説明

耐震補強構造

【課題】一方の構造物の桁行き方向の延長線が、他方の構造物の桁行き方向の外壁と交差しない構造物の耐震補強構造を提供する。
【解決手段】耐震補強構造10は、桁行き方向と直交する梁間方向の壁体で区画され、桁行き方向で交差しないように配置された複数の板状住宅12、13と、板状住宅12、13の間に板状住宅12、13とは独立して構築された外フレーム16、17と、外フレーム16、17と板状住宅12、13とを連結する連結部材と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば集合住宅等に多く見られる、構造物の梁間方向の長さに比べて直交する桁行き方向が長い建物の耐震補強は、梁間方向の強度は耐震壁である間仕切り壁で確保されているため、桁行き方向に外郭から補強を施す方法が広く採用されている。その際、住宅として必要な開口面積を確保し、且つ、地震時にねじれ等の不具合が生じにくい補強方法が求められている。
【0003】
このため、隣接する既存構造物同士を互いに連結することにより、必要な開口面積を確保し、且つ、補強部材を減らすことができる補強方法が提案されている(特許文献1)。
即ち、特許文献1によれば、隣接する2棟以上の既存構造物が互いに分離された形で配置されている。このとき、一方の構造物の桁行き方向の延長線が、他方の構造物の桁行き方向の外壁と交差する位置に配置されている。この構成において、互いに交差する既存構造物同士を、延長線方向に設けた連結部材で連結する。
これにより、一方の既存構造物の耐力や剛性の小さい構面の耐震性能を、他方の既存構造物の耐力や剛性の大きい面で補うことができる。この結果、既存構造物に対して格別な耐震補強架構を付加しなくても、複数の既存構造物の耐震性を向上させることができる。このとき、必要な開口面積も確保される。
【0004】
しかし、特許文献1は、一方の構造物の桁行き方向の延長線が、他方の構造物の桁行き方向の外壁と交差しない構造物には適用できない。
【特許文献1】特許第2988470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実に鑑み、一方の構造物の桁行き方向の延長線が、他方の構造物の桁行き方向の外壁と交差しない構造物の耐震補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る耐震補強構造は、桁行き方向と直交する梁間方向の間仕切り壁で区画され、桁行き方向で交差しないように配置された複数の板状住宅と、前記板状住宅の間に前記板状住宅とは独立して構築された外フレームと、前記外フレームと前記板状住宅とを連結する連結部材と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の板状住宅が桁行き方向で交差しないように配置されている。この板状住宅は、間仕切り壁により桁行き方向が区画されている。また、板状住宅同士の間には、外フレームが板状住宅とは独立して構築され、連結部材により、外フレームと板状住宅が連結されている。
【0008】
この構成とすることにより、複数の板状住宅が、独立して構築された外フレームを介して、連結部材で連結される。即ち、複数の板状住宅を外フレームで一体化させることで、地震時のねじれ等の不具合の発生を抑制できる。
また、外フレームが構築された側と反対側の外壁には補強部材は配置されず、板状住宅における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
即ち、一方の板状住宅の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅を耐震補強することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の耐震補強構造において、前記外フレームは、柱梁で構築され前記板状住宅と対面配置された架構と、前記架構同士をつなぐ水平架構と、を有していることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、柱梁で構築された架構が板状住宅と対面配置され、連結部材で連結されている。また、水平架構により架構同士がつながれている。
これにより、対面配置された架構で、複数の板状住宅がそれぞれ耐震補強される。また、水平架構により架構同士が連結され、複数の板状住宅が架構と水平架構を介して一体化される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の耐震補強構造において、前記板状住宅が対面配置されていることを特徴としている。
