立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体
【課題】 表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対して被せることにより、その表面の綿状毛先部分を所要量ずつ束ねられた複数の小立体状羊毛繊維体が形成されて、高密度にして腰のあるムートン製品とすることが出来るようにした新規のネット状カバー体の提供を図る。
【解決手段】
カバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設する。
【解決手段】
カバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対して被せることにより、その表面の綿状毛先部分を所要量ずつ束ねられた複数の小立体状羊毛繊維体が形成されるようにしたネット状カバー体に関する。
【背景技術】
【0002】
ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた布状素材は多くの製品、例えば、艶出し用または洗車用等のパット(例えば特許文献1参照。)、座布団、シーツ等のマット状の製品(例えば特許文献2参照。)、靴の中敷き(例えば特許文献3参照。)等のように多くの製品において使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−213048号公報
【特許文献2】実用新案登録第3017459号公報
【特許文献3】実用新案登録第3086023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような立体状の羊毛繊維体で作られた布状素材は、その表面の柔軟な触感性という特徴、すなわち、その機能に基づく製品、またはその感触性に基づく製品が多く提供されている。 然し乍、逆に言うと、その毛先の柔軟性からもたらされる腰の無さに基づく問題、例えば、パット類における研磨力の弱化及び変形化、座布団、シーツ、靴の中敷き等においては圧力を受けた部位の極端な扁平化と言うような問題が伴うことを余儀なくされた。
【0005】
本発明はこのような従来の問題を解決した「立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体」という新規な製品の提供を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成したことを特徴とする立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体に係る。
【0007】
本発明は請求項2に記載のように、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板Bを、当該製品の底面に側に設けるように構成した請求項1に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0008】
本発明は請求項3に記載のように、立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板Aに対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成した請求項2に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0009】
本発明は請求項4に記載のように、内向き折り返し周片部2の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けて成る請求項1乃至請求項3の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0010】
本発明は請求項5に記載のように、カバー体3の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【0011】
本発明は請求項6に記載のように、カバー体10の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0012】
本発明は請求項7に記載のように、カバー体20の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は請求項1に記載のような構成、すなわち、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成するように構成したから、極めて柔軟性に富んだムートン素材を、その特性たる柔軟性を阻害することなく腰の強いものとすることが出来る。 そして、カバー体の布部分で覆われた部位は、その圧縮性に基づき安定したクッション状態に保たれることとなる。
【0014】
すなわち、従来のようにムートン素材をそのままの状態で使用していた場合、その腰の無さから、圧力を受けた部分が直ぐに扁平化してしまうというような問題が生じるものであつた。 これに対して本発明に係るカバー体を被着させることにより、カバー体の窓状孔に対応する部分は、当該カバー体の被着に基づく圧力が掛からないため、当該部分は窓状孔から飛び出されると共に、その孔縁で圧縮的結束が成されるため、図5および図6に示すように点在的に配設される膨出部aが形成されることとなる。 そして、当該膨出部aは窓状孔の孔縁で圧縮状に束ねられているため、当該膨出部aはその密度が高められて腰の強さが増強されることとなる。
