背凭れ追従機構
【課題】背凭れの寄りかかり利用の際に背凭れ点をずらすことなく着座者の背中を支持することができると共に背凭れを後傾させた場合に十分なフィット感・サポート感を発揮することができるようにする。
【解決手段】座部(11,12)と、当該座部(11,12)に揺動可能に連結された背支桿(1,5)に支持される背凭れ(2)とを別体のものとして有する椅子(20)において、背凭れ(2)の上部が背支桿(1,5)に支持され、背凭れ(2)の下部は背支桿(1,5)に支持されていないと共にリンク部材(3)を介して座部(11,12)と連結されて背支桿(1,5)の傾動とは独立して動くようにした。
【解決手段】座部(11,12)と、当該座部(11,12)に揺動可能に連結された背支桿(1,5)に支持される背凭れ(2)とを別体のものとして有する椅子(20)において、背凭れ(2)の上部が背支桿(1,5)に支持され、背凭れ(2)の下部は背支桿(1,5)に支持されていないと共にリンク部材(3)を介して座部(11,12)と連結されて背支桿(1,5)の傾動とは独立して動くようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ追従機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子に適用して好適な背凭れ追従機構に関する。
【背景技術】
【0002】
座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子における従来の背凭れの傾動の仕組みとしては例えば、図19に示すように、脚101の脚支柱102の頂部に取り付けられたベースフレーム103に支持される座部104と、ベースフレーム103に前端が支持される逆向きL字形の背支桿105の上端に取り付けられた背凭れ106とを別体のものとして有し、力が加えられていない状態ではベースフレーム103内の捩りコイルばね107の付勢により背凭れ106が前上限に位置して座部104の後端に覆い被さる程度に座部104に近接している一方で(図19(A))、着座者が背凭れ106に寄りかかると背支桿105と共に背凭れ106は捩りコイルばね107に抗しながら徐々に後ろ斜め下向きに傾動してやがて後ろ下限に位置する(図19(B))ものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−255562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の背凭れの傾動の仕組みでは、背凭れ106は後方に傾動する(言い換えると、背凭れ106は座部104から離れるように傾動する)ので、着座者の着座点108と背凭れ点109との間隔が、背凭れ106に力が加えられていない状態における間隔Mよりも着座者が背凭れ106に寄りかかった状態における間隔M'の方が長くなる。なお、本明細書では、着座者の臀部の概ね中心位置のことを着座点といい、背凭れ面の腰部付近で概ね最も前方に出ている位置のことを背凭れ点という。
【0005】
また、座部と背凭れとが連動して傾動するいわゆるシンクロロッキング機構を備える椅子の場合には、背凭れを支持する背支桿の後傾角度と座面の後傾角度とが異なる。このため、背凭れの下部が背支桿と繋がっている場合には、背凭れの後傾角度が座面の後傾角度に対して広がってしまい、着座点と背凭れ点との間隔の伸長(背凭れ点のずれ)が大きくなるという問題がある。
【0006】
すなわち、特許文献1等の従来の背凭れの傾動の仕組みでは、背凭れ106に寄りかかり始めた時と後方いっぱいまで寄りかかった時とで背凭れ点109がずれる。このため、背凭れに寄りかかる度に衣服がずれ上がってしまうなど着衣が乱れてしまい、背凭れの寄りかかり利用が快適であるとは言い難いという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の背凭れの傾動の仕組みでは、着座者が背凭れ106に寄りかかった場合、背凭れ106は形状が変わることはなく単に後傾するだけなので、背凭れ106の上端部分が着座者の背中と当接して特に背凭れ106の下側は着座者の背中と離れる。このため、背凭れ106によって背中が支持されているという十分なフィット感・サポート感を得ることができず、この点においても背凭れの寄りかかり利用が快適であるとは言い難いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、背凭れの寄りかかり利用の際に背凭れ点をずらすことなく着座者の背中を支持することができると共に背凭れを後傾させた場合に十分なフィット感・サポート感を発揮することができる背凭れ追従機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の背凭れ追従機構は、座部と、当該座部に揺動可能に連結された背支桿に支持される背凭れとを別体のものとして有する椅子において、背凭れの上部が背支桿に支持され、背凭れの下部は背支桿に支持されていないと共にリンク部材を介して座部と連結されて背支桿の傾動とは独立して動くようにしている。
【0010】
したがって、この背凭れ追従機構によると、背凭れに力が加えられていない状態と着座者が背凭れに寄りかかった状態とでの着座点と背凭れ点との間隔の変化が小さく、つまり、背凭れを傾動させる際の背凭れ点のずれが小さくなる。
【0011】
また、この背凭れ追従機構によると、背凭れに力が加えられていない状態から着座者が背筋を伸ばして後傾することによって背凭れの上部に後ろ斜め下向きの力が加えられた状態になると背凭れ点が前方に張り出して着座者の背面に追従し密着する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れの上部は、背支桿に設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える横軸によって軸回転可能に背支桿に支持されるようにしている。この場合には、背支桿による背凭れの支持部分を横軸中心に軸回転可能にしているので、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中することがないと共に、背凭れが円滑に変形し易くなる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、リンク部材は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して一端が座部の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して他端が背凭れの下部と揺動可能に連結されるようにしている。この場合には、両端が揺動可能に連結されるリンク部材によって背凭れの下部が座部と連結されるようにしているので、本発明の背凭れ追従機構が部品点数が少なく比較的簡便に構成される。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、リンク部材は左右一対で二つ設けられるようにしている。この場合には、背凭れを安定的に取り付けながら本発明の構成が達成される。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れは、平面視が、後方に撓んでいる湾曲状であるようにしている。この場合には、着座者の背中を背凭れが包み込むように支持するようになり、着座者の背面に背凭れがより一層密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れは、側面視が、着座者の腰部位置が前方に張り出している突出状であるようにしている。この場合には、背凭れの変形の初期状態が達成されていることになるので、着座者の腰部位置の張り出しの変形が円滑になる。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れが弾性変形可能であると共に背支桿が左右一対の背フレームを有するものとして構成され、左右一対の背フレームによって背凭れに左右方向の力を加えて背凭れを撓ませることにより背凭れの後方への撓み量を調整するようにしている。この場合には、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができる。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の背凭れ追従機構において、背凭れの上部は、左右一対の背フレームのそれぞれに設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える縦軸及び横軸によって軸回転可能に左右一対の背フレームに支持されるようにしている。この場合には、支持部分における縦軸及び横軸中心の軸回転の自由度が確保されるので、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中することがないと共に、背凭れが円滑に変形し易くなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れを傾動させる際の背凭れ点のずれが小さいので、背凭れに寄りかかる度の着座者の衣服のずれ上がり等の着衣の乱れを防止することができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0020】
また、請求項1記載の背凭れ追従機構によれば、着座者が背筋を伸ばして後傾した場合に背凭れ点が前方に張り出して着座者の背面に追従し密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感を発揮することができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0021】
さらに、請求項2記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中してしまうことを防ぐことができるので、部品の破損や摩耗を防いて製品寿命を長くすることが可能になると共に、背凭れを円滑に変形させることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0022】
さらに、請求項3記載の背凭れ追従機構によれば、少ない部品点数で比較的簡便に本発明の背凭れ追従機構を構成することができるので、コストを低減することが可能になると共に汎用性の向上を図ることが可能になる。
【0023】
さらに、請求項4記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れを安定的に取り付けながら本発明の構成を達成することができるので、椅子としての構造上の信頼性を向上させながら本発明の効果を発揮させることが可能になる。
【0024】
さらに、請求項5記載の背凭れ追従機構によれば、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感を発揮させることができるので、座り心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0025】
さらに、請求項6記載の背凭れ追従機構によれば、着座者の腰部位置の張り出しの変形を円滑にすることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0026】
さらに、請求項7記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0027】
さらに、請求項8記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中してしまうことを防ぐことができるので、部品の破損や摩耗を防いて製品寿命を長くすることが可能になると共に、背凭れを円滑に変形させることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す側面図で、背板に力が加えられていない状態を示す図である。
【図2】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す側面図で、背板の上部に後ろ向きの力が加えられている状態を示す図である。
【図3】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図4】実施形態における背フレームと背板との連結機構を示す一部拡大図である。(A)は連結機構の側面図である。(B)は連結機構の平面図である。
【図5】実施形態におけるリンク部材を示す一部拡大図である。
【図6】本発明の背凭れ追従機構の場合の着座点と背凭れ点との間の距離を説明する図である。(A)は背板に力が加えられていない状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。(B)は背板に力が加えられている状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。
【図7】従来の背凭れ支持機構の場合の着座点と背凭れ点との間の距離を説明する図である。(A)は背板に力が加えられていない状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。(B)は背板に力が加えられている状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。
【図8】リンク部材の他の実施形態を示す一部拡大図である。
【図9】第二の実施形態の一例を示す側面図である(背板の横断面形状の後方への撓み量が小さい状態)。
【図10】第二の実施形態の一例を示す図で、背板の横断面形状の後方への撓み量が小さい状態を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図11】第二の実施形態の一例を示す図で、背板の横断面形状の後方への撓み量が大きい状態を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図12】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構の一部拡大側面図である。