これにより、対面配置された板状住宅を外フレームと連結部材で耐震補強できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記構成としてあるので、一方の構造物の桁行き方向の延長線が、他方の構造物の桁行き方向の外壁と交差しない構造物の耐震補強構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す斜視図、部分側面図、及び部分平面である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る耐震補強構造の基準階における基本構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る耐震補強構造の基本構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
図1の斜視図、図2の平面図に示すように、第1の実施の形態に係る耐震補強構造10は、耐震補強される板状住宅12、13を有している。
板状住宅12、13は、所定の距離Dを空けて対面配置された既築住宅である。板状住宅12、13は、2棟共、梁間方向(Y軸方向)の長さに比べて桁行き方向(X軸方向)の長さが長い建物であり、高さ方向(Z軸方向)には複数階が構築されている。
【0015】
板状住宅12、13は、2棟が同等の大きさとされ、一方の板状住宅の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅の桁行き方向の外壁と交差しない構成とされている。板状住宅12、13の互いに対面する側壁には、廊下22、23が各階毎に設けられている。また、板状住宅12、13のX軸方向のほぼ中央部には、廊下22、23をつなぐ通路25が設けられている。通路25はエレベータホールとされ、通路25を挟んで、2台のエレベータ24が配置されている。
【0016】
板状住宅12、13の内部には、住戸を区画する間仕切り壁(耐震壁)14、15が梁間方向に設けられている。間仕切り壁14、15は、廊下22、23側の外壁と、廊下22、23と反対側(採光窓側)の外壁との間に直状に配置され、間仕切り壁14、15で各住戸がほぼ同一面積に区画されている。即ち、板状住宅12は、住戸12A〜12Oを有し、板状住宅13は、住戸13A〜13Oを有している。各住戸は、廊下22、23側が出入口とされ、廊下22、23と反対側が採光用の開口部とされている。
【0017】
板状住宅12と板状住宅13との間には、補強フレーム16、17が設けられている。補強フレーム16、17は、鋼材製とされ板状住宅12、13とは独立した構造体とされている。補強フレーム16、17は通路25を挟んで両側に配置されている。なお、補強フレーム16、17は、通路25が板状住宅12、13の桁行き方向の中心から若干離れた位置に設けられているため、桁行き方向の長さが異なっている。
補強フレーム16、17は、基本的に同じ構成であり、補強フレーム16を中心に以下説明する。
【0018】
補強フレーム16は、板状住宅12、13の側壁に対面して鉛直方向に配置された鉛直フレーム19A、19Bを有し、補強フレーム17は、板状住宅12、13の側壁に対面して鉛直方向に配置された鉛直フレーム21A、21Bを有している。
鉛直フレーム19Aは、住戸12J〜12Nの間に設けられ、鉛直フレーム19Bは、住戸13J〜13Nの間に設けられている。また、鉛直フレーム21Aは、住戸12B〜12Eの間に設けられ、鉛直フレーム21Bは、住戸13B〜13Eの間に設けられている。鉛直フレーム19A、19B、21A、21Bは、いずれも板状住宅12、13の外へは突き出ていない。
【0019】
図1(B)の一部側面図に示すように、鉛直フレーム19Aは、柱梁で平面状に形成され柱26の間に梁28が架け渡されている。柱26の間隔は区画壁14の間隔と一致させて設けられ、梁28の間隔は、板状住宅12、13の階高に一致させて配置されている。梁28と上階の梁28との間には、筋交い30が斜めに固定されている。
【0020】
図2、及び図3の斜視図に示すように、鉛直フレーム19Aは、板状住宅12に沿って、最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム19Aは、板状住宅12の廊下22の下側において、連結用の鋼材18で板状住宅12と連結されている。
鋼材18は、柱26と梁28の接合部に固定され、板状住宅12へ向けて突出されている。鋼材18は、板状住宅12の廊下22の下方から下面と当接され、先端は板状住宅12の側壁に接合されている。
鉛直フレーム19B、21A、21Bと板状住宅12、13との接合構造も、鉛直フレーム19Aと同じであり、説明は省略する。
【0021】
鉛直フレーム19Aと鉛直フレーム19Bの間には、水平方向に水平フレーム20が配置されている。水平フレーム20は、住戸12Nと住戸13Nの間に、住戸12Nと住戸13Nの間仕切り壁14、15の幅で設けられている。
鉛直フレーム21Aと鉛直フレーム21Bの間においても、水平フレーム20が、住戸12Bと住戸13Bの間に、住戸12Bと住戸13Bの間仕切り壁14、15の幅で設けられている。
【0022】
