説明

給湯装置

【課題】給湯装置において、高速湯張りモードが設定された場合、残水センサでは検出できない残水が浴槽に存在する可能性があるときにのみ、高速湯張りモードの設定直後に警告をして、高速湯張りモードでの浴槽水の溢流の可能性を低減し、高速湯張りモードの利便性を高める。
【解決手段】給湯装置の制御装置は、残水センサが残水未検出状態にあるか否かを判定する残水判定手段と、残水判定手段の残水判定結果を記憶する記憶部とを備える。設定部材により高速湯張りモードが設定された場合、記憶部に記憶された残水判定結果が残水未検出状態であるとき、残水が有ると浴槽水が浴槽から溢れる場合があることの警告のアナウンスをした後に高速湯張りモードが実行され、記憶部に記憶された残水判定結果が残水未検出状態でない(すなわち、残水検出である)とき、報知装置に警告のアナウンスを行わせることなく通常湯張りモードが実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯が浴槽に供給される際に、通常湯張りモードおよび高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置において、浴槽に湯を供給する給湯ユニットと、浴槽での水位を検出する水位センサと、通常湯張りモードおよび該通常湯張りモードよりも短時間で湯張りが終了する高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な設定部材と、給湯ユニットを制御する制御装置とを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、給湯ユニットの湯路(例えば、追焚き用の循環湯路)の洗浄を行う洗浄モードが設定可能な給湯装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−294847号公報
【特許文献2】特開平2007−101067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給湯装置において、高速湯張りモードで湯張りが開始される際に、浴槽に残っている水(以下、「残水」という。そして、この残水には「残湯」も含まれる。)の量(以下、「残水量」という。)が、水位センサにより検出可能な基準水位以上であるときには、該水位センサで検出された水位に基づいて制御装置により算出された必要注湯量で、設定部材を操作する操作者により設定された設定水位まで注湯される一方、前記基準水位未満の残水が有るときには、水位センサにより水位を検出することができず、したがって前記必要注湯量を算出することができないので、注湯量が過剰になり、浴槽水が設定水位を超えることがある。
また、洗浄モードが設定可能な給湯装置において、湯張り終了後、浴槽水の水位が特定の水位より低くなったときに洗浄が実行されるものがある。そして、このような給湯装置で洗浄モードが実行された場合に、水位センサにより水位を検出することができない前記基準水位未満の残水が有るときは、高速湯張りモードでの湯張り時に、やはり注湯量が過剰になって浴槽水が設定水位を超えることがある。
【0005】
そこで、操作者により高速湯張りモードが設定された場合、高速湯張りモードの開始時の残水量が前記基準水位未満のときには、操作者に対して、前記基準水位未満の残水が存在する可能性があるために、設定水位での湯張りができないことがある旨の警告を報知することが望ましい。
しかしながら、前記基準水位に対する残水の水位に関わりなく、高速湯張りモードが設定される度に前記警告を報知するのでは、操作者に不快感や煩わしい感じを与えることにもなりかねない。また、高速湯張りモードが設定された後に、残水量の検出を開始するのでは、残水量の判定結果を操作者に報知するまでに時間を要し、その間に操作者が設定部材から離れてしまって、報知を聞き逃すことがある。
また、水位センサによる水位検出が可能になるまで所定湯量の注湯を行った後に、検出された水位に基づいて必要注湯量を算出する中間チェックを行い、前記必要湯量の湯を注湯することで、設定水位での湯張りが確保されるものの、該中間チェックを行わない場合に比べて時間がかかり、高速湯張りモードでの湯張りの迅速性が損なわれる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、給湯装置において、湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、浴槽に湯を供給する給湯ユニットと、前記浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位センサと、通常湯張りモードおよび高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な設定部材と、前記設定部材を操作する操作者に報知を行う報知装置と、前記給湯ユニットおよび前記報知装置を制御する制御装置とを備える給湯装置において、前記水位センサにより検出された水位が基準水位未満のときに前記給湯ユニットの湯路の洗浄を行う洗浄モードが、前記設定部材により設定可能であり、前記制御装置は、前記洗浄モードに基づく前記湯路の洗浄が実行済みか否かを判定する洗浄実行判定手段と、前記洗浄実行判定手段の洗浄判定結果を記憶する記憶部とを備え、前記設定部材により前記高速湯張りモードが設定された場合、前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が洗浄実行済みであるとき、前記報知装置に警告の報知を行わせた後に前記給湯ユニットに前記高速湯張りモードを実行させ、前記記憶部に記憶された前記洗浄判定結果が前記洗浄実行済みでないとき、前記報知装置に前記警告の報知を行わせることなく前記給湯ユニットに前記通常湯張りモードを実行させる給湯装置である。
【0008】
