説明

着席の割増料金を確実かつ簡易に収受できる座席装置

【課題】割増料金を負担しても着席したいニーズにできるだけ応え、かつ着席サービスの割増料金を簡易に収受し、さらに、着席サービスの全体需要量や乗客の座席使用実績その他に応じて臨機応変に価格設定が行えるようにする。
【解決手段】座席装置11は、着席可能状態と収納状態との間でその状態が変化する座席シート11aを有しており、ICカード14をR/W装置11bに翳すことにより座席シートを着席可能状態に移動させ、乗客13が立ち上がると同時に座席シートは収納状態に移動する。座席装置11は、乗客の着席時間その他を管理し、着席サービスに対する割増料金を課金する。この割増料金は、乗客の座席使用実績その他に応じて臨機応変な設定とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席装置に関し、特に、記録媒体に記録された記録情報に応じて格納式座席の使用を許可する座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、首都圏などを走行する列車においては、着席と立席は商品価値および生産コストともに異なるにもかかわらず、価格差がない。そのため、乗客間の不公平を招くと同時に、着席サービスの割増料金を払ってでも着席したい利用者ニーズを取りこぼし、鉄道事業者の収益の芽をつぶしている。
【0003】
このような事態を解消するため、格納式(開閉式)座席の使用許可を受けた乗客のみが座席を使用できるようにするため、乗車券券売機などの登録機に、ICカードを差込んで使用許可データを記録するか否かを選択するようにしたものがあり、ここでは、使用許可データをICカードに記録する際には、登録機がICカードのチャージ金額から所定の金額を差し引き、ICカードに使用許可データを記録するようにしている。
【0004】
そして、乗客は列車に乗車した際、開閉式座席のR/W装置にICカードを接触させ、使用許可データが検出されると、開閉式座席のロック状態が解除されて着席可能となるようにしている(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2007−131224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の座席装置を使用したい場合には、予め登録機で所定の料金を支払って、使用許可データをICカードに登録する必要がある。このことは、通常のICカードでは(使用許可データが書き込まれていないICカード)では、座席装置を使用できないことになり、乗車した後、座席装置を使用したいと思っても、予め使用許可データをICカードに記録しておかないと、座席装置を使用することはできない。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の座席装置においては、ICカードに使用許可データが記録されているか否かによって座席装置の使用を許可しているだけであって、着席サービスの使用頻度、家族やグループによる同時使用、会員と非会員の区別などの種々のデータを考慮しておらず、また需要量に応じてきめ細かく価格を設定するといった、ICカードが実現できる機能を充分に活用していない。
【0007】
従って、本発明の目的は、ICカードなどの記録媒体が実現できる機能を有効活用し、割増料金を負担しても着席したいニーズにできるだけ応え、かつ着席サービスの割増料金を簡易に収受ができる座席装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、着席サービスの全体需要量や乗客の座席使用実績その他に応じてきめ細かく価格設定を行うことのできる座席装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の座席装置は、着席可能状態と収納状態との間でその状態が変化する座席シートと、前記座席シートを前記着席可能状態と前記収納状態との間で移動させる駆動手段と、記録媒体に記録された記録情報とユーザが着席しているかに応じて、前記駆動手段を制御して、前記座席シートを前記着席可能状態又は前記収納状態に移動させる制御手段とを有し、前記制御手段は、前記座席シートが着席可能状態であった時間に応じて課金するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
(1)に記載の座席装置では、記録媒体に記録された記録情報とユーザが着席しているかに応じて、座席シートを着席可能状態又は前記収納状態に移動するようにし、さらに、座席シートが着席可能状態であった時間に応じて課金するようにしたので、ICカードなどの記録媒体の利便性を損なうことなく、座席シートの使用を許可できる。さらに、割増料金を負担しても着席したいニーズにできるだけ応えつつ、着席サービスの割増料金を簡易に収受できる。
【0011】
(2) 本発明は、(1)に記載の座席装置において、前記記録媒体として、非接触型ICカード又は携帯電話機を用いることを特徴とするものである。
【0012】
(2)に記載の座席装置では、記録媒体として、非接触型ICカード又は携帯電話機を用いるようにしたので、各種のデータ(料金チャージを含める)を容易にしかも安全性を保って記録できる。
【0013】
(3) 本発明は、(1)又は(2)に記載の座席装置において、前記制御手段は、前記記録媒体から前記記録媒体に記録されている記録情報を読み取る読取/書込手段と、前記記録情報に所定の識別符号が含まれているか否かを判定して、前記識別符号が含まれていると前記駆動手段を駆動制御させる判定手段と、前記座席シートが着席可能状態であった時間に応じた課金手段とを有することを特徴とするものである。
