磁性体部82,87が極めて小さいピッチで配置された上型80および下型85を用いることが必要である。
【0009】
然るに、このような上型80および下型85を用い、上述のようにして異方導電性エラストマーシート95を形成する場合には、図40に示すように、上型80および下型85の各々において、或る強磁性体部82a,87aとこれに隣接する強磁性体部82b,87bとの間の離間距離が小さいため、上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに向かう方向(矢印Xで示す)のみならず、例えば上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに隣接する強磁性体部87bに向かう方向(矢印Yで示す)にも磁場が作用することとなる。そのため、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいて、導電性磁性体粒子を、上型80の強磁性体部82aとこれに対応する下型85の強磁性体部87aとの間に位置する部分に集合させることが困難となり、上型80の強磁性体部82aと下型85の強磁性体部87bとの間に位置する部分にも導電性磁性体粒子が集合してしまい、また、導電性粒子を異方導電性エラストマー用材料層95Aの厚み方向に十分に配向させることが困難となり、その結果、所期の導電路形成部および絶縁部を有する異方導電性コネクターが得られない。
【0010】
また、異方導電性エラストマーシートの形成においては、前述したように、上型80および下型85の2つの型板が必要である。これらの型板は、例えば検査対象である回路基板に応じて個別的に製造されるものであり、また、その製造工程が煩雑なものであるため、異方導電性コネクターの製造コストが極めて高いものとなり、延いては回路装置の検査コストの増大を招く。
【0011】
このような問題を解決するため、支持板上に支持された、導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層を、炭酸ガスレーザーによってレーザー加工して成形することにより、目的とするパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、これらの導電路形成部の間に絶縁部を形成する方法が提案されている(特許文献5参照。)。
しかしながら、このような方法においては、以下のような問題があることが判明した。(1)炭酸ガスレーザーによるレーザー加工は、被加工物にレーサー光を照射することにより、当該被加工物におけるレーザー光が照射された部分を局部的に加熱して焼失させる熱的加工である。然るに、このようなレーザー加工においては、被加工物である導電性エラストマー層を形成する弾性高分子物質を完全に焼失させることができず、その結果、支持板上における隣接する導電路形成部間には、炭素物質の残渣が生じる。そのため、この状態で、導電路形成部の間に絶縁部を形成する場合には、当該絶縁部の表面に炭素物質の残渣が転写されることにより、隣接する導電路形成部間の電気抵抗が低下する結果、所要の絶縁性を確保することが困難となる。
(2)高い導電性を有する異方導電性エラストマーシートを得るためには、導電性粒子が高い割合で含有された導電路形成部を形成することが肝要である。一方、高い凹凸吸収性を有する異方導電性エラストマーシートを得るためには、厚みの大きい導電路形成部を形成することが肝要である。
而して、上記の製造方法において、導電性粒子が高い割合で含有された厚みの大きい導電路形成部を形成するためには、導電性粒子が高い割合で含有された厚みの大きい導電性エラストマー層を形成することが必要となる。
然るに、このような導電性エラストマー層は、レーザー加工によって成形しにくいものであるため、所期の導電路形成部を得ることが困難である。
【0012】
【特許文献1】特開昭51−93393号公報
【特許文献2】特開昭53−147772号公報
【特許文献3】特開昭61−250906号公報
【特許文献4】特開平11−40224号公報
【特許文献5】特開2004−342597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する電極間における所要の絶縁性が確保され、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる異方導電性コネクターおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する被検査電極間における所要の絶縁性が確保され、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができるアダプター装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる回路装置の電気的検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の異方導電性コネクターは、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部のみに、紫外線吸収物質が含有されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の異方導電性コネクターは、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部には、紫外線吸収物質が含有されており、
前記導電路形成部は、弾性高分子物質中に、紫外線吸収物質および厚み方向に並ぶよう配向した多数の導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られるものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の異方導電性コネクターは、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部には、紫外線吸収物質が含有されており、
前記導電路形成部は、弾性高分子物質中に、紫外線吸収物質および厚み方向に並ぶよう配向した多数の導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られるものであり、
前記絶縁部は、前記導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することによって得られるものであることを特徴とする。
【0017】
本発明の異方導電性コネクターにおいては、紫外線吸収物質が顔料であることが好ましい。
また、本発明の異方導電性コネクターにおいては、開口を有するフレーム板を有し、弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口を塞ぐよう形成されていてもよい。
また、本発明の異方導電性コネクターにおいては、導電性エラストマー層は、支持体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに対応する特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することによって得られるものであることが好ましい。
【0018】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法は、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターを製造する方法であって、
支持体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、
この導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに対応する特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、