図1(C)の部分平面図に示すように、水平フレーム20は、柱26の間に架け渡されたX軸方向の梁28Xと、Y軸方向の梁28Yを有し、梁28Xと梁28Yで囲まれた内部には、X軸方向の補強材32XとY軸方向の補強材32Y、及び柱26の間を斜めに結ぶ筋交い34が設けられている。
水平フレーム20は、板状住宅12、13の高さ方向(Z軸方向)の各階毎に配置されている。水平フレーム20により、鉛直フレーム19Aと19B、及び鉛直フレーム21Aと21Bが、それぞれY軸方向に連結される。
【0023】
また、図4に示すように、例えば5の倍数階を基準階とした場合においては、5階ごとの基準階に、躯体接合フレーム36、37が配置されている。
躯体接合フレーム36は、鉛直フレーム19Aと鉛直フレーム19Bを水平方向に連結する連結部材42と、鉛直フレーム19Aを板状住宅12に取り付ける躯体取付部38Aと、鉛直フレーム19Bを板状住宅13に取り付ける躯体取付部38Bとを有している。
躯体接合フレーム37は、鉛直フレーム17Aと鉛直フレーム17Bを水平方向に連結する連結部材43と、鉛直フレーム17Aを板状住宅12に取り付ける躯体取付部39Aと、鉛直フレーム17Bを板状住宅13に取り付ける躯体取付部39Bとを有している。
【0024】
連結部材42は、柱26の間にY軸方向に架け渡す梁28Yと、柱26から斜めの位置にある柱26に架け渡された筋交い34を有している。梁28Yは、区画壁14、15の数より少なく、例えば、住戸12Jと12Kの間、住戸12Mと12Nの間は、1つ飛びに設けることができる。この梁28Yの欠けている部分には、筋交い34が設けられる。
これにより、鉛直フレーム19A、19Bを、全幅に渡り、連結部材42で連結することができる。
【0025】
躯体取付け部38A、38Bは、板状住宅12、13の廊下22、23の下側から下面に配置され、側壁と平行なX軸方向に配置された横材40Xと、側壁と直交するY軸方向に配置された横材40Yと、梁28Xと横材40の間で斜めに配置された筋交い35とを有している。
【0026】
板状住宅12、13の側壁に横材40Xを接合することで、鉛直フレーム19A、19Bを板状住宅12、13に接合することができる。これにより、板状住宅12、13と補強フレーム16を一体化することができる。
躯体接合フレーム37についても、同様に、躯体取付け部39A、39Bを利用して鉛直フレーム21A、21Bを板状住宅12、13に接合することができる。これにより、板状住宅12、13と補強フレーム17を一体化することができる。
【0027】
なお、補強フレーム16、17は、2分割された構成で説明したが、板状住宅12、13が中央部の通路25を有さない構造の場合には、2分割は不要である。また、通路25が板状住宅12、13のX軸方向の中心に設けられている場合には、補強フレーム16、17のX軸方向の長さは等しくなる。
【0028】
また、補強フレーム16、17は、平面状に構築された鉛直フレーム19A、19Bを有し、鉛直フレーム19A、19Bと板状住宅12、13を一体化する構成で説明したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、鉛直フレーム19A、16Bを立体的に形成した立体架構で構築してもよい。
【0029】
以上、説明したように、本実施の形態とすることにより、板状住宅12、13が、独立して構築された補強フレーム16、17で一体化され、耐震補強される。このとき、板状住宅12、13が均等に補強されるため、補強フレーム16、17による地震時のねじれ等の、不具合の発生を抑制される。
【0030】
また、補強フレーム16、17が構築された側と反対側の外壁には、補強部材は配置されず、板状住宅12、13における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
この結果、一方の板状住宅12の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅13の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅12、13を補強することができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
図5の平面図に示すように、第2の実施の形態に係る耐震補強構造50は、耐震補強される板状住宅12、13を有している。
板状住宅12、13の桁行き方向のほぼ中央部には、廊下22、23をつなぐ通路25が設けられている。通路25はエレベータホールとされ、通路25を挟んで、2台のエレベータ24が配置されている。
【0032】
板状住宅12、13の間には、補強フレーム52、53が設けられている。補強フレーム52、53は、板状住宅12、13とは独立した構造体とされ、通路25を挟み、通路25の両側に配置されている。
板状住宅12、13は、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成であり、説明は省略する。第1の実施の形態と相違する補強フレーム52、53を中心に、以下説明する。