【0014】
(3)に記載の座席装置では、所定の識別符号に応じて座席シートを駆動するとともに、着席可能状態であった時間に応じて課金するようにしたので、座席シートの使用に応じて課金できる。
【0015】
(4) 本発明は、(3)に記載の座席装置において、前記判定手段は、前記座席シートが前記収納状態にある際に、前記記録情報に前記識別符号が存在すると、前記駆動手段を制御して前記座席シートを前記収納状態から前記着席可能状態に移行させ、前記判定手段は、前記ユーザが前記座席シートに着席した後立ち上がると、前記駆動手段を制御して前記座席シートを前記着席可能状態から前記収納状態に移行させることを特徴とするものである。
【0016】
(4)に記載の座席装置では、識別符号に応じて座席シートを収納状態と着席可能状態との間で自動的に移動するようにしたので、乗客の手を煩わせることがない。
【0017】
(5) 本発明は、(3)又は(4)に記載の座席装置において、前記課金手段は、前記座席シートが前記着席可能状態となっている時間をカウントしてカウント値を得て、該カウント値に応じて課金することを特徴とするものである。
【0018】
(5)に記載の座席装置では、着席時間などのカウント値に応じて課金するようにしたので、移動体に最適な課金を行うことができる。
【0019】
(6) 本発明は、(5)に記載の座席装置において、前記ユーザは前記座席シートを有する移動体に乗車しており、前記移動体は列車、バス、及び飛行機のいずれか1つであることを特徴とするものである。
【0020】
(6)に記載の座席装置では、移動体が列車、バス、及び飛行機のいずれか1つであるので、利用者の形態に応じて適切に課金できる。
【0021】
(7) 本発明は、(6)に記載の座席装置において、前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記移動体の着席区間、曜日、又は時間帯に応じて課金を変動させることを特徴とするものである。
【0022】
(7)に記載の座席装置では、移動体の着席区間、曜日、又は時間帯に応じて課金を変動させるようにしたので、鉄道会社の収益性が向上し、また潜在需要を喚起でき、ラッシュ時における乗客集中を分散できる。
【0023】
(8) 本発明は、(6)に記載の座席装置において、前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザの座席使用頻度、家族、グループ、又は乗り継ぎに応じて課金を割引くようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
(8)に記載の座席装置では、多頻度使用・家族・グループ・乗り継ぎなどの割引を行うようにしたので、家族又はグループなどで自家用乗用車を利用した場合に比べて一人当たりかかるコストが高いという割高感を解消できる。
【0025】
(9) 本発明は、(6)に記載の座席装置において、前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザが社会的弱者であると課金を割引くことを特徴とするものである。
【0026】
(9)に記載の座席装置では、社会的弱者に対して考慮した料金体系を構築できる。
【0027】
(10) 本発明は、(6)に記載の座席装置において、前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記記録媒体を用いた買い物の内容、金額、又は買い物をした時間帯に応じて課金を割引くことを特徴とするものである。
【0028】
(10)に記載の座席装置では、記録媒体を用いた買い物の内容、金額、又は買い物をした時間帯に応じて課金を割引くことようにしたので、商店などの活性化が図れ、鉄道会社の収益向上にも繋がることになる。
【0029】
(11) 本発明は、(6)に記載の座席装置において、前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザが予め定められた会員であると、課金を割引くことを特徴とするものである。
【0030】
(11)に記載の座席装置では、会員に対して割引くようにしたので、当該ICカードなどの記録媒体の入会者を容易に増加させることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、座席装置が着席可能状態と収納状態との間でその状態が変化する座席シートと、座席シートを着席可能状態と収納状態との間で移動させる駆動手段と、記録媒体の識別符号に応じて、駆動手段を制御して座席シートを着席可能状態又は収納状態に移動させる制御手段とを備えて、制御手段は座席シートが着席可能状態であった時間に応じて課金するようにしたので、ICカードなどの記録媒体が実現できる機能を有効活用し、乗客の状態に応じて課金(ゼロも含む)して座席シートの使用を許可できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態による座席装置の一例について図面を参照して説明する。なお、ここでは、列車で用いられる座席装置について説明するが、この座席装置は、列車に限らず、バスなどの乗り物、そして、映画館又は劇場などの座席装置としても使用できる。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態による座席装置が用いられた列車を示す図であり、列車10には、少なくとも1つの座席装置11が配設されている。なお、図示の例では、列車10内には通常の座席シート(以下単に座席と呼ぶ)12も配置されている。ここでは、乗客13は、記録媒体(図1には示さず)を用いて列車10に乗車しているものとする。なお、この記録媒体は、例えば、乗車券機能を備えるICカード(このICカードは、例えば、非接触型である)である。
