説明

細菌のIII型分泌系の阻害剤

細菌のIII型分泌系によって媒介されるエフェクター毒素分泌又は転位を阻害する能力を示す有機化合物を開示する。開示されたIII型分泌系阻害剤化合物は、このようなIII型分泌系を有する、サルモネラ種、シゲラ-フレクスネリ、シュードモナス種、イェルシニア種、腸管病原性及び腸管侵襲性エシェリヒア-コリ及びクラミジア種などのグラム陰性細菌による感染と闘うために有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権基礎出願への相互参照
本出願は、2009年4月6日出願の米国仮出願61/212,021号、2010年2月12日出願の米国仮出願61/304,305号、及び2010年2月16日出願の米国仮出願61/304,978号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
連邦の後援を受けた研究に関する陳述
ここに記載する本発明は、国立アレルギー及び感染性疾患研究所(NIAID)からDHHS/NIH 助成金 R43
AI-068185 を受けて部分的に支援されたものである。従って米国政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は細菌感染及び疾患を処置するための治療薬の分野に関する。具体的には本発明は、一種以上の細菌種のIII型分泌系を阻害する有機化合物を提供するものである。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
細菌のIII型分泌系(T3SS)は、細菌の細胞質から哺乳動物のサイトゾル中へのエフェクタータンパク質の分泌及び移動を促す複雑な多タンパク質装置である。この複雑なタンパク質送達装置はサルモネラ種、シゲラ-フレクスネリ(原語:Shigella
flexneri)、シュードモナス-アエルギノーサ(原語:Pseudomonas
aeruginosa)、イェルシニア種、腸管病原性及び腸管侵襲性エシェリヒア-コリ(原語:Escherichia
coli)及びクラミジア種を含む15種のグラム陰性ヒト病原体が共有している(23, 25, 43)。日和見病原体P.アエルギノーサでは、T3SSは急性感染症の樹立及び播種に寄与する主要なウィルス性因子である (19)4種類のT3SSエフェクターがP.アエルギノーサ株で同定されている− ExoS、ExoT、ExoY、及びExoUである。ExoS 及び ExoT はN末端型の小さなGタンパク質活性化タンパク質 (GAP) ドメインと、C末端型のADP リボシル化ドメインとから成る二重官能性のタンパク質である。ExoYはアデニル酸シクラーゼであり、そしてExoU はホスホリパーゼである [ (11)にレビュー]。各エフェクターを別々に産生する株を用いた研究では、マウス肺感染症モデルでExoU及びExoSは存続、播種、及び死亡率に著しく寄与したが、ExoTでは菌力に対して小さな影響しか生じず、ExoY はP.アエルギノーサの病原性では主要な役割を果たしているようには見えなかった (51)。始原型エフェクター毒素ではないが、フラゲリン (FliC) も、ホスト細胞の細胞質内にP.アエルギノーサからT3SS機序を通じて注入され、そこで元々の免疫系の活性化を、NOD-like受容体 NLRC4 インフラマソームを通じて惹起するのかも知れない(13, 33)。
【0005】
機能的なT3SSの存在は、P.アエルギノーサにより引き起こされる下気道及び全身性感染患者の臨床上の転帰不良及び死亡に著しい関係がある (48)。その上、T3SSはP.アエルギノーサの動物感染モデルで生存率を低下させ(49)、マウスの急性肺炎感染モデルではP.アエルギノーサの全身播種に必要である(53)。T3SSは、ホストが肺に細菌感染を封じ込めて除去する能力を阻害することで、重篤な肺炎の発症に寄与するようである。T3SS毒素、特にExoUの分泌は、感染部位での貪食細胞媒介性除去を妨げ、感染症の樹立を促す(9)。その結果、生来の免疫応答の必須成分の局部的破壊が起き、肺内での免疫抑制環境が生じる。これによってP.アエルギノーサが肺内で生き続けることが可能になるだけでなく、他の種の細菌との重複感染も促される。
【0006】
いくつかの抗菌剤はP.アエルギノーサには有効であるが、原因株に対して有効な抗生剤を投与されている院内感染性肺炎(HAP)患者においてですら、重篤なP.アエルギノーサ感染症に伴う死亡率及び再発の可能性の高さは薬剤耐性株の発生増加を反映したものであり、新しい治療薬への必要性が強調される (10, 46, 52)。従来の静菌性及び殺菌性抗生物質はこれらの感染症と十二分に闘うには足りないようであるが、P.アエルギノーサの菌力決定因子の阻害剤などの新しい治療上のアプローチは合併療法として有用であると考えられる (58)。
【0007】
治療上のターゲットとしてのT3SSの可能性から、サルモネラ-チフィリウム、イェルシニア-ペスティス、Y.シュードチュベルキュローシス、及びE.コリを含め、多様な細菌種でのT3SSの阻害剤をスクリーニングするグループが複数、出てきた[(5, 25)にレビュー]。しかしながら、P.アエルギノーサT3SS阻害剤のスクリーニングは一つしか報告されておらず、その成果は、T3SS機序の阻害剤ではなく、T3SS エフェクターの一つである ExoU (27) の特異的阻害剤であった。T3SS機構を含む多様なタンパク質間で配列が高レベルに保存されていることは、ある一つの種でのT3SSの阻害剤が、関連する種でも活性である可能性を示唆している。イェルシニアに対するスクリーニングで同定されたT3SS阻害剤が幅広い活性を持つことが、サルモネラ、シゲラ、及びクラミジアで実証されている (22, 57, 59)。
【0008】
明らかに、T.アエルギノーサ及び他の細菌種の新しい、強力な阻害剤が依然、求められている。
【0009】
発明の概要
本発明は、新しい細菌のIII型分泌系(T3SS)阻害剤化合物を提供することにより上記の問題に対処するものである。ここで解説するT3SS阻害剤化合物を同定するために、細胞ベースの生物発光性リポータ検定法が開発され、数千種の有機化合物のライブラリーからP.アエルギノーサT3SSの推定上の阻害剤を同定するための高スループットの一次スクリーニングとして用いられた。次に、この高スループットの一次スクリーニングで出た推定上のT3SS阻害剤化合物(「ヒット」)を一連の二次検定法で定性した。従って、ここで解説するT3SS阻害剤は、細菌細胞由来の細菌性エンドトキシン(エフェクター)のT3SS媒介性分泌を阻害する。より好ましくは、ここで解説するT3SS阻害剤化合物は細菌細胞由来のエフェクターのT3SS媒介性分泌を阻害するとともに、細菌細胞からホスト細胞(例えばヒト又は他の動物細胞)へのエフェクターのT3SS媒介性転位も阻害するとよい。
【0010】
ある好適な実施態様では、ここで解説するT3SS阻害剤化合物は、シュードモナス、イェルシニア、又はクラミジア属の細菌でT3SSを阻害するものである。
【0011】
別の実施態様では、ここで解説するT3SS阻害剤化合物は、シュードモナスのT3Ssと、少なくとも一種の他の属の細菌のT3Ssを阻害する。好ましくは、阻害のターゲットとなるシュードモナス細菌はP.アエルギノーサであるとよい。好ましくは、本発明の化合物によるT3SS阻害に感受性のある他の細菌属はイェルシニア又はクラミジアである。イェルシニアの好適な阻害ターゲットの種はY.ペスティスである。クラミジアの好適な阻害ターゲットの種はC.トラコマティスである。
【0012】
本発明は、下に構造、メーカーの名称、及び化学名で挙げた複数の特異的細菌のT3SS阻害剤化合物を提供するものである:
【0013】
【化1】

【0014】
化合物1 (ChemBridge 5690431; Microbiotix MBX
1641;ラセミ体)
N-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イルメチル)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド
【0015】
【化2】

【0016】
化合物2 (TimTec 7803985)
2-(6-オキソ-5,6-ジヒドロチアゾロ[3,2-b][1,2,4]トリアゾール-5-イル)-N-フェニルアセトアミド
【0017】
【化3】

【0018】
化合物3 (ChemBridge 7817424)
N-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)-2-(4-エチル-3-オキソモルホリン-2-イル)アセトアミド
【0019】
【化4】

【0020】
化合物4 (ChemBridge 7836532)
2-(4-エチル-3-オキソモルホリン-2-イル)-N-(4-フルオロフェニル)アセトアミド
【0021】
【化5】

(P4の一番下の化学式)
【0022】
化合物5 (ChemBridge 5251671)
(E)-2,2,3,3-テトラフルオロプロピル4-オキソ-4-(p-トリルアミノ)ブト-2-エノエート
【0023】
【化6】

【0024】
化合物6 (ChemBridge 5268081)
N1-フェニルフマルアミド
【0025】
【化7】

【0026】
化合物7 (ChemBridge 5278959)
N1-(2-クロロフェニル)フマルアミド
【0027】
【化8】

【0028】
化合物8 (ChemBridge ST026942)
2-(2,4-ジメチルフェニル)-4,7-ジメチル-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン
【0029】
【化9】

【0030】
化合物9 (TimTec ST002413)
(3aS,4R,7R,7aR)-4-メチル-2-(2-ニトロフェニル)-3a,4,7,7a-テトラヒドロ-1H-4,7-エポキシイソインドール-1,3(2H)-ジオン
【0031】
【化10】

【0032】
化合物10 (TimTec 7741077)
1-(6-エチルベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシ-5-(4-ニトロフェニル)-4-(チオフェン-2-カルボニル)-1H-ピロール-2(5H)-オン
【0033】
【化11】

【0034】
化合物11 (ChemBridge 7828938)
(4-(ジメチルアミノ)フェニル)(4-メチルピペラジン-1-イル)メタンチオン
【0035】
【化12】

【0036】
MBX 1684 (Microbiotix; MBX 1641のR-立体異性体、上記)
(R)-N-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソ-5-イルメチル)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド
【0037】
【化13】

【0038】
6375680 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(4-メトキシベンジル)プロパンアミド
【0039】
【化14】

【0040】
9153915 (ChemBridge)
N-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-2-(2-クロロフェノキシ)プロパンアミド
【0041】
【化15】

【0042】
6380194 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(4-フルオロベンジル)プロパンアミド
【0043】
【化16】

【0044】
6109233 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(4-メチルベンジル)プロパンアミド
【0045】
【化17】

【0046】
6374948 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(2-メトキシベンジル)プロパンアミド
【0047】
【化18】

【0048】
9101768 (ChemBridge)
2-(2-クロロフェノキシ)-N-(2-フルオロベンジル)プロパンアミド
【0049】
【化19】

【0050】
5685325 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(2-フリルメチル)プロパンアミド
【0051】
【化20】

【0052】
7945429 (ChemBridge)
2-(4-ブロモ-2-クロロフェノキシ)-N-(2-フリルメチル)プロパンアミド
【0053】
【化21】

【0054】
6467504 (ChemBridge)
N-[2-(1-シクロヘキセン-1-イル)エチル]-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド
【0055】
【化22】

【0056】
6116488 (ChemBridge)
N-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメチル)-2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)プロパンアミド
【0057】
【化23】

【0058】
6468028 (ChemBridge)
N-ベンジル-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-メチルプロパンアミド
【0059】
【化24】

【0060】
7271715 (ChemBridge)
N-(3,4-ジクロロベンジル)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド
【0061】
【化25】

【0062】
6372013 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-(4-ピリジニルメチル)プロパンアミド
【0063】
【化26】

【0064】
7290938 (ChemBridge)
2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-N-(2-チエニルメチル)プロパンアミド
【0065】
【化27】

【0066】
8804126 (ChemBridge)
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-N-[(1,3-ジメチル1H-ピラゾール-4-イル)メチル]プロパンアミド
【0067】
【化28】

【0068】
7306705 (ChemBridge)
2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)-N-(4-フルオロベンジル)プロパンアミド
【0069】
【化29】

【0070】
6430631 (ChemBridge)
2-((1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メチル)ベンゼン-1,4-ジオール
【0071】
【化30】

【0072】
7247834 (ChemBridge)
N-(1-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)エチル)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド
【0073】
【化31】

【0074】
F5054-0019 (Life Chemicals)
1-(インドリン-1-イル)-2-(4-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)エタノン
【0075】
前述の化合物は、P.アエルギノーサのT3SSの特異的阻害を示す検定法により同定された。更に、選択された化合物をクラミジア-トラコマティス及びイェルシニア-ペスティスの阻害について検査すると有効な阻害を示したことから、本発明によるT3SS阻害剤化合物は数多くの細菌種のIII型分泌系の有効な阻害剤であり、III型分泌系を有する細菌属内の種や、そして細菌属を超えた種で作用することが示唆された。
【0076】
本発明の化合物で発見されたT3SS阻害特性を下の表3、表4、表5、及び図8A−8Qに挙げる。阻害剤化合物は、転写レポータ検定においを用いて50μMの濃度で少なくとも15%の、T3SSエフェクターの転写を阻害したときに、あるいは、エフェクター分泌検定において100μM以下 (IC50 ≦ 100 μM)の濃度のときに少なくとも50%のエフェクター分泌阻害を示したときに、同定された。上記の化合物は、シュードモナス-アエルギノーサPAO1に移入したexoT-lux転写レポータ・コンストラクト(ここで解説するレポータ株MDM852)を用いたときに、15%を超えるT3SS特異的阻害をシュードモナスで示した、及び/又は、P.アエルギノーサ株 MDM973 (PAK/pUCP24GW-lacIQ-lacPO-exoS::blaM)を用いた、ここで解説するエフェクター毒素-β-ラクタマーゼレポータ融合タンパク質検定のT3SS媒介性分泌の検定法で測定したときに、T3SSに対して100μM未満のIC50を示した(表1)。エフェクターの転写を15% 未満しか阻害しなかった、あるいは、IC50 が100μMを超えた化合物は、ここで解説する組成物及び方法のT3SS阻害剤としては、概して有用ではない。
【0077】
ある特に好適な実施態様では、ここで解説する組成物及び方法で有用なT3SS阻害剤化合物は、ここで解説するT3SS-媒介性エフェクター毒素-β-ラクタマーゼレポータ融合タンパク質分泌検定法(又は相対的検定法)で測定したときに100μM未満のIC50を有すると共に、更に、ここで解説する通りの標準的な細胞毒性検定法で測定したときに、又は抗生物質に対する薬学的分野で利用したときに、例えば100μMを超える、又は等しいCC50値(CC50 ≧ 100 μM)など、ヒト細胞に対して比較的に低い細胞毒性を有するものである。このような標準的な細胞毒性検定法は、限定はしないが、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、Hela細胞、Hep-2 細胞、ヒト胚性腎 (HEK) 293 細胞、293T細胞等を含め、抗生物質に対する細胞毒性検定法で典型的に用いられるいずれのヒト細胞を利用するものでもよい。
【0078】
更により好ましくは、ここで解説するT3SS阻害剤化合物は、ここで解説するT3SS媒介性エフェクター毒素-β-ラクタマーゼレポータ融合タンパク質分泌検定で、あるいは、比較検定法で測定したときに、25 μM 以下のIC50値を有するものである。
【0079】
更に別の実施態様では、ここで解説するT3SS阻害剤化合物は、T3SSを特異的に阻害することを示すのに十分に高い最小阻害濃度 (MIC) を有する。
【0080】
本発明のある特に好適な実施態様では、T3SS阻害剤化合物は、P.アエルギノーサの細胞からの一種以上の毒素エフェクターのT3SS媒介性分泌及び転位を遮断するフェノキシアセトアミド 阻害剤である。より好ましくは、本発明のフェノキシアセトアミドT3SS阻害剤は、ここで解説するスクリーニング及びバリデーション・プロトコルから得られた再合成されたフェノキシアセトアミド T3SS阻害剤化合物1の名称であり、構造
【0081】
【化32】

【0082】
と、表3及び4並びに図8Aに示す特性とを有するMBX1641(ラセミ混合物)である。更により好ましくは、前記フェノキシアセトアミドT3SS阻害剤化合物はMBX1684と指名された、MBX1641のR-異性体であり、構造
【0083】
【化33】

