説明

積層鉄心と、積層鉄心を用いた回転子と電動機

【課題】
薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り止め部や、積層鉄心の冷却用の貫通孔の配置等を容易にし、小型化、軽量化された電動機において磁気的なバランスを崩すことなく電動機性能が良好な積層鉄心を提供する。
【解決手段】
打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、隣り合う薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めする係り止め部を設けて一体にかしめた積層鉄心であり、前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通した複数の貫通孔の少なくとも1つに前記貫通孔より大きな周長の凹凸形状とし、薄板鉄板相互を係り止めして一体にかしめた積層鉄心とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化された電動機の積層鉄心の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機は小型化され使用用途が広範囲に渡っている。例えば、冷凍機や空調機の圧縮機駆動用電動機等や、電気自動車等の車両用途に用いられる電動機等がある。前者においては圧縮機が搭載するスペースから、小型化、軽量化されている。また、後者においても車両搭載スペースから同様に小型化、軽量化されている。この様な電動機においては、薄板鉄板の電磁鋼板をプレス等により打ち抜かれ積層した積層鉄心が多く用いられており必要最小限に小型化、軽量化されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2001−292541号公報)に示すような電動機の積層鉄心では、磁気バランスに悪影響を与えないように凹凸部の係り止め部の直径を0.8mm以下とし凹凸部を係り合わせした積層鉄心を用いた固定子または回転子が示されている。また図7及び図8に示す様に、固定子15または回転子30の積層鉄心の直径は小型化、軽量化され必要最小限の大きさとなっている。このため積層鉄心の端面における薄板鉄板の電磁鋼板相互の凹凸部の係り止め部19a、20を配置するために必要となるスペースの割合はかなり大きくなっている。
【0004】
また、電動機の小型化、軽量化される反面、高負荷、高性能が要求されるため電動機の積層鉄心における温度上昇は、従来の電動機と比べるとかなり悪化している。従って、図7に示したように電動機の積層鉄心の温度上昇を軽減するために積層鉄心に冷却用の貫通孔5c等を設け冷却効果を高めている。これにより電動機の積層鉄心の温度上昇を軽減している。
【0005】
また、図8に示す様に積層鉄心の中心に、回転軸を挿入する軸孔31と、永久磁石33を挿入する複数の永久磁石収容孔32と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石33が外部に飛び出さないようにするために配置した端板(図示していない)とをカシメピンで一体に結合するための複数のカシメピン挿入孔5dとを備えた回転子30においても、図7で説明したのと同様に電動機の小型化、軽量化する反面、高負荷、高性能が要求されている。尚、図8に示した回転子30の永久磁石33の両端には磁束短絡防止用の空隙部34も設けられている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−292541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、小型化、軽量化される反面、高負荷、高性能が要求される電動機の積層鉄心では、薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り合わせ部19a、20や、積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の貫通孔5c等を、小径となった固定子15のヨーク部分18やティース部分17のかなり狭くなった積層鉄心の端面に配置しなくてはならない。また、無理に配置すれば積層鉄心の磁気的なバランスが悪くなり電動機特性を悪化させることになる。また、特許文献1に示す様に凹凸部の係り止め部の直径を小さくした場合、打ち抜きプレス等に設けられた凹凸部の係り止め部を形成するピンが折れ易く、薄板鉄板の電磁鋼板を打ち抜く打ち抜きスピード等も遅くしなければならない。
【0008】
また、積層鉄心の中心に回転軸を挿入する軸孔31と、永久磁石33を埋め込むための永久磁石収容孔32と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石33が外部に飛び出さないようにする端板とをカシメピンで一体に結合するためのカシメピン挿入孔5dと、更に薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り合わせ部19bや、回転子30の構造によっては積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の風孔等を設ける場合、この小さな径の回転子30の端面に構成させることはかなり難しくなってきている。特に、電動機の高負荷、高性能化により永久磁石の使用量が多くなり永久磁石33を挿入する永久磁石挿入孔32が大きく占める回転子30においては、この問題は顕著となっている。
