説明

結束対象物用のクランプ

【課題】一対のクランプ挟持体が開かないようにして、複数本の結束対象物をより強固に保持することができる結束対象物用のクランプを提供すること。
【解決手段】クランプ1は、配線、配管等の長尺状の結束対象物5の複数本を互いに結束するために用い、結束対象物5の長尺方向Lに対して直交する挟持方向Hの両側から結束対象物5を挟持する一対のクランプ挟持体2A、2Bからなる。一対のクランプ挟持体2A、2Bは、これらが互いに繋がる一端部201に形成した一端側ヒンジ部24を支点にして折り合わせ、他端部202に形成した第1係止部31によって、結束対象物5を挟持した状態を維持するよう構成してある。一対のクランプ挟持体2A、2Bは、結束対象物5同士の間において互いに対向する対向部22を有しており、対向部22には、結束対象物5を挟持した状態を維持するための第2係止部41が形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線、配管等の長尺状の結束対象物の複数本を互いに結束するために用いるクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンのウォータジャケットに接続されたヒータホース(配管)は、ゴム製のホースから構成しており、ウォータジャケットとヒータユニットとの間で、温水(エンジンの冷却水)を循環させるために2本使用されており、2本のヒータホースは、クランプを用いて相互に結束されている。このクランプは、走行時に生じる振動等によってヒータホース同士が干渉して騒音、ホース自身の劣化等の問題が生ずることを防止するために用いている。
例えば、特許文献1には、ヒータホースを2本収容する本体部と、この本体部に対してヒンジ部によって開閉可能にした蓋部とを有するクランプが開示されている。そして、本体部に設けたロック部によって蓋部に設けた被ロック部をロックすることによって、2本のヒータホースを保持することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1のクランプは、ヒータホースを1本ずつ保持する構造にはなっていない。また、本体部と蓋部とをロックする部分は、1箇所においてしか設けておらず、ヒータホースの振動等により、蓋部が開いてしまうことを防止するためには十分ではない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−206672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、一対のクランプ挟持体が開かないようにして、複数本の結束対象物をより強固に保持することができる結束対象物用のクランプを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、配線、配管等の長尺状の結束対象物の複数本を互いに結束するために用いるクランプであって、
該クランプは、上記結束対象物の長尺方向に対して直交する挟持方向の両側から該結束対象物を挟持する一対のクランプ挟持体からなり、
該一対のクランプ挟持体は、該一対のクランプ挟持体が互いに繋がる一端部に形成した一端側ヒンジ部を支点にして折り合わせ、他端部に形成した第1係止部によって、上記結束対象物を挟持した状態を維持するよう構成してあると共に、上記結束対象物同士の間において互いに対向する対向部を有しており、
該対向部に、上記結束対象物を挟持した状態を維持するための第2係止部を形成したことを特徴とする結束対象物用のクランプにある(請求項1)。
【0007】
本発明のクランプは、複数本の結束対象物を同時に挟持する一対のクランプ挟持体からなり、一対のクランプ挟持体は、一端側ヒンジ部を形成した一端部とは反対側の他端部に第1係止部を有すると共に、結束対象物同士の間において互いに対向する対向部に第2係止部を有している。
そして、本発明のクランプによって、複数本の結束対象物を保持する際には、一対のクランプ挟持体の間に複数本の結束対象物を配置する。そして、一端部における一端側ヒンジ部を支点にして一対のクランプ挟持体を折り合わせたときには、一対のクランプ挟持体は、他端部における第1係止部において互いに係止することができると共に、結束対象物同士の間において互いに対向する対向部においても第2係止部によって互いに係止することができる。
【0008】
これにより、複数本の結束対象物は、第1係止部と1つ又は複数の第2係止部とによって、それぞれの結束対象物の両側において一対のクランプ挟持体が開かないように保持することができる。