【0084】
と、下の表4及び図8Aに示す特性とを有する。
【0085】
別の実施態様では、ここで解説する組成物及び方法において有用なT3SS阻害剤化合物は、MBX 1641(化合物1、図8A)、MBX 1684(MBX 1641のR-異性体)(図8Aを参照されたい)、化合物3(表3を参照されたい)、化合物4(表3を参照されたい)、化合物5685325(図8Bを参照されたい)、化合物6380194(図8Bを参照されたい)、化合物 6430631(表5を参照されたい)、化合物 7247834(表5を参照されたい)、化合物 F5054-0019(表5を参照されたい)、及びこれらの組合せから成る阻害剤化合物群より選択される。
【0086】
ここで解説するT3SS化合物は抗菌剤及び静菌剤として有用であり、細菌感染症を処置するために用いられよう。従って、細菌感染、特にシュードモナス、イェルシニア又はクラミジアに感染した又は暴露した個体を、例えば以下の化合物の一種以上を投与するなど、本発明の化合物を有効量、必要とする個体に投与することにより、処置できよう:
【0087】
【化34】

【0088】
【化35】

【0089】
【化36】

【0090】
【化37】

【0091】
【化38】

【0092】
【化39】

【0093】
【化40】

【0094】
【化41】

【0095】
【化42】

【0096】
【化43】

【0097】
【化44】

【0098】
【化45】

【0099】
【化46】

【0100】
【化47】

【0101】
【化48】

【0102】
【化49】

【0103】
【化50】

【0104】
【化51】

【0105】
【化52】

【0106】
【化53】

【0107】
【化54】

【0108】
【化55】

【0109】
【化56】

【0110】
【化57】

【0111】
【化58】

【0112】
【化59】

【0113】
【化60】

【0114】
【化61】

【0115】
【化62】

【0116】
【化63】

【0117】
【化64】

【0118】
III型分泌系を有する細菌による感染を処置するために、上記の化合物を一種以上、又は組み合わせて使用することをここで考察する。特に、シュードモナス、イェルシニア又はクラミジアを処置するために上記の化合物を一種以上又は組み合わせて使用することをここで考察する。具体的には、シュードモナス-アエルギノーサ、イェルシニア-ペスティス、又はクラミジア−トラコマティス感染の処置に、上記の化合物を一種以上又は組み合わせて使用することは、ここでの以下の教示によって行われると有利である。
【0119】
本発明は更に、ここに開示したT3SS阻害剤化合物の一種以上と、薬学的に許容可能な担体又は医薬品添加物とを含有する医薬組成物も提供するものである。一種以上のT3SS阻害剤化合物を、細菌感染と闘う医薬の調製時に用いることを開示する。
【0120】
ここで解説するT3SS阻害剤化合物又はT3SS阻害剤化合物の組合せを、個体(ヒト又は他の動物)の細菌感染処置を支援する又は補助療法として用いてもよい。健康な免疫系を持つ個体の場合、個体中又は個体上の細菌細胞のT3SSを阻害するための、ここで解説するT3SS阻害剤化合物の投与は、この個体自身の免疫系が、この個体の組織から感染もしくは侵入細菌を効果的除去又は致死させられるようにするためには充分かも知れない。代替的には、ここで解説するT3SS阻害剤化合物を、例えば抗生物質、抗体、又は免疫刺激薬などの抗菌剤と一緒に(即ち混合して、順次、又は同時に)、T3SSの阻害と、侵入してきた細菌細胞の成長の阻害の両方を提供するために個体に投与してもよい。
【0121】
更に別の実施態様では、ここで解説するT3SS阻害剤又はT3SS阻害剤の組合せを含む組成物は、T3SS阻害以外の望ましい治療上又は予防上の活性を持つ第二の作用物質(第二の活性成分、第二の活性作用物質)を更に含んでいてもよい。このような第二の作用物質には、限定はしないが、抗生物質、抗体、抗ウィルス剤、抗がん剤、鎮痛剤(例えば非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、アセトアミノフェン、オピオイド、COX-2阻害剤)、免疫刺激薬(例えばサイトカイン)、ホルモン(天然又は合成)、中枢神経系(CNS)刺激薬、抗嘔吐薬、抗ヒスタミン、エリスロポエチン、補体刺激薬、鎮静剤、筋肉弛緩剤、麻酔剤、抗痙攣薬、抗うつ剤、抗精神薬、及びこれらの組合せが含まれる。
【0122】
ここで解説するT3SS阻害剤を含む組成物は、限定はしないが、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、非経口、腹腔内、舌下(舌の下)、バッカル(頬)、口腔内(嚥下用)、局所(上皮)、経皮(皮膚及び下側の真皮層からその下にある脈管構造への吸収)、鼻腔(鼻腔粘膜)、肺内(肺)、子宮内、膣、子宮頸管内、直腸、網膜内、髄腔内、滑液包内、胸腔内、腎内、nasojejunal(原語:nasojejunal)、及び十二指腸内を含む多様な経路のいずれかによる個体(ヒト又は他の動物)への投与に向けて調合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、T3SS阻害剤の同定のための生物発光及び色素産生性レポータ株の特徴付けを示す。図1Aは、野生型(株MDM852)又は ΔpscC (株 MDM1355) P.アエルギノーサ PAO1 細胞内のP.ルミネセンス luxCDABE オペロンにexoTを染色体転写融合させたときの発光(相対的光単位、RLU)を示す。一晩の培養株を0時点で A600 ~0.025 まで希釈し、誘導 (+ 5 mM EGTA) するか、又は誘導しなかった(EGTAを加えず)。96ウェルの不透明なマイクロプレート中で320分間に渡ってRLU 値を測定した。黒いダイヤモンド、t、MDM852 + 5 mM EGTA;白のダイヤモンド、◇, MDM852 にEGTAを加えず);黒の三角 ▲、MDM1355 + 5 mM EGTA;白の三角、 r、MDM1355 にEGTAを加えず。詳細は実施例2を参照されたい。 図1Bは、T3SS阻害剤についての高スループットのスクリーニングにおいてレポータ株MDM852を含有する5枚の384ウェル・マイクロプレートからの発光(RLU)を示す。RLU値は200分目に位置1−160における160の陰性コントロール (白の四角、□、EGTAで完全に誘導)、位置1,761−1,920における160の陽性コントロール(黒の三角、 ▲、EGTAによる誘導なし) 、そして位置161−1,760における1,600の試料(黒の丸、●)で示されている。6つの試料がヒットと指定された。なぜならそれらのRLU値が4より大きいZ-スコアを示したからである(即ち、6,084のRLUで引いた水平線で表した平均試料値よりも下の標準偏差が4より大きい)。位置443の化合物1は最も強力なヒット (z-スコア = 10)だった。詳細は実施例2を参照されたい。 図1Cは、 pUCP24GW-lacIQ-lacPO-exoS' −blaMを持つP.−アエルギノーサ株MDM973(PAK)及びMDM974 (PAK ΔpscC)由来のエフェクター毒素-βラクタマーゼ融合タンパク質ExoS'-βLA の分泌をニトロセフィンの加水分解で測定した検出を示す。A490 値は MDM973 では5 mM EGTA の存在下(黒い四角、 ■) 及び非存在下(白の四角、□) で、そして株MDM974 では5mMのEGTAの存在下(黒い丸、●)及び非存在下(白い丸、 ○)で時間に対して表にしてある。詳細は実施例2を参照されたい。
【図2】図2は、P.アエルギノーサにおけるIII型及びII型分泌の阻害の評価を示す。P.アエルギノーサExos分泌性株PAKΔTYを、示した濃度の化合物の存在下で3時間、T3SS誘導条件 (LB+5 mM EGTA) 下で成長させた。培養基 (1 ml) をSDS-PAGE 試料緩衝液で濃縮し、12.5% SDS-PAGEで分離し、クーマシー・ブルーで染色した。陽性コントロール DMSO+EGTAは阻害剤なしで5mM EGTAで処理されたが、陰性コントロール DMSO-EGTAはEGTAも阻害剤もなしで処理された。タンパク質マーカーの種類及び分子量は以下の通りである:ブタミオシン (200K)、E.コリβ-ガラクトシダーゼ (116K)、ウサギ筋ホスホリラーゼ B (97K)、ウシアルブミン (66K)、オボアルブミン (45K)、及びウシ炭酸脱水酵素 (29K)。図2Aは、EGTA及び5つのバリデート済みT3SS阻害剤(表3の化合物1、3、4、8、及び9)で処置した細胞からの分泌タンパク質の解析を示す。49Kの ExoS に相当するバンドを矢印で記した。詳細は実施例3を参照されたい。 図2Bは、EGTA及びT3SS阻害剤化合物1の連続希釈液で処置した細胞からの分泌タンパク質の解析を示す。49Kの ExoSに相当するバンドを矢印で記した。詳細は実施例3を参照されたい。 図2Cは、エラスターゼのII型分泌に対するT3SS阻害剤(化合物1、3、4、及び9)の効果を示す。P.アエルギノーサPA14 細胞をLB培地中で16時間、50 μM の提示した化合物の存在下で成長させた。コントロールとしては、 PA14及びPA14 xcpQ::Tn 細胞をLB中で等しい濃度のDMSOで成長させ、 PA14は50 μMのII型分泌阻害剤(化合物 7941790、 ChemBridge コーポレーション)の存在下で成長させた。等しい数の細胞に相当する培養基を遠心分離で採集し、コンゴ・レッド-エラスチンと一緒に6時間、振盪しながらインキュベートした。消化済みの可溶性コンゴ・レッドを二つの個別の検定法で A495 で測定し、プロットにした(灰色及び黒の棒)。詳細は実施例3を参照されたい。
【図3】図3は、培養P.アエルギノーサ細胞と一緒にインキュベートした哺乳動物細胞に対するT3SS媒介性阻害効果の解析結果を示す。図3Aは、T3SS阻害剤MBX 1641 (再合成した化合物1)によるExoU細胞毒性からのCHO細胞の濃度依存的救助を示す。ExoU-分泌性 P.アエルギノーサ株PAKΔSTYexoUをCHO 細胞と、5の MOIで、示す通りの多様な濃度の MBX 1641 (黒い丸、 ●)又は公知のExoU 阻害剤シュードリパシン(黒い四角、 ■) (27) の存在下で混合した。細胞毒性率 (%) は、阻害剤で処置していない中毒状態の細胞から放出されたLDHに比較したときの、P.アエルギノーサ +/− 阻害剤で中毒状態の細胞から放出されたLDHの%として計算されている。化合物自体の固有の細胞毒性を評価するために、シュードリパシン(白い四角、 □) 及びMBX 1641(白い丸、 ○) の効果もP.アエルギノーサ細胞の非存在下で示してある。詳細は実施例4を参照されたい。 図3Bは、T3SS阻害剤MBX 1641はP.アエルギノーサのHeLa細胞内部移行のExoT遮断を緩和することを示す。HeLa細胞に、ExoTを分泌するP.アエルギノーサ PAK株(PAKΔexoS)(棒3及び4)又は T3SS (PAKΔpscC) (棒1及び2)欠損株に、10のMOIで感染させた。MBX 1641を、各株を含有するウェルの半分に50 μMになるように加えた(棒1及び3)。2時間後、培養株をゲンタマイシン (50 μg/ml) で更に2時間、処置した。HeLa 細胞をTriton非イオン性界面活性剤で溶解させ、連続希釈液をプレートして、内部移行によりゲンタマイシンから保護されたP.アエルギノーサ 細胞の数(コロニー形成単位、CFU)を判定した。溶解後のHeLa細胞からのP.アエルギノーサ細胞のCFU/ml を三重にして判定し、平均+/- 標準偏差で表にした。詳細は実施例4を参照されたい。 図3Cは、化合物3ではなくMBX 1641が、培養Hep-2細胞においてC.トラコマティスL2細胞の成長を阻害することを示す。コンフルエントな単層Hep-2 細胞にL2 を0.5のMOIで感染させ、化合物(50 μM) (棒3、+ MBX 1641) (棒4、 + 化合物3)で処置した後、音波破砕し、HeLa単層上のIFUを測定した。実験は三重にして行われ、平均 +/-標準偏差が示されている。クロラムフェニコール (Cm、棒2) を陽性コントロールとして 200 μg/ml で用いた。化合物希釈液 (DMSO、棒3) を陰性コントロールとして用いた。棒3はMBX 1641で処置した培養株。棒4は化合物3で処置した培養株。詳細は実施例5を参照されたい。 図3Dは、Hep-2細胞内のC.トラコマティスL2成長のMBX1641による阻害の濃度依存性を示す。詳細は実施例5を参照されたい。
【図4】図4は、二つの細菌種によるエフェクター-β-ラクタマーゼ融合タンパク質のT3SS媒介性分泌の阻害を示す。図4Aでは、T3SS誘導条件下で成長中の細胞を3時間、MBX 1641で処置し、β-ラクタマーゼ活性をニトロセフィンの切断により ΔA490/分で測定した。ニトロセフィン切断の速度を、未処置のコントロールのそれで割ることで、化合物濃度に対する表にした。細菌種及びエフェクター βLA融合株は以下の通りである:P.アエルギノーサ ExoS'-βLA (黒の四角、■)、Y.ペスティス YopE-βLA (白の丸、○)。詳細は実施例5を参照されたい。 図4Bは、MBX 1641並びにそのR- 及びS-エナンチオマーのP.アエルギノーサからのExoS'-βLA分泌に対する効果を示す。MBX 1641並びにその二つの立体異性体MBX 1684 (R-エナンチオマー) 及びMBX 1686 (S-エナンチオマー) の濃度依存性を、分泌されたExoS'-βLAのニトロセフィン切断速度で判定し、阻害剤非存在時の切断の分数として計算した。ラセミ混合物 MBX 1641(黒のダイヤモンド、t)、R-エナンチオマーMBX 1684 (白の三角、△)、及びS-エナンチオマーMBX 1686 (白の四角、□)。
【図5】図5は、細菌及び哺乳動物の細胞成長に対するMBX1641の効果の評価を示す。図5Aは、P.アエルギノーサに対するMBX1641の最小阻害濃度の判定を示す。透明な96ウェル・マイクロプレート中、P.アエルギノーサ PAO1細胞を、示した濃度のMBX 1641 (黒の丸、●) 又はテトラサイクリン(白の三角、r) の存在下で16時間、 成長させ、A600 を判定した。DMSO処置済みコントロール細胞の分数にした A600 を表にした。実施例6を参照されたい。 図5Bは、MBX1641で処置したP.アエルギノーサ細胞の成長速度を示す。透明な96ウェル・マイクロプレート中、P.アエルギノーサ PAO1細胞を、三種類の異なる濃度のMBX 1641 の存在下で5時間、成長させ、細胞密度の尺度を指標としてA600 を周期的に測定した。MBX1641 は100 μM (小さい白の四角、□)、50 μM (大きい白の四角、◇)、又は25 μM (白の丸、○)で存在するか、又は等しい濃度(2%) のDMSO のみ(白の三角、r)で細胞を処置した。実施例6を参照されたい。 図5Cは、MBX1641のHeLa細胞細胞毒性を、抗生物質ノボビオシンに比較して示す。HeLa細胞を、示した濃度のMBX 1641 (黒の丸、 ●) 又はノボビオシン(白の三角、 r) の存在下で3日間、血清を加えないVP-SFM培地中で培養し、残った生存細胞が生命力のあるテトラゾリウム塩株を減らす能力によって細胞毒性を判定した。結果を、DMSO処置済み細胞及びTritonX-100 非イオン性界面活性剤で溶解させたコントロール細胞で比較した細胞毒性率として表にした。実施例6を参照されたい。