【0015】
従って、使用状態に於いて上記したような膨出部aは、これの上面から圧力が加わっても適度な耐性を発揮し、すぐに潰れてしまうことによるクッション性の著しい劣化というような問題が解消される。 換言すると、ムートン素材自体が保有する柔軟性、感触性を阻害することなく、荷重が加わった状態にあってもその特性の発揮が可能化されることとなる。
【0016】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板(A)を、当該製品の底面に側に設けるように構成することにより、カバー体の被着に基き製品周縁部が変形してしまうような事態発生をよく回避することとなる。
【0017】
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板Aに対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成することにより、前記請求項1の効果説明に於いて記載した、「窓状孔の孔縁で圧縮状に束ねられている当該膨出部a」の飛び出しが安定化すると共に、全ての膨出部a周縁に掛かる力(圧縮力)の均一化が図られる。 従って膨出部の形成が周辺部から離れる窓状孔のものほど飛び出し部分の毛の長さが短くなってしまうと言うような問題発生が解消されることとなる。 換言すると、ネット状のカバー体自体が奏する締め付け力以外に、上記止め着用手段Bによる締め付け部分を更に設けることにより、膨出部aの形成が極めて安定かつ均一に行われることとなる。
【0018】
本発明は請求項4に記載のような構成、すなわち、内向き折り返し周片部2の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けるように構成することにより、取付け対象製品に対する被着の安定化が図られると共に、その着脱の自在性が確保されることとなる。
【0019】
本発明は請求項5に記載のような構成、すなわち、カバー体3の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成することにより、円形製品に対する被着に基づき、本発明に係るカバー体を例えば研磨または艶出し用等のパットに使用した場合、ムートン素材が備えている柔軟性を阻害することなく、円形製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られると共に、横方向からの力に対する耐性も強化されるため、良好なる研磨または艶出し作用がなされることとなる。
【0020】
本発明は請求項6に記載のような構成、すなわち、カバー体10の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成することにより、本発明に係るカバー体を例えば座布団、または、敷き布団、シーツ、まくら等寝具類のような矩形状製品に使用した場合、ムートン素材の特性とする柔軟性、保温性を阻害することなく、上記のような矩形状製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られる。 すなわち、圧力を受けた部位の極端な扁平化というような問題が解消される。
【0021】
本発明は請求項7に記載のような構成、すなわち、カバー体20の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成することにより、本発明に係るカバー体を例えば靴の中敷きのような不規則形状製品に使用した場合、ムートン素材の特性とする柔軟性、保温性を阻害することなく、上記のような製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られる。 すなわち、圧力を受けた部位の極端な扁平化というような問題が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1乃至図3は本発明に係る「立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体」の第1実施例、すなわち、図4及び図5に示す艶出し用または洗車用等として用いられるパットPのような円形製品を被着対象とする場合の実施例を表したものである。
【0023】
そして、本発明の実施対象とするパットPのような円形製品は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られたものである。
【0024】
図1乃至図3において、1はカバー体であって、メリヤスのような伸縮性に富む材料で製されており、その平面形状は被着対象製品の輪郭形状、同図にあってはパットPの外形に対応する円形形状を具えたものである。 2は当該カバー体1の周縁に連設した内向き折り返し周片部であって、その端部には被着状態の安定化を図るための安定化部材2aが設けられている。
【0025】
すなわち、上記した安定化部材2aとは被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を構成する部材を意味する。 そして、そのための具体的手段を例示すれば、締め付け手段としてはゴム等製の伸縮材、ベルト締め、紐締めのような手段が挙げられ、固定手段としては噛合いテープ(商標:マジックテープ)、ボタン止め、スナップ止めのような手段が挙げられる。
【0026】
