説明

移動通信基地局間の無線同期方法とシステム。

【課題】
システムAの同期管理基地局と複数の従属基地局のカバーするサービス・エリアA内に他のシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複した場合に、システムAとシステムBは同期関係に無いため、スロット間の干渉が発生するのでこれを解消すること。
【解決手段】
複数の基地局中の1つを同期管理基地局とし、他の基地局に対し無線で基準タイミングを送る。各基地局は自走クロックを発振しており、無線受信した基準タイミングと制御チャネルの送信タイミングとのずれ(偏差)を測定する位相測定部17と、偏差を最小にするように位相調整する位相調整部18を有し他の基地局は同期管理基地局に同期している。他のシステムBとスロット間の干渉が発生した場合に同期管理基地局は、システムBに属する基地局との偏差を測定し、その偏差が最小となるように基準タイミングの位相を調整してスロット間の干渉を避ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動無線通信システムの基地局間の同期を無線により確保する無線同期方法とシステムに関する。具体的には、マルチキャリアTDMA(Time Division Multiple Access : 時分割多元接続)-TDD(Time Division Duplexing : 時分割双方向)方式のディジタル移動無線における基地局の設置密集度が高いエリアで、フレーム送受信タイミングについて基地局間の同期をとることにより、基地局間の干渉を抑え、さらに、送信フレーム信号の衝突を回避し、移動端末との同時通信数を最大限確保する無線同期方法とシステムを提供せんとするものである。本発明は、とくに、他システムの基地局との干渉を抑えるのに効果があり、基地局間の干渉を抑えるのに効果のある基地局間の棲み分けを提案している。さらに、構内移動無線通信システムに適用した場合に大きな効果を期待することができる新規な移動通信基地局間の無線同期方法とシステムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の構内移動無線通信システムでは、主装置と基地局間は有線ケーブルまたは無線で接続しており、主装置から供給されるTDMAフレーム信号により、各基地局はフレーム同期をとっている。1つのフレームには、複数の送信スロットと、それと同数の受信スロットが含まれている。移動端末は、1つの送信スロットと1つの受信スロットからなる1組のスロットを用いて、基地局と交信している。
【0003】
図17には、従来から用いられているTDMA-TDD方式のTDMAフレームとスロットの構成が示されている。同図(a)には、主装置から各基地局に送るTDMAフレームが示されている。(b)には、1つのTDMAフレームの構成が示されている。1フレームには2n個のスロットがあり、前半のn個は各基地局から移動端末への送信用に、後半のn個は移動端末からの各基地局での受信用に使用される。送信スロットi(=1〜n)と受信スロットi(=1〜n)とはペア(組)にして同じ基地局で使用している。
【0004】
図18には、従来の各基地局1、2、nが、それぞれTDMA-TDD方式のスロット1、2、nを用いて交信している様子が示されている。基地局1、2、nが使用中のスロット番号は、送受信とも1、2、nであり、3〜(n-1)が空きスロットになっていることを示している。ここで、各基地局1、2、nが完全に同期状態にある場合には、問題は生じない。しかしながら、たとえば構内通信網などのフレーム・クロックを供給できない回線で接続された基地局、または、システム方式上同期のための共通したフレーム・クロックを各基地局に供給できないシステムでは、基地局間の同期をとることができない。近傍にある別個のシステムに含まれた基地局との間においても同様に同期をとることができない。
【0005】
図19には、同期をとることのできない基地局2が基地局1の近傍にある場合のフレーム間衝突により、スロット間干渉が発生し、それを避けようとすると正常に使用できるスロット(通信チャンネル)が減少してしまう状態を示している。基地局1はスロット番号1を使用して送受信している。すると基地局2はそのスロット番号1と2が基地局1のスロット番号1に重なっているために使用することができない。逆に、基地局1はそのスロット番号2と3が基地局2のスロット番号3に重なっているために使用することができない。同期をとることのできない基地局1と基地局2が、仮に一時的に同期がとれたように見える時期があったとしても、それぞれが別個のフレーム・クロック源を使用している限り、いずれはスロット間干渉が発生し、それを避けることができない。したがって、フレーム同期を常時とるか、あるいは、フレーム・クロック源の精度を考慮した間隔でフレーム同期をとる必要がある。
【0006】
TDMA-TDD方式では、たとえば、通信を開始しようとする場合に、空きスロットを検索して空いているスロットを選択して使用する、空きスロット選択使用法と、システム全体で衝突が発生しないように事前に決められたスロット使用計画にしたがって特定のスロットを割り当てる、特定スロット割り当て法がある。
【0007】
マルチキャリアTDMA-TDD方式の通信制御方式で、制御チャネル方式を採用しているシステムでは、通信を開始するために必要な情報の報知および移動端末からの発着信などの制御を司る制御専用のキャリア(制御キャリア)と、実際に音声またはユーザデータの通信に使用されるキャリア(情報キャリア)が使用されている。たとえば、システムに割り当てられた制御キャリア数が1で、情報キャリア数は複数であるシステムでは、そのシステムに収容されたすべての基地局が、その1つの制御キャリアを共通して使用する。この場合、通信制御に必要な移動端末に対する報知情報などは、定常的にある間隔で送信する必要がある。その場合、基地局ごとに制御キャリア上に割り当てられたスロットを使用する。そのスロットは、常時使用しているわけではなく、共通の基点時間(同期クロックFLP:Fast Link Pulse)を基準にして、各基地局が異なるスロットを使用する棲み分けが行われている。
【0008】
図20には、主装置Mからシステムに収容されている基地局BA1〜n,n+1〜2n,2n+1〜3n,3n+1〜4n,4n+1・・・に対して同期クロックFLPが供給されている様子が示されている。各基地局BAは、この同期クロックFLPを基準タイミングとして使用し、棲み分けをしている。
【0009】
図21には、同期クロックFLPを基準タイミングとした各基地局の棲み分けを示している。同図(a)には、基準タイミングとなる同期クロックFLPが示されている。(b)には、基準タイミングをもとに各基地局で作成されたフレーム信号が示されている。フレームF1,F2,F3・・・,Fnからなるn個のフレームを含むフレーム信号と同期クロックFLPは、フレーム信号の周期TL=TF×nの周期で繰り返される。(c)の基地局名1,2,3,・・・,n+1,n+2,n+3,・・・,2n+1,2n+2,2n+3,・・・は、太線の四角で示したスロットを事前に割り当てられて使用している。
【0010】
制御キャリアにおけるスロット計画は、各基地局ごとに事前に設定された基地局間で重複のないシリアル番号が割り当てられ、それにより使用するスロットの位置と繰り返しの間隔(間欠間隔)が一意的に決定する固定スロット法と、基地局の立ち上がり時に、主装置あるいは管理装置から基地局に対して使用するスロットの位置と繰り返しの間隔(間欠間隔)を通知する通知スロット法とがあった。図21は、固定スロット法の一例である。
【0011】
別個のシステムに属する基地局が近傍に存在する場合には、スロットの衝突を生じる可能性があるから、基地局の立ち上がりにおいて使用可能な空きスロットの検出をし、その空きスロットを使用するようにしている場合もある。その後は、そのスロットを用いて定常的に報知情報などの送信を行っている。この場合には、スロットの衝突を生じる可能性のない使用可能な空きスロットの検出は、基地局の立ち上がりにおける一回のみであり、その後の状況の変化によりスロットの衝突干渉を生じても判らないという問題点があった。
【0012】