【図6】図6は、ΔA490/分(傾斜)対時間(分) を、T3SS誘導条件下で成長させたP.アエルギノーサ株MDM973の培養株におけるExoS'-bLA融合タンパク質の分泌に対して表にしたものを示す。コントロールとして、同じ細胞の別の培養株を、T3SSを誘導せずに成長させた(黒の四角、■)。2.5時間後、化合物1を50 μM 、T3SS誘導細胞の一部分に加えた。同時にbLA色素生成性基質であるニトロセフィンを三つの培養株全ての部分に加え、A490 を経時的に記録した(分)。15分毎に三つの培養株すべての別の部分を取り出し、ニトロセフィンを加え、傾斜を判定した。A490 対時間 (ΔA490/分)の傾斜は、培養基中に分泌されて蓄積していくExoS'-bLA量に比例する。阻害剤の添加なしにT3SS誘導下で成長する培養細胞中のExoS'-bLA融合タンパク質の分泌(黒い丸、●)。阻害剤添加ありでT3SS誘導下で成長する培養細胞中のExoS'-bLA融合タンパク質の分泌(黒い三角、▲)。詳細は実施例7を参照されたい。
【図7】図7は、二つのT3SS阻害剤化合物(化合物1の類似体)がExoU細胞毒性からCHO細胞を救助する能力を調べた研究におけるT3SS阻害剤化合物の濃度対数に対する細胞毒性率(%)の表を示す。各阻害剤の濃度 (μM) の対数をx軸上に、細胞毒性率(%)をy軸上にして表にした。細胞毒性率%は、TritonX-100 非イオン性界面活性剤で溶解させた細胞から放出されたLDHに対する、P.アエルギノーサ +/- 阻害剤で中毒状態にした細胞から放出されたLDHの%(乳酸デヒドロゲナーゼ)として計算してある。表は、P.アエルギノーサ の存在下 (黒いダイヤモンド、t)と、P.アエルギノーサの非存在下(黒い四角、■) での細胞毒性率%を含む。図7Aは、T3SS阻害剤化合物5685325(ChemBridge コーポレーション)の表を示す。図7Bは、T3SS阻害剤化合物638014(ChemBridge コーポレーション)の表を示す。詳細は実施例8を参照されたい。
【図8】図8A−8Qは、T3SS阻害活性について特徴付けされたMBX 1641(再合成された化合物1)及び117類似体の構造及び選択された特性の概略カタログを提供したものである。図8Aに挙げた最初の5つの化合物は、Microbiotix社(マサチューセッツ州ウォーセスター)で合成され、検査された;これらの化合物はMBX番号で識別される。図8A−8Qに見える化合物の残りはChemBridgeコーポレーション(カリフォルニア州サンディエゴ)から注文された;これらの化合物のそれぞれは、ChemBridgeカタログ指定名で識別される。ChemBridge 社の化合物は、ここで解説するexoT-lux 一次レポーターで、判定されたT3SS阻害率が大きい順にあげられている;ExoSエフェクターのT3SS媒介性分泌の阻害のIC50 (μM)値は、ここで解説するExoS'-βLA 融合タンパク質分泌検定法を用いて、いくつかの化合物についても判定された。平均T3SS阻害率が15% 以上である(例えば、この図で示すものでは50 μM のexoT-lux の阻害が15%以上)及び/又は100μM 以下のIC50 値(例えば、この図で示すものではExoS'-βLA 分泌検定法でIC50 が100μM以下)を有すると発見された化合物が、この発明の特異的なT3SS阻害剤であると考えられる。
【0124】
発明の詳細な説明
本発明は、細菌が生成したエフェクター(エフェクター毒素、エキソトキシン、サイトトキシン、細菌毒素とも呼ばれる)を分泌し、細菌細胞から動物ホスト細胞へと転位させる細菌のIII型分泌系(「T3SS」)を阻害する有機化合物を提供するものである。ホスト細胞内に転位したエフェクターは、例えば貪食細胞を致死させることでホストの本来の免疫応答を不能にすることなどにより、ホストの免疫応答を効果的に不活性化することができる。従ってT3SSは個体(ヒト又は他の動物)における細菌感染の樹立において重要な菌力因子であり、免疫系が無防備状態であるか、又は、P.アエルギノーサなどの細菌による感染に易罹患性となったヒトのP.アエルギノーサ日和見感染にとって特に重要である。
【0125】
本発明がより明確に理解されるよう、以下の略語及び用語は下記に定義した通りに用いられる。
【0126】
有機分子の多様な置換基(側鎖、ラジカル)の略語は有機化学で通常用いられるものである。このような略語には、このような置換基の「省略伝達法」型が含まれよう。例えば「Ac」はアセチル基の略語であり、「Ar」は「アリール」基の略語であり、「ハロ」又は「ハロゲン」はハロゲン・ラジカル(例えばF、Cl、Br、I)を指す。「Me」及び「Et」はそれぞれメチル (CH3-) 及びエチル (CH3CH2-)基を指すために用いられる略語であり;そして「OMe」(又は「MeO」)及び「OEt」(又は「EtO」)はそれぞれメトキシ (CH3O-) 及びエトキシ (CH3CH2O-)を指す。水素原子は有機分子構造では必ずしも示されているわけではなく、いくつかの構造でのみ選択的に示されている場合があり、有機分子構造の水素原子の存在及び位置は当業者の理解及び知るところであるのと同様である。同様に、炭素原子は必ずしも「C」で具体的に略されているわけではなく、構造図中、例えば結合間又は結合の末端など、炭素原子の存在及び位置は当業者の知るところであり、理解されるものとあるのと同様である。分数は「分」と通常略され、時間は通常、「時」又は「時」と略される。
【0127】
ここで一種以上の指名された要素又はステップを「含む」と記載された組成物又は方法は制約がなく、つまり、指名された要素又はステップは必須であるが、他の要素又はステップも、当該の組成物又は方法の範囲内に加えてもよいことを意味する。冗長を避けるために、更に、一種以上の指名された要素又はステップを「含む」(又は「含む」と記載されたいずれかの組成物又は方法は、同じ指名された要素又はステップ「から基本的に成る」(又は「から基本的に成る」、対応する、より限定的な組成物又は方法を述べたものであり、つまり、当該の組成物又は方法には、指名された必須の要素又はステップが含まれ、更に、当該の組成物又は方法の基本的かつ新規な特徴に実質的な影響を与えない付加的な要素又はステップが含まれ得るとも理解される。更に、ここで一種以上の指名された要素又はステップを「含む」又は「から基本的に成る」と記載されたいずれかの組成物又は方法は、指名された要素又はステップ「から成る」(又は「から成る」)、対応する、より限定された、そして制約のある組成物又は方法を述べることで、いずれかの他の指名のない要素又はステップが除外されているとも理解される。ここに開示したいずれの組成物又は方法においても、いずれの指名された必須の要素又はステップの公知又は開示された均等物で、その要素又はステップを置換してもよい。更に、「から成る群より選択される」要素又はステップとは、リストアップ要素又はステップのうちのいずれか二つ以上の組合せを含め、続くリスト中の要素又はステップの一つ以上を言うとも、理解される。
【0128】
ここで用いられる場合の用語「細菌のIII型分泌系阻害剤」、「細菌のT3SS阻害剤」、「細菌のT3SS阻害剤化合物」、及び「T3SS阻害剤化合物」は交換可能であり、T3SSエフェクター転写レポータ検定法などで測定した場合に50μMの濃度で少なくとも15%、細菌のIII型分泌系を特異的に阻害する能力、又は、T3SS媒介性エフェクター毒素分泌検定などで測定したときに細菌のT3SSを阻害する能力、を示す化合物を指す。
【0129】
ここで解説するT3SS阻害剤化合物の治療上の使用の関係において、用語「処置」、「処置する」、又は「処置する」とは、III型分泌系を有する細菌の菌力又はT3SS媒介性エフェクター分泌もしくは転位を停止又は阻害するように計算された又は意図されたT3SS阻害剤化合物のいずれかの使用を言う。従って、ある個体の処置は、細菌感染の可能性を示唆するいずれかの診断に行われてもよく、即ち、ある特定の細菌による感染が確認されたでも、又は、単に感染の可能性が疑われた場合、例えば細菌や、又は、細菌に感染した別の個体へのある個体の暴露後でもよい。更に、本発明の阻害剤はホスト細胞へのエフェクター毒素の導入に影響し、従って感染を原因とする菌力又は毒性を遮断又は低下させる一方で、本阻害剤化合物は必ずしも静菌的又は細菌細胞の成長又は増殖を阻害するのに有効ではないとも認識される。これを理由として、細菌感染の除去はホスト自身の免疫系又は免疫エフェクター細胞によって、あるいは、抗生物質の導入によって達成されると理解される。従って、本発明の化合物は慣例的には他の活性成分、例えば 抗生物質、抗体、抗ウィルス剤、抗癌剤、鎮痛薬(例えば非ステロイド系抗炎症剤 (NSAID)、アセトアミノフェン、オピオイド、COX-2 阻害剤)、免疫刺激剤(例えばサイトカイン又は合成免疫刺激性有機分子)、ホルモン(天然、合成、又は半合成)、中枢神経系(CNS) 刺激薬、鎮吐薬、抗ヒスタミン、エリスロポエチン、補体を活性化する薬剤、鎮静薬、筋肉弛緩剤、麻酔薬、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗精神薬、及びこれらの組合せと組み合わせられるであろうと考えられる。他の用語の意味は、有機化学、薬理学、及び微生物学の分野を含め、当業者が理解される通りの文脈で理解されよう。
【0130】
本発明は、シュードモナス-アエルギノーサのT3SSを阻害する特異的有機化合物を提供するものである。推定上のT3SS阻害剤(「ヒット」)はまず、P.アエルギノーサ細胞ベースの発光レポータ検定法(P.アエルギノーサ MDM852 (PA01::pGSV3-exoT-luxCDABE、表1)で、有機分子のライブラリ・スクリーニングで識別された。次に、最初のヒットの大半(例えば80%を超えるもの)を、非T3SS調節性lux P.アエルギノーサ株MDM1156 (PAO-Lac/pUCP24GW-lacPO-luxCDABE、表1を参照されたい)からの生物発光の阻害の少なくとも二倍以上大きいレベルでexoT調節性生物発光を阻害することを要件とすることにより、除去した。残りの化合物は、P.アエルギノーサ 株MDM973 (PAK/pUCP24GW-lacIQ-lacPO-exoS::blaM 、表1)を用いて、エフェクター毒素-β-ラクタマーゼ融合タンパク質(ExoS'-bLA) のT3SS媒介性分泌の阻害について評価された。T3SS阻害剤のスクリーニング及びバリデーションの詳細については下記の実施例1及び2を参照されたい。
【0131】
本発明の組成物及び方法で有用な細菌のT3SS阻害剤化合物は、表3、表5、及び図8A、8B、又は8Cのいずれかの化合物の構造を有する。本化合物は、好ましくは、例えば表1で示した通りのP.アエルギノーサ株 MDM973 (PAK/pUCP24GW-lacIQ-lacPO-exoS::blaM) を用いた、下記の実施例に記載したExoS'-b-ラクタマーゼ融合タンパク質 (ExoS'-bLA) 検定法又は相対的検定法を行うなど、エフェクター毒素のT3SS媒介性分泌に関する検定で測定したときに、100μM未満、好ましくは25μM未満のIC50を有するとよい。100μMを超えるIC50を持つ化合物は一般的には、ヒト又は他の動物への投与に向けた、ここで解説する組成物及び方法におけるT3SS阻害剤としては有用ではない。
【0132】
ここで解説する組成物及び方法で特に有用なT3SS阻害剤化合物は、ここで解説するP.アエルギノーサ株 MDM973 (PAK/pUCP24GW-lacIQ-lacPO-exoS::blaM) を用いたExoS'-b-ラクタマーゼ融合タンパク質 (ExoS'-bLA) のT3SS媒介性分泌に関する検定法又は相対的検定法で測定したときに、100μM未満のIC50を有すると共に、ここで解説する通りの、又は、抗生物質に関する薬学的分野で用いた場合の標準的細胞毒性検定法で測定したときに、100μMよりも大きいか、又は等しいCC50など、ヒト細胞に対して比較的に低い細胞毒性を有するものである。このような標準的な細胞毒性検定法は、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa 細胞、Hep-2 細胞、ヒト胚腎 (HEK) 293 細胞、293T 細胞、又は他の標準的な哺乳動物細胞株を用いてもよい (61, 62)。
【0133】
T3SSは、おそらくはクラミジア種を例外として、数多くの急性細菌感染の樹立及び播種に寄与する主要な菌力因子であるが、細菌細胞の発生又は成長にとって必須ではないようである。好ましくは、本発明の組成物及び方法で使用するためのT3SS阻害剤化合物は、当該阻害剤が相手を選ばないということはなく、T3SSに特異的に作用することを示す程度に充分高い最小阻害濃度(MIC)を有するとよい。従って、ここで解説する好適なT3SS阻害剤化合物又はT3SS阻害剤化合物の組合せは、個体(例えばヒト又は他の動物)における細菌感染の処置のための支援又は補助治療法として特に有用である。例えばT3SS阻害剤化合物を、感染性細菌細胞のT3SSを阻害するために投与し、抗生物質などの別の活性薬剤も、この個体中の感染性又は潜在的感染性細菌細胞の成長を阻害するために、投与してもよい。代替的な処置においては、感染性又は潜在的感染性細菌細胞のT3SSを阻害し、ひいては個体自身の免疫系を支援したり、又は、個体自身の免疫系が、感染性細胞をより効果的に致死させ、及び/又は、個体の組織から感染性細菌細胞を除去できるようにしたりするために、T3SS阻害剤化合物を個体に投与してもよい。
【0134】
ここで解説する特に好適なT3SS阻害剤化合物は、P.アエルギノーサの細胞からの一種以上の毒素エフェクターのT3SS媒介性分泌又は転位を遮断するフェノキシアセトアミド阻害剤である。このようなフェノキシアセトアミドT3SS阻害剤は、表3の化合物1として、そして図8AのMBX 1641として同定された。MBX 1641はラセミ混合物である。MBX 1641のR-異性体は「MBX 1684」(図8A)であり、ラセミ体よりもT3SSの更に強力な阻害剤である。対照的に、「MBX 1686」(図8A)と指定されたS-異性体はかなり活性が低く、100μMを超えるIC50 を有し、従って本発明の組成物及び方法での使用には好適ではない。表4及び図8Aを参照されたい。
【0135】
本組成物及び方法において有用なT3SS阻害剤化合物には、MBX 1641(化合物1)(例えば表3、表4、図8を参照されたい)、MBX 1684(MBX 1641のR-異性体)(例えば表3、表4、図8を参照されたい)、化合物3(例えば表3を参照されたい)、化合物4(例えば表3を参照されたい)、化合物 5685325(例えば表4、図8を参照されたい)、化合物 6380194(例えば表4、図8を参照されたい)、化合物 6430631 (表5を参照されたい)、化合物 7247834 (表5を参照されたい)、化合物
F5054-0019(表5を参照されたい)及びこれらの組合せから選択される化合物がある。
【0136】
組成物及び方法
ここで解説するT3SS阻害剤化合物は ChemBridge コーポレーション(米国カリフォルニア州サンディエゴ)、Life Chemicals 社(カナダ、オンタリオ州バーリンントン)及びTimtec LLC 社(米国デラウェア州ニューアーク)などの提供者から得ることのできる有機化合物である。更にここで解説する通りのT3SS阻害剤化合物は確立された化学法を用いて合成してもよく、ここで開示する化合物に適した合成スキームは実施例12−14で論じられている。ここで解説する化合物の大半は立体異性体のラセミ混合物として生成されるか、又は得られる。化合物1(MBX 1641、図8A)についてここで実証するように、ラセミ体を分解して光学異性体を別々にしてもよく、その異性体の一方はT3SS阻害剤としては不活性であると証明できよう。実施例12を参照されたい。我々は、MBX1641ラセミ体のR-立体異性体(即ち化合物MBX1648、図8A)はT3SS阻害剤としては活性であるが、S-異性体はそうではないことを実証した。我々はMBX1648は活性の異性体であると判定した一方で、ここで開示したいずれかのラセミ体T3SS阻害剤化合物をその成分異性体への分解や、光学異性体の一方又は両方が活性な阻害剤であるかどうかの判定は、当業者の慣例的な作業であろう。従って、ここでの阻害剤ラセミ体への言及は、慣例的な実験で確認できると思われる、同じ化学構造を有する活性異性体の開示でもある。