【0034】
いま、乗客13が座席装置11に座る場合には、後述するようにして、ICカードを座席装置11に翳して座席装置11にICカードに記録されている記録情報を読み取らせる。これによって、後述するように、座席装置11は格納式又は開閉式座席シートのロックを解除して、座席シートを収納された状態(収納状態)から着席可能状態とする。
【0035】
図2は、座席装置11の概観を示す斜視図であり、図示の例では、座席装置11は複数の座席シート11aを有しており、座席シート11aの背面上部にはICカード読取書込器(R/W装置)11bが配設されている。
【0036】
R/W装置11bによってICカード14に記録されている記録情報を読み取らせ、記録情報中の所定の識別符号に応じて、自動的に座席シート11aの座面部が収納状態から着席可能状態となる。そして、乗客13が座席シート11aから立ち上がると、自動的に座席シート11aの座面部が着席可能状態から収納状態となる。
【0037】
図3は座席装置11に備えられた制御・駆動装置20の一例を示すブロック図であり、図示の制御・駆動装置20は、判定部21、課金部22、メモリ23、及び駆動部24を備えている。
【0038】
判定部21はR/W装置11bによって読み取られたICカード情報の識別符号(ICカード識別符号)を識別して、この識別符号に応じて、つまり、識別符号を認識すると、駆動部24を駆動・制御して、座席シート11aを前述したように駆動する。メモリ23には着席後の時間(つまり、座席シートが着席可能状態となってから収納状態となるまでの時間)に応じた課金を示す課金テーブルが格納されており、課金部22は、座席シート11aが着席可能状態となると計時(カウント)を開始し、座席シート11aが収納状態となるとカウントを停止して、カウント値を得る。そして、課金部22はカウント値と課金テーブルとに基づいて課金する。
【0039】
例えば、課金部22は列車に備えられた列車無線装置(通信装置:図示せず)を用いて、当該ICカードの識別符号(ID)と前述の課金料金を、中央コンピュータ(サーバ:図示せず)に送る。このサーバでは、乗客がICカードによって改札口を通過する際に、識別符号に応じて運賃とともに課金料金を徴収し、ICカードに記録された残額を減額する。
【0040】
図4はICカードを用いた座席シート11aの使用を説明するためのフロー図である。図2、図3、及び図4を参照して、いま、乗客13がICカードを用いて改札口を通って、列車10に乗ったとする。
【0041】
乗客13が座席装置11を使用しようとする場合には(ステップS1)、ICカード14をR/W装置11bに翳す(ステップS2)。これによって、R/W装置11bはICカード情報(記録情報)を読み取って、このICカード情報を制御・駆動装置20に送る(ステップS3)。
【0042】
制御・駆動装置20において、判定部21はICカード情報中の識別符号を識別する(ステップS4)。ICカード情報中の識別符号を認識すると、判定部21は駆動部24を駆動・制御して、座席シート11aを駆動し、格納状態から着席可能状態とする(ステップS5)。
【0043】
続いて、判定部21は、座席シート11aを着席可能状態としたことを示す着席可能信号を課金部22に送る。課金部22は、着席可能信号に応答して、その内部に備えられたカウンター(タイマー:図示せず)で計時を開始する(ステップS6)。
【0044】
上述のようにして、座席シート11aに乗客13が着席することが可能となる。そして、乗客13が座席シート11aから立ち上がると(ステップS7)、座席シート11aに設けられた図示しない荷重センサーによって検知されて、これによって、判定部21は駆動部24を駆動・制御して、座席シート11aを駆動し、座席シート11aを着席可能状態から格納状態とする(ステップS8)。
【0045】
なお、乗客13が座席シート11aから立ち上がったか否かを検知する手段として荷重センサーを挙げたが、これに限定されず、列車に設けられたCCDのような撮像装置とこれにより撮影された画像を処理する画像処理装置とを用いた手段であってもよいし、他の公知技術であってもよい。さらに、乗客が立ち上がると、ばねなどの付勢手段で自動的に座席シート11aを格納状態とするようにしてもよい。
【0046】
判定部21は、座席シート11aを格納状態としたことを示す格納信号を課金部22に送る。課金部22は、格納信号に応答して、カウンターによる計時を停止し、その時のカウント値を得る(ステップS9)。課金部22は料金テーブルを参照してカウント値に対応する料金を課金料金とし、この課金料金を当該ICカード14の識別符号とともに、列車10に備えられている列車無線を介して列車10の運行等を管理する管理者の管轄にあるサーバに送る(ステップS10)。そして、サーバでは、当該乗客がICカード14を用いて改札口を通過する際、ICカードの識別符号に応じて運賃とともに上述の課金料金を徴収する(ICカードの残額を減額する)。
【0047】
