説明

簡易トイレ装置

【課題】 収容量を大きく保つと共に、屎尿の液状物の跳ね上がりを防止して快適に使用できるようにし、更に、その状態を良好に維持して長期的に安定して使用できる簡易トイレ装置を提供する。
【解決手段】 排泄された屎尿が便槽10の便収容室12側に落下するように設置され、屎尿のうち、液状物は隔壁16に形成された固液分離メッシュ17を通して液状物貯留室13に流れ込み、分別収容される。そして、屎尿のうちの固形物が落下地点に山状に堆積し、偏りが生じた場合は、掻き均し具18の便均しレバー25aを搖動操作することにより山状の堆積物を崩すことができ、これと同時に、便均しレバー25aの固液分離メッシュ17に面する部分に設けられたブラシ19で、固液分離メッシュ17の汚物が掻き落とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場や災害時等に使用される組立て式の簡易トイレ装置であって、特に、屎尿を固形物と液状物とに分離して収容する簡易トイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築現場や被災地等に仮設される簡易トイレは、水洗装置等を設置することが困難であり屎尿を貯留するだけの簡素な構造のものが多い。また、これに加えて移設を容易にするために、簡易トイレ自体の大きさが制限され、屎尿を収容する容器の容量も小さなものとなってしまいがちである。このため、貯留される屎尿の量が収容量の限界に達するのが早くなり、長期使用は難しい。また、屎尿の固形物が便座の下方に山状に堆積した場合は、屎尿の落下口が塞がったり、使用者に不快感を与えるので、更に使用期間は短くなってしまう。
【0003】
そこで従来では、堆積した屎尿の固形物の山を崩すための手段が講じられている。図7は、従来の掻き均し板を有する簡易トイレの側面図である。
【0004】
図を参照して説明すると、簡易トイレ30の便器31の便落下通路33の側方には、堆積した便を掻き均すための掻き均し板34が設けられた腕35が垂下して設置されている。そして、この便槽32内の腕35は、便器31の前方に設置された梃子棒36により、連結棒37を介して搖動操作されるものである。これにより、便落下通路33の下方に堆積した屎尿の固形物の山を適宜崩すことができる。このような構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
また、簡易トイレは、固形物と液状物とが混在した屎尿が容器内に貯留されているような簡素な構成であるものが多く、このような状態で排便した場合、便の落下に伴って液状物が跳ね上がり易く、使用者に不快感を与えると共に非衛生的である。
【0006】
そこで従来では、屎尿のうち固形物と液状物とを分離し、液状物のみを排出処理するための手段が講じられている。図8は、従来の固液分離器を備えた簡易トイレの側面図である。
【0007】
図を参照して説明すると、簡易トイレ38の便槽40の側壁に設けられた貫通孔43に液状屎尿排出管42が挿通状態となり、固液分離器41が設置されている。この固液分離器41は、動力を用いて屎尿の液状物のみを排出できるものである。このような構成により、常に、便槽40内の液状物が少ない状態となるように保ち、使用時の液状物の跳ね上がりが防止される。また、液状物を除去した分だけ固形物の収容量が増大することにより、継続使用期間を長くすることも可能となる。
【特許文献1】特開平8−238197号公報
【特許文献2】特開平9−187399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の図7に示したように、掻き均しのための構成を備えた簡易トイレ30では、屎尿の固形物の堆積を均すことはできるものの、便槽32の容量が比較的小さいことに加えて、固形物と液状物とが混在した状態で屎尿を貯留するため、直ぐにその便槽32が屎尿で満たされ、継続使用できる期間が短くなってしまう。また、固形物と液状物とが混在した便槽32内に屎尿が落下する際、液状物が跳ね上がり、使用者に不快
感を与えてしまう場合が生じ易くなる。
【0009】
また、従来の図8に示した例のように、固液分離器41を設置することによって液状物を除去し、使用時の液状物の跳ね上がりを防止すると共に、固形物の収容量を増大させることはできても、簡易トイレ38毎に固液分離器41を付設する必要がありコスト高になると共に、動力を伴うため設置も容易ではない。また、建築現場や被災地等においては、電力等の供給が期待できない場合が多いため、固液分離器41が使用不可能になる場合も生じ得る。更に、固形物が流入孔44に詰まり易い。この図8の従来例は、詰まった汚物を振り落とすことによって目詰まりを解消できるように、固液分離器41を揺すり易くするために、貫通孔43の周縁が可撓性を有する部材で形成されている。