3はカバー体1の表面に網状に開設した窓状孔であって、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるためのもの、すなわち、カバー体1の被着時に、当該窓状孔3からこれに該当する部分の被着対象製品の毛を逃がすためのものである。
【0027】
そして、当該窓状孔3の形状は図示のような円形形状に限定されるものではなく、楕円状、矩形状、多角形状等、必要に応じた適宜の形状のものとすることができる。 すなわち、当該窓状孔3から飛び出されて形成される後述の膨出部aの側面の接触性のスムーズ性を得るためには円形または楕円形のような半球形状が好ましい。 一方、当該膨出部aの側面の接触性の強力化を得るためには、矩形状または多角形状のような角張った側面形状のものが好ましい。
【0028】
図5及び図6は第1実施例とする円形形状を具えたカバー体1を、艶出し用または洗車用等として用いられるパットPのような円形製品に対して被着した状態を表したものである。
【0029】
上記した被着状態にあっては、パットPを構成する「表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体」において、カバー体1の窓状孔3に対応する部分は、当該カバー体1の被着に基づく圧力が掛からないため、当該部分は窓状孔3から飛び出され、図5および図6に示すような膨出部aが形成されることとなる。 そして、当該膨出部aは窓状孔3の孔縁で圧縮状に束ねられるため、当該部分の密度が高められると共に当該部分の腰の強さが増強されることとなる。
【0030】
一方、カバー体1の布部分で圧迫されている部分、すなわち、上記した膨出部以外の部分は、ある程度の硬さを具えかつ安定したクッション状態に保持されることとなると共に、前記した膨出部aの歪み的ズレ動きを阻止することとなる。
【0031】
ところで、上記のように飛び出し状態にある膨出部aの高さ寸法は、カバー体1の被せる強さによって定まり、また、その大きさは窓状孔3の大きさによって定まる。そして、当該膨出部aの密度及び腰の強さは、これらの要素に基づき設定されるものである。
【0032】
従って、高密度にして腰の強い膨出部aを必要とする場合は、カバー体1を高度な伸縮性を有する材料で製するとともに、被着対象製品の外形より所定の小ささを具えたものとし、その被着時にカバー体1の伸長化による被着対象製品の表面に対する接触圧力を高めることによって達成される。 更に、当該窓状孔3の大きさ及び数を適宜に設定することにより、必要とする大きさと数の膨出部aの形成が成されるものである。
【0033】
ところで、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けが働くこととなる。 このような歪み発生を阻止するための手段として、製品の底部に補強用裏打ち基板Aを設けることが好ましい。
すなわち、図5に示すように、製品の底部に別体である補強用裏打ち基板Aを当てておくことにより、上記のような歪み発生が阻止されることとなる。
【0034】
なお、当該補強用裏打ち基板Aは、製品自体にこのような裏打ち基盤を予め具えているものであれば、これをそのまま利用することが出来る。 換言すれば、このような裏打ち基板具えていない製品の場合のみこれを別途に添設するものである。
【0035】
なお、図12に示す実施例であるが、これは「立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板(A)に対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設ける」ように構成したものである。 すなわち、製品に対して単にカバー体を被着しただけの場合、膨出部aの飛び出しの安定化及び均一化が図られない場合も想定される。 このような場合、図12に示すように、局部的に止め着するための止め着用手段Bを設けることによって、膨出部aの形成が極めて安定かつ均一に行われることとなる。 なお、図面に於いては当該止め着用手段Bを多数設けてあるが、例えば中心に一つだけとか、周縁より部分だけとか、製品に応じて適宜に設けるのとする。
【0036】
そして、当該止め着用手段Bはカバー体と上述した補強用裏打ち基板Aとを結合することにより、その間に位置する製品部分を圧縮固定化することにより、ズレ発生等の阻止が図られるものである。 なお、当該止め着用手段Bの具体例としては、接着手段、溶着手段、縫着手段、止め金具手段などが挙げられるが、何れにせよ、前記目的が達成されるものであれば、その手段は如何なるものであっても可とする。
【0037】
なお、上述した「補強用裏打ち基板A」及び「止め着用手段B」の具体例として、パットPのような円形製品に対するものを例示したが、これは後述するような「矩形状製品」並びに「不規則形状製品」に対しても同様な形態で実施することが好ましいものであるが、これらの実施例の説明に於いてはこのような事柄の説明及び図示は省略してある。
【0038】
図8は本発明の第2の実施例たるカバー体10を表したものであって、その平面形状は被着対象製品、すなわち、座布団、敷布団、シーツのような製品の輪郭である矩形状(図示の実施例にあっては座布団を対象とした正方形状)とすると共に、当該カバー体10の表面には所要数の窓状孔11を網目状に開設してある。 なお、図示の第2実施例は一例として矩形状製品を対象とするものを例示してあるが、これを任意の多角形状の製品、例えば3角形、5角形等のような多角形製品に対して適応させる場合は、夫々に対応した多角形状の平面形状とするように構成する。 換言すると、本発明にあっては任意の多角形製品を実施の対象とするものである。