【図13】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構(後ろ側部分で、背フレームを中心とする構成)の分解背面図である。
【図14】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構(前側部分で、背フレーム支持部材を中心とする構成)の分解背面図である。
【図15】第三の実施形態を示す図である。
【図16】第四の実施形態を示す図である。
【図17】第五の実施形態を示す図である。
【図18】第六の実施形態を示す図である。
【図19】従来の背凭れの傾動の仕組みを示す図である。(A)は背凭れに力が加えられていない状態を示す図である。(B)は背凭れに後ろ向きの力が加えられている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1から図6に、本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明の背凭れ追従機構を図1に全体構造を示す椅子20に適用した場合を例に挙げて説明する。また、本明細書においては、椅子20の座12に座った着座者を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0031】
本実施形態の椅子20は、キャスターを有する脚21と、脚21の脚支柱21aの頂部に取り付けられ支持されるベースフレーム8と、ベースフレーム8の後寄り部分に前端部分が揺動可能に取り付けられる背フレーム支持部材1と、ベースフレーム8の前端部に前寄り部分が連結されると共に背フレーム支持部材1と後ろ寄り部分が連結される座受け部材11と、座受け部材11に支持される座12と、背フレーム支持部材1の後端部分に下側部分が取り付けられる背フレーム5と、背フレーム5の上端部に上寄り部分が支持されると共に座受け部材11の後端部にリンク部材3を介して下端部が連結される背板2とを有する。そして、この椅子20は、座部(座受け部材11,座12)と背凭れ(背板2)とが別体のものとして構成されている。なお、図3においては、背板2及び背フレーム支持部材1・背フレーム5に纏わる構成に関係がない部材は図示を省略している。
【0032】
なお、本実施形態では図示していないが、背板2の前面にクッション材を取り付けるようにしても良いし、さらに、クッション材と背板2の少なくとも縁部とを覆うカバーを備えるようにしても良い。
【0033】
また、ベースフレーム8,座受け部材11,背フレーム支持部材1(1a,1b)は、左右一対の対向する板状部材を側壁として有するものとして構成される。
【0034】
ベースフレーム8は、左右の側壁を連結する底板を備える後端寄りの部分8aが例えばボルト結合やテーパー嵌合によって脚支柱21aの上端に取り付けられる。
【0035】
ベースフレーム8の後ろ寄り部分と背フレーム支持部材1の前端部分とはこれらの左右両側壁を貫通する左右方向の揺動軸8dによって揺動可能に連結され、これによって背フレーム支持部材1・背フレーム5のロッキングが可能になる。
【0036】
背フレーム支持部材1は、ベースフレーム8と連結する前端部分から後方斜め上向きに延出する傾斜部材1aと、当該傾斜部材1aの後寄りの部分に下端部が結合すると共に座12及び背板2の後方に上下方向に配置される直立部材1bとからなる。
【0037】
ベースフレーム8の左右両側壁の前端部分には概ね前後方向の貫通長孔8bが形成され、貫通長孔8b内を前後方向に摺動可能に貫通する左右方向の揺動軸8cによってベースフレーム8の前端部分と座受け部材11の前寄り部分とが揺動可能に連結される。なお、揺動軸8cは、座受け部材11に形成されている軸受け11bによって把持され支持されている。
【0038】
また、背フレーム支持部材1の傾斜部材1aの中間部と座受け部材11の後ろ寄り部分とはこれらの左右両側壁を貫通する左右方向の揺動軸1cによって揺動可能に連結される。
【0039】
ベースフレーム8と背フレーム支持部材1との間には、前端部がベースフレーム8の中間部に固定されると共に後端部が背フレーム支持部材1(傾斜部材1a)の前端(下端)部に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結される反力機構13が介在している。本実施形態では、反力機構13として圧縮コイルばねが圧縮した状態で前後方向に設けられる。そして、当該反力機構13により、背フレーム支持部材1の前端部分は後ろ斜め下向きに常時付勢され、背フレーム5を介して背板2を起立させた状態が維持される。
【0040】
さらに、ベースフレーム8と背フレーム支持部材1との間には、前端部がベースフレーム8の後端部に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結されると共に後端部が背フレーム支持部材1の中間部(傾斜部材1aの後ろ寄りの部分)に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結される傾動調整機構15が介在している。本実施形態では、傾動調整機構15として伸縮ロック機構付きのガススプリングが前後方向に設けられる。
【0041】
そして、傾動調整機構15はベースフレーム8及び背フレーム支持部材1(傾斜部材1a)と共に三角形状のリンク機構を構成し、傾動調整機構15の長さ変化可能な場合(即ち伸縮フリー状態)には背フレーム支持部材1はベースフレーム8に対して揺動可能である一方で、傾動調整機構15の長さを固定した場合(即ち伸縮ロック状態)では背フレーム支持部材1はベースフレーム8に対して揺動することができない。すなわち、傾動調整機構15の長さ可変と長さ固定とを切り替えることで背板2の前後傾斜角度を調整した上でロックすることができる。なお、傾動調整機構15の長さ可変と長さ固定、言い換えると、伸縮フリー状態と伸縮ロック状態との切り替えは図示しないレバーの操作によって行われる。レバーによる傾動調整機構15の操作の仕組みは、従来の種々のものが利用可能であり、この仕組み自体は周知の技術であるのでここでは詳細については省略する。
【0042】
また、本実施形態では、座受け部材11と座12とは、座12の平面視で四隅寄りの位置に配置された弾性支持部材12a及び平面視で中央に配置された連結支持機構12bによって連結されている。
【0043】
連結支持機構12bは、機構としては、前後左右に配置された四本の揺動軸ピンによって座受け部材11と座12とを前後及び左右に傾動可能に連結する(なお、連結支持機構12bは後述する連結機構6と同様の構成を有する機構である)。すなわち、本実施形態では連結支持機構12bとしてユニバーサルジョイントを使用している。ただし、ユニバーサルジョイントに限るものではなく、例えばピボット軸受け、ボールジョイント等でも良く、あるいはコイルスプリングやゴム製ブロック等の弾性体の変形を利用して傾動可能に支持しても良い。なお、本実施形態では揺動軸ピンを前後方向と左右方向とに向けて配置するようにしているが、揺動軸ピンの配置の方向はこれに限られるものではない。
【0044】
この構造により、本実施形態では、座受け部材11に対して座12が連結支持機構12bを支点として前下がり傾斜及び左右傾斜をし得ると共に、荷重がかけられていないときには座12が例えば水平状態で安定するように支持される。一方で、座12下面後端部には下向きに突出する凸部12cが形成されており、当該凸部12cが座受け部材11の上面後端部に当接することによって後ろ下がり傾斜はしないようになっている。ただし、凸部12cを設けない構造であっても良い。
【0045】
背フレーム5は左右一対の左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとによって構成され、左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとはそれぞれアーム5aと当該アーム5aの中間部分同士を結合する結合板部材5bとからなる。
【0046】
そして、左背フレーム5Aの結合板部材5bと右背フレーム5Bの結合板部材5bとを前後に重ね合わせた状態で、これら結合板部材5b,5bと背フレーム支持部材1の直立部材1bの上端部分とがボルトによって固定される。また、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bのそれぞれの下端部分と背フレーム支持部材1の傾斜部材1aの後端部(鈎形に内側に折れ曲がっている)とがボルトによって固定され、これにより、二本のアーム5a,5aが離間した状態で背フレーム支持部材1に背フレーム5が取り付けられる。
【0047】
なお、背フレーム5は、椅子としての通常の使用において想定される力がかけられた場合に容易には変形しない程度の剛性を発揮し得る材質によって形成される。
【0048】
そして、本発明の背凭れ追従機構は、座部(11,12)と、当該座部(11,12)に揺動可能に連結された背支桿(1,5)に支持される背凭れ(2)とを別体のものとして有する椅子(20)において、背凭れ(2)の上部が背支桿(1,5)に支持され、背凭れ(2)の下部は背支桿(1,5)に支持されていないと共にリンク部材(3)を介して座部(11,12)と連結されて背支桿(1,5)の傾動とは独立して動くようにしている。
【0049】
なお、本実施形態では、座受け部材11と座12とによって座部が構成され(言い換えると、座受け部材11及び座12が座部に該当する)、背フレーム支持部材1と背フレーム5とによって背支桿が構成されている(言い換えると、背フレーム支持部材1及び背フレーム5が背支桿に該当する)。
【0050】
また、本実施形態では、背凭れに該当するものとして背板2のみを図示し説明しているが、前述の通りクッション材やカバーを有するものとして背凭れを構成するようにしても良い。
【0051】
そして、本実施形態では、背凭れ(2)の上部は、背支桿(1,5)に設けられた連結機構(6)を介して支持されており、当該連結機構(6)が備える縦軸(L)及び横軸(H)によって軸回転可能に背支桿(1,5)に支持されるようにしている。
【0052】
本実施形態では、さらに、リンク部材(3)は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピン(3a)を介して一端が座部(11,12)の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピン(3b)を介して他端が背凭れ(2)の下部と揺動可能に連結されるようにしている。
【0053】
また、本実施形態では、リンク部材3は座受け部材11の左右両側に配置されて左右一対で二つ設けられる。
【0054】
背板2は、本実施形態では、平面視は左右中央部が後方に張り出している(後方に撓んでいる)湾曲形状であると共に側面視は背凭れ点2aを中心とする着座者の腰部周囲が前方に張り出している(突出している)形状であり、全体が一体として可撓性を有する材質で成形される。背板2は、具体的には例えばポリプロピレン,ナイロン等の樹脂によって成形される。ただし、背板2の材質となり得る樹脂はこれらに限られるものではなく、また、樹脂以外の材質によって背板2を成形しても良い。
【0055】
また、本実施形態では、背板2の前方に張り出す張出部(突出部)である背凭れ点2aの上下を特に変形し易くして背凭れ点2aを張り出させ易くするために背凭れ点2aの上下位置のそれぞれに左右方向のスリット2b,2bが形成される。なお、スリットの本数は、二本に限られるものではなく、例えば背凭れ点2aの位置に一本のスリットを形成するようにしても良いし、三本以上のスリットを形成するようにしても良い。また、背凭れ点2aの周囲を他の部分と比べて特に変形し易くするために、スリット(即ち、左右方向の細長孔)に限らず、例えば細長や円形や多角形の凹み若しくは貫通孔を一つ若しくは複数形成するようにしても良い。また、背板2を変形し易くするためにスリット等が形成されていることが好ましいが、背板2にスリット等が形成されていなくても良い。スリット等が形成されていなくても、可撓性を有する背板2の変形は可能である。
【0056】
さらに、本実施形態では背板2全体を一体として可撓性を有する材質によって成形することで背板2を変形可能にしているが、背板2の上部分と下部分と(或いは更に中間部分と)を別部材として成形すると共に可撓性を有する材質(例えば樹脂ヒンジ等)や蝶番などを用いてこれら上部分と(中間部分と)下部分とを連結することによって背板2を屈曲させて変形可能にしても良い。この場合には、上部分と下部分と(更に中間部分と)は可撓性を有しない材質で成形するようにしても良い。
【0057】
背フレーム5の左背フレーム5A及び右背フレーム5Bのそれぞれの上端部と背板2後面(背面)の上端寄りの左右両端の部分とは連結機構6によって連結される。なお、左右の背フレーム5A,5Bによる背板2の支持位置は、背板2の背面に限られるものではない。具体的には例えば、背板2の左右両縁面に、背板2の左右両端から外側に張り出すように連結機構6を取り付けるようにしても良い。
【0058】
連結機構6は、左右の背フレーム5A,5Bのそれぞれに設けられ、図4に示すように、把持部材6a・6a,取付部材6b,回転ブロック6c,揺動縦軸ピン6d・6d,揺動横軸ピン6e・6eからなる。すなわち、本実施形態では背板2と左右の背フレーム5A,5Bとの連結機構6としてユニバーサルジョイントを用いるようにしているが、連結機構はユニバーサルジョイントに限定されるものではなく、例えばピボット軸受けやボールジョイント等でも良く、或いはコイルスプリングやゴム製ブロック等の弾性体を利用しても良い。
【0059】
取付部材6bは板状をなし、この板状の取付部材6bの一方の面から二枚の板状の把持部材6a,6aが対向して延出する。すなわち、これら把持部材6a,6aと取付部材6bとは全体として側面視コ字形に形成される。把持部材6a各々には貫通ねじ孔が形成される。
【0060】
板状の取付部材6bのうち把持部材6a側とは反対側の面が背板2後面の上端寄りの左右端部に例えばねじ止めされて取り付けられる。
【0061】
二枚の把持部材6a,6aの間に回転ブロック6cが配置される。回転ブロック6cには中心位置において直交する二本の貫通孔が形成される。なお、本実施形態では回転ブロック6cは立方体に形成されているが、回転ブロック6cの形状はこれに限られるものではなく、例えば球であっても良い。