これによれば、洗浄モードによる湯路の自動洗浄が実行された場合、洗浄実行判定手段による洗浄判定結果が洗浄実行済みであるため、浴槽には基準水位未満の残水が存在する可能性がある。このため、設定部材により高速湯張りモードが設定された場合において、制御装置は、設定部材の操作者に対して、報知装置により、例えば、残水が有ると浴槽水が浴槽から溢れる場合があることを意味する警告の報知を行う。この際、制御装置は予め記憶部に記憶された洗浄判定結果に基づいて報知を行うので、該報知は、高速湯張りモードの設定後に直ちに行われることから、操作者が該報知を聞き逃したり、または見逃したりことがなく、高速湯張りモード設定時の残水量の不確実性に起因する浴槽水の溢流の可能性を低減でき、しかも高速湯張りモードが設定された後に残水を検出するための時間を必要としないので、高速湯張りモードによる湯張り時間の短縮化が損なわれることがない。
また、洗浄判定結果が洗浄実行済みでないとき(すなわち、基準水位以上の残水が有るとき)には、報知装置による前記警告の報知が行われることなく、通常湯張りモードでの湯張りが行われることから、洗浄判定結果が洗浄実行済みであるときにのみ、前記警告の報知が行われるので、操作者に不快感や煩わしい感じを与えることが少なくなる。
これらの結果、洗浄モードでの洗浄実行の有無を利用することにより、洗浄湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、浴槽に湯を供給する給湯ユニットと、前記浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位センサと、通常湯張りモードおよび高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な設定部材と、前記設定部材を操作する操作者に報知を行う報知装置と、前記給湯ユニットおよび前記報知装置を制御する制御装置とを備える給湯装置において、前記浴槽に残っている前記浴槽水を検出する残水センサを備え、前記制御装置は、前記残水センサにより前記浴槽水が検出されない残水未検出状態にあるか否かを判定する残水判定手段と、前記残水判定手段の残水判定結果を記憶する記憶部とを備え、前記設定部材により前記高速湯張りモードが設定された場合、前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態であるとき、前記報知装置に警告の報知を行わせた後に前記給湯ユニットに前記高速湯張りモードを実行させ、前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態でないとき、前記報知装置に前記警告の報知を行わせることなく前記給湯ユニットに前記通常湯張りモードを実行させる給湯装置である。
【0010】
これによれば、残水判定手段による残水判定結果が残水未検出であるため、浴槽には残水センサにより検出できない残水が存在する可能性がある。このため、設定部材により高速湯張りモードが設定された場合において、制御装置は、設定部材の操作者に対して、報知装置により、例えば、残水が有ると浴槽水が浴槽から溢れる場合があることを意味する警告の報知を行う。この際、制御装置は予め記憶部に記憶された残水判定手段の残水判定結果に基づいて報知を行うので、該報知は、高速湯張りモードの設定後に直ちに行われることから、操作者が該報知を聞き逃したり、または見逃したりすることがなく、高速湯張りモード設定時の残水量の不確実性に起因する浴槽水の溢流の可能性を低減でき、しかも高速湯張りモードが設定された後に残水センサにより残水の検出をする時間を必要としないので、高速湯張りモードによる湯張り時間の短縮が損なわれることがない。
また、残水判定結果が残水未検出状態でないとき(すなわち、残水センサで検出される残水が有るとき)には、報知装置による報知が行われることなく、高速湯張りモードでの湯張りが行われることから、残水判定結果が残水未検出状態であるときにのみ、警告の報知が行われるので、操作者に不快感や煩わしい感じを与えることが少なくなる。
これらの結果、湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の給湯装置において、前記設定部材により前記給湯ユニットの湯路の洗浄を行う洗浄モードが設定可能であり、前記制御装置は、前記設定部材により前記洗浄モードが設定され、かつ前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態であるとき、前記給湯ユニットに前記湯路の洗浄を実行させるものである。
これによれば、残水判定手段の残水判定結果を、報知装置による警告の報知の実行条件および洗浄モードによる湯路の自動洗浄の開始条件として共用できるので、残水判定手段を備える給湯装置に洗浄モードを簡単に組み込むことができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の給湯装置において、前記報知装置は、音声ガイドを行う音声発生装置であるものである。
これによれば、警告の報知が音声でなされるので、報知の内容を操作者に確実に伝達できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、給湯装置において、湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る給湯装置を模式的に示す図である。
【図2】図1の給湯装置の要部のブロック図である。
【図3】図1の給湯装置の制御装置による残水判定の手順を説明する図である。
【図4】(a)は、図1の給湯装置による通常湯張りモードおよび高速湯張りモードでの湯張りの手順を説明する図であり、(b)は、(a)の変形例の一部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1を参照すると、本実施形態に係る給湯装置Hは、浴槽1および給湯先2(例えば蛇口)に湯を供給する給湯ユニット10と、給湯ユニット10の機能を設定する設定部材Cと、給湯ユニット10および浴槽1の状態を検出する状態検出手段60(図2参照)と、設定部材Cを操作する操作者に報知を行う報知装置59と、設定部材Cからの設定信号および状態検出手段60からの検出信号に基づいて給湯ユニット10および報知装置59を制御する制御装置70とを備える。
