説明

発光装置、撮像装置

【課題】光度の選択性を向上でき、微細化に有利な発光装置および撮像装置が得られる。
【解決手段】発光装置は、発光素子13と、可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズ15と、前記レンズの曲率を変化させることにより、前記レンズを介して出射される光の配光角を変化させる配光角可変機構20とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光装置、撮像装置に関し、例えば、補助光、カメラ付携帯電話等に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード(LED:light emitting diode)は自動車メータのパネル照明、イルミネーション、カメラ付携帯電話の補助光、キー照明等の様々な分野に応用されている。その中でも携帯電話には、情報伝達機能だけでなく、静止画・動画を撮影する為のカメラが搭載されている。当初のカメラ付携帯電話には補助光、いわゆるフラッシュは搭載されていなかった。しかし、近年の白色LEDの登場とその高輝度化により、カメラ付携帯電話に、小型で明るいLED補助光およびLEDフラッシュが用いられるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで一般的に、被写体が遠方の場合には、上記LED補助光およびLEDフラッシュ等の配光角を小さくし、被写体における光度(luminous intensity)を大きくする必要がある。それは、光を遠方の被写体に集光させて、被写体近傍を明るくするためである。一方、被写体が近接している場合には、LED補助光等の配光角を逆に大きくし、被写体における光度を小さくする必要がある。光を被写体を含むより広い範囲に散乱させて、広い範囲を均一に明るくするためである。
【0004】
そこで、上記LED補助光等の光出射方向に曲率が異なる近接照射用レンズ、遠方照射用レンズの2種類のレンズを搭載させ、上記2つのいずれかのレンズを選択することにより、LED補助光等の配光角を選択し、光度を遠方用、近接用のそれぞれのシーンで切替えて使用する発光装置が提案されている。
【0005】
しかし、上記のような構成では、2つの配光角しか選択できないため2つの光度しか選択できず、例えば、上記2つのレンズが対応する中間程度の距離の被写体には所望の光度を選択できない。そのため、被写体との距離に応じた光度の選択性が低いという問題があった。
【0006】
また、切替え可能レンズを2種類搭載する必要があるため、レンズのための専有面積が増大して、微細化に対して不利であるという問題がある。
【0007】
さらに、撮影者等がレンズの切り替えを忘れてしまうと、遠方の被写体に対して光度が不足して暗くなり、近接の被写体に対して光度が過剰となっていわゆる白飛び(ハレーション)を起こす。
【0008】
また、上記発光装置を備えた撮像装置においても、上記と同様の問題が生じる。
【0009】
上記のように従来の発光装置および撮像装置では、光度の選択性が低く、微細化に不利であるという事情があった。
【特許文献1】特開2004−194083号公報 明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は上記のような事情に鑑みて、光度の選択性を向上でき、微細化に有利な発光装置および撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一態様によれば、発光素子と、可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、前記レンズの曲率を変化させることにより、前記レンズを介して出射される光の配光角を変化させる配光角可変機構とを具備する発光装置を提供できる。
【0012】
この発明の一態様によれば、半導体基板の表面中に設けられた発光素子と、可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、前記レンズの端部に貼り付けられ前記半導体基板の表面方向に可動するレンズ固定板と、前記半導体基板上に前記レンズ固定板と電気的に接続され前記レンズ固定板との間に互いに反発するように働く静電気力を発生/消滅させる駆動セルとを備える配光角可変機構とを具備する発光装置を提供できる。
【0013】