この導電性エラストマー層を紫外線レーザーによってレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記支持体上に、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、これらの導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、金属箔上に、特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属箔における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面に磁性を示す金属によるメッキ処理を施すことにより、当該レジスト層の開口の各々に金属マスクが形成されてなる金属マスク複合体を製造し、この金属マスク複合体を導電性エラストマー用材料層の表面に積重することにより、当該導電性エラストマー用材料層の表面に、前記特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置することが好ましい。
【0020】
本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0022】
本発明の回路装置の電気的検査装置は、上記のアダプター装置を具えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の異方導電性コネクターによれば、導電路形成部は、紫外線吸収物質が含有されてなる導電性エラストマー層を、非熱的加工が可能である紫外線レーザーによるレーザー加工によって得られるものであるため、隣接する導電路形成部間に、レーザー加工による炭素物質の残渣が生じることがない。しかも、絶縁部は、導電路形成部を形成したうえで、これらの導電路形成部の間に絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより得られるものであるため、導電性粒子が全く存在しない絶縁部を形成することができる。従って、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する電極間における所要の絶縁性が確保され、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
また、導電性エラストマー層として、導電性エラストマー用材料層上に、形成すべき導電路形成部の特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層の厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより得られるものを用いることにより、当該導電性エラストマー層は、金属マスクが配置された部分における導電性粒子が密であり、それ以外の部分における導電性粒子が疎であるため、導電性エラストマー層における金属マスクが配置された部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが容易となり、これにより、所期の形態の導電路形成部が確実に得られる。
【0024】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法によれば、導電性エラストマー層中には、紫外線吸収物質が含有されているため、当該導電性エラストマー層を紫外線レーザーによって容易にレーザー加工することができ、紫外線レーザーを用いることにより、非熱的加工が可能となるため、隣接する導電路形成部間に、レーザー加工による炭素物質の残渣が生じることを回避することができる。
また、導電性エラストマー用材料層上に、形成すべき導電路形成部の特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層の厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層は、金属マスクが配置された部分における導電性粒子が密となり、それ以外の部分における導電性粒子が疎となるため、導電性エラストマー層における金属マスクが配置された部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが容易となり、これにより、所期の形態の導電路形成部を形成することができる。
また、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成したうえで、これらの導電路形成部の間に絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子が全く存在しない絶縁部を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる異方導電性コネクターによれば、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する電極間における所要の絶縁性が確保され、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0025】
本発明のアダプター装置によれば、上記の異方導電性コネクターを具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する被検査電極間における所要の絶縁性が確保され、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0026】
本発明の回路装置の電気的検査装置によれば、上記のアダプター装置を具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈異方導電性コネクター〉
図1は、本発明に係る異方導電性コネクターの第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。この異方導電性コネクター10においては、厚み方向に伸びる複数の導電路形成部16が特定のパターンに従って配置され、隣接する導電路形成部16の間には、これらを相互に絶縁する絶縁部17が導電路形成部16に一体的に接着した状態で形成され、これにより,弾性異方導電膜15が形成されている。導電路形成部16の特定のパターンは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンである。
図示の例において、導電路形成部16は絶縁部17の両面から突出するよう形成されている。このような例によれば、加圧による圧縮の程度が絶縁部17より導電路形成部16において大きいために十分に抵抗値の低い導電路が確実に導電路形成部16に形成され、これにより、加圧力の変化乃至変動に対して抵抗値の変化を小さくすることができ、その結果、異方導電性コネクター10に作用される加圧力が不均一であっても、各導電路形成部16間における導電性のバラツキの発生を防止することができる。
【0028】
導電路形成部16は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部17は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。導電路形成部16を構成する弾性高分子物質と絶縁部17を構成する弾性高分子物質とは、互いに異なる種類のものであっても同じ種類のものであってもよい。
また、導電路形成部16中には、紫外線吸収物質が含有されている。
【0029】
導電路形成部16中に含有される紫外線吸収物質としては、顔料を好適に用いることができる。
かかる顔料としては、後述する紫外線レーザーから照射される波長の紫外線を吸収する性質を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、TiO2 −NiO−Sb2 3 系顔料、TiO2 −BaO−NiO系顔料、TiO2 −Sb2 3 −Cr2 3 系顔料等のTi系顔料、CoO−Al2 3 系顔料、CoO−SnO−MgO系顔料、CoO−Al2 3 −Cr2 3 系顔料、CoO−ZnO系顔料等のCo系顔料、Cu−Ti系顔料、TiO2 −CoO−NiO−ZnO系顔料、Fe2 3 系顔料などの無機顔料、および種々の有機顔料を用いることができる。
導電路形成部16中に含有される紫外線吸収物質の割合は、紫外線吸収物質の種類に応じて適宜設定されるが、通常、導電路形成部16を構成する弾性高分子物質100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0030】