【0062】
そして、二本の揺動縦軸ピン6d,6dが上側把持部材6aの上方と下側把持部材6aの下方とからそれぞれ把持部材6aに形成された貫通ねじ孔を貫通して回転ブロック6cの貫通孔に挿入されて二枚の把持部材6a,6aの間に回転ブロック6cが取り付けられる。なお、揺動縦軸ピン6dの軸部(ピン)は、回転ブロック6cに形成されている二本の貫通孔が交わる部分までは到達しない長さに調整される。
【0063】
ここで、揺動縦軸ピン6d,6dの軸部の先端部分にはねじ山が形成されていない一方で軸部の根もと部分にはねじ山が形成されており、これにより、揺動縦軸ピン6d,6dは、軸部根もと部分のねじによって把持部材6a,6aに対してねじ止めされ固定されると共に、軸部先端部分によって回転ブロック6cを摺動軸回転可能に支持する。
【0064】
すなわち、回転ブロック6cは、揺動縦軸ピン6d,6dによって把持部材6a,6aに対して縦軸Lを中心に軸回転可能に支持される。なお、縦軸Lは概ね上下方向軸である。
【0065】
背フレーム5のアーム5aの上端部分は開口部を背板2側に向けた横断面コ字形に形成され、左右の側壁のそれぞれから背板2に向けて対向して突出する二枚の板状の把持部5c,5cが形成される。把持部5c各々には貫通ねじ孔が形成される。
【0066】
そして、二つの把持部5c,5cが回転ブロック6cを左右から挟んだ状態で二本の揺動横軸ピン6e,6eが右側把持部5cの右側方と左側把持部5cの左側方とからそれぞれ把持部5cに形成された貫通ねじ孔を貫通して回転ブロック6cの貫通孔に挿入されて回転ブロック6cに背フレーム5のアーム5a上端部分が連結される。なお、揺動横軸ピン6eの軸部(ピン)は、回転ブロック6cに形成されている二本の貫通孔が交わる部分までは到達しない長さに調整される。したがって、前述の揺動縦軸ピン6dの構造と相まって、揺動縦軸ピン6d,6dと揺動横軸ピン6e,6eとは回転ブロック6c内で相互に接触することがない。
【0067】
ここで、揺動横軸ピン6e,6eの軸部の先端部分にはねじ山が形成されていない一方で軸部の根もと部分にはねじ山が形成されており、これにより、揺動横軸ピン6e,6eは、軸部根もと部分のねじによって把持部5c,5cに対してねじ止めされ固定されると共に、軸部先端部分によって回転ブロック6cを摺動軸回転可能に支持する。
【0068】
すなわち、アーム5a上端部分は、揺動横軸ピン6e,6eによって回転ブロック6cに対して横軸Hを中心に軸回転可能に連結される。なお、横軸Hは左右方向軸である。
【0069】
上述の構成により、背板2の上部左右両端部は、回転ブロック6cを介して縦軸Lを中心に軸回転可能及び横軸Hを中心に軸回転可能、且つ、高さ位置は固定されて背フレーム5(アーム5a)の上端部に支持される。このように背フレーム5(アーム5a)による背板2の支持部分を各方向に軸回転可能にすることにより、背板2が変形する際に当該支持部分に応力が集中することがないので部品の破損や摩耗を防ぐことができると共に、背板2が円滑に変形し易くなるので使い勝手や使い心地が良くなる。
【0070】
一方、図5に示すように、座受け部材11の左右の側壁の後端部には背板連結部11cが設けられる。本実施形態では、背板連結部11cは、座受け部材11の左右の側壁の後端部より後ろ向きから上向きに屈曲する板状に形成される。そして、背板連結部11cの後ろ上端部分には貫通孔が形成される。なお、図5においては、リンク部材3に纏わる構成に関係がない部材は図示を省略している。
【0071】
また、背板2前面の下端部の左右両端部には前方に突出する板状のリンク連結部2cが設けられ、当該リンク連結部2cには貫通孔が形成される。なお、リンク連結部2cは、背板2と一体成形されるものであっても良いし、背板2に例えば金具を取り付けて構成するようにしても良い。
【0072】
リンク部材3は細長板状に形成されて長手方向の両端部には貫通孔が形成される。そして、リンク部材3の一端(前端)が当該リンク部材3の貫通孔と座受け部材の背板連結部11cの貫通孔とを貫通する左右方向の連結ピン3aによって座受け部材11に対して揺動可能に連結され、リンク部材3の他端(後端)が当該リンク部材3の貫通孔と背板のリンク連結部2cの貫通孔とを貫通する左右方向の連結ピン3bによって背板2に対して揺動可能に連結される。
【0073】
このように座受け部材11後部と背板2下部との間にリンク部材3を介在させることにより、背板2の下部左右両端部は、座受け部材11及び座12とは独立して、座受け部材11及び座12の後端部と一定の距離を保ちながら左右方向即ち横軸方向の連結ピン3a,3bを中心に軸回転する(言い換えると、背板2の下部左右両端部は、連結ピン3aを中心に公転しながら、連結ピン3bを中心に自転する)。なお、背板2の下部と座部(11,12)の後部との連結の仕方は本実施形態の構成に限られるものではない。
【0074】
上述のように、本発明の背凭れ追従機構は、背板2の上部は連結機構6によって高さ位置固定且つ縦軸中心及び横軸中心回転可能に背フレーム5に支持されると共に、背板2の下部はリンク部材3によって一定範囲内で横軸中心回転可能に座受け部材11に連結される。
【0075】
したがって、着座者の着座点12dと背凭れ点2aとの間隔について、背板2に力が加えられていない状態における間隔Mと着座者が背板2に寄りかかった状態における間隔M'とを比較すると、従来型の背凭れの傾動の仕組みの場合(図7)には間隔Mよりも間隔M'の方が大きくなってしまうのに対し、本発明の背凭れ追従機構の場合(図6)には間隔Mと間隔M'との差は殆どない。すなわち、本発明の背凭れ追従機構によれば、上述の構成により、背板2に力が加えられていない状態と着座者が背板2に寄りかかった状態とでの着座点12dと背凭れ点2aとの間隔(M,M')の変化が小さく、つまり、背板2を傾動させる際の背凭れ点のずれが小さく、背凭れに寄りかかる度の着座者の衣服のずれ上がり等の着衣の乱れが防止される。なお、図6及び図7においては、反力機構13及び傾動調整機構15の図示を省略している。
【0076】
また、本発明の背凭れ追従機構によれば、上述の構成により、図2に示すように、背板2に力が加えられていない状態(図中一点鎖線)から着座者が背筋を伸ばして後傾することによって背板2の上部に後ろ斜め下向きの力(図中の矢印F)が加えられた状態(図中実線)になると背凭れ点2aが前方に張り出して(図中の矢印P)着座者の背面に追従し密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。また、このとき、連結機構6を本実施形態のように縦軸中心及び横軸中心回転可能に構成すれば連結機構6が背板2と背フレーム5(アーム5a)との間の捩れや撓みの動きを抑制することがないので、背板2の必要な変形が円滑に行われる。
【0077】
また、本発明の背凭れ追従機構によれば、背板2の下部が背フレーム5に支持されていないので、背板2は、背フレーム5の後傾とは独立して、背板2に寄りかかった際の着座者の背面の角度に合わせた傾動をすることができる。この点からも、本発明によれば、着座者の背面への追従性が高く、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。
【0078】
なお、本発明では、背板2下部を、背フレーム5に支持・連結させることなく、リンク部材3によって座部(11,12)のみと連結させることにより特有の構成を成立させている。すなわち、リンク部材3を設け且つ背板2と背フレーム5とが連結されている場合には、後傾する際に背板上下中央部分は背支桿によって後方に引っ張られるにもかかわらず、すなわち背板と座部との間隔が一定間隔から変化しようとするにもかかわらず、背板下部はリンク部材の連結によって一定以上離間できなくなっており、結果的に両者の動きに矛盾が生じるために動けなくなってしまう。そこで本発明は、背板下部をリンク部材によって座部のみと連結することにより、背板下部と座部との間隔を一定に保ちつつ背板下部と背支桿とを離間させるようにして背板上下中央部分に矛盾を生じさせないようにしている。
【0079】
上述の通り、本発明の背凭れ追従機構によれば、背凭れの寄りかかり利用の際に背凭れ点をずらさないで着座者の背中を支持することができると共に背凭れを後傾させた場合に十分なフィット感・サポート感を発揮することができる。
【0080】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、本発明の背凭れ追従機構を図1に全体構造を示す椅子20に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明が適用され得る椅子は座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子であれば上述の実施形態の椅子20に限られるものではない。
【0081】
具体的には例えば、上述の実施形態では座部が座受け部材11と座12とによって構成されるようにしているが、本発明における座部は少なくとも座面を有するものであれば上述の実施形態の構成に限られるものではなく、上述の実施形態の座受け部材11と座12とに対応する構成が一体のものとして構成されている座部であっても良い。また、座受け部材11による座12の支持の仕組みも上述の実施形態の構成に限られるものではなく、例えば、弾性支持部材12aや連結支持機構12bを備えていなくても良い。
【0082】
具体的には例えば、また、上述の実施形態では背支桿が背フレーム支持部材1と背フレーム5とによって構成されるようにしているが、本発明における背支桿は座部に対して背凭れの上部を支持するものであれば上述の実施形態の構成に限られるものではなく、例えば上述の実施形態の背フレーム支持部材1と背フレーム5とに対応する構成が一体のものとして構成されている背支桿であっても良い。
【0083】
また、上述の実施形態では回転ブロック6cが背板2に対して縦軸Lを中心に軸回転可能に支持されると共にアーム5a上端部分が回転ブロック6cに対して横軸Hを中心に軸回転可能に連結されるようにしているが、軸回転の方向の関係は逆でも良い。すなわち、背板2側の二枚の把持部材6a,6aの対向方向とアーム5a側の二枚の把持部5c,5cの対向方向とを90度回転し、回転ブロック6cが背板2に対して横軸を中心に軸回転可能に支持されると共にアーム5a上端部分が回転ブロック6cに対して縦軸を中心に軸回転可能に連結されるようにしても良い。また、上述の実施形態では連結機構6は縦軸中心及び横軸中心回転可能であるように構成されているが、横軸(H)中心でのみ回転可能であるように構成しても良い。この場合にも、背板2の背凭れ点2aが前後方向に移動するように変形する際の主要な軸回転の自由度が確保されるので支持部分における応力の集中を大幅に軽減することができる。さらに、左右の背フレーム5A,5Bによって背板2を支持するための両者の連結は、連結機構6を用いた上述の実施形態のようにフレキシブルな連結でなく、固定的な連結であっても良い。この場合でも、可撓性を有する背板2の変形は可能である。
【0084】
また、上述の実施形態ではリンク部材3の前端部と座受け部材11とを揺動可能に連結するようにしているが、リンク部材3と座受け部材11とは固定的で揺動不能に連結されるようにしても良い。すなわち、少なくともリンク部材3の後端部と背板2とが揺動可能に連結されていれば背板2が変形して背凭れ点2aが前方に張り出すと共に着座者の着座点12dと背凭れ点2aとの間隔(M,M')の変化が小さくなる。
【0085】
そして、リンク部材3の前端部を座受け部材11に対して固定して揺動不能に取り付ける場合には、図8に示すように、座受け部材11側に背板連結部11cを設けずに、リンク部材3の前端部を座受け部材11の側壁に直接固定して取り付けるようにしても良い。この場合には部品点数の増加を抑制して本発明の構成を実現することができる。付け加えると、本発明におけるリンク部材は、背板2下部と座部(11,12)とを連結し得るものであれば上述の実施形態の形状・構成に限られるものではない。すなわち、リンク部材3の形状は上述の実施形態や図8に示す形態のものに限られるものではなく、また、上述の実施形態のように背板2や座受け部材11とは別部材として設けられるものであっても良いし、図8に示す形態のように座受け部材11と結合してその一部として設けられるものであっても良い。
【0086】
また、上述の実施形態ではリンク部材3を左右一対で二つ設けるようにしているが、リンク部材3の個数は二つに限られるものではなく、例えば、背板2の左右中央に更に一つ設けて合計三つ設けるようにしても良いし、背板2の左右中央に一つのみ設けるようにしても良い。
【0087】
また、上述の実施形態(以下、第一の実施形態という)の構成に加え、着座者の背面への背凭れの追従性を高めるため、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を調整する構造(以下、背凭れ撓み量調整機構という)を更に備えるようにしても良い。以下、図9から図14を用いて背凭れ撓み量調整機構を有する場合の実施形態(以下、第二の実施形態という)について説明する。なお、以下に説明する第二の実施形態において第一の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
第二の実施形態では、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bが、各々の結合板部材5b,5bが前後に重ね合わせられると共に各々のアーム5a,5aが離間した状態で、背フレーム支持部材1の直立部材1bの上端部分に揺動可能に取り付けられる。そして、左右一対の背フレーム5A,5Bによって、これら背フレーム5A,5Bによって支持されると共に弾性変形可能な背板2に左右方向の力を加えて背板2を撓ませることにより背板2の後方への撓み量が調整される。
【0089】
背フレーム5を構成する左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとの各々の結合板部材5bには貫通孔5dが形成される。そして、第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構では、この貫通孔5dを中心として左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとが揺動することによって背板2に左右方向の力が加えられたり解除されたりする。