同期クロックを供給できない構内通信網などの回線で接続されている基地局、または、システム方式上同期のための共通したフレーム・クロックを基地局に供給できないシステムでは、基準となる時点を定めることができず、基地局間の同期をとることができない。このような場合には、論理的な棲み分けの設定ができない。そのため、基地局が立ち上がり時点で空きであったスロットを使用しても、周囲状況の変化により電波伝搬の経路が変化し、ある時点においてスロットの衝突を発生してしまうことがある。近傍に別個のシステムに属する基地局が存在する場合も、同様である。このような事態を回避するための、様々な従来例が開示されている。
【0013】
特許文献1には、無線で接続される移動端末から、ゾーン間制御局に有線で接続された基地局に通信を行う要求があったときに、基地局では、有線路における空き有線チャネルを検出し、それと同時刻のタイムスロットの空き無線チャネルを検出し、この有線および無線チャネルを移動端末のチャネルとして選択する方式(空きスロット選択使用法)が開示されている。
【0014】
特許文献2には、同期信号発生装置からの同期信号を、各シフトレジスタを介して各無線基地局に有線回線により同時刻に到着するように供給して、各無線基地局における同期信号の位相を同期させる位相同期方式が開示されている。各シフトレジスタでの遅延時間と、各有線回線の遅延時間の合計遅延時間が各無線基地局において同じになっている。
【0015】
特許文献3には、交換機と各基地局間の距離の差により生じる有線による伝送遅延を測定し、その伝送遅延を考慮したうえで、交換機から送出される伝送フレームを同時に各基地局に着信させるように制御する同期装置が開示されている。伝送遅延の測定は、交換機が各基地局へ有線により出力する伝送フレームの伝送路での折り返し時間を測定することによって行われている。
【0016】
特許文献4には、TDMA方式の移動通信システムにおいて、基準無線基地局が無線受信した基準信号を基に、自局をTDMAフレーム位相を同期させるとともに、無線による報知信号を送信して他の無線基地局も同期させる同期方法が開示されている。無線による報知信号を受信した他の無線基地局は基準無線基地局に同期するから、無線基地局間の同期を確立することができる。
【0017】
特許文献5にはフレーム同期方式を開示している。その発明では、主基地局において、高精度時刻情報に従って間欠的に基準フレームタイミングが生成され、この基準フレームタイミングに同期して周辺の従属基地局に向け制御チャネル信号が送信される。これに対し各従属基地局では、制御チャネル信号の受信タイミングに同期して自局のフレームタイミングが生成される。この生成した自局フレームタイミングに同期してさらに周辺の従属基地局に向け制御チャネル信号が送信される。主基地局から距離に応じて段階的に周辺の従属基地局へフレーム同期の輪が広がる。
【0018】
特許文献6には、基地局間同期方法が開示されている。その発明では、単一の同期信号生成装置と複数の無線基地局間がそれぞれ通話路で接続され、通話路を介して同期信号がそれら各無線基地局に配信される。通話路を使用して同期信号の配信を行うことにより、無線基地局間の同期をとるようにしている。
【0019】
特許文献7には、無線基地局間の同期方法が開示されている。その発明では、無線同期を実施するための基準となる同期基準局を任意に決定し、被同期基地局と同期基準局との無線同期を有線回線を介して行っている。被同期基地局は、同期基準局との有線回線による接続後に同期基準局に対して送信したパスワードデータが同期基準局から折り返して受信されるまでの伝送遅延時間を計測している。
【特許文献1】特開平7-087548号公報
【特許文献2】特開平7-322344号公報
【特許文献3】特開平8-154271号公報
【特許文献4】特開平8-205233号公報
【特許文献5】特開平8-289359号公報
【特許文献6】特開平11-68649号公報
【特許文献7】特開2000-184436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
同期クロックを供給できない構内通信網などの回線で接続されている基地局、または、システム方式上同期のための共通したフレーム・クロックを基地局に供給できないシステムでは、基準となる時点を定めることができず、基地局間の同期をとることができないという問題があった。このような場合には、論理的な棲み分け(スロットの割り当て)の設定ができないから、基地局が立ち上がり時点で空きであったスロットを使用しても、周囲状況の変化により電波伝搬の経路が変化し、ある時点においてスロットの衝突を発生してしまうことがあるという解決されねばならない課題があった。
【0021】
また、同一方式のシステムAおよびBが隣接している場合に、システムAおよびBはそれぞれのクロック源の精度を高くして一時的に同期しているように見える時期があったとしても、やがて同期が崩れてしまうから、システムAおよびBのそれぞれの基地局間でスロットの干渉が発生してしまうという問題があった。このような問題を解決しようとすれば、図19で説明したように多くの空きスロットが発生し、通信効率が低下してしまうという重大な問題があった。
【0022】
マルチキャリアTDMA-TDD方式の移動無線システムにおいて、自システムAの複数の基地局がカバーするサービス・エリアAと、他システムBの基地局がカバーするサービス・エリアBとが重なり合った場合に、自システムAと他システムBとの間では同期がとれていないために、フレームに含まれたスロット間の干渉または衝突が発生し、移動端末と基地局との間で交信することができなくなるという解決されねばならない課題があった。基地局の設置密集度の大きいエリアにおいて、このようなスロット間の干渉を発生する頻度が高く、早急に解決されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。複数の従属基地局に無線で基準タイミングを送る同期管理基地局を設けた。この従属基地局と同期管理基地局とは同じ回路構成である。複数の基地局の中から特定の条件に合ったものが、同期管理基地局として選定され、その条件に合わなくなった場合には、他の基地局に移管することも可能である。同期管理基地局および複数の従属基地局の間は、たとえば、構内通信網などの有線路により接続されている。
【0024】
有線路には、基地局間の制御に使用される制御信号用の制御チャネルと移動端末との間で交わされる音声データなどの情報データ用の情報チャネルが含まれている。各基地局は自走クロックを発振しており、無線受信した基準タイミングと制御チャネルの送信タイミングとのずれ(偏差)を測定する位相測定部を有している。さらに、この測定結果を他の基地局にもメッセージ通知し、このメッセージによる測定結果を考慮して偏差を最小にするように位相調整する位相調整部を有している。
【0025】
各基地局は、基準タイミングとのずれを測定する位相測定部と、位相を調整する位相調整部を有しているから、それら基地局の1つを同期管理基地局としその他を従属基地局として設定する。同期管理基地局は各従属基地局に対し基準となるタイミング信号(管理基準タイミング信号)を無線送信する。それを受けた各従属基地局は、自局内の基準タイミング(従属基準タイミング)との位相差(タイミングのずれ)を測定し、そのずれを最小にするように位相調整して各従属基地局はそれぞれの従属基準タイミング信号を無線送信する。これを同期管理基地局が受信して、各従属基地局の同期状況を知ることができる。もし、同期状況の悪い従属基地局があれば、同期管理基地局は再びその従属基地局に管理基準タイミング信号を無線送信する。この動作を繰り返すならば、各従属基地局は同期管理基地局に完全に同期した状態となる。
【0026】
システムAの同期管理基地局および複数の従属基地局のカバーするサービス・エリアA内に他のシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複した場合に、システムAとシステムBは同期関係に無いため、必然的にスロット間の干渉が発生する。そこで同期管理基地局は、他のシステムBに属する基地局との偏差を測定し、その偏差が最小となるように基準タイミングの位相を調整する。この位相調整後の基準タイミングが、各従属基地局の基準になるから、他のシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複した場合であっても、スロット間の干渉は発生せず、高密度の交信が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