なお、上述の課金料金の徴収は、当該乗客が改札口を通過したときに行うとしたが、後日(例えば、月末のような特定の日付)に行うようにしてもよい。この際には、例えば、予め銀行口座を登録しておき、月末のような特定の日に銀行口座から課金料金をまとめて引き落とすようにする。
【0048】
また、R/W装置にICカードを翳して識別符号が認識されると、座席シートを自動的に着席可能状態とし、乗客が座席シート11aから立ち上がると、座席シートを自動的に格納状態としているので、座席シート11aが着席可能状態のままとなることがない。
【0049】
加えて、着席した時間に応じて料金を、ICカードから徴収するようにしたので、座席装置の使用頻度に応じた使用料金を徴収できる。この結果、乗客に応じて時間当たりの課金の基準を、数段階に分けて、段階毎に課金料金を異ならせることも可能となる。そして、例えば、社会的弱者などに対しては、使用料金をゼロとするようにしてもよい。
【0050】
加えて、座席装置11の使用頻度が高い乗客程、時間あたりの料金を減額する(安くする)ようにしてもよい。この場合には、制御・駆動装置20は、座席装置11を使用する都度、ICカード14に使用回数を書き込むようにすればよい。そして、制御・駆動装置20(例えば、判定部21及び課金部22)は、この使用回数に応じて課金料金を減額することになる。この場合、メモリ23は着席時間と使用回数毎の料金テーブルを備えるようにすればよい。
【0051】
なお、非接触型ICカードの代わりに携帯電話機を用いるようにしてもよく、さらに、識別符号として、指紋、静脈、虹彩、又は顔などのバイオメトリックス情報を用いるようにしてもよく、バイオメトリックス情報を用いるようにすれば、確実に個人認証を行うことができることになる。
【0052】
上述の実施の形態では、課金部22が課金料金をICカード識別符号とともに、サーバに送るようにしたが、課金部22は課金料金を算出せず、着席時間のみをICカード番号とともに、サーバに送るようにしてもよい。この場合には、サーバが着席時間に応じて課金料金を算出することになる。また、サーバはICカード識別符号毎に着席時間の実績を保持し、この実績に応じて課金料金を変動させるようにしてもよい。
【0053】
さらに、上述の課金料金は、例えば、クレジットカードで銀行から引き落とすようにしてもよい。この場合には、利用者は予めクレジット番号などを登録しておく必要がある。加えて、列車遅延の際には、遅延時間に応じて、サーバは課金料金などを値引きするようにしてもよい。
【0054】
さらに、表示部30としてタッチパネルを用いて、列車の他の車両の空席情報を表示させるようにしてもよい。この場合には、座席シート11aの背面(裏面)にタッチパネルを配置し、座席シート11aを収納した際にタッチパネルが目視できるようにする。そして、サーバによって当該列車の座席シート使用状況を把握して、この使用状況に応じて空席情報をタッチパネルに表示するようにする。このようにすることにより、乗客が空いている座席シートを使用しようと、空いている車両に移動することになり、列車全体の混雑平準化に寄与することになる。
【0055】
また、当該列車における座席シートの使用状況に応じて課金料金を変更するようにしてもよい。この場合には、サーバは乗車区間毎に着席サービスに係る単価を変更することになる。つまり、座席シートの使用状況が高い場合(混雑している場合には)、単価を割り増し、座席シートの使用状況が低い場合(すいている場合には)、単価を割り引くようにして、あたかも座席シートのオークションを行うようにする。そして、この単価はタッチパネルに表示され、乗客は割増料金を支払っても座りたい場合に着席することになる。
【0056】
加えて、着席中の乗客には、単価が割り増しとなる際には、座席シートを振動させて(バイブレータによって振動させて)、単価が割り増しとなることを知らせるようにしてもよく、さらには、タッチパネルを用いて乗客が着席区間を申告するようにしてもよく、この際には、着席区間の終わりに近づくと、バイブレータで案内するようにしてもよい。このようにすることにより、乗客は、着席区間の終点として降車駅を申告することにより、降車駅を乗り過ごしてしまうことが殆どなくなる。また、乗車区間毎の割り増し料金をタッチパネルに表示するようにしてもよい。
【0057】
なお、サーバは、駅毎に備えられる表示盤に列車毎、車両毎の空席情報を表示するようにしてもよく、このようにすれば、グループ使用・確実な座席確保・個別座席希望者向けとして、駅に設けられた端末装置又は携帯電話機などを用いて座席を予約できる(座席予約システム)。サーバは、乗客の乗車列車と着席区間(すなわち、乗車区間にほぼ相当する)が分かるので、この情報を用いて携帯電話等へのプッシュ型広告を行うようにしてもよい。
【0058】
ICカードを用いて列車に乗車する際には、着席区間、曜日、時間帯などで運賃を変動させるようにする。これによって、鉄道会社の収益性が向上し、潜在需要を喚起することができ、例えば、ラッシュ時における乗客集中を分散させることができる。そして、ラッシュ時に運賃が割高でその前後が割安となれば、企業の行動も変化するかもしれず、満員列車の緩和・解消に効果を及ぼす。
【0059】
さらに、多頻度使用・家族・グループ・乗り継ぎなどの割引を行うようにしてもよい。ICカードは家族やグループでの同時使用の状態も把握可能であるので、自動車の相乗りと比べて割高感を抱かせないように割引き、乗り継ぎについても割引き割高感を解消できる。
【0060】