【0090】
左背フレーム5A,右背フレーム5Bそれぞれの貫通孔5dには帯板環状の摺動支持部材3が取り付けられる。摺動支持部材3の内側縁辺部には当該縁辺部を一周する環状の突起部3aが形成される。そして、左背フレーム5Aに対しては前側から、右背フレーム5Bに対しては後ろ側から貫通孔5dに突起部3aを嵌め合わせて摺動支持部材3が取り付けられる。なお、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bは摺動支持部材3に対して摺動可能である。
【0091】
一方、背フレーム支持部材1の直立部材1bは、上端部分であって左右一対の対向する側壁の間に板部16aを備えると共に、当該板部16aから後ろ向きに延出する環状の周壁を有する摺動支持部16bを備える。また、摺動支持部16bの中央位置には貫通ねじ孔16cが形成される。
【0092】
そして、背フレーム支持部材1の直立部材1b上端部の摺動支持部16bに、結合板部材5bの前面側に摺動支持部材3が取り付けられた左背フレーム5Aが摺動支持部材3中央の貫通孔に摺動支持部16bを貫通させて取り付けられ、さらに、結合板部材5bの後ろ面側に摺動支持部材3が取り付けられた右背フレーム5Bが摺動支持部材3中央の貫通孔に摺動支持部16bを貫通させて取り付けられる。
【0093】
このとき、上述の構成によって当接することになる左背フレーム5Aの結合板部材5bと右背フレーム5Bの結合板部材5bとは摺動可能である。
【0094】
さらに、右背フレーム5Bに取り付けられた摺動支持部材3の後ろ面に円盤状の蓋部材4が備えられる。
【0095】
蓋部材4の中央位置には貫通孔4aが形成されており、当該貫通孔4aから直立部材1bの摺動支持部16b中央の貫通ねじ孔16cまで到達し貫通するねじ14が貫通孔4aから挿入されて貫通ねじ孔16cにねじ込まれる。
【0096】
これにより、左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとは、背フレーム支持部材1の直立部材1b上端部に対し、摺動支持部16bを介して左右に揺動可能に取り付けられる。
【0097】
続いて、本実施形態における操作部としての操作レバー17による操作を伝達して左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとに左右方向の力を加えて左右の背フレーム5A,5Bを揺動させるための操作伝達機構は、本実施形態では、上部リンク7A及び左右一対の下部リンク7B,7B(以下、左右下部リンク7B,7Bとも適宜表記する)を含むリンク機構7と左右一対のスライダー9,9とを有する。
【0098】
本実施形態の操作レバー17は、グリップ17aと、当該グリップ17aから延出する第一主軸部17bと、当該第一主軸部17bから屈曲して軸心位置が第一主軸部17bの軸心位置から偏心している偏心軸部17cと、当該偏心軸部17cから再度屈曲して第一主軸部17bと軸心位置を同じくする第二主軸部17dとからなる。
【0099】
背フレーム支持部材1の直立部材1bを構成する左右一対の対向する側壁の中間位置には貫通孔が設けられる。そして、当該貫通孔に操作レバー17の軸部が挿入され、直立部材1bの一方の側壁に操作レバー17の第一主軸部17bが回転可能に支持されると共に他方の側壁に第二主軸部17dが回転可能に支持され、左右一対の側壁の間に偏心軸部17cが配置される。
【0100】
上部リンク7Aは細長板状に形成され、上端部分に貫通孔7Aaが設けられる。そして、上部リンク7Aは、貫通孔7Aaに操作レバー17の偏心軸部17cを貫通させて直立部材1bを構成する左右一対の側壁の間に配置される。
【0101】
上部リンク7Aは、前面から前方に突出する凸部に固定されるガイド板7Abと、後ろ面から後方に突出する凸部に固定される下部リンク取付板7Acとを備える。
【0102】
本実施形態では、上部リンク7Aのガイド板7Abをガイド保持するために摺動保持するリンク支持機構18を備える。リンク支持機構18を取り付ける基部として、背フレーム支持部材1の直立部材1bは、中間部分であって左右一対の対向する側壁の間に板部18aを備える。当該板部18aには貫通ねじ孔(本実施形態では六つ)が形成される。
【0103】
直立部材1bの左右の側壁の間の板部18aの後ろ面には、中央の空間にガイド板7Abを収容する枠部材18bが備えられる。枠部材18bの枠部分には、直立部材1bに設けられる板部18aの貫通ねじ孔の位置に合わせて貫通孔が形成される。
【0104】
また、枠部材18bの後ろ面には、左右中央位置に上下方向のスリット(ガイド板7Abの左右方向の幅よりも狭い)を有する蓋部材18cが備えられる。蓋部材18cの周縁部にも、直立部材1bに設けられる板部18aの貫通ねじ孔の位置に合わせて貫通孔が形成される。
【0105】
そして、板部18aに枠部材18bが備えられ、当該枠部材18bの内側空間にガイド板7Abが収納され、上部リンク7Aのガイド板7Abが固定される前面の凸部を上下方向のスリットに貫通させて蓋部材18cが備えられ、蓋部材18cの貫通孔からボルトが挿入されて枠部材18bの貫通孔を通過して板部18aの貫通ねじ孔にねじ止めされる
【0106】
上述によりガイド板7Abを摺動可能に収容した状態で枠部材18b及び蓋部材18cが板部18aに固定され、枠部材18b及び蓋部材18cはガイド板7Abを摺動可能に保持することによって上部リンク7Aの上下方向の動きをガイドする。
【0107】
下部リンク7Bの長手方向の両端寄りの位置には貫通孔が形成される。また、下部リンク7Bの長手方向の両端部は円弧状に形成され、一方の端部にはギヤが形成される。
【0108】
また、上部リンク7Aの下部リンク取付板7Acには左右一対のねじ孔が形成される。そして、ねじ山が形成されていない根もと部分とねじ山が形成されている先端部分とからなる軸部を有する揺動軸ピンにより、下部リンク7Bのギヤが形成されている端部側の貫通孔と下部リンク取付板7Acの貫通孔との位置を合わせた状態で、下部リンク取付板7Acに対して二本の下部リンク7B,7Bが揺動可能に取り付けられる。
【0109】
背フレーム支持部材1の直立部材1bの下端寄りの位置には、スライダーガイド19が取り付けられる。スライダーガイド19は、底板及び前壁と左右の側壁とを有し、スライダープレート19aを介して底板及び前壁によって左右一対のスライダー9,9を摺動可能に支持する。
【0110】
スライダーガイド19の左右の側壁のそれぞれには貫通孔が設けられると共に、スライダー9,9にも左右方向の貫通孔が設けられる。そして、スライダーガイド19は、当該スライダーガイド19内に左右一対のスライダー9,9を載置した状態で、スライダーガイド19の左右の側壁の貫通孔及び左右一対のスライダー9,9の左右方向の貫通孔の全てを貫通するスライダー軸19bを備える。なお、スライダーガイド19に備えられた状態でスライダー軸19bの両端にはストッパ(図示省略)が取り付けられて抜け止めされる。
【0111】
これにより、各スライダー9は、スライダーガイド19及びスライダープレート19aに支持されると共にスライダー軸19bによってガイドされながら、上下位置固定の状態で左右方向に摺動する。
【0112】
各スライダー9の後ろ面にはねじ孔が形成される。また、前述の通り、左右下部リンク7B,7Bの長手方向の両端寄りの位置には貫通孔が形成される。さらに、左右の背フレーム5A,5Bのそれぞれには下端部に貫通孔5eが形成される。なお、貫通孔5eは左右の背フレーム5A,5Bの設置状態において左右の二つでハの字形をなす傾斜を有する長孔に形成される。
【0113】
そして、左右一対のスライダー9,9それぞれの後方に、当該スライダー9後ろ面のねじ孔の位置にギヤが形成されていない端部側(即ち下端側)の貫通孔の位置を合わせて左右下部リンク7B,7Bの下端部分が備えられ、その後方に、スライダー9後ろ面のねじ孔の位置に下端部の貫通孔5eの位置を合わせて左右の背フレーム5A,5Bの下端部分が備えられる。その上で、ねじ山が形成されていない根もと部分とねじ山が形成されている先端部分とからなる軸部を有する揺動軸ピンが背フレーム5A,5Bの貫通孔及び下部リンク7Bの貫通孔を貫通すると共にスライダー9のねじ孔に挿入されてねじ止めされる。
【0114】
これにより、スライダー9に対して下部リンク7B及び背フレーム5A,5Bが揺動可能に連結される。なお、左右下部リンク7B,7Bは背面視ハの字形に取り付けられる。
【0115】
上述の構成により、左右の背フレーム5A,5Bは、スライダー9が左右にスライドすることによって貫通孔5dを中心として揺動する。
【0116】
具体的には、前述の通り本実施形態の操作レバー17は、軸心位置を同じくする第一主軸部17b及び第二主軸部17d、並びに、これら主軸部17b,17dの軸心位置から偏心している偏心軸部17cとを有する。そして、偏心軸部17cに上部リンク7Aが連結されているので、操作レバー17を軸回転させることによって上部リンク7Aが上下移動する。
【0117】
そして、上部リンク7Aの下端部に左右下部リンク7B,7Bの上端部が連結されていると共に左右下部リンク7B,7Bそれぞれの下端部に上下位置が固定されたスライダー9が連結されているので、上部リンク7Aが上下移動すると下部リンク7Bは上端部の上下移動を下端部を左右方向にスライドさせることによって吸収するようにし、スライダー9が左右に移動する。
【0118】
上部リンク7Aが上向きに移動すると左右下部リンク7B,7Bの下端部に連結される左右のスライダー9,9は相互に近づくように移動し、これらに下端部が連結する左右の背フレーム5A,5Bは貫通孔5dを中心として揺動して上端部分が相互に離れるように移動し、背板2の上側部分に左右方向の力が加えられる。具体的には、背板2の上側部分は左右方向に拡げられ、背板2の横断面形状の後方への撓み量が小さくなる(図10)。
【0119】
一方、上部リンク7Aが下向きに移動すると左右下部リンク7B,7Bの下端部に連結される左右のスライダー9,9は相互に離れるように移動し、これらに下端部が連結する左右の背フレーム5A,5Bは貫通孔5dを中心として揺動して上端部分が相互に近づくように移動し、背板2の上側部分に左右方向の力が加えられる。具体的には、背板2の上側部分は左右方向に狭められ、背板2の横断面形状の後方への撓み量が大きくなる(図11;図中の一点鎖線は図2に示す後方への撓み量が小さい場合の背板2の形状)。
【0120】
上述の通り、背凭れ撓み量調整機構も備える第二の実施形態によれば、背板2の横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができ、着座者の背面への背凭れの追従性を高めて背凭れの寄りかかり利用の快適性の更なる向上を図ることが可能になる。
【0121】
また、第一の実施形態と同じように背板2の上部左右両端部を連結機構6によって縦軸L及び横軸Hを中心に軸回転可能に背フレーム5(アーム5a)で支持して背板2の支持部分を各方向に軸回転可能にすることにより、背板2の背凭れ点2aが前後方向に移動すると共に横断面形状の撓み量が変化する変形の自由度が高いので、背板2の必要な変形が円滑に行われ変形し易く使い勝手や使い心地が良くなると共に、支持部分に応力が集中することがなく部品の破損や摩耗を防ぐことができる。
【0122】
また、左右一対の背フレームによって背板若しくは背枠に左右方向の力を加える機構の構成は上述の第二の実施形態のものには限られない。具体的には例えば、図15に示すように(第三の実施形態)、左右のスライダー9,9をねじ機構22によって左右方向に摺動させるようにしても良い。本実施形態における操作部としてのねじ機構22は、グリップ22aと、当該グリップ22aから延出して設置状態において左右方向の軸22bと、当該軸22bの左右両側に設けられる左側ねじ22c及び右側ねじ22dとを有する。そして、例えば、左側ねじ22cのねじ山が左ねじの雄ねじであると共に左背フレーム5A下端部に連結するスライダー9に左右方向の左ねじの雌ねじ貫通孔が形成され(左ねじれはすば歯車と左ねじれウォームとの組み合わせ)、右側ねじ22dのねじ山が右ねじの雄ねじであると共に右背フレーム5B下端部に連結するスライダー9に左右方向の右ねじの雌ねじ貫通孔が形成される(右ねじれはすば歯車と右ねじれウォームとの組み合わせ)。このねじ機構22を用いた構成によってもグリップ22aを持って回転操作することによって左右のスライダー9,9を相互に近づけたり離れさせたりすることができ、それによって左右の背フレーム5A,5Bを揺動させて背板2に左右方向の力を加えることができる。ねじ機構22を用いた場合には背板2の後方への撓み量を無段階に調整することとができる。
【0123】
また、第二及び第三の実施形態ではスライダー9を背フレームのアーム5aの下端部と連結させるようにしているが、スライダー9と背フレームのアーム5aとの連結位置はこれに限られるものではない。例えば、背フレームの結合板部材5bよりも上方位置においてスライダー9とアーム5aとを連結させるようにしても良い。具体的には、図16に示すように(第四の実施形態)、操作部としてねじ機構22を適用して左右のスライダー9,9のそれぞれを左右の背フレーム5A,5Bのアーム5a,5aと連結させるようにしても良い。
【0124】
また、第二から第四の実施形態では左右の背フレーム5A,5Bをアーム5aと結合板部材5bとを有するものとして構成すると共に結合板部材5bに形成された貫通孔5dを中心に左右の背フレーム5A,5Bを揺動させることによって背板2に左右方向の力を加えるようにしているが、左右の背フレーム5A,5Bの構成及び背フレームを揺動させるための構成はこれに限られるものではない。例えば、図17に示すように(第五の実施形態)、左背フレーム5AをL字形(く字形でも良い)に形成すると共に右背フレーム5Bを左右逆向きのL字形(く字形でも良い)に形成し、左右の背フレーム5A,5Bの下端部のそれぞれに左右のスライダー9,9を連結するようにしても良い。そして、図17に示す例では、左右のスライダー9,9をねじ機構22によって左右方向に摺動させるようにしている。この構成の場合も、操作部としてのねじ機構22により左右のスライダー9,9を左右方向に摺動させることによって左右の背フレーム5A,5Bの間隔を拡げたり狭めたりすることができるので、背板2に左右方向の力を加えることができる。
