説明

筐体構造、及び電子機器

【課題】三つのブロックにより構成される筐体構造において、外観を良好にしながら、操作するブロックのグラつきも防止する。
【解決手段】第1ブロック1と、第1ブロック1に回転可能に結合される第2ブロック2と、第1ブロック1及び第2ブロック2を部分的に覆い、且つ第1ブロック1に回転可能に結合される第3ブロック3と、を備える筐体構造であって、第3ブロック3に対し第2ブロック4を固定状態に保持可能とする固定状態保持部を備える。具体的には、第3ブロック3は、第1ブロック1及び第2ブロック2の周囲を覆うフレーム形状に形成されている。また、第1ブロック1に撮影レンズ4が設けられて、第2ブロック2に表示部5及びシャッターボタン6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブロックにより構成される筐体構造と、その筐体構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の図6において、本体ブロックに対し、表示ブロックを回転可能に結合して、リモコンを着脱可能とした三つのブロックにより構成される筐体構造によるカメラが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−191270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三つのブロックにより構成される筐体構造として他には、例えば撮影レンズを有するレンズブロックに、液晶表示部を有する表示ブロックをヒンジ部で回転可能に結合して、これらレンズブロック及び表示ブロックの周囲を覆うフレームブロックを設け、そのフレームブロックをレンズブロックに対し別のヒンジ部で回転可能に結合する構造が考えられる。その場合、フレームブロックの内方で表示ブロックも回転可能となる。
【0005】
ところで、このような筐体構造は、三つのブロックが互いに回転する、回転軸線が直交する二つのヒンジ部を有するため、その二つのヒンジ部の精度誤差の集積によっては、表示ブロックとフレームブロックとのクリアランスに大きな差が生じて外観を損なってしまうことが考えられる。
また、例えば表示ブロックにシャッターボタンを設けることが考えられるが、その場合、シャッターボタンを押した際に、ヒンジ部の支持剛性によっては、表示ブロックがグラついてしまうことが考えられる。
【0006】
本発明の課題は、三つのブロックにより構成される筐体構造において、外観を良好にしながら、操作するブロックのグラつきも防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、第1ブロックと、前記第1ブロックに回転可能に結合される第2ブロックと、前記第1ブロック及び第2ブロックを部分的に覆い、且つ前記第1ブロックに回転可能に結合される第3ブロックと、を備える筐体構造であって、 前記第3ブロックに対し前記第2ブロックを固定状態に保持可能とする固定状態保持部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、三つのブロックにより構成される筐体構造の外観を良好にしながら、操作するブロックのグラつきも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、カメラの正面図(a)、側面図(b)(c)、平面図(d)、及び背面図(e)である。
【図2】図1のカメラの斜視図である。
【図3】図1のカメラの表示ブロックを回転させた図である。
【図4】図1のカメラのフレームブロックを回転させた図である。
【図5】図1の矢印A−A線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1及び図2は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成としてカメラを示すもので、1はレンズブロック、2は表示ブロック、3はフレームブロック、4は撮影レンズ、5は表示部、6はシャッターボタンである。
【0011】
図示のように、カメラの筐体は、撮影レンズ4を有するレンズブロック1と、液晶表示による表示部5及びその隣に並ぶシャッターボタン6を有する表示ブロック2と、これら二つのレンズブロック1及び表示ブロック2の周囲を覆うコ字型のフレーム形状に形成したフレームブロック3とからなる三つのブロックにより構成されている。
【0012】
そして、レンズブロック1に対し表示ブロック2とフレームブロック3が二軸ヒンジ部を介してそれぞれ回転可能に結合されている。
すなわち、レンズブロック1に対して、第1ヒンジ部を介して表示ブロック2が回転可能に結合されるとともに、第2ヒンジ部を介してフレームブロック3が回転可能に結合されている。
【0013】
二軸ヒンジ部は、図1に示すように、レンズブロック1に表示ブロック2を結合する第1ヒンジ部の回転軸線L1と、レンズブロック1にフレームブロック3を結合する第2ヒンジ部の回転軸線L2が互いに直交している。
【0014】
従って、図3に示すように、レンズブロック1に対し表示ブロック2が第1ヒンジ部の回転軸線L1を中心に回転する。
また、図4に示すように、レンズブロック1及び表示ブロック2に対しフレームブロック3が第2ヒンジ部の回転軸線L2を中心に回転する。
【0015】
具体的には、フレームブロック3は270度回転し、使用時にフレームブロック3の角度を変えることで様々なスタイルで撮影ができる。
例えばフレームブロック3を開いて三脚スタンドのように立てて撮影したり、フレームブロック3のコ字型フレーム形状を活かして壁面などのフックに掛けて撮影したり、フレームブロック3をグリップしてカムコーダーのような持ち方でも撮影ができる(図4参照)。
またフレームブロックには弾性を有する樹脂で形成されストラップを通す為のストラップ通し部材31が備えられている(図1参照)。このストラップ通し部材31は、上記三脚スタンドのようにカメラを立てた場合に滑り止めの機能を果たす。
【0016】
なお、フレームブロック3でレンズブロック1及び表示ブロック2の周囲を覆った状態では通常のカメラスタイルで撮影ができる(図2参照)。
【0017】
ここで、通常のカメラスタイルで撮影するとき、シャッターボタン6やその他のコントロールキーを親指で操作する際、その操作中に指で表示ブロック2やその表示部5の画面を押し込む力がかかりやすい。
そのとき、レンズブロック1と反対側において、表示ブロック2とフレームブロック3のグラつきを防ぐために、固定状態保持部として、第1ヒンジ部の回転軸線L1の延長線上に位置する磁石(磁性部材)8が設けられている。
【0018】
また固定状態保持部材の構成要素として、表示ブロック2とフレームブロック3を固定状態に保持可能とする位置には、図5に示すように、表示ブロック2に設けた磁石8の他、この磁石8に対向する位置であって、フレームブロック3のストラップ通し部材31の反対側側面に磁性体9を設けている。
