説明

立体画像表示装置及びプログラム、並びに記録媒体

【課題】 簡単な構成で適正な視聴距離で立体画像の視聴ができる立体画像表示装置を提供すること。また、簡単な方法で適正な視聴距離を調整できる立体視聴距離調整用のプログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を提供すること。
【解決手段】 対象者に立体画像を認識させる立体画像表示装置において、表示面を有し、対象者の左右眼に対して視差を持った画像を表示する表示手段と、前記表示面に対して前記画像を表示させる際に,前記表示面に対して所定量浮き上がって観察される複数の第1の視標と所定量沈み込んで観察される複数の第2の視標とを前記画像として形成するための制御手段であって,前記複数の第1視標及び第2視標とを関連付けて視認したときに所定の図形として認識されるように前記表示面に前記画像を表示する制御手段と、を備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者に立体視させるために画像を表示する立体画像表示装置及びプログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネル等のディスプレイに視差を持った画像、映像、を表示し、視聴者に立体画像(立体映像)を認識させる立体画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような装置の技術は、テレビ等の映像表示装置等に利用される。このような装置では、偏光を利用して視聴者の左右眼に見せる画像(映像)を分離し、左右眼に視差の異なる画像を示すことにより、視聴者に立体像を認識させている。このような装置では、視聴に適正とされている視聴距離(表示装置と視聴者との距離)があり、視聴者は、適正な視聴距離に位置して立体画像等を鑑賞することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−7395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体画像を認識したときの立体の浮き上がり量(沈み込み量)は、視聴者の瞳孔間距離や感覚によって異なる。このため、視聴者が、テレビメーカ等が推奨する適正な視聴距離に位置しても、この視聴者が適正な立体視ができるとは限らない。この問題に対して、特許文献1に開示される技術のように、表示する画像の視差を調整することで対応できるが、装置が大型化、複雑化してしまう。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、簡単な構成で適正な視聴距離で立体画像の視聴ができる立体画像表示装置を提供することを技術課題とする。また、簡単な方法で適正な視聴距離を調整できる立体視聴距離調整用のプログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を有することを特徴とする。
(1) 対象者に立体画像を認識させる立体画像表示装置において、
表示面を有し、対象者の左右眼に対して視差を持った画像を表示する表示手段と、
前記表示面に対して前記画像を表示させる際に,前記表示面に対して所定量浮き上がって観察される複数の第1の視標と所定量沈み込んで観察される複数の第2の視標とを前記画像として形成するための制御手段であって,前記複数の第1視標及び第2視標とを関連付けて視認したときに所定の図形として認識されるように前記表示面に前記画像を表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
(2) (1)の立体画像表示装置において、前記図形は、正円、正多角形、正多角形に基づく幾何学的図形、を含む、ことを特徴とする。
(3) (1)又は(2)の立体画像表示装置において、前記制御手段は、前記図形が回転して観察されるように前記第1及び第2視標が所定の平面上を連続的に移動する動画像として前記表示面に表示させる、ことを特徴とする。
(4) (3)の立体画像表示装置において、前記平面は、前記表示面に直交する平面である、ことを特徴とする。
(5) (1)〜(4)の何れかの立体画像表示装置において、
前記浮き上がり量及び/又は沈み込み量に対応する視差の上限は、立体視のための安全基準値以下とされる、
ことを特徴とする。
(6) コンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、所定の表示面に対象者の左右眼に対して視差を持った画像を表示させる際に,前記表示面に対して所定量浮き上がって観察される複数の第1の視標と所定量沈み込んで観察される複数の第2の視標とを前記画像として形成するためステップであって,前記複数の第1視標及び第2視標とを関連付けて視認したときに所定の図形として認識されるように前記表示面に前記画像を表示させるステップ、を備えることを特徴とする。