【0137】
そうでないと示さない限り、組成物又は方法でのT3SS阻害剤化合物の使用の記載は、二種以上のT3SS阻害剤化合物の組合せが、本発明の組成物又は方法におけるT3SS阻害剤活性源として用いられる実施例を包含するものと、理解される。
【0138】
本発明による医薬組成物は、「活性成分」としてここで記載する通りのT3SS阻害剤化合物、又は、その薬学的に許容可能な塩と、液体、固体、又は半固体化合物であってよい薬学的に許容可能な担体(又は「賦形剤」)とを含む。「薬学的に許容可能な」とは、ある化合物又は組成物が、生物学的、化学的又はいずれか他の態様で身体の化学及び代謝にとって不適合でなく、かつ、患者にとって望まれる治療上及び/又は予防上の利益を犠牲にする態様で、T3SS阻害剤や、組成物中に存在するであろういずれか他の成分に悪影響を与えないことを意味する。本発明で有用な薬学的に許容可能な担体には、医薬組成物の調製業で公知のものが含まれ、その中には、限定はしないが、水、生理的pH緩衝液、生理的に適合性ある塩溶液(例えば生理食塩水)、及び等張液がある。本発明の医薬組成物は、更に、一種以上の医薬品添加物、即ち、活性成分以外で、組成物中の所望の特性に寄与する又は高める化合物又は組成物、も含んでよい。
【0139】
多様な医薬品添加物、投薬量、剤形、投与形態等の例を含め、医薬組成物を調合する多様な局面は製薬業の当業者にとって公知であり、例えばRemington's Pharmaceutical
Sciences,
18th edition, Alfonso R. Gennaro, ed. (Mack Publishing Co., Easton, PA 1990), Remington:
The Science and Practice of Pharmacy, Volumes 1 & 2, 19th edition,
Alfonso R. Gennaro, ed., (Mack Publishing Co., Easton, PA 1995)又は医薬組成物の調製に関する他の標準的な教本など、標準的な薬学教本で得られる。
【0140】
医薬組成物は、意図された投与形態に特に適した多様な剤形のいずれであってもよい。このような剤形には、限定はしないが、水溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル、錠剤、ロゼンジ、丸剤、カプセル、粉末、フィルム、座薬、及び、吸入可能な調合物を含む粉末がある。好ましくは、当該の医薬組成物は、T3SSの有効な阻害が生じるよう計算された用量の一部分又は複数回分であってもよい精確な単回投薬量に適した単位剤形であるとよい。
【0141】
ここで解説するT3SS阻害剤化合物(又はT3SS阻害剤の組合せ)を含む組成物は、選択的には、T3SS阻害活性以外の一種以上の他の望ましい治療上又は予防上の活性を提供する第二の活性成分(「第二の作用物質」、「第二の活性作用物質」とも言及される)を持つものでもよい。本発明の組成物で有用なこのような第二の作用物質には、限定はしないが、抗生物質、抗体、抗ウィルス剤、抗癌剤、鎮痛薬(例えば非ステロイド系抗炎症薬 (NSAID)、アセトアミノフェン、オピオイド、COX-2 阻害剤)、免疫刺激薬(例えばサイトカイン又は合成免疫刺激性有機分子)、ホルモン(天然、合成又は半合成)、中枢神経系 (CNS) 刺激薬、鎮吐薬、抗ヒスタミン、エリスロポエチン、補体刺激薬、鎮静薬、筋肉弛緩剤、麻酔薬、抗痙攣薬、抗うつ剤、抗精神薬、及びこれらの組合せがある。
【0142】
ここで解説する医薬組成物は、他の公知の治療薬又は予防薬で用いられるのと同様な態様で、特に治療用芳香族又は多環式抗生物質で用いられるのと同じ態様で、ヒト及び他の動物に投与されてよい。個体へ投与される投薬量や投与形態は、患者の年齢、体重、性別、状態や遺伝的因子を含む多様な因子に依存し、また、最終的には、担当する資格ある保健医によって決定されるであろう。
【0143】
ここで解説するT3SS阻害剤化合物の薬学的に許容可能な塩には、薬学的に許容可能な無機及び有機酸及び塩基由来のものが含まれる。適した酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、パモ酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン‐p‐スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン‐2‐スルホン酸、タンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びベンゼンスルホン酸がある。
【0144】
本発明は更に、ここで解説する化合物のいずれかの塩基性含窒素基の「四級化」も想到するものかも知れない。但し条件としてこのような四級化は化合物がT3SSを阻害する能力を破壊しないものとする。このような四級化は可溶性を高めるためには特に好ましいであろう。いずれかの塩基性の窒素は、限定はしないが、低級(例えばC1-C4) ハロゲン化アルキル(例えばメチル、エチル、塩化、臭化、及びヨウ化プロピル及びブチル);硫酸化ジアルキル(例えばジメチル、硫酸ジエチル、ジブチル及びジアミル);長鎖ハロゲン化(例えば塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、及ステアリル);並びにハロゲン化アラルキル(例えば臭化ベンジル及びフェネチル)を含む、多種の化合物のいずれかで四級化することができる。
【0145】
固体組成物の場合、限定はしないがマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、及び炭酸マグネシウムを含む従来の非毒性の固体の担体を用いてもよい。
【0146】
医薬組成物は、多様な経口及び非経口経路又は態様のいずれかによる患者への投与用に調合してもよい。このような経路には、限定はしないが、静脈内、筋肉内、関節内、腹腔内、頭蓋内、傍脊柱、関節周囲、骨膜、皮下、皮膚内、滑液包内、胸骨内、くも膜下内、病巣内、気管内、舌下、肺、局所、直腸、鼻腔、頬側、膣、又は移植されたレザバを通じてが含まれる。移植されたレザバは、機械的、浸透圧、又は他の手段によって機能するものでよい。投与を静脈内、動脈内、又は筋肉内経路を通じて行う場合には一般的かつ特に、医薬組成物を巨丸剤として、時間的に二回以上に分けた用量、又は一定もしくは非線形流の輸注として、与えてもよい。
【0147】
医薬組成物は、例えば無菌の注射可能な水溶液又は油性の懸濁液など、無菌に注射可能な製剤の形であってもよい。このような製剤は、適した分散剤又は湿潤剤(例えばポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(「ポリソルベート80」とも言及される); TWEEN (登録商標) 80、ニュージャージー州ブリッジウォーター、ICI Americas社)及び懸濁剤を用いて、当業で公知の技術に従って調製できよう。注射可能な調合物のために利用してもよい許容可能な賦形剤及び溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー液、等張の塩化ナトリウム溶液、及び1,3‐ブタンジオール溶液がある。加えて、無菌の非揮発性油は従来より溶媒又は懸濁用媒質として用いられてきたと考えられる。この目的のために、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む無刺激性非揮発性油を用いてもよい。オレイン酸などの脂肪酸やそのグリセリド誘導体は、注射用製剤の調製で有用であり、オリーブ油又はひまし油を含む天然の薬学的に許容可能な油、特にそれらのポリオキシエチル化型も同様である。
【0148】
ここで記載するT3SS阻害剤は、限定はしないが、カプセル、錠剤、カプレット、丸剤、フィルム、水溶液、油性懸濁液、シロップ、又はエリキシルを含む多種の経口投与可能な剤形のいずれで調合してもよい。経口用途に向けた錠剤の場合、通常用いられる担体には乳糖及びコーンスターチがある。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も典型的には加えられる。カプセル型での経口投与の場合、有用な希釈剤には、乳糖及び乾燥コーンスターチがある。カプセル、錠剤、丸剤、フィルム、ロゼンジ、及びカプレットを、遅延型又は持続型放出に向けて調合してもよい。
【0149】
個体の口内で迅速に崩壊又は溶解する錠剤及び他の固形又は半固形調合物を調製してもよい。このような迅速に崩壊する又は迅速に溶解する調合物は、嚥下を助ける外因性の水の使用を無くすか、又は大きく減らすであろう。更に、迅速に崩壊する又は迅速に溶解する調合物は、嚥下の困難な個体を処置する上で特に有用である。このような調合物の場合、少量の唾液があれば、口腔内の錠剤の崩壊を起こさせるには充分である。その後、活性成分(ここで解説するT3SS阻害剤)を、口腔粘膜(例えば舌下及び/又は頬側粘膜)下の血管から循環中へ部分的又は完全に吸収させることができ、あるいは、胃腸管から吸収される溶液として嚥下させることができる。
【0150】
水性の懸濁液を経口投与する場合、経口粘膜による吸収、又は消化管(胃及び腸管)を介した吸収に関係なく、T3SS阻害剤を含む組成物を、便利なよう、乳濁及び/又は懸濁剤と組み合わせてもよい。このような組成物は、液体、溶解可能なフィルム(例えばロゼンジ)、又は半固体(咀嚼可能及び消化可能な)の形であってよい。必要に応じ、このような経口投与可能な組成物には、例えば甘味料、着香料、味覚マスキング剤、着色剤、及びこれらの組合せなど、一種以上の他の医薬品添加物も含めてよい。
【0151】
更に、ここで解説するT3SS阻害剤を含む医薬組成物は膣又は直腸投与用の座薬として調合されてもよい。このような組成物は、ここで解説する通りのT3SS阻害剤化合物を、室温では固体であるが体温では液体であるため、適した身体空間内で溶解してT3SS阻害剤やいずれか他の所望の組成物成分を放出する、適した非刺激性の医薬品添加物と混合することにより、調製することができる。このような組成物において特に有用な医薬品添加物には、限定はしないが、ココアバター、みつろう、及びポリエチレングリコールがある。
【0152】
T3SS阻害剤の局所投与は、所望の処置が、例えば上皮、表面の創傷、又は、手術中に到達可能になった領域など、局所塗布の可能な領域又は器官に関係する場合に有用であろう。ここで解説するT3SS阻害剤の局所投与用の担体には、限定はしないが、鉱物油、流動石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう、及び水がある。代替的には、ここで解説するT3SS阻害剤を含む局所用組成物は、下側の真皮層及びその下の血管構造に著しく浸透させることなく、上側の真皮層による阻害剤吸収を促進するために、適した担体に懸濁又は溶解させた阻害剤を含有する適したローション又はクリームと一緒に調合してもよい。局所用投与に特に適した担体には、限定はしないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう(原語:cetyl esters wax)、セテアリールアルコール(原語:cetearyl alcohol)、2‐オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水がある。T3SS阻害剤はまた、ゼリー、ゲル、又はエモリエントとしても局所投与用に調合できよう。更に局所投与は皮膚用パッチを通じても達成されよう。
【0153】
局所用及び経皮用調合物の分野の当業者であれば、吸収促進剤、エモリエント及び他の薬剤など、多様な成分の選択及び調合を認識するところであり、局所用投与に特に適した組成物(即ち、上側の真皮層表面上に主に留まり、下側の真皮層及びその下の血管構造への吸収は最小限であるか、又は全くないような)又は経皮投与(上側の真皮層を横切って吸収され下側の真皮層及びその下の血管構造に浸透する)を提供することができる。
【0154】
ここで解説する通りのT3SS阻害剤を含む医薬組成物は鼻腔投与用に調合してもよく、その場合、吸収は鼻腔の通路又は肺の粘膜を介して起きることになるであろう。このような投与形態は典型的には、当該組成物が粉末、溶液又は液体懸濁液の形で提供されることを要し、これらをその後、気体(例えば空気、酸素、窒素、又はこれらの組合せ)と混合してエーロゾル又は液滴又は粒子の懸濁液とする。吸入可能な粉末組成物は、好ましくは、刺激性が低いか、又は刺激性のない粉末担体、例えばメレチトース(メリシトース)を利用するとよいであろう。このような組成物は、医薬調合業で公知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール又は他の適した保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当業で公知の他の可溶化剤又は分散剤を用いて、生理食塩水に溶かした溶液として調製してもよい。鼻腔通路又は肺を介した投与に向けた、ここで解説するT3SS阻害剤を含む医薬組成物は、院内感染性肺炎(HAP)など、肺感染症を処置する上で特に有効であろう。ここで解説する医薬組成物は、剤形及び投与経路に適した多種の方法で梱包してよい。これらには、限定はしないが、バイアル、びん、カン、パケット、アンプル、カートン、柔軟性の容器、吸入器、及びネブライザーがある。このような組成物は、同じ容器からの一回又は複数回の投与用に梱包してもよい。組成物を、好ましくは乾燥粉末として又は凍結乾燥型で含むキットを提供してもよく、該組成物は、T3SS阻害剤と、好ましくは、添付の使用指示書の説明通りに投与直前に乾燥又は凍結乾燥組成物と配合される適した希釈剤とを含む。医薬組成物は、一回分の予め充填されたシリンジや、又は、自己注射器用のカートリッジ又は針無しのジェット注射器内に梱包してもよい。複数回使用向けの梱包には、細菌、真菌等の成長を防ぐが患者に投与された場合に非毒性であるような濃度のフェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンズエトニウムなどの抗菌剤の添加が必要であろう。製薬業で現在用いられており、当業者には公知である、良好な製造慣行と合致して、医薬組成物と接触する又は医薬組成物を含む、すべての成分は無菌でなければならず、また定期的に無菌性を業界基準に従って検査されねばならない。滅菌法には、限外濾過、オートクレーブ、乾式及び湿式加熱、酸化エチレンなどの気体への暴露、次亜塩素酸ナトリウム(ブリーチ)を含む酸化剤などの液体への暴露、高エネルギー電磁放射(例えば紫外線、X線、ガンマ線、電離放射線)への暴露がある。滅菌法の選択は、T3SS阻害剤又は当該組成物の他の成分の望まれる生物学的機能を大きく変えずに最も有効な滅菌を行うという目標をもとに、当業者が行うところのものであろう。
【0155】
本発明の更なる実施例及び特徴は以下の非限定的な例から明らかであろう。
【実施例】
【0156】
実施例1. T3SS阻害剤の同定及び特徴付けのための材料及び方法
株、プラスミド、及び成長培地
検定に用いた細菌株及びプラスミドを下の表1に解説する。P.アエルギノーサ株はすべて、PAO1 (21)、PAK (1)、又はPA14 (45)の由来株であった。E.コリ TOP10 (Invitrogen社)、E.コリ DB3.1 (GATEWAY(著作権) ホスト、Invitrogen社)、E.コリ SM10 (7)、及びE.コリS17-1 (ATCC 47055) を分子クローニングのホストとして用いた。ルリア-ベルタニ(LB) 培地(液体及び寒天)はDifcoから購入した。LBには、30 μg/ml ゲンタマイシン (LBG) を 1 mM イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド (IPTG) 及び5 mM EGTA (それぞれLBGI 及びLBGIE)と一緒に、又は加えずに添加した。
【0157】
【表1】