【0125】
また、第二から第五の実施形態では背板2の後方への撓み量を調整するために左右一対の背フレーム5A,5Bによって背板2に左右方向の力を加えるようにしているが、背板2の後方への撓み量を調整するための構成として図18に示す構成(第六の実施形態)をとるようにしても良い。すなわち、背フレームを背フレーム主部5'と左右方向に延出する背フレームとしての背フレーム左枝部5A'及び背フレーム右枝部5B'とを有するものとして構成し、背フレーム左枝部5A'と背フレーム右枝部5B'とによって背板2の左右両側を支持させる。また、背フレーム左枝部5A'と背フレーム右枝部5B'との中央位置に、グリップ23aとねじ軸部23bとを有する押圧機構23を設ける。そして、グリップ23を回転操作することによってねじ軸部23bを前後方向に出し入れすることによって背板2の左右中央位置への押圧(すなわち、前後方向の力)を調整するようにしても良い。なお、この構成の場合には、押圧機構23による押圧が解除されたときには後方への撓み量が最大になるように背板2が成形される。この構成によっても、背板2の後方への撓み量を調整することができる。
【0126】
また、第二から第六の実施形態では背板2の上部を背フレーム5によって支持するようにしているが、背フレーム5による背板2の支持位置は上部に限られるものではなく、背板2の中間部分であっても構わない。そして、背板2の中間部分において左右方向の力を加えるようにしても背板2の後方への撓み量を調整することができる。なお、背板2の上下中間位置よりも上方において、特に上端寄りの位置において背板2を背フレーム5によって支持するようにすることにより、背板2が下端部において拘束されている場合の当該拘束の影響を受けないので左右方向の力を加えたときに変形させ易い。
【符号の説明】
【0127】
1 背フレーム支持部材
2 背板
3 リンク部材
5 背支桿
11 座受け部材
12 座
20 椅子
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ追従機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子に適用して好適な背凭れ追従機構に関する。
【背景技術】
【0002】
座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子における従来の背凭れの傾動の仕組みとしては例えば、図19に示すように、脚101の脚支柱102の頂部に取り付けられたベースフレーム103に支持される座部104と、ベースフレーム103に前端が支持される逆向きL字形の背支桿105の上端に取り付けられた背凭れ106とを別体のものとして有し、力が加えられていない状態ではベースフレーム103内の捩りコイルばね107の付勢により背凭れ106が前上限に位置して座部104の後端に覆い被さる程度に座部104に近接している一方で(図19(A))、着座者が背凭れ106に寄りかかると背支桿105と共に背凭れ106は捩りコイルばね107に抗しながら徐々に後ろ斜め下向きに傾動してやがて後ろ下限に位置する(図19(B))ものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−255562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の背凭れの傾動の仕組みでは、背凭れ106は後方に傾動する(言い換えると、背凭れ106は座部104から離れるように傾動する)ので、着座者の着座点108と背凭れ点109との間隔が、背凭れ106に力が加えられていない状態における間隔Mよりも着座者が背凭れ106に寄りかかった状態における間隔M'の方が長くなる。なお、本明細書では、着座者の臀部の概ね中心位置のことを着座点といい、背凭れ面の腰部付近で概ね最も前方に出ている位置のことを背凭れ点という。
【0005】
また、座部と背凭れとが連動して傾動するいわゆるシンクロロッキング機構を備える椅子の場合には、背凭れを支持する背支桿の後傾角度と座面の後傾角度とが異なる。このため、背凭れの下部が背支桿と繋がっている場合には、背凭れの後傾角度が座面の後傾角度に対して広がってしまい、着座点と背凭れ点との間隔の伸長(背凭れ点のずれ)が大きくなるという問題がある。
【0006】
すなわち、特許文献1等の従来の背凭れの傾動の仕組みでは、背凭れ106に寄りかかり始めた時と後方いっぱいまで寄りかかった時とで背凭れ点109がずれる。このため、背凭れに寄りかかる度に衣服がずれ上がってしまうなど着衣が乱れてしまい、背凭れの寄りかかり利用が快適であるとは言い難いという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の背凭れの傾動の仕組みでは、着座者が背凭れ106に寄りかかった場合、背凭れ106は形状が変わることはなく単に後傾するだけなので、背凭れ106の上端部分が着座者の背中と当接して特に背凭れ106の下側は着座者の背中と離れる。このため、背凭れ106によって背中が支持されているという十分なフィット感・サポート感を得ることができず、この点においても背凭れの寄りかかり利用が快適であるとは言い難いという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、背凭れの寄りかかり利用の際に背凭れ点をずらすことなく着座者の背中を支持することができると共に背凭れを後傾させた場合に十分なフィット感・サポート感を発揮することができる背凭れ追従機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の背凭れ追従機構は、座部と、当該座部に揺動可能に連結された背支桿に支持される背凭れとを別体のものとして有する椅子において、背凭れの上部が背支桿に支持され、背凭れの下部は背支桿に支持されていないと共にリンク部材を介して座部と連結されて背支桿の傾動とは独立して動くようにしている。
【0010】
したがって、この背凭れ追従機構によると、背凭れに力が加えられていない状態と着座者が背凭れに寄りかかった状態とでの着座点と背凭れ点との間隔の変化が小さく、つまり、背凭れを傾動させる際の背凭れ点のずれが小さくなる。
【0011】
また、この背凭れ追従機構によると、背凭れに力が加えられていない状態から着座者が背筋を伸ばして後傾することによって背凭れの上部に後ろ斜め下向きの力が加えられた状態になると背凭れ点が前方に張り出して着座者の背面に追従し密着する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れの上部は、背支桿に設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える横軸によって軸回転可能に背支桿に支持されるようにしている。この場合には、背支桿による背凭れの支持部分を横軸中心に軸回転可能にしているので、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中することがないと共に、背凭れが円滑に変形し易くなる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、リンク部材は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して一端が座部の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して他端が背凭れの下部と揺動可能に連結されるようにしている。この場合には、両端が揺動可能に連結されるリンク部材によって背凭れの下部が座部と連結されるようにしているので、本発明の背凭れ追従機構が部品点数が少なく比較的簡便に構成される。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、リンク部材は左右一対で二つ設けられるようにしている。この場合には、背凭れを安定的に取り付けながら本発明の構成が達成される。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れは、平面視が、後方に撓んでいる湾曲状であるようにしている。この場合には、着座者の背中を背凭れが包み込むように支持するようになり、着座者の背面に背凭れがより一層密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れは、側面視が、着座者の腰部位置が前方に張り出している突出状であるようにしている。この場合には、背凭れの変形の初期状態が達成されていることになるので、着座者の腰部位置の張り出しの変形が円滑になる。
【0017】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の背凭れ追従機構において、背凭れが弾性変形可能であると共に背支桿が左右一対の背フレームを有するものとして構成され、左右一対の背フレームによって背凭れに左右方向の力を加えて背凭れを撓ませることにより背凭れの後方への撓み量を調整するようにしている。この場合には、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができる。
【0018】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の背凭れ追従機構において、背凭れの上部は、左右一対の背フレームのそれぞれに設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える縦軸及び横軸によって軸回転可能に左右一対の背フレームに支持されるようにしている。この場合には、支持部分における縦軸及び横軸中心の軸回転の自由度が確保されるので、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中することがないと共に、背凭れが円滑に変形し易くなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れを傾動させる際の背凭れ点のずれが小さいので、背凭れに寄りかかる度の着座者の衣服のずれ上がり等の着衣の乱れを防止することができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0020】
また、請求項1記載の背凭れ追従機構によれば、着座者が背筋を伸ばして後傾した場合に背凭れ点が前方に張り出して着座者の背面に追従し密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感を発揮することができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0021】
さらに、請求項2記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中してしまうことを防ぐことができるので、部品の破損や摩耗を防いて製品寿命を長くすることが可能になると共に、背凭れを円滑に変形させることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0022】
さらに、請求項3記載の背凭れ追従機構によれば、少ない部品点数で比較的簡便に本発明の背凭れ追従機構を構成することができるので、コストを低減することが可能になると共に汎用性の向上を図ることが可能になる。
【0023】
さらに、請求項4記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れを安定的に取り付けながら本発明の構成を達成することができるので、椅子としての構造上の信頼性を向上させながら本発明の効果を発揮させることが可能になる。
【0024】
さらに、請求項5記載の背凭れ追従機構によれば、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感を発揮させることができるので、座り心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0025】
さらに、請求項6記載の背凭れ追従機構によれば、着座者の腰部位置の張り出しの変形を円滑にすることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0026】
さらに、請求項7記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができ、背凭れの寄りかかり利用の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0027】
さらに、請求項8記載の背凭れ追従機構によれば、背凭れが変形する際に背凭れの支持部分に応力が集中してしまうことを防ぐことができるので、部品の破損や摩耗を防いて製品寿命を長くすることが可能になると共に、背凭れを円滑に変形させることができるので、使い勝手や使い心地のより一層の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す側面図で、背板に力が加えられていない状態を示す図である。
【図2】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す側面図で、背板の上部に後ろ向きの力が加えられている状態を示す図である。
【図3】本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図4】実施形態における背フレームと背板との連結機構を示す一部拡大図である。(A)は連結機構の側面図である。(B)は連結機構の平面図である。
【図5】実施形態におけるリンク部材を示す一部拡大図である。
【図6】本発明の背凭れ追従機構の場合の着座点と背凭れ点との間の距離を説明する図である。(A)は背板に力が加えられていない状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。(B)は背板に力が加えられている状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。
