説明

発光装置

【課題】製造コストを削減しつつ取付部材と放熱部材とを機械的に結合することのできる発光装置を提供する。
【解決手段】長尺の板状に形成された実装基板10の表面に複数個のLEDチップ11が実装されて成る光源部1と、光源部1が取り付けられて少なくとも一部が実装基板10の裏面に接触する長尺の放熱部材2と、放熱部材2に取り付けられて光源部1及び放熱部材2を器具本体に取り付けるための長尺の取付部材4とを備え、放熱部材2は、取付部材4が載置される主片20と、取付部材4に向かって突出する複数の取付片23とを有し、取付部材4は、放熱部材2の取付片23にかしめられる複数のかしめ用爪44を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の固体発光素子を光源とする発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井下地に吊下された吊りボルトの下端部にハンガーを介して保持された天井バーが、天井下地に沿った面内において略平行して複数本設けられ、隣接して並設された一対の天井バー間に天井パネル等が設けられたシステム天井が知られている。また、この種のシステム天井に用いるシステム天井用照明器具が知られており、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のシステム天井用照明器具は、一対の天井バーの頭部間に架設される天井バーの長手方向に長い矩形枠状の本体枠と、本体枠の下面に形成された取付ねじ孔に螺合する取付ねじによって本体枠の下面側に取付けられる反射板とを備える。照明器具に設けられたランプは、直管型の蛍光灯であって、天井バーの長手方向に対向して設けられる2個1組のソケット間に保持される。ソケットは、本体枠の長手方向の両端部における下面に形成されたソケット取付部に着脱自在に取付けられる。また、ソケットに接続されることによってランプを点灯させる安定器と、安定器と外部の電源との間に介在し安定器に電源を供給する端子台とを収納した点灯装置が、本体枠の上面側に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−100865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、発光ダイオード(LEDチップ)から成る複数の光源を直線状に配列して構成される発光装置(LEDユニット)を従来の蛍光灯に代えて用いることが提案されている。発光装置は、蛍光灯と比較して発熱量が大きいため、発光装置の発する熱を放熱するために放熱部材を備えるのが望ましい。また、放熱部材を備えた発光装置を器具本体に取り付ける際には、取付部材を介して器具本体に発光装置を取り付けるのが望ましい。
【0006】
ここで、取付部材と放熱部材とを機械的に結合する際には、双方の部材を互いにねじ止めすることが考えられるが、取付用のねじを別途必要とするため、製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、製造コストを削減しつつ取付部材と放熱部材とを機械的に結合することのできる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、長尺の板状に形成された実装基板の表面に1乃至複数個の固体発光素子が実装されて成る光源部と、前記光源部が取り付けられて少なくとも一部が前記実装基板の裏面に接触する長尺の放熱部材と、前記放熱部材に取り付けられて前記光源部及び前記放熱部材を器具本体に取り付けるための長尺の取付部材とを備え、前記放熱部材は、前記取付部材が載置される主片と、前記取付部材に向かって突出する複数の取付片とを有し、前記取付部材は、前記放熱部材の前記取付片にかしめられる複数のかしめ用爪を有することを特徴とする。
【0009】
この発光装置において、前記かしめ用爪は、前記放熱部材の前記取付片と対向する端面に傾斜部が設けられることが好ましい。
【0010】
この発光装置において、前記放熱部材には、前記取付部材に向かって突出する突片が設けられ、前記取付部材には、前記突片が嵌合して前記放熱部材に対して前記取付部材を位置決めする凹部が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、製造コストを削減しつつ取付部材と放熱部材とを機械的に結合することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光装置の実施形態を示す下方から見た分解斜視図である。