それ故、本発明の結束対象物用のクランプによれば、一対のクランプ挟持体が開かないようにして、複数本の結束対象物をより強固に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上述した本発明の結束対象物用のクランプにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記第1係止部には、一方の上記クランプ挟持体が、他方の上記クランプ挟持体に対して上記長尺方向の一方に位置ずれして当該第1係止部による係止状態が解除されることを防止するための第1ストッパーを設け、上記第2係止部には、上記一方のクランプ挟持体が、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に位置ずれして当該第2係止部による係止状態が解除されることを防止するための第2ストッパーを設け、上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に相対的に位置ずれさせることにより、上記第1係止部による係止状態を解除し、次いで、上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の一方に相対的に位置ずれさせることにより、上記第2係止部による係止状態を解除することができるよう構成することが好ましい(請求項2)。
【0010】
この場合には、複数本の結束対象物を互いに結束して保持する使用時には、第1ストッパー及び第2ストッパーによって、一対のクランプ挟持体における第1係止部及び第2係止部による係止状態が長尺方向に外れ難くすることができる。また、メンテナンス、部品交換等のサービス時には、第1係止部においては長尺方向の一方に第2係止部においては長尺方向の他方に相対的に位置ずれさせるように、一対のクランプ挟持体を意図的にねじることにより、簡単にクランプを取り外すことができる。そのため、使用時には外れ難く、サービス時には簡単に外すことができるクランプを構成することができる。
【0011】
また、上記一方のクランプ挟持体の上記他端部には、上記長尺方向の一方に位置する側方端部において、上記長尺方向に板面を向けた一方側当板部を設け、上記他方のクランプ挟持体の上記他端部には、上記長尺方向の他方に位置する側方端部において、上記長尺方向に板面を向けた他方側当板部を設け、上記第1係止部による係止状態を解除する際には、上記一方側当板部と上記他方側当板部とを互いに近づく方向へ押さえることにより、上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に相対的に位置ずれさせるよう構成することが好ましい(請求項3)。
この場合には、メンテナンス、部品交換等のサービス時には、作業者が、一方側当板部と他方側当板部とを互いに近づく方向へ押さえることにより、第1係止部による係止状態を一層容易に解除することができる。
また、上記一方側当板部及び他方側当板部は、それらの板面を上記長尺方向に対して垂直に位置させるだけでなく、上記長尺方向に対して斜めに位置させることもできる。
【0012】
また、上記各クランプ挟持体は、上記結束対象物を保持するための保持部と、上記対向部において上記保持部同士を連結する連結部とをそれぞれ有しており、上記一対のクランプ挟持体のうちの少なくとも一方には、上記他端部に隣接する上記保持部において、厚みが最も縮小した他端側ヒンジ部を設け、上記第1係止部による係止状態を解除した後には、上記他端側ヒンジ部を起点にして、該他端側ヒンジ部よりも上記他端部側に位置する部分を上記一対のクランプ挟持体による挟持方向の外方へ折り曲げた状態で、上記第2係止部による係止状態を解除するよう構成することが好ましい(請求項4)。
この場合には、メンテナンス、部品交換等のサービス時に、第1係止部による係止状態を解除した後、他端側ヒンジ部よりも他端部側に位置する部分を一対のクランプ挟持体による挟持方向の外方へ折り曲げることによって、この他端側ヒンジ部よりも他端部側に位置する部分が、第2係止部による係止状態を解除する際の邪魔にならないようにすることができる。
なお、他端側ヒンジ部は、インテグラルヒンジとして形成してあるため、その形成が容易である。
【0013】
また、上記結束対象物は、配管としてのゴムホースとし、上記一対のクランプ挟持体は、上記ゴムホースを2本並べた状態で挟持すると共に、該2本のゴムホースを保持するための略半円状の保持面をそれぞれ2つ有する形状に形成し、上記各保持面には、上記ゴムホースの表面に集中荷重を加えるための突起を形成し、上記一端側ヒンジ部は、上記一対のクランプ挟持体と一体成形したインテグラルヒンジとすることが好ましい(請求項5)。