(7) コンピュータ読み取り可能な記録媒体において、(6)に記載のプログラムが記録されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で適正な視聴距離で立体画像の視聴ができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の立体画像表示装置の概略外観図である。なお、本実施形態における立体画像表示装置は、動画等を表示可能なテレビジョン装置(以下、単にテレビと略す)とする。
【0009】
テレビ100の筐体10の前面には、表示手段である表示部30が設けられている。表示部30は、内部にカラー液晶ディスプレイ31を備えている(図2参照)。筐体10の前面の下方には、操作手段であるリモートコントローラ(以下、リモコン)60からの指令信号(赤外光の通信信号)を受信する受信部11が設けられている。また、筐体10の下部には、装置100の設定(入力)等の各種設定(入力)を行うための設定手段(入力手段)であるファンクションキー12が設けられている。
【0010】
テレビ100には、外部記憶媒体から立体画像、立体映像等を表示させるための立体コンテンツ(プログラム)を読み込む再生デバイス(プレーヤー)200が接続される。再生デバイス200としては、例えば、立体コンテンツが記憶された記憶媒体である多用途ディスク(DVD)210を再生するDVDプレーヤ等がある。テレビ100と再生デバイス200は、双方向にデータ送信を行うためのケーブル201によって接続されている。
【0011】
リモコン60は、表示部30(ディスプレイ31)に表示される画像(映像)、等を表示するチャンネル(テレビ番組)等を選択するための選択手段である複数の選択キー(ボタン)61と、選択された画像、チャンネル等の情報を表示する表示手段である液晶ディスプレイ62と、赤外通信信号を送信する送信部63と、を備えている。また、リモコン60は、装置100の表示部30に、立体画像等の視聴において、適正な距離を確認するためのテストイメージ(詳細は後述する)を表示する選択信号を入力するキー61a、を備えている。選択キー61の選択により、再生デバイス200から立体コンテンツを読み出すことができる。
【0012】
図2は、表示部30の概略構成図とテレビ100の制御系の概略ブロック図とである。表示部30は、カラー液晶ディスプレイ31と、ディスプレイ31の前面に配置(貼付)されたシート状の偏光光学部材32と、を備えている。ディスプレイ31には、1ピクセルで様々な色が表示できるように、赤色、青色及び緑色(光の三原色)のサブピクセルが1ピクセル内に並べられている。偏光光学部材32は、少なくともディスプレイ31の表示領域をカバーする大きさを持っている。
【0013】
ディスプレイ31と受信部11とファンクションキー12とは、テレビ100の制御手段である制御ユニット40に接続されている。また、制御ユニット40には、再生デバイス200が接続されている。また、制御ユニット40には、様々な視標のデータを記憶する記憶手段であるメモリ41が接続されており、また、リモコン60からの指令信号を解読するデコーダ回路等を備えている。メモリ41には、後述するテストイメージ70の表示を行うためのプログラム41aが記憶されている。プログラム41aは実行手段である制御ユニット40に実行される。制御ユニット40は、リモコン60からのチャンネル切換えの指令信号等の入力により、ディスプレイ31の各ピクセルの表示を制御する。本実施形態の制御ユニット40は、動画の表示制御を行う構成を備えている。
【0014】
偏光光学部材32について説明する。ディスプレイ31からは、所定の方向(垂直方向,水平方向又は斜め45度方向)の偏光軸を持つ直線偏光の光が出射される。本実施形態では、垂直方向の偏光軸を持つ直線偏光の光が出射される。偏光光学部材32は、ディスプレイ31が持つ1ピクセルの所定倍の大きさに対応して横方向(水平方向)に延びるライン状で且つ縦方向(鉛直方向)に交互に配置された光学領域32aと光学領域32bとを備えている。光学領域32aと光学領域32bとは、ディスプレイ31からの直線偏光の光を通過させるときに、互いに直交する偏光軸を持つ直線偏光の光に変換する。本実施形態では、偏光光学部材32として、位相差機能を持つ1/2波長板と同等の機能を持つものが使用されている。1/2波長板は、周知のように、入射光の偏光軸が1/2波長板の高速軸(又は低速軸)に対して角度θで入射したときに、その振動方向を2×θ回転させる。すなわち、1/2波長板は、入射光の偏光方向に対して高速軸(又は低速軸)である光学的主軸方向を傾斜させることにより、入射光の偏光軸方向(振動方向)を回転させる機能を持つものであり、入射光の光量をそのまま維持できる特性を持つものである。