【図2】同上の発光装置を上方から見た分解斜視図である。
【図3】(a)は同上の発光装置の断面図で、(b)は同上の発光装置の全体斜視図である。
【図4】同上の発光装置における放熱部材及び取付部材を示す図で、(a)は取付部材の要部斜視図で、(b)は取付部材を放熱部材に取り付けた状態における上面図で、(c)は取付部材を放熱部材に取り付けた状態における要部断面図である。
【図5】同上の発光装置における取付部材の位置決め方法を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る発光装置(LEDユニット)の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、図1に示す矢印により上下左右方向及び前後方向を定めるものとする。本実施形態は、図1,2に示すように、光源部1と、放熱部材2と、1対の絶縁部材3と、取付部材4とカバー5とで構成される。
【0014】
光源部1は、絶縁材料(例えば、セラミック)によって長尺の板状に形成された実装基板10と、実装基板10の下面に実装される複数個の青色LEDチップ11(発光ダイオード)とを有する(図1,図3(a)参照)。また、光源部1は、実装基板10の下面に形成される導電体(図示せず)を有する。各LEDチップ11は、実装基板10下面の短手方向(左右方向)の中央部において、長手方向(前後方向)に沿って等間隔且つ直線状に並べて実装される。そして、各LEDチップ11は、透光性を有し且つ黄色蛍光体が混合された合成樹脂製の封止部材12で封止されている。したがって、各LEDチップ11から放射される青色光の一部が黄色蛍光体で波長変換され、波長変換された黄色光と、波長変換されなかった青色光とが混ざることにより、光源部1から放射される光が全体として白色光となる。
【0015】
放熱部材2は、長尺の平板状に形成され、絶縁部材3を介して光源部1が載置される主片20と、主片20の左右両端から厚み方向(上下方向)に延びる1対の側片21とが熱伝導度の高い材料(例えば、アルミニウム)によって一体に形成される。主片20の下面は、光源部1が載置される載置面となっており、光源部1に近付く向きに(下向き)に突出する複数の突条部22が長手方向(前後方向)に沿って突設されている。各側片21の上端縁には、内向きに突出する複数の取付片23が一体に形成されている。これら取付片23に後述するかしめ用爪44がかしめられることで、放熱部材2と取付部材4とが機械的に結合するようになっている。
【0016】
絶縁部材3は、放熱部材2の主片20と光源部1との間に介装される主部30と、主部30の左右両端端から下向きに立ち下がる第1の当接部31と、各第1の当接部31の先端より突出する1対の反射部32とが合成樹脂成形体として一体に形成されて成る。各反射部32は、各第1の当接部31から離れるに従って外側に開くように傾斜し、光源部1に対向する側の表面(下面)が反射面となって光源部1から放射される光を下方へ反射する。また、主部30の中央には、絶縁部材3が放熱部材2の主片20上に載置された状態において、突条部22が挿通される長孔状の挿通孔33が貫設されている。更に、絶縁部材3の長手方向の一端部には、放熱部材2の端部を塞ぐ壁部34が突設され、また、各第1の当接部31の両端を連結する第2の当接部35が形成されている。
【0017】
また、絶縁部材3は、放熱部材2の主片20に貫設された複数の位置決め孔20Aにそれぞれ挿通される複数の位置決め突起36を有している。各位置決め突起36は、短手方向(左右方向)の両端から放熱部材2の主片20に近付く向き(上向き)に突出する円柱形状に形成され、長手方向(前後方向)に沿って等間隔に配設されている。したがって、主片20の各位置決め孔20Aにそれぞれ位置決め突起36が挿通され、且つ主部30の挿通孔33に突条部22が挿通されることにより、放熱部材2の主片20に対して絶縁部材3が位置決めされる。なお、位置決め突起36と反対向き(下向き)に突出する円柱状の支持突起37が各位置決め突起36と一体に形成されている。これらの支持突起37は、光源部1及び放熱部材2及び絶縁部材3を覆う透光性のカバー5を支持するためのものである。