また、社会的弱者に対する公的補助のデータ管理として、上述のICカードを用いるようにしてもよい。つまり、社会的弱者などに上述のICカードを配布するようにしてもよい。加えて、商店などによる運賃の負担を行うようにしてもよい。例えば、所定の料金以上の買い物をすると、ICカードに運賃をチャージするようにしてもよい。これによって、商店などの活性化が図れ、鉄道会社の収益向上にも繋がる。そして、会員制を用いるようにしてもよい。入会金や年会費などを支払うと、それに応じた運賃を割引くようにしてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態による座席装置の一例が用いられる列車を示す図である。
【図2】図1に示す座席シートの外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す座席装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】許可ICカードを用いた際の座席装置の動作を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0063】
10 列車
11 座席装置
11a,12 座席シート
13 乗客
14 ICカード
11b R/W装置
20 制御・駆動装置
21 判定部
22 課金部
23 メモリ
24 駆動部
30 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着席可能状態と収納状態との間でその状態が変化する座席シートと、
前記座席シートを前記着席可能状態と前記収納状態との間で移動させる駆動手段と、
記録媒体に記録された記録情報とユーザが着席しているかに応じて、前記駆動手段を制御して、前記座席シートを前記着席可能状態又は前記収納状態に移動させる制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記座席シートが着席可能状態であった時間に応じて課金するようにしたことを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記記録媒体として、非接触型ICカード又は携帯電話機を用いることを特徴とする請求項1記載の座席装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体から前記記録媒体に記録されている記録情報を読み取る読取/書込手段と、
前記記録情報に所定の識別符号が含まれているか否かを判定して、前記識別符号が含まれていると前記駆動手段を駆動制御させる判定手段と、
前記座席シートが着席可能状態であった時間に応じた課金手段とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の座席装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記座席シートが前記収納状態にある際に、前記記録情報に前記識別符号が存在すると、前記駆動手段を制御して前記座席シートを前記収納状態から前記着席可能状態に移行させ、
前記判定手段は、前記ユーザが前記座席シートに着席した後立ち上がると、前記駆動手段を制御して前記座席シートを前記着席可能状態から前記収納状態に移行させることを特徴とする請求項3記載の座席装置。
【請求項5】
前記課金手段は、前記座席シートが前記着席可能状態となっている時間をカウントしてカウント値を得て、該カウント値に応じて課金することを特徴とする請求項3又は4記載の座席装置。
【請求項6】
前記ユーザは前記座席シートを有する移動体に乗車しており、前記移動体は列車、バス、及び飛行機のいずれか1つであることを特徴とする請求項5記載の座席装置。
【請求項7】
前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記移動体の着席区間、曜日、又は時間帯に応じて課金を変動させることを特徴とする請求項6記載の座席装置。
【請求項8】
前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザの座席使用頻度、家族、グループ、又は乗り継ぎに応じて課金を割引くようにしたことを特徴とする請求項6記載の座席装置。
【請求項9】
前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザが社会的弱者であると課金を割引くことを特徴とする請求項6記載の座席装置。
【請求項10】
前記記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記記録媒体を用いた買い物の内容、金額、又は買い物をした時間帯に応じて課金を割引くことを特徴とする請求項6記載の座席装置。
【請求項11】
記録媒体を用いて前記座席シートに着席する際には、前記ユーザが予め定められた会員であると、課金を割引くことを特徴とする請求項6記載の座席装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−187408(P2009−187408A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28243(P2008−28243)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(507252535)株式会社ライトレール (4)
【出願人】(508040762)
【Fターム(参考)】