【0039】
なお、第2実施例において、カバー体10の外観的形状以外の構成は、既述した第1実施例の場合と全く同様な構成を採るものであり、作用効果も全く同様である。
【0040】
図9は本発明の第3実施例たるカバー体20を表したものであって、その平面形状は被着対象製品、すなわち、前述したような円形製品、矩形状製品以外の不規則形状製品の輪郭である不規則形状(図示の実施例にあっては靴の中敷を対象とした不規則形状)とすると共に、当該カバー体20の表面には所要数の窓状孔21を網目状に開設してある。
【0041】
なお、第3実施例において、カバー体20の外観的形状以外の構成は、既述した第1実施例及び第2実施例の場合と全く同様な構成を採るものであり、作用効果も全く同様である。
【0042】
本発明に係るカバー体は、取付け対象とする製品の上面から被せると共に、内向き折り返し周片部2を当該製品の下面側に抱持させるように位置させることによって、その被着の安定化が図られる。 この時、当該カバー体の寸法を取付け対象製品よりやや小ぶりなものとすることにより、当該カバー体が伸長されて良好なる締め付け性を奏することとなる。 そして、当該内向き折り返し周片部2にゴム製伸縮材を連設しておくことにより、被着状態にあるカバー体に対する不測のズレ動きが阻止されることとなる。
【0043】
そして、上記のようなカバー体の被着に基づき、その窓状孔から取付け対象製品の毛先が突き出され、図6および図7に示すような膨出a部が形成される。
【0044】
一方、カバー体の布部分で圧迫されている部分、すなわち、上記した膨出部a以外の部分は、当該圧迫性に基づきある程度の硬さを具えかつ安定したクッション状態に保持される。
【0045】
ところで、上記のように飛び出された膨出部aの高さはカバー体1の被せる強さによって定まり、また、その大きさは窓状孔3の大きさによって定まり、そして、当該膨出部aの密度及び腰の強さは、これらの要素に基づき所望のものに設定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るカバー体の第1実施例を表した平面図である。
【図2】同上底面図である。
【図3】図1におけるX−X線断面図である。
【図4】本発明の第1実施例における被着対象円形製品の一例として示すパットを表した平面図である。
【図5】同上正面図である。
【図6】本発明に係る第1の実施例のカバー体を円形製品であるパットに対して被着させた状態を表した平面図である。
【図7】同上正面図である。
【図8】本発明に係るカバー体の第2実施例を表した平面図である。
【図9】図8におけるY−Y線拡大断面図である。
【図10】本発明に係るカバー体の第2実施例を表した平面図である。
【図11】図10におけるZ−Z線断面図である。
【図12】本発明における好ましき実施例とする「止め着用手段B」を設けた場合を表した説明用平面図である。
【符号の説明】
【0047】
P パット
A 補強用裏打ち基板
B 止め着用手段
a 膨出部
1 カバー体
2 内向き折り返し周片部
2a ゴム製伸縮材
3 窓状孔
10 カバー体
11 窓状孔
20 カバー体
21 窓状孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対して被せることにより、その表面の綿状毛先部分を所要量ずつ束ねられた複数の小立体状羊毛繊維体が形成されるようにしたネット状カバー体に関する。
【背景技術】
【0002】
ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた布状素材は多くの製品、例えば、艶出し用または洗車用等のパット(例えば特許文献1参照。)、座布団、シーツ等のマット状の製品(例えば特許文献2参照。)、靴の中敷き(例えば特許文献3参照。)等のように多くの製品において使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−213048号公報
【特許文献2】実用新案登録第3017459号公報
【特許文献3】実用新案登録第3086023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような立体状の羊毛繊維体で作られた布状素材は、その表面の柔軟な触感性という特徴、すなわち、その機能に基づく製品、またはその感触性に基づく製品が多く提供されている。 然し乍、逆に言うと、その毛先の柔軟性からもたらされる腰の無さに基づく問題、例えば、パット類における研磨力の弱化及び変形化、座布団、シーツ、靴の中敷き等においては圧力を受けた部位の極端な扁平化と言うような問題が伴うことを余儀なくされた。
【0005】
本発明はこのような従来の問題を解決した「立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体」という新規な製品の提供を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成したことを特徴とする立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体に係る。
【0007】
本発明は請求項2に記載のように、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板Bを、当該製品の底面に側に設けるように構成した請求項1に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0008】