給湯ユニット10は、水が加熱されて湯が生成される湯源としての貯湯タンク11と、貯湯タンク11の湯(または水)を加熱する給湯用加熱源としてのヒートポンプ装置12と、貯湯タンク11に水を供給する給水部10aと、貯湯タンク11の湯を浴槽1および給湯先2に供給する給湯部10bと、浴槽1に供給された湯または水(以下、「浴槽水」という。)を加熱する追焚き部10cとを備える。
なお、給湯ユニット10により浴槽1に湯または水を供給することを、注湯ということがある。
【0016】
給水部10aは、給水源3(例えば上水道)からの水を貯湯タンク11および給湯部10bに導く給水管13と、逆止弁14および減圧弁15とを備える。給水管13は、逆止弁14および減圧弁15が上流側から順次設けられた上流給水管13aと、減圧弁15の下流で上流給水管13aから分岐した第1,第2下流給水管13b,13cとを有する。第1下流給水管13bは貯湯タンク11の下部に接続され、第2下流給水管13cは、逆止弁16,17をそれぞれ介して給湯部10bの第1混合栓としての浴槽用混合栓20および第2混合栓としての給湯用混合栓21に接続される。
【0017】
ヒートポンプ装置12は、外気の熱を気化熱として吸収した冷媒が凝縮する際の凝縮熱により貯湯タンク11の下部から導かれる低温の湯を加熱するヒートポンプ12aと、貯湯タンク11の湯をヒートポンプ12aに導く導入管12bと、ヒートポンプ12aで加熱された水を貯湯タンク11の頂部に導く導出管12cとを備える。このため、貯湯タンク11内の湯は、全体的に上部ほど温度が高くなる。
【0018】
貯湯タンク11には、貯湯タンク11の湯の温度を検出する複数の温度センサ61a〜61fが上下方向に間隔を置いて設けられる。制御装置70がこれら温度センサ61a〜61fにより検出された温度に基づいてヒートポンプ12aの作動を制御することにより、ヒートポンプ12aが水の加熱量を制御して、貯湯タンク11の湯の温度を制御する。
導入管12bと導出管12cとは、凍結防止用の三方弁4により連通・遮断可能である。導入管12bには、三方弁4の上流で、貯湯タンク11の水の排出を可能とする手動式の排水弁6が設けられた排水管5が接続される。
【0019】
給湯部10bは、給水部10aの水と貯湯タンク11の湯との混合割合を変更することにより浴槽1および給湯先2にそれぞれ供給される湯の温度を調節可能な湯温調節部材としての浴槽用混合栓20および給湯用混合栓21と、貯湯タンク11および各混合栓20,21に接続されて貯湯タンク11の頂部に存在する高温の湯を取り出す出湯管22と、浴槽用混合栓20および給湯用混合栓21からの湯または水を浴槽1および給湯先2にそれぞれ導く第1,第2給湯管31,32を有する給湯管30と、該給湯管30に設けられる電磁弁23、流量調節弁24、逆止弁25,26およびポンプ40とを備える。各混合栓20,21には、逆止弁16,17を通った給水管13の水と、逆止弁18,19を通った出湯管22の湯とが導かれる。
各混合栓20,21における水と湯との混合割合は、制御装置70が各混合栓20,21を制御することにより制御される。
【0020】
図1を参照すると、浴槽用混合栓20および浴槽1のアダプタ1aに接続される第1給湯管31は、上流給湯管33と、浴槽1に供給される湯の流通を許容する逆止弁26の下流の分岐部37で上流給湯管33から分岐していずれもアダプタ1aと接続される第1,第2下流給湯管34,35とを有する。上流給湯管33には、浴槽1への湯の供給を制御する制御部材としての電磁弁23と、逆止弁25を通った湯の注湯流量を検出する流量センサ65と、逆止弁26とが、上流側から順次設けられる。
【0021】
第1下流給湯管34には、浴槽1での浴槽水の水位を検出する水位センサ67と、第1給湯管31内を流れて浴槽1に供給される湯の温度を検出する温度センサ62とが、上流側から順次設けられる。温度センサ62は、浴槽1内の浴槽水の温度に対応する温度を検出することから、浴槽湯温センサでもある。
水位センサ67よりも上流で分岐する第2下流給湯管35には、浴槽1に湯または水を圧送するポンプ40と、第2下流給湯管35に水が流れていることを検出する水流センサ68と、流量調節弁24とが、上流側から順次設けられる。アダプタ1aにおいて、第1下流給湯管34の端部開口34eは、第2下流給湯管35の端部開口35eが浴槽1内に開口する位置よりも下方の位置で浴槽1内に開口する。水流センサ68は、ポンプ40の作動・非作動を検出可能である。
一方、第2給湯管32には、給湯先2に供給される湯の流量を検出する流量センサ66と、第2給湯管32内を流れる湯の温度を検出する温度センサ63とが、上流側から順次設けられる。
【0022】
追焚き部10cは、ポンプ40と、アダプタ1aおよびポンプ40に接続される吸込管41と、ポンプ40およびアダプタ1aに接続される吐出管42と、吐出管42に設けられた追焚き用の熱交換器43とを備える。吸込管41、吐出管42および熱交換器43は、浴槽1から流出した浴槽水を浴槽1に戻すように浴槽水を循環させる循環湯路を形成する。
そして、給水管13は給湯ユニット10における給水路を形成し、出湯管22により形成される出湯路と、第1,第2給湯管31,32によりそれぞれ形成される第1,第2給湯路とが、給湯ユニット10における湯路を構成する。
【0023】
吸込管41は、第1下流給湯管34と、第2下流給湯管35における分岐部37からポンプ40までの部分である上流管35aとにより構成される。吐出管42は、第2下流給湯管35におけるポンプ40から流量調節弁24までの部分である中流管35bと、熱交換器43が設けられると共に流量調節弁24から第2下流側給湯管35との接続部38までの接続管44と、第2下流給湯管35における流量調節弁24からアダプタ1aまでの部分である下流管35cとにより構成される。
接続管44は、流量調節弁24および熱交換器43に接続されて水を熱交換器43に導く上流接続管45と、熱交換器43および第2下流給湯管35に接続されて熱交換器43において加熱された浴槽水を浴槽1に導く下流接続管46とを有する。下流接続管46には、熱交換後の槽水の温度を検出する温度センサ64が設けられる。
【0024】
熱交換器43は、貯湯タンク11の上部に設けられて貯湯タンク11の湯に浸漬されている。それゆえ、貯湯タンク11は、浴槽水を加熱する追焚き用加熱源である。
