説明

穀粒排出装置

【課題】排出オーガを詰まらせることなく、かつ穀粒を損傷せずに排出する穀粒排出装置を提供する。
【解決手段】制御部50は穀粒排出スイッチ51と、エンジン回転センサ52からの信号が入力し、穀粒排出スイッチ51の立ち上がりエッジの際にはエンジン回転センサ52の検出したエンジン回転数が規定回転数以上で穀粒排出用切換え電磁バルブ43を開き、オーガ駆動装置を駆動する。排出オーガの駆動が一旦開始されると、エンジン回転数が低下しても、排出オーガの駆動は維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出オーガによって穀粒を排出するコンバインにおける穀粒排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、コンバインにおける穀粒搬送装置は、横ラセン及び縦ラセンからなる排出オーガが用いられている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、グレンタンク内に一時的に貯留している穀粒をブロアによって発生した空気の搬送力によって穀粒排出口まで搬送する穀粒排出装置を備えたコンバインも提案されている。該コンバインの穀粒搬出装置は、穀粒排出開始時及び穀粒排出中に、走行機体を駆動させるエンジンの回転数を検出するエンジン回転センサが検出したエンジン回転数が、穀粒排出開始時に穀粒の排出開始に必要な規定回転数以下の場合、穀粒排出を停止するように構成されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−253037号公報
【特許文献2】特開2006−20572号公報
【特許文献3】特開2002−330618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、穀粒の排出は、排出に伴う穀粒の損傷を最小限に留める為に、穀粒排出装置を出来る限り低回転で駆動することが望ましい。一方、穀粒排出装置の詰まりを防止するためには穀粒タンクに貯留された穀粒全体の重みのかかった横ラセンの駆動を開始させるため、穀粒排出開始の際に最も穀粒を排出する力が必要となる。
【0006】
従来の穀粒排出装置では、穀粒排出中においてもエンジン回転数が規定回転数以下の場合、オーガ駆動装置が非駆動状態となり穀粒排出が停止してしまう。そのため穀粒の排出中も常にエンジン回転数は規定回転数以上となり、エンジンの回転に基づいて回転するオーガ駆動装置も高回転となるため、穀粒の損傷率が高くなっていた。
【0007】
また特に種子用の穀粒を回収する場合、エンジンの回転数が高い状態で穀粒を排出すると、穀粒の損傷率の増加及びそれに伴う発芽率の低下等の支障を来していた。
【0008】
上記引用文献3記載の穀粒排出装置は、ブロアによるため、オーガによるものに比し、穀粒の損傷率は低いが、長い穀粒搬出筒に亘って送風手段により穀粒を搬送するため、搬送力が弱く、エンジンの回転数を落とすことができず、穀粒詰まりが発生しやすい。
【0009】
本発明は、最も穀粒の搬送力が必要な穀粒排出開始時にはエンジンの回転数が規定回転数以上でなければ穀粒の排出を開始せず、穀粒の排出中にはオーガ駆動装置が規定回転数以下であっても穀粒の排出が可能とし、もって上述した課題を解決した穀粒排出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、エンジンと、グレンタンク(7)と、該グレンタンク(7)内の穀粒を外部に排出する排出オーガ(10)と、該排出オーガ(10)を前記エンジンの回転に基づき駆動する状態と前記エンジンからの動力を断つ非駆動状態に切換えるオーガ駆動装置(D)と、を備えてなるコンバインの穀粒排出装置において、
前記エンジンの回転数を検知するエンジン回転センサ(52)と、
前記オーガ駆動装置(D)を駆動状態に切換えて、穀粒の排出を開始する際、前記エンジン回転センサ(52)により検出したエンジン回転数が穀粒の排出開始に必要な規定回転数以下の場合、該オーガ駆動装置(D)を非駆動状態に保持し、前記オーガ駆動装置(D)が駆動状態にあって、かつ穀粒の排出中は、前記エンジン回転数が前記規定回転数以下であっても前記オーガ駆動装置(D)を駆動状態に保持するように制御する制御部(50)と、を備えたことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置にある。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記オーガ駆動装置(D)を駆動状態に切換える際に前記エンジン回転数が前記規定回転数以下の場合、警告を発する警告装置(53)を備え、