導電路形成部16および絶縁部17を構成する弾性高分子物質は、互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。
導電路形成部16および絶縁部17を構成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
以上において、異方導電性コネクター10に耐候性が要求される場合には、共役ジエン系ゴム以外のものを用いることが好ましく、特に、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0031】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
また、シリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10,000〜40,000のものであることが好ましい。また、得られる導電路形成部16に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0032】
導電路形成部16に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により当該粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
【0033】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0034】
また、導電性粒子Pの粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。 また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部16は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電路形成部16において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
また、導電性粒子Pとして、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性性コネクターの耐久性が向上する。
【0035】
このような導電性粒子Pは、導電路形成部16中に体積分率で15〜45%、好ましくは20〜40%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が過小である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部16が得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部16は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部16として必要な弾性が得られないことがある。
【0036】
本発明の異方導電性コネクター10において、導電路形成部16は、弾性高分子物質中に、紫外線吸収物質および厚み方向に並ぶよう配向した多数の導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られるものであり、絶縁部17は、導電路形成部16の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することによって得られるものである。
そして、このような異方導電性コネクター10は、
支持体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、
この導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに対応する特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、
この導電性エラストマー層を紫外線レーザーによってレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記支持体上に、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成し、これらの導電路形成部16の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成することによって得られるものであることか好ましい。
以下、異方導電性コネクター10の製造方法を具体的に説明する。
【0037】
《導電性エラストマー層の形成》
先ず、特定のパターンに従って配置された複数の金属マスク18を有する金属マスク複合体18Fを製造する。
具体的に説明すると、図3に示すように、金属箔14上に、フォトリソグラフィーの手法により、形成すべき導電路形成部のパターンすなわち接続すべき電極のパターンに対応する特定のパターンに従って開口19Kが形成されたレジスト層19を形成する。その後、金属箔14におけるレジスト層19の開口19を介して露出した部分の表面に、磁性を示す金属によるメッキ処理を施すことにより、図4に示すように、レジスト層19の開口19Kの各々に金属マスク18を形成する。これにより、金属箔14上に特定のパターンに従って金属マスク18が形成されてなる金属マスク複合体18Fが得られる。
【0038】
以上において、金属箔14としては、銅、ニッケルなどを用いることができる。また、金属箔は、樹脂フィルム上に積層されたものであってもよい。
金属箔14の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、例えばエッチングによって除去することが困難となることがある。
また、金属マスク18の厚みは、1μm以上であることが好ましく、より好ましく1〜100μm、特に好ましくは5〜40μmである。この厚みが過小である場合には、後述するレーザー加工におけるマスクとして利用することが困難となることがある。
金属マスク18を構成する金属としては、磁性を示すものが用いられ、その具体例としては、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金などが挙げられる。
レジスト層19の厚みは、形成すべき金属マスク18の厚みに応じて設定される。
【0039】
次いで、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に、紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が分散されてなる導電性エラストマー用材料を調製し、図5に示すように、導電路形成部形成用の板状の支持体13上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層16Aを形成する。そして、図6に示すように、この導電性エラストマー用材料層16A上に、金属マスク複合体18Fをその金属マスク18の各々が当該導電性エラストマー用材料層16Aに接するよう配置する。ここで、導電性エラストマー用材料層16A中においては、磁性を示す導電性粒子Pが分散された状態で含有されている。
次いで、導電性エラストマー用材料層16Aに対し、金属マスク18を介して当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に磁場を作用させる。これにより、金属マスク18が磁性を示す金属により形成されているため、導電性エラストマー用材料層16Aにおける金属マスク18が配置された部分には、それ以外の部分より大きい強度の磁場が形成される。その結果、導電性エラストマー用材料層16A中に分散されていた導電性粒子Pは、図7に示すように、金属マスク18が配置された部分に集合し、更に当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に並ぶよう配向する。そして、導電性エラストマー用材料層16Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理を行うことにより、図8に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層16Bが、支持体13上に支持された状態で形成される。
【0040】