【0033】
補強フレーム52は、鉛直方向に配置された鉛直フレーム51A、51Bを有している。鉛直フレーム51A、51Bは、板状住宅12、13の側壁に一部が対面している。また、補強フレーム53は、鉛直方向に配置された鉛直フレーム55A、55Bを有している。鉛直フレーム55A、55Bは、板状住宅12、13の側壁に一部が対面している。
【0034】
鉛直フレーム51Aは、間仕切り壁14の3区画分の幅で形成され、1区画分が住戸12Oと対面し、残りが板状住宅12から突出して設けられている。鉛直フレーム51Bは、区画壁15の3区画分の幅で形成され、1区画分が住戸13Oと対面し、残りが板状住宅13から突出して設けられている。
また、鉛直フレーム55Aは、間仕切り壁14の3区画分の幅で形成され、1区画分が住戸12Aと対面し、残りが板状住宅12から突出して設けられている。鉛直フレーム55Bは、間仕切り壁15の3区画分の幅で形成され、1区画分が住戸13Aと対面し、残りが板状住宅13から突出して設けられている。
【0035】
鉛直フレーム51A、51Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされている。
鉛直フレーム51A、51Bの間には、水平方向に水平フレーム54が配置されている。水平フレーム54は、第1の実施の形態で説明した水平フレーム20と同じ構成とされ、平面視において、鉛直フレーム51A、51Bの間の全幅に渡り配置されている。即ち、3区画分の幅に、水平フレーム54が3個取り付けられている。
【0036】
また、躯体取付け部56Aが、住戸12L〜12Oの間に配置され、躯体取付け部56Bが、住戸13L〜13Oの間に配置されている。躯体取付け部56A、56Bは、第1の実施の形態で説明した躯体取付け部38A、38Bと同じ構成である。
同様に、躯体取付け部57Aが、住戸12A〜12Cの間に配置され、躯体取付け部57Bが、住戸13A〜13Cの間に配置されている。躯体取付け部57A、57Bは、第1の実施の形態で説明した躯体取付け部39A、39Bと同じ構成である。
【0037】
即ち、躯体取付け部56A、56B、57A、57Bは、板状住宅12、13の廊下22、23の下面に配置され、側壁と平行なX軸方向に配置された横材40Xと、側壁と直交するY軸方向に配置された横材40Yと、梁28Xと横材40の間で斜めに配置された筋交い35とを有している。
【0038】
これにより、板状住宅12、13と補強フレーム52、53を一体化することができる。なお、補強フレーム52、53には、第1の実施の形態で説明した連結フレーム42は設けられていない。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0039】
以上、説明したように、本実施の形態とすることにより、板状住宅12、13が、独立して構築された補強フレーム52、53で一体化され、耐震補強される。このとき、板状住宅12、13が均等に補強されるため、補強フレーム52、53による地震時のねじれ等の、不具合の発生を抑制される。
【0040】
また、補強フレーム52、53が構築された側、及び補強フレーム52、53が構築された側と反対側の外壁には、開口部を塞ぐ補強部材は配置されず、板状住宅12、13における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
この結果、一方の板状住宅12の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅13の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅12、13を補強することができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
図6の平面図に示すように、第3の実施の形態に係る耐震補強構造60は、耐震補強される板状住宅12、13を有している。
板状住宅12、13の桁行き方向のほぼ中央部には、廊下22、23をつなぐ通路25が設けられている。通路25はエレベータホールとされ、通路25を挟んで、2台のエレベータ24が配置されている。
【0042】
板状住宅12、13の間には、補強フレーム62、63が設けられている。補強フレーム62、63は、板状住宅12、13とは独立した構造体とされ、通路25を挟み、通路25の両側に配置されている。
板状住宅12、13は、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成であり、説明は省略する。第1の実施の形態と相違する補強フレーム62、63を中心に、以下説明する。
【0043】
補強フレーム62は、第1の実施の形態で説明した基準階に、第1の実施の形態で説明した躯体接合フレーム36を取り付けた構成である。躯体接合フレーム62は、住戸12J〜12Nの間に設けられている。躯体接合フレーム36の説明は省略する。