この発明の一態様によれば、半導体基板の表面中に設けられた発光素子と、可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、モータと、前記モータに電気的に接続されモータの回転数を制御するように構成された制御装置と、前記モータに回動され前記制御装置の制御信号に従って回転する送り軸と、前記レンズの端部を貫通して前記送り軸と接続され前記送り軸の回転運動に従った直線運動により、送り軸方向に沿って移動し、前記レンズの端部を引っ張りまたは圧縮させる送りネジとを備える配光角可変機構とを具備する発光装置を提供できる。
【0014】
この発明の一態様によれば、発光素子と、可塑性樹脂で形成され前記発光素子の光が入射されるレンズと、前記レンズの曲率を変化させることにより、前記レンズを介して出射される光の配光角を変化させる配光角可変機構とを備えた発光装置と、ズーム機構を備えた撮影装置とを具備し、前記配光角可変機構は、前記撮影装置がズームインする場合には前記レンズから出射される光の配光角が小さくなるように前記レンズの曲率を変化させ、前記撮影装置がズームアウトする場合には前記レンズから出射される光の配光角が大きくなるように前記レンズの曲率を変化させるように前記ズーム機構と連動する撮像装置を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、光度の選択性を向上でき、微細化に有利な発光装置および撮像装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、この説明においては、全図にわたり共通の部分には共通の参照符号を付す。
【0017】
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る発光装置について、図1乃至図7を用いて説明する。この実施形態は、発光装置を半導体加工技術を応用して製造されたいわゆるメムス(MEMS:micro electro mechanical systems)により実現した一例である。図1は、第1の実施形態に係る発光装置を示す平面図である。図2は、図1中のA−A´線に沿った断面図である。
【0018】
図示するように、シリコン(Si)基板11中にすり鉢状に形成された溝12の底部に、LED(light emitting diode)素子13が設けられている。この溝12内に蛍光体が混合された透明樹脂14が流し込まれ、LED素子13が封止されている。上記蛍光体は、例えば、LED素子13が青色を発光する場合には黄色蛍光体を混合し、LED素子13が近紫外を発光する場合には三原色蛍光体を混合する。
【0019】
上記LED素子13の光出射方向にレンズ15が設けられている。このレンズ15は、例えば、シリコン等を含む可塑性樹脂で形成されている。そのため、レンズ15の端部16を引っ張り又は圧縮することで、その表面を平坦状又は撓み状とし、レンズ15の曲率を変化することができる。
【0020】
上記レンズの端部16を引っ張り又は圧縮して、レンズ15から出射される光の配光角を変化させるために、配光角可変機構20が設けられている。
【0021】
この配光角可変機構20は、上面がレンズの端部16の下面に貼り付けられ基板11から浮遊した状態で設けられたレンズ固定板21と、基板11上に設けられこのレンズ固定板21との間に互いに反発するように働く静電気力を発生/消滅させる駆動セル25とを備えている。
【0022】
次に、配光角可変機構20について、図3を用いて詳しく説明する。図3は、配光角可変機構20を示す斜視図である。この図面において、レンズ固定板21の上面に設けられるべきレンズ15の図示を省略している。
【0023】
図示するように、レンズ固定板21は、アーム22によりゲート長方向の両側面が支持されている(手前側のアームの図示を省略している)。このアーム22が支持台23−1、23−2に連結されている。そして、一方の支持台23−2が浮遊電極28の表面上に設けられ、他方の支持台23−1が手前側の基板11の表面上に設けられている(図示せず)ことにより、レンズ固定板21を基板11表面から浮遊した状態としている。
【0024】
上記レンズ固定板21、アーム22、支持台23−1、23−2は、例えば、ポリシリコン(polysilicon)等により形成されている。
【0025】
駆動セル25は、ゲート絶縁膜27、浮遊電極28、ソース/ドレイン29、制御電極30、ゲート間絶縁膜31を備えている。
【0026】
ゲート絶縁膜27は、基板11の表面上に設けられている。浮遊電極28はゲート絶縁膜27上に設けられている。制御電極30は、浮遊電極28と共にゲート間絶縁膜31を挟むように浮遊電極28上に設けられている。ゲート長方向に沿って浮遊電極28を挟むように基板11中に隔離して、図中の奥側および手前側にソース/ドレイン29が設けられている(手前側のソース/ドレイン29については図示せず)。浮遊電極28の一方の端部がゲート幅方向に延設されて、その上面に支持台23−2が設けられている。そして、浮遊電極28とレンズ固定板21とは、電気的に接続されている。