【0158】
Y.ペスティス・レポータ株は Jon Goguen (U.
Massachusetts Medical School)博士の厚意により提供された。プラスミドpGSV3-Lux Donald Woods (U.
Calgary)博士の厚意により提供された。
【0159】
PCR及びプライマー
合成オリゴヌクレオチド・プライマー(Operon社)をP.アエルギノーサ (53) の公開されたゲノム配列とウェブ・ベースのPRIMER3 (Whitehead Institute社) (表2)とを用いてデザインした。プライマーは、P.アエルギノーサ染色体DNAテンプレートに対して FAILSAFE(登録商標) ポリメラーゼ(Epicentre社)、緩衝液G(Epicentre社)、及び4% DMSO を用いたPCR増幅で10 μMの濃度で用いられた。
【0160】
【表2】

【0161】
スクリーニング化合物。
本研究でスクリーニングした化合物はChemBridge 社(カリフォルニア州サンディエゴ)及びTimtec 社(デラウェア州ニューアーク)から購入され、96ウェル・マスター・プレート中にDMSOで2.5 mM に希釈され−20℃で保存された。
【0162】
ルシフェラーゼ転写レポータ・スクリーニング。
フォトラブダス-ルミネセンス(原語:Photorhabdus luminescens )lux オペロン(luxCDABE) がエフェクター遺伝子exoT (PA0044) に転写融合した株を、exoT 遺伝子(プライマーexoT-F+EcoRI / exoT-R+EcoRIを用いたPCRで作製された712bp、上記の表2)の内部フラグメントを EcoRI-切断レポータ・プラスミド pGSV3-lux-Gm (37)に、前に記載した通りに挿入することで構築した (35)。その結果できたプラスミドをE.コリSM10
細胞に導入し、接合により P.アエルギノーサ PAO1 及びPA01 ΔpscC 細胞に移して(35)、それぞれ組換えレポータ株
MDM852 及びMDM1355を作製した。exoT
染色体座での挿入を、クローンされた遺伝子座の外側にあるプライマー (exoT-out-F) と
luxC gene (luxC-R) 内にあるプライマーとを用いたPCRで確認した(表2、上記)。
【0163】
阻害剤スクリーニングの場合、化合物のマスター・プレートをスクリーニング日に室温で解凍し、1 μl の化合物(最終的には45 μMの化合物及び1.8% DMSO)を384ウェルの不透明な黒色スクリーニング・プレートにSciclone ALH 3000 液体操作ロボット
(Caliper社) 及び Twister II Microplate Handler(Caliper社)を用いて加えた。レポータ株 MDM852 を37℃でLBGI 中で OD600 が0.025 - 0.05になるまで成長させ、検査化合物及びEGTA(5 μl の 0.1M ストック溶液)を含有するマイクロプレート(50 μl/ウェル) に写し、これを半透明の気体透過性シール (Abgene, Inc., Cat. No. AB-0718)で覆った。コントロール・ウェルは、完全にT3SSを誘導した細胞(EGTA及びDMSO、カラム1及び2)とT3SSを誘導しない細胞(DMSO のみ、カラム23及び24)を含有していた。プレートを室温で300分間、インキュベートした。その後、発光をEnvision Multilabel マイクロプレート・リーダー (PerkinElmer社)で測定した(図1A及び1B)。検定のシグナル・ダイナミック・レンジに対する陽性及び陰性コントロールの分離帯域比であると定義されたスクリーニング・ウィンドウ係数 Z’-因数 (60)はこのスクリーニングでは平均で 0.7だった。Z-スコアを含む全スクリーニング・データ、並びに確認及びバリデーション・データを一つの中央データベースに保存した (CambridgeSoft's ChemOffice
11.0)。バリデートされたヒットを業者から再度取り寄せ、95%を超える純度を確認し、予測質量をLC-MS解析で確認した。SAR 解析用の化合物はChemBridge Corporation 社(カリフォルニア州サンディエゴ)から取り寄せた。
【0164】
エフェクター-β-ラクタマーゼ(βLA) 分泌検定
(a)P.アエルギノーサ。 ExoS'-β-ラクタマーゼ (βLA) 融合タンパク質(P.アエルギノーサ・エフェクター ExoS の234コドンを、分泌シグナルコドンを欠くTEM-1 β-ラクタマーゼ遺伝子に融合したものから成る)を、プライマー5−10(表2、上記)を用いた重複伸長PCR (SOE-PCR) (4) によるスプライシングで構築し、配列を確認し、lacプロモーターの後ろのlacIQ-含有 GATEWAY(登録商標)ベクター pUCP24GW (36) にクローニングし、電気穿孔法によりP.アエルギノーサ に導入した (3)。融合タンパク質の分泌は、前に解説された検定法(27)の改良版に従って透明な96ウェル・マイクロプレート中の色素生成性β-ラクタマーゼ基質ニトロセフィンによる加水分解を測定することで検出した。株MDM973 (PAK/pUCP24GW-exoS::blaM)の細胞を、LBGで一晩成長させた後の朝に 0.1 ml の LBGIEに、検査化合物を加えて、又は加えずにサブクローニングし、150分間、成長させた。ニトロセフィン (100 μg/ml 最終) を加え、A490 測定を、15分毎にVictor3V 1420 マルチラベルHTS カウンター(PerkinElmer社)で行った。分泌されたエフェクター-βLAタンパク質の量の相対的測定値として傾斜を計算すると、IPTG、EGTAによる誘導と、P.アエルギノーサ細胞中の機能的pscC遺伝子の存在とに絶対的に依存していた(図1C)。典型的シグナル:バックグラウンド比は6−10だった。
【0165】
(b)イェルシニア-ペスティス. プラスミドpMM85
(yopE::blaM)を持つ弱毒化Y.ペスティス株 JG 153(マサチューセッツ州ウォーセスター、Massachusetts Medical SchoolのJonGoguen氏より提供)を30℃のLB +20 μg/ml クロラムフェニコール中で成長させてT3SS 誘導と、T3SSをコードするpCD1 プラスミドの消失を防いだ。T3SSを誘導するために、細胞を30℃から37℃に移し、EGTAを最終濃度1mMまで加えた。培養細胞 (0.1 ml) を加えて、検査化合物を含有する96ウェル・マイクロプレートを清澄させ、3時間、37℃でインキュベートした。ニトロセフィンを加え (100 μg/ml 最終)、A490 測定値を毎分、10分間にわたって Envision
Multilabel マイクロプレート・リーダー (PerkinElmer社)で採取した。傾斜を阻害剤濃度に対して表にしてIC50 値を判定した。
【0166】
lac-促進性 luxCDABEの生物発光の阻害のカウンター・スクリーニング
完全フォトラブデゥス-ルミネセンス(原語:Photorhabdus luminescens )luxCDABE 遺伝子座をpGSV3-lux (37)からPhusion ポリメラーゼ(マサチューセッツ州ビバリー、NEB)並びにプライマー lux-F+GWL及びlux-R+GWRを用いたPCRで、続いてプライマー GW-attB1 及びGW-attB2 を用いた二回目のPCRで増幅して、完全なGateway 認識配列を提供した(表2)。最高5.8 kbまでの産物をゲル精製し、pDONR221中に BPClonase(登録商標)
酵素(Invitrogen社)を用いて挿入し、その後 pUCP24GW (36) 中にLRClonase(登録商標)
酵素(Invitrogen社)を用いて挿入した。できた pUCP24GW-lacPO-luxCDABE プラスミドを、lacリプレッサーlacIQ の一つの染色体コピーを持つP.アエルギノーサ PAO-LAC 株の phiCTX 遺伝子座 (20) に電気穿孔法により導入し、ゲンタマイシン耐性で選抜した (3)。T3SS阻害剤のlac促進性ルシフェラーゼ産生に対する効果を測定するために、できた株MDM1156 を一晩のLBG成長からLBGIへ A600 ~0.05 で副次培養し、50 μMの阻害剤の存在下又は非存在下で3時間、成長させた。 lac-促進性、対、
exoT-促進性のルシフェラーゼにより生じたRLUの化合物の阻害率を計算し、スクリーニング・ヒットのT3SS選択性の指標として用いた。
【0167】
培養ブロスへのT3SS媒介性ExoS分泌の阻害の検出
ExosSは産生するがExoT 又はExoY T3SS エフェクターは産生しないP.アエルギノーサ株PAKΔTYを一晩、LB中で成長させ、基本的には前述した通りに処置した (28)。5 mM EGTA を添加したLB中で細菌を1:1,000で副次培養し、示した濃度の阻害剤の存在下又は非存在下で、37℃で通気しながら3時間、成長させた。3,220 x gで15分間、4℃で遠心分離することで細菌を沈降させた。培養物上清を採集し、12.5% トリクロロ酢酸で沈降させた後にアセトンで洗浄するか、限外濾過することでタンパク質を濃縮した。当所の培養密度 (A600)に従ってタンパク質を再懸濁させ、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (12.5% SDS-PAGE)で分離し、クーマシー・ブルーで染色した。着色したゲル画像ファイルを、バックグラウンドを減算することで ImageJ ソフトウェア (バージョン 1.42q、NIH) で処理し、画像を逆転させ、各バンドの濃度を積分した。
【0168】
P.アエルギノーサ ExoU-依存性CHO細胞致死の阻害
転位させたエフェクタータンパク質ExoUのT3SS媒介性細胞毒性からのCHO細胞の救助を、前に報告された通り (28)の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出検定法を用いて測定したが、例外として、P.アエルギノーサ の感染はゲンタマイシンの非存在下で2時間、行われた。細胞毒性率 (% LDH 放出) を、LDH放出を0%に設定された未感染のコントロールのそれと、テスト化合物で保護されずにP.アエルギノーサに感染した細胞のそれ(100% LDH 放出)とに対して相対的に計算した。未保護の、感染細胞から放出されたLDHは、この実験の2時間枠の間に1% Triton X-100による完全な溶解で得られた数値の少なくとも80%に達した。ExoUホスホリパーゼの直接的な阻害によって作用するシュードリパシンをコントロール阻害剤として用いた (27)。
【0169】
細菌内部移行のゲンタマイシン保護検定
前に公開された方法の改良版を用いて実験を行った(18)。合計 2 x 105
個のHeLa細胞を、
10%
FCS を添加したMEMをウェル1つ当たり2mL含有する12ウェル・プレートの各ウェルに播種し、37° Cで 5% の CO2 と一緒に24時間、インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、1% FCSを含有する1 ml のMEMをこのHeLa細胞に加えた。MBX 1641 をウェルの半分に50
μM の最終濃度になるように加えた (DMSO は0.2% 最終)。P.アエルギノーサ株 PAKΔC (陰性コントロール)及びPAKΔS (陽性コントロール)を一晩、37℃のLB 培地で振盪させながら成長させ、朝に1:1,000になるように希釈し、OD600 が0.3 (~108 細胞/ml)になるまで成長させた。細菌をPBSで洗浄し、1 ml の MEMに再懸濁させ、MBX 1641の存在下又は非存在下でHeLa 細胞に10のMOIになるように加えた。感染HeLa 細胞を 37° Cで5% CO2 中で2時間、インキュベートした。PBSで2回、洗浄した後、50 μg/ml のゲンタマイシンを含有する1mlのMEMを加え、細胞を更に2時間、インキュベートした。PBSで3回、洗浄した後、細胞を0.25% Triton X-100を含有するPBSで細胞を溶解させ、希釈液をLB-寒天プレート上にプレートして、HeLa細胞内に内部移行した細菌数を計数した。
【0170】
エラスターゼ分泌検定
P.アエルギノーサからのエラスターゼのII型媒介性分泌に対する検査化合物の効果を前に記載された方法の改良版で判定した (42)。 P.アエルギノーサ
PA14 細胞を開始密度の A600 ~0.05 から16時間、培養し、50 μMの検査化合物の存在下又は非存在下でLBに飽和させた。微量遠心管での遠心分離で細胞を取り除き、0.2 ml の清澄した上清を、エラスチン-コンゴレッド(5 mg/ml、Sigma社)を0.1 M Tris-HCl、pH 7.4 及び1 mM CaCl2から成る緩衝液に入れた0.4 ml の懸濁液に蓋付きの微量遠心管内で加えた。試験管を 37° Cで振盪しながら6時間、インキュベートした。その後、0.7 M リン酸ナトリウム (pH 6.0)から成る0.4 ml の緩衝液を加え、試験管を微量遠心管内に入れて遠心分離して未消化のエラスチン-コンゴ・レッドを取り除き、清澄した上清のA495 を測定した。読み取り値を当初の細胞密度 (OD600)に対して正規化し、エラスターゼ分泌の阻害%を未処置のPA14(阻害なしのコントロール)及び未処置のII型分泌欠損PA14 xcpQ::MrT7 (29) (株MDM1387、表1)(阻害が完全なコントロール)に対して相対的に判定した。
【0171】
クラミジアトラコマティス(原語:Chlamydia trachomatis )の成長阻害検定。
クラミジア-トラコマティスL2株の成長の化合物による阻害を24ウェル・プレート中で基本的にはWolf et al. の方法に従って測定した(59)。コンフルエントな単層Hep-2細胞にL2を0.5のMOIで感染させ、示した濃度の化合物で48時間、処置した。次に培養株を採集し、音波破砕した。ライセート全体が、新鮮なHeLa単層上に再プレートされることで、クラミジア後代基本小体(EB)の測定値としての封入形成単位(IFU)の計数に用いられた 。阻害のないコントロール(DMSOのみ)及び阻害が完全なコントロール(クロラムフェニコール、200 μg/ml) を含めた。実験は三重にして行われた。
【0172】
最小阻害濃度(MIC)
CLSI(以前のNCCLS)ガイドラインに解説されたブロス微量希釈法(39)によりMIC判定を行い、IC50及びCC50値の比較が簡単なようにμM
で表した。
【0173】
哺乳動物細胞毒性の判定。
化合物の培養哺乳細胞(HeLa、ヴァージニア州マナサス、ATCC CCL-2; アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)に対する細胞毒性濃度(CC50)を、MTSのホルマザンへの添加の50%を阻害する化合物濃度として判定した (32)。簡単に説明すると、DMSOに溶解させた化合物の連続希釈液の存在下又は非存在下で、血清(14)を加えたVP-SFM媒質を入れた1ウェル当たり4x103 個の密度になるように96ウェル・プレートを播種した。37℃のVP-SFM中で3日間インキュベート後、メーカー(ウィスコンシン州マジソン、Promega社)の指示通りに生存テトラゾリウム塩株 3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5 ジフェニルテトラゾリウムブロミドを用いて細胞生存率を測定した。数値は100 μM 乃至0.2 μMの阻害化合物の希釈液を用いて二重にして判定された。
【0174】
化学法
ここでT3SS阻害剤と同定された有機化合物は、主に市販のものが得られた。一連のフェノキシアセトアミド 化合物が、我々が再合成した場合にはMBX1641と指名された化合物1(表3)を更に詳しく研究するために合成された。スクリーニング・ヒットに関係するMBX1685、MBX1684、及びMBX1686(図8A)と指名された更なるフェノキシアセトアミドはすべて、2,4-ジクロロフェノールから調製された。エチル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート (K2CO3, CH3CN) で2,4-ジクロロフェノールをアルキル化するとエチル 2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-メチルプロパノエートが提供されたが、これを加水分解し (KOH, EtOH) 、3,4-メチレンジオキシベンジルアミンで結合(HOAT, EDCI, DMF, DIPEA) (2)させるとMBX1685が提供された。 2,4-ジクロロフェノールを (S)-エチル 2-ヒドロキシプロパノエート (PPh3, DIAD, THF) でミツノブ結合(34)させると、エチル (R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパノエートが提供され、これを加水分解し (LiOH-H2O, CH3CN-H2O) て、上に記載した通りに 3,4-メチレンジオキシベンジルアミンと結合させることでMBX 1684を生成した。対応するS-エナンチオマー (MBX1686)はまったく同じ態様で、しかしメチル (R)-2-ヒドロキシプロパノエートを 2,4-ジクロロフェノールと一緒にミツノブ結合プロトコルで用いた。ヒット化合物MBX 1641及びデスメチル類似体化合物MBX 1668 (図8A) は、それぞれ市販の 2-(2,4-ジクロロフェノキシ) プロパン酸及び2,4-ジクロロフェノキシ酢酸から、上に記載した通りに3,4-メチレンジオキシベンジルアミンと結合させることで直接、調製された。
【0175】
ここで開示した他のクラスの化合物の合成及び合成スキームの更なる詳細を実施例12−14で挙げる。
【0176】
実施例2. P.アエルギノーサT3SSの阻害剤の同定及びバリデーション
A. T3SS阻害剤の同定のためのP.アエルギノーサ細胞ベースの生物発光レポータ・スクリーニング(上に記載したルシフェラーゼ転写レポータ・スクリーニング)を、イェルシニアで前に解説したのと同様な態様で構築した (24)。P.アエルギノーサにおけるT3SS遺伝子調節は負のレギュレータExsEのIII型分泌と密接に結びついていることから、III型分泌能が低下すると、T3SSオペロンのすべての発現が減少する (47, 54)。T3SS エフェクター遺伝子 exoT をホトラブドゥス-ルミネセンス(原語:Photorhabdus luminescens)のluxCDABEオペロンに転写融合させたP.アエルギノーサ 株を構築し、T3SS誘導及び-リプレッシング条件下でのそれらの発光生成を評価した。Ca++ レベルが高いままの場合、(55)、例えばEGTA添加がない、あるいは、例えばT3SSのセクレトン成分をコードするpscC遺伝子など、T3SSアセンブリの鍵となる成分が欠失している場合 (27)、T3SSは機能的でなく、発光は、低レベルの遊離 Ca++ (5 mM EGTAの添加) で成長させた野生型に比較して著しく減少する(図1Aを参照されたい)。野生型転写融合株の用途を、384ウェル微量プレートでのスクリーニング用の最適化し、約80,000 の別個の化合物を50 μM にしてスクリーニングしてT3SSの阻害剤を同定した。図1Bにスクリーニング結果を5つの代表的な384ウェル検定プレートで図示する。実質的なシグナル対バックグラウンド比 (>20) と、試料、陽性及び陰性コントロールの偏差の係数(標準偏差/平均シグナル)のが大変ほどほどであること(すべて <10%) は、スクリーニング全体で観察されたものの代表である。合計で331の化合物 (ライブラリーの0.4% )が、RLU値の阻害のために一次ヒットとして検出され、試料平均未満である少なくとも4つの標準偏差が試料平均未満である (z-スコア ≧4; 図1Bの実線)と、それらの60%を超えるもの(208 化合物) が、同じ検定を三重にして再検査したときに阻害剤として確認された。しかしながら、これらの推定上の阻害剤の80%を超えるものが、非T3SS調節性lux株(株MDM1156中のlac-調節性 luxCDABE)よりも2倍を超えてexoT-luxスクリーニング株からの発光を阻害することが要されたため、消去された。大半のスクリーニング・ヒットで観察されたT3SS特異性がなかったことは、おそらく、発光を低下させることのできる非T3SS関連機序(例えば成長の阻害、エネルギー代謝、転写、又は翻訳)が数多くある結果であろう。
【0177】
P.アエルギノーサT3SS媒介性分泌の阻害剤のバリデーション
残りのT3SS選択的ヒットを、T3SS媒介性分泌の阻害について直接、評価した。測定はエフェクター-レポーター融合タンパク質から成る細胞検定を用いて行われた。P.アエルギノーサ ExoS (17) のIII型分泌シグナルのコドン(8)及びGAPドメインを、その分泌シグナルを欠いたTEM1 β-ラクタマーゼ遺伝子に融合させた。このコンストラクトを外因性の複製プラスミド pUCP24GW内にクローニングし、ExoS'-βLA融合タンパク質をlac 調節下にP.アエルギノーサ細胞で産生させた。この検定では、分泌されたβ-ラクタマーゼ活性は A490の増加にいたる、β-ラクタマーゼ色素産生性基質ニトロセフィンの加水分解によって検出される。シグナルの発生はEGTA及びIPTGの存在に依存し、T3SS-欠損ΔpscC 変異細胞では消失している(図1C)。転写融合レポータ検定法で同定されたT3SS選択的阻害剤のほとんどすべて(43のうち41)は、T3SS及びエフェクター融合の誘導中に50μMの濃度で加えられた場合に、少なくとも50%、エフェクター-レポーター融合タンパク質の分泌を阻害した。色素生成性基質添加の時点で誘導した後に化合物を加えた場合には阻害は全く観察されなかったことから、これら化合物はβ-ラクタマーゼの触媒それ自体ではなく、細胞外β-ラクタマーゼの外見を阻害することが示唆された。
【0178】
最後に、阻害剤をExoS'-βLA 融合タンパク質分泌阻害の効力について評価し (IC50) 細胞毒性についてカウンター・スクリーニングすると (CC50)、5つの付加的にバリデートされた T3SS 阻害剤のIC50 値は≦ 25 μM であり、CC50 値は ≧100 μMであることが明らかになった(表3)。これらの5つの阻害剤(化合物 1、3、4、8、及び 9)はP.アエルギノーサに対して何の検出可能な MIC (MIC >100 μM) も示さず、P.アエルギノーサ細胞の成長速度を阻害しなかった(データは図示せず)ことから、これらは、細菌細胞の成長又は生存を阻害することに 発光又はβ-ラクタマーゼ分泌を低下させるのではないことが確認された。これらの5つの超バリデートされたT3SS阻害剤は、表のシリーズA(フェノキシアセトアミド、化合物1)、B (リンゴ酸ジアミド、化合物3 及び 4)、及び D (N-フェニルマレイミド付加物、化合物 8 及び 9)の3種類の構造クラスに分類することができる。
【0179】
【表3】


