説明

籾摺選別装置

【課題】 揺動枠体に装着した選別板の揺動にともなうガタつきを無くした籾摺選別装置を提供する。
【解決手段】 揺動選別部4は、揺動枠体10に複数枚の選別板11を多段状に装着して構成されている。各選別板11は揺動枠体10に対してその一方端側から抜き差し自在である。揺動枠体10は、その一方端側と他方端側方向に対する左右両端の内側に選別板11の挿入受け部14、15と、選別板11の左側の底裏面16に対応する案内溝体17を有している。選別板11の底裏面16には案内溝体17の内面に沿う案内突板18を備えている。選別板11の左右端には、挿入受け部14、15に対する弾性受け部材20、21を備えている。案内溝体17に対する案内突板18の当接と挿入受け部14に差し込まれた弾性受け部材20の弾性変形により選別板11の緊定状態が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺装置により摺り出された摺米を揺動選別部に供給して玄米、混合米および籾とに選別する籾摺選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
籾摺装置により摺り出された摺米は、玄米に摺り残りの籾とが混合した混合米となっているが、これを各種の選別手段により玄米、混合米および籾とに選別することが行われている。従来、そのための選別手段としては、揺動選別板による揺動選別装置がある(特開0平11−76945号公報、特開2000−61399公報、特開2005−40732公報参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−76945号公報
【特許文献2】特開2000−61399公報
【特許文献3】特開2005−40732公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の籾摺選別装置にあっては、揺動枠体に複数枚の選別板を多段状に装着されており、その各選別板はそれぞれ抜き差し自在となっているが、揺動枠体には選別板の左右両端側を受けるレールを備えていて、選別板を左右のレール間に差し込んで保持する構造であるから、揺動枠体に挿入した複数枚の選別板を揺動枠体に固定するには揺動枠体の一方端側を覆うカバーにそれぞれネジ止めするか(特開2000−61399公報参照)、あるいは選別板の一方端側に揺動枠体の一方端に対する嵌合構造を備えたうえ揺動枠体の一方端側を覆うカバーを装着している(特開2005−40732公報参照)。
【0005】
ところが、前記特開2000−61399公報または特開2005−40732公報に記載されている選別板の固定手段によれば、選別板の一方端側のみで揺動枠体に固定するものであるから、選別板の差し込み方向の全長にわたる遊びを完全に無くすことはできず、揺動にともなっていわゆる細かいガタつきにともなって被選別物の受けレールと選別板との間への入り込みが生じて、選別板の抜き差しに支障をきたすことが問題である。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解消しようとするものであって、揺動枠体に選別板の挿入受けと併せて選別板の底裏面に案内突板を備え、それらにより揺動枠体に差し込んだ選別板をその差し込み方向のほぼ全長にわたって固定されるようにして、揺動枠体に装着した選別板の揺動にともなうガタつきを完全に無くした籾摺選別装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る籾摺選別装置は、籾摺装置により摺り出された摺米を揺動選別部に供給して玄米、混合米および籾とに選別する籾摺選別装置であって、揺動選別部は、揺動枠体に複数枚の選別板を多段状に装着して構成されているとともに各選別板は揺動枠体に対してその一方端側から抜き差し自在であり、揺動枠体は、その一方端側と他方端側方向に対する左右両端の内側に選別板の挿入受け部と、選別板の左右いずれか一方側の底裏面に対応する案内溝体を有しており、選別板の底裏面には上記案内溝体の内面に沿う案内突板を一体に備えているとともに、選別板の側端には、前記挿入受け部に対する弾性受け部材を備えていて、前記案内溝体に対する案内突板の当接と前記挿入受け部に差し込まれた弾性受け部材の弾性変形により揺動枠体に選別板が緊定状態を保持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項2に係る籾摺選別装置は、請求項1の構成において、選別板の底裏面に備える案内突板と弾性受け部材とを一体構造として選別板に取り付けていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る籾摺選別装置によれば、揺動枠体に選別板の挿入受けと併せて選別板の底裏面に案内突板を備え、それらにより揺動枠体に差し込んだ選別板をその差し込み方向のほぼ全長にわたって固定されるようにして、揺動枠体に装着した選別板の揺動にともなうガタつきを完全無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面は本発明の一実施の形態を示し、図1は本発明に係る選別板とそれを揺動枠体に差し込み装着した態様の断面図、図2は同上選別板の斜視図、図3は同上図2のa部詳細図、図4は揺動枠体の一部詳細斜視図、図5は揺動選別部の斜視図、図6は籾摺選別装置の全体模式図である。
【0011】
1は籾摺選別装置であって、籾摺選別装置1は、図6に示すように、籾摺装置2、風選部3、揺動選別部4からなり、5は籾タンク、6は籾投入昇降機、7は玄米昇降機、8は混合米昇降機、9は混合米タンクである。籾摺選別装置1は、籾摺装置2により摺り出された摺米を揺動選別部4に供給して玄米、混合米および籾とに選別するものである。
【0012】