本発明は請求項3に記載のように、立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板Aに対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成した請求項2に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0009】
本発明は請求項4に記載のように、内向き折り返し周片部2の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けて成る請求項1乃至請求項3の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0010】
本発明は請求項5に記載のように、カバー体3の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【0011】
本発明は請求項6に記載のように、カバー体10の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【0012】
本発明は請求項7に記載のように、カバー体20の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は請求項1に記載のような構成、すなわち、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成するように構成したから、極めて柔軟性に富んだムートン素材を、その特性たる柔軟性を阻害することなく腰の強いものとすることが出来る。 そして、カバー体の布部分で覆われた部位は、その圧縮性に基づき安定したクッション状態に保たれることとなる。
【0014】
すなわち、従来のようにムートン素材をそのままの状態で使用していた場合、その腰の無さから、圧力を受けた部分が直ぐに扁平化してしまうというような問題が生じるものであつた。 これに対して本発明に係るカバー体を被着させることにより、カバー体の窓状孔に対応する部分は、当該カバー体の被着に基づく圧力が掛からないため、当該部分は窓状孔から飛び出されると共に、その孔縁で圧縮的結束が成されるため、図5および図6に示すように点在的に配設される膨出部aが形成されることとなる。 そして、当該膨出部aは窓状孔の孔縁で圧縮状に束ねられているため、当該膨出部aはその密度が高められて腰の強さが増強されることとなる。
【0015】
従って、使用状態に於いて上記したような膨出部aは、これの上面から圧力が加わっても適度な耐性を発揮し、すぐに潰れてしまうことによるクッション性の著しい劣化というような問題が解消される。 換言すると、ムートン素材自体が保有する柔軟性、感触性を阻害することなく、荷重が加わった状態にあってもその特性の発揮が可能化されることとなる。
【0016】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板(A)を、当該製品の底面に側に設けるように構成することにより、カバー体の被着に基き製品周縁部が変形してしまうような事態発生をよく回避することとなる。
【0017】
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板Aに対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成することにより、前記請求項1の効果説明に於いて記載した、「窓状孔の孔縁で圧縮状に束ねられている当該膨出部a」の飛び出しが安定化すると共に、全ての膨出部a周縁に掛かる力(圧縮力)の均一化が図られる。 従って膨出部の形成が周辺部から離れる窓状孔のものほど飛び出し部分の毛の長さが短くなってしまうと言うような問題発生が解消されることとなる。 換言すると、ネット状のカバー体自体が奏する締め付け力以外に、上記止め着用手段Bによる締め付け部分を更に設けることにより、膨出部aの形成が極めて安定かつ均一に行われることとなる。
【0018】
本発明は請求項4に記載のような構成、すなわち、内向き折り返し周片部2の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けるように構成することにより、取付け対象製品に対する被着の安定化が図られると共に、その着脱の自在性が確保されることとなる。
【0019】
本発明は請求項5に記載のような構成、すなわち、カバー体3の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成することにより、円形製品に対する被着に基づき、本発明に係るカバー体を例えば研磨または艶出し用等のパットに使用した場合、ムートン素材が備えている柔軟性を阻害することなく、円形製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られると共に、横方向からの力に対する耐性も強化されるため、良好なる研磨または艶出し作用がなされることとなる。
【0020】