しかし、揺するだけで確実に目詰まりが解消されるとは限らず、安定して長期使用できない場合がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、収容量を大きく保つと共に、屎尿の液状物の跳ね上がりを防止して快適に使用できるようにし、更に、その状態を良好に維持して長期的に安定して使用できる簡易トイレ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明の簡易トイレ装置は、上方に便座が設けられ、落下する屎尿を収容する便槽と、堆積した前記屎尿の山を崩す掻き均し具とを備えた簡易トイレ装置であって、前記便槽は、落下する屎尿を収容する便収容室と液状物を貯留する液状物貯留室とに隔壁により区画されると共に、この隔壁は、前記屎尿の液状物を通過させるメッシュ部を備え、前記掻き均し具は、前記便槽に搖動可能に支持されると共に、スクレーパを備え、このスクレーパは、掻き均し具の搖動操作に伴って、前記メッシュ部に摺接して、メッシュ部の汚れを掻き落とすように構成されたことを特徴としている。
【0012】
このような構成により、落下して収容される屎尿のうち、液状物は、隔壁に設けられたメッシュ部を通過して液状物貯留室に流入し、固形物から分離して貯留される。そして、このように分離された液状物のみの際には、汎用の排水ポンプなどを利用することにより容易に行うことができる。また、便座の下方に山状に堆積した屎尿の固形物を崩すために、掻き均し具を搖動させた際に、メッシュ部に摺接するように設置されたスクレーパによりメッシュ部の汚れが掻き落とされる。
【0013】
また、前記便座が設けられると共に前記便槽を上方から覆う床板を備え、前記掻き均し具は、ほぼ水平に伸びる掻き均し部と、ほぼ平行に配置され且つ前記掻き均し部の両端に各々の下端が繋がる一対のアーム部とからなり、前記一対のアーム部は、これらのうち一方が前記スクレーパを備えると共に、このスクレーパを前記メッシュ部の前記便収容室側に摺接させて搖動可能となるように、前記便収容室に設けられた2つの支持部に対してそれぞれ支持され、前記一対のアーム部の一方または他方のいずれかが、対応する前記支持部を越えて上方に伸びると共に前記床板を貫通し上方から突出する操作部を備え、前記操作部を前記支持部周りに搖動させることにより、前記掻き均し部で前記屎尿の山を崩すと共に、前記スクレーパで前記メッシュ部の汚れを掻き落とす構成とすると、好適である。
【0014】
このような構成により、便座に座ったまま使用者が操作部を搖動させることにより、容易に屎尿の山が掻き均され、また、メッシュ部の汚れが掻き落とされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の簡易トイレ装置によれば、隔壁に設けられたメッシュ部を通過して液状物が固形物と分離され、液状物貯留室へ貯留されるので、固形物を収容するための容量を大きく保つことができ、長期使用が可能である。また、液状物が便座の下方から離れて貯留され
るので、屎尿の落下に伴う液状物の跳ね上がりが防止され、使用者に不快感を与えることがなくなる。更に、掻き均しの操作と同時にメッシュ部の汚れが掻き落とされ、液状物の流れの良好な状態が維持されるので、安定した長期使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る簡易トイレ装置の実施の形態につき、図1〜6を参照しながら説明する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る簡易トイレ装置の設置例を示す外観斜視図である。
【0018】
この図に示されるように、簡易トイレ装置1は、屋根テントシート2、本体テントシート3及びパイプ材14による組立て式の骨組み等を用いて全体が囲われている。そして、出入り口は開閉可能なカーテン4により構成されるので、構成部材がコンパクトにまとまり、運搬が容易になると共に、組み立て設置も容易に行うことが可能となる。
【0019】
図2は図1の簡易トイレ装置の分解斜視図である。
【0020】
この図に示されるように、簡易トイレ装置1は、大きく分けて、屎尿を収容する便槽10と、この便槽10の下方を保護する基台11と、便槽10を上方から覆う架台5とから構成されている。尚、基台11は、例えば、便槽10を効果的に保護し、且つ軽量で運搬等が容易となるように硬質プラスチック等により形成されているのが望ましい。上記架台5の床板8には、便座蓋部6及び手摺7が配置されている。また、図1及び図2では閉じた状態で示されている便座蓋部6の下方には、通常のトイレの便座に相当する排便するための開口部15が形成されている。尚、この便座蓋部6は、背面側の端部がヒンジ等により固定されており、正面側が持ち上がる構成となっているが、これに限らず、単に、開口部15を覆うように載せるだけの板状部材であっても良い。そして、便槽10は隔壁16により、開口部15から落下する屎尿を収容する便収容室12と以下に説明する液状物貯留室13とに区画されている。また、架台5の床板8は、下方に付設される折りたたみ可能な架台脚部9で支持されている。この架台脚部9は、折りたたまれた状態で搬送され、設置時に伸ばされる。そして、この架台脚部9が伸ばされた状態の架台5を便槽10の上方から覆うだけで簡易トイレ装置の部分の設置が完了する。このような簡易且つ小さくまとまる構成により、運搬及び設置が容易になる。