補強フレーム62には、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、19Bは設けられていない。これにより、廊下側においても、開口面積が広く確保される。
【0044】
補強フレーム63は、第1の実施の形態で説明した柱梁で平面状に形成され鉛直方向に配置された鉛直フレーム61A、61Bを有している。
鉛直フレーム61A、61Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされ、住戸12B〜12Eの間に設けられている。
【0045】
鉛直フレーム61Aは、板状住宅12に沿って、最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム61Aは、板状住宅12の廊下22の下面において、連結用の鋼材18で板状住宅12と連結されている。
また、鉛直フレーム61Bは、板状住宅13に沿って、板状住宅13の最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム61Bは、板状住宅13の廊下23の下面において、連結部材18で板状住宅13と連結されている。
【0046】
鉛直フレーム61Aと鉛直フレーム61Bの端部には、水平方向に水平フレーム64が配置されている。水平フレーム64は、区画壁14の2区画分で形成され、1区画分は住戸12Aと住戸13Aの間に設けられ、残りの1区画分は、板状住宅12、13から、X軸方向へ突出して設けられている。
水平フレーム64により、鉛直フレーム61Aと鉛直フレーム61Bが、板状住宅12、13の端部で連結されている。
【0047】
また、鉛直フレーム61Aは、躯体取付け部66Aで板状住宅12に取り付けられ、鉛直フレーム61Bは、躯体取付け部66Bで板状住宅12に取り付けられている。
躯体取付け部66A、66Bは、第1の実施の形態で説明した躯体取付け部38A、38Bと同じ構成である。
【0048】
即ち、躯体取付け部66A、66Bは、板状住宅12、13の廊下22、23の下面に下側配置され、側壁と平行なX軸方向に配置された横材40Xと、側壁と直交するY軸方向に配置された横材40Yと、梁28Xと横材40の間で斜めに配置された筋交い35とを有している。
これにより、板状住宅12、13と補強フレーム16を一体化することができる。なお、補強フレーム63には、第1の実施の形態で説明した連結フレーム42は設けられていない。
【0049】
以上、説明したように、本実施の形態とすることにより、板状住宅12、13が、独立して構築された補強フレーム62、63で一体化され、耐震補強される。このとき、板状住宅12、13が均等に補強されるため、補強フレーム62、63による地震時のねじれ等の、不具合の発生を抑制される。
【0050】
また、補強フレーム62、63が構築された側と反対側の外壁には、補強部材は配置されず、板状住宅12、13における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
この結果、一方の板状住宅12の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅13の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅12、13を補強することができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0051】
(第4の実施の形態)
図7の平面図に示すように、第4の実施の形態に係る耐震補強構造70は、耐震補強される板状住宅12、13を有している。
板状住宅12、13の桁行き方向のほぼ中央部には、廊下22、23をつなぐ通路25が設けられている。通路25はエレベータホールとされ、通路25を挟んで、2台のエレベータ24が配置されている。
【0052】
板状住宅12、13の間には、補強フレーム72、73が設けられている。補強フレーム72、73は、板状住宅12、13とは独立した構造体とされ、通路25を挟み、通路25の両側に配置されている。
板状住宅12、13は、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成であり、説明は省略する。第1の実施の形態と相違する補強フレーム72、73を中心に、以下説明する。
【0053】
補強フレーム72は、柱梁で平面状に形成され鉛直方向に配置された鉛直フレーム76A、76Bを有している。
鉛直フレーム76A、76Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされ、住戸12J〜12Mの間に設けられている。鉛直フレーム76A、76Bは、区画壁14と同じ間隔で設けられた柱26の間に、梁28が架け渡されている。梁28は、板状住宅12、13の階高と同じ高さで配置されている。梁28と上階の梁28との間には、筋交い30が斜めに固定されている。