【0009】
本発明は、このような積層鉄心における薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸係り止め部19a、19b、20や、積層鉄心の冷却用の貫通孔5cの配置等を容易にし、小型化、軽量化された電動機においても磁気的なバランスを崩すことなく電動機性能が良好な積層鉄心を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、前記積層鉄心は隣り合う前記薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めできる係り止め部を設けて一体にかしめた積層鉄心であり、
前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通された複数の貫通孔の少なくとも1つに、前記貫通孔より若干大きくした周長の凹部を設け、隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板に設けられた貫通孔より若干大きくした周長の凸部とを係り止めし、薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体にかしめた積層鉄心とする。
【0011】
また、打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、前記積層鉄心は隣り合う前記薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めできる係り止め部を設けて一体にかしめた回転子の積層鉄心であり、
前記積層鉄心の中心には、回転軸を挿入する軸孔と、永久磁石を挿入する複数の永久磁石収容孔と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石が外部に飛び出さないようにするための端板とをカシメピンで一体にかしめて結合するための複数のカシメピン挿入孔とを備え、また、回転子の構造によっては回転子を冷却するための風孔等を備えた永久磁石埋め込み形回転子において、
前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通された複数のカシメピン挿入孔もしくは風孔等の少なくとも1つに、前記カシメピン挿入孔もしくは風孔等より若干大きくした周長の凹部を設け、隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板に設けられたカシメピン挿入孔もしくは風孔等より若干大きくした周長の凸部とを係り止めし、薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体にかしめた積層鉄心とする。
【0012】
この様な積層鉄心を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載する電動機や車両用途の電動機に用いることにより、磁気的なバランスが改善され、電動機性能が悪化することのない電動機とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り止め部と、積層鉄心の温度上昇を軽減するために設けた冷却用の複数の貫通孔等の少なくとも1つを同じ位置に配置しているため、エンボス加工による凹凸部の係り止め部、もしくは貫通孔等のどちらか一方の配置を考慮するだけで決定することができる。従って、ヨーク部やティース部のかなり狭くなった積層鉄心の端面に凹凸部の係り止め部や貫通孔等を設けることによる積層鉄心の磁気的な悪影響を極力低減し電動機性能が悪化することのない積層鉄心とすることができる。また、打ち抜きプレス等に設けられた凹凸部の係り止め部を形成するピンの直径を大きくすることもできるため、ピンが折れ難く、打ち抜きスピード等を早くすることができ量産性のよい積層鉄心とすることができる。
【0014】
また、積層鉄心の中心に回転軸を挿入する軸孔と、永久磁石を挿入する複数の永久磁石収容孔と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石が外部に飛び出ないようにするための端板とをカシメピンで一体に結合するための複数のカシメピン挿入孔を備え、また回転子の構造によっては、回転子を冷却するための風孔等を備えた永久磁石埋め込み形回転子の積層鉄心においても同様に、
前記凹凸部の係り止め部を、前記積層鉄心の積層方向に貫通した複数のカシメピン挿入孔もしくは風孔等の少なくとも1つを同じ位置とすることにより、エンボス加工による凹凸係り止め部と、カシメピン挿入孔もしくは風孔等のいずれか一方の配置を考慮するだけで決定することができる。これにより回転子の積層鉄心の積層方向端部の狭い領域において磁気的な悪影響を極力低減し、電動機性能が悪化することのない積層鉄心とすることができる。