【0027】
さらに、ゲート幅方向における浮遊電極28の一方の側面とレンズ固定板21の一方の側面との間35に、互いに反発するような静電気力が働く。この静電気力により、レンズ固定板21が基板11の表面に沿った方向に浮遊電極28から離れるように動き、湾曲したレンズ15を平坦状にすることが可能である。
【0028】
上記ゲート絶縁膜27およびゲート間絶縁膜31は、例えば、シリコン酸化膜(SiO)等により形成され、浮遊電極28および制御電極30、例えば、ポリシリコン等により形成される。また、ソース/ドレイン29は、例えば、イオン注入法によりボロン(B)等の半導体基板11と異なる導電型を有する不純物を基板11中に注入し、熱拡散させること等により形成される。
【0029】
<動作>
次に、この実施形態に係る発光装置の動作について、図4乃至図7を用いて説明する。図4、図6は、この実施形態に係る動作を説明するためのもので、配光角可変機構20を示す平面図である。図5、図7は、この実施形態に係る動作を説明するためのもので、発光装置の発光の様子を示す断面図である。
【0030】
まず、被写体A1がレンズ15と近接している場合の動作について説明する。この場合には、レンズ15から出射される光の配光角を大きくして光度(luminous intensity)を低減させ、光を広い範囲に拡散させ、広い範囲を均一に明るくする必要がある。それは、駆動セル25からレンズ固定板21に電子が注入され、浮遊電極28とレンズ固定板21との間35の静電気力を発生させることにより行われる。
【0031】
まず、ソース/ドレイン29のいずれか一方を接地する。続いて、制御電極30およびソース/ドレイン29の他方に高電位を印加する。すると、チャネル領域にいわゆるホットエレクトロン(熱い電子)が発生して、このホットエレクトロンがゲート絶縁膜28をトンネルし、電子が浮遊電極28に注入される。
【0032】
ここで、浮遊電極28とレンズ固定板21とは電気的に接続しているため、図4に示すように、それぞれの内部に電荷の分布が生じる。そして、浮遊電極28とレンズ固定板21との間35には、反発しあう静電気力が生じ、レンズ固定板21は、ゲート幅方向に沿ってもとの位置36から浮遊電極28から離れるように基板11の表面に沿って移動する。その後、レンズ固定板21は、もとの位置36に戻ろうとする復元力とこの静電気力が釣り合う位置で静止する。
【0033】
そのため、レンズ固定板21の上面に設けられたレンズ端部16が外側に引っ張られて、レンズ15が平坦状となる。そして、レンズ15の曲率が変化して、配光角の大きい光41が出射される。その結果、被写体A1を含む断面積S1あたりの光束が低減して光度が低減し、光を広い範囲に拡散させ広い範囲を均一に明るくしている。
【0034】
その後、上記制御電極30およびソース/ドレイン29の他方に高電位を印加しなくなっても、浮遊電極28に注入された電子はゲート絶縁膜27およびゲート間絶縁膜31により、浮遊電極28内に閉じ込められる。そのため、上記静電気力は保持され、レンズ固定板21はこの位置に静止し、所望の配光角の大きい光41が出射され続ける。
【0035】
続いて、被写体A1がレンズ15と離れている場合の動作ついて説明する。この場合は、レンズ15から出射される光の配光角を小さくして光度を増大させ、光を被写体の近傍に集光させる必要がある。それは、浮遊電極28に注入された電子をソース/ドレイン29に引き抜いて浮遊電極28を中性に戻し、静電気力を消滅させることにより行われる。
【0036】
まず、ソース/ドレイン29の一方をオープンとする。続いて、制御電極30と基板11を接地する。続いて、ソース/ドレイン29の一方に高電位を印加すると、浮遊電極28中の電子がオープンとしたソース/ドレイン29の一方に引っぱり出され、浮遊電極28が中性に戻る。よって、浮遊電極28とレンズ固定板21との内部に電荷の分布が消滅し、制御電極28とレンズ固定板21との間35に生じていた静電気力が消滅して、レンズ固定板21は復元力に従ってもとの位置36に移動する。
【0037】
そのため、レンズ15は、レンズ固定板21の上面に設けられたレンズ端部16に従い、もとのように撓む。そして、レンズ15の曲率が変化し、配光角の小さい光45が出射される。その結果、被写体A1を含む断面積S2あたりの光束が増大し光度が増大して、光を被写体の近傍に集光させている。