この場合には、一対のクランプ挟持体の各保持面に設けた突起によって集中荷重を与えた状態で、それぞれゴムホースを十分に保持することができる。また、一端側ヒンジ部をインテグラルヒンジとすることにより、クランプを一体成形により安価に製造することができる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の結束対象物用のクランプにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例のクランプ1は、図1、図4に示すごとく、配線、配管等の長尺状の結束対象物5の複数本を互いに結束するために用いるものである。このクランプ1は、結束対象物5の長尺方向Lに対して直交する挟持方向Hの両側から結束対象物5を挟持する一対のクランプ挟持体2A、2Bからなる。一対のクランプ挟持体2A、2Bは、図2、図3に示すごとく、一対のクランプ挟持体2A、2Bが互いに繋がる一端部201に形成した一端側ヒンジ部24を支点にして折り合わせ、他端部202に形成した第1係止部31によって、結束対象物5を挟持した状態を維持するよう構成してある。
また、一対のクランプ挟持体2A、2Bは、結束対象物5同士の間において互いに対向する対向部22を有しており、この対向部22には、結束対象物5を挟持した状態を維持するための第2係止部41が形成してある。
【0015】
以下に、本例の結束対象物用のクランプ1につき、図1〜図4を参照して詳説する。
本例のクランプ1によって結束する結束対象物5は、車両のエンジンのウォータジャケットに接続された配管としてのヒータホース5である。このヒータホース5は、ゴム製のホースから構成してあり、ウォータジャケットとヒータユニットとの間で、温水(エンジンの冷却水)を循環させるために用いる。
【0016】
図2、図3に示すごとく、本例の一対のクランプ挟持体2A、2Bは、樹脂から構成してあり、略同径のヒータホース5を2本並べた状態で挟持するよう構成してある。また、一対のクランプ挟持体2A、2Bは、2本のヒータホース5を保持するための略半円状の保持面211をそれぞれ2つ有する形状に形成してある。より具体的には、各クランプ挟持体2A、2Bは、略半円状の保持面211を形成した2つの保持部21と、2つの保持部21が並ぶ(ヒータホース5が並ぶ)並列方向Dの略中央部に位置する対向部22において保持部21同士を連結する連結部23とをそれぞれ有している。
【0017】
図4に示すごとく、一端側ヒンジ部24は、並列方向Dにおける一端部201において、一対のクランプ挟持体2A、2Bの端部同士を繋ぐよう、一対のクランプ挟持体2A、2Bと一体成形したインテグラルヒンジ24によって形成してある。このインテグラルヒンジ24は、保持部21を構成する樹脂部分の厚みよりも薄く形成してある。
【0018】
また、各保持面211には、ヒータホース5の表面に集中荷重を加えるための押圧突起212が、並列方向Dに並ぶ2箇所に形成してある。
また、ヒータホース5の長尺方向Lに平行な一対のクランプ挟持体2A、2Bの幅方向Bの寸法は、ヒータホース5を保持する保持面211の直径寸法よりも小さくしてある。これにより、クランプ1を2本のヒータホース5から取り外すときに、一対のクランプ挟持体2A、2Bを幅方向Bにねじって、第1係止部31及び第2係止部41による係止状態を容易に解除することができる。
【0019】
図2に示すごとく、第1係止部31は、一方のクランプ挟持体2Aに設けた一方側第1係止爪311Aと、他方のクランプ挟持体2Bに設けた他方側第1係止爪311Bとを係止させるよう構成してある。各第1係止爪311A、311Bは、各クランプ挟持体2A、2Bの他端部202において、各クランプ挟持体2A、2Bが互いに対向する挟持方向Hの内側に向けて突出する突出部312の先端に係止突起313を形成して構成してある。また、他方側第1係止爪311Bに対向する位置には、この他方側第1係止爪311Bとの間に一方側第1係止爪311Aを挟み込むことができる対向壁部314が形成してある。
ここで、図1においては、一方のクランプ挟持体2Aが上側に位置する状態でクランプ1を示しており、図2、図4においては、他方のクランプ挟持体2Bが上側に位置する状態でクランプ1を示している。
【0020】
図1、図2、図4に示すごとく、第2係止部41は、他方のクランプ挟持体2Bの対向部22に設けた切欠部411Bと、一方のクランプ挟持体2Aの対向部22に設けて切欠部411Bに係止させる変形係止爪411Aとによって構成してある。変形係止爪411Aは、弾性変形が容易になるように、挟持方向Hの内側に向けて突出する突出部412の先端に対して、自由状態で折返部413を折り返して形成してある。