マルチキャリアTDMA-TDD方式の移動無線システムにおいて、自システムAの複数の基地局がカバーするサービス・エリアAと、他システムBの基地局がカバーするサービス・エリアBとが重なり合うような高密集エリアでは、自システムAと他システムBとの間では同期がとれていないために、スロット間の干渉が必然的に発生していた。しかしながら、このような場合には、本発明による同期管理基地局は、他のシステムBに属する基地局との偏差を測定し、その偏差が最小となるように基準タイミングの位相を調整するから、この位相調整後の基準タイミングが、各従属基地局の基準となり、他のシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複した場合であっても、スロット間の干渉は発生せず、高密度の交信が可能となった。したがって、本発明の効果は、極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
サービス・エリアA内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局とし、他の基地局を従属基地局とし、同期管理基地局が従属基地局に無線で基準タイミングを送り、この基準タイミングからの偏差(時間差)を最小にしたタイミングで従属基地局がスロットを送受信することができる構成にした。サービス・エリアA内の従属基地局が動作している最中に、サービス・エリアA内にシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複し、スロット間の干渉が発生した場合には、同期管理基地局が、基準タイミングとシステムBに属する基地局の送受信タイミングとの位相偏差(時間差)を測定する。
【0029】
同期管理基地局は、その位相偏差が最小となるように基準タイミングの位相を調整してスロット間の干渉を避ける。すなわち、他のシステムBからの干渉が存在しない場合には、システムAの従属基地局は同期管理基地局自身のタイミングを基準タイミングとする。システムBからの干渉が発生した場合は、同期管理基地局のタイミングをシステムBのタイミングに合わせるようにしたから、システムA内の干渉も無く、システムAとシステムBの干渉も発生しない。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の一実施例を示した基地局の回路構成図である。この回路の無線部分の仕様は、たとえば、国内PHS(パーソナル・ハンディーホン・システム)自営システムの規格(RCR-STD28)に従うものと仮定して説明する。アンテナATと無線送受信部11は、TDMA-TDDによる移動端末との間の複数のスロットを含んだフレーム構成の無線信号を送受信している。無線信号には、制御キャリアによる制御信号と、情報キャリアによる音声・非音声データが含まれている。音声・非音声データは、通信情報CI4により変復調部12を経て通信情報CI3として無線制御部13との間でやりとりされる。
【0031】
制御情報は送受信制御情報SRCとして無線送受信部11と無線制御部13との間でやりとりされる。音声処理部14は通信情報CI2とCI1により無線制御部13とLAN・IF部15との間で通信情報のやりとりをする。LAN・IF部15は、構内通信網の通信線路Lに接続されている。無線制御部13は無線用バスBWによりデータ・バスDBに接続され、他部とのやりとりがなされている。音声処理部14は音声用バスBVにより、LAN・IF部15はインタフェース用バスBIによりデータ・バスDBに接続され、他部とのやりとりがなされている。
【0032】
自走発振部16は高い精度で位相基準クロックCLPおよび信号基準クロックCLSを発生している。この位相基準クロックCLPは、位相測定部17と位相調整部18に供給される。位相測定部17は、制御部21の制御を制御用バスBC、データ・バスDB、測定用バスBMを介して受けて、基準タイミングとなる同期クロックFLP(Fast Link Pulse)を基準にして、位相基準クロックCLPのずれ(偏差)を測定している。測定データは、位相測定用バスBMを介して制御部21に送られる。制御部21は、調整すべき位相量(時間差)を算出し、制御用バスBC、データ・バスDB、位相調整用バスBPを介して位相調整部18に送る。
【0033】
位相調整部18は、位相測定部17が測定した位相基準クロックCLPの偏差を修正するために、調整すべき位相量を制御部21から制御用バスBC、データ・バスDB、位相調整用バスBPを介して受けて、その偏差(時間差)が最小になるように位相基準クロックCLPの位相を調整して、同期クロックFLPとして出力する。この同期クロックFLPは、無線制御部13、位相測定部17、処理クロック生成部19、制御部21に供給されて、動作タイミングの基準として使われる。この基地局が同期管理基地局であり、他のシステムBに属する基地局のサービス・エリアBが重複してスロット間の干渉が発生した場合には、他のシステムBに属する基地局からの受信信号を偏差測定の基準にする。
【0034】
処理クロック生成部19は、自走発振部16から信号基準クロックCLSを受けており、同期クロックFLPを基準にして偏差を補正した音声処理クロックCLVとフレーム・クロックCLTを生成している。この音声処理クロックCLVとフレーム・クロックCLTは、無線制御部13と音声処理部14に印加されるから、正しいタイミングで制御および処理がなされる。無線制御部13が、通常は情報キャリアで受信する非音声データを制御キャリアで受信した場合、割り込み信号INTを制御部21に割り込み送付して、その割り込みについて制御をさせる。制御部21の制御動作に必要な情報は、データ登録メモリ部22に格納されており、メモリ情報MIとして制御部21の必要時に出し入れされる。
【0035】
図2には、位相測定部17の具体的な回路構成例が示されている。周期TCLP=0.5μs(周波数2MHz)の位相基準クロックCLPを受けてアップ・カウンタでカウントアップし、たとえば、130ms周期の同期クロックFLPでリセットする。すなわち、同期クロックFLPの1周期の間の位相基準クロックCLPの数(26万個)をカウントしている。このカウント数から基準値(26万個)とのずれ(偏差)を知ることで、位相基準クロックCLPの位相を測定している。位相測定用バスBMには、書き込み信号WRと読み出し信号RDが含まれているから、測定された偏差は、データ・バスDBを介して制御部21に報告される。位相測定部17に対して制御部21は、以下の制御をすることができる。
1. 現時点でのカウント値を読み出すことができる。
2. リセット値を設定できる。
3. リセット端子RSへの信号入力により、リセットしカウンタ値をリロードできる。
【0036】
図3には、位相調整部18の具体的な回路構成が示されている。そこには、プログラマブル・カウンタの分周器であるスロット時間調整器51、スロット・レベル調整器52、フレーム・レベル調整器53が含まれている。位相用バスBPには、割り込み信号INT、書き込み信号WRと読み出し信号RDが含まれている。それぞれの分周比は、調整すべき位相量を算出した制御部21から設定される。この設定は、前回のカウントが終了した時点で有効となり、次回の設定があるまで繰り返し有効となる。スロット時間調整器51は印加された、周期TCLP=0.5μs(周波数2MHz)の位相基準クロックCLPを受けて分周比1/1250で分周し、周期T51=625μsの信号を得て、これをスロット・レベル調整器52に印加している。
【0037】
スロット・レベル調整器52は、分周比1/8で分周し、周期T52=5msの信号を得て、これをフレーム・レベル調整器53に印加している。フレーム・レベル調整器53は、分周比1/26で分周し、周期TFLP=130msの同期クロックFLPを得ている。位相調整部18に対して制御部21は、以下の制御をすることができる。
1. カウント値を任意に設定できる。
2. 現時点でのカウント値を読み出すことができる。
3. リセット値を設定できる。
4. カウント満了時に制御部21に対し割り込み信号INTを発生できる。
【0038】