【0015】
立体画像の視聴等では、互いに直交する偏光軸を持つ偏光フィルタ91Lと偏光フィルタ91Rとを備える偏光眼鏡90を視聴者が装用し、視聴者の左眼の前に偏光フィルタ91Lが配置され、視聴者の右眼の前に偏光フィルタ91Rが配置される。本実施形態の偏光フィルタ91Lは45度方向に偏光軸を持っており、偏光フィルタ91Rは135度方向に偏光軸を持っている。
【0016】
一方、光学領域32aは左眼用の光学領域であり、本実施形態では、その光学的主軸方向は、偏光眼鏡90が備える左眼用の偏光フィルタ91Lの偏光方向である45度方向と一致した偏光方向の光にディスプレイ31からの光を変換するように配置されている。また、光学領域32bは右眼用の光学領域であり、本実施形態では、その光学的主軸方向は、偏光眼鏡90が備える右眼用の偏光フィルタ91Rの偏光方向である135度方向と一致した偏光方向の光にディスプレイ31からの光を変換するように配置されている。このため、視聴者が左右眼の前に配置された偏光フィルタ91L及び91Rを通して表示部30を見ると、左眼には偏光フィルタ91Lを透過可能な光学領域32aからの光のみが視認され、光学領域32bからの光は偏光フィルタ91Lで遮断されることによって視認されない。逆に、右眼には偏光フィルタ91Rを透過可能な光学領域32bからの光のみが視認され、光学領域32aからの光は偏光フィルタ91Lで遮断されることによって視認されない。このようにして、視聴者の左右眼に入射する光を分離でき、視聴者の左右眼にそれぞれ異なる視標を呈示できる。すなわち、視差を持つ視標を視聴者の左右眼に呈示できる。
【0017】
次に、ディスプレイ31に表示されるテストイメージについて説明する。図3は、本実施形態のテストイメージを模式的に示す斜視図である。図4は、テストイメージを表示したディスプレイ31の表示画面である。
【0018】
本実施形態のテストイメージは、視聴者にとって好適に立体画像を視聴(鑑賞)できる視聴距離を確認、調整するための表示物であり、ディスプレイ31に表示される映像(動画)である。なお、本実施形態では、視聴距離は、視聴者の左右眼とディスプレイ31(の表示面)の間の距離とする。
【0019】
ディスプレイ31に表示されるテストイメージ70は、視聴者に立体的に認識される動画像であり、注視点となるターゲットTが、所定の軌跡を描いて、ディスプレイ31から浮き上って認識されたり、沈み込んで認識される動画像である。
【0020】
ターゲットTは、視聴者の注視を促す形状 であり、ここでは、正面から見た場合に円(正円、真円)に見える図形とする。ターゲットTは、ターゲットT全体が視認できるようなサイズであることが好しい。ターゲットTは、仮想的に示す平面P上の軌跡Lに沿って移動するように認識される。平面Pは、ディスプレイ31の表示面に対して直交する平面である。軌跡Lは、ターゲットTの動き(軌跡)が立体的に認識されたときに、視聴者が認識し易い図形を示す線となる。本実施形態では、軌跡Lは円(正円、真円)とする。軌跡Lは、視聴者が認識し易い図形である必要があるため、単一の平面上(ここでは、ZY平面上)に位置していることが好ましい。なお、軌跡Lは、視聴者が認識しやすい(他のものと誤認しない)形状であればよく、正三角形、正方形、等の多角形(正多角形)の図形であってもよい。なお、軌跡Lは、浮き上がって認識される前方軌跡(前方図形)Lfと、沈み込んで認識される後方軌跡(後方図形)Lrと、が連続的に繋がり、関連した一つの図形となっている。前方軌跡Lf、後方軌跡Lrは共に、同じサイズの半円形状となっている。前方軌跡Lfは、複数の視標が連続的に繋がった形成された仮想的な第1の視標であり、後方規制Lrは、複数の視標が連続的に繋がった形成された仮想的な第2の視標である。
【0021】
ターゲットTは、図中の矢印が示すように軌跡L上を一方向に移動する。ターゲットTは、最も浮き上って認識される位置Pa、ディスプレイ31の表示面の位置Pb、最も沈み込んで認識される位置Pc、を順番に通って軌跡L上を周回する。このとき、ターゲットTの移動速度は、ターゲットTを確認する視聴者が軌跡Lを認識し易い(想像し易い)程度の速度であり、例えば、1〜5秒程度であることが好ましい。従って、ターゲットTは連続的に移動し、軌跡Lの図形を視聴者に認識させる。
【0022】
次に、ディスプレイ31上でのターゲットTの表示について説明する。図3において、軌跡L上の3つの位置(Pa、Pb、Pc)におけるディスプレイ31の表示画面を説明する。図4(a)は、ターゲットTが位置Pa(の位置)に浮き上って認識される場合の表示画面である。図4(b)は、ターゲットTが位置Pbに認識される場合の表示画面である。図4(c)は、ターゲットTが位置Pcに沈みこんで認識される場合の表示画面である。