流量調節弁24は、下流管35cおよび上流接続管45に対する中流管35bの接続の切換を含めて、中流管35bを流れた湯または水の、下流管35cまたは上流接続管45への流量を制御する。
【0025】
図2を中心に、併せて図1を参照すると、設定部材Cは、浴室内に設けられる第1設定部としての浴室リモコンC1と、浴室とは別の場所、例えば台所に設けられる第2設定部としての台所リモコンC2とから構成される。各リモコンC1,C2は、操作者が操作することにより給湯ユニット10の機能を設定する操作部Caと、表示部Cbとを備える。
操作部Caは、給湯装置Hの運転および停止を行う運転・停止スイッチ50と、浴槽1の湯量(または、水位)を設定する湯量設定部(または、水位設定部)51と、浴槽1の浴槽水の温度および第2給湯管32での湯の温度をそれぞれ別個に設定する湯温設定部52と、給湯ユニット10の作動モードを択一的に選択して設定する作動モードスイッチとを有する。前記作動モードスイッチには、通常湯張りモードを設定する通常湯張りモードスイッチ53、通常湯張りモードよりも短時間での湯張りが可能な高速湯張りモードを設定する高速湯張りモードスイッチ54、追焚きモードを設定する追焚きモードスイッチ55、差し湯モードを設定する差し湯モードスイッチ56、差し水モードを設定する差し水モードスイッチ57および洗浄モードを設定する洗浄モードスイッチ58が含まれる。
【0026】
ここで、前記作動モードは、浴槽1に湯または水を供給するモードである浴槽水供給モードと、浴槽1に浴槽水が存在することを前提とする作動モードである浴槽水存在モードとに分けることができる。前記浴槽水供給モードには、通常湯張りモード、高速湯張りモード、差し湯モードおよび差し水モードが含まれ、前記浴槽水存在モードには、追焚きモードが含まれる。
【0027】
表示部Cbには、操作者が操作部Caを通じて設定した各種の設定内容が表示され、該設定内容は設定信号として制御装置70に入力される。
報知装置59は、この実施形態では音声発生装置であり、各リモコンC1,C2の一部として各リモコンC1,C2に一体化されて設けられる。
【0028】
状態検出手段60は、各温度センサ61a〜61f,62〜64、流量センサ65,66、水位センサ67および水流センサ68から構成され、各センサ61a〜61f,62〜68による検出信号は、制御装置70に入力される。
水位センサ67は、第1下流給湯管34を通じて、第1下流給湯管34の水の圧力を検出することにより、浴槽1の浴槽水の水位を検出する。この水位センサ67は、浴槽水の水位が第1下流給湯管34の端部開口34e以上である(または、端部開口34e全体が浴槽水の液面下にある)場合には、水位を検出可能であるが、水位が端部開口34eよりも下方にある(または、端部開口34eの少なくとも一部が浴槽水の液面上にある)場合には、水位を検出することはできない。
そこで、水位センサ67が浴槽水の水位を検出可能な水位の下限を基準水位とする。この基準水位は、例えば、浴槽水がない(すなわち、浴槽1に残水がない)状態から、浴槽1に徐々に注水することにより水位を増加させる過程で、水位センサ67が最初に検出したときの水位である。
【0029】
それゆえ、水位センサ67は、浴槽1に残っている浴槽水を検出する残水センサである。そして、水位センサ67が浴槽水を検出したとき(すなわち、残水検出のとき)には、浴槽1に残水としての浴槽水が基準水位以上の残水量で存在し、一方、水位センサ67が水位を検出しないときには、すなわち残水を検出できない残水未検出状態のときには、浴槽1に基準水位未満の残水が有る、および、浴槽1の残水がない、のいずれかである。
【0030】
制御装置70は、入出力インターフェース、中央演算処理装置、各種の制御プログラムおよび各種のマップなどが記憶された記憶部78を備えるコンピュータから構成され、給湯ユニット10および浴槽1での水または湯の状態と、操作者による各リモコンC1,C2での操作により設定された設定内容に基づいて、ヒートポンプ12a、各混合栓20,21、電磁弁23、流量調節弁24およびポンプ40の動作を制御して、給湯ユニット10に該設定内容を実行させる。
【0031】
そのため、制御装置70は、ヒートポンプ12aを制御するヒートポンプ制御手段71と、給湯ユニット10により供給される湯の流量(以下、「給湯流量」という。)としての前記注湯流量を制御すべく電磁弁23を制御する給湯流量制御手段72と、浴槽1および給湯先2に供給される湯の温度を制御すべく各混合栓20,21を制御する給湯温度制御手段73と、追焚きモードでの浴槽水の循環を実行すべくポンプ40および流量調節弁24を制御する追焚き制御手段74と、洗浄モードでの自動洗浄を実行すべく各混合栓20,21、ポンプ40および流量調節弁24を制御する洗浄制御手段75と、残水判定手段76と、洗浄実行判定手段77と、を備える。
残水判定手段76は、高速湯張りモードが設定される以前(すなわち、高速湯張りモードが設定される直前での湯張りモードなどの判定用作動モードの実行による浴槽水が検出された後)に、基準水位未満の状態(すなわち浴槽水が検出されない残水未検出状態)にあるか否かを判定する。洗浄実行判定手段77は、設定部材Cにより洗浄モードが設定されたとき、洗浄モードに基づく追焚き用湯路である前記循環湯路の洗浄が実行されたか否かを判定する。
【0032】
制御装置70の前記マップには、浴槽1の浴槽水の水位と浴槽水の量(または、浴槽1の湯量)との関係を定める基準湯量データが記憶された基準湯量マップ78aが含まれる。この基準湯量マップ78aにより、制御装置70は、水位センサ67により検出された水位に基づいて、湯量設定部51により予め設定された設定湯量(すなわち、設定水位でもある。)までの必要注湯量を算出する。なお、基準湯量マップ78aは、給湯装置Hの設置時または初回の使用時に、浴槽1の形状に基づいて作成される。別の例として、前記基準湯量データは、関数やテーブルとして記憶部78に記憶されてもよい。
【0033】
残水判定手段76の残水判定結果および洗浄実行判定手段77の洗浄判定結果は、記憶部78の不揮発性メモリに記憶されると共に、常に最新の状態が記憶されるように書き換えられる。
なお、給湯装置Hの設置時または前記基準湯量データの設定時に、残水判定結果の初期内容としての残水未検出状態、および洗浄判定結果の初期内容としての洗浄実行済みが、記憶部78に記憶される。