前記警告装置(53)は、警告中に前記オーガ駆動装置を切換えるスイッチ(51)を再度押すことによって排出オーガ(10)が駆動可能となるように構成されてなる、請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、排出オーガが最も詰まりやすい穀粒排出開始時においてエンジンが規定回転数以上でなければ穀粒が排出されないため、穀粒の搬送力不足による排出オーガの詰まりを防止することができる。また、穀粒の排出中において規定回転数以下であっても穀粒の排出が可能であるため、低回転での排出オーガの駆動が可能となり、穀粒の損傷率を低下することができる。特に、穀粒を種子用として収穫するような場合、オーガ駆動装置の回転数を落として穀粒を排出することにより、穀粒の損傷率が低くなり、良好な種子用穀粒を回収することが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明によると、オーガ駆動装置を駆動状態に切換える際にエンジン回転数が規定回転数以下の場合、警告を発する警告装置を設けたので、エンジン回転数が低いことにより排出オーガが駆動されないことをオペレータに知らせることができる。更に、該警告装置を、オーガ駆動装置の切換えスイッチを再度押すことによって排出オーガが駆動可能となるように構成したため、エンジン回転センサの断線、単品故障等のセンサ不良によって穀粒排出不可能な場合には、スイッチを再度押すことにより上記警告を解除して、穀粒の排出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明を実施したコンバインの側面図である。コンバインは走行機体1を有し、該走行機体1はクローラ式の走行装置3に支持された機体フレーム2上に配設されている。また走行機体1の右側前部には運転席6が設けられている。走行機体1の前方には、穀稈を刈り取る前処理部4が昇降自在に設けられており、前処理部4で刈り取られた穀稈は、運転席左側方に配置された穀稈搬送部によって搬送され、穀稈搬送部の後方に設けられた脱穀部によって脱穀される。
【0015】
脱穀部の右側方で、運転席6の後方には、脱穀装置で脱穀された穀粒を一時的に貯留するグレンタンク7が配設されている。また、グレンタンク7後方底部において、グレンタンク7内に一時的に貯留されている穀粒を排出するための排出オーガ10を構成する縦ラセン筒11が接続されている。縦ラセン筒11はその上端において、オーガ筒12と接続しており、オーガ筒12の先端部には穀粒を排出する穀粒排出口13が設けられている。
【0016】
図2は縦ラセン筒の下端部分の要部断面図である。グレンタンク7は、下方に向かうにつれて両側より漏斗状になっており、常にグレンタンク7内に貯留された穀粒は下部側より序々に充填される。グレンタンク7の底部には、グレンタンク7内に一時的に貯留してある穀粒を横方向に搬送する横ラセン20が設けられており、横ラセン20は、その後端部において縦ラセン21の下端部と近接するように配置されている。
【0017】
横ラセン20は、機体前後方向に延設された横ラセン軸22の周囲に複数のラセン羽根23・・・を有しており、横ラセン軸22の縦ラセン21側端部には横ラセン20によって搬送された穀粒を跳ね上げ、縦ラセン21へと受け渡す跳上羽根24を備えている。
【0018】
縦ラセン21は、機体上下方向に延設された縦ラセン軸25の周囲に複数のラセン羽根26・・・を有している。縦ラセン軸25の下端部には中間継手30が備わっており、中間継手30の中間部に嵌合したベベルギア28と、横ラセン軸22の末端部に嵌合したベベルギア27が噛合することによって縦ラセン21と、横ラセン20は連動している。また、中間継手30はカップリング31を介して後述する油圧モータ34を駆動源とする出力軸35と結合している。なお、オーガ筒12内にも、上記縦ラセン軸25に連動してラセン軸が設けられており、これらラセン及び筒により、排出オーガ10が構成される。
【0019】
図3は伝動ケース32部分の要部背面断面図である。高圧油を注入及び排出することで動力を発生させる油圧モータ34は、ケース32に固定されており、該ケースに回転自在に支持された出力軸35に回転動力を出力する。出力軸35には回転方向が水平方向となる駆動ギア36が嵌合されており、駆動ギア36は従動ギア37と噛合している。また、駆動軸33はケース32に回転自在に支持されていると共に、その下端部において従動ギア37を嵌合している。
【0020】