以上において、支持体13を構成する材料としては、金属、セラミックス、樹脂およびこれらの複合材などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
導電性エラストマー用材料層16Aの厚みは、形成すべき導電路形成部の厚みに応じて設定される。
導電性エラストマー用材料層16Aに磁場を作用させる手段としては、電磁石、永久磁石などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料層16Aに作用させる磁場の強度は、0.2〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層16Aを構成する高分子物質形成材料の種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0041】
《導電路形成部の形成》
先ず、導電性エラストマー層16B上に配置された金属マスク複合体18Fにおける金属箔14に対して、エッチング処理を施して除去することにより、図9に示すように、金属マスク18およびレジスト層19を露出させる。そして、導電性エラストマー層16Bおよびレジスト層19に対して、金属マスク18を介して紫外線レーザーによってレーザー加工を施すことにより、レジスト層19および導電性エラストマー層16Bの一部が除去され、その結果、図10に示すように、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16が支持体13上に支持された状態で形成される。その後、得られた導電路形成部16の各々の表面から金属マスク18を除去する。
ここで、紫外線レーザーを照射するレーザー装置としては、YAGレーザー装置(中心波長355nm)、Nd−YAGレーザー装置(中心波長266nm)、KrFエキシマレーザー装置(中心波長248nm)などを用いることができる。
また、紫外線レーザーによるレーザー加工の条件は、用いられるレーザー装置の種類などによって適宜設定されるが、YAGレーザー装置を用いる場合の条件の一例を示すと、周波数(1秒間あたりのパルス数)が40kHz、ビーム径が20μm、1パルス当たりのエネルギーが9.2μJ、エネルギー密度が(単位面積当たりの照射エネルギー)が11J/cm2 、ショット回数が5回である。
【0042】
《絶縁部の形成》
図11に示すように、絶縁部形成用の支持体13Aを用意し、この支持体13Aの表面に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料を塗布することにより、絶縁部用材料層17Aを形成する。次いで、図12に示すように、複数の導電路形成部16が形成された支持体13を、絶縁部用材料層17Aが形成された支持体13A上に重ね合わせることにより、絶縁部用材料層17A中に導電路形成部16を浸入させて支持体13Aに接触させ、更に加圧することにより、導電路形成部16の各々は厚み方向に圧縮した状態に変形されると共に、隣接する導電路形成部16の間には、絶縁部用材料層17Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層17Aの硬化処理を行うことにより、図13に示すように、隣接する導電路形成部16の間にこれらを相互に絶縁する絶縁部17が、導電路形成部16に一体的に形成され、以て弾性異方導電膜15が形成される。
そして、支持体13,13Aから離型させることにより、圧縮された導電路形成部16の各々は、元の形態に復元する結果、絶縁部17の両面から突出した状態となり、以て、図1に示す構成の異方導電性コネクター10が得られる。
【0043】
以上において、支持体13Aを構成する材料としては、導電路形成部形成用の支持体13と同様のものを用いることができる。
高分子物質形成材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
絶縁部用材料層17Aの厚みは、形成すべき絶縁部の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層17Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層17Aを構成する高分子物質形成材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0044】
上記の製造方法によれば、導電性エラストマー層16B中には、紫外線吸収物質が含有されているため、当該導電性エラストマー層16Bを紫外線レーザーによって容易にレーザー加工することができ、また、紫外線レーザーを用いることにより、非熱的加工が可能となるため、隣接する導電路形成部16間に、レーザー加工による炭素物質の残渣が生じることを回避することができる。
また、導電性エラストマー用材料層16A上に、形成すべき導電路形成部16の特定のパターンに従って磁性を示す金属マスク18を配置した状態で、当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層16Aを硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層16Bは、金属マスク18が配置された部分における導電性粒子が密となり、それ以外の部分における導電性粒子が疎となるため、導電性エラストマー層16Bにおける金属マスク18が配置された部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが容易となり、これにより、所期の形態の導電路形成部を形成することができる。
また、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成したうえで、これらの導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aを形成して硬化処理することにより絶縁部16を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部17を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる異方導電性コネクター10によれば、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する電極間における所要の絶縁性が確保され、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0045】
図14は、本発明に係る異方導電性コネクターの第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図15は、図14に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。この異方導電性コネクター10は、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12の各々を塞ぐよう配置され、当該フレーム板11に支持された単一の弾性異方導電膜15とを有する。
弾性異方導電膜15においては、その厚み方向に伸びる複数の導電路形成部16が、特定のパターンに従ってフレーム板11の開口12内に位置するよう配置され、導電路形成部16の各々の周囲には、隣接する導電路形成部16を相互に絶縁する一体の絶縁部17が導電路形成部16に一体的に接着した状態で形成されている。導電路形成部16の特定のパターンは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンである。
導電路形成部16は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部17は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。図示の例において、導電路形成部16の各々は、絶縁部17の表面から突出する突出部が形成されている。
【0046】
フレーム板11を構成する材料としては、機械的強度の高い種々の非金属材料および金属材料を用いることができる。