【0054】
補強フレーム72は、第1の実施の形態で説明した基準階に、第1の実施の形態で説明した躯体接合フレーム36は設けられていない。これにより、基準階においても、廊下側の開口面積が確保される。
鉛直フレーム76Aは、躯体取付け部78Aで板状住宅12に取り付けられ、鉛直フレーム76Bは、躯体取付け部78Bで板状住宅13に取り付けられている。
鉛直フレーム76Aと76Bの間には、水平フレーム20は設けられていない。
【0055】
補強フレーム73は、第1の実施の形態で説明した柱梁で平面状に形成され鉛直方向に配置された鉛直フレーム77A、77Bを有している。
鉛直フレーム77A、77Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされ、住戸12C〜12Eの間に設けられている。
【0056】
鉛直フレーム76Aは、板状住宅12に沿って、最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム76Aは、板状住宅12の廊下22の下面において、連結用の鋼材18で板状住宅12と連結されている。
また、鉛直フレーム76Bは、板状住宅13に沿って、板状住宅13の最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム76Bは、板状住宅13の廊下23の下面において、連結部材18で板状住宅13と連結されている。
【0057】
鉛直フレーム76A、76Bの間には、水平方向に水平フレーム64は配置されていない。
補強フレーム72、73は、水平フレーム64の代わりに板状住宅12、13の補強フレーム63のX軸方向の建物の外側(通路25から遠い側)にスラブ74を設けている。スラブ74は、板状住宅12、13の高さ方向(Z軸方向)の各階毎に配置されている。スラブ74により、板状住宅12、13がY軸方向に補強される。
また、通路25も、スラブ構造とすることができる。
【0058】
本実施の形態では、スラブ構造とすることによる接合強度の向上が見込まれるため、第1の実施の形態で説明した基準階での補強は用いられていない。
これにより、板状住宅12、13と補強フレーム16を一体化することができる。なお、補強フレーム52には、連結フレーム42は設けられていない。
【0059】
板状住宅12、13の側壁に横材40Xを接合することで、板状住宅12、13と補強フレーム72一体化することができる。
躯体接合フレーム73についても、同様に、躯体取付け部78A、78Bを利用して板状住宅12、13の側壁に横材40Xを接合することで、板状住宅12、13と補強フレーム53を一体化することができる。
【0060】
以上、説明したように、本実施の形態とすることにより、板状住宅12、13が、独立して構築された補強フレーム52、53で一体化され、耐震補強される。このとき、板状住宅12、13が均等に補強されるため、補強フレーム52、53による地震時のねじれ等の、不具合の発生を抑制される。
【0061】
また、補強フレーム72、73が構築された側と反対側の外壁には、補強部材は配置されず、板状住宅12、13における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
この結果、一方の板状住宅12の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅13の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅12、13を補強することができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0062】
(第5の実施の形態)
図8の平面図に示すように、第5の実施の形態に係る耐震補強構造80は、耐震補強される板状住宅12、13を有している。
板状住宅12、13の桁行き方向のほぼ中央部には、廊下22、23をつなぐ通路25が設けられている。通路25はエレベータホールとされ、通路25を挟んで、2台のエレベータ24が配置されている。
【0063】
板状住宅12、13の間には、補強フレーム82、83が設けられている。補強フレーム82、83は、板状住宅12、13とは独立した構造体とされ、通路25を挟み、通路25の両側に配置されている。
板状住宅12、13は、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成であり、説明は省略する。第1の実施の形態と相違する補強フレーム82、83を中心に、以下説明する。
【0064】
補強フレーム82は、柱梁で平面状に形成され鉛直方向に配置された鉛直フレーム86A、86Bを有し、補強フレーム83は、柱梁で平面状に形成され鉛直方向に配置された鉛直フレーム87A、87Bを有している。