図4は、油圧モータ周りの油圧回路図である。油圧モータ34にはエンジンからの動力を受けるオイルポンプ41によって走行機体1側に設けられたオイルタンク40から油が供給される。オイルポンプ41の出力側には、穀粒排出用の電磁切換えバルブ43が設けられており、該切換えバルブ43の出力側とオイルタンク40の間に油圧モータ34が接続されている。また、油圧モータ34と並列的にアンロードバルブ44が設けられており、穀粒排出用の電磁切換えバルブ43と、アンロードバルブ44によって油圧モータ34に油を供給するオイル供給手段42が構成されている。これら油圧ポンプ41、油圧モータ34及びオイル供給手段42により、オーガ駆動装置Dを構成する。
【0021】
油圧モータ34は、オイルポンプ41からの油圧によって作動するため、穀粒排出用の電磁切換えバルブ43の開(ON)/閉(OFF)の切換えによって回転が制御される。穀粒排出用の電磁切換えバルブ43がONの場合、油圧モータ34に油が供給され、油圧モータ34は回転駆動される。穀粒排出用の電磁切換えバルブ43がOFFの場合、油圧モータ34への油は供給が停止され、油圧モータ34の回転駆動は停止する。
【0022】
図5は、制御部50のブロック図である。上記穀粒排出用の電磁切換えバルブ43の開閉はマイコンユニットから構成される制御部50によって制御される。制御部50は穀粒排出スイッチ51と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ52と、からの信号を入力している。また、制御部50は、上記穀粒排出スイッチ51及びエンジン回転センサ52からの信号を受けて、穀粒排出用の電磁切換えバルブ43にバルブ開閉のための信号を発する。更に制御部50は、エンジン回転数が規定回転数以下の場合、警報ブザー(警告装置)53に警告を発するように制御する。
【0023】
なお、上述した実施の形態は、排出ラセンを駆動させるオーガ駆動装置に油圧モータ34を使用したが、ベルト伝動装置により伝動を断接する構成としても良い。
【0024】
次に制御部50の制御について説明する。図6は穀粒排出制御のフローチャート図である。穀粒の排出制御は、穀粒排出スイッチ51が押圧操作により入(ON)/切(OFF)操作をするモーメンタリ型であるために、まずステップS1において、穀粒排出スイッチ51の1回の押圧操作によりスイッチのON、OFF切換を検知する。穀粒排出スイッチ51が切換わった場合(例えば穀粒排出スイッチ51をOFFからONへと切換えた場合)、ステップS2へと進む。
【0025】
ステップS2では穀粒の排出状態を検知する。電源を入れた直後に穀粒排出ONフラグはリセットされるため、もし穀粒排出ONフラグがセットされている場合、穀粒排出装置は穀粒排出状態にある。ステップS2で穀粒排出ONフラグがリセットであった場合、ステップS3へと進む。
【0026】
ステップS3では、エンジンの回転数検知を行う。穀粒排出開始の際、エンジン回転数が低い状態で穀粒の排出を始めると、前回排出の際の穀粒が排出オーガ内に多少残存しているので駆動時よりも大きなトルクが必要となる。よってエンジンの回転数が規定回転数以上かを排出オーガの目詰まり防止のためにステップS3で検知する。
【0027】
ステップS3でエンジン回転数が規定回転数以上であった場合、ステップS4において穀粒の排出を開始し、ステップS5において穀粒排出ONフラグをセットする。穀粒排出ONフラグがステップS5でセットされると、スッテプS6によって警報音タイマをリセットし、リターンする。
【0028】
一方、ステップS3においてエンジンの回転数が規定回転数未満であった場合、警報音をステップS7において吹鳴し、更にステップS8において警報音タイマをセットする。ステップS8において警報音タイマをセットすると、ステップS9において穀粒の排出状態を前回の状態(穀粒非排出状態)に維持し、リターンする。
【0029】
スッテプS1において穀粒排出スイッチの切換えが行われない場合、ステップS10において警報音タイマの終了もしくは未終了かを検知する。スッテプS10において警報音タイマが終了していた場合、スッテプS11において、警報音が停止する。警報音がステップS11において停止すると、ステップS9において穀粒の排出状態を前回の状態に維持し、リターンする。また、ステップS10において警報音タイマが未終了の場合も、ステップ9において穀粒の排出状態を前回の状態に維持し、リターンする。
【0030】
つまり、穀粒排出スイッチ51の切換えをしない場合、穀粒排出中は、エンジンの回転数検知は行われずに穀粒は排出状態のまま維持され、穀粒非排出状態の場合、警報音タイマが終了か未終了かを検知された後、穀粒の排出状態は非排出状態のまま維持される。
【0031】
また、スッテプS2おいて穀粒排出ONフラグがセットされている場合、前述したように穀粒は排出状態なのでステップS12によって穀粒の排出を停止する。ステップS12で穀粒の排出を停止すると、ステップS13において、穀粒排出ONフラグをリセットし、リターンする。
【0032】