非金属材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の繊維補強型樹脂材料、エポキシ樹脂等にアルミナ、ポロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして含有した複合樹脂材料などが挙げられる。
金属材料としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの合金または合金鋼なとが挙げられる。
また、異方導電性コネクターを高温環境下で使用する場合には、フレーム板11として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-6〜2×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。このようなフレーム板11を用いることにより、弾性異方導電膜15の熱膨張による位置ずれを抑制することができる。
また、フレーム板11の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。この厚みが過小である場合には、当該フレーム板11に必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、弾性異方導電膜15の厚みが必然的に大きくなり、従って、良好な導電性が得られないことがある。
弾性異方導電膜15の弾性高分子物質、導電性粒子およびその他の具体的な構成は、前述の第1の例に係る異方導電性コネクター10と同様である。
【0047】
上記の異方導電性コネクター10は、以下のようにして製造することができる。
《導電路形成部の形成》
先ず、第1の例に係る異方導電性コネクター10の製造方法と同様にして、支持体13上に、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成する(図3乃至図10参照)。
【0048】
《絶縁部の形成》
図16に示すように、絶縁部形成用の支持体13Aを用意し、この支持体13Aの表面に、フレーム板11を配置すると共に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料を塗布することにより、絶縁部用材料層17Aを形成する。次いで、図17に示すように、複数の導電路形成部16が形成された支持体13を、絶縁部用材料層17Aが形成された支持体13A上に重ね合わせることにより、絶縁部用材料層17A中に導電路形成部16を浸入させて支持体13Aに接触させ、更に加圧することにより、導電路形成部16の各々は厚み方向に圧縮した状態に変形されると共に、隣接する導電路形成部16の間には、絶縁部用材料層17Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層17Aの硬化処理を行うことにより、図18に示すように、隣接する導電路形成部16の間にこれらを相互に絶縁する絶縁部17が、導電路形成部16に一体的に形成され、以て弾性異方導電膜15が形成される。
そして、支持体13,13Aから離型させることにより、圧縮された導電路形成部16の各々は、元の形態に復元する結果、絶縁部17の両面から突出した状態となり、以て、図14に示す構成の異方導電性コネクター10が得られる。
【0049】
以上において、支持体13Aを構成する材料としては、導電路形成部形成用の支持体13と同様のものを用いることができる。
高分子物質形成材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
絶縁部用材料層17Aの厚みは、形成すべき絶縁部17の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層17Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層17Aを構成する高分子物質形成材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0050】
上記の製造方法によれば、導電性エラストマー層16B中には、紫外線吸収物質が含有されているため、当該導電性エラストマー層16Bを紫外線レーザーによって容易にレーザー加工することができ、また、紫外線レーザーを用いることにより、非熱的加工が可能となるため、隣接する導電路形成部16間に、レーザー加工による炭素物質の残渣が生じることを回避することができる。
また、導電性エラストマー用材料層16A上に、形成すべき導電路形成部16の特定のパターンに従って磁性を示す金属マスク18を配置した状態で、当該導電性エラスマー用材料層16Aの厚み方向に磁場を作用させると共に当該導電性エラストマー用材料層16Aを硬化処理することにより、得られる導電性エラストマー層16Bは、金属マスク18が配置された部分における導電性粒子が密となり、それ以外の部分における導電性粒子が疎となるため、導電性エラストマー層16Bにおける金属マスク18が配置された部分以外の部分をレーザー加工によって除去することが容易となり、これにより、所期の形態の導電路形成部を形成することができる。
また、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成したうえで、これらの導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aを形成して硬化処理することにより絶縁部16を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部16を確実に得ることができる。
従って、このような方法によって得られる異方導電性コネクター10によれば、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する電極間における所要の絶縁性が確保され、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0051】
〈アダプター装置〉
図19は、本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図20は、図19に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図19および図20において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、図14に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21上に位置されるよう配置されている。
【0052】
このようなアダプター装置によれば、図14に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する被検査電極間における所要の絶縁性が確保され、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0053】
図21は、本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図22は、図21に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図21および図22において上面)には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の接続用電極(以下、「電流供給用電極」ともいう。)21bおよび電圧測定用の接続用電極(以下、「電圧測定用電極」ともいう。)21cよりなる複数の接続用電極対21aが配置された接続用電極領域25が形成されている。これらの接続用電極対21aは、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置されている。
そして、電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの各々は、内部配線部23によって端子電極22に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図14に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21c上に位置されるよう配置されている。
【0054】