【0015】
尚、この積層鉄心を用いた電動機を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載した電動機や、車両用途に使用される電動機として搭載することにより、磁気的な悪影響を極力低減した電動機とすることができる。
【0016】
また、積層鉄心の磁気的に影響の少ない位置に凹凸係り止め部を無理なく配置できるため電動機の積層鉄心を小型化、軽量化することができ、ひいては冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機を小型化、軽量化することや、また狭い車両搭載スペースにも容易に搭載するこができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を図面を用いて説明する。図1には、固定子1の複数のティース部3に絶縁用ボビン(便宜上図示していない)を介して直接巻線2が巻き付けられた集中巻き方式による電動機を示している。実施形態の固定子1は、極数が2n極であり固定子1のスロットは3nスロットを有している。図1では三相Y結線で、6スロットの固定子1に巻線2が直接巻き付けられ4極を形成している。
【0018】
固定子1は、ティース部3とヨーク部4とで構成され、薄板鉄板の電磁鋼板を積層した積層鉄心で構成されている。この固定子1は薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り止め部6aと、積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の貫通孔5a等を有している。尚、図1の固定子1の非常に狭幅で磁束密度が高くなるヨーク部4や、固定子1の内径の中心に向けて伸び磁束密度が集中するティース部3には、積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の貫通孔5aやエンボス加工による凹凸部の係り止め部6aを設けない方が好ましい。
【0019】
図1における実施形態においては、エンボス加工による凹凸部の係り止め部6aや積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の貫通孔5aは、円周方向に隣り合うヨーク部4とヨーク部4との間の磁束密度が低くなる部分、言い換えれば固定子1の内径の中心に向けて伸びたティース部3の根元部分とヨーク部4とが交差した磁束密度の低い部分に設けている。即ち、固定子1の積層鉄心内の磁気通路を妨げることなくエンボス加工による凹凸部の係り止め部6aや貫通孔5aを設けているため磁気的な悪影響を極力低減し、電動機性能を悪化させることがない。尚、この貫通孔5aは積層鉄心をボルトでハウジングに固定するためボルト挿入孔であっても同様の効果がある。
【0020】
また、図1に示す様に、固定子1の薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸係り止め部6aと、積層鉄心の温度上昇を軽減するための冷却用の貫通孔5aとを一体にして、少なくとも1つを同じ位置に設けている。これにより、小型化、軽量化された電動機の積層鉄心の、狭幅のヨーク部4やティース部3の磁束密度の厳しい積層鉄心に、無理なく凹凸部の係り止め部6aや貫通孔5a等を配置することができ、どちらか一方の配置を考慮するだけで容易に構成することができる。
【0021】
具体的には、図1のA−A’部分詳細断面図を図2に示す。エンボス加工による凹凸部の係り止め部6aを、積層鉄心1aの積層方向に貫通された複数の貫通孔5aの少なくとも1つに、貫通孔5aより若干大きくした周長の凹部を設け、積層方向に隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板に設けられた貫通孔5aより若干大きくした周長の凸部とを係り止めして、薄板鉄板相互を一体にかしめた積層鉄心としている。つまり、エンボス加工による凹凸部の係り止め部6aを、貫通孔5aの周りに設けてドーナツ形状の凹凸部の係り止め部で結合している。
【0022】
積層鉄心1bの係り止め部の係り止め深さは、薄板鉄板の電磁鋼板の板厚により異なるが、板厚より浅い凹部形状とし、積層鉄心の1aと1bとの繋ぎ部分は、好ましくは略0.2mm〜0.1mm程度とすることにより積層方向に積層した薄板鉄板の電磁鋼板を強固に固着することができる。尚、この貫通孔5aは積層鉄心をボルトでハウジングに固定するためボルト挿入孔であっても同様の効果を得る。
【0023】
また、本実施形態を回転子の積層鉄心に用いた場合を図3で説明する。図3の実施形態に示した回転子10は、永久磁石収容孔8に永久磁石9a〜9cを埋め込んだ永久磁石埋め込み形回転子である。永久磁石収容孔8の形状は回転子10の中央の軸孔11に永久磁石収容孔の底部が近接し、この永久磁石収容孔の底部の両端部より回転子外周部まで延びた凹形状の永久磁石収容孔8である。隣り合う永久磁石収容孔8に埋め込まれた永久磁石9a〜9cは異極となるように配置され4極を形成している。永久磁石収容孔の形状は、凹形状に限定するものではなく、円弧状、V字状、蒲鉾状等何れの形状にも適用できる。