揺動選別部4は、図5に示すように、揺動枠体10に複数枚の選別板11を多段状に装着して構成されており、各選別板11は、揺動枠体10に対してその一方端側から抜き差し自在である。すなわち、揺動枠体10には、各段ごとに、その一方端側と他方端側に対する左端12と右端13の内側に、選別板11の挿入受け部14、15が設けられており、選別板11の左側の底裏面16に対応する案内溝体17を有しており、選別板11の底裏面16には上記案内溝体17の内面に沿う案内突板18を一体に備えている。上記挿入受け部14、15は揺動枠体10に選別板11のほぼ全長にわたって設けられており、案内溝体17および案内突板18も選別板11のほぼ全長にわたって設けられている。なお、案内溝体17および案内突板18は選別板11の底裏面16の右側に設けてもよい。選別板11の底裏面16に備える案内突板18と弾性受け部材20とは、一体構造として選別板11に取り付けているので、これが選別板11の補強にもなっている。(図1)。
【0013】
選別板11の側端のうち左端には、前記挿入受け部14に対する弾性受け部材20を備えていて、前記案内溝体17に対する案内突板18の当接と前記挿入受け部14に差し込まれた弾性受け部材20の弾性変形により揺動枠体10に選別板11が緊定状態を保持するように構成されている。選別板11の右端にも前記弾性受け部材20と対称形態の挿入受け部15に対する弾性受け部材21を備えている。これら左右端の弾性受け部材20、21は、それぞれの挿入受け部14、15に挿入された状態で挿入受け部14、15の上下面に密接するので(図1)、挿入受け部14、15に異物の侵入が防止される。
【0014】
選別板11の底裏面に一体に設けた案内突板18は、選別板11の差し込み方向先端部が案内溝体17の垂直面19を避けるように左側に傾斜面22をなし(図2)、弾性受け部材20、21の先端部は挿入受け部14、15に挿入しやすいように下向きの傾斜面23をなしている(図3)。弾性受け部材20、21は左右方向にU字形に湾曲した形状にしてあって、弾性変形とその復元効果が大きくなるようにしてある。また、案内溝体17と案内突板18が設けられている側と反対側の挿入受け部15と選別板11の弾性受け部材21との間には大きめに隙間24を設けてあり、案内溝体17と案内突板18が設けられている側の挿入受け部14と選別板11の弾性受け部材20との間は、選別板11の先端側を揺動枠体10に差し込み始めの状態では隙間が生じるが、選別板11をさらに差し込むと案内突板18が案内溝体17の垂直面19に当接して挿入受け部14の側面に弾性受け部材20が密接状態となって、選別板11は挿入受け部14と弾性受け部材20と、案内溝体17と案内突板18との当接によって揺動枠体10に選別板11が固定状態に保持される。なお、揺動枠体10の選別板11の差し込み側である一方端には覆板25が着脱自在になっており、複数枚の選別板11を装着後に揺動枠体10に覆板25を取り付けることによって選別板11全部がガタつき無く確実に固定される。
【0015】
図4に示すように、挿入受け部14、15の水平面26および案内溝体17の水平面27には、それぞれ侵入異物の排除スリット28を設けてあって、籾などが挿入受け部20、21と選別板11との間、また案内溝体17内に侵入しても、落下し排除されるようにしてある。このため、揺動枠体10に対する選別板11の抜き差しに支障が生ぜずその作業を常に軽快にできる。
【0016】
揺動枠体10に選別板11を差し込むには、その差し込み先端側を揺動枠体10に向け、左右の挿入受け部14、15間に選別板11を差し込むが、選別板11の左右端の弾性受け部材20、21の先端側はそれぞれ下向きの傾斜面23となっており、また選別板11の底裏面16に設けた案内突板18の先端(奥側)は左側への傾斜面22となっているので、挿入受け部15と選別板11の弾性受け部材21との間の大きめの隙間24と相俟って、選別板11の差し込みが容易にでき、挿入後の選別板11は前述のように完全に固定され、揺動による揺動枠体10との間にいわゆるガタが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】同上選別板とそれを揺動枠体に差し込み装着した態様の断面図である。
【図2】同上選別板の斜視図である。
【図3】同上図1のa部詳細図である。
【図4】揺動枠体の一部詳細斜視図である。
【図5】揺動選別部の斜視図である。
【図6】籾摺選別装置の全体模式図である。
【符号の説明】
【0018】
1 籾摺選別装置
2 籾摺装置
3 風選部
4 揺動選別部
5 籾タンク
6 籾投入昇降機
7 玄米昇降機
8 混合米昇降機
9 混合米タンク
10 揺動枠体
11 選別板
12 揺動枠体の左端
13 揺動枠体の右端
14、15 挿入受け部
16 底裏面
17 案内溝体
18 案内突板
19 垂直面
20、21 弾性受け部材
22 案内溝体の垂直面を避ける傾斜面
23 下向きの傾斜面
24 隙間
25 覆板
26 挿入受け部の水平面
27 案内溝体の水平面
28 排除スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺装置により摺り出された摺米を揺動選別部に供給して玄米、混合米および籾とに選別する籾摺選別装置であって、
揺動選別部は、揺動枠体に複数枚の選別板を多段状に装着して構成されているとともに各選別板は揺動枠体に対してその一方端側から抜き差し自在であり、
揺動枠体は、その一方端側と他方端側方向に対する左右両端の内側に選別板の挿入受け部と、選別板の左右いずれか一方側の底裏面に対応する案内溝体を有しており、選別板の底裏面には上記案内溝体の内面に沿う案内突板を備えているとともに、選別板の側端には、前記挿入受け部に対する弾性受け部材を備えていて、前記案内溝体に対する案内突板の当接と前記挿入受け部に差し込まれた弾性受け部材の弾性変形により揺動枠体に選別板が緊定状態を保持するように構成されていることを特徴とする籾摺選別装置。
【請求項2】
選別板の底裏面に備える案内突板と弾性受け部材とを一体構造として選別板に取り付けていることを特徴とする請求項1記載の籾摺選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−239657(P2006−239657A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62871(P2005−62871)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】