【0021】
図3は図2の便槽を背面側左から見た拡大斜視図であり、図4は図2の便槽を背面側右から見た拡大斜視図であり、また、図5は図2のV―Vラインから見た拡大断面図である。
【0022】
これらの図に示したように、便槽10の容器部21は、ビニールシート材を用いて上方が開放された袋状に形成されている。また、便槽10の骨組みは、矩形の便槽フレーム23と、この便槽フレーム23の四隅を支持する4本の脚27とから構成されている。そして、容器部21の上方の開口縁が、便槽フレーム23に沿って巻きつけられるように固定されている。また、便槽フレーム23には、その長手方向の2辺を結ぶように、2本の支持ロッド22a、22bが平行に架け渡されている。
【0023】
また、この便槽10には、可動部分として掻き均し具18が備えられている。この掻き均し具18は、下方が上記の便収容室12の底部付近でほぼ水平に延びる掻き均し部28として形成されており、その両端に繋がる部分はほぼ平行な一対の便均しレバー(アーム部)25a、25bを形成するように、上方に折り曲げられている。そしてこれら2本の便均しレバー25a、25bは、各々の上方側にて、上記の2本の支持ロッド22a、22bの枢着部(2つの支持部)20a、20bにそれぞれ枢着支持されている。このように、掻き均し具18は、その下方の掻き均し部28が円筒の一部を描いて搖動可能となる構成となっている。
【0024】
ここで、2本の便均しレバー25a、25bのうち、便均しレバー25bの上方は、ほぼ枢着部20bの位置で終端しているのに対し、便均しレバー25aは、枢着部20aから更に上方に伸び、掻き均し具18を手動で搖動操作可能にする操作部29を有している。この操作部29は、使用状態において上記図2に示した架台5の操作部貫通孔50から床板8を貫通して上方に突出し、図1に示すように、使用者が片手で操作し易い位置に伸びた部分である。したがって、屎尿の固形物が便収容室12内で偏って堆積した場合には、使用者がこの操作部29を前後に搖動させることにより、掻き均し部28で簡単に堆積物の山を崩して均すことができる。
【0025】
一方、上記隔壁16は容器部21と同様のビニールシートで形成されており、その上端縁が支持ロッド20bに沿って巻き付けられて固定されている。そして、この隔壁16の一部が液状物を通過させる固液分離メッシュ(メッシュ部)17で形成されている。これにより、開口部15から落下した屎尿のうち固形物は便収容室12内に残り、液状物は、この固液分離メッシュ17を通過して液状物貯留室13へ流れ込む。したがって、液状物が除かれた分だけ、便収容室12の容量を固形物のみに対して広く利用でき、継続使用期間を長くすることができる。尚、これら便収容室12と液状物貯留室13との容積比は、液状物を排出する手段としてポンプを用いる場合や柄杓を用いる場合等、排液処理の状況に合わせて設定すれば良い。また、液状物貯留室13側に排液用の管(図5に仮想線で示す。)を設け、常に液状物を排出可能な状態にできる設置環境であれば、液状物貯留室13と比較して便収容室12をかなり大きくなるように設定することができ、継続使用期間を更に長くすることが可能である。
【0026】
また、本発明の掻き均し具18の便均しレバー25bには、ブラシ(スクレーパ)19が、その先端を上記の固液分離メッシュ17に摺接するように設けられている。これにより、たとえ固形物やティシュペーパー等の汚物により固液分離メッシュ17に目詰まりが生じた場合であっても、便収容室12に堆積した屎尿の固形物の山を均すために掻き均し具18を搖動操作する際に、固液分離メッシュ19の汚物もブラシ19によって掻き落とされ、目詰まりが解消される。したがって、使用者が特に目詰まりについて意識することなく、常に、液状物貯留室13へ液状物が流れ易い状体を良好に維持することができ、安定した長期使用が可能となる。
【0027】