【0024】
尚、回転子10の外周側において、隣同士が異極となる永久磁石収容孔8と永久磁石収容孔8との間の磁極間部分にはコギングトルクによる音、振動または磁束の洩れを低減するための凹溝7aが設けられている。この凹溝7aは溝形状に限定するものではなく孔形状でも良い。磁気的に固定子の歯部から離間した形状であれば良い。また、凹溝7aに対して永久磁石収容孔8の外周側には凸部7bが形成されている。これにより永久磁石9a〜9cによって発生する磁束を凸部7bに集中させることができ、電動機の性能を向上させることができる。
【0025】
この隣同士が異極となる永久磁石収容孔8と永久磁石収容孔8との間の磁極間部分には、積層鉄心の積層方向に貫通されたカシメピン挿入孔5bと風孔12が設けられている。カシメピン挿入孔5bには、積層鉄心に設けられた永久磁石収容孔8から永久磁石9a〜9cが飛び出されないように積層鉄心の両端部を塞ぐ端板(図示していない)を配置し、この端板と積層鉄心を一体固定するためのカシメピンが挿入される。また風孔12は、回転子10及び回転子10を含む電動機が組み込まれた装置を冷却するための冷媒やオイル等を流通させるための孔である。
【0026】
この積層鉄心の積層方向に貫通されたカシメピン挿入孔5bには、積層方向に隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体に積層固定するためのエンボス加工による凹凸部の係り止め部6bを合わせ持っている。凹凸部の係り止め部6bは、カシメピン挿入孔5bより大きな周長の凹凸形状とし薄板鉄板の電磁鋼板相互を係り止めして一体に固着している。この図3に示した凹凸部の係り止め部6bの部分詳細断面図B−B’を図4で説明する。
【0027】
図4は、エンボス加工による凹凸部の係り止め部6bを、積層鉄心10aの積層方向に貫通している複数のカシメピン挿入孔5bの少なくとも1つに、カシメピン挿入孔5bより若干大きくした周長の凹部を設け、積層方向に隣り合う薄板鉄板の電磁鋼板に設けられたカシメピン挿入孔5bより若干大きくした周長の凸部とを係り止めし、薄板鉄板相互を一体にかしめた積層鉄心10bとしている。つまり、エンボス加工による凹凸部の係り止め部6bを、カシメピン挿入孔5bの周りに設けたドーナツ形状の凹凸部の係り止め部で結合している。
【0028】
固定子1の凹凸部の係り止め部で説明したのと同様に、積層鉄心10bの係り止め部の係り止め深さは、薄板鉄板の電磁鋼板の板厚により異なるが、板厚より浅い凹部形状とし、積層鉄心の1aと1bとの繋ぎ部分を、好ましくは略0.2mm〜0.1mm程度とすることにより積層方向に積層した薄板電磁鋼板を強固に固着することができる。
【0029】
尚、本実施形態の凹凸部の係り止め部6bは、カシメピン挿入孔5bの周りにカシメピン挿入孔5bより大きな周長の凹凸形状であるが、カシメピン挿入孔5bに限定するものでなく、冷却を目的として設けられた風孔12の回りに設けても同様の効果が得られる。
【0030】
また、別の実施形態として図3に示した永久磁石収容孔8より若干大きくした周長の凹凸部を設け、薄板鉄板の電磁鋼板相互を一体にかしめた凹凸部の係り止め部を設けた積層鉄心10a、10bとすることもできる。この場合の凹凸部の係り止め部は、永久磁石収容孔8の全周に渡り設けてもよいが部分的、断続的に設けてもよい。
【0031】
また、図5及び図6には、回転子の積層鉄心と積層鉄心の両端部を端板とで塞ぎカシメピン13でかしめた場合の部分断面図を示している。図5及図6には、積層鉄心10aの両端部に端板14a及び14bを配置しカシメピン13により一体固定した凹凸部の係り止め部6c(図5)と6d(図6)の部分断面図である。
【0032】
図5の端板14aは、カシメピン挿入孔5bの周りに設けられた凹凸部の係り止め部6cの上に直接装着され積層鉄心10aと端板14aを一体にかしめている。これにより端板14aと凹凸部の係り止め部6cとの間に若干の空隙が生じ、この空隙により端板14aにはバネ効果が発生し確実に固定することができる。
【0033】
また、図6の端板14bの形状は、カシメピン挿入孔5bの周りに設けられた凹凸部の係り止め部6dと同様に凹凸形状としている。この凹凸形状の凹部分は、カシメピン13のヘッダー部分(頭部分)がこの凹部に入り込むようするのが好ましい。これにより、積層鉄心10aと端板14bを一体にかしめた際、カシメピン13のヘッダー部分(頭部分)の飛び出しを極力少なくすることができる。
【0034】
尚、この積層鉄心を用いた電動機を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載した電動機や、車両用途に使用される電動機として搭載することにより、磁気的な悪影響を極力低減した電動機とすることができる。
【0035】