なお、本実施の形態ではエンジン回転数によって穀粒排出用の電磁切換えバルブの開(ON)/閉(OFF)の制御をしたが、電動でオーガの穀粒排出クラッチの入/切を制御するものにおいて、エンジンの回転数が低い場合にはクラッチの入り操作をしてもクラッチを入り方向に制御しないようにしても良く、更にクラッチを入り方向に制御しないかわりに警報音を発するようにしても良い。
【0033】
図7は図6の穀粒排出制御においてエンジンの回転数の検知を回避することが出来るように構成したフローチャート図である。まず、図6と同様にステップS1において穀粒排出スイッチ51の切換えを検知する。穀粒排出スイッチ51が切換わった場合、ステップS2に進み、ステップS2において、穀粒排出ONフラグがセットされているか、リセットされているかを検知する。穀粒排出ONフラグがリセットされている場合、ステップS14に進む。
【0034】
図7において新しく挿入されたステップS14は、警報音タイマの終了もしくは未終了を検知する。ステップS14において警報音タイマが終了している場合、ステップS3に進む。
【0035】
ステップS3ではエンジンの回転数を検知し、エンジン回転数が規定回転数未満の場合、ステップS7において警報音を吹鳴し、更にステップS8において警報音タイマをセットする。ステップS8によって警報音タイマをセットすると、ステップS9において穀粒の排出状態を前回の状態(穀粒非排出状態)に維持し、リターンする。
【0036】
ステップS14において、上述したステップS8においてセットした警報音タイマが未終了の場合、エンジン回転数の検知をするステップS3を回避し、ステップS4で穀粒排出を開始する。ステップS4で穀粒の排出を開始するとステップS5で穀粒排出ONフラグをセットし、ステップS6において警報音タイマをリセットしてリターンする。
【0037】
警報音タイマはエンジン回転数がステップS3において規定回転数未満の場合、ステップS8においてセットする。よって、警報音作動中(警告装置により警告が発せられている最中)に再度穀粒排出スイッチ51の切換えをすることによってエンジン回転センサ52の故障等の場合にステップS3におけるエンジン回転数の検知を回避し、穀粒排出を可能とする。
【0038】
一方、ステップS1において穀粒排出スイッチ51の切換えをしない場合、図6のフローチャートと同様にステップS10において警報音タイマの終了もしくは未終了を検知する。警報音タイマが終了している場合、ステップS11において警報音を停止し、ステップS9によって穀粒の排出状態を前回の状態に維持し、リターンする。また、ステップS10において警報音タイマが未終了の場合も、ステップS9において穀粒排出を前回状態に維持し、リターンする。
【0039】
また、ステップS3においてエンジン回転数が規定回転数以上の場合、ステップS4において穀粒の排出を開始し、ステップS5において穀粒排出ONフラグをセットする。ステップS5において穀粒排出ONフラグをセットすると、警報音タイマをステップS6においてリセットし、リターンする。
【0040】
一方、ステップS2において穀粒排出ONフラグがセットされている場合には、ステップS12において穀粒の排出を停止し、ステップS13において穀粒排出ONフラグをリセットし、リターンする。
【0041】
なお、本実施の形態ではエンジン回転数の検知を回避できるように構成したが、その他の穀粒排出に係る規制を解除できるように構成しても良い。
【0042】
また、電動でオーガの穀粒排出クラッチの入/切を制御するコンバインにおいてエンジンの回転数が低い際に、穀粒排出スイッチを入り操作してもクラッチが入り方向に制御しないように規制されたものについて、穀粒排出スイッチを押しながら電源を入れること等で規制を解除できるようにしても良い。
【0043】
ついで以上の構成による穀粒排出装置の動作について説明する。
【0044】
穀粒の排出を開始するために穀粒排出スイッチ51を切換えると、制御部50によって最初に現在の穀粒排出状態が検知される。穀粒排出状態が非排出状態であった場合、エンジン回転センサ52によって検出されたエンジンの回転数を検知する。エンジンの回転数が規定回転数以上の場合は穀粒排出を開始させ、穀粒排出ONフラグをセットする。また、エンジン回転数が規定回転数未満の場合、前回の穀粒排出状態を維持する。
【0045】
エンジン回転数の検知は、穀粒排出スイッチの状態が変化する穀粒スイッチ51の切換え時(立ち上がりエッジ)以外では関係がなく、次の立ち上がりエッジまでは穀粒の排出状態は前回状態を維持される。そのため穀粒の排出中にエンジン回転数が規定回転数以下に落ちた場合でも穀粒の排出が停止することはない。
【0046】