【0021】
第1係止部31には、一方のクランプ挟持体2Aが、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向Lの一方に相対的に位置ずれして当該第1係止部31による係止状態が解除されることを防止するための第1ストッパー32が設けてある。第2係止部41には、一方のクランプ挟持体2Aが、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向Lの他方に相対的に位置ずれして当該第2係止部41による係止状態が解除されることを防止するための第2ストッパー42が設けてある。
【0022】
図1〜図3に示すごとく、本例の第1ストッパー32は、他方のクランプ挟持体2Bの他方側第1係止爪311Bにおいて、一方のクランプ挟持体2Aの一方側第1係止爪311Aにおける係止突起313の幅方向Bの一方B1における端面に対向する位置に形成してある。
また、本例の第2ストッパー42は、他方のクランプ挟持体2Bの対向部22における切欠部411Bを構成する部分によって、一方のクランプ挟持体2Aの対抗部22における変形係止爪411Aの幅方向Bの他方B2における端面に対向する位置に形成してある。
なお、図1、図3において、幅方向Bの一方をB1で示し、他方をB2で示す。
【0023】
また、図3に示すごとく、第2ストッパー42と、一方のクランプ挟持体2Aの変形係止爪411Aの幅方向Bの他方B2における端面との間には、クランプ1を取り外す際に、一方のクランプ挟持体2Aと他方のクランプ挟持体2Bとを相対的に長尺方向Lへ位置ずれさせることを容易にするための隙間410が形成されている。
【0024】
そして、本例のクランプ1は、一方のクランプ挟持体2Aを、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向L(幅方向B)の他方B2に相対的に位置ずれさせることにより、第1係止部31による係止状態を解除し、次いで、一方のクランプ挟持体2Aを、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向L(幅方向B)の一方B1に相対的に位置ずれさせることにより、第2係止部41による係止状態を解除することができるよう構成してある。
また、本例のクランプ1を2本のヒータホース5から取り外す際に、一方のクランプ挟持体2Aを、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向Lの他方B2に相対的に位置ずれさせるときには、一方のクランプ挟持体2Aの変形係止爪411Aを上記隙間410の形成分だけ長尺方向Lの他方B2に相対的に位置ずれさせることができる。これにより、クランプ1を取り外すことが容易になる。
【0025】
なお、第1ストッパー32は、一方のクランプ挟持体2Aの一方側第1係止爪311Aにおいて、他方のクランプ挟持体2Bの他方側第1係止爪311Bにおける幅方向Bの他方B2における端面に対向する位置に形成することもできる。また、切欠部411Bを一方のクランプ挟持体2Aの対向部22に設け、変形係止爪411Aを他方のクランプ挟持体2Bの対向部22に設けたときには、第2ストッパー42は、一方のクランプ挟持体2Aの対向部22に設けた切欠部411Bを構成する部分によって形成することができる。
【0026】
また、第1ストッパー32を一方のクランプ挟持体2Aに形成すると共に、第2ストッパー42を他方のクランプ挟持体2Bに形成することもできる。
また、第1係止部31及び第2係止部41は、種々の構成にすることができる。例えば、第2係止部41は、第1係止部31と同様に、係止突起を設けた一対の係止爪によって構成することもできる。
【0027】
本例のクランプ1によって2本のヒータホース5を互いに結束して保持する使用時には、一対のクランプ挟持体2A、2Bの間に2本のヒータホース5を配置する。そして、一端部201における一端側ヒンジ部24を支点にして一対のクランプ挟持体2A、2Bを折り合わせたときには、一対のクランプ挟持体2A、2Bは、他端部202における第1係止部31において互いに係止することができると共に、ヒータホース5同士の間において互いに対向する対向部22においても第2係止部41によって互いに係止することができる。
【0028】