【0180】
IC50 及びCC50
値はすべてμM 単位で記載されている。
a exoT-lux RLU / の阻害%、lac-lux RLUの阻害%は両者とも 50 μM の化合物である。b 血清の非存在下でのexoT-lux RLU の阻害%/10%ウシ胎児血清の存在下での exoT-lux RLU の阻害%、両者とも 50 μMの化合物。
c P.アエルギノーサ 株 MDM973からのExoS'-βLA融合タンパク質の分泌が50%減少する化合物濃度。
d 無血清培地で培養したHeLa細胞の生存率が50%減少する化合物濃度。
e HeLa細胞生存率検定法対T3SS阻害検定法における化合物の効力比で測定した場合のT3SS阻害の選択性。
f Y.ペスティス株JG153/pMM85からのYopE-βLA 融合タンパク質の分泌が50%減少する化合物濃度。

【0181】
実施例3. 天然エフェクターのT3SS媒介性分泌の阻害。
細胞ベースのレポータ検定法で同定された阻害剤が天然エフェクターのT3SS媒介性分泌を阻害することを確認するために、T3SS誘導条件下で3時間成長させている間、50μMの5種類のT3SS阻害剤のそれぞれに暴露したExoS分泌性株であるP.アエルギノーサ PAKΔTYから得られたならし培養基を濃縮し、分泌されたエフェクターをSDS-PAGE上で観察した(図2A)。5種類の化合物はすべて、P.アエルギノーサ細胞からのExoS 分泌を少なくとも75%、阻害した。化合物1、3、及び4 は、T3SS誘導中に50μM、存在させたときにP.アエルギノーサ PAKΔTY 細胞からのExoSの分泌を完全に阻害した(図2Aで矢印で記した)。化合物8 及び 9は、分泌されるエフェクター量を著しく減少させたが、は50μMでは完全ではなかった。
【0182】
天然ExoS分泌の阻害の濃度依存性を化合物1 で詳細に調べると、ExoS'-βLA 阻害検定法で観察されたものと大変似ていることが判明した (IC50 of ~12.5 μM) (図2B)。阻害効果はIII型分泌に特異的なものであるようだった。なぜなら三つの構造クラスのメンバーすべてが、50μMをII型分泌コンピテントなP.アエルギノーサPA14細胞に加えたときにII型媒介性エラスターゼ分泌を阻害できなかったからである(図2C)。コントロール阻害剤 7941790 (ChemBridge Corporation社)はセクレトン遺伝子 xcpQ にトランスポゾン挿入を持つII型欠損PA14株で観察されたレベルまでエラスターゼ分泌を低下させたが、三つのシリーズの T3SS 阻害剤は何の検出可能な効果を有さなかった。
【0183】
実施例4. 哺乳動物細胞に対するT3SS媒介性効果の阻害。
エフェクターのT3SS媒介性転位に対するそれらの効果を評価するために、5種類のIII型分泌特異的阻害剤、即ち化合物1、3、4、8、及び9(表3を参照されたい)を細胞活性検定で、哺乳動物細胞におけるT3SSエフェクター転位について検査した (27)。化合物をCHO細胞にP.アエルギノーサ ExoU-産生細胞の添加と同時に加えて、阻害剤が、転位したExoUの細胞毒性活性を原因とするCHO細胞死を遮断することができるかどうかを判定した。化合物1のみが、ExoU-分泌性P.アエルギノーサ 細胞からCHO細胞を再現可能に救助することができ(図3A)、この検定法でのその効力 (IC50 ~15 μM) は、ExoS'-βLA 検定法でのその効力(表3)及び天然ExoSでの分泌阻害のその効力(図2A)と同様だった。これらの結果は、フェノキシアセトアミド化合物1はP.アエルギノーサからの培養基へのT3SS媒介性のエフェクター分泌を遮断するだけでなく、 哺乳動物細胞へのエフェクターの転位も遮断することを実証している。
【0184】
化合物1によるExoU細胞毒性からの救助は、25 μM(図3A、白丸)では約30%、そして 75 μM では50%(図示せず)に達する、P.アエルギノーサ細胞の非存在下でも化合物自体の細胞毒性が原因で幾分、限界があった。このCC50 値は、血清非存在時のHeLa 細胞(表3の102 μM、及び下記の図5Cを参照されたい)及び293T 細胞(110 μM、データは図示せず)で得られる数値よりも幾分低い。この違いはおそらくは、三種類の異なる細胞種が用いられたという事実と、CHO細胞は、P.アエルギノーサ細胞に感染させる直前には10%から1%という血清レベルの突然の減少を原因とするストレス下にあったという事実を反映したものであろう。いずれにしろ、このCHO救助実験では化合物1には明らかな効験の幅がある。公知のExoU阻害剤であるシュードリパシン(27)もまた、CHO細胞をExoU毒性から同様な効力で救助した。化合物1を再合成すると、MBX 1641と命名されたできた化合物は、元の化合物1と同じT3SS阻害効力及び選択性を示した。
【0185】
ExoS
及びExoTは培養上皮細胞及び培養貪食細胞の両方でP.アエルギノーサ細胞の取り込みを遮断するようであるが、このことは、T3SSは、感染中にP.アエルギノーサか細胞の貪食細胞による除去を妨げることにより菌力因子として機能するのかも知れないことを示唆している (6, 15)。T3SS媒介性分泌及びExoS もしくはExoTの転位を変異により阻害すると、 細菌の内部移行が増加する (6, 15, 18, 50)。MBX 1641 を検査して、T3SS を阻害すると、培養HeLa細胞へのP.アエルギノーサ細胞内部移行が促されるかどうかを判定した。10の感染多重度のExoT産生性P.アエルギノーサ細胞の添加と同時に、50 μM の化合物をHeLa細胞に添加すると、ゲンタマイシンから細菌保護で測定した場合に11倍を超えて細胞の内部移行が刺激された(図3Bの棒3 (+ MBX 1641) を棒4 (未処置)と比較されたい)。 MBX 1641の存在下では、内部移行したP.アエルギノーサ ExoT-分泌性細胞の数(図3Bの棒3)はHeLaが取り込んだT3SS-欠損ΔpscC 細胞数に近いところまで増加した(図3Bの棒2)。予想通り、MBX 1641 は、既に高いレベルのT3SS-欠損ΔpscC 変異株の取り込みには有意な効果は有さなかった(図3Bの棒1 (+ MBX 1641) 及び2(未処置)を比較されたい)。
【0186】
実施例5 活性の細菌スペクトラム。
細胞内病原体クラミジア-トリコモナスはホストのサイトゾル中にエフェクターを注入することを担っていると考えられるT3SSを発現する(23)。最近では、両者ともアシル化ヒドラゾン・シリーズのメンバーである(40)イェルシニアT3SS阻害剤 INP0007 及びINP0400が、哺乳動物細胞ホストでC.トラコマティスの成長を停止させることが実証されており (38, 59)、T3SS はクラミジア発生周期で必須の役割を果たしていることが示唆された。MBX 1641 (再合成した化合物1) 及び化合物3 (表3)を、Hep-2細胞でのC.トラコマティスL2の成長遮断能について検査した。その結果は、化合物3ではなくMBX 1641は、50 μMを加えたときにC.トラコマティスの成長を大きく低下させたことを明らかにしている(図3Cの棒3 (+ MBX 1641) を棒4(化合物3)と比較されたい)。加えて、MBX 1641はHep-2細胞におけるC.トラコマティスの成長に対して濃度依存的な効果を示した(図3D)。これらの結果は、MBX 1641 はクラミジアにおいてT3SSを阻害することができることを示唆するものである。
【0187】
MBX 1641がイェルシニア-ペスティスのT3SS を阻害する能力も調べた。図4Aに示すように、MBX 1641は、弱毒化Y.イェルシニア株JG153(図4Aの白丸)からのYopE-βLA
エフェクター融合タンパク質のT3SS依存的分泌を阻害し、その効力は P.アエルギノーサ(図4Aの黒い四角)からのExoS'-βLA分泌阻害について観察されたものの訳3分の1(IC50 ~38 μM)の低さだった。P.アエルギノーサIII型分泌の他の4種類のバリデート済みT3SS阻害剤もY.ペスティスT3SS媒介性分泌を阻害し(表3)、これら二つのTTS系の構造上の成分間に相当な配列相同性があるという事実と一致することは興味深い (23)。
【0188】
実施例6. フェノキシアセトアミド T3SS阻害剤に関する予備的構造−活性関係(SAR)
上記の結果は、MBX 1641はT3SS媒介性分泌及び転位の両者を阻害することを実証している。加えて、それはP.アエルギノーサ細胞の成長やHeLa細胞の生存率(図5Cを参照されたい)に程度(図5Aを参照されたい)及び速度(図5Bを参照されたい)に対する影響を最小限で行われ、ほぼ10という好ましい選択性指数(CC50/IC50)を出す。MBX1641を代表とするフェノキシアセトアミド ・シリーズの構造-活性関係を探索するために、合計114種の類似体を購入し(ChemBridge Corporation社)、単一の濃度(50μM)でT3SS阻害について検定した(構造は図8のカタログに含まれている)。IC50 値は、ExoS'-βLA 検定法を用いることにより複数の鍵となる類似体について判定された(表4)。その結果は、環A状ではほとんどの変更は許容できないが、環Bでは置換基に相当の柔軟性が許容されることを示している。更にいくつかの結果から、リンカー領域は一つのメチレン単位では長くすることができるが、三級アミンは許容されてもいくらかの活性消失が伴うことも示されている。シリーズAの阻害剤類似体の発見はこの化学型のT3SS阻害剤としての有効性を裏付けるものであり、このクラスの阻害剤の効力の更なる至適化の基盤となる。
【0189】
更なるSAR研究は、ラセミ混合物であるMBX 1641 (* 表4)の単一立体中心に焦点を当てた。 純粋なエナンチオマーは購入では入手可能でなかったため、二つの立体異性体であるMBX 1684 (R-異性体)及びMBX 1686 (S-異性体) を合成した。更に、立体中心を除去した場合の効果を評価するために、リンカー領域の立体中心にあるメチル基を欠く、MBX1641の類似体(MBX 1668)と、立体中心に二つのメチル基を含有する類似体(MBX 1685)を合成した。これらの化合物によるT3SSの濃度依存的阻害をExoS'-βLA レポータ検定法で測定すると、その結果からはT3SS阻害活性には立体中心が重要であることが明確に立証された。R-異性体のみが活性あり、それにはラセミ混合物のほぼ2倍の効力があった(図4B及び表4を参照されたい、MBX1684は IC50 ~6 μM、対、MBX1641は ~10 μM)。デスメチル及びジメチル化合物という、立体中心を欠く両方の類似体とも、S-異性体MBX 1686と同様に不活性であった(IC50 値 >100 μM、表4)(図4B)。
【0190】
【表4】