【0034】
図3を中心に、図1,図2を参照しながら、残水判定手段76を構成する残水判定の手順について説明する。
この残水判定は、給湯ユニット10の前記作動モードのうちで、前記浴槽水供給モードまたは前記浴槽水存在モードである判定用作動モードが設定部材Cにより設定されたとき、常に開始される。
先ず、ステップS1で、給湯ユニット10が前記判定用作動モードで作動中かが判定され、給湯ユニット10が該判定用作動モードで作動中であるとき、判定用作動モードでの作動が終了するまでステップS1の判定が繰り返される。判定用作動モードでの作動が終了したとき、ステップS2に進む。ステップS2では、判定用作動モードが正常に終了したかが判定され、正常に終了したときは、ステップS3に進み、異常終了したときは、ステップS9に進んで設定部Cの表示部Cbに異常終了したことの表示をした後、残水判定を終了する。異常終了したときには、前回の判定用作動モードでの正常終了時の残水判定結果が記憶部78に記憶されたままになる。また、異常終了の例として、浴槽1の排水栓1b(図1参照)が閉められていないために、浴槽水が貯まらない場合がある。
【0035】
ここで、通常の使用態様では、判定用作動モードのうち、特に湯張りモード(すなわち、通常湯張りモードまたは高速湯張りモード)および追焚きモードが正常に終了したときは、水位センサ67により基準水位以上の水位が検出されることから、湯張りモードおよび追焚きモードが正常に終了したことを、水位センサ67により検出された水位が基準水位以上となったと見なすことができる。
【0036】
ステップS3では、水位が安定する時間として予め設定された水位安定待ち時間が経過したかが判定され、水位安定待ち時間(例えば、30秒)が経過したときには、ステップS4に進み、水位センサ67により検出される現在の水位が基準水位未満か否かが判定され、水位が基準水位以上であるとき、ステップS5に進む。ステップS5では、記憶部78に、残水判定結果が残水検出であることが記憶される。したがって、この段階では、残水判定結果が残水未検出状態であることは記憶されないことになる。
【0037】
例えば、排水栓1bが開放されて、浴槽水の水位が低下して、ステップS4で水位が基準水位未満であるとき、ステップS6に進んで、入浴者が浴槽1から出ることなどに起因して水位が一時的に基準水位未満になったことによる誤検出を排除するために、予め設定された水位監視時間(例えば、10秒)が経過したかが判定される。水位監視時間内では、ステップS4での判定が繰り返されることから、水位が基準水位未満であることが、複数回、検出される。
【0038】
水位監視時間が経過した後、ステップS7に進んで、給湯ユニット10の湯路内、特に循環湯路内に残っている湯が排出されるのに要する所定の排出待ち時間(例えば、2分)が経過したかが判定される。そして、排出待ち時間が経過した後、ステップS8に進んで、記憶部78で、ステップS5での残水検出が、残水未検出状態に書き換えられる。
排水待ち時間の間に、浴槽水の排水が行われて浴槽水の水位がさらに低下するので、浴槽水が追焚き部10cに流入することによる洗浄効果の低下が防止される。
【0039】
なお、水位安定待ち時間、水位監視時間、排水待ち時間は、それぞれ浴槽1の形状などに応じて適宜設定される。
また、ステップS2で判定用作動モードが正常に終了したと判定されたとき、洗浄実行判定手段77は、洗浄判定結果が未洗浄であるとして記憶部78に記憶する。これにより、設定された判定用作動モードでの作動が正常に終了した後に洗浄モードによる洗浄が実行されない場合、洗浄実行済みでない(すなわち、洗浄実行なし)という洗浄判定結果が記憶部78に記憶されることになる。
【0040】
以下、図4(a)を中心に、図1,図2を参照しながら、給湯装置Hの機能を、制御装置70により実行される処理の内容に中心に説明する。
<通常湯張り>
リモコンC1またはリモコンC2(以下、説明の便宜上、設定部材Cを構成するリモコンC1,C2のいずれかを単に「設定部材C」という。)により、通常湯張りモードが設定された場合、ステップS11で通常湯張りモードであると判定されて、ステップS12に進み、記憶部78から残水判定手段76による残水判定結果(図3参照)が読み込まれ、残水判定結果が残水未検出である(すなわち、残水の水位が基準水位未満である)とき、ステップS13に進み、残水判定結果が残水未検出でない(すなわち、残水検出であり、残水の水位が検出基準水位以上である)とき、ステップS17に進む。
ステップS13では、設定部材Cにより設定された設定湯温および水位検出用初期所定注湯量が読み込まれ、ステップS14において、浴槽用混合栓20および電磁弁23が制御されることにより、上流給湯管33および第1,第2下流給湯管34,35を通じて浴槽1に供給される。このとき、ポンプ40は、作動してもよいし、作動することなく空回りしてもよい。
ここで、水位検出用初期所定注湯量および後記水位検出用追加注湯量は、水位センサ67による水位の検出を可能とするために、予め決められた湯量であり、記憶部78に記憶されている。
【0041】
浴槽1への水位検出用初期所定注湯量の湯の供給が終了すると、ステップS15に進んで、水位センサ67により浴槽1の浴槽水の水位が検出されて、基準水位以上の水位であるかが判定され、基準水位未満であるとき、ステップS16で水位検出用追加注湯量が読み込まれて、ステップS14において前記設定湯温で該水位検出用追加注湯量の湯が浴槽1に供給され、ステップS14〜S16の処理が、水位センサ67により基準水位以上の水位が検出されるまで実行される。
【0042】
ステップS15で基準水位以上の水位が検出されると、ステップS17に進む。
ステップS17では、温度センサ62により浴槽水の温度および水位センサ67により浴槽水の水位がそれぞれ検出され、次いでステップS18に進んで、温度センサ62により検出された温度および前記設定湯温に基づいて注湯されるときの注湯湯温が算出され、さらに水位センサ67により検出された水位に基づいて基準湯量マップ78aが参照されて設定湯量(または設定水位)となるまでの必要注湯量が算出された後、ステップS19に進んで、それら算出結果に応じて混合栓20および電磁弁23が制御され、ステップS18で決定された必要注湯量および注湯湯温の湯が、上流給湯管33および第1,第2下流給湯管34,35を通じて供給される。