図4には、本発明における、他のサービス・エリアXからの無線干渉の無い場合の基地局配置が示されている。無線系を制御する無線制御サーバである主装置Mが、構内通信網などクロック供給をすることができない構内情報通信網LANに接続されている。構内情報通信網LANの通信線路Lには、図1に示した回路構成の多くの基地局が接続され、サービス・エリアAを形成している。これら多くの基地局のうちから、すべての従属基地局に電波を届けることのできる1つの基地局が同期管理基地局BAsとして選定され、他の基地局は従属基地局BA1〜BAnとなる。
【0039】
近隣にサービス・エリアXがあり、そこには主装置MXと線路で接続された複数の基地局BXがあり、そのうちの1つの基地局BX1が代表して示されている。サービス・エリアAとサービス・エリアXは重なり合っていないから、サービス・エリアAはサービス・エリアXとは関係なく、独自のタイミングで同期管理することができる。同期管理基地局BAsは、自己の自走発振部16が出力する位相基準クロックCLPと信号基準クロックCLSに基づいて同期クロックFLPを作成し、これを従属基地局BA1〜BAnに無線で供給している。各従属基地局BA1〜BAnは、この同期クロックFLPをもとに動作タイミングの偏差を測定し、その偏差を最小となるように位相調整し、同期管理基地局BAsを含む他の基地局に通信線路Lで報告する。各基地局は全ての基地局の偏差状況を把握することができる。
【0040】
図5には、本発明における、他のサービス・エリアXからの無線干渉が発生している場合の基地局配置が示されている。無線系を制御する無線制御サーバである主装置Mが、構内通信網などクロック供給をすることができない構内情報通信網LANに接続され、構内情報通信網LANの通信線路Lには、図1に示した回路構成の多くの基地局が接続され、サービス・エリアAを形成している。これら多くの基地局のうち、すべての従属基地局に電波を届けることのできる1つの基地局が同期管理基地局BAsとして選定され、他の基地局は従属基地局BA1〜BAnとなる。
【0041】
近隣にサービス・エリアXがあり、そこには主装置MXと線路で接続された複数の基地局があり、そのうちの1つの基地局BX1が代表して示されている。サービス・エリアAとサービス・エリアXは重なり合っているから、サービス・エリアAはサービス・エリアXの干渉を受ける。したがって、同期管理基地局BAsが独自のタイミングで同期管理するならば、スロットの衝突が発生する。そこで、この状態を検知した同期管理基地局BAsは、スロットの干渉または衝突を回避するための動作に入る。
【0042】
同期管理基地局BAsは、サービス・エリアXの基地局BX1の無線信号を受信し、この無線信号のタイミングを基準にして自己の自走発振部16が出力する位相基準クロックCLPとの偏差を求め、その偏差を最小にするように位相調整をして同期クロックFLPを作成し、これを従属基地局BA1〜BAnに無線で供給している。各従属基地局BA1〜BAnは、この同期クロックFLPをもとに動作タイミングの偏差を測定し、その偏差を最小となるように位相調整し、同期管理基地局BAsを含む他の基地局に無線で報告する。各基地局は全ての基地局の偏差状況を把握することができる。このようにして、サービス・エリアAはサービス・エリアXに同期することができるから、サービス・エリアXからの干渉を回避することができる。
【0043】
ここで、図5においては、サービス・エリアXはサービス・エリアAの全ての基地局をカバーするものであったが、一部の基地局、たとえば、従属基地局BA1とBA2のみをカバーする場合には、現在の同期管理基地局BAsは、サービス・エリアBの従属基地局BB1からの無線信号を受信することができない。そこで、同期管理基地局BAsを従属基地局とし、これまで従属基地局であったBA1またはBA2のうちの1つを新たに同期管理基地局として登録し、他の基地局に通知して、新同期管理基地局が送信する新同期クロックFLPを基にして、同期を確立することができるから、サービス・エリアXからの干渉を回避することができる。
【0044】
図6には、本発明における、他のサービス・エリアBからの無線干渉が発生している場合の基地局配置が示されている。無線系を制御する無線制御サーバである主装置Mが、構内通信網などクロック供給をすることができない構内情報通信網LANに接続され、構内情報通信網LANの通信線路Lには、図1に示した回路構成の多くの基地局が接続され、サービス・エリアAを形成している。これら多くの基地局のうち、すべての従属基地局に電波を届けることのできる1つの基地局が同期管理基地局BAsとして選定され、他の基地局は従属基地局BA1〜BAnとなる。他のサービス・エリアBも同じ主装置Mに構内情報通信網LANを介して接続され、同期管理基地局BBs傘下の従属基地局BB1がサービス・エリアA内に存在する。
【0045】
近隣にサービス・エリアBがあり、そこには同じ主装置Mと線路で接続された複数の基地局がある。そのうちの1つの基地局BB1がサービス・エリアA内にある。サービス・エリアAとサービス・エリアBは重なり合っているから、サービス・エリアAはサービス・エリアBの干渉を受ける。したがって、同期管理基地局BAsが独自のタイミングで同期管理するならば、スロットの衝突が発生する。そこで、この状態を検知した同期管理基地局BAsは、スロットの干渉または衝突を回避するための動作に入る。
【0046】
同期管理基地局BAsは、サービス・エリアBの基地局BB1の無線信号を受信し、この無線信号のタイミングを基準にして自己の自走発振部16が出力する位相基準クロックCLPとの偏差を求め、その偏差を最小にするように位相調整をして同期クロックFLPを作成し、これを従属基地局BA1〜BAnに無線で供給している。各従属基地局BA1〜BAnは、この同期クロックFLPをもとに動作タイミングの偏差を測定し、その偏差を最小となるように位相調整し、同期管理基地局BAsを含む他の基地局に無線で報告する。各基地局は全ての基地局の偏差状況を把握することができる。このようにして、サービス・エリアAはサービス・エリアBに同期することができるから、サービス・エリアBからの干渉を回避することができる。
【0047】
図7には、図5において説明した他のサービス・エリアXからの無線干渉が発生している場合の、同期確立前のスロット・タイミングを示している。各基地局に共通の無線周波数チャネル、たとえば制御キャリアを受信することができる。この無線による制御キャリアを用いて、同期管理基地局BAsから送信される同期クロックFLPを基にして、各基地局BA1〜3は、自己の位相基準クロックCLPとの差分相対時間ts1,ts2,ts3を位相測定部17において位相測定する。位相測定結果は、位相測定用バスBM、データ・バスDB、制御用バスBCを介して、制御部21に伝えられる。
【0048】
たとえば、基地局BA1(識別番号:1)は、同期管理基地局BAsの基準タイミングTsから時間ts1だけ経過後に自己の利用するスロットを受信することになる。同様に、基地局BA2(識別番号:2)は、同期管理基地局BAsの基準タイミングTsから時間ts2だけ経過後に自己の利用するスロットを受信することになる。基地局BA3(識別番号:3)は、同期管理基地局BAsの基準タイミングTsから時間ts3だけ経過後に自己の利用するスロットを受信することになる。
【0049】
ここで、同期管理基地局BAsには、たとえば、フレーム1のスロット1を利用するように事前に割り当てられている。同様に、基地局BA1はフレーム2のスロット1を、基地局BA2はフレーム3のスロット1を、基地局BA3はフレーム4のスロット1を利用するように事前に割り当てられている。したがって、各基地局BA1〜3は、制御部21において自己の位相基準クロックCLPからのずれ(偏差)を算出し、算出結果を制御用バスBC、データ・バスDB、位相調整用バスBPを介して位相調整部18に伝える。位相調整部18は、制御部21からの指示通りに位相調整して各基地局BA1〜3に事前に割り当てられているフレーム番号のスロット1を使用するように自己の基地局内の同期クロックを位相調整する。
【0050】
