説明

空気調和機

【課題】電力量を正確に測定することができる空気調和機を提供すること。
【解決手段】本発明の空気調和機は、交流電源から直流電源に変換する整流回路と、モータ負荷を駆動するインバータと、チョッピング素子と昇圧用整流回路からなる昇圧回路と、交流電流の電流値を測定する電流センサと、昇圧回路のチョッピング素子の半周期に対するチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段と、電流センサで検出する電流値とチョッピング回数から力率を選択し出力する回数別力率テーブル記憶手段とを備え、回数別力率テーブル記憶手段から出力される力率を用いて電力量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用部品を追加せずに精度良く電力量を検出できる空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電源から直流電源に変換する整流回路と共に、モータ負荷を駆動するインバータを有する空気調和気であって、電源電圧と入力電流との積に力率を乗じて算出する際、入力電流のみのデータに基づいて力率を決定する空気調和機は考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−166748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、電力量の測定は可能であるものの、昇圧回路のチョッピング回数によっては電流波形が変動してしまい、入力負荷電流が同値であっても力率値が変動するので、電流と電圧と力率の積で求められる電力量と、正しい電力量とに差がついてしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電力量を正確に測定することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、交流電源から直流電源に変換する整流回路と、モータ負荷を駆動するインバータと、チョッピング素子と昇圧用整流回路からなる昇圧回路と、交流電流の電流値を測定する電流センサと、昇圧回路のチョッピング素子の半周期に対するチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段と、電流センサで検出する電流値とチョッピング回数から力率を選択し出力する回数別力率テーブル記憶手段とを備え、回数別力率テーブル記憶手段から出力される力率を用いて電力量を算出することにより、最適な力率を用いて電力量を算出することができるため、精度の高い電力量を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、電力量を正確に測定することができる空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における空気調和機のブロック図
【図3】本発明の実施の形態3における空気調和機のブロック図
【図4】同実施の形態3における空気調和機のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明の空気調和機は、交流電源から直流電源に変換する整流回路と、モータ負荷を駆動するインバータと、チョッピング素子と昇圧用整流回路からなる昇圧回路と、交流電流の電流値を測定する電流センサと、昇圧回路のチョッピング素子の半周期に対するチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段と、電流センサで検出する電流
値とチョッピング回数から力率を選択し出力する回数別力率テーブル記憶手段とを備え、回数別力率テーブル記憶手段から出力される力率を用いて電力量を算出することにより、最適な力率を用いて電力量を算出することができるため、精度の高い電力量を得ることができる。
【0010】
第2の発明の空気調和機は、特に第1の発明において、回数別力率テーブル記憶手段は、複数のテーブルを有し、チョッピング回数に応じて、複数のテーブルから最適なテーブルを選択することにより、より正確な電力量を算出することができる。
【0011】
第3の発明の空気調和機は、特に第1の発明において、チョッピング回数に応じて算出される回数対応係数記憶手段を備え、回数別力率テーブル記憶手段は、標準のテーブルを一つで構成され、標準のテーブルによって算出された力率に、回数対応係数記憶手段で算出される係数を掛けて力率を補正することにより、複数のテーブルを持たずに正確な力率を算出することができるので、データ量を増やすことなく正確な電力量を得ることができる。
【0012】
第4の発明の空気調和機は、さらに、外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、外気温度検出手段で検出される外気温度に応じて補正係数を算出し、第1から第3の発明で算出される電力量に、さらに補正係数を掛けて電力量を算出することにより、さらに精度の高い電力量を得ることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機のブロック図を示すものである。
【0015】
図1に示すように、交流電源15から直流電源に変換する整流回路3と、モータ5を駆動するインバータ4と、チョッピング素子7と昇圧用整流回路6からなる昇圧回路2と、交流電流の電流値を測定する電流センサ1と、電流センサ1の測定値を検知する電流検出手段8と、昇圧回路2のチョッピング素子7の半周期に対するチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段10と、電流検出手段8からの電流値とチョッピング回数検出手段10からのチョッピング回数から回数別力率テーブルを選択し、力率を出力する力率テーブル記憶手段と、あらかじめ設定された電圧値を出力する電圧値記憶手段と、電圧検出手段から出力された電圧値と力率テーブル記憶手段から出力された力率によって電力量を算出する電力量算出手段で構成されている。
【0016】
以上のように構成された空気調和機について、以下、その動作、作用を説明する。
【0017】
まず、モータ5を駆動するインバータ4を要する空気調和機は、能力を改善するために整流電圧を昇圧させる。そのため、MOSFET等で代表されるチョッピング素子7をONOFFさせているが、そのONOFFの回数により電流波形が変動し、同じ負荷電流においても力率が変動する。