尚、可撓性を有するビニールシートにより形成された隔壁16の固液分離メッシュ17に対してブラシ19を摺動させ、固液分離メッシュ17に付着した汚物を掻き落とす場合、固液分離メッシュ17がブラシ19から離れないようにしなければならない。そして、このためには、固液分離メッシュ17の面を延ばす方向に対してある程度の張力が加わるか、又は、隔壁16がブラシ19と反対側から支えられていることが好ましい。そこで、この実施の形態では、ブラシ19の配置されている便収容室12と反対の液状物貯留室13側に、隔壁16の両側端縁及び上端縁を支えるための隔壁固定枠51を設けている。この隔壁固定枠51は隔壁16の上端縁を支える水平部分の両端が、便槽フレーム23の長手方向の一対の辺に対してそれぞれ枢着支持される構成となっている。したがって、この隔壁固定枠51は、運搬時には、便槽フレーム23の構成する平面内に収納でき、また、使用時には隔壁16に沿う位置にまで移動させることができる。これにより、運搬及び設置の容易性を兼ね備えたまま、固液分離メッシュ17の汚物がより確実に掻き落とされ、固体物と液状物との分離状態をより良好に保つことが可能となる。また、これに加えて、ブラシ19の先端が、固液分離メッシュ17の網目を若干突き抜ける状態となるように、ブラシ19と固液分離メッシュ17との位置関係を設定すれば、汚物の除去がより効率的になるので好ましい。
【0028】
次に、図6は使用済み便槽の運搬形態の分解斜視図である。
【0029】
この図に示すように、使用済みの便槽10を運搬する際には、架台5が取り外され、蓋部26が基台11に対向するように便槽10の上方から被せられる。そして、便槽10は、蓋部26及び基台11の双方の側面に設けられた脱着自在なテープ等(図示せず)により固定密封される。このように、便槽10は基台11及び蓋部26により完全に覆われるので安全かつ容易に運搬することが可能となる。ここで、図3から図5に示した便均しレバー25aは、この実施の形態においては、図6に示したように、便槽フレーム23より上方に突出した操作部としての便均しレバー25cと、これより下方の便均しレバー25dとに分離して着脱自在の構成とすることにより、便均しレバー25の上方への突起をなくし、蓋部26を被せたときの収納状態を良好にすることが可能となる。
【0030】
尚、上記の実施の形態では、掻き均し部28の上方には、図3から図5に示すように、ほぼ垂直な面をなすように掻き均し板24が形成され、堆積した固形物の山を崩す操作を効率よく行うことができる構成を例として示した。しかし、この掻き均し板24は形成されていなくても良い。
【0031】
また、上記の実施の形態では、掻き均し具18はほぼコの字型に形成され、2本の支持ロッド22に対して2箇所の枢着により支持された構成を例として示したが、便収容室12の屎尿の掻き均し動作と固液分離メッシュ17に付着した汚物の掻き落とし動作とを搖動操作により同時に行うことができる構成であれば、他の形状による構成でもよく、例えば、掻き均し部28と、固液分離メッシュ17をブラッシングするための1本の便均しレバーのみからなるL字型の掻き均し具の構成であっても構わず、また、2本以上の便均しレバーが平行に搖動する構成等であっても良い。更に、掻き均し部は1本ではなく複数本の組み合わせからなる構成であっても良い。
【0032】
更に、上記の実施の形態では、便均しレバー25が2本の支持ロッド22に枢着されている構成を例として示したが、これに限らず、便槽10の他の部分に枢着されていても良い。
【0033】
更に、上記の実施の形態では、ブラシ19は固液分離メッシュ17の便収容室12側の面に摺接するように設置されている構成を例として示したが、液状物貯留室13側の面に摺接するように設置される構成であっても構わない。
【0034】
更に、上記の実施の形態では、便が落下する開口部15が正面側に偏って配置されているのに対応して、隔壁16に形成される固液分離メッシュ17の位置もやや前方側に偏った構成を例として示した。しかし、これに限らず、掻き均し具の搖動範囲、すなわち、ブラシの摺動範囲に合わせて、固液分離メッシュの大きさ、形、位置等を形成しても良い。なお、固液分離メッシュ17の位置については、便槽10の底面より少なくとも5cm以上上方位置となるように、隔壁16に配してもよい。これにより、便収容室12側の屎尿について、適度な水気を残すことができる。
【0035】
更に、上記の実施の形態では、掻き均し具18の搖動動作は、使用者が人力により操作する構成を例として示したが、動力を用いて搖動動作させる構成であっても良い。
【0036】
更に、上記の実施の形態では、隔壁側とは異なる側に支持される便均しレバー25が操作部29を備えている構成を例として示したが、隔壁側に支持される便均しレバー25が操作部29を備える構成であっても良い。
【0037】
更に、上記の実施の形態では、固液分離メッシュ17は、その下端が、便槽10の底部に沿うように形成された構成を例として示したが、これに限らず、下端が底部から離れていても良い。また、便槽10の底面を便収容室12側から液状物貯留室13側へ向けて下
り勾配を設けるように構成すれば、更にスムーズな液状物の流れを作ることができると共に、液状物の逆流も防止することが可能である。
【0038】