本発明は請求項6に記載のような構成、すなわち、カバー体10の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成することにより、本発明に係るカバー体を例えば座布団、または、敷き布団、シーツ、まくら等寝具類のような矩形状製品に使用した場合、ムートン素材の特性とする柔軟性、保温性を阻害することなく、上記のような矩形状製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られる。 すなわち、圧力を受けた部位の極端な扁平化というような問題が解消される。
【0021】
本発明は請求項7に記載のような構成、すなわち、カバー体20の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成することにより、本発明に係るカバー体を例えば靴の中敷きのような不規則形状製品に使用した場合、ムートン素材の特性とする柔軟性、保温性を阻害することなく、上記のような製品の表面に掛かる負荷に対する耐性の強化が図られる。 すなわち、圧力を受けた部位の極端な扁平化というような問題が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1乃至図3は本発明に係る「立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体」の第1実施例、すなわち、図4及び図5に示す艶出し用または洗車用等として用いられるパットPのような円形製品を被着対象とする場合の実施例を表したものである。
【0023】
そして、本発明の実施対象とするパットPのような円形製品は、ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られたものである。
【0024】
図1乃至図3において、1はカバー体であって、メリヤスのような伸縮性に富む材料で製されており、その平面形状は被着対象製品の輪郭形状、同図にあってはパットPの外形に対応する円形形状を具えたものである。 2は当該カバー体1の周縁に連設した内向き折り返し周片部であって、その端部には被着状態の安定化を図るための安定化部材2aが設けられている。
【0025】
すなわち、上記した安定化部材2aとは被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を構成する部材を意味する。 そして、そのための具体的手段を例示すれば、締め付け手段としてはゴム等製の伸縮材、ベルト締め、紐締めのような手段が挙げられ、固定手段としては噛合いテープ(商標:マジックテープ)、ボタン止め、スナップ止めのような手段が挙げられる。
【0026】
3はカバー体1の表面に網状に開設した窓状孔であって、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるためのもの、すなわち、カバー体1の被着時に、当該窓状孔3からこれに該当する部分の被着対象製品の毛を逃がすためのものである。
【0027】
そして、当該窓状孔3の形状は図示のような円形形状に限定されるものではなく、楕円状、矩形状、多角形状等、必要に応じた適宜の形状のものとすることができる。 すなわち、当該窓状孔3から飛び出されて形成される後述の膨出部aの側面の接触性のスムーズ性を得るためには円形または楕円形のような半球形状が好ましい。 一方、当該膨出部aの側面の接触性の強力化を得るためには、矩形状または多角形状のような角張った側面形状のものが好ましい。
【0028】
図5及び図6は第1実施例とする円形形状を具えたカバー体1を、艶出し用または洗車用等として用いられるパットPのような円形製品に対して被着した状態を表したものである。
【0029】
上記した被着状態にあっては、パットPを構成する「表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体」において、カバー体1の窓状孔3に対応する部分は、当該カバー体1の被着に基づく圧力が掛からないため、当該部分は窓状孔3から飛び出され、図5および図6に示すような膨出部aが形成されることとなる。 そして、当該膨出部aは窓状孔3の孔縁で圧縮状に束ねられるため、当該部分の密度が高められると共に当該部分の腰の強さが増強されることとなる。
【0030】
一方、カバー体1の布部分で圧迫されている部分、すなわち、上記した膨出部以外の部分は、ある程度の硬さを具えかつ安定したクッション状態に保持されることとなると共に、前記した膨出部aの歪み的ズレ動きを阻止することとなる。
【0031】
ところで、上記のように飛び出し状態にある膨出部aの高さ寸法は、カバー体1の被せる強さによって定まり、また、その大きさは窓状孔3の大きさによって定まる。そして、当該膨出部aの密度及び腰の強さは、これらの要素に基づき設定されるものである。
【0032】
従って、高密度にして腰の強い膨出部aを必要とする場合は、カバー体1を高度な伸縮性を有する材料で製するとともに、被着対象製品の外形より所定の小ささを具えたものとし、その被着時にカバー体1の伸長化による被着対象製品の表面に対する接触圧力を高めることによって達成される。 更に、当該窓状孔3の大きさ及び数を適宜に設定することにより、必要とする大きさと数の膨出部aの形成が成されるものである。
【0033】
ところで、カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けが働くこととなる。 このような歪み発生を阻止するための手段として、製品の底部に補強用裏打ち基板Aを設けることが好ましい。
すなわち、図5に示すように、製品の底部に別体である補強用裏打ち基板Aを当てておくことにより、上記のような歪み発生が阻止されることとなる。