【0018】
取付部材4は、長尺矩形状の底板40と、底板40の長手方向(前後方向)に沿った両端から立ち上がる1対の側板41とが鋼板などの金属板が曲げ加工されることで一体且つ角樋状に形成されて成る。取付部材4の底板40の長手方向の両端部には、後述する取付金具42の固定爪42Cが挿通される1対の固定溝40Aが形成されている。取付部材4の底板40には、長手方向の中央部を挟んで2つずつ取付孔40Bが設けられている。各取付孔40Bは厚み方向(上下方向)に貫通して設けられており、その内周面には雌ねじ(図示せず)が形成されている。これら取付孔40Bは、器具本体(図示せず)に本実施形態を取り付ける際に用いられる。
【0019】
また、取付部材4には、後述する取付金具42を用いてレセプタクルコネクタ6が取り付けられている。レセプタクルコネクタ6は、光源部1の導電体と電気的に接続された電線(図示せず)が接続される接続端子部60と、プラグコネクタ(図示せず)に差し込まれるコネクタ接続部61とを有している。プラグコネクタは、電線を介して点灯装置(図示せず)に接続されており、プラグコネクタがレセプタクルコネクタ6に挿抜自在に差込接続される。すなわち、プラグコネクタとレセプタクルコネクタ6が差込接続されることで点灯装置と光源部1とが電気的に接続され、点灯装置から光源部1に給電されて光源部1が発光(点灯)する。
【0020】
取付金具42は、レセプタクルコネクタ6を保持する矩形枠状のコネクタ保持部42Aと、コネクタ保持部42Aの端部より曲げ起こされた台形状の支持部42Bとが鋼板などの金属板によって一体に形成されて成る。また、支持部42Bには、その先端から突出する1対の固定爪42Cが一体に形成されている。取付金具42は、取付部材4の固定溝40Aに固定爪42Cが挿通され、且つ支持部42Bを貫通するねじ挿通孔42Dに挿通されたねじが底板40の長手方向の両端に形成されているねじ孔40Cの何れかに螺合することで底板40に固定される。
【0021】
取付部材4の各側板41には、その長手方向の両端部に、放熱部材2の取付片43にかしめられるかしめ用爪44が設けられている(図1参照)。各かしめ用爪44は、取付部材4の側板41を切り欠くことで矩形状に形成され、その上端面には斜め下向きの勾配を有する傾斜部44Aが設けられている。各かしめ用爪44は、図4(a)に示すように、取付部材4の底板40の一部と側板41の一部とを連続して切り欠いて形成される切り欠き43の内側に位置する。したがって、上方からドライバー等の治具を切り欠き43に差し込み、かしめ用爪44を外向きに押圧することで、かしめ用爪44を内向き又は外向きに折り曲げることができるようになっている。
【0022】
カバー5は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により、底部50と、底部50の周囲を囲む側壁部51を有する長尺の矩形箱状に形成されている。また、カバー5の長手方向に沿った1対の側壁部51には、図1,図3(a)に示すように、放熱部材2の側片21に形成されている複数の係合突起21Aが係脱自在に係合する複数の係合凹部52が形成されている。
【0023】
以下、本実施形態の組立手順を説明する。まず、光源部1を1対の絶縁部材3の各主部30の載置面に載置し、接着やかしめなどの適当な方法によって各絶縁部材3と結合する。このとき、載置面に載置された光源部1(実装基板10)は、長手方向に沿って絶縁部材3の各第1の当接部31に当接することで短手方向の位置ずれが抑制される。また、実装基板10は、短手方向に沿って各絶縁部材3の第2の当接部35に当接することで長手方向の位置ずれが抑制される。
【0024】
続いて、光源部1と結合された1対の絶縁部材3を放熱部材2の主片20に取り付ける。そして、取付金具42によってレセプタクルコネクタ6が取り付けられた取付部材4を放熱部材2に取り付ける。最後に、底部50を光源部1に対向させる向きでカバー5を放熱部材2に被せ、側壁部51の係合凹部52に側片21の係合突起21Aを係合してカバー5を放熱部材2に結合することで、本実施形態が完成する。
【0025】