穀粒の排出開始時にエンジンが規定回転数以上でなくては穀粒の排出が開始されないため、穀粒タンクに貯留された穀粒全体の重みのかかった横ラセンの駆動を開始させるので最も穀粒を排出する力が必要となる穀粒排出開始の際にはエンジン回転数は規定回転数以上であり、排出オーガ内の詰まりを防止することが出来る。また、穀粒の排出中はエンジンが規定回転数以下でも穀粒の排出が可能なため、穀粒の排出中に穀粒が損傷しないようにエンジンは低回転で穀粒を排出することが出来る。
【0047】
また、排出オーガ10が横ラセン20及び縦ラセン21によって構成されている為、ブロアによって穀粒の排出を行う排出オーガを備えた穀粒排出装置と比して穀粒の排出力が強く、穀粒排出中にエンジンの回転数を落としても排出オーガが詰まりにくい。
【0048】
一方、図7の構成によると、エンジン回転センサ52の断線、エアギャップ不良、単品故障等の不具合が発生し、エンジン回転数が規定回転数未満とみなされることによって穀粒が排出不可の場合には、警報音が発せられる。警報時に再度穀粒排出スイッチ51を切換えると、エンジンの回転数の検知を回避することが出来、穀粒の排出を行うことができる。それにより、センサ故障等による農作業の中断を防止することができる。
【0049】
制御部50により穀粒排出用の電磁切換えバルブ43が開かれると、オイルポンプ41からの高圧油が油圧モータ34に流れ込み、油圧モータ34が回転駆動する。油圧モータ34が駆動すると、出力軸35から駆動ギア36、従動ギア37を介して駆動軸33に動力が伝わり、カップリング31によって駆動軸33と結合している縦ラセン軸25を回転させる。縦ラセン軸25が回転すると、縦ラセン軸25の下端部に備わっている中間継手30の中間部に嵌合したベベルギア28と、横ラセン軸22の末端部に嵌合したベベルギア27によって縦ラセン21と、横ラセン20が連動する。横ラセン20が回転すると横ラセン軸22に設けられたラセン羽根23によって、グレンタンク7に貯留してあった穀粒が横方向に搬送される。横ラセン後端部まで搬送された穀粒は、横ラセン20の跳上羽根24によって縦ラセン21に受け渡され、縦ラセン21によって縦ラセン筒11内を上方に搬送され、オーガ筒12を通り、穀粒排出口13から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を実施したコンバインの側面図である。
【図2】縦ラセン筒の下端部分の要部断面図である。
【図3】伝動ケース部分の要部背面断面図である。
【図4】油圧モータ周りの油圧回路図である。
【図5】制御部のブロック図である。
【図6】穀粒排出制御のフローチャート図である。
【図7】その他の実施の形態のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0051】
7 グレンタンク
D オーガ駆動装置
10 排出オーガ
12 オーガ筒
20 横ラセン
21 縦ラセン
50 制御部
51 穀粒排出スイッチ
52 エンジン回転センサ
53 警報ブザー(警告装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、グレンタンクと、該グレンタンク内の穀粒を外部に排出する排出オーガと、該排出オーガを前記エンジンの回転に基づき駆動する状態と前記エンジンからの動力を断つ非駆動状態に切換えるオーガ駆動装置と、を備えてなるコンバインの穀粒排出装置において、
前記エンジンの回転数を検知するエンジン回転センサと、
前記オーガ駆動装置を駆動状態に切換えて、穀粒の排出を開始する際、前記エンジン回転センサにより検出したエンジン回転数が穀粒の排出開始に必要な規定回転数以下の場合、該オーガ駆動装置を非駆動状態に保持し、前記オーガ駆動装置が駆動状態にあって、かつ穀粒の排出中は、前記エンジン回転数が前記規定回転数以下であっても前記オーガ駆動装置を駆動状態に保持するように制御する制御部と、を備えた
ことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
【請求項2】
前記オーガ駆動装置を駆動状態に切換える際に前記エンジン回転数が前記規定回転数以下の場合、警告を発する警告装置を備え、
前記警告装置は、警告中に前記オーガ駆動装置を切換えるスイッチを再度押すことによって排出オーガが駆動可能となるように構成されてなる、
請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−136438(P2008−136438A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327521(P2006−327521)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】