図8には、図7において説明した差分相対時間を位相測定により制御部21で算出し位相調整した後の状態における、同期確立後のスロット・タイミングを示している。同期確立前(図7)と同期確立後(図8)対比しながら説明する。仮に、図7における各基地局BA1〜3のそれぞれにおいて、それぞれの差分相対時間ts1,ts2,ts3をマイナス(進める:図面上左に移動する)方向に位相調整する(図面上のA1〜3のスロット1をAsのスロット1に一致させる)ならば、各基地局BA1〜3のスロットのタイミングは、図8のフレームF1のスロット1に一致することになる。
【0051】
そこで、基地局BA1(CS#=1)はスロットのタイミングを、1フレーム周期TF分プラス(遅らせる:図面上右に移動する)方向に位相調整すると、スロットのタイミングは事前に割り当てられている図8(c)のフレームF2のスロット1に一致することになる。同様にして、基地局BA2(CS#=2)はスロットのタイミングを、2フレーム周期2TF分プラス(遅らせる:図面上右に移動する)方向に、基地局BA3(CS#=3)はスロットのタイミングを、3フレーム周期3TF分プラス(遅らせる:図面上右に移動する)方向に、それぞれ位相調整して事前に割り当てられているフレームF3とF4のそれぞれのスロット1に一致することになる。
【0052】
これを一般化すると、同期管理基地局BAsの基準タイミングTsの場合、位相調整すべき調整時間Tcs、使用するスロット番号Nssとフレーム番号Nfsは、CS#をi、スロット周期をTslot、差分相対時間をtsi、nは3以上のたとえば26として、CS#=iの差分相対時間はtsiであり(図7)、これをマイナス方向に移動し、図8(a)の同期クロックFLPからの時間的距離 iTFだけ遅らせるのだから、送信に4スロット、受信に4スロットを使用するとして、
iTF={(フレーム番号−1)TF+(スロット番号−1)}TF}/8
と表すことができる。
【0053】
そこで、
調整時間Tcs=iTF−tsi (1)
スロット番号Nss=i/n (小数点以下は繰り上げ) (2)
フレーム番号Nfs=i+1 (3)
フレーム周期TF=8Tslot (4)
となる。ここで、同期管理基地局BAsの場合は、CS#=sは、i=s=0であり、tsi=0である。調整すべき時間は式(1)により求めることができる。式(2)により、CS#=1〜nの基地局のスロット番号は1、CS#=n+1〜2nの基地局のスロット番号は2、CS#=2n+1〜3nの基地局のスロット番号は3、CS#=3n+1〜4nの基地局のスロット番号は4となる。その結果、図8(c)の白太枠のスロットで示すようになる。
【0054】
図5に示した他のサービス・エリアXからの無線干渉が発生している場合には基準タイミングTxを用いる。この場合には、調整時間Tcxと使用するスロット番号Nsxは、CS#=xの基地局BX1を基準タイミングTxとして使用するから、
調整時間Tcx=Tcs−txs=iTF−tsi−txs (1x)
スロット番号Nsx=Nss (2x)
となる。その結果、図8(c)の斜線付き太枠のスロットで示すようになる。
【0055】
他のサービス・エリアXからの無線干渉の無い場合(図4)には、同期管理基地局BAs独自のタイミングで基準タイミングTsを送出し、それを基にして差分相対時間ts1,ts2,ts3が測定されている。そこで、他のサービス・エリアXに存在する基地局BX1(CS#は不明であるから、説明の都合上xとする。)からの(図5に示した)無線干渉が発生した場合には、同期管理基地局BAsは基地局BX1からの無線信号を受信して、その差分相対時間txsを得る。基地局BX1からの無線信号を基準タイミングTxとすると、これを基準にすると、各基地局BA1〜3との差分相対時間tx1,tx2,tx3となる。2組の差分相対時間tx1,tx2,tx3とts1,ts2,ts3とのそれぞれの時間差は、txsである。したがって、基地局BX1からの無線信号を基準タイミングTxとして時間差txsが最小になるように、同期管理基地局BAsが位相調整する。
【0056】
図8(c)の白太枠のスロットは同期管理基地局BAsの基準タイミングTsを基準にしたときの、斜線つき太枠のスロットは基地局BX1に同期した基準タイミングTxを基準にしたときの、それぞれの送信スロットを示している。受信スロットは図を見やすくするために示していないが、同じフレームの後半の同じスロット番号が使用される。同図(a)には同期クロックFLPが、(b)にはフレーム信号が示されている。同期クロックFLPは、たとえばn=26として、フレームF1〜Fnごとに繰り返されている。フレーム周期はTFである。このようにして、スロットの衝突を回避して、基地局の棲み分けが可能となる。図6に示したサービス・エリアAとBの干渉の場合は、サービス・エリアBを、図5のサービス・エリアXに置き換えれば、同様に衝突の無い同期した動作をする。
【0057】
図9には、制御部21における同期確立動作の流れが示されている。同期管理基地局BAsは、制御部21の指示で従属基地局BAiへ同期クロックFLPを送る。それを受けた従属基地局BAiは位相調整して返送する。返送されたタイミングを同期管理基地局BAsの位相測定部17で測定し、測定結果を制御部21に渡す。制御部21は位相調整すべき調整時間を式(1)により算出する(S101)。その結果、補正すべきフレーム数(S102)、補正すべきスロット数(S103)、微調整すべき補正時間(S104)が算出される。これら調整の指示は、位相調整部18(図3)に対して出される。
【0058】
補正すべきフレーム数は、フレーム・レベル調整器53に書き込み信号WRとして指示される。5msのフレーム周期TFを単位として調整される。補正すべきスロット数は、スロット・レベル調整器52に対して書き込み信号WRとして指示される。625μsのスロット周期Tslotを単位として調整される。微調整は、0.5μs周期の位相基準クロックCLPを単位として調整される。補正すべき位相基準クロックCLPの数は、スロット時間調整器51に書き込み信号WRとして指示される。このようにして、1スロットの1250分の1の時間(0.5μs)単位で微調整がなされ、同期確立動作は終了する。
【0059】
式(1)の調整時間Tcsから、補正すべきフレーム数Ncf、補正すべきスロット数Ncsおよび微調整すべき補正時間Tcdは、次のようになる。ここで、Floor(x)は、xの整数部を表す。
Ncf=Floor(Tcs/TF) (5)
Ncs=Floor{(Tcs−NcfTF)/Tslot} (6)
Tcd=Tcs−NcfTF−NcsTslot} (7)
【0060】
式(5)は、調整時間Tcsをフレーム周期TFで分割したときのフレーム数(端数を切捨てた整数)を表している。式(6)は、式(5)で切り捨てた端数(Tcs−NcfTF)の中にスロット(周期Tslot)がいくつ含まれるかを端数切捨てで表している。式(7)は、式(6)で切り捨てた端数を表している。
【0061】
図10には、同期管理基地局BAsの電源が投入され、動作を開始し活性化したときの最初に行われるCS#の割り当て動作のシーケンスが示されている。図4を参照しながら説明する。同期管理基地局BAsが活性化すると、従属基地局BA1〜nに活性化の通知をする(S1)。この同期管理基地局BAsからの活性化通知には、同期管理基地局BAsのCS#と活性化したことを伝えるメッセージが含まれている。
【0062】
これを受けた従属基地局BA1〜nは、活性化していることを同期管理基地局BAsに通知する(S2)。この従属基地局BA1〜nから同期管理基地局BAsに宛てた活性化通知には、従属基地局BA1〜nのCS#と活性化したことを伝えるメッセージが含まれている。これを受けて、同期管理基地局BAsは、最新の従属基地局のCS#リストを照合することによって、活性化していない従属基地局の存在や、未更新のままになっているCS#の誤りを知ることができる。
【0063】
同期管理基地局BAsは、各従属基地局BA1〜nに対して新たにCS#を割り当てたことと、CS#を通知する(S3)。そこで各従属基地局BA1〜nは最新のCS#をセットする。すなわち、まだCS#を付与されていなかった場合、あるいは、これまで使用していたCS#と異なる場合は、新しいCS#とそれに対応する新スロット番号に変更し、同期管理基地局BAsに対して、新CS#を受信した旨を通知する(S4)。
【0064】