【0034】
なお、当該補強用裏打ち基板Aは、製品自体にこのような裏打ち基盤を予め具えているものであれば、これをそのまま利用することが出来る。 換言すれば、このような裏打ち基板具えていない製品の場合のみこれを別途に添設するものである。
【0035】
なお、図12に示す実施例であるが、これは「立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板(A)に対して局部的に止め着するための止め着用手段Bを、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設ける」ように構成したものである。 すなわち、製品に対して単にカバー体を被着しただけの場合、膨出部aの飛び出しの安定化及び均一化が図られない場合も想定される。 このような場合、図12に示すように、局部的に止め着するための止め着用手段Bを設けることによって、膨出部aの形成が極めて安定かつ均一に行われることとなる。 なお、図面に於いては当該止め着用手段Bを多数設けてあるが、例えば中心に一つだけとか、周縁より部分だけとか、製品に応じて適宜に設けるのとする。
【0036】
そして、当該止め着用手段Bはカバー体と上述した補強用裏打ち基板Aとを結合することにより、その間に位置する製品部分を圧縮固定化することにより、ズレ発生等の阻止が図られるものである。 なお、当該止め着用手段Bの具体例としては、接着手段、溶着手段、縫着手段、止め金具手段などが挙げられるが、何れにせよ、前記目的が達成されるものであれば、その手段は如何なるものであっても可とする。
【0037】
なお、上述した「補強用裏打ち基板A」及び「止め着用手段B」の具体例として、パットPのような円形製品に対するものを例示したが、これは後述するような「矩形状製品」並びに「不規則形状製品」に対しても同様な形態で実施することが好ましいものであるが、これらの実施例の説明に於いてはこのような事柄の説明及び図示は省略してある。
【0038】
図8は本発明の第2の実施例たるカバー体10を表したものであって、その平面形状は被着対象製品、すなわち、座布団、敷布団、シーツのような製品の輪郭である矩形状(図示の実施例にあっては座布団を対象とした正方形状)とすると共に、当該カバー体10の表面には所要数の窓状孔11を網目状に開設してある。 なお、図示の第2実施例は一例として矩形状製品を対象とするものを例示してあるが、これを任意の多角形状の製品、例えば3角形、5角形等のような多角形製品に対して適応させる場合は、夫々に対応した多角形状の平面形状とするように構成する。 換言すると、本発明にあっては任意の多角形製品を実施の対象とするものである。
【0039】
なお、第2実施例において、カバー体10の外観的形状以外の構成は、既述した第1実施例の場合と全く同様な構成を採るものであり、作用効果も全く同様である。
【0040】
図9は本発明の第3実施例たるカバー体20を表したものであって、その平面形状は被着対象製品、すなわち、前述したような円形製品、矩形状製品以外の不規則形状製品の輪郭である不規則形状(図示の実施例にあっては靴の中敷を対象とした不規則形状)とすると共に、当該カバー体20の表面には所要数の窓状孔21を網目状に開設してある。
【0041】
なお、第3実施例において、カバー体20の外観的形状以外の構成は、既述した第1実施例及び第2実施例の場合と全く同様な構成を採るものであり、作用効果も全く同様である。
【0042】
本発明に係るカバー体は、取付け対象とする製品の上面から被せると共に、内向き折り返し周片部2を当該製品の下面側に抱持させるように位置させることによって、その被着の安定化が図られる。 この時、当該カバー体の寸法を取付け対象製品よりやや小ぶりなものとすることにより、当該カバー体が伸長されて良好なる締め付け性を奏することとなる。 そして、当該内向き折り返し周片部2にゴム製伸縮材を連設しておくことにより、被着状態にあるカバー体に対する不測のズレ動きが阻止されることとなる。
【0043】
そして、上記のようなカバー体の被着に基づき、その窓状孔から取付け対象製品の毛先が突き出され、図6および図7に示すような膨出a部が形成される。
【0044】
一方、カバー体の布部分で圧迫されている部分、すなわち、上記した膨出部a以外の部分は、当該圧迫性に基づきある程度の硬さを具えかつ安定したクッション状態に保持される。
【0045】
ところで、上記のように飛び出された膨出部aの高さはカバー体1の被せる強さによって定まり、また、その大きさは窓状孔3の大きさによって定まり、そして、当該膨出部aの密度及び腰の強さは、これらの要素に基づき所望のものに設定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るカバー体の第1実施例を表した平面図である。
【図2】同上底面図である。
【図3】図1におけるX−X線断面図である。
【図4】本発明の第1実施例における被着対象円形製品の一例として示すパットを表した平面図である。
【図5】同上正面図である。
【図6】本発明に係る第1の実施例のカバー体を円形製品であるパットに対して被着させた状態を表した平面図である。
【図7】同上正面図である。
【図8】本発明に係るカバー体の第2実施例を表した平面図である。
【図9】図8におけるY−Y線拡大断面図である。
【図10】本発明に係るカバー体の第2実施例を表した平面図である。
【図11】図10におけるZ−Z線断面図である。