【0023】
ターゲットTは、浮き上って認識される視差、沈み込んで認識される視差を徐々に変更しながらディスプレイ31に表示されることで、ターゲットTが、軌跡L上を連続的に移動しているように認識される。
【0024】
図4(a)に示すように、左眼用ターゲットTLと、右眼用ターゲットTRと、が幅Waだけ隔てて軌跡L上に配置されている。ディスプレイ31において、右眼用ターゲットTRが左側に、左眼用ターゲットTLが右側に位置している。このため、視聴者の視線は、ディスプレイ31より手前で交差して、ターゲットTR及びTLが認識されることとなる。これにより、ターゲットTが、幅Waの中間位置に浮き上って(ディスプレイ31より手前に)認識されれる。このとき、ターゲットTは、図3における位置Pa(の位置)にあるように視聴者に認識される。
【0025】
図4(a)の状態から、右眼用ターゲットTRと左眼用ターゲットTLは、幅を縮めながら、全体としてディスプレイ31の右側に移動していく。ターゲットTL及びTR間の幅が幅Waに比べて縮まっていくことにより、ターゲットTはディスプレイ31の表示面に近づいていく(浮き上がり量が減る)ように見える。
【0026】
図4(b)に示すように、ターゲットTは、視聴者の左右眼に共に見えるようひディスプレイ31に表示されている。ターゲットTは、左右眼に認識されるため、立体的に認識されることはなく、ディスプレイ31の表示面上に位置して見える。ターゲットTは、軌跡Lの最右端に表示されている。このとき、ターゲットTは、図3における位置Pbにあるように認識される。
【0027】
図4(b)の状態から、ターゲットTは、ターゲットTは左眼用ターゲットTLと左眼用ターゲットTRとがそれぞれ表示され、ターゲット間の間隔が広がりつつ、全体として左側に移動していく。
【0028】
図4(c)に示すように、左眼用ターゲットTLと、右眼用ターゲットTRと、が幅Wcだけ隔てて軌跡L上に配置されている。ディスプレイ31において、左眼用ターゲットTLが左側に、右眼用ターゲットTRが右側に位置している。このため、視聴者の視線は、ディスプレイ31より後方で交差し、ターゲットTR及びTLが認識されることとなる。これにより、ターゲットTが、幅Wcの中間位置に沈み込んで(ディスプレイ31より後方に)認識されれる。このとき、ターゲットTは、図3における位置Pcにあるように視聴者に認識される。
【0029】
このようにして、ディスプレイ31に表示される表示画面上で、左眼用ターゲットTL、右眼用ターゲットTRの表示が制御されることにより、視聴者には、図3に示すような軌跡L上をターゲットTが連続的に移動しているように認識できる。
【0030】
次に、ターゲットTの浮き上がり量及び沈み込み量について説明する。視聴者には、ターゲットTを視認する(見続ける)ことにより、軌跡Lを認識できる。従って、第1の視標である前方軌跡Lfと第2の視標である後方軌跡Lrとが連携することによって、一体の図形が認識される。
【0031】
このとき、軌跡Lの形状は、視聴者によって異なって認識される。これは、ターゲットTの浮きで量、沈み込み量が、視聴者の両眼視の特性及び視聴距離Dによって異なるためである。どの視聴者も同じ視聴距離Dからテストイメージ70を見た場合でも、例えば、視聴者の瞳孔間距離の差によってターゲットTの浮き上がり量、沈み込み量が異なる。言い換えると、視聴者によって、軌跡Lの形状が異なって認識される。例えば、視聴者によっては、軌跡Lが、真円に見える、奥行奉公に潰れた楕円に見える(楕円の短軸がZ方向に見える)、奥行方向に伸びた楕円に見える(楕円の長軸がZ方向に見える)、等、テストイメージ70の見え方が異なる。
【0032】
本実施形態では、視聴者がテストイメージ70を見ながら、立体的に認識されるターゲットTの形状(軌跡Lの形状)が正円に見えるように視聴距離Dを調整することによって、この視聴者にとって適正な視聴距離Dを確認できる。
【0033】
なお、ディスプレイ31に表示される立体画像、立体映像、等の立体コンテンツは、立体コンテンツの製作者等によって、視差が定められている。立体コンテンツの視差(テストイメージ70における浮き上がり量及び/又は沈み込み量の上限に対応する視差)は、立体コンテンツの安全基準(例えば、国際ガイドラインISO IWA3)に収まるように定められており、本実施形態のテストイメージ70の視差も同様に定められている。具体的には、浮き上がり量の上限に対応する幅Wa、沈み込み量の上限に対応する幅Wc、を上記の安全基準内に収まるように定められる。
【0034】
以上のような構成を有するテレビ100での適正な視聴距離の確認における動作について説明する。
【0035】