図11には、従属基地局BA1〜nの1つ、たとえば、BA1の電源が投入され、動作を開始し活性化したときの最初に行われるCS#の割り当て動作のシーケンスが示されている。図4を参照しながら説明する。従属基地局BA1が活性化すると、同期管理基地局BAsに活性化の通知をする(S11)。この従属基地局BA1からの活性化通知には、従属基地局BA1のCS#と活性化したことを伝えるメッセージが含まれている。
【0065】
これを受けた同期管理基地局BAsは、最新の従属基地局のCS#リストを照合することによって、従属基地局BA1のCS#を割り当てし、従属基地局BA1に対してCS#割り当て通知をする(S12)。従属基地局BA1は、受け取った最新のCS#をセットする。すなわち、まだCS#を付与されていなかった場合、あるいは、これまで使用していたCS#と異なる場合は、新しいCS#とそれに対応する新スロット番号に変更し、同期管理基地局BAsに対して、新CS#を受信した旨を通知する(S13)。
【0066】
図12には、同期管理基地局BAsと、たとえば、従属基地局BA1との間のタイミング制御に関する通信のシーケンスが示されている。同期管理基地局BAsは、各従属基地局BA1〜nのタイミングのずれ(偏差)を測定して差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3を把握しており、その偏差が所定値を超えたことを検出したとき、あるいは定期的に送信の指示である送信トリガを発生し、それにより、各従属基地局、たとえば、従属基地局BA1に対して偏差情報を差分相対時間ts1またはtx1として通知する(S21)。これを受けた従属基地局BA1は、偏差が最小となるように自己の基地局内のクロックの位相を調整して、その完了を位相調整完了通知として、同期管理基地局BAsに送る(S22)。この位相調整の完了は、同期管理基地局BAsが従属基地局BA1の差分相対時間ts1またはtx1を監視しているならば知ることができるから、ステップS22の位相調整完了通知は省略することも可能である。
【0067】
図13には、同期管理基地局BAsと、たとえば、従属基地局BA1との間のCS#の再割り当て動作のシーケンスが示されている。従属基地局BA1が新CS#に更新していない場合には、スロットの衝突などが発生し、同期管理基地局BAsにおいて差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3を測定できないケースが発生する。そのときは、CS#の再割り当てを行う。同期管理基地局BAsは、たとえば、従属基地局BA1に対して、差分相対時間ts1またはtx1を測定できない旨の差分相対時間測定不可通知を送る(S31)。
【0068】
従属基地局BA1は、空きスロットを検出し、これを新スロットとして使用する。この棲み分け完了を同期管理基地局BAsに通知する(S32)。この間、同期管理基地局BAsは差分相対時間測定を停止中である。従属基地局BA1は、新スロットに対応した新CS#を決定し、新CS#決定通知を同期管理基地局BAsに送る(S33)。新CS#決定通知を同期管理基地局BAsが受け取ると、新CS#により差分相対時間測定を再開する。同期管理基地局BAsは、新CS#を確認するまでは従属基地局BA1に対する信号の送信はしない。空きスロットをこれを新スロットとして使用することを確認すると、同期管理基地局BAsは、新CS#を受信したことを従属基地局BA1に対して通知する(S34)。
【0069】
図14には、同期管理基地局BAsまたは、従属基地局BA1〜nにおけるデータ登録メモリ部22のメモリ登録情報の構成例が示されている。同図(a)には、同期管理基地局BAsの傘下の従属基地局BA1〜nのチャネル・スロット識別情報CSIDのID1〜nとアドレスa1〜nの格納されている様子が示されている。
【0070】
同図(b)には、基準タイミング選択情報として使用されている基地局のチャネル・スロット識別情報が格納されている様子が示されている。図4の場合はCSID=IDAs、図5の場合はCSID=IDAsまたはIDXs、図6の場合はCSID=IDAsまたはIDBsとなる。このCDIDが自己のCDIDと一致した場合は、自己が基準タイミングを出す同期管理基地局として選択されたことを意味するから、その後は、同期管理基地局BAsまたはBBsは自己のタイミングで同期クロックFLPを作成して従属基地局に対して無線送信する。自己のCSIDと一致しない場合は、自己が従属基地局であることを知り、同期管理基地局BAsからの同期クロックFLPを無線受信し、差分相対時間情報を得て自己のタイミングの位相調整をする。
【0071】
同図(c)には、同期管理基地局BAsのCSID=IDsが格納されている様子が示されている。ここに書き込まれた識別情報が自己の識別情報に一致した場合は、自己が基準タイミングを出す同期管理基地局になったことを意味する。同図(d)には、差分相対時間情報であることを示す種別0,1,2,3と、それを送信すべき時間間隔が格納されている様子が示されている。種別0は、自己宛ての差分相対時間情報の送信をしないことを意味する。自己が基準タイミングを出す同期管理基地局BAsとして選定されたときには種別0となる。種別1は、差分相対時間情報の無線による送信が指定の時間間隔で所定の回数測定されたときに送られてくることを意味する。種別2は、各従属基地局の最新の差分相対時間情報が無線により指定の時間間隔で送られてくることを意味する。
【0072】
図15には、同期管理基地局BAsにおける動作開始時にデータ登録メモリ部22から従属基地情報を読み出して、制御部21内のワークRAM(ランダム・アクセス・メモリ)に書き込んでおくワーク情報が示されている。同図(a)には、同期管理基地局BAsおよび従属基地局BA1〜nの情報が収納されている。収納されている情報は、基地局名、CSID、アドレス、制御キャリアでのスロット番号(制御スロット番号)を指示しているCS#である。制御スロット番号は、移動端末と基地局間の無線通信の制御キャリアにおいて使用されるものである。同図(b)には、割り当てCS#管理テーブルが示されている。そこには、同期管理基地局BAsから割り当てを受けたCS#を収納している。
【0073】
図16は、従属基地局BAiの動作開始時に行われるCS#決定までの動作の流れを示している。以下、図4を用いて説明すると、たとえば、従属基地局BAiが前回使用していたCS#を用いて動作を開始すると、同期管理基地局BAsは、従属基地局BAiのタイミング衝突を調査する。従属基地局BA1の動作休止中に環境の変化があり、衝突発生の可能性があるからである(S121)。そこで衝突があった場合は(S122Y)、同期管理基地局BAsは、使用することができそうな(空いている)3個のCS#を従属基地局BAiに送出する(S123)。
【0074】
通知を受けた従属基地局BAiは、通知された3個のうちの1つの空いているものを使って電波を出す(S124)。この電波を受けて同期管理基地局BAsは、タイミング衝突を調査する(S121)。その結果、タイミング衝突のないことを確認すると(S122N)、同期管理基地局BAsは、従属基地局BAiに対し、そのCS#のチャネル・スロットを今後使用しても良いとする新CS#決定通知を出す(S125)。これを受けた従属基地局BAiは、その後は新CS#で指定されたフレームのスロットを使用してタイミング衝突することなく動作を続けることができる(S126)。
【0075】
以上に説明した構成および動作により、本システムは次の機能を具備することができる。
1. 差分相対時間測定機能
2. 基地局間通信機能
3. クロック位相補正機能
4. 他システムとのスロット衝突回避機能
5. 棲み分け機能
【0076】
これらの各種機能について、以下に説明する。
1. 差分相対時間測定機能について
同期管理基地局BAsは、従属基地局BA1〜nからの無線制御キャリアによって従属基地局BA1〜nが使用している各基地局タイミングを測定することができる。同期管理基地局BAsは、自己の位相基準クロックCLPと各従属基地局タイミング、あるいは、スロットの衝突を生じた他のサービス・エリアX(またはB)の基地局BX1(またはBB1)との時間差を差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3として得ることができる(図7)。他のサービス・エリアX(またはB)の基地局BX1X(またはBB1)との時間差は、基地局BX1X(またはBB1)のタイミングを基準タイミングTxとして用い、同期管理基地局BAsと基地局BX1(またはBB1)の時間差txsを得ている。