【0191】
実施例7. 化合物1によるT3SSの阻害の動態。
化合物1がどのくらい急速にT3SSを阻害することができるかを判定するために以下の実験を行った。ExoS'-βLA融合タンパク質を持つPアエルギノーサ株(株MDM973)をT3SS誘導条件下で成長させた。コントロールとして、同じ細胞の別の株をT3SSの誘導なしで成長させた。2.5時間後、化合物1を50μM、T3SS誘導細胞の一部分に加えた。と同時に、ニトロセフィンを三つの株すべての部分に加え、ExoS'-βLAによるニトロセフィンの切断で生じた A490 を記録した。15分毎に三つの株すべての別の部分を取り出し、ニトロセフィンを加え、傾斜を判定した。A490 、対、分で表した時間の表の傾斜 (ΔA490/分) は、培養基中に分泌されて蓄積していくExoS'-βLA量に比例する。検定法の傾斜 (ΔA490/分) 対時間の表(図6)は、化合物1が、ExoS'-βLAのT3SS媒介性分泌を培養株への添加から15分内で50%、そして45分以内に100%阻害したことを示している。このような急速な動態は、一次機序としての遺伝子発現に対する効果を除外し、これらの化合物がT3SSを直接阻害することを示している。予想通り、化合物1の非存在下において誘導された細胞はExoS'-βLAを分泌し続けるが、未誘導の細胞は検出可能なExoS'-βLAを全く分泌しなかった。図6を参照されたい。
【0192】
実施例8. 化合物1の類似体によるT3SS媒介性エフェクター転位の阻害
化合物5685325 (ChemBridge
Corporation社、図8B) 及び化合物6380194 (ChemBridge Corporation社、図8B)という二つの化合物1類似体も、T3SSを通じてP.アエルギノーサ細胞が転位させたExoUによる中毒からCHO細胞を救助した(図7)。これらの結果は、フェノキシアセトアミド化学型の他のメンバーが、P.アエルギノーサから培養基中にエフェクターがT3SS媒介性分泌されるのを遮断することだけでなく、哺乳動物細胞へのエフェクターの転位も遮断することを実証するものである。これら類似体によるExoU細胞毒性からの救助は、二つの類似体についてそれぞれ25 μM で約8% 及び42%に達した、P.アエルギノーサ細胞の非存在時の化合物の細胞毒性が原因で、幾分、制限されていた。化合物5685325に関するこれらの結果は、化合物1骨格への修飾は、エフェクター毒素ExoUのT3SS媒介性転位の強力な阻害を提供しながらも、固有の細胞毒性を低下させることができることも示している。
【0193】
実施例9. 実施例1−8の結果及び結論
上記の研究においては(実施例1−8)、生物発光細胞レポータ・スクリーニング及び多重二次検定法を用いて、P.アエルギノーサ T3SS媒介性分泌の新しい選択的阻害剤を同定及びバリデートした。化合物の一つ(スクリーニングからの化合物1;再合成された指定番号1641) もまた、T3SS媒介性転位の阻害剤である。選択された化合物1、3、4、8、及び9 の示す細胞毒性は最小限であり (CC50 ≧100 μM) 、効力は中程度であり (IC50 値 ≦15μM) 、P.アエルギノーサ 細胞の成長の程度又は速度に対して何の有意な効果も示さず、また分泌されたエラスターゼの測定値で判断しても、それらはII型分泌系を示さない。化合物は3つの異なる化学型 (シリーズ A、B、及びD、表3)を代表するが、シリーズA及びBは構造上関連するようであり、またシリーズAの活性にとって必須であることが実証されている立体中心を含有する。シリーズAの化合物1 (MBX 1641) はT3SS媒介性分泌及び転位の両者を再現可能に阻害し、ExoU産生性P.アエルギノーサによるCHO細胞のT3SS中毒、P.アエルギノーサのHeLa細胞内部移行の遮断、Hep-2細胞中のC.トラコマティスの成長、に依存する三種の哺乳動物細胞検定で有効なアンタゴニストだった。シリーズAの阻害剤の効力及び選択性は、このクラスのT3SS阻害剤が、臨床上有用な阻害剤を作製するための更なる化学的至適化に適していることを示唆している。更に表3は、化学型シリーズDの化合物8及び9や単体化合物10及び11に関するデータを提供している。
【0194】
T3SS媒介性分泌のバリデート済み阻害剤である化合物3、4、8、及び9がなぜ、ExoU中毒からのCHO細胞救助で測定したときにT3SS媒介性転位を阻害できなかったかは不明である(実施例4)。大半の分泌阻害剤は、転位を阻害するものであろうと予測される。なぜならT3SS媒介性分泌の多くの局面が転位にも必要だからである。少なくとも4つの可能な説明がこの食い違いを説明するかも知れない。第一に、阻害剤は、P.アエルギノーサの針が哺乳動物細胞膜に結合するときに到達不可能である部位でT3SS装置と相互作用するのかも知れない。第二に、阻害剤の固有の細胞毒性は、ExoU媒介性細胞毒性からのCHO細胞の救助を検出する我々の能力の妨げとなっているのかも知れない。いくつかの細胞毒性は、MBX1641による成功裏の阻害があっても明らかであり、それが、CHO細胞の完全な救助を達成する我々の能力を制限するものとなった。4種の分泌阻害剤はMBX1641よりも細胞毒性が高くはないようであるが、細胞毒性の微妙な増加があれば、この検定でCHO細胞救助を隠すには充分かも知れない。第三に、哺乳動物細胞ベースの転位検定において分泌阻害剤は血清タンパク質に広汎に結合してしまい、活性には利用できないかも知れない。実際、血清の存在下においては化合物3、4、及び9は化合物1(MBX 1641)よりもより大きな活性消失を示す(「血清効果」、表3)。四番目の形式的な可能性は、阻害剤は低Ca++ により誘導されるT3SSは遮断するかも知れないが、哺乳動物細胞との接触により誘導されるものは遮断しないのかも知れないことである。しかしながら、阻害剤が機能する速度は転写調節レベルでの作用を除外するようである(下記を参照されたい)。
【0195】
フェノキシアセトアミド MBX 1641 は、前に報告されたT3SS阻害剤のいずれにも構造上関係がないようである。イェルシニア-シュードツベルキュロシス(原語:Yersinia pseudotuberculosis) (24, 41)、Y.ペスティス(原語:Y. pestis) (44)、腸管病原性エシェリヒア-コリ(原語:Escherichia coli )(EPEC) (16)、サルモネラ-チフィリウム(原語:Salmonella typhimurium )(12)、及びP.アエルギノーサ (27)でのT3SS阻害剤スクリーニングについて結果が解説されてきた。すべて、細胞ベースの検定法を用いてきたが、それは、全細胞に対して活性化化合物を直接同定するためと、分子機序の複雑さのためにT3SSの成分を生化学的にスクリーニングすることが特に困難だからの両方が理由である。P.アエルギノーサ T3SS阻害剤について唯一以前に解説されたスクリーニングは、残存生存CHO細胞が減っている可能性と、結果的に、哺乳動物細胞の死に至る分泌、転位、及び毒素活性のいずれの段階でも阻害剤を検出できるのではないかということに基づいていた (27)。スクリーニングで同定されたバリデート済み阻害剤は、T3SSプロセス自体ではなく、ExoU毒素を直接阻害することが示された。しかしながら、この研究で解説されたある一連のヒットはMBX1641に対する構造上の類異性を示す。 5929052 及び5925831というこのシリーズの二つの化合物((27)の補足表2を参照されたい)は、ここで解説するExoS'-βLA検定で検出可能な阻害を示すことができなかった(IC50 値 >100 μM; 非公開の結果)。検出可能な阻害がないことは驚くべきことではない。なぜならこれらの化合物はExoU阻害剤として同定されたのであり、また、これらには、MBX 1641 のT3SS阻害活性に必須であることが実証されている立体中心がないからである(例えば表4のデスメチル類似体を参照されたい)。以前に報告されたY.シュードツベルキュローシス及びY.ペスティスT3SS の阻害剤を、この研究で同定された阻害剤に比較すると特に興味深い。なぜなら、シュードモナスT3SSタンパク質はいずれか他の属のものよりもイェルシニア属に対してより高い配列類似性を示すからである(23)。Nordfeth et al., Infect. Immun., 73: 3104-3114 (2005) (41)で解説された二種のY.シュードツベルキュローシス T3SS 阻害剤、化合物8および11が、我々のスクリーニング・コレクションの中にあった。これらはP.アエルギノーサ T3SSをほどほどに阻害はするが、一次ヒットとして選択するのに十分な効力では、exoT-lux 一次レポータ・スクリーンを阻害することができなかった(未公開の観察)。一つのY.ペスティスT3SS阻害剤(Pan et al., Antimicrob. Agents
Chemother., 53: 385-392 (2009) (44)に記載された化合物2)もまた、我々のスクリーニング・コレクションの中にあり、ここで適用された一次及び二次スクリーンではP.アエルギノーサ T3SSの強力な阻害剤であることが実証された (ExoS'-βLA検定でIC50 ≦10 μM)が、高血清タンパク質結合が原因で追跡することはできなかった。3種の異なるイェルシニアT3SS阻害剤のP.アエルギノーサ T3SS阻害能は、これら二つの属のT3SS成分で観察された高い配列相同性と、この研究で解説された5種のP.アエルギノーサ T3SS阻害剤のY.ペスティスT3SS媒介性分泌阻害能とに合致する。
【0196】
これらのP.アエルギノーサ T3SS阻害剤の分子ターゲットは公知ではない;しかし、ここで解説する結果は、これらの化合物はT3SS装置の活性を特異的に阻害することのいくらかの証拠となるものである。第一に、このデータは、化合物はエフェクター毒素のうちの一つを単に阻害するだけではないことを示している。なぜならこれらは三つの異なるエフェクター、つまりExoS (SDS-PAGE)、ExoT (HeLa 細胞内部移行)、及びExoU (CHO細胞の救助)の分泌又は転位に特異的に影響したからである。第二に、これら阻害剤はP.アエルギノーサ細胞の性能の程度又(MIC)又は速度には影響しない。第三に、これら化合物は遺伝子発現又は菌力遺伝子発現の一般的阻害剤ではないようである。なぜならこれらはexoT-lux 及び lac-lux 転写融合を持つ株による発光の発生に対して示差的な効果を示すからであり、それらは、II型分泌機序を利用するもう一つの菌力因子であるエラスターゼの産生又は分泌を阻害しないからである。第四に、MBX1641によるExoS'-βLA 分泌阻害は多重外向きフラックス-ポンプ・ノックアウト株であるP.アエルギノーサ株PAO397 (26)で測定したときにも等しく効力があった(コロラド州立大学Dr. Herbert Schweizerより提供)(未公開の観察)。これは、T3SS阻害剤は外に排出されず、及び/又は、作用するためにP.アエルギノーサ 細胞に進入する必要がなく、この後者の可能性が高いが、それはなぜなら、P.アエルギノーサ 細胞内に入って保持される低分子はほとんどないからである (30)。第五に、MBX 1641はT3SSの誘導中か、又は誘導から2.5時間後に投与されたかに関係なく、ExoS'-βLA分泌を等しく強力に遮断することは、この化合物はT3SS遺伝子発現を遮断するわけでも、III型装置の集合を遮断するわけでもことを示唆している(未公開の観察)。最後に、フェノキシアセトアミド・シリーズの立体中心においてR-異性体配置に求められる厳密な要件は、この阻害剤は、特定の一ターゲット又は複数のターゲットと相互作用すること、そして手当り次第な非特異的機序で作用しているわけでなないことを示している。三つの細菌種においてT3SSに対して観察される活性スペクトルは保存されたターゲットを示すが、配列保存は数多くのT3SS遺伝子産物間の種にわたって高い。
【0197】
フェノキシアセトアミド・シリーズ(シリーズA)のリンカー領域における立体中心の重要性を確立することに加え、ここで解説する最初のSARは、阻害剤の効力を高めるための明確な方向性をいくつか提供する。環Aへの変更の許容率が低い(表4)ことは、この分子領域が立体中心と共に、ターゲットとの重要な接触に関与しているからである。これらの領域の更なる化学的姿至適化をすれば、効力が高められるであろう。対照的に、環B上の多様な置換基について実証された許容度はかなり高い(表4)ことは、この化合物の側鎖ではほとんどターゲットとの接触が行われないことを示唆しており、おそらくは、ターゲットの同定、又は、ADME上の利点を提供する他の修飾を行うために光反応基を繋ぎ止める位置となるであろう。
【0198】
前述の例の結果は、MBX 1641 は三つの異なる細菌種:P.アエルギノーサ、Y.ペスティス、及びC.トラコマティス:のT3SSを阻害することができることを示している。複数の様々な検定法で、P.アエルギノーサ
T3SS の阻害が実証されているが、他の二種におけるT3SSの阻害は、それぞれの場合において単一に検定法に基づく。にもかかわらず、エフェクター-β-ラクタマーゼ融合タンパク質はT3SS機能の信頼のおけるレポータであるようである。クラミジアで操作可能な遺伝子系がなければ、細胞内成長にとってのT3SSの必要性を確実に実証することはできなかった。MBX1641がT3SS阻害以外の機序でC.トラコマティスの成長を停止させている可能性は除外できないが、当該化合物が手当り次第に振る舞っていることは多様な検定法で実証されておらず、過剰に細胞毒性であるようでも、又は遺伝子発現を遮断するようでもない。
【0199】
前述から、化合物1641及びそのR-立体異性体は、P.アエルギノーサ・エフェクターのT3SS媒介性分泌及び手にの両者を遮断する強力かつ選択的に阻害剤であると思われる。R-立体異性体にとっての前記の絶対的要件は、フェノキシアセトアミド(構造シリーズA、表3;図8を参照されたい)はIII型分泌に必要な特異的成分をターゲットにすることを示すものである。 ここで実証された構造−活性の関係から、効力を更に高くし、細胞毒性を低くするために、この化合物シリーズを至適化するアプローチが示唆される。このような至適化された化合物を動物モデルで単独、又は、抗生物質と組み合わせて評価することで、潜在的な治療的用途でのそれらの利点を判定できるかも知れない。
【0200】
実施例10. 化合物1(MBX 1641)類似体の概要
図8A−8Qは、T3SS阻害活性について特徴付けされたMBX 1641 (再合成された化合物1)及び117種の類似体の概要カタログである。MBX 1641 の16種の更なる類似体(そのR-立体異性体であるMBX 1684に加え)が特異的T3SS阻害剤であると発見された。図8A−8Cを参照されたい。
【0201】
実施例11. 付加的なバリデート済みT3SS阻害剤化合物。
上記の方法及び検定法を用いて更なるライブラリーをスクリーニングすると、付加的なバリデート済みT3SS阻害剤が同定された。表5を参照されたい。
【0202】
【表5】

【0203】
実施例12. フェノキシアセトアミド T3SS 阻害剤化合物1及び類似体(化学型A)の合成。
この例では、上記のスクリーニング及びバリデーション・プロトコルで同定されたT3SS阻害剤化合物1などのフェノキシアセトアミド化合物と、化学型Aの選択された類似体の合成スキームを提供する。上記の表3を参照されたい。上に記載したように、化合物1の再合成版はMBX 1641と命名されている。「MBX」という化合物命名法は上記の記載及び例で解説したものと同じである。他の化合物番号は、以下に提供する特定の合成スキーム及びプロトコルの解説のみ、関係する。
【0204】
合成スキーム
フェノキシアセトアミドは、市販のものを入手可能な開始材料から、よく確立された化学法を用いて合成することができる。化合物2a (MBX 1668、MBX1641の「デスメチル」類似体;上記の表4を参照されたい)及びバリデート済みのT3SS阻害剤2b (MBX 1641、ラセミ体混合物、上記の表3の化合物1の再合成版)を(下記のスキーム1)対応する市販のフェノキシ酢酸 (1a, 1b)及びピペリニルアミンから共通のペプチド結合試薬を用いて一回のステップで作成する。
【0205】
【化65】

