説明

紙容器内の異物検査装置、これを用いた充填シール装置、及び充填シール方法

【課題】 コスト安で、容器内の光反射に左右されることのない紙容器内の異物検査装置を提供する。
【解決手段】 紙容器1は開口部を上にした状態でホルダ41によって搬送及び位置決めされる。紙容器1の上方には取付ハウジング61に取り付けられた超音波センサ62が配置される。超音波センサ62は円錐形に超音波を照射し、その反射をとらえる。解析装置63は反射波の信号を解析して目的物までの距離を計測し、計測した距離から異物の存在を検知する。超音波センサ62は円筒形ケース62aの外面に雄ねじ部62bを有し、この雄ねじ部62bを、取付ハウジング61の底板61aに形成された雌ねじ部61bと、この底板61の上に置かれるナット64に螺合させて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器内の異物検査装置、これを用いた充填シール装置、及び充填シール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ジュース、酒などの液体は、ゲーベルトップ型やフラットトップ型などの紙容器に入れられて流通ルートに乗せられることが多い。そのような紙容器に液体を充填し、シールする装置の例を特許文献1に見ることができる。また、容器に商品を入れて密封するにあたっては、商品を入れる前に、容器内に異物が入っていないかどうか検査する必要がある。そのような検査装置の例を特許文献2に見ることができる。
【特許文献1】特開2002−19733号公報(第3頁−第4頁、図1−図3)
【特許文献2】特開2002−277402号公報(第3頁−第5頁、図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
紙容器には合成樹脂製の注出口を備えたものがある。このような注出口は紙容器を製函しておいて内側からはめ込むのであるが、組立工程で容器内に落下してしまうことがある。注出口が落ち込んだ紙容器に液体を充填し、シールすると、外から透視することができず、X線でもチェックできないので、検査過程で不良品として排除されることなく消費者の手に渡ってしまうおそれがある。従って、合成樹脂製の注出口を備えた紙容器にあっては、液体充填前の異物検査を通常の紙容器以上に厳格に行うことが求められる。
【0004】
従来、合成樹脂製注出口付き紙容器の充填前異物検査装置としては、カメラで紙容器内を撮影し、撮影した画像を画像認識技術で解析して異物の存在を判定するという手法がとられてきた。この手法を用いた検査装置は高価であるうえ、正確な認識結果を得るための条件設定、特に照明条件の設定が難しいという問題がある。特に、内面にアルミ箔の層を設けた紙容器にあっては反射光が強くなりすぎ、肝心の異物の認識性能が落ちるという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような問題に鑑みなされたものであり、コスト安で、容器内の光反射に左右されることのない紙容器内の異物検査装置を提供することを目的とする。また、このような異物検査装置を用いて異物混入のない商品を生産できる充填シール装置、及び充填シール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明に係る紙容器内の異物検査装置は、開口部を上にして位置決めされた紙容器の上方に配置され、この紙容器の内部を探索範囲とする超音波センサと、この超音波センサからの信号を解析し異物を認識する解析装置とを備えることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、紙容器内の光反射条件に左右されることなく、確実に異物の存在を検知することができる。また、カメラと照明器具を用いた視覚的検査装置に比べ、装置コストを大幅に引き下げることができる。
【0008】
(2)また本発明では、上記のように構成された紙容器内の異物検査装置において、前記超音波センサは筒形ケースの外面に雄ねじ部を有し、この雄ねじ部を前記紙容器の上方に配置される取付ハウジングの底板に形成された雌ねじ部に螺合して超音波センサを固定することを特徴としている。
【0009】
この構成によると、超音波センサを取付ハウジングの底板に安定して固定することができる。
【0010】
(3)また本発明では、上記のように構成された紙容器内の異物検査装置において、前記雄ねじ部に前記底板の上でナットを螺合させ、底板とナットの間にダブルナット効果を生じさせることを特徴としている。
【0011】
この構成によると、超音波センサはダブルナット効果でしっかり固定される。またナットは取付ハウジングの底板の上にあり、取付ハウジングの外に出ないので、ナットが緩んで紙容器内に落下するといった事故を起こすおそれがない。
【0012】
(4)また本発明は、紙容器に液体を充填しシールする充填シール装置において、充填行程の前に上記容器内の異物検査装置を配置したことを特徴としている。
【0013】
この構成によると、異物の入った紙容器を液体充填前に確実に発見できるので、異物の混入した商品を出荷するおそれをなくすことができる。
【0014】
(5)また本発明に係る充填シール方法は、紙容器に液体を充填しシールする前に、超音波センサにより紙容器内の異物検査を行うことを特徴としている。
【0015】
この構成によると、異物の入った紙容器を液体充填前に確実に発見できるので、異物の混入した商品を出荷するおそれをなくすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、紙容器に液体を充填した商品を生産するにあたり、紙容器内の光反射条件に左右されることなく確実に異物の存在を検知できる。従って異物の混入した商品を出荷するおそれをなくすことができる。また、検査装置のコストを大幅に引き下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図に基づき説明する。図1は充填シール装置の概略構成図である。充填シール装置10は、図3に示すような合成樹脂製の注出口2を有するゲーベルトップ型紙容器1に液体を充填し、シールするものであって、床上に設置されるテーブル11の上に、上流(図の右側)から下流(図の左側)まで、各工程の機械装置を順に配置した構成となっている。
【0018】
工程の最上流部に配置されるのは紙容器供給装置20である。紙容器供給装置20は、筒状に胴貼りし、偏平に折り畳んだ状態の紙容器1を筒状に起こして下流の紙容器底部組立装置30に供給する。
【0019】