【0077】
2. 基地局間通信機能
同期管理基地局BAsは他の基地局のアドレスをデータ登録メモリ部22に登録しており、測定した差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3は、登録された各従属基地局BA1〜nに所定の時間間隔で送信される(図14)。送信の時間間隔は、定期的あるいはスロット衝突の発生時など不定期に実行するべく設定することができる。
【0078】
3. クロック位相補正機能
同期管理基地局BAsは、差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3を得ることができる(図7)。さらにスロット衝突時の他のサービス・エリアX(またはB)の基地局BX1(またはBB1)との時間差は、基地局BX1(またはBB1)のタイミングを基準タイミングTxとして用い、同期管理基地局BAsと基地局BX1(またはBB1)の時間差txsを得ている。これらの差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3が最小となるように各従属基地局BA1〜nのタイミングをそれぞれの位相調整部18で位相調整している。差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3は、定期的に、または、不定期に同期管理基地局BAsから従属基地局BA1〜nに通知されるから、各従属基地局BA1〜nは、通知を受けた都度補正すべきか否かを検討し、補正を要する場合には、差分相対時間ts1,ts2,ts3またはtx1,tx2,tx3を最小となるように位相調整している。
【0079】
4. 他システムとのスロット衝突回避機能
他のサービス・エリアX(またはB)に存在する基地局BX1(またはBB1)からの(図5または6に示した)無線干渉が発生した場合には、同期管理基地局BAsは基地局BX1(またはBB1)からの無線信号を受信して、その差分相対時間txsを得る。基地局BX1(またはBB1)からの無線信号を基準タイミングTxとして、各従属基地局BA1〜3との差分相対時間tx1,tx2,tx3を得る。2組の差分相対時間tx1,tx2,tx3とts1,ts2,ts3とのそれぞれの時間差は、txsである。したがって、基地局BX1(またはBB1)からの無線信号を基準タイミングTxとして時間差txsが最小になるように、同期管理基地局BAsが位相調整するならば、基地局BX1(またはBB1)とのスロットの衝突は回避することができる。
【0080】
5. 棲み分け機能
各従属基地局BA1〜3は、同期管理基地局BAsからの差分相対時間tx1,tx2,tx3またはts1,ts2,ts3を最小にするべく位相調整し、同期確立後は、各基地局に割り当てられたスロットを使用して送信し受信するから、他のサービス・エリアX(またはB)に存在する基地局BX1(またはBB1)からの(図5または6に示した)無線干渉が発生する場合であっても、スロットの衝突は回避することができる(図8)。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本願発明の基地局の実施例を示した回路構成図である。(実施例1)
【図2】図1の構成要素である位相測定部の具体的な回路構成図である。
【図3】図1の構成要素である位相調整部の具体的な回路構成図である。
【図4】本発明における、他のサービス・エリアからの無線干渉の無い場合の基地局配置図である。
【図5】本発明における、他のサービス・エリアからの無線干渉が存在する場合の基地局配置図である。
【図6】本発明における、同一主装置配下の他のサービス・エリアからの無線干渉が存在する場合の基地局配置図である。
【図7】図5に示した他のサービス・エリアからの無線干渉が発生している場合の同期確立前のスロット・タイミング図である。
【図8】図5に示した他のサービス・エリアからの無線干渉が発生している場合の同期確立後のスロット・タイミング図である。
【図9】図1の構成要素である制御部の同期確立動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】同期管理基地局BAsが動作を開始し、活性化したときの最初に行われるチャネル・スロット番号の割り当て動作のシーケンス図である。
【図11】従属基地局の1つが動作を開始し、活性化したときの最初に行われるチャネル・スロット番号の割り当て動作のシーケンス図である。
【図12】同期管理基地局と従属基地局との間のタイミング制御に関する通信のシーケンス図である。
【図13】同期管理基地局と従属基地局との間のチャネル・スロット番号の再割り当て動作のシーケンス図である。
【図14】同期管理基地局におけるメモリ登録情報の構成例である。
【図15】同期管理基地局または従属基地局における動作開始時にデータ登録メモリ部から読み出して制御部内のワークRAMに書き込んでおくワーク情報構成図である。
【図16】従属基地局の動作開始時に行われるチャネル・スロット番号決定までの動作の流れを示すフローチャートである。
【図17】従来から用いられているTDMA-TDD方式のTDMAフレームとスロットの構成図である。
【図18】従来の各基地局がTDMA-TDD方式の1つのスロットを使用して交信している使用スロット図である。
【図19】従来の同期をとることのできない基地局間のスロット間干渉図である。
【図20】従来の主装置から多くの基地局に対して同期クロックFLPを供給する同期クロック供給図である。
【図21】従来の同期クロックFLPを基準タイミングとした基地局の棲み分け図である。
【符号の説明】
【0082】
11 無線送受信部
12 変復調部
13 無線制御部
14 音声処理部
15 LAN・IF部
16 自走発振部
17 位相測定部
18 位相調整部
19 処理クロック生成部
21 制御部
22 データ登録メモリ部
45 アップ・カウンタ
51 スロット時間調整器
52 スロット・レベル調整器
53 フレーム・レベル調整器
AT アンテナ
B,BA,BB,BX 基地局
BC 制御用バス
BI インタフェース用バス
BM 位相測定用バス
BP 位相調整用バス
BV 音声処理用バス
BW 無線制御用バス
CI 通信情報
CLP 位相基準クロック
CLS 信号基準クロック
CLT フレーム・クロック
CLV 音声処理クロック
CSID チャネル・スロット識別情報
CS# チャネル・スロット番号
DB データ・バス
F フレーム
FLP 同期クロック
INT 割り込み信号
L 通信線路
LAN 構内情報通信網
M 主装置
MI メモリ情報
RD 読み出し信号
RS リセット端子
SRC 送受信制御情報
T 周期
si,txi 差分相対時間
WR 書き込み信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングを受けて前記従属基地局(BA1〜n)が従属基準タイミングを作成する場合に、
前記従属基地局(BA1〜n)が、前記管理基準タイミングとの時間差である差分相対時間を最小にしたタイミングで前記従属基準タイミングを作成するための従属基準タイミング作成処理をし、
前記従属基地局(BA1〜n)が、前記同期管理基地局(BAs)に無線で前記従属基準タイミングを送るための従属基準タイミング送信処理をし、
前記同期管理基地局(BAs)が、前記従属基準タイミングを無線により受信して前記従属基準タイミングと前記管理基準タイミングとの時間差である差分相対時間を測定するための差分相対時間測定処理をし、
前記同期管理基地局(BAs)は、前記差分相対時間が所定値を越えている場合には、前記差分相対時間を前記従属基地局(BA1〜n)に無線通知するための差分相対時間通知処理をし、
前記従属基地局(BA1〜n)は、前記差分相対時間通知を受けて、前記差分相対時間を最小にしたタイミングの前記従属基準タイミングを前記同期管理基地局(BAs)に無線で送り、前記差分相対時間が所定値内となったときに前記従属基地局(BA1〜n)は、前記従属基準タイミングにより動作するための従属基準タイミング確立処理をする
移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項2】
前記従属基準タイミング作成処理において、