更に、上記の実施の形態では、掻き均し部28が、平面視において、開口部15とほぼ重なる位置に配置されるように、少し正面側へ偏った構成を例として示したが、便槽の幅方向に対して中心寄りに配置する構成であっても良く、また、便槽と掻き均し部が平行に配置されていなくても良い。
【0039】
更に、上記の実施の形態では、便槽10の容器部21及び隔壁16がビニールシートを材料として形成されている構成を例として示したが、ビニールシートに限らず、例えば、可撓性を有しない材質で形成されていても構わない。また、容器部21に耐久度の高い材質を用いる場合は、便槽10の下方を保護する基台11を用いなくても良い。
【0040】
更に、上記の実施の形態では、架台5には排便するための開口部15を設けただけの最も簡素な形状を例と示したが、開口部の周りに通常の便座が設けられていても良い。
【0041】
更に、上記の実施の形態では、固液分離メッシュ17に付着した汚物を掻き落とすためのスクレーパとして、掻き均し具18にブラシ19が設けられている構成を例として示したが、汚物を掻き落とせるものであれば、フェルトやゴムベラ等を用いる構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、屎尿の固形物を収容する便収容室と液状物を収容する液状物貯留室とを隔壁により区画し、特別な操作を伴わず両者を分別収容できるように、隔壁に固液分離メッシュを形成すると共に、固形物の堆積の偏りを均す便均しレバーの搖動操作に伴って、固液分離メッシュの汚物を掻き落とし、目詰まりを解消できる掻き均し具を備えるので、電力供給の無い災害地や建築現場等において用いる簡易トイレ装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る簡易トイレ装置の設置例を示す外観斜視図である。
【図2】図1の簡易トイレ装置の分解斜視図である。
【図3】図2の便槽を背面側左から見た拡大斜視図である。
【図4】図2の便槽を背面側右から見た拡大斜視図である。
【図5】図2のV―Vラインから見た拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る使用済み便槽の運搬形態の分解斜視図である。
【図7】従来の掻き均し板を有する簡易トイレの側面図である。
【図8】従来の固液分離器を備えた簡易トイレの側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 簡易トイレ装置
6 便座蓋部
10 便槽
12 便収容室
13 液状物貯留室
15 開口部
16 隔壁
17 固液分離メッシュ(メッシュ部)
18 掻き均し具
19 ブラシ(スクレーパ)
20 枢着部(支持部)
25 便均しレバー(アーム部)
28 掻き均し部
29 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に便座が設けられ、落下する屎尿を収容する便槽と、堆積した前記屎尿の山を崩す掻き均し具とを備えた簡易トイレ装置であって、
前記便槽は、落下する屎尿を収容する便収容室と液状物を貯留する液状物貯留室とに隔壁により区画されると共に、この隔壁は、前記屎尿の液状物を通過させるメッシュ部を備え、
前記掻き均し具は、前記便槽に搖動可能に支持されると共に、スクレーパを備え、このスクレーパは、掻き均し具の搖動操作に伴って、前記メッシュ部に摺接して、メッシュ部の汚れを掻き落とすように構成されたことを特徴とする簡易トイレ装置。
【請求項2】
前記便座が設けられると共に前記便槽を上方から覆う床板を備え、
前記掻き均し具は、ほぼ水平に伸びる掻き均し部と、ほぼ平行に配置され且つ前記掻き均し部の両端に各々の下端が繋がる一対のアーム部とからなり、
前記一対のアーム部は、これらのうち一方が前記スクレーパを備えると共に、このスクレーパを前記メッシュ部の前記便収容室側に摺接させて搖動可能となるように、前記便収容室に設けられた2つの支持部に対してそれぞれ支持され、
前記一対のアーム部の一方または他方のいずれかが、対応する前記支持部を越えて上方に伸びると共に前記床板を貫通し上方から突出する操作部を備え、
前記操作部を前記支持部周りに搖動させることにより、前記掻き均し部で前記屎尿の山を崩すと共に、前記スクレーパで前記メッシュ部の汚れを掻き落とすことを特徴とする請求項1記載の簡易トイレ装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−80041(P2008−80041A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266318(P2006−266318)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(505378563)まいにち株式会社 (3)
【Fターム(参考)】