上記のアダプター装置によれば、図14に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、隣接する被検査電極間における所要の絶縁性が確保され、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができる。
【0055】
〈回路装置の電気的検査装置〉
図23は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、例えばオープン・ショート試験を行うものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。検査実行領域Eの上方には、図19に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図19に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0056】
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、いずれもその厚み方向にのみ導電路を形成する導電路形成部が形成されてなるものである。このような異方導電性シート55a,55bとしては、各導電路形成部が少なくとも一面において厚み方向に突出するよう形成されているものが、高い電気的な接触安定性を発揮する点で好ましい。
【0057】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0058】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。
【0059】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図19に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0060】
図24は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うためのものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。
検査実行領域Eの上方には、図21に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図21に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、第1の例の電気的検査装置と基本的に同様の構成である。
【0061】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0062】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。具体的には、上部側アダプター装置1aにおける電流供給用電極21bと下部側アダプター装置1bにおける電流供給用電極21bとの間に一定の値の電流が供給されると共に、上部側のアダプター装置1aにおける複数の電圧測定用電極21cの中から1つを指定し、当該指定された1つの電圧測定用電極21cと、当該電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極6に対応する下面側の被検査電極7に電気的に接続された、下部側アダプター装置1bにおける電圧測定用電極21cとの間の電圧が測定され、得られた電圧値に基づいて、当該指定された1つの電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極6とこれに対応する他面側の被検査電極7との間に形成された配線パターンの電気抵抗値が取得される。そして、指定する電圧測定用電極21cを順次変更することにより、全ての配線パターンの電気抵抗の測定が行われる。
【0063】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図21に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0064】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず、例えば以下のような種々の変更を加えることが可能である。
(1)異方導電性コネクター10においては、弾性異方導電膜15における導電路形成部16に突出部が形成されることは必須のことではなく、弾性異方導電膜15の表面全体が平坦なものであってもよい。
(2)アダプター装置において、異方導電性コネクター10は、アダプター本体20の接続用電極領域25のみを覆うよう配置されていてもよい。
(3)検査対象である回路装置は、プリント回路基板に限定されず、パッケージIC、MCMなどの半導体集積回路装置、ウエハに形成された回路装置であってもよい。
【0065】
(4)異方導電性コネクター10の製造方法においては、導電路形成部形成用の支持体として、形成すべき導電路形成部16のパターンに対応するパターンに従って強磁性体部分が配置されてなるものを用いることができる。このような支持体の一例における構成を図25に示す。この支持体30は、導電性エラストマー用材料層が形成される離型性の表面(図25において上面)を有する金属膜31を有し、この金属膜31の裏面には、形成すべき導電路形成部16のパターンに対応するパターンに従って強磁性体部分32が配置され、それ以外の領域には非磁性体部分33が配置されている。
金属膜31を構成する材料としては、ニッケル、金、銅などを用いることができる。
強磁性体部分32を構成する材料としては、ニッケル、コバルトまたはこれらの合金などを用いることができる。
非磁性体部分33を構成する材料としては、フォトレジストを用いることができる。
このような支持体30は、図26に示すように、金属膜31上に、形成すべき強磁性体部分32のパターンに従って開口33Kが形成された非磁性体部分33をフォトレジストによって形成し、その後、金属膜31における非磁性体部分33の開口33Kを介して露出した部分の表面に、メッキ処理を施すことにより、製造することができる。
【0066】
このような支持体30においては、以下のようにして導電路形成部16が形成される。 先ず、図27に示すように、支持体30における金属膜31の表面に、導電性エラストマー用材料層16Aを形成し、この導電性エラストマー材料層16A上に、金属マスク複合体18Fをその金属マスク18の各々が当該導電性エラストマー材料層16Aに接するよう配置する。次いで、導電性エラストマー用材料層16Aに対し、金属マスク18および支持体30の強磁性体部分32を介して当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に磁場を作用させ、これにより、導電性エラストマー用材料層16Aにおける金属マスク18と支持体30の強磁性体部分32との間に位置する部分には、それ以外の部分より大きい強度の磁場が形成される。その結果、導電性エラストマー用材料層16A中に分散されていた導電性粒子Pは、図28に示すように、金属マスク18と支持体30の強磁性体部分32との間に位置する部分に集合し、更に当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に並ぶよう配向する。そして、導電性エラストマー用材料層16Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理を行うことにより、図29に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層16Bが、支持体30上に支持された状態で形成される。
その後、導電性エラストマー層16B上に配置された金属マスク複合体18Fにおける金属箔14に対して、エッチング処理を施して除去することにより、図30に示すように、金属マスク18およびレジスト層19を露出させる。そして、導電性エラストマー層16Bおよびレジスト層19に対して、金属マスク18を介して紫外線レーザーによっててレーザー加工を施すことにより、レジスト層19および導電性エラストマー層16Bの一部が除去され、その結果、図31に示すように、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16が支持体30上に支持された状態で形成される。