【図7】従来の背凭れ支持機構の場合の着座点と背凭れ点との間の距離を説明する図である。(A)は背板に力が加えられていない状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。(B)は背板に力が加えられている状態での着座点と背凭れ点との間の距離を示す図である。
【図8】リンク部材の他の実施形態を示す一部拡大図である。
【図9】第二の実施形態の一例を示す側面図である(背板の横断面形状の後方への撓み量が小さい状態)。
【図10】第二の実施形態の一例を示す図で、背板の横断面形状の後方への撓み量が小さい状態を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図11】第二の実施形態の一例を示す図で、背板の横断面形状の後方への撓み量が大きい状態を示す図である。(A)は背板の平面図である。(B)は背板及び背フレーム支持部材・背フレームの背面図である。
【図12】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構の一部拡大側面図である。
【図13】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構(後ろ側部分で、背フレームを中心とする構成)の分解背面図である。
【図14】第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構(前側部分で、背フレーム支持部材を中心とする構成)の分解背面図である。
【図15】第三の実施形態を示す図である。
【図16】第四の実施形態を示す図である。
【図17】第五の実施形態を示す図である。
【図18】第六の実施形態を示す図である。
【図19】従来の背凭れの傾動の仕組みを示す図である。(A)は背凭れに力が加えられていない状態を示す図である。(B)は背凭れに後ろ向きの力が加えられている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1から図6に、本発明の背凭れ追従機構の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明の背凭れ追従機構を図1に全体構造を示す椅子20に適用した場合を例に挙げて説明する。また、本明細書においては、椅子20の座12に座った着座者を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0031】
本実施形態の椅子20は、キャスターを有する脚21と、脚21の脚支柱21aの頂部に取り付けられ支持されるベースフレーム8と、ベースフレーム8の後寄り部分に前端部分が揺動可能に取り付けられる背フレーム支持部材1と、ベースフレーム8の前端部に前寄り部分が連結されると共に背フレーム支持部材1と後ろ寄り部分が連結される座受け部材11と、座受け部材11に支持される座12と、背フレーム支持部材1の後端部分に下側部分が取り付けられる背フレーム5と、背フレーム5の上端部に上寄り部分が支持されると共に座受け部材11の後端部にリンク部材3を介して下端部が連結される背板2とを有する。そして、この椅子20は、座部(座受け部材11,座12)と背凭れ(背板2)とが別体のものとして構成されている。なお、図3においては、背板2及び背フレーム支持部材1・背フレーム5に纏わる構成に関係がない部材は図示を省略している。
【0032】
なお、本実施形態では図示していないが、背板2の前面にクッション材を取り付けるようにしても良いし、さらに、クッション材と背板2の少なくとも縁部とを覆うカバーを備えるようにしても良い。
【0033】
また、ベースフレーム8,座受け部材11,背フレーム支持部材1(1a,1b)は、左右一対の対向する板状部材を側壁として有するものとして構成される。
【0034】
ベースフレーム8は、左右の側壁を連結する底板を備える後端寄りの部分8aが例えばボルト結合やテーパー嵌合によって脚支柱21aの上端に取り付けられる。
【0035】
ベースフレーム8の後ろ寄り部分と背フレーム支持部材1の前端部分とはこれらの左右両側壁を貫通する左右方向の揺動軸8dによって揺動可能に連結され、これによって背フレーム支持部材1・背フレーム5のロッキングが可能になる。
【0036】
背フレーム支持部材1は、ベースフレーム8と連結する前端部分から後方斜め上向きに延出する傾斜部材1aと、当該傾斜部材1aの後寄りの部分に下端部が結合すると共に座12及び背板2の後方に上下方向に配置される直立部材1bとからなる。
【0037】
ベースフレーム8の左右両側壁の前端部分には概ね前後方向の貫通長孔8bが形成され、貫通長孔8b内を前後方向に摺動可能に貫通する左右方向の揺動軸8cによってベースフレーム8の前端部分と座受け部材11の前寄り部分とが揺動可能に連結される。なお、揺動軸8cは、座受け部材11に形成されている軸受け11bによって把持され支持されている。
【0038】
また、背フレーム支持部材1の傾斜部材1aの中間部と座受け部材11の後ろ寄り部分とはこれらの左右両側壁を貫通する左右方向の揺動軸1cによって揺動可能に連結される。
【0039】
ベースフレーム8と背フレーム支持部材1との間には、前端部がベースフレーム8の中間部に固定されると共に後端部が背フレーム支持部材1(傾斜部材1a)の前端(下端)部に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結される反力機構13が介在している。本実施形態では、反力機構13として圧縮コイルばねが圧縮した状態で前後方向に設けられる。そして、当該反力機構13により、背フレーム支持部材1の前端部分は後ろ斜め下向きに常時付勢され、背フレーム5を介して背板2を起立させた状態が維持される。
【0040】
さらに、ベースフレーム8と背フレーム支持部材1との間には、前端部がベースフレーム8の後端部に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結されると共に後端部が背フレーム支持部材1の中間部(傾斜部材1aの後ろ寄りの部分)に左右方向の連結ピンを介して揺動可能に連結される傾動調整機構15が介在している。本実施形態では、傾動調整機構15として伸縮ロック機構付きのガススプリングが前後方向に設けられる。
【0041】
そして、傾動調整機構15はベースフレーム8及び背フレーム支持部材1(傾斜部材1a)と共に三角形状のリンク機構を構成し、傾動調整機構15の長さ変化可能な場合(即ち伸縮フリー状態)には背フレーム支持部材1はベースフレーム8に対して揺動可能である一方で、傾動調整機構15の長さを固定した場合(即ち伸縮ロック状態)では背フレーム支持部材1はベースフレーム8に対して揺動することができない。すなわち、傾動調整機構15の長さ可変と長さ固定とを切り替えることで背板2の前後傾斜角度を調整した上でロックすることができる。なお、傾動調整機構15の長さ可変と長さ固定、言い換えると、伸縮フリー状態と伸縮ロック状態との切り替えは図示しないレバーの操作によって行われる。レバーによる傾動調整機構15の操作の仕組みは、従来の種々のものが利用可能であり、この仕組み自体は周知の技術であるのでここでは詳細については省略する。
【0042】
また、本実施形態では、座受け部材11と座12とは、座12の平面視で四隅寄りの位置に配置された弾性支持部材12a及び平面視で中央に配置された連結支持機構12bによって連結されている。
【0043】
連結支持機構12bは、機構としては、前後左右に配置された四本の揺動軸ピンによって座受け部材11と座12とを前後及び左右に傾動可能に連結する(なお、連結支持機構12bは後述する連結機構6と同様の構成を有する機構である)。すなわち、本実施形態では連結支持機構12bとしてユニバーサルジョイントを使用している。ただし、ユニバーサルジョイントに限るものではなく、例えばピボット軸受け、ボールジョイント等でも良く、あるいはコイルスプリングやゴム製ブロック等の弾性体の変形を利用して傾動可能に支持しても良い。なお、本実施形態では揺動軸ピンを前後方向と左右方向とに向けて配置するようにしているが、揺動軸ピンの配置の方向はこれに限られるものではない。
【0044】
この構造により、本実施形態では、座受け部材11に対して座12が連結支持機構12bを支点として前下がり傾斜及び左右傾斜をし得ると共に、荷重がかけられていないときには座12が例えば水平状態で安定するように支持される。一方で、座12下面後端部には下向きに突出する凸部12cが形成されており、当該凸部12cが座受け部材11の上面後端部に当接することによって後ろ下がり傾斜はしないようになっている。ただし、凸部12cを設けない構造であっても良い。
【0045】
背フレーム5は左右一対の左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとによって構成され、左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとはそれぞれアーム5aと当該アーム5aの中間部分同士を結合する結合板部材5bとからなる。
【0046】
そして、左背フレーム5Aの結合板部材5bと右背フレーム5Bの結合板部材5bとを前後に重ね合わせた状態で、これら結合板部材5b,5bと背フレーム支持部材1の直立部材1bの上端部分とがボルトによって固定される。また、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bのそれぞれの下端部分と背フレーム支持部材1の傾斜部材1aの後端部(鈎形に内側に折れ曲がっている)とがボルトによって固定され、これにより、二本のアーム5a,5aが離間した状態で背フレーム支持部材1に背フレーム5が取り付けられる。
【0047】
なお、背フレーム5は、椅子としての通常の使用において想定される力がかけられた場合に容易には変形しない程度の剛性を発揮し得る材質によって形成される。
【0048】
そして、本発明の背凭れ追従機構は、座部(11,12)と、当該座部(11,12)に揺動可能に連結された背支桿(1,5)に支持される背凭れ(2)とを別体のものとして有する椅子(20)において、背凭れ(2)の上部が背支桿(1,5)に支持され、背凭れ(2)の下部は背支桿(1,5)に支持されていないと共にリンク部材(3)を介して座部(11,12)と連結されて背支桿(1,5)の傾動とは独立して動くようにしている。
【0049】
なお、本実施形態では、座受け部材11と座12とによって座部が構成され(言い換えると、座受け部材11及び座12が座部に該当する)、背フレーム支持部材1と背フレーム5とによって背支桿が構成されている(言い換えると、背フレーム支持部材1及び背フレーム5が背支桿に該当する)。
【0050】
また、本実施形態では、背凭れに該当するものとして背板2のみを図示し説明しているが、前述の通りクッション材やカバーを有するものとして背凭れを構成するようにしても良い。
【0051】
そして、本実施形態では、背凭れ(2)の上部は、背支桿(1,5)に設けられた連結機構(6)を介して支持されており、当該連結機構(6)が備える縦軸(L)及び横軸(H)によって軸回転可能に背支桿(1,5)に支持されるようにしている。
【0052】
本実施形態では、さらに、リンク部材(3)は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピン(3a)を介して一端が座部(11,12)の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピン(3b)を介して他端が背凭れ(2)の下部と揺動可能に連結されるようにしている。
【0053】
また、本実施形態では、リンク部材3は座受け部材11の左右両側に配置されて左右一対で二つ設けられる。
【0054】
背板2は、本実施形態では、平面視は左右中央部が後方に張り出している(後方に撓んでいる)湾曲形状であると共に側面視は背凭れ点2aを中心とする着座者の腰部周囲が前方に張り出している(突出している)形状であり、全体が一体として可撓性を有する材質で成形される。背板2は、具体的には例えばポリプロピレン,ナイロン等の樹脂によって成形される。ただし、背板2の材質となり得る樹脂はこれらに限られるものではなく、また、樹脂以外の材質によって背板2を成形しても良い。
【0055】
また、本実施形態では、背板2の前方に張り出す張出部(突出部)である背凭れ点2aの上下を特に変形し易くして背凭れ点2aを張り出させ易くするために背凭れ点2aの上下位置のそれぞれに左右方向のスリット2b,2bが形成される。なお、スリットの本数は、二本に限られるものではなく、例えば背凭れ点2aの位置に一本のスリットを形成するようにしても良いし、三本以上のスリットを形成するようにしても良い。また、背凭れ点2aの周囲を他の部分と比べて特に変形し易くするために、スリット(即ち、左右方向の細長孔)に限らず、例えば細長や円形や多角形の凹み若しくは貫通孔を一つ若しくは複数形成するようにしても良い。また、背板2を変形し易くするためにスリット等が形成されていることが好ましいが、背板2にスリット等が形成されていなくても良い。スリット等が形成されていなくても、可撓性を有する背板2の変形は可能である。
【0056】
さらに、本実施形態では背板2全体を一体として可撓性を有する材質によって成形することで背板2を変形可能にしているが、背板2の上部分と下部分と(或いは更に中間部分と)を別部材として成形すると共に可撓性を有する材質(例えば樹脂ヒンジ等)や蝶番などを用いてこれら上部分と(中間部分と)下部分とを連結することによって背板2を屈曲させて変形可能にしても良い。この場合には、上部分と下部分と(更に中間部分と)は可撓性を有しない材質で成形するようにしても良い。
【0057】
背フレーム5の左背フレーム5A及び右背フレーム5Bのそれぞれの上端部と背板2後面(背面)の上端寄りの左右両端の部分とは連結機構6によって連結される。なお、左右の背フレーム5A,5Bによる背板2の支持位置は、背板2の背面に限られるものではない。具体的には例えば、背板2の左右両縁面に、背板2の左右両端から外側に張り出すように連結機構6を取り付けるようにしても良い。
【0058】