これにより、2本のヒータホース5は、第1係止部31と第2係止部41とによって、それぞれのヒータホース5の両側において一対のクランプ挟持体2A、2Bが開かないように保持することができる。また、第1係止部31と第2係止部41とによって、一対のクランプ挟持体2A、2Bが開かないように保持したときには、第1ストッパー32及び第2ストッパー42によって、一対のクランプ挟持体2A、2Bにおける第1係止部31及び第2係止部41による係止状態が幅方向Bへ外れないようにすることができる。
【0029】
また、メンテナンス、部品交換等のサービス時には、第1係止部31においては長尺方向Lの一方に第2係止部41においては長尺方向Lの他方に相対的に位置ずれさせるように、一対のクランプ挟持体2A、2Bを上述したように所定の方向に意図的にねじることにより、第1係止部31及び第2係止部41における係止状態を解除し、簡単にクランプ1を取り外すことができる。そのため、使用時には外れ難く、サービス時には簡単に外すことができるクランプ1を構成することができる。
それ故、本例の結束対象物用のクランプ1によれば、使用時には、一対のクランプ挟持体2A、2Bの幅方向Bへの位置ずれを防止して、2本のヒータホース5をより強固に保持することができ、サービス時には、簡単に当該クランプ1を簡単に取り外すことができる。
【0030】
(実施例2)
本例は、クランプ1の取り外し易さ等の更なる改善を行った例である。
図5に示すごとく、本例のクランプ1において、一方のクランプ挟持体2Aの他端部202には、長尺方向Lの一方に位置する側方端部において、長尺方向Lに板面を向けた一方側当板部25Aが設けてあり、他方のクランプ挟持体2Bの他端部202には、長尺方向Lの他方に位置する側方端部において、長尺方向Lに板面を向けた他方側当板部25Bが設けてある。本例の一方側当板部25A及び他方側当板部25Bは、後述する押さえ部26に対して鈍角を形成する方向に傾斜して形成されている。
【0031】
そして、メンテナンス、部品交換等のサービス時には、作業者が、一方側当板部25Aと他方側当板部25Bとを互いに近づく方向へ押さえることにより、一方のクランプ挟持体2Aを、他方のクランプ挟持体2Bに対して長尺方向Lの他方に相対的に位置ずれさせることができる。これにより、第1係止部31による係止状態を一層容易に解除することができる。
【0032】
また、各クランプ挟持体2A、2Bの他端部202には、挟持方向Hに板面を向けて、他端部202における並列方向Dの外方へ突出形成した押さえ部26が形成してある。そして、一対のクランプ挟持体2A、2Bを折り合わせて、第1係止部31及び第2係止部41の係止状態を形成する際には、各クランプ挟持体2A、2Bにおける押さえ部26を挟持方向Hの両側から押さえることによって、第1係止部31及び第2係止部41の係止状態を容易に形成することができる。これにより、クランプ1の組付性を向上させることができる。
【0033】
また、図5に示すごとく、本例の一方のクランプ挟持体2Aには、他端部202(第1係止部31を形成した端部)に隣接する保持部21において、ヒータホース5の並列方向Dにおける真ん中部分に対向する位置に、厚みが縮小した他端側ヒンジ部213が形成してある。この他端側ヒンジ部213は、幅方向B(長尺方向L)に沿って形成してあるが、幅方向Bに対して傾斜して形成することもできる。
【0034】
そして、メンテナンス、部品交換等のサービス時に、第1係止部31による係止状態を解除した後には(この解除する状態を図5の矢印aによって示す。)、インテグラルヒンジとして機能する他端側ヒンジ部213を起点にして、他端側ヒンジ部213よりも他端部202側に位置する部分215を挟持方向Hの外方へ折り曲げ(この折り曲げる状態を同図の矢印bによって示す。)、この状態で第2係止部41による係止状態を解除することができる(この解除する状態を同図の矢印cによって示す。)。これにより、第2係止部41による係止状態を解除する際に、一方のクランプ挟持体2Aにおいて他端側ヒンジ部213よりも他端部202側に位置する部分215が、他方のクランプ挟持体2Bに干渉することを回避することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1における、使用前の状態のクランプを示す斜視図。
【図2】実施例1における、使用時の状態のクランプを示す側面図。
【図3】実施例1における、使用時の状態のクランプを示す平面図。
【図4】実施例1における、一対のクランプ挟持体を開けた状態のクランプを示す側面図。
【図5】実施例2における、使用前の状態のクランプを示す斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1 クランプ
2A 一方のクランプ挟持体
2B 他方のクランプ挟持体
201 一端部