ここで、ステップS13〜S18までの必要注湯量・注湯湯温の算出処理は、制御装置70が実行する中間チェックを構成し、制御装置70は、この中間チェックの実行後に、給湯ユニット10に、浴槽1への必要注湯量および注湯湯温の湯の注湯を実行させる。
そして、注湯が終了すると(即ち、流量センサ65を用いて浴槽1に供給された湯の量をカウントし、予め設定された湯量に達すると)、電磁弁23が閉弁し、その後ステップS20に進んで、温度センサ62により検出された浴槽水の温度が設定湯温であるかが判定され、設定湯温でないときには、ステップS21に進んで追焚きまたは差し水が行われる。そして、ステップS20で温度センサ62により検出された温度が設定湯温になったとき、湯張りが終了する。
【0043】
<高速湯張り>
設定部材Cにより、高速湯張りモードが設定された場合、ステップS11で高速湯張りモードであると判定されて、ステップS22に進み、記憶部78から残水判定手段76による残水判定結果(図3参照)が読み込まれ、残水判定結果が基準水位未満である(すなわち、残水未検出である)とき、ステップS23に進む。ステップS23では、報知装置59により操作者に、浴槽1に基準水位未満の残水が存在する可能性があるため、設定湯量(または設定水位)での湯張りができない場合がある旨の警告の報知、例えば、浴槽水が浴槽から溢れる場合があることを意味する「残水が有ると溢れる場合があります」という警告の報知が、通常湯張りモードの設定直後にアナウンスされる。
【0044】
次いで、ステップS24に進んで、設定部材Cにより設定された設定湯温および規定注湯量が読み込まれた後、浴槽用混合栓20および電磁弁23が制御されて、ステップS19において、規定注湯量の湯が上流給湯管33および第1,第2下流給湯管34,35を通じて一気に浴槽1に供給される。そして、電磁弁23が閉弁して注湯が終了し、ステップS20に進み、必要に応じてステップS21での処理が行われた後、ステップS20で温度センサ62により検出された温度が設定湯温になったとき、湯張りが終了する。

ここで、規定注湯量は、水位センサ67による水位を検出することなく、浴槽1に残水がない状態から設定湯量(または設定水位になる湯量)にほぼ等しい湯量として予め設定された値であり、記憶部78に記憶されている。
このように、高速湯張りモードでは、通常湯張りモードにおける中間チェックが実行されることなく、規定注湯量の湯が一気に注湯されるので、通常湯張りモードよりも短時間で湯張りが終了する。
【0045】
一方、ステップS22において、基準水位以上の水位が検出されると、ステップS17,S18に進んで、必要注湯量・注湯湯温を決定する中間チェックが実行され、この中間チェックの実行後にステップS19に進む。該ステップS19において、混合栓20および電磁弁23が制御されて、上流給湯管33および第1,第2下流給湯管34,35を通じて注湯された後、電磁弁23が閉弁して注湯が終了し、ステップS20に進み、温度センサ62により検出された温度が設定湯温になったとき、湯張りが終了する。
このように、残水判定手段76による残水判定結果(図3参照)が残水未検出状態でない(すなわち、浴槽1に基準水位以上の残水が有り、残水検出である)とき、報知装置59による前記警告のアナウンスが行われることなく、通常湯張りモードが実行される。
【0046】
<追焚き>
図1を参照すると、設定部材Cにより、追焚きモードが設定された場合、設定部材Cにより設定された設定湯温が読み込まれ、流量調節弁24が第2下流給湯管35の中流管35bと上流接続管45とを連通させると共に中流管35bと下流管35cとの連通を遮断または連通させ、ポンプ40が作動する。そして、浴槽1から第1下流給湯管34を通じて吸入された浴槽水が、中流管35bおよび上流接続管45を通じて熱交換器43で加熱された後、下流接続管46および第2下流給湯管35を通じて浴槽1に戻る。このとき、温度センサ63の温度に応じて、流量調節弁24が中流管35bと下流管35cとを連通させて、熱交換器43で加熱される前の浴槽水と、加熱後の浴槽水との混合割合を変更して、浴槽1に戻る湯の温度が調節され得るので、熱すぎる湯が浴槽1に戻ることを防止できる。
【0047】
<自動洗浄>
図1を参照すると、設定部材Cにより洗浄モードが設定され、かつ残水判定手段76(図2参照)の残水判定結果が残水未検出である場合(図3参照)、浴槽用混合栓20は、出湯管22と第1給湯管31との連通を遮断すると共に第2下流給水管13cと第1給湯管31とを連通させ、給湯用混合栓21は、第2下流給水管13cと出湯管22および第2給湯管32との連通を遮断し、電磁弁23は全開とされ、流量調節弁24が中流管35bと上流接続管45とを連通させると共に中流管35bと下流管35cとの連通を遮断し、ポンプ40が作動する。
【0048】
このため、給水源3からの水が、洗浄水として、上流給水管13a、第2下流給水管13c、上流給湯管33、第1,第2下流給湯管34,35、上流接続管45、熱交換器43および下流接続管46により形成される洗浄水路を流れて、それら管33〜35,45,46および熱交換器43により形成される湯路を洗浄する自動洗浄モードが実行される。
なお、別の例として、流量調節弁24は、中流管35bと上流接続管45とを連通させると共に、中流管35bと下流管35cとを連通させて、上流接続管45に比べて小さい流量の水を下流管35cに流すようにして、流量調節弁24と接続部38との間の下流管35cの部分を洗浄してもよい。
【0049】
洗浄モードによる自動洗浄は、流量センサ65で検出される流量が予め設定された所定洗浄水量に達したとき、または予め設定された洗浄時間が経過したときに終了する。このとき、洗浄実行判定手段77(図2参照)により洗浄判定結果が洗浄実行済みとされて、記憶部78に記憶される。