紙容器底部組立装置30により底部の組立が行われた紙容器1は、開口部を上にして充填シールライン40に供給される。充填シールライン40には、紙容器1の搬送兼位置決め手段であるホルダ41(図2参照)が多数並べられている。ホルダ41は紙容器1を1個ずつ直立状態で保持し、所定タクトで間欠搬送しては目的の位置に停止させる。
【0020】
紙容器1に対し、搬送経路沿いの作業ステーションで順次所定の処理を行う。すなわち注出口取付装置42で紙容器1に注出口2を取り付け、注出口シール装置43で注出口2のシールを行い、頂部一次くせ折り装置44で紙容器1の頂部を一次折りし、殺菌剤噴霧装置45で紙容器1の内部に殺菌剤を噴霧し、乾燥装置46で殺菌剤を熱風乾燥し、熱を持った紙容器1を冷却装置47で冷却し、充填装置48で紙容器1に液体を充填し、頂部二次くせ折り装置49で紙容器1の頂部を二次くせ折りし、ヒータ50で頂部のシール面を加熱し、頂部折り畳み加圧装置51で頂部の折り畳みと加圧を行い、その後完成品の紙容器1を充填シールライン40から排出するものである。
【0021】
冷却装置47と充填装置48の間には異物検査装置60が配置される。その構成を図2に基づき説明する。
【0022】
異物検査装置60は、ステンレス鋼板などにより形成された取付ハウジング61と、これに取り付けられた超音波センサ62と、超音波センサ62からの信号を解析し異物を認識する解析装置63を主たる構成要素とし、これに紙容器1の搬送及び位置決め手段としてのホルダ41を加えて構成される。取付ハウジング61は作業ステーションで停止した紙容器1の上方に位置するように固定される。超音波センサ62は円筒形のケース62aを備え、このケース62aの先端部外面には雄ねじ部62bが形成されている。これに対応して、取付ハウジング61の底板61aには雌ねじ部61bが形成されている。
【0023】
超音波センサ62を取付ハウジング61に取り付けるにあたっては、まず雄ねじ部62bにナット64を螺合し、さらにワッシャ65を嵌合しておく。こうしておいて雄ねじ部62bを取付ハウジング61の底板61aの雌ねじ部61bに上方から螺合し、ケース62aの先端を底板61aの下面から少し突き出させる。雌ねじ部61bへの螺合を戻し気味にしながらナット64を締め付けると、底板61とナット64の間にいわゆるダブルナットの効果が生じ、超音波センサ62はしっかりと固定される。ナット64及びワッシャ65は底板61aの上にあり、取付ハウジング61の外には出ないので、ナット64が緩んでも紙容器1内に落下するといった事故を起こすおそれはない。
【0024】
超音波センサ62はその下に停止した紙容器1の内部を超音波で探索する。超音波センサ62は円錐形に超音波を照射し、その反射をとらえる。解析装置63は反射波の信号を解析して目的物までの距離を計測するものであり、異物が存在しなければ紙容器1の内底面までの距離L1が測定結果となる。異物、例えば注出口2などが存在すれば、異物までの距離L2が測定結果となる。L1とL2の差ΔLの発生をもって異物の存在を認識することができる。
【0025】
異物の存在を検知すると、解析装置63はその旨を充填シール装置10全体の制御装置に伝える。これを受け制御装置は、異物の存在する紙容器1には液体を充填することなく充填装置48の下流に送り、空の状態のままシール加工を行ってから不良品としてはじき出す。また、必要に応じ音や視覚的表示で不良品の発生を報知する。
【0026】
超音波の反射は光反射率とは無関係である。従って、紙容器1の内面がアルミ箔で覆われた光反射率の高いものであったとしても、それに幻惑されることなく確実に異物の存在を検知することができる。また、超音波センサ62と解析装置63の組み合わせはカメラ及び照明器具と画像認識装置との組み合わせに比べきわめて安価であるから、異物検査装置60の装置コストを大幅に引き下げることができる。
【0027】
以上本発明の一実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨から逸脱しない範囲で種々の改変を加えて実施することができる。また、紙容器の形状はゲーベルトップ型に限定されるものではなく、どのような形状の紙容器も適用対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、紙容器、特に注出口を有する紙容器に液体を充填しシールする工程に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】充填シール装置の概略構成図
【図2】異物検査装置の断面図
【図3】紙容器の斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 紙容器
2 注出口
10 充填シール装置
40 充填シールライン
41 ホルダ(位置決め手段)
60 異物検査装置
61 取付ハウジング
61a 底板
61b 雌ねじ部
62 超音波センサ
62a ケース
62b 雄ねじ部
63 解析装置
64 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を上にして位置決めされた紙容器の上方に配置され、この紙容器の内部を探索範囲とする超音波センサと、この超音波センサからの信号を解析し異物を認識する解析装置とを備えることを特徴とする紙容器内の異物検査装置。
【請求項2】
前記超音波センサは筒形ケースの外面に雄ねじ部を有し、この雄ねじ部を前記紙容器の上方に配置される取付ハウジングの底板に形成された雌ねじ部に螺合して超音波センサを固定することを特徴とする請求項1に記載の紙容器内の異物検査装置。
【請求項3】
前記雄ねじ部に前記底板の上でナットを螺合させ、底板とナットの間にダブルナット効果を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の紙容器内の異物検査装置。
【請求項4】
紙容器に液体を充填しシールする充填シール装置において、
充填行程の前に請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器内の異物検査装置を配置したことを特徴とする充填シール装置。
【請求項5】
紙容器に液体を充填しシールする前に、超音波センサにより紙容器内の異物検査を行うことを特徴とする充填シール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−242820(P2006−242820A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60474(P2005−60474)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】