【0018】
基本となる50Hzもしくは60Hzで標準環境での力率データだけでは、負荷電流に対する正確な力率の値が算出できない。そのため、昇圧させるためのチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段10からカウントされた回数よりあらかじめ規定された回数(例えば、1、〜5、〜30、〜200、〜1000回)を複数に分けておき、その複数に分けた領域に応じた力率を、回数別力率テーブル記憶手段13から出力する。これにより、負荷電流に係わらず、最適な力率の値で電力量を算出することができる。
【0019】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における空気調和機のブロック図を示すものである。
【0020】
図2において、回数別力率テーブル記憶手段は、一つの標準的な力率テーブルを出力する標準力率テーブル記憶手段16で構成され、さらに、チョッピング回数に応じてチョッピング回数別係数を算出する回数別係数記憶手段14を備えている。
【0021】
以上のように構成された空気調和機について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
まず、実施の形態1のように回数別力率テーブル記憶手段では、チョッピング回数別に複数のテーブルが必要になるためROMデータ量が膨大になるデメリットがあるが、実施の形態2においては標準的な力率テーブルのみを有する構成となっている。
【0023】
よって、チョッピング回数に基づいて、回数別係数記憶手段14から予め記憶されているチョッピング回数別係数を算出する。このチョッピング回数別係数は、例えば、チョッピング回数が1であれば0.85、チョッピング回数が5までであれば:0.88、以降、チョッピング回数が〜30:0.93、チョッピング回数が〜200:0.95、チョッピング回数が〜1000:0.99というように、チョッピング回数に応じて係数を持っている。
【0024】
そして、標準力率テーブル記憶手段によって算出される力率に、回数対応係数記憶手段14によって算出されるチョッピング回数別係数を掛け合わせて、最適な力率の値を出力することができる。
【0025】
これによって、負荷電流に関わらず、最適な力率の値を算出することができるので、正確な電力量を得ることができる。
【0026】
(実施の形態3)
図3、図4は、本発明の実施の形態3における空気調和機のブロック図である。実施の形態1および実施の形態2と異なる箇所は、外気温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ17と、外気温度センサ17で検出される外気温度から外気温度補正係数を算出する補正係数算出手段18を備えたことである。
【0027】
図3は、実施の形態1に外気温度センサ17を備えた構成であり、図4は、実施の形態2に外気温度センサ17を備えた構成である。なお、上記の異なる点以外については、実施の形態1および実施の形態2と同じであるため、その説明は省略する。
【0028】
本実施の形態では、外気温度によって、負荷となる圧縮機およびリアクタ等温度特性による特性値が変動し、力率に影響与えるためばらつきが発生することに対応するものである。
【0029】
すなわち、このばらつきを補正するため、予め外気温度と補正係数のテーブルを記憶した補正係数算出手段18によって外気温度補正係数を算出し、回数別力率テーブル記憶手段で算出された力率に掛け合わせて、外気温度を考慮した力率を算出するようにしている。
【0030】
このように構成することによって、外気温度に応じた正確な力率を算出することができるため、より正確な電力量を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、安価で精度の高い電力量を算出することが出来るため、電気代の積算等の用途に応用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 電流センサ
2 昇圧回路
3 整流回路
4 インバータ
6 昇圧用整流回路
7 チョッピング素子
8 電流検出手段
10 チョッピング回数検出手段
13 回数別力率テーブル記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から直流電源に変換する整流回路と、モータ負荷を駆動するインバータと、チョッピング素子と昇圧用整流回路からなる昇圧回路と、交流電流の電流値を測定する電流センサと、前記昇圧回路のチョッピング素子の半周期に対するチョッピング回数をカウントするチョッピング回数検出手段と、前記電流センサで検出する電流値と前記チョッピング回数から力率を選択し出力する回数別力率テーブル記憶手段とを備え、前記回数別力率テーブル記憶手段から出力される力率を用いて電力量を算出することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記回数別力率テーブル記憶手段は、複数のテーブルを有し、前記チョッピング回数に応じて、複数のテーブルから最適なテーブルを選択することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記チョッピング回数に応じて算出される回数対応係数記憶手段を備え、前記回数別力率テーブル記憶手段は、標準のテーブルを一つで構成され、前記標準のテーブルによって算出された力率に、前記回数対応係数記憶手段で算出される係数を掛けて前記力率を補正することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、前記外気温度検出手段で検出される外気温度に応じて外気温度補正係数を算出し、請求項1から3のいずれかで算出される電力量に、さらに前記外気温度補正係数を掛けて電力量を算出することを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235568(P2012−235568A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101067(P2011−101067)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】