そして、水位センサ67により検出された水位が基準水位未満となる条件で洗浄モードが実行されて、洗浄実行判定手段77による洗浄判定結果が洗浄実行済みであるときは、浴槽1に残水がないか、または基準水位未満の残水が存在することと同義である。また、設定部材Cにより洗浄モードが設定されず、洗浄実行判定手段77による洗浄判定結果が洗浄実行なしであるときは、浴槽1に基準水位以上の残水が存在することと同義である。
【0050】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
給湯ユニット10および報知装置59を制御する制御装置70と、浴槽1に残っている浴槽水を検出する残水センサとしての水位センサ67とを備える給湯装置Hにおいて、制御装置70は、通常湯張りモードにおいて、浴槽水の水位が予め設定された設定水位になるように浴槽1に供給される湯の必要注湯量を水位センサ67により検出された水位に基づいて決定する中間チェックの実行後に、給湯ユニット10に必要注湯量の注湯を行わせると共に、高速湯張りモードにおいて、前記中間チェックを実行することなく給湯ユニット10に予め設定された規定注湯量の注湯を行わせ、さらに、制御装置70は、設定部材Cにより高速湯張りモードが設定された場合、記憶部78に記憶された残水判定結果が残水未検出状態である(すなわち、水位が基準水位未満である)とき、報知装置59に前記警告の報知を行わせた後に給湯ユニット10に高速湯張りモードを実行させ、記憶部78に記憶された残水判定結果が残水未検出状態でないとき、報知装置59に前記警告の報知を行わせることなく水位センサ67により水位を検出した後に給湯ユニット10に通常湯張りモードを実行させる。
この構造により、残水判定手段76による残水判定結果が残水未検出であるため、浴槽1には水位センサ67により検出できない残水が存在する可能性がある。このため、操作者が操作する設定部材Cにより高速湯張りモードが設定された場合において、制御装置70は、操作者に対して、報知装置59により、前記警告の報知をアナウンスする。この際、制御装置70は予め記憶部78に記憶された残水判定手段76の残水判定結果に基づいて報知を行うので、該報知は、高速湯張りモードの設定後に直ちに行われることになるため、操作者が該報知を聞き逃すことがなく、高速湯張りモード設定時の残水量の不確実性に起因する浴槽水の溢流の可能性を低減でき、しかも高速湯張りモードが設定された後に水位センサ67により残水の検出をする時間を必要としないので、高速湯張りモードによる湯張り時間の短縮が損なわれることがない。
また、残水判定結果が残水未検出状態でないとき(すなわち、残水検出のとき)には、報知装置59による報知が行われることなく、高速湯張りモードでの湯張りが行われることから、残水判定結果が残水未検出状態であるときにのみ、前記警告の報知が行われるので、操作者に不快感や煩わしい感じを与えることが少なくなる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、給湯装置Hにおいて、設定部材Cにより高速湯張りモードが設定された場合、浴槽1に水位センサ67では検出できない残水が存在する可能性があるときにのみ、設定部材Cの操作者に対して、高速湯張りモードの設定直後に前記警告の報知をすることにより、高速湯張りモード設定時の残水量の不確実性に起因する浴槽水の溢流の可能性を低減し、以て湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることができる。
【0052】
設定部材Cにより給湯ユニット10の湯路である追焚き用循環湯路の洗浄を行う洗浄モードが設定可能であり、制御装置70は、設定部材Cにより洗浄モードが設定され、かつ記憶部78に記憶された残水判定結果が残水未検出状態であるとき、給湯ユニット10に湯路の洗浄を実行させることにより、残水判定手段76の残水判定結果を、報知装置59による前記警告の報知の実行条件および洗浄モードによる循環湯路の自動洗浄の開始条件として共用できるので、残水判定手段76を備える給湯装置Hに洗浄モードを簡単に組み込むことができる。
また、報知装置59は、音声ガイドを行う音声発生装置から構成されることにより、残水確認の報知が音声でなされるので、報知の内容を操作者に確実に伝達できる。
【0053】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
図4(b)に示されるように、設定部材C(図2参照)により高速湯張りモードが設定された場合、ステップS11(図4(a)参照)で高速湯張りモードであると判定された後、図4(a)でのステップS22の代わりとなるステップS22aに進んで、洗浄実行判定手段77による洗浄判定結果が記憶部78(図2参照)から読み込まれ、該洗浄判定結果が洗浄モードによる洗浄実行済みであるとき、ステップS23でのアナウンスが行われた後、ステップS24に進むようにしてもよい。そして、ステップS22aでの洗浄判定結果が洗浄実行なしであるとき、すなわち、直前の湯張りモードなどの前記判定用作動モードの実行後に、洗浄モードによる洗浄が行われなかったとき、浴槽1には基準水位以上の残水が有る(すなわち、「残水検出」である。)ことから、ステップS17に進む。
このように、給湯装置Hにおいて、水位センサ67により検出された水位が基準水位未満のときに給湯ユニット10の追焚き用循環湯路の洗浄を行う洗浄モードが、設定部材Cにより設定可能であり、制御装置70は、設定部材Cにより高速湯張りモードが設定された場合、記憶部78に記憶された残水判定結果が洗浄実行済みであるとき、報知装置59に前記警告の報知を行わせた後に給湯ユニット10に高速湯張りモードを実行させ、記憶部78に記憶された洗浄判定結果が洗浄実行済みでないとき、報知装置59に前記警告の報知を行わせることなく給湯ユニット10に通常湯張りモードを実行させる。
この構造により、洗浄モードによる循環湯路の自動洗浄が実行された場合、洗浄実行判定手段77による洗浄判定結果が洗浄実行済みであるため、浴槽1には基準水位未満の残水が存在する可能性がある。このため、設定部材Cにより高速湯張りモードが設定された場合において、制御装置70が、報知装置59により前記警告の報知を行う際、制御装置70は予め記憶部78に記憶された洗浄判定結果に基づいて報知を行うので、該報知は、高速湯張りモードの設定後に直ちに行われることから、操作部材Cの操作者が該報知を聞き逃すことがなく、高速湯張りモード設定時の残水量の不確実性に起因する浴槽水の溢流の可能性を低減でき、しかも高速湯張りモードが設定された後に残水を検出するための時間を必要としないので、高速湯張りモードによる湯張り時間の短縮化が損なわれることがない。