【0038】
上記動作においては、例えば、電子を注入する際に制御電極30に印加する電位を低くするよう等の選択により、浮遊電極28に注入する電子を少なくし、レンズ15の曲率を選択することによって、上記光41、45の配光角の中間程度の値の配光角を有する光を出射することも可能である。上記の場合は、例えば、電子を引き抜く際にソース/ドレイン29の一方に印加する電位を低く選択する等によっても行うこと可能である。
【0039】
尚、上記配光角可変機構20、LED素子13等は、半導体加工技術を適用して形成することが可能である。
【0040】
この実施形態に係る発光装置によれば、以下(1)乃至(3)に示す効果が得られる。
【0041】
(1)被写体との距離の応じた適切な配光角を選択できるため、光度の選択性を向上できる。
【0042】
上記のように、配光角可変機構20により、シリコン等の可塑性樹脂で形成されたレンズ15の曲率を変化させ、レンズにより集光される光の配光角を変化させ、光度を選択することができる。この光度の選択は、浮遊電極28に電子を注入または引き出すことにより、レンズ15に貼り付けられたレンズ固定板21をもとの位置から離すまたはもとの位置に戻すことによりなされる。
【0043】
そのため、例えば、ソース/ドレイン29に印加する電圧値を選択し、注入または引き出される電子の量を制御することにより、例えば、光41、45の配光角の中間程度の配光角を有する光を出射することも可能である。その結果、被写体の距離に応じた適切な配光角を選択でき、光度の選択性を向上できる点で有利である。
【0044】
(2)微細化に有利である。
【0045】
上記のように、この実施形態に係る発光装置は、レンズ15それ自体の曲率を変化させて、光の配光角を変化できる。そのため、例えば、複数の曲率の異なるレンズを設ける必要等がない。その結果、レンズ枚数の増加による専有面積の増大を防ぎ、微細化できる点で有利である。
【0046】
また、レンズ固定板21が移動する方向は、基板11の表面に垂直な方向ではなく、基板11の表面に沿った方向である。そのため、レンズ固定板21の移動に伴う面積の増大を防ぎ、微細化に有利である。
【0047】
さらに、配光角可変機構20は、半導体加工技術を適用して形成することができる。そのため、例えば、駆動セル25についてフォトリソグラフィー法を用いて形成する場合に、塗布されたフォトレジストを露光するレーザの波長を選択すること等により、微細化することが可能である。また、LED素子13等のその他の構成についても、シリコン基板11の素子領域中に駆動セル25と同時に形成することができるため、微細化に有利である。
【0048】
(3)消費電力低減に有利である。
【0049】
浮遊電極28に注入された電子は、ゲート絶縁膜27およびゲート間絶縁膜31により絶縁され、浮遊電極28内に閉じ込められる。制御電極30およびソース/ドレイン29に高電位を印加しなくなっても、上記静電気力は保持され、レンズ固定板21はそのままの位置に静止し、所望の配光角が大きい光41が出射され続ける。
【0050】
そのため、配光角を維持するための電力が不要となり、消費電力を低減できる点で有利である。
【0051】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る発光装置について、図8を用いて説明する。この実施形態は、上記配光角可変機構20を機械的に実現した一例である。図8は、この実施形態に係る発光装置を示す断面図である。この説明において、上記第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0052】
図示するように、LED素子13は、セラミック基板40におけるカソード電極46−1上に設けられ、銀(Ag)ペーストまたはAuSn半田等でマウントされている。さらに、アノード電極46−2とボンディングワイヤで結線されている(図示せず)。そして、透明樹脂14および外囲器42により封止されている。
【0053】
配光角可変機構20は、外囲器42上に設けられた制御装置47、モータ48、送り軸49、送りネジ50を備えている。
【0054】
制御装置47は、モータ48と電気的に接続され、モータ48の回転数を制御するように構成されている。モータ48は、制御装置47の制御信号に従った回転数により送り軸49を回転させる。送りネジ50は、レンズの端部16を貫通して送り軸49と接続されている。
【0055】
この送りネジ50は、送り軸49の回転運動に従った直線運動により、送り軸方向に沿って移動し、レンズの端部16を引っ張りまたは圧縮させる。そして、レンズ15から出射される光の配光角を変化させ、光度を選択する。