ここで、取付部材4を放熱部材2に取り付ける方法について説明する。まず、取付部材4を放熱部材2の主片20の上面に載置する。次に、取付部材4の各切り欠き43にドライバー等の治具を差し込み、各かしめ用爪44を外向きに押圧することで、各かしめ用爪44を外向きに折り曲げる。これにより、各かしめ用爪44を放熱部材2の各取付片23に食い込ませてかしめることで、放熱部材2と取付部材4とを機械的に結合する、すなわち、取付部材4を側片21間に収納された状態で放熱部材2に取り付けることができる。
【0026】
なお、上述のように、各かしめ用爪44の上端部には傾斜部44Aが設けられている。このため、各かしめ用爪44を各取付片23にかしめる際に、当該傾斜部44Aに各取付片23が当接して案内されるので、各かしめ用爪44が各取付片43に食い込みやすくなっている。
【0027】
上述のように、本実施形態では、放熱部材2の各取付片23に各かしめ用爪44をかしめることで、放熱部材2と取付部材4とを機械的に結合することができる。これら取付片23及びかしめ用爪44は、何れも放熱部材2及び取付部材4を加工することで一体に形成できるため、ねじ止めにより放熱部材2と取付部材4とを機械的に結合する場合と比較して別部材を必要とせず、製造コストを削減することができる。
【0028】
また、各かしめ用爪44が各取付片23に食い込むことで、取付片23及びかしめ用爪44を介して放熱部材2と取付部材4とが密接するため、光源部1の放熱性を向上させることができる。更に、各かしめ用爪44を外向きに折り曲げて各取付片23にかしめているため、放熱部材2と取付部材4とで囲まれる空間に各かしめ用爪44が突出することがない。このため、当該空間に電線を配線した場合に、電線の被覆が各かしめ用爪44により傷付けられる虞がなく、また、各かしめ用爪44を内向きに折り曲げた場合と比較して、電線を配線するためのスペースを十分に確保することができる。
【0029】
なお、図1,図5に示すように、放熱部材2の後端部には、主片20の一部を上向きに切り起こして形成される矩形状の突片24が設けられている。また、図2,図4(a)に示すように、取付部材4の各側板41の前後両端部には、それぞれ下端縁を矩形状に切り欠いて形成される凹部45が設けられている。このため、取付部材4を放熱部材2に結合する際に、取付部材4の前後両端部のうち何れかの端部の凹部45に放熱部材2の突片24を嵌合することで、取付部材4を放熱部材2に対して位置決めすることができる(図5参照)。したがって、各かしめ用爪44を各取付片23にかしめる際に、取付部材4が放熱部材2に位置決めされていることから、かしめ作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 光源部
10 実装基板
2 放熱部材
20 主片
23 取付片
4 取付部材
44 かしめ用爪
45 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の板状に形成された実装基板の表面に1乃至複数個の固体発光素子が実装されて成る光源部と、前記光源部が取り付けられて少なくとも一部が前記実装基板の裏面に接触する長尺の放熱部材と、前記放熱部材に取り付けられて前記光源部及び前記放熱部材を器具本体に取り付けるための長尺の取付部材とを備え、前記放熱部材は、前記取付部材が載置される主片と、前記取付部材に向かって突出する複数の取付片とを有し、前記取付部材は、前記放熱部材の前記取付片にかしめられる複数のかしめ用爪を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記かしめ用爪は、前記放熱部材の前記取付片と対向する端面に傾斜部が設けられることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記放熱部材には、前記取付部材に向かって突出する突片が設けられ、前記取付部材には、前記突片が嵌合して前記放熱部材に対して前記取付部材を位置決めする凹部が設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98146(P2013−98146A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243104(P2011−243104)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】