すなわち、表示ブロック2のレンズブロック1と反対側端面の中央内に、第1ヒンジ部の回転軸線L1の延長線上に中心が位置する磁石8を組み込んでおく。
また、フレームブロック3のレンズブロック1と反対側端部の内側面を金属による磁性体9で形成しておく。
なお、磁石8は、シャッターボタン6の操作力以上の吸着によるロック力を確保する磁力に設定する。
【0019】
以上の磁石8及び磁性体9によれば、磁石8と磁性体9が磁力により吸着したロック状態に保たれる。
すなわち、レンズブロック1と反対側において、表示ブロック2とフレームブロック3が磁石8の磁力により吸着状態に保持されるため、図1(e)に示すように、通常のカメラスタイルでシャッターボタン6を押しても、表示ブロック2のグラつきを防いで良好な撮影が行える。
また、その他のコントロールキーを親指で操作する際、その操作中に指で表示ブロック2や表示部5の画面を押し込んだときでも、表示ブロック2のグラつきを防ぐことができる。
【0020】
そして、図3に示すように、レンズブロック1に対し表示ブロック2を第1ヒンジ部の回転軸線L1を中心に回転させる場合は、その第1ヒンジ部の回転軸線L1の延長線上において、磁石8と磁性体9が磁力により吸着したロック状態に保たれているため、表示ブロック2とフレームブロック3とのクリアランスは小さく安定している。
従って、三つのブロックにより構成されるカメラ筐体として良好な外観が得られる。
【0021】
レンズブロック1及び表示ブロック2に対しフレームブロック3を第2ヒンジ部の回転軸線L2を中心に回転させる場合は、表示ブロック2とフレームブロック3に対しシャッター操作以上の力を掛けることで、磁石8と磁性体9の磁力による吸着が解除された状態になる。
【0022】
(変形例)
以上の実施形態においては、カメラとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラを備える携帯電話などの電子機器であってもよい。
また、実施形態では、レンズブロック1にフレームブロック3を回転可能に結合したが、表示ブロック2にフレームブロック3を回転可能に結合してもよい。その場合においても、操作中に指で表示ブロック2や表示部5の画面やレンズブロック1を押し込んだときでも、レンズブロック1(撮影レンズ4)のグラつきを防ぐことができる。
【0023】
さらに、実施形態では、表示ブロックに磁石を設け、フレームブロックに磁性体を設けたが、表示ブロックに磁性体を設け、フレームブロックに磁石を設けてもよい。
さらに、表示ブロック及びフレームブロックの両方に磁石をそれぞれ設けて、そのN極とS極を対向させるように配置してもよい。
【0024】
また、各ブロックの形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0025】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
第1ブロックと、
前記第1ブロックに回転可能に結合される第2ブロックと、
前記第1ブロック及び第2ブロックを部分的に覆い、且つ前記第1ブロックに回転可能に結合される第3ブロックと、を備える筐体構造であって、
前記第3ブロックに対し前記第2ブロックを固定状態に保持可能とする固定状態保持部を備えることを特徴とする筐体構造。
<請求項2>
前記第1ブロックに第2ブロックを回転可能に結合する第1ヒンジ部の回転軸線と、
前記第1ブロックに第3ブロックを回転可能に結合する第2ヒンジ部の回転軸線とが互いに直交することを特徴とする請求項1に記載の筐体構造。
<請求項3>
前記第3ブロックは、前記第1ブロック及び第2ブロックの周囲を覆うフレーム形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体構造。
<請求項4>
前記固定状態保持部は、前記第2ブロックまたは第3ブロックの少なくとも一方に設けられる磁性部材で構成され、前記第2ブロックまたは第3ブロックの前記磁性部材が対向する位置は、前記磁性部材の磁力により吸着する部材で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体構造。
<請求項5>
請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。
<請求項6>
前記第1ブロックに撮影レンズが設けられて、
前記第2ブロックに表示部及びシャッターボタンが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0026】
1 第1ブロック
2 第2ブロック
3 第3ブロック
4 撮影レンズ
5 表示部
6 シャッターボタン
8 磁石(磁性部材)
9 磁性体
L1 第1ヒンジ部の回転軸線
L2 第2ヒンジ部の回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブロックと、
前記第1ブロックに回転可能に結合される第2ブロックと、
前記第1ブロック及び第2ブロックを部分的に覆い、且つ前記第1ブロックに回転可能に結合される第3ブロックと、を備える筐体構造であって、
前記第3ブロックに対し前記第2ブロックを固定状態に保持可能とする固定状態保持部を備えることを特徴とする筐体構造。
【請求項2】
前記第1ブロックに第2ブロックを回転可能に結合する第1ヒンジ部の回転軸線と、
前記第1ブロックに第3ブロックを回転可能に結合する第2ヒンジ部の回転軸線とが互いに直交することを特徴とする請求項1に記載の筐体構造。
【請求項3】
前記第3ブロックは、前記第1ブロック及び第2ブロックの周囲を覆うフレーム形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体構造。
【請求項4】
前記固定状態保持部は、前記第2ブロックまたは第3ブロックの少なくとも一方に設けられる磁性部材で構成され、前記第2ブロックまたは第3ブロックの前記磁性部材が対向する位置は、前記磁性部材の磁力により吸着する部材で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記第1ブロックに撮影レンズが設けられて、
前記第2ブロックに表示部及びシャッターボタンが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243899(P2012−243899A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111275(P2011−111275)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】