前記管理基準タイミングと前記従属基準タイミングとの位相差を測定するための位相差測定処理(17)をし、
前記位相差から、前記差分相対時間を最小にするために必要な位相調整時間を求めるための位相調整時間算出処理(21)をし、
前記位相調整時間にしたがって基準タイミングの位相を調整して前記従属基準タイミングを得るための位相調整処理(18)をする
請求項1の移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項3】
前記位相調整時間算出処理(21)において、
補正すべきフレーム数(式(5))、補正すべきスロット数(式(6))および微調整すべき補正時間(式(7))を求めて、前記位相調整時間とし前記位相調整処理(18)における前記基準タイミングの位相を調整する
請求項2の移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項4】
前記位相調整処理(18)において、
前記微調整すべき補正時間(式(7))を得るためのスロット時間調整処理(51)をし、
前記補正すべきスロット数(式(6))を得るためのスロット・レベル調整処理(52)をし、
前記補正すべきフレーム数(式(5))を得るためのフレーム・レベル調整処理(53)をする、
請求項3の移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項5】
サービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングを受けて前記従属基地局(BA1〜n)が従属基準タイミングを作成する場合に、前記従属基地局(BA1〜n)のうちの1つ(BAi)が活性化したとき、
前記同期管理基地局(BAs)は、前記活性化従属基地局(BAi)の前記従属基準タイミングを調べて、すでに使用されているスロットとのタイミング衝突がある場合には、前記タイミング衝突を発生しない可能性のある複数の候補スロットを前記活性化従属基地局(BAi)に通知するためのスロット衝突調査処理(17,21)をし、
前記活性化従属基地局(BAi)は、前記複数の候補スロット通知を受けると、前記複数の候補スロットのうちに未使用となっている空きスロットがあることを確認して、この確認したスロットを前記同期管理基地局(BAs)に通知して使用するための従属基地局活性化処理(13,17,21)をする
移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項6】
第1のシステムによるサービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングとの差である差分相対時間を最小にした従属基準タイミングで前記従属基地局(BA1〜n)がスロットを送受信している最中に、前記第1のシステムによるサービス・エリア内に第2のシステムに属する基地局のサービス・エリアが重複し、スロット間の干渉が発生した場合に、前記同期管理基地局(BAs)において、
前記基準タイミングと前記第2のシステムに属する基地局の送受信タイミングとの位相差を測定するための位相差測定処理(17)をし、
その位相差が最小となるように前記管理基準タイミングの位相を調整するための位相調整処理(18)をする
移動通信基地局間の無線同期方法。
【請求項7】
サービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングを受けて前記従属基地局(BA1〜n)が従属基準タイミングを作成する場合に、
前記従属基地局(BA1〜n)が、
前記管理基準タイミングとの時間差である差分相対時間を最小にしたタイミングで前記従属基準タイミングを作成するための従属基準タイミング作成手段と、
前記同期管理基地局(BAs)に無線で前記従属基準タイミングを送るための従属基準タイミング送信手段と、
前記差分相対時間通知を受けて、前記差分相対時間を最小にしたタイミングの前記従属基準タイミングを前記同期管理基地局(BAs)に無線で送り、前記差分相対時間が所定値内となったときに前記従属基地局(BA1〜n)は、前記従属基準タイミングにより動作するための従属基準タイミング確立手段とを含み、
前記同期管理基地局(BAs)が、
前記従属基準タイミングを無線により受信して前記従属基準タイミングと前記管理基準タイミングとの時間差である差分相対時間を測定するための差分相対時間測定手段と、
前記差分相対時間が所定値を越えている場合には、前記差分相対時間を前記従属基地局(BA1〜n)に無線により前記差分相対時間通知をするための差分相対時間通知手段とを含んでいる
移動通信基地局間の無線同期システム。
【請求項8】
前記従属基準タイミング作成手段が、
前記管理基準タイミングと前記従属基準タイミングとの位相差を測定するための位相差測定手段(17)と、
前記位相差から、前記差分相対時間を最小にするために必要な位相調整時間を求めるための位相調整時間算出手段(21)と、
前記位相調整時間にしたがって基準タイミングの位相を調整して前記従属基準タイミングを得るための位相調整手段(18)とを含んでいる
請求項7の移動通信基地局間の無線同期システム。
【請求項9】
前記位相調整時間算出手段(21)が、
補正すべきフレーム数(式(5))、補正すべきスロット数(式(6))および微調整すべき補正時間(式(7))を求めて、前記位相調整時間とし前記位相調整処理(18)における前記基準タイミングの位相を調整する
請求項8の移動通信基地局間の無線同期システム。
【請求項10】
前記位相調整手段(18)が、
前記微調整すべき補正時間(式(7))を得るためのスロット時間調整手段(51)と、
前記補正すべきスロット数(式(6))を得るためのスロット・レベル調整手段(52)と、
前記補正すべきフレーム数(式(5))を得るためのフレーム・レベル調整手段(51)とを含んでいる
請求項9の移動通信基地局間の無線同期システム。
【請求項11】
サービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングを受けて前記従属基地局(BA1〜n)が従属基準タイミングを作成する場合に、前記従属基地局(BA1〜n)のうちの1つ(BAi)が活性化したとき、
前記同期管理基地局(BAs)は、前記活性化従属基地局(BAi)の前記従属基準タイミングを調べて、すでに使用されているスロットとのタイミング衝突がある場合には、前記タイミング衝突を発生しない可能性のある複数の候補スロットを前記活性化従属基地局(BAi)に通知するためのスロット衝突調査手段(17,21)を含み、
前記活性化従属基地局(BAi)は、前記複数の候補スロット通知を受けると、前記複数の候補スロットのうちに未使用となっている空きスロットがあることを確認して、この確認したスロットを前記同期管理基地局(BAs)に通知して使用するための従属基地局活性化手段(13,17,21)を含んでいる
移動通信基地局間の無線同期システム。
【請求項12】
第1のシステムによるサービス・エリア内の複数の基地局の中の1つを同期管理基地局(BAs)とし、他の基地局を従属基地局(BA1〜n)とし、前記同期管理基地局(BAs)が前記従属基地局(BA1〜n)に無線で管理基準タイミングを送り、この管理基準タイミングとの差である差分相対時間を最小にした従属基準タイミングで前記従属基地局(BA1〜n)がスロットを送受信している最中に、前記第1のシステムによるサービス・エリア内に第2のシステムに属する基地局のサービス・エリアが重複し、スロット間の干渉が発生した場合に、
前記同期管理基地局(BAs)が、
前記基準タイミングと前記第2のシステムに属する基地局の送受信タイミングとの位相差を測定するための位相差測定手段(17)と、
その位相差が最小となるように前記管理基準タイミングの位相を調整するための位相調整手段(18)とを含んでいる
移動通信基地局間の無線同期システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−101252(P2006−101252A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285651(P2004−285651)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】