視聴者は、偏光眼鏡90を装用し、リモコン60のキー61aを押す。テストイメージ70を表示するための選択信号は、送信部63、受信部11を介して制御ユニット40に入力される。制御ユニット40は、選択(指令)信号に基づいてメモリ41からテストイメージ70のデータを読み出し、表示部30に表示させる。制御ユニット40は、左眼用ターゲットTL及び右眼用ターゲットTRの表示を制御し、テストイメージ70を動画として表示部30に表示させる。
【0036】
視聴者は、テストイメージ70を視認する。このとき、偏光光学部材32と偏光眼鏡90によって、左眼用ターゲットTLは視聴者の左眼にのみ見え、右眼用ターゲットTRは視聴者の右眼にのみ見える。これにより、視聴者は、一つのターゲットTが浮き上がったり、沈み込んだりしながら、軌跡L上を連続的に移動しているように認識する。視聴者は、軌跡Lが、真円に見える位置まで移動する(又は、テレビ100を移動させる)。これにより、テレビ100での立体画像等の視聴において、適正な視聴距離を確認する。
【0037】
視聴者は、リモコン60のキー61を操作し、表示部30に立体画像、立体瑛損を含むテレビ番組等を表示させ、番組の視聴を行う。また、再生デバイス200を操作し、表示部30に立体画像、立体映像等を表示させ視聴する。
【0038】
このようにして、簡単な構成で、視聴者に適正な視聴距離を確認、調整することができる。これにより、立体コンテンツの製作者が意図した立体物を視聴者が緩衝できる。例えば、立体コンテンツの製作者が、球体物を立体画像で表示する場合、視聴者は、立体画像に表示される物体が球体として認識できる。また、以上のテストイメージによる適正な視聴距離の確認、調整は、個人単位で行うことができる。従って、同一の立体コンテンツを鑑賞する際に、個人にとって適正な視聴距離を確認、調整でき、立体コンテンツを好適に鑑賞できる。
【0039】
なお、以上の説明では、テストイメージ70は、動画としたが、これに限るものではない。平面上の軌跡が、視聴者に立体的な図形として認識される構成であればよく、静止画であってもよい。例えば、図5に示すテストイメージ80のような静止画であってもよい。図5は、テストイメージ80を模式的に示した斜視図である。テストイメージ80は、立体的に認識されるワイヤーフレームを含む画像である。テストイメージ80では、複数のワイヤーによって、球体が表されている。何れのワイヤーも円の形状であり、水平面上で、球体の赤道に対応するワイヤー81、水平面に直交しZY平面上に位置する経線に対応するワイヤー82、水平面に直交する平面上に位置する経線に対応するワイヤー83、84、ワイヤー81の径より小さくワイヤー81の位置からY方向に沿って変位した水平面上に位置する緯線に対応するワイヤー85〜88、等がある。
【0040】
ワイヤー81〜88は、所定量浮き上がって認識される複数の第1の視標と、所定量沈み込んで認識される第2の視標と、が関連して形成された図形である。ワイヤー81〜88は、半透明で表示される。これにより、視聴者が、静止画で立体的な図形を認識できる。例えば、ワイヤー81は、水平面上に位置する正円(上記の軌跡L)として認識される。
【0041】
なお、以上の説明では、軌跡L、ワイヤー81等によって示される図形を、表示面と直交する水平面としたが、これに限るものではない。視聴者が、図形を認識できる構成であればよく、平面は、表示面に対して90度から鋭角、鈍角のいずれの方向に傾いた構成となっていてもよい。
【0042】
なお、以上の説明では、軌跡L等の図形を正円、正多角形としてが、これに限るものではない。視聴者がテストイメージを立体的に認識したときに、図形の形状を認識しやすい図形であればよい。正多角形に基づいた幾何学的図形であってもよい。例えば、正五角形の頂点を直線で結んで形成される星形、等であってもよい。
【0043】
なお、以上の説明では、適正な視聴距離を確認するためにテストイメージを表示する構成としたが、これに限るものではない。例えば、ディスプレイ式の視標呈示装置に、テストイメージ70、80のような両眼視機能検査用の視標を表示させる構成としてもよい。視標呈示装置としては、特開2009−207569号公報を参照されたい。視標呈示装置を用いて、被検者(対象者)にテストイメージ70を呈示する。被検者は、テストイメージ70を見ながら、視標呈示装置に対して前後に移動し、軌跡Lが正円に見える位置まで移動する。このときの被検者と視標呈示装置との距離を計測することにより、被検者の深視力の評価ができる。一例としては、距離間隔に基づく立体視機能が評価できる。
【0044】
なお、以上の説明では、視聴者の左右眼に呈示される視標を分離するために、所定の偏光軸を持つ偏光光学部材、偏光フィルタ、等を用いるものとしているが、円偏光を利用してもよい。また、以上の説明では、視聴者の左右眼に示したテストイメージを分離するために、ディスプレイの前面に配置された偏光光学部材と、視聴者眼の前に配置される偏光眼鏡を用いるものとしているが、これに限るものではない。テストイメージの分離ができる構成であればよい。色を用いて視標を分離する構成、液晶シャッタを用いて視標を分離する構成、ディスプレイの前面に視差を持たせるレンズを取り付けて分離する構成、等であってもよい。