また、洗浄判定結果が洗浄実行済みでないとき(すなわち、残水検出のとき)には、報知装置59による前記警告の報知が行われることなく、通常湯張りモードでの湯張りが行われることから、洗浄判定結果が洗浄実行済みであるときにのみ、前記警告の報知が行われるので、操作者に不快感や煩わしい感じを与えることが少なくなる。
これらの結果、洗浄モードでの洗浄実行の有無を利用することにより、洗浄湯張り時間を短縮する高速湯張りモードの利便性を高めることができる。
【0054】
また、図4(a)に示される湯張りモードでの制御手順において、ステップS23での音声でのアナウンスの後に、高速湯張りモードの設定が再度されたかを判定する設定確認判定手段を構成するステップが設けられ、操作者により高速湯張りモードの設定が再度されたときにはステップS24に進み、高速湯張りモードの再度の設定がなされないときには、所定の確認待ち時間(例えば、1分)が経過した後、ステップS24に進むように構成されてもよい。なお、この確認待ち時間は、残水が有る場合に排水されて残水がほぼない状態になる時間として、適宜設定される。
【0055】
水が加熱源で加熱されることで湯が生成される湯源は熱交換器であってもよい。給湯用加熱源は、ヒートポンプ装置以外の熱源、例えば電気ヒータまたはバーナであってもよく、同様に、追焚き用加熱源は、貯湯タンク11以外の熱源、例えば電気ヒータまたはバーナであってもよい。
水位センサ67は、浴槽1の浴槽水の水位を直接検出するものでもよい。
残水センサは、水流センサ68により構成されてもよい。
給湯流量には、浴槽1に対する注湯流量のほかに、浴槽1以外の給湯先に対する湯の流量が含まれていてもよい。
報知装置59による報知は、音声以外に、警告音または表示による報知であってもよく、さらに音声、警告音および表示の少なくとも2以上の組み合わせによる報知であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 浴槽
10 給湯ユニット
20,21 混合栓
23 電磁弁
24 流量調節弁
62〜64 温度センサ
65,66 流量センサ
67 水位センサ
70 制御装置
76 残水判定手段
77 洗浄実行判定手段
H 給湯装置
C 設定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に湯を供給する給湯ユニットと、前記浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位センサと、通常湯張りモードおよび高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な設定部材と、前記設定部材を操作する操作者に報知を行う報知装置と、前記給湯ユニットおよび前記報知装置を制御する制御装置とを備える給湯装置において、
前記水位センサにより検出された水位が基準水位未満のときに前記給湯ユニットの湯路の洗浄を行う洗浄モードが、前記設定部材により設定可能であり、
前記制御装置は、前記洗浄モードに基づく前記湯路の洗浄が実行済みか否かを判定する洗浄実行判定手段と、前記洗浄実行判定手段の洗浄判定結果を記憶する記憶部とを備え、
前記設定部材により前記高速湯張りモードが設定された場合、前記記憶部に記憶された前記洗浄判定結果が洗浄実行済みであるとき、前記報知装置に警告の報知を行わせた後に前記給湯ユニットに前記高速湯張りモードを実行させ、前記記憶部に記憶された前記洗浄判定結果が前記洗浄実行済みでないとき、前記報知装置に前記警告の報知を行わせることなく前記給湯ユニットに前記通常湯張りモードを実行させることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
浴槽に湯を供給する給湯ユニットと、前記浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位センサと、通常湯張りモードおよび高速湯張りモードをそれぞれ設定可能な設定部材と、前記設定部材を操作する操作者に報知を行う報知装置と、前記給湯ユニットおよび前記報知装置を制御する制御装置とを備える給湯装置において、
前記浴槽に残っている前記浴槽水を検出する残水センサを備え、
前記制御装置は、前記残水センサにより前記浴槽水が検出されない残水未検出状態にあるか否かを判定する残水判定手段と、前記残水判定手段の残水判定結果を記憶する記憶部とを備え、前記設定部材により前記高速湯張りモードが設定された場合、前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態であるとき、前記報知装置に警告の報知を行わせた後に前記給湯ユニットに前記高速湯張りモードを実行させ、前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態でないとき、前記報知装置に前記警告の報知を行わせることなく前記給湯ユニットに前記通常湯張りモードを実行させることを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項2記載の給湯装置において、
前記設定部材により前記給湯ユニットの湯路の洗浄を行う洗浄モードが設定可能であり、
前記制御装置は、前記設定部材により前記洗浄モードが設定され、かつ前記記憶部に記憶された前記残水判定結果が前記残水未検出状態であるとき、前記給湯ユニットに前記湯路の洗浄を実行させることを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の給湯装置において、
前記報知装置は、音声ガイドを行う音声発生装置であることを特徴とする給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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