【0056】
レンズの端部16を引っ張る場合は、送り軸49を回転させ、送りネジ50をモータ48から離れるように送り軸方向に沿って移動させる。一方、レンズの端部16を圧縮させる場合は、送り軸49を逆回転させて、送りネジ50をモータ48に近づくように送り軸方向に沿って移動させる。
【0057】
詳細な動作の説明については、上記第1の実施形態と実質的に同様であるので省略する。
【0058】
上記のように、この実施形態に係る発光装置によれば、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、この実施形態に説明したように、必要に応じて配光角可変機構20等を機械的に構成することも可能である。
【0059】
[実施形態(撮像装置)]
次に、この発明の実施形態に係る撮像装置について、図9を用いて説明する。この実施形態は、上記第1の実施形態に係る発光装置をカメラ付携帯電話のフラッシュとして適用した撮像装置の一例である。図9は、この実施形態に係る撮像装置を模式的に示す断面図である。この説明において、上記第1の実施形態と重複する説明を省略する。
【0060】
図示するように、本体上部61の内側にはメイン液晶画面62と液晶バックライト用LED素子63が設置され、外側にはサブ液晶画面64と液晶バックライト用LED素子65、ズーム機構を備えたカメラ66、フラッシュ51が設置されている。本体下部71の内側にはキーパッド72が配置され、そのキーパット72を照らすように本体下部71の内部にキーパッド用LED素子73が配置されている。
【0061】
このフラッシュ51は、上記第1の実施形態に係る発光装置と同様の構成である。カメラ66は、撮影する被写体に対してズームイン/ズームアウトするズーム機構を備えている。このズーム機構は、フラッシュ51の配光角可変機構20と連動するように構成されている。ズーム機構は、例えば、電子フォーカスや撮影レンズ等により構成されている。
【0062】
上記のように、この実施形態によれば上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、この実施形態では、カメラ66のズーム機構とフラッシュ51が連動するように構成されている。
【0063】
即ち、被写体が遠く、カメラ66の焦点がズームインする場合には、フラッシュ51から発生する光の配光角を小さくして光を集光させ、被写体近傍を明るくできる。
【0064】
一方、被写体が近く、カメラ66の焦点がズームアウトする場合には、フラッシュ51から発生する光の配光角を大きくして光を均一化させて、光度が過剰となって白飛び(ハレーション)を起こすことを防止できる。
【0065】
上記のように、カメラ66のズーム機構と連動させる事により、撮影者が特別な操作をすることなく、適切な光度により被写体を照らして、写真を撮影することができる点で有利である。
【0066】
また、カメラ66のズーム機構と連動せずに、撮影者がマニュアルで動作させることも可能である。例えば、撮影者がメイン液晶画面62やサブ液晶画面64の電子表示を見ながらキーパット72に所定の操作を行って、レンズ15の配光角を選択することも可能である。この場合は、撮影者の主観に従った光度により撮影できる。
【0067】
ここで、携帯電話本体上部61の厚さは始めから規定され、ますます薄くなることが一般的であるため、フラッシュ51を配置できるスペースは制限される。しかし、この実施形態に係るフラッシュ51は、いわゆるメムス(MEMS)により実現されているため、かかる制限されたスペースであっても配置することができる。そのため、薄型および小型の携帯電話に対して有効である。
【0068】
また、携帯電話本体上部61に取り付けられたレンズ15が1つであるため、微細化に対して有利である。レンズ15が一つで済むため、フラッシュ51の取り付けを簡略化することができるという製造工程上のメリットもある。
【0069】
尚、上記カメラ66に限らず、例えば、動画を撮影するビデオ等の撮影装置でも良いことは勿論である。また、第2の実施形態に係る発光装置についても、携帯電話のフラッシュ51として適用することも可能である。
【0070】
以上、第1、第2の実施形態等を用いてこの発明の説明を行ったが、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記各実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る発光装置を示す平面図。