【図12】本発明における好ましき実施例とする「止め着用手段B」を設けた場合を表した説明用平面図である。
【符号の説明】
【0047】
P パット
A 補強用裏打ち基板
B 止め着用手段
a 膨出部
1 カバー体
2 内向き折り返し周片部
2a ゴム製伸縮材
3 窓状孔
10 カバー体
11 窓状孔
20 カバー体
21 窓状孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、
伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成したことを特徴とする立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項2】
カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板(A)を、当該製品の底面に側に設けるように構成した請求項1に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項3】
立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板(A)に対して局部的に止め着するための止め着用手段(B)を、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成した請求項2に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項4】
内向き折り返し周片部(2)の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けて成る請求項1乃至請求項3の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項5】
カバー体(3)の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項6】
カバー体(10)の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項7】
カバー体(20)の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項1】
ムートン(羊の毛皮)、羊毛繊維若しくは羊毛繊維を用いた糸等により人工的に作られた布材のように、表面が綿状毛先の存在に基づきふっくらとした立体状の羊毛繊維体で作られた製品に被着させるためのカバー体であって、
伸縮性に富む材料で製したカバー体の表面に、被着対象とする製品の毛先を所要量ずつ分けるようにして束ねるための多数の窓状孔を網状に開設し、当該カバー体の周縁に、被着対象製品の下面側に抱持させるための内向き折返し周片部2を形成したことを特徴とする立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項2】
カバー体を立体状の羊毛繊維体で造られた製品に対する被着させた状態において、当該被着に伴う周縁抱持部分の収縮力に基づいて生じる、当該製品周縁部分が内方に歪むような押し込み的締め付けに耐えさせるための補強用裏打ち基板(A)を、当該製品の底面に側に設けるように構成した請求項1に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項3】
立体状の羊毛繊維体で作られた製品に対するカバー体の被着時において、当該カバー体の底面部周縁の補強を成すための裏打ち基板(A)に対して局部的に止め着するための止め着用手段(B)を、当該カバー体における網状部分の所要箇所に設けるように構成した請求項2に記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項4】
内向き折り返し周片部(2)の端部に、被着の安定化を図るための所要の締め付け手段または固定手段を設けて成る請求項1乃至請求項3の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項5】
カバー体(3)の形状を、被着対象とする円形製品に対応した円形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項6】
カバー体(10)の形状を、被着対象とする多角形状製品に対応した多角状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【請求項7】
カバー体(20)の形状を、被着対象とする不規則形状製品に対応した不規則形状の平面形状とするように構成した請求項1乃至請求項4の何れかに記載の立体状の羊毛繊維体表面に被せるためのネット状カバー体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−123(P2012−123A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134818(P2010−134818)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(591142611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(591142611)
【Fターム(参考)】
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