【0067】
このような支持体30を用いる方法によれば、導電性エラストマー材料層16Aに対し、金属マスク18が配置された部分に、それ以外の部分より一層高い強度の磁場を作用させることができるので、得られる導電性エラストマー層16Bは、金属マスク18が配置された部分における導電性粒子Pが一層密となり、それ以外の部分における導電性粒子Pが一層疎となる。そのため、導電性エラストマー層16の厚みが相当に大きいものであっても、当該導電性エラストマー層16Bを紫外線レーザーによってレーザー加工することにより、所期の形態の導電路形成部16を形成することができる。
【0068】
(5)異方導電性コネクター10の製造方法においては、図32に示すように、絶縁部形成用の支持体35として、弾性基板36上に金属膜37が配置されてなるものを用いることができる。
弾性基板36を構成する材料としては、硬化ゴム、熱可塑性エラストマーなどの弾性高分子物質を用いることができる。
金属膜37を構成する材料としては、銅、金、ニッケル、銀、鉄、コバルト若しくはこれらの合金またはこれらの合金鋼などを用いることができる。
このような支持体35を用いる方法によれば、支持体35上に形成された絶縁部用材料層17A中に導電路形成部16を浸入させて支持体35に接触させ、更に加圧することにより、当該支持体35における加圧された部分が厚み方向に圧縮した状態に変形され、これにより、絶縁部用材料層17Aを硬化する前に、導電路形成部16が当該絶縁部用材料層17Aの下面から突出した状態となるため、突出部を有する異方導電性コネクター10を確実に製造することができる。
【0069】
(6)導電路形成部16の形成においては、レーザー加工によって導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分の全部が除去されることにより、導電路形成部を形成することもできるが、図33および図34に示すように、導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部16を形成することもできる。この場合には、導電性エラストマー層16Bの残部は、支持体13から機械的に剥離することによって除去することができる。
【0070】
(7)異方導電性コネクター10としては、図35に示すように、単一の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12を塞ぐよう配置された単一の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
また、異方導電性コネクター10としては、図36に示すように、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、それぞれフレーム板11の一の開口12を塞ぐよう配置された複数の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
更に、異方導電性コネクター10としては、複数の開口が形成されたフレーム板と、フレーム板の一の開口を塞ぐよう配置された1または2以上の弾性異方導電膜と、フレーム板の複数の開口を塞ぐよう配置された1つまたは2以上の弾性異方導電膜とよりなる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る異方導電性コネクターの第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す異方導電性コネクターの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図3】金属箔上に特定のパターンに従って形成された複数の開口を有するレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図4】レジスト層の各開口内に金属マスクが形成されて金属マスク複合体が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】支持体上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図6】導電性エラストマー用材料層の表面に金属マスク複合体が配置された状態を示す説明用断面図である。
【図7】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図8】支持体上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図9】金属マスク複合体の金属箔が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図10】支持体上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図11】支持体上に絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】絶縁部用材料層が形成された支持体上に、導電路形成部が形成された支持体が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図13】隣接する導電路形成部間に絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明に係る異方導電性コネクターの第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図15】図14に示す異方導電性コネクターの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図16】支持体上に、フレーム板が配置されると共に、絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図17】絶縁部用材料層が形成された支持体上に、導電路形成部が形成された支持体が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図18】隣接する導電路形成部間に絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図19】本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図20】図19に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図21】本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図22】図21に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図23】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。
【図24】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。
【図25】導電路形成部形成用の支持体の他の例における構成を示す説明用断面図である。
【図26】金属膜上に非磁性体部分が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図27】図25に示す支持体上に形成された導電性エラストマー用材料層の表面に金属マスク複合体が配置された状態を示す説明用断面図である。
【図28】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図29】図25に示す支持体上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図30】金属マスク複合体の金属箔が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図31】支持体上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図32】絶縁部形成用の支持体の他の例における構成を示す説明用断面図である。
【図33】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明図である。