【0045】
なお、以上の説明では、装置100に備えられたメモリ41に記憶されたプログラム41aによって、ディスプレイ31にテストイメージを表示する構成としたが、これに限るものではなない。ディスプレイ31にテストイメージを表示する構成であればよく、再生デバイス200にプログラムを内蔵する構成としてもよい。また、再生デバイスにより読み取らせるDVD等の記録媒体にプログラムを記憶させる構成としてもよい。このような場合、再生デバイスが備える制御手段が、プログラムの実行手段となる。再生デバイス200が接続された表示装置は一体の立体画像表示装置として機能することとなる。また、テレビ100が受信する立体コンテンツのテレビ番組を介してプログラムを受取り、メモリ41に記憶する構成としてもよい。
【0046】
なお、以上の説明では、ディスプレイにテストイメージを表示させる構成としたが、これに限るものではない。表示面に立体画像を表示する構成であればよく、スクリーン(表示面)に投影装置を用いて立体画像等を表示させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の立体画像表示装置の概略外観図である。
【図2】表示部の概略構成図と装置の制御系の概略ブロック図とである。
【図3】テストイメージを説明する模式的な斜視図である。
【図4】ディスプレイの表示画面を説明する図である。
【図5】テストイメージの変容例を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
30 表示部
31 ディスプレイ
32 偏光光学部材
40 制御ユニット
41 メモリ
60 リモコン
70、80 テストイメージ
100 立体画像表示装置(テレビ)
200 再生デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に立体画像を認識させる立体画像表示装置において、
表示面を有し、対象者の左右眼に対して視差を持った画像を表示する表示手段と、
前記表示面に対して前記画像を表示させる際に,前記表示面に対して所定量浮き上がって観察される複数の第1の視標と所定量沈み込んで観察される複数の第2の視標とを前記画像として形成するための制御手段であって,前記複数の第1視標及び第2視標とを関連付けて視認したときに所定の図形として認識されるように前記表示面に前記画像を表示する制御手段と、
を備えることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
請求項1の立体画像表示装置において、前記図形は、正円、正多角形、正多角形に基づく幾何学的図形、を含む、ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項3】
請求項1〜2の何れかの立体画像表示装置において、前記制御手段は、前記図形が回転して観察されるように前記第1及び第2視標が所定の平面上を連続的に移動する動画像として前記表示面に表示させる、ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項4】
請求項3の立体画像表示装置において、前記平面は、前記表示面に直交する平面である、ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの立体画像表示装置において、
前記浮き上がり量及び/又は沈み込み量に対応する視差の上限は、立体視のための安全基準値以下とされる、
ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項6】
所定の表示面に対象者の左右眼に対して視差を持った画像を表示させる際に,前記表示面に対して所定量浮き上がって観察される複数の第1の視標と所定量沈み込んで観察される複数の第2の視標とを前記画像として形成するためステップであって,前記複数の第1視標及び第2視標とを関連付けて視認したときに所定の図形として認識されるように前記表示面に前記画像を表示させるステップ、をコンピュータに実行させるためのプログラム
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−31139(P2013−31139A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167751(P2011−167751)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】