【0206】
gem-ジメチル類似体7 (MBX 1685、表4) も、市販のα-ブロモエステル4及び2,4-ジクロロフェノール3から開始して同様に合成される。このように、ブロモ基の塩基促進型置換により中間エステル5が提供されるが、これは次にサポニン化して酸6になる。この酸をピペロニルアミンとペプチド結合させると所望の化合物7(MBX 1685、MBX1641の「ジメチル」類似体)。
【0207】
【化66】

【0208】
化合物2b
(即ち、11a及び11b、下記)の光学的に純粋な類似体の合成 は市販の(S)-エチルラクテート(スキーム3)から開始する。ミツノブ条件下でジクロロフェノールによるこの乳酸塩の水酸基の置換が起きるとキラル中心で立体配置が逆転して(R)-エステル9aができる。このエステルのサポニン化、続いて前述と同様にペプチド結合が起きると、MBX 1641のR-異性体である、MBX1984と命名されたバリデート済みT3SS阻害剤化合物11a が単一のエナンチオマーとして提供される。.
【0209】
【化67】

【0210】
他方のエナンチオマー(化合物11b、MBX 1686と命名された、MBX1686のS-異性体である)は、(R)-エチルラクテートから開始して同じ方法で作成される(スキーム4)。
【0211】
【化68】

【0212】
上記の合成スキームに従った合成プロトコル
1. N-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジル]-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)アセトアミド (スキーム1の化合物 2a 、MBX 1668と命名された、MBX1641の「デスメチル」類似体)の合成。
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸 (1a; 1.0 g, 4.52 mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール (0.62 g, 5.0 mmol, 1.1 eq), 及び N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチカルボジイミドヒドロクロリド (0.87 g, 5.0 mmol, 1.1 eq) の乾燥DMF (25 mL) 溶液にピペロニルアミン (0.81 mL, 6.5 mmol, 1.2
eq)を加えた。この溶液を室温で30分間、撹拌した。次に、ジイソプロピルエチルアミン (2.35 mL, 13.5 mmol, 3.0 eq.) を加え、溶液を室温で16時間、撹拌した。この反応液を水 (250 mL)に注ぎいれ、冷蔵した。できた沈殿固体をろ過し、水ですすぎ、乾燥させた。次に、その固体をシリカゲル上で15%-40% EtOAc/ヘキサンによるクロマトグラフィにかけた。生成物を含有する画分をプールし、蒸発させて 0.84 g (53%) の化合物2a (MBX 1668) を白色粉末として得た: Rf 0.38 (50%
EtOA/ヘキサン); mp 117-119° C; MS
(ESI) m/z 353.9 [M+H]+; 1H
NMR (CDCl3) δ 7.39-7.38 (d, 1H), 7.23-7.23 (dd, 1H), 7.00 (s, 1H),
6.85-6.82 (d, 1H), 6.78-6.76 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 4.55 (s, 2H), 4.65−4.45 (d, 2H)。
【0213】
2. バリデート済みT3SS阻害剤であるN-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジル]-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド (スキーム1の化合物2b、命名されたMBX 1641)の合成。
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオン酸(化合物1b; 1.275 g, 5.45
mmol), 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール (0.82 g, 6.0 mmol, 1.1
eq), 及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミドヒドロクロリド (1.15 g, 6.0 mmol, 1.1 eq) の乾燥DMF (25 mL) 溶液にピペロニルアミン (0.81 mL, 6.5 mmol,
1.2 eq)を加えた。この溶液を室温で30分間、撹拌した。次に、ジイソプロピルエチルアミン (2.84 mL, 16.4 mmol, 3.0 eq.)を加え、溶液を室温で16時間、撹拌した。この反応液を10% クエン酸水溶液 (200 mL) 及びEtOAc (300 mL)の混合液に加えた。有機層を10% のクエン酸水溶液、水、飽和水性NaHCO3、水、次にブラインで洗浄した。 その後、この有機溶液をNa2SO4上で乾燥させ、回転蒸発器で濃縮した。濃縮後の溶液をヘキサンで倍散して (×3) 沈殿物を生じさせた。その固体をろ過で採集して1.84 g (92%) の化合物2b を白色粉末として得た:Rf 0.52 (50% EtOAc/ヘキサン); mp 120-121° C; MS (ESI) m/z 367.9 [M+H]+; 1H
NMR (CDCl3) δ 7.38-7.37 (d, 1H), 7.20-7.17 (dd, 1H), 6.91 (s, 1H),
6.86-6.83 (d, 1H), 6.76-6.68 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 4.76-4.69 (q, 1H),
4.40-4.37 (m, 2H), 1.65-1.63 (d, 3H)。
【0214】
3. エチル 2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-メチルプロピオネート(スキーム2の中間エステル化合物 5 )の合成。
エチル 2-ブロモ-2-メチルプロパノエート(化合物4; 2.19 mL, 15.4 mmol), 2,4-ジクロロフェノール(化合物 3, 3.0 g, 18.4mmol, 1.2 eq)、及びK2CO3 (3.05 g, 22.1mmol, 1.2 eq) のアセトニトリル (25 mL) 懸濁液を16時間、還流させた。この懸濁液をセライトでろ過し、その固体をアセトニトリルですすいだ。ろ液を蒸発させて、粘性の、薄い黄色の油を得、これを更なる精製なしに用いた: 1H NMR (CDCl3)
δ 7.37 (d, 1H), 7.10 (dd, 1H), 6.86 (d, 1H), 4.25 (q, 2H),
1.60 (s, 6H), 1.27 (t, 3H)。
【0215】
3. 2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-メチルプロピオン酸(スキーム2の化合物6)の合成。
KOH (2.48 g, 44.2 mmol, 15
eq) の水溶液 (12 mL) にエチル 2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-メチルプロピオネート(化合物5; 0.80 g, 2.89 mmol) の EtOH溶液 (12 mL)を加えた。この溶液を室温で4時間、撹拌した後、過剰なEtOHを真空下で取り除いた。残った水溶液をEtOAc (10 mL)で洗浄し、次に濃塩酸で酸性化した。次にその水性の混合物をEtOAc (10 mL)で抽出し、有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させることで粘性の、無色の油を得、これを更なる精製なしで用いた: 1H NMR (CDCl3) δ 7.42-7.41 (d, 1H),
7.19-7.15 (dd, 1H), 7.04-7.01 (d, 1H), 1.64 (s, 6H)。
【0216】
4. N-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジル]-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)2-メチルプロパンアミド (スキーム2の化合物7、MBX 1685と命名された、MBX1641の「ジメチル」類似体)の合成。
2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-メチルプロピオン酸(化合物6; 136 mg, 0.55 mmol)、 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール (82 mg 0.60 mmol, 1.1 eq)、及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミドヒドロクロリド (115 mg, 0.60 mmol, 1.1
eq) の乾燥DMF (3 mL) 溶液にピペロニルアミン (0.81 mL, 0.65 mmol, 1.2
eq)を加えた。この溶液を室温で30分間、撹拌した。次にジイソプロピルエチルアミン (0.28 mL, 16.4 mmol, 3.0 eq.) を加え、この溶液を室温で16時間、撹拌した。その反応液を10% クエン酸水溶液 (20 mL) 中に注ぎいれ、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。配合した有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、蒸発させて残渣を得、これを 20% EtOAc/ヘキサンを加えたシリカゲルでクロマトグラフィにかけた。その画分をプールし、蒸発させて101 mg (48%) の化合物7 を象牙色の固体として得た: Rf 0.60 (50% EtOAc-ヘキサン); mp 92-94° C; MS (ESI) m/z 382.0 [M+H]+; 1H
NMR (CDCl3) δ 7.38 (d, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.94 (d, 1H),
6.76 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 4.41 (s, 2H), 1.57 (s, 6H)。
【0217】
5. エチル (R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオネート(スキーム3の化合物9a )の合成。
2,4-ジクロロフェノール(化合物3; 3.0 g, 18.4 mmol)、エチル (S)-ラクテート (化合物 8a; 2.39 g, 20.2 mmol, 1.1 eq)、及びトリフェニルホスフィン (7.23 g, 27.6 mmol, 1.5 eq) の無水THF溶液 (50 mL)にジイソプロピルアゾジカルボキシレート (5.46 g, 27.6 mmol, 1.5 eq) を滴下で加えた。この反応混合液を室温で16時間、撹拌した。溶媒を蒸発させ、できた残渣を 2-5% EtOAc/ヘキサンを加えたシリカゲルでクロマトグラフィにかけた。生成物を含有する画分をプールし、蒸発させて薄い黄色の油を得、これを更なる精製なしで用いた: 1H NMR (CDCl3)
δ 7.31 (d, 1H), 7.06 (dd, 1H), 6.75 (d, 1H), 4.70 (q, 1H),
4.21 (dq, 2H), 1.62 (d, 3H), 1.20 (t, 3H)。
【0218】
6. (R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオン酸(スキーム3の化合物10a )の合成。
KOH (2.48 g, 44.2 mmol, 15
eq) の水溶液 (12 mL) に、室温のエチル (R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオネート(化合物 9a; 0.80 g, 3.05 mmol)のEtOH (12 mL) 溶液を加えた。この溶液を4時間、撹拌した後、濃塩酸HCl (pH 3)で酸性化した。できた固体をろ過し、水ですすぎ、乾燥させて白色粉末を得、これを更なる精製なしで用いた。
【0219】
7. N-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジル]-(R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド (スキーム3の化合物 11a 、バリデート済みのT3SS阻害剤、MBX 1684と命名されたMBX1641のR-異性体である)の合成。
(R)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピオン酸(化合物10a; 128 mg, 0.55 mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール (82 mg, 0.60 mmol, 1.1 eq)、及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミドヒドロクロリド (115 mg, 0.60 mmol, 1.1 eq) の乾燥DMF (3 mL)溶液に ピペロニルアミン (0.81 mL, 0.65 mmol, 1.2
eq)を加えた。この溶液を室温で30分間、撹拌した。次にジイソプロピルエチルアミン (0.28 mL, 1.7 mmol, 3.0 eq)を加え、溶液を室温で16時間、撹拌した。この反応液を10%のクエン酸 水溶液(20 mL) に加え、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。 配合した有機抽出物を Na2SO4上で乾燥させ、蒸発させて残渣を得、これを20% EtOAc/ヘキサンを加えたシリカゲルでクロマトグラフィにかけた。画分をプールし、蒸発させて91 mg (45%) の化合物11a (MBX 1684と命名)を白色の固体として得た:Rf 0.52 (50% EtOAc-ヘキサン); mp 136-138° C; MS (ESI) m/z 368.0 [M+H]+; 1H
NMR (CDCl3) δ 7.37 (d, 1H), 7.19 (dd, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.85 (d, 1H),
6.76-6.68 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 4.73 (q, 1H), 4.39 (m, 2H), 1.64 (d, 3H)。
【0220】
8. N-[3,4-(メチレンジオキシ)ベンジル]-(S)-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロパンアミド (スキーム4の化合物11b、MBX-1686と命名された、MBX1641のS-異性体である)の合成。
化合物11b の合成を化合物11aのそれと全く同じ態様で行ったが、例外としてエチル (R)-ラクテートをこの順の最初のステップで用いた。生成物は98 mg (50%) の白色粉末として得られた:Rf 0.52 (50% EtOAc-ヘキサン); mp 140-142° C; MS (ESI) m/z 367.9 [M+H]+; 1H
NMR (CDCl3) δ 7.37 (d, 1H), 7.19 (dd, 1H), 6.91 (s, 1H), 6.85 (d, 1H),
6.76-6.68 (m, 3H), 5.95 (s, 2H), 4.73 (q, 1H), 4.39 (m, 2H), 1.64 (d, 3H)。
【0221】
実施例13 モルホリノン化合物の合成
この例では、標記の表3中のバリデート済みT3SS阻害剤化合物3及び4など、モルホリノン化合物の合成スキームを紹介する。下記のスキーム5の化合物番号は、特定の合成スキームの記載にのみ関係する。
【0222】
合成スキーム5
一般型16のモルホリノン分子は、市販のエチルフマリルクロリド
(12) 及び市販の又は簡単に合成されたモノ-アルキル化エタノールアミンから開始して集合させることができる。次に、できたモノ-アミド13を塩基の影響下で環化して置換モルホリノン14を提供する。これを次にサポニン化して対応する酸にし、ペプチド結合を用いて標的分子にとって必要なアミド官能性を導入する。
【0223】
【化69】

【0224】
実施例14.縮合スクシンイミド化合物の合成。
この例では、上記の表3中のバリデート済みT3SS阻害剤化合物8及び9など、縮合スクシンイミド化合物の合成スキームを紹介する。下記のスキーム6の化合物番号は、特定の合成スキームの記載にのみ、関連する。
【0225】
合成6
一般型21の縮合スクシンイミド化合物を、2,5-ジメチルフラン (17) 及び無水マレイン酸 (18)のディールス-アルダー環化反応から作成される縮合無水スクシン酸(20) から合成する。.中間体 19 を水素付加で還元して20を提供し、これを次に高温でアミンと反応させて、標的類似体21を提供する。
【0226】
【化70】

【0227】
ここで引用するすべての公開文献、特許出願、及び他の書類を、言及をもってここにその全文を援用するものとする。衝突がある場合は、定義を含む本明細書を上位とする。加えて、材料、方法、及び実施例は単に描写的であり、限定的となることを意図してはいない。
【0228】
本発明の開示された化合物及び代替的な実施例の明確な変更が、前述の開示を鑑みれば当業者には明白であろう。このような自明の変更及び代替案はすべて、ここに記載した通りの本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0229】
本文中で引用された文献

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【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図5C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】







から成る群より選択される細菌のIII型分泌系(T3SS)阻害剤化合物。
【請求項2】


から成る群より選択される、請求項1に記載の、細菌のIII型分泌系(T3SS)阻害剤化合物。
【請求項3】

から成る群より選択される構造の、細菌のT3SS阻害剤化合物。

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の一種以上の細菌のT3SS阻害剤化合物と、薬学的に許容可能な担体又は医薬品添加物とを含む医薬組成物。
【請求項5】
グラム陰性細菌感染の処置のための、請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項6】
前記細菌感染が、サルモネラ種、シゲラ-フレクスネリ(原語:Shigella flexneri)、シュードモナス種、イェルシニア種、腸管病原性及び腸管侵襲性エシェリヒア-コリ、及びクラミジア種の感染である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記細菌感染が、シュードモナス-アエルギノーサ、イェルシニア-ペスティス又はクラミジア-トラコマティスの感染である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
グラム陰性細菌感染を処置する医薬の製造のための、請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物を、T3SS媒介性エフェクター分泌を阻害するのに有効量、グラム陰性細菌に感染した又は暴露した個体に投与するステップを含む、前記個体を処置する方法。
【請求項10】
前記個体がヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記グラム陰性細菌がシュードモナス属、サルモネラ属、イェルシニア属、又はクラミジア属である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記グラム陰性細菌がシュードモナス-アエルギノーサ、イェルシニア-ペスティス又はクラミジア-トラコマティスである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記グラム陰性細菌がシュードモナス-アエルギノーサである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
抗生物質、抗体、抗ウィルス剤、抗癌剤、鎮痛薬、免疫刺激薬、天然、合成又は半合成のホルモン、中枢神経系刺激薬、抗催吐薬、抗ヒスタミン剤、エリスロポエチン、補体刺激薬、鎮静薬、筋肉弛緩剤、麻酔薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗精神薬、及びこれらの組合せから成る群より選択される付加的な活性成分を投与するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。

【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【図8M】
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【図8N】
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【図8O】
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【図8P】
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【図8Q】
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【公表番号】特表2012−522846(P2012−522846A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504784(P2012−504784)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030120
【国際公開番号】WO2010/118046
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511241321)マイクロバイオティックス, インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】MICROBIOTIX, INC.
【住所又は居所原語表記】One Innovation Drive, 3Biotech, Worcester, MA 01605 (US).
【Fターム(参考)】