また、積層鉄心の磁気的に影響の少ない位置に凹凸部の係り止め部を無理なく配置しているため電動機の積層鉄心を小型化、軽量化することができ、ひいては冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機を小型化、軽量化することや、また狭い車両搭載スペースにも容易に搭載するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態における積層鉄心の貫通孔と凹凸係り止め部を示す図。
【図2】図1における貫通孔と凹凸部の係り止め部のA−A’部分詳細断面図。
【図3】本実施形態における回転子の積層鉄心のカシメピン挿入孔と凹凸部の係り止め部を示す図。
【図4】図3におけるカシメピン挿入孔と凹凸部の係り止め部のB−B’部分詳細断面図。
【図5】積層鉄心と端板をカシメピンにより一体にかしめた図。
【図6】積層鉄心と端板をカシメピンにより一体にかしめた別の実施形態における図。
【図7】従来の積層鉄心の貫通孔と凹凸部係り止め部を示す図。
【図8】従来の回転子の積層鉄心のカシメピン挿入孔と凹凸部の係り止め部を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1、 15・・・固定子。
1a、1b、10a、10b・・・積層鉄心。
2、16・・・巻線。
3、17・・・ティース部。
4、18・・・ヨーク部。
5a、5c・・・貫通孔。
5b、5d・・・カシメピン挿入孔。
6a〜6d、19a、19b、20・・・凹凸部の係り止め部。
7a・・・凹溝部。
7b・・・凸部。
8、32・・・永久磁石収容孔。
9a〜9c、33・・・永久磁石。
34・・・磁束短絡防止用空隙部
10、30・・・回転子。
11、31・・・軸孔
12、・・・風孔
13・・・カシメピン。
14a、14b・・・端板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、前記積層鉄心は隣り合う前記薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めできる係り止め部を設けて一体にかしめた積層鉄心であり、
前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通した複数の貫通孔の少なくとも1つに、前記貫通孔より大きな周長の凹凸形状とし、前記薄板鉄板相互を係り止めして一体にかしめたことを特徴とする積層鉄心。
【請求項2】
打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、前記積層鉄心は隣り合う前記薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めできる係り止め部を設けて一体にかしめた回転子の積層鉄心であり、
前記積層鉄心の中心には回転軸を挿入する軸孔と、永久磁石を挿入する複数の永久磁石収容孔と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石が外部に飛び出さないようにするための端板とをカシメピンで一体にかしめて結合するための複数のカシメピン挿入孔とを備え、
前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通した複数のカシメピン挿入孔の少なくとも1つに、前記カシメピン挿入孔より大きな周長の凹凸形状とし、前記薄板鉄板相互を係り止めして一体にかしめたことを特徴とする回転子。
【請求項3】
打ち抜きプレス等で打ち抜かれた薄板鉄板を複数積層した積層鉄心において、前記積層鉄心は隣り合う前記薄板鉄板に凹凸部を設け相互に係り止めできる係り止め部を設けて一体にかしめた回転子の積層鉄心であり、
前記積層鉄心の中心には回転軸を挿入する軸孔と、永久磁石を挿入する複数の永久磁石収容孔と、前記積層鉄心と前記積層鉄心の積層方向端部から永久磁石が外部に飛び出さないようにするための端板とをカシメピンで一体にかしめて結合するための複数のカシメピン挿入孔と、回転子を冷却するための風孔とを備え、
前記凹凸部の係り止め部は、前記積層鉄心の積層方向に貫通した複数の風孔の少なくとも1つに、前記風孔より大きな周長の凹凸形状とし、前記薄板鉄板相互を係り止めして一体にかしめたことを特徴とする回転子。
【請求項4】
前記積層鉄心を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載する電動機に用いたことを特徴とする請求項1項及至請求項3項いずれか記載の電動機。
【請求項5】
前記積層鉄心を車両用途の電動機に用いたことを特徴とする請求項1項及至請求項3項いずれか記載の電動機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−136164(P2006−136164A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324462(P2004−324462)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】