【図34】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図35】本発明に係る異方導電性コネクターの他の例における構成を示す説明図である。
【図36】本発明に係る異方導電性コネクターの更に他の例における構成を示す説明図である。
【図37】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマーシートを成形するための金型の構成を示す説明用断面図である。
【図38】図37に示す金型内に、フレーム板が配置されると共に、異方導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図39】従来の異方導電性コネクターが製造された状態を示す説明用断面図である。
【図40】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマー用材料層に作用される磁場の方向を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1a 上部側アダプター装置
1b 下部側アダプター装置
2 ホルダー
3 位置決めピン
5 回路装置
6,7 被検査電極
10 異方導電性コネクター
11 フレーム板
12 開口
13,13A 支持体
14 金属箔
15 弾性異方導電膜
16 導電路形成部
16A 導電性エラストマー用材料層
16B 導電性エラストマー層
17 絶縁部
17A 絶縁部用材料層
18 金属マスク
18F 金属マスク複合体
19 レジスト層
19K 開口
20 アダプター本体
21,21b,21c 接続用電極
21a 接続用電極対
22 端子電極
23 内部配線部
25 接続用電極領域
30 支持体
31 金属膜
32 強磁性体部分
33 非磁性体部分
33K 開口
35 支持体
36 弾性基板
37 金属膜
50a 上部側検査ヘッド
50b 下部側検査ヘッド
51a,51b 検査電極装置
52a,52b 検査電極
53a,53b 電線
54a,54b 支柱
55a,55b 異方導電性シート
56a 上部側支持板
56b 下部側支持板
57a,57b コネクター
80 一方の型板
81 基板
82,82a,82b 強磁性体部
83 非磁性体部
85 他方の型板
86 基板
87,87a,87b 強磁性体部
88 非磁性体部
90 フレーム板
91 開口
95 異方導電性エラストマーシート
95A 異方導電性エラストマー用材料層
96 導電路形成部
97 絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部のみに、紫外線吸収物質が含有されていることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項2】
磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部には、紫外線吸収物質が含有されており、
前記導電路形成部は、弾性高分子物質中に、紫外線吸収物質および厚み方向に並ぶよう配向した多数の導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られるものであることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項3】
磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターにおいて、
前記導電路形成部には、紫外線吸収物質が含有されており、
前記導電路形成部は、弾性高分子物質中に、紫外線吸収物質および厚み方向に並ぶよう配向した多数の導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー層を、紫外線レーザーによってレーザー加工することによって得られるものであり、
前記絶縁部は、前記導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することによって得られるものであることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項4】
紫外線吸収物質が顔料であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の異方導電性コネクター。
【請求項5】
開口を有するフレーム板を有し、弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口を塞ぐよう形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の異方導電性コネクター。
【請求項6】
導電性エラストマー層は、支持体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに対応する特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することによって得られるものであることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性コネクター。
【請求項7】
磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部が、絶縁部によって相互に絶縁されてなる弾性異方導電膜を有する異方導電性コネクターを製造する方法であって、
支持体上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に紫外線吸収物質および磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、
この導電性エラストマー用材料層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに対応する特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置し、この状態で、当該導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成し、
この導電性エラストマー層を紫外線レーザーによってレーザー加工して前記金属マスクが配置された部分以外の部分を除去することにより、前記支持体上に、前記特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部を形成し、これらの導電路形成部の間に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層を形成して硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項8】
金属箔上に、特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属箔における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面に磁性を示す金属によるメッキ処理を施すことにより、当該レジスト層の開口の各々に金属マスクが形成されてなる金属マスク複合体を製造し、この金属マスク複合体を導電性エラストマー用材料層の表面に積重することにより、当該導電性エラストマー用材料層の表面に、前記特定のパターンに従って磁性を示す金属マスクを配置することを特徴とする請求項7に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項9】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項10】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のアダプター装置を具えてなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate


【公開番号】特開2007−87709(P2007−87709A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273721(P2005−273721)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】