連結機構6は、左右の背フレーム5A,5Bのそれぞれに設けられ、図4に示すように、把持部材6a・6a,取付部材6b,回転ブロック6c,揺動縦軸ピン6d・6d,揺動横軸ピン6e・6eからなる。すなわち、本実施形態では背板2と左右の背フレーム5A,5Bとの連結機構6としてユニバーサルジョイントを用いるようにしているが、連結機構はユニバーサルジョイントに限定されるものではなく、例えばピボット軸受けやボールジョイント等でも良く、或いはコイルスプリングやゴム製ブロック等の弾性体を利用しても良い。
【0059】
取付部材6bは板状をなし、この板状の取付部材6bの一方の面から二枚の板状の把持部材6a,6aが対向して延出する。すなわち、これら把持部材6a,6aと取付部材6bとは全体として側面視コ字形に形成される。把持部材6a各々には貫通ねじ孔が形成される。
【0060】
板状の取付部材6bのうち把持部材6a側とは反対側の面が背板2後面の上端寄りの左右端部に例えばねじ止めされて取り付けられる。
【0061】
二枚の把持部材6a,6aの間に回転ブロック6cが配置される。回転ブロック6cには中心位置において直交する二本の貫通孔が形成される。なお、本実施形態では回転ブロック6cは立方体に形成されているが、回転ブロック6cの形状はこれに限られるものではなく、例えば球であっても良い。
【0062】
そして、二本の揺動縦軸ピン6d,6dが上側把持部材6aの上方と下側把持部材6aの下方とからそれぞれ把持部材6aに形成された貫通ねじ孔を貫通して回転ブロック6cの貫通孔に挿入されて二枚の把持部材6a,6aの間に回転ブロック6cが取り付けられる。なお、揺動縦軸ピン6dの軸部(ピン)は、回転ブロック6cに形成されている二本の貫通孔が交わる部分までは到達しない長さに調整される。
【0063】
ここで、揺動縦軸ピン6d,6dの軸部の先端部分にはねじ山が形成されていない一方で軸部の根もと部分にはねじ山が形成されており、これにより、揺動縦軸ピン6d,6dは、軸部根もと部分のねじによって把持部材6a,6aに対してねじ止めされ固定されると共に、軸部先端部分によって回転ブロック6cを摺動軸回転可能に支持する。
【0064】
すなわち、回転ブロック6cは、揺動縦軸ピン6d,6dによって把持部材6a,6aに対して縦軸Lを中心に軸回転可能に支持される。なお、縦軸Lは概ね上下方向軸である。
【0065】
背フレーム5のアーム5aの上端部分は開口部を背板2側に向けた横断面コ字形に形成され、左右の側壁のそれぞれから背板2に向けて対向して突出する二枚の板状の把持部5c,5cが形成される。把持部5c各々には貫通ねじ孔が形成される。
【0066】
そして、二つの把持部5c,5cが回転ブロック6cを左右から挟んだ状態で二本の揺動横軸ピン6e,6eが右側把持部5cの右側方と左側把持部5cの左側方とからそれぞれ把持部5cに形成された貫通ねじ孔を貫通して回転ブロック6cの貫通孔に挿入されて回転ブロック6cに背フレーム5のアーム5a上端部分が連結される。なお、揺動横軸ピン6eの軸部(ピン)は、回転ブロック6cに形成されている二本の貫通孔が交わる部分までは到達しない長さに調整される。したがって、前述の揺動縦軸ピン6dの構造と相まって、揺動縦軸ピン6d,6dと揺動横軸ピン6e,6eとは回転ブロック6c内で相互に接触することがない。
【0067】
ここで、揺動横軸ピン6e,6eの軸部の先端部分にはねじ山が形成されていない一方で軸部の根もと部分にはねじ山が形成されており、これにより、揺動横軸ピン6e,6eは、軸部根もと部分のねじによって把持部5c,5cに対してねじ止めされ固定されると共に、軸部先端部分によって回転ブロック6cを摺動軸回転可能に支持する。
【0068】
すなわち、アーム5a上端部分は、揺動横軸ピン6e,6eによって回転ブロック6cに対して横軸Hを中心に軸回転可能に連結される。なお、横軸Hは左右方向軸である。
【0069】
上述の構成により、背板2の上部左右両端部は、回転ブロック6cを介して縦軸Lを中心に軸回転可能及び横軸Hを中心に軸回転可能、且つ、高さ位置は固定されて背フレーム5(アーム5a)の上端部に支持される。このように背フレーム5(アーム5a)による背板2の支持部分を各方向に軸回転可能にすることにより、背板2が変形する際に当該支持部分に応力が集中することがないので部品の破損や摩耗を防ぐことができると共に、背板2が円滑に変形し易くなるので使い勝手や使い心地が良くなる。
【0070】
一方、図5に示すように、座受け部材11の左右の側壁の後端部には背板連結部11cが設けられる。本実施形態では、背板連結部11cは、座受け部材11の左右の側壁の後端部より後ろ向きから上向きに屈曲する板状に形成される。そして、背板連結部11cの後ろ上端部分には貫通孔が形成される。なお、図5においては、リンク部材3に纏わる構成に関係がない部材は図示を省略している。
【0071】
また、背板2前面の下端部の左右両端部には前方に突出する板状のリンク連結部2cが設けられ、当該リンク連結部2cには貫通孔が形成される。なお、リンク連結部2cは、背板2と一体成形されるものであっても良いし、背板2に例えば金具を取り付けて構成するようにしても良い。
【0072】
リンク部材3は細長板状に形成されて長手方向の両端部には貫通孔が形成される。そして、リンク部材3の一端(前端)が当該リンク部材3の貫通孔と座受け部材の背板連結部11cの貫通孔とを貫通する左右方向の連結ピン3aによって座受け部材11に対して揺動可能に連結され、リンク部材3の他端(後端)が当該リンク部材3の貫通孔と背板のリンク連結部2cの貫通孔とを貫通する左右方向の連結ピン3bによって背板2に対して揺動可能に連結される。
【0073】
このように座受け部材11後部と背板2下部との間にリンク部材3を介在させることにより、背板2の下部左右両端部は、座受け部材11及び座12とは独立して、座受け部材11及び座12の後端部と一定の距離を保ちながら左右方向即ち横軸方向の連結ピン3a,3bを中心に軸回転する(言い換えると、背板2の下部左右両端部は、連結ピン3aを中心に公転しながら、連結ピン3bを中心に自転する)。なお、背板2の下部と座部(11,12)の後部との連結の仕方は本実施形態の構成に限られるものではない。
【0074】
上述のように、本発明の背凭れ追従機構は、背板2の上部は連結機構6によって高さ位置固定且つ縦軸中心及び横軸中心回転可能に背フレーム5に支持されると共に、背板2の下部はリンク部材3によって一定範囲内で横軸中心回転可能に座受け部材11に連結される。
【0075】
したがって、着座者の着座点12dと背凭れ点2aとの間隔について、背板2に力が加えられていない状態における間隔Mと着座者が背板2に寄りかかった状態における間隔M'とを比較すると、従来型の背凭れの傾動の仕組みの場合(図7)には間隔Mよりも間隔M'の方が大きくなってしまうのに対し、本発明の背凭れ追従機構の場合(図6)には間隔Mと間隔M'との差は殆どない。すなわち、本発明の背凭れ追従機構によれば、上述の構成により、背板2に力が加えられていない状態と着座者が背板2に寄りかかった状態とでの着座点12dと背凭れ点2aとの間隔(M,M')の変化が小さく、つまり、背板2を傾動させる際の背凭れ点のずれが小さく、背凭れに寄りかかる度の着座者の衣服のずれ上がり等の着衣の乱れが防止される。なお、図6及び図7においては、反力機構13及び傾動調整機構15の図示を省略している。
【0076】
また、本発明の背凭れ追従機構によれば、上述の構成により、図2に示すように、背板2に力が加えられていない状態(図中一点鎖線)から着座者が背筋を伸ばして後傾することによって背板2の上部に後ろ斜め下向きの力(図中の矢印F)が加えられた状態(図中実線)になると背凭れ点2aが前方に張り出して(図中の矢印P)着座者の背面に追従し密着するので、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。また、このとき、連結機構6を本実施形態のように縦軸中心及び横軸中心回転可能に構成すれば連結機構6が背板2と背フレーム5(アーム5a)との間の捩れや撓みの動きを抑制することがないので、背板2の必要な変形が円滑に行われる。
【0077】
また、本発明の背凭れ追従機構によれば、背板2の下部が背フレーム5に支持されていないので、背板2は、背フレーム5の後傾とは独立して、背板2に寄りかかった際の着座者の背面の角度に合わせた傾動をすることができる。この点からも、本発明によれば、着座者の背面への追従性が高く、着座者の背面の良好・快適なフィット感・サポート感が発揮される。
【0078】
なお、本発明では、背板2下部を、背フレーム5に支持・連結させることなく、リンク部材3によって座部(11,12)のみと連結させることにより特有の構成を成立させている。すなわち、リンク部材3を設け且つ背板2と背フレーム5とが連結されている場合には、後傾する際に背板上下中央部分は背支桿によって後方に引っ張られるにもかかわらず、すなわち背板と座部との間隔が一定間隔から変化しようとするにもかかわらず、背板下部はリンク部材の連結によって一定以上離間できなくなっており、結果的に両者の動きに矛盾が生じるために動けなくなってしまう。そこで本発明は、背板下部をリンク部材によって座部のみと連結することにより、背板下部と座部との間隔を一定に保ちつつ背板下部と背支桿とを離間させるようにして背板上下中央部分に矛盾を生じさせないようにしている。
【0079】
上述の通り、本発明の背凭れ追従機構によれば、背凭れの寄りかかり利用の際に背凭れ点をずらさないで着座者の背中を支持することができると共に背凭れを後傾させた場合に十分なフィット感・サポート感を発揮することができる。
【0080】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、本発明の背凭れ追従機構を図1に全体構造を示す椅子20に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明が適用され得る椅子は座部と背凭れとが別体のものとして構成されている椅子であれば上述の実施形態の椅子20に限られるものではない。
【0081】
具体的には例えば、上述の実施形態では座部が座受け部材11と座12とによって構成されるようにしているが、本発明における座部は少なくとも座面を有するものであれば上述の実施形態の構成に限られるものではなく、上述の実施形態の座受け部材11と座12とに対応する構成が一体のものとして構成されている座部であっても良い。また、座受け部材11による座12の支持の仕組みも上述の実施形態の構成に限られるものではなく、例えば、弾性支持部材12aや連結支持機構12bを備えていなくても良い。
【0082】
具体的には例えば、また、上述の実施形態では背支桿が背フレーム支持部材1と背フレーム5とによって構成されるようにしているが、本発明における背支桿は座部に対して背凭れの上部を支持するものであれば上述の実施形態の構成に限られるものではなく、例えば上述の実施形態の背フレーム支持部材1と背フレーム5とに対応する構成が一体のものとして構成されている背支桿であっても良い。
【0083】
また、上述の実施形態では回転ブロック6cが背板2に対して縦軸Lを中心に軸回転可能に支持されると共にアーム5a上端部分が回転ブロック6cに対して横軸Hを中心に軸回転可能に連結されるようにしているが、軸回転の方向の関係は逆でも良い。すなわち、背板2側の二枚の把持部材6a,6aの対向方向とアーム5a側の二枚の把持部5c,5cの対向方向とを90度回転し、回転ブロック6cが背板2に対して横軸を中心に軸回転可能に支持されると共にアーム5a上端部分が回転ブロック6cに対して縦軸を中心に軸回転可能に連結されるようにしても良い。また、上述の実施形態では連結機構6は縦軸中心及び横軸中心回転可能であるように構成されているが、横軸(H)中心でのみ回転可能であるように構成しても良い。この場合にも、背板2の背凭れ点2aが前後方向に移動するように変形する際の主要な軸回転の自由度が確保されるので支持部分における応力の集中を大幅に軽減することができる。さらに、左右の背フレーム5A,5Bによって背板2を支持するための両者の連結は、連結機構6を用いた上述の実施形態のようにフレキシブルな連結でなく、固定的な連結であっても良い。この場合でも、可撓性を有する背板2の変形は可能である。
【0084】
また、上述の実施形態ではリンク部材3の前端部と座受け部材11とを揺動可能に連結するようにしているが、リンク部材3と座受け部材11とは固定的で揺動不能に連結されるようにしても良い。すなわち、少なくともリンク部材3の後端部と背板2とが揺動可能に連結されていれば背板2が変形して背凭れ点2aが前方に張り出すと共に着座者の着座点12dと背凭れ点2aとの間隔(M,M')の変化が小さくなる。
【0085】
そして、リンク部材3の前端部を座受け部材11に対して固定して揺動不能に取り付ける場合には、図8に示すように、座受け部材11側に背板連結部11cを設けずに、リンク部材3の前端部を座受け部材11の側壁に直接固定して取り付けるようにしても良い。この場合には部品点数の増加を抑制して本発明の構成を実現することができる。付け加えると、本発明におけるリンク部材は、背板2下部と座部(11,12)とを連結し得るものであれば上述の実施形態の形状・構成に限られるものではない。すなわち、リンク部材3の形状は上述の実施形態や図8に示す形態のものに限られるものではなく、また、上述の実施形態のように背板2や座受け部材11とは別部材として設けられるものであっても良いし、図8に示す形態のように座受け部材11と結合してその一部として設けられるものであっても良い。
【0086】
また、上述の実施形態ではリンク部材3を左右一対で二つ設けるようにしているが、リンク部材3の個数は二つに限られるものではなく、例えば、背板2の左右中央に更に一つ設けて合計三つ設けるようにしても良いし、背板2の左右中央に一つのみ設けるようにしても良い。
【0087】
また、上述の実施形態(以下、第一の実施形態という)の構成に加え、着座者の背面への背凭れの追従性を高めるため、背凭れの横断面形状の後方への撓み量を調整する構造(以下、背凭れ撓み量調整機構という)を更に備えるようにしても良い。以下、図9から図14を用いて背凭れ撓み量調整機構を有する場合の実施形態(以下、第二の実施形態という)について説明する。なお、以下に説明する第二の実施形態において第一の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0088】