【図2】図1中のA−A´線の方向に沿った断面図。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る配光可変機構を説明するための斜視図。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る発光装置の動作を説明するための平面図。
【図5】この発明の第1の実施形態に係る発光装置の動作を説明するための断面図。
【図6】この発明の第1の実施形態に係る発光装置の動作を説明するための平面図。
【図7】この発明の第1の実施形態に係る発光装置の動作を説明するための断面図。
【図8】この発明の第2の実施形態に係る発光装置を示す断面図。
【図9】この発明の実施形態に係る撮像装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0072】
11…半導体基板、13…LED素子、15…レンズ、20…配光角可変機構、21…レンズ固定板、22…アーム、23−1、23−2…支持台、25…駆動セル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、
前記レンズの曲率を変化させることにより、前記レンズを介して出射される光の配光角を変化させる配光角可変機構とを具備すること
を特徴とする発光装置。
【請求項2】
半導体基板の表面中に設けられた発光素子と、
可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、
前記レンズの端部に貼り付けられ前記半導体基板の表面方向に可動するレンズ固定板と、前記半導体基板上に設けられ、前記レンズ固定板と電気的に接続され前記レンズ固定板との間に互いに反発するように働く静電気力を発生/消滅させる駆動セルとを備える配光角可変機構とを具備すること
を特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記配光角可変機構は、前記駆動セル上に設けられた第1支持台と、前記半導体基板上に設けられた第2支持台と、前記レンズ固定板と第1、第2支持台とを連結するアームとを備え、
前記駆動セルは、前記レンズ固定板に電子を注入することにより静電気力を増大させて前記レンズ固定板が駆動セルから離れるように前記基板に沿った方向に移動させ、前記レンズの端部を引っ張らせ、前記レンズの曲率を変化させて、光の配光角を大きくし、
前記レンズ固定板から注入された電子を引き抜くことにより静電気力を低減させて前記レンズ固定板を前記駆動セルに近づくように前記基板に沿った方向に移動させ、前記レンズを圧縮させ、前記レンズの曲率を変化させて、光の配光角を小さくするように構成されること
を特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
発光素子と、
可塑性樹脂で形成され、前記発光素子の光が入射されるレンズと、
モータと、前記モータに電気的に接続されモータの回転数を制御するように構成された制御装置と、前記モータに回動され前記制御装置の制御信号に従って回転する送り軸と、前記レンズの端部を貫通して前記送り軸と接続され前記送り軸の回転運動に従った直線運動により、送り軸方向に沿って移動し、前記レンズの端部を引っ張りまたは圧縮させる送りネジとを備える配光角可変機構とを具備すること
を特徴とする発光装置。
【請求項5】
発光素子と、可塑性樹脂で形成され前記発光素子の光が入射されるレンズと、前記レンズの曲率を変化させることにより、前記レンズを介して出射される光の配光角を変化させる配光角可変機構とを備えた発光装置と、
ズーム機構を備えた撮影装置とを具備し、
前記配光角可変機構は、前記撮影装置がズームインする場合には前記レンズから出射される光の配光角が小さくなるように前記レンズの曲率を変化させ、前記撮影装置がズームアウトする場合には前記レンズから出射される光の配光角が大きくなるように前記レンズの曲率を変化させるよう前記ズーム機構と連動すること
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−258986(P2006−258986A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73931(P2005−73931)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(504136878)東芝ディスクリートテクノロジー株式会社 (95)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】