202 他端部
21 保持部
211 保持面
213 他端側ヒンジ部
22 対向部
24 一端側ヒンジ部
31 第1係止部
32 第1ストッパー
41 第2係止部
42 第2ストッパー
5 ヒータホース(結束対象物)
L 長尺方向
H 挟持方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線、配管等の長尺状の結束対象物の複数本を互いに結束するために用いるクランプであって、
該クランプは、上記結束対象物の長尺方向に対して直交する挟持方向の両側から該結束対象物を挟持する一対のクランプ挟持体からなり、
該一対のクランプ挟持体は、該一対のクランプ挟持体が互いに繋がる一端部に形成した一端側ヒンジ部を支点にして折り合わせ、他端部に形成した第1係止部によって、上記結束対象物を挟持した状態を維持するよう構成してあると共に、上記結束対象物同士の間において互いに対向する対向部を有しており、
該対向部に、上記結束対象物を挟持した状態を維持するための第2係止部を形成したことを特徴とする結束対象物用のクランプ。
【請求項2】
請求項1において、上記第1係止部には、一方の上記クランプ挟持体が、他方の上記クランプ挟持体に対して上記長尺方向の一方に位置ずれして当該第1係止部による係止状態が解除されることを防止するための第1ストッパーが設けてあり、
上記第2係止部には、上記一方のクランプ挟持体が、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に位置ずれして当該第2係止部による係止状態が解除されることを防止するための第2ストッパーが設けてあり、
上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に相対的に位置ずれさせることにより、上記第1係止部による係止状態を解除し、次いで、上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の一方に相対的に位置ずれさせることにより、上記第2係止部による係止状態を解除することができるよう構成したことを特徴とする結束対象物用のクランプ。
【請求項3】
請求項2において、上記一方のクランプ挟持体の上記他端部には、上記長尺方向の一方に位置する側方端部において、上記長尺方向に板面を向けた一方側当板部が設けてあり、
上記他方のクランプ挟持体の上記他端部には、上記長尺方向の他方に位置する側方端部において、上記長尺方向に板面を向けた他方側当板部が設けてあり、
上記第1係止部による係止状態を解除する際には、上記一方側当板部と上記他方側当板部とを互いに近づく方向へ押さえることにより、上記一方のクランプ挟持体を、上記他方のクランプ挟持体に対して上記長尺方向の他方に相対的に位置ずれさせるよう構成したことを特徴とする結束対象物用のクランプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記各クランプ挟持体は、上記結束対象物を保持するための保持部と、上記対向部において上記保持部同士を連結する連結部とをそれぞれ有しており、
上記一対のクランプ挟持体のうちの少なくとも一方には、上記他端部に隣接する上記保持部において、厚みが最も縮小した他端側ヒンジ部が設けてあり、
上記第1係止部による係止状態を解除した後には、上記他端側ヒンジ部を起点にして、該他端側ヒンジ部よりも上記他端部側に位置する部分を上記一対のクランプ挟持体による挟持方向の外方へ折り曲げた状態で、上記第2係止部による係止状態を解除するよう構成したことを特徴とする結束対象物用のクランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記結束対象物は、配管としてのゴムホースであり、
上記一対のクランプ挟持体は、上記ゴムホースを2本並べた状態で挟持すると共に、該2本のゴムホースを保持するための略半円状の保持面をそれぞれ2つ有する形状に形成してあり、
上記各保持面には、上記ゴムホースの表面に集中荷重を加えるための突起が形成してあり、
上記一端側ヒンジ部は、上記一対のクランプ挟持体と一体成形したインテグラルヒンジであることを特徴とする結束対象物用のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192002(P2009−192002A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34659(P2008−34659)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】