鉛直フレーム86A、86Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされ、鉛直フレーム86Aは、住戸12J〜12Nの間に設けられ、鉛直フレーム86Bは、住戸13J〜13Nの間に設けられている。
【0065】
鉛直フレーム86Aは、板状住宅12に沿って、最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム86Aは、板状住宅12の廊下22の下面において、連結用の鋼材18で板状住宅12と連結されている。
また、鉛直フレーム86Bは、板状住宅13に沿って、板状住宅13の最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム86Bは、板状住宅13の廊下23の下面において、連結部材18で板状住宅13と連結されている。
【0066】
鉛直フレーム86A、86Bの間には、住戸12Oと13Oの間に、水平方向に水平フレーム84が配置されている。水平フレーム84は、区画壁14の1区画分より狭い幅で形成されている。水平フレーム84により、鉛直フレーム51Aと鉛直フレーム51Bが連結されている。
水平フレーム84は、板状住宅12、13の高さ方向(Z軸方向)の各階毎に配置され、板状住宅12、13をY軸方向に補強する。
【0067】
鉛直フレーム87A、87Bは、第1の実施の形態で説明した鉛直フレーム19A、16Bと同じ構成とされ、鉛直フレーム87Aは、住戸12B〜12Fの間に設けられ、鉛直フレーム87Bは、住戸13B〜13Fの間に設けられている。
【0068】
鉛直フレーム87Aは、板状住宅12に沿って、最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム87Aは、板状住宅12の廊下22の下面において、連結用の鋼材18で板状住宅12と連結されている。
また、鉛直フレーム87Bは、板状住宅13に沿って、板状住宅13の最上階まで達する高さで構築されている。鉛直フレーム87Bは、板状住宅13の廊下23の下面において、連結部材18で板状住宅13と連結されている。
【0069】
鉛直フレーム87A、87Bの間には、住戸12Aと12Bの範囲で、水平方向に水平フレーム84、85が配置されている。水平フレーム84は、区画壁14の1区画分より狭い幅で形成され、水平フレーム85は、区画壁14の1区画分の幅で形成されている。
水平フレーム84、85により、鉛直フレーム51Aと鉛直フレーム51Bが連結されている。
【0070】
また、通路25は、スラブ構造(斜線部)とされている。なお、第1の実施の形態で説明した基準階における強度増大策は設けられていない。
躯体取付け部88A、88B、89A、89Bは、第1の実施の形態で説明した躯体取付け部38A、38Bと同じ構成である。
【0071】
以上、説明したように、本実施の形態とすることにより、板状住宅12、13が、独立して構築された補強フレーム82、83で一体化され、耐震補強される。このとき、板状住宅12、13が均等に補強されるため、補強フレーム82、83による地震時のねじれ等の、不具合の発生を抑制される。
【0072】
また、補強フレーム82、83が構築された側と反対側の外壁には、補強部材は配置されず、板状住宅12、13における開口面積の確保及び圧迫感の排除が達成される。
この結果、一方の板状住宅12の桁行き方向の延長線が、他方の板状住宅13の桁行き方向の外壁と交差しない板状住宅12、13を補強することができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【符号の説明】
【0073】
10 耐震補強構造
12 板状住宅
13 板状住宅
14 間仕切り壁(壁体)
15 間仕切り壁(壁体)
16 補強フレーム(外フレーム)
17 補強フレーム(外フレーム)
18 鋼材(連結部材)
19 鉛直フレーム(架構)
20 水平フレーム(水平架構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁行き方向と直交する梁間方向の壁体で区画され、桁行き方向で交差しないように配置された複数の板状住宅と、
前記板状住宅の間に前記板状住宅とは独立して構築された外フレームと、
前記外フレームと前記板状住宅とを連結する連結部材と、
を有する耐震補強構造。
【請求項2】
前記外フレームは、柱梁で構築され前記板状住宅と対面配置された架構と、
前記架構同士をつなぐ水平架構と、
を有している請求項1に記載の耐震補強構造。
【請求項3】
前記板状住宅が対面配置されている請求項1又は2に記載の耐震補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−60763(P2013−60763A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200649(P2011−200649)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】