第二の実施形態では、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bが、各々の結合板部材5b,5bが前後に重ね合わせられると共に各々のアーム5a,5aが離間した状態で、背フレーム支持部材1の直立部材1bの上端部分に揺動可能に取り付けられる。そして、左右一対の背フレーム5A,5Bによって、これら背フレーム5A,5Bによって支持されると共に弾性変形可能な背板2に左右方向の力を加えて背板2を撓ませることにより背板2の後方への撓み量が調整される。
【0089】
背フレーム5を構成する左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとの各々の結合板部材5bには貫通孔5dが形成される。そして、第二の実施形態の背凭れ撓み量調整機構では、この貫通孔5dを中心として左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとが揺動することによって背板2に左右方向の力が加えられたり解除されたりする。
【0090】
左背フレーム5A,右背フレーム5Bそれぞれの貫通孔5dには帯板環状の摺動支持部材3が取り付けられる。摺動支持部材3の内側縁辺部には当該縁辺部を一周する環状の突起部3aが形成される。そして、左背フレーム5Aに対しては前側から、右背フレーム5Bに対しては後ろ側から貫通孔5dに突起部3aを嵌め合わせて摺動支持部材3が取り付けられる。なお、左背フレーム5A及び右背フレーム5Bは摺動支持部材3に対して摺動可能である。
【0091】
一方、背フレーム支持部材1の直立部材1bは、上端部分であって左右一対の対向する側壁の間に板部16aを備えると共に、当該板部16aから後ろ向きに延出する環状の周壁を有する摺動支持部16bを備える。また、摺動支持部16bの中央位置には貫通ねじ孔16cが形成される。
【0092】
そして、背フレーム支持部材1の直立部材1b上端部の摺動支持部16bに、結合板部材5bの前面側に摺動支持部材3が取り付けられた左背フレーム5Aが摺動支持部材3中央の貫通孔に摺動支持部16bを貫通させて取り付けられ、さらに、結合板部材5bの後ろ面側に摺動支持部材3が取り付けられた右背フレーム5Bが摺動支持部材3中央の貫通孔に摺動支持部16bを貫通させて取り付けられる。
【0093】
このとき、上述の構成によって当接することになる左背フレーム5Aの結合板部材5bと右背フレーム5Bの結合板部材5bとは摺動可能である。
【0094】
さらに、右背フレーム5Bに取り付けられた摺動支持部材3の後ろ面に円盤状の蓋部材4が備えられる。
【0095】
蓋部材4の中央位置には貫通孔4aが形成されており、当該貫通孔4aから直立部材1bの摺動支持部16b中央の貫通ねじ孔16cまで到達し貫通するねじ14が貫通孔4aから挿入されて貫通ねじ孔16cにねじ込まれる。
【0096】
これにより、左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとは、背フレーム支持部材1の直立部材1b上端部に対し、摺動支持部16bを介して左右に揺動可能に取り付けられる。
【0097】
続いて、本実施形態における操作部としての操作レバー17による操作を伝達して左背フレーム5Aと右背フレーム5Bとに左右方向の力を加えて左右の背フレーム5A,5Bを揺動させるための操作伝達機構は、本実施形態では、上部リンク7A及び左右一対の下部リンク7B,7B(以下、左右下部リンク7B,7Bとも適宜表記する)を含むリンク機構7と左右一対のスライダー9,9とを有する。
【0098】
本実施形態の操作レバー17は、グリップ17aと、当該グリップ17aから延出する第一主軸部17bと、当該第一主軸部17bから屈曲して軸心位置が第一主軸部17bの軸心位置から偏心している偏心軸部17cと、当該偏心軸部17cから再度屈曲して第一主軸部17bと軸心位置を同じくする第二主軸部17dとからなる。
【0099】
背フレーム支持部材1の直立部材1bを構成する左右一対の対向する側壁の中間位置には貫通孔が設けられる。そして、当該貫通孔に操作レバー17の軸部が挿入され、直立部材1bの一方の側壁に操作レバー17の第一主軸部17bが回転可能に支持されると共に他方の側壁に第二主軸部17dが回転可能に支持され、左右一対の側壁の間に偏心軸部17cが配置される。
【0100】
上部リンク7Aは細長板状に形成され、上端部分に貫通孔7Aaが設けられる。そして、上部リンク7Aは、貫通孔7Aaに操作レバー17の偏心軸部17cを貫通させて直立部材1bを構成する左右一対の側壁の間に配置される。
【0101】
上部リンク7Aは、前面から前方に突出する凸部に固定されるガイド板7Abと、後ろ面から後方に突出する凸部に固定される下部リンク取付板7Acとを備える。
【0102】
本実施形態では、上部リンク7Aのガイド板7Abをガイド保持するために摺動保持するリンク支持機構18を備える。リンク支持機構18を取り付ける基部として、背フレーム支持部材1の直立部材1bは、中間部分であって左右一対の対向する側壁の間に板部18aを備える。当該板部18aには貫通ねじ孔(本実施形態では六つ)が形成される。
【0103】
直立部材1bの左右の側壁の間の板部18aの後ろ面には、中央の空間にガイド板7Abを収容する枠部材18bが備えられる。枠部材18bの枠部分には、直立部材1bに設けられる板部18aの貫通ねじ孔の位置に合わせて貫通孔が形成される。
【0104】
また、枠部材18bの後ろ面には、左右中央位置に上下方向のスリット(ガイド板7Abの左右方向の幅よりも狭い)を有する蓋部材18cが備えられる。蓋部材18cの周縁部にも、直立部材1bに設けられる板部18aの貫通ねじ孔の位置に合わせて貫通孔が形成される。
【0105】
そして、板部18aに枠部材18bが備えられ、当該枠部材18bの内側空間にガイド板7Abが収納され、上部リンク7Aのガイド板7Abが固定される前面の凸部を上下方向のスリットに貫通させて蓋部材18cが備えられ、蓋部材18cの貫通孔からボルトが挿入されて枠部材18bの貫通孔を通過して板部18aの貫通ねじ孔にねじ止めされる
【0106】
上述によりガイド板7Abを摺動可能に収容した状態で枠部材18b及び蓋部材18cが板部18aに固定され、枠部材18b及び蓋部材18cはガイド板7Abを摺動可能に保持することによって上部リンク7Aの上下方向の動きをガイドする。
【0107】
下部リンク7Bの長手方向の両端寄りの位置には貫通孔が形成される。また、下部リンク7Bの長手方向の両端部は円弧状に形成され、一方の端部にはギヤが形成される。
【0108】
また、上部リンク7Aの下部リンク取付板7Acには左右一対のねじ孔が形成される。そして、ねじ山が形成されていない根もと部分とねじ山が形成されている先端部分とからなる軸部を有する揺動軸ピンにより、下部リンク7Bのギヤが形成されている端部側の貫通孔と下部リンク取付板7Acの貫通孔との位置を合わせた状態で、下部リンク取付板7Acに対して二本の下部リンク7B,7Bが揺動可能に取り付けられる。
【0109】
背フレーム支持部材1の直立部材1bの下端寄りの位置には、スライダーガイド19が取り付けられる。スライダーガイド19は、底板及び前壁と左右の側壁とを有し、スライダープレート19aを介して底板及び前壁によって左右一対のスライダー9,9を摺動可能に支持する。
【0110】
スライダーガイド19の左右の側壁のそれぞれには貫通孔が設けられると共に、スライダー9,9にも左右方向の貫通孔が設けられる。そして、スライダーガイド19は、当該スライダーガイド19内に左右一対のスライダー9,9を載置した状態で、スライダーガイド19の左右の側壁の貫通孔及び左右一対のスライダー9,9の左右方向の貫通孔の全てを貫通するスライダー軸19bを備える。なお、スライダーガイド19に備えられた状態でスライダー軸19bの両端にはストッパ(図示省略)が取り付けられて抜け止めされる。
【0111】
これにより、各スライダー9は、スライダーガイド19及びスライダープレート19aに支持されると共にスライダー軸19bによってガイドされながら、上下位置固定の状態で左右方向に摺動する。
【0112】
各スライダー9の後ろ面にはねじ孔が形成される。また、前述の通り、左右下部リンク7B,7Bの長手方向の両端寄りの位置には貫通孔が形成される。さらに、左右の背フレーム5A,5Bのそれぞれには下端部に貫通孔5eが形成される。なお、貫通孔5eは左右の背フレーム5A,5Bの設置状態において左右の二つでハの字形をなす傾斜を有する長孔に形成される。
【0113】
そして、左右一対のスライダー9,9それぞれの後方に、当該スライダー9後ろ面のねじ孔の位置にギヤが形成されていない端部側(即ち下端側)の貫通孔の位置を合わせて左右下部リンク7B,7Bの下端部分が備えられ、その後方に、スライダー9後ろ面のねじ孔の位置に下端部の貫通孔5eの位置を合わせて左右の背フレーム5A,5Bの下端部分が備えられる。その上で、ねじ山が形成されていない根もと部分とねじ山が形成されている先端部分とからなる軸部を有する揺動軸ピンが背フレーム5A,5Bの貫通孔及び下部リンク7Bの貫通孔を貫通すると共にスライダー9のねじ孔に挿入されてねじ止めされる。
【0114】
これにより、スライダー9に対して下部リンク7B及び背フレーム5A,5Bが揺動可能に連結される。なお、左右下部リンク7B,7Bは背面視ハの字形に取り付けられる。
【0115】
上述の構成により、左右の背フレーム5A,5Bは、スライダー9が左右にスライドすることによって貫通孔5dを中心として揺動する。
【0116】
具体的には、前述の通り本実施形態の操作レバー17は、軸心位置を同じくする第一主軸部17b及び第二主軸部17d、並びに、これら主軸部17b,17dの軸心位置から偏心している偏心軸部17cとを有する。そして、偏心軸部17cに上部リンク7Aが連結されているので、操作レバー17を軸回転させることによって上部リンク7Aが上下移動する。
【0117】
そして、上部リンク7Aの下端部に左右下部リンク7B,7Bの上端部が連結されていると共に左右下部リンク7B,7Bそれぞれの下端部に上下位置が固定されたスライダー9が連結されているので、上部リンク7Aが上下移動すると下部リンク7Bは上端部の上下移動を下端部を左右方向にスライドさせることによって吸収するようにし、スライダー9が左右に移動する。
【0118】
上部リンク7Aが上向きに移動すると左右下部リンク7B,7Bの下端部に連結される左右のスライダー9,9は相互に近づくように移動し、これらに下端部が連結する左右の背フレーム5A,5Bは貫通孔5dを中心として揺動して上端部分が相互に離れるように移動し、背板2の上側部分に左右方向の力が加えられる。具体的には、背板2の上側部分は左右方向に拡げられ、背板2の横断面形状の後方への撓み量が小さくなる(図10)。
【0119】
一方、上部リンク7Aが下向きに移動すると左右下部リンク7B,7Bの下端部に連結される左右のスライダー9,9は相互に離れるように移動し、これらに下端部が連結する左右の背フレーム5A,5Bは貫通孔5dを中心として揺動して上端部分が相互に近づくように移動し、背板2の上側部分に左右方向の力が加えられる。具体的には、背板2の上側部分は左右方向に狭められ、背板2の横断面形状の後方への撓み量が大きくなる(図11;図中の一点鎖線は図2に示す後方への撓み量が小さい場合の背板2の形状)。
【0120】
上述の通り、背凭れ撓み量調整機構も備える第二の実施形態によれば、背板2の横断面形状の後方への撓み量を着座者の好みに合わせて変化させたり体型に合わせて調整したりすることができ、着座者の背面への背凭れの追従性を高めて背凭れの寄りかかり利用の快適性の更なる向上を図ることが可能になる。
【0121】
また、第一の実施形態と同じように背板2の上部左右両端部を連結機構6によって縦軸L及び横軸Hを中心に軸回転可能に背フレーム5(アーム5a)で支持して背板2の支持部分を各方向に軸回転可能にすることにより、背板2の背凭れ点2aが前後方向に移動すると共に横断面形状の撓み量が変化する変形の自由度が高いので、背板2の必要な変形が円滑に行われ変形し易く使い勝手や使い心地が良くなると共に、支持部分に応力が集中することがなく部品の破損や摩耗を防ぐことができる。
【0122】
また、左右一対の背フレームによって背板若しくは背枠に左右方向の力を加える機構の構成は上述の第二の実施形態のものには限られない。具体的には例えば、図15に示すように(第三の実施形態)、左右のスライダー9,9をねじ機構22によって左右方向に摺動させるようにしても良い。本実施形態における操作部としてのねじ機構22は、グリップ22aと、当該グリップ22aから延出して設置状態において左右方向の軸22bと、当該軸22bの左右両側に設けられる左側ねじ22c及び右側ねじ22dとを有する。そして、例えば、左側ねじ22cのねじ山が左ねじの雄ねじであると共に左背フレーム5A下端部に連結するスライダー9に左右方向の左ねじの雌ねじ貫通孔が形成され(左ねじれはすば歯車と左ねじれウォームとの組み合わせ)、右側ねじ22dのねじ山が右ねじの雄ねじであると共に右背フレーム5B下端部に連結するスライダー9に左右方向の右ねじの雌ねじ貫通孔が形成される(右ねじれはすば歯車と右ねじれウォームとの組み合わせ)。このねじ機構22を用いた構成によってもグリップ22aを持って回転操作することによって左右のスライダー9,9を相互に近づけたり離れさせたりすることができ、それによって左右の背フレーム5A,5Bを揺動させて背板2に左右方向の力を加えることができる。ねじ機構22を用いた場合には背板2の後方への撓み量を無段階に調整することとができる。
【0123】
また、第二及び第三の実施形態ではスライダー9を背フレームのアーム5aの下端部と連結させるようにしているが、スライダー9と背フレームのアーム5aとの連結位置はこれに限られるものではない。例えば、背フレームの結合板部材5bよりも上方位置においてスライダー9とアーム5aとを連結させるようにしても良い。具体的には、図16に示すように(第四の実施形態)、操作部としてねじ機構22を適用して左右のスライダー9,9のそれぞれを左右の背フレーム5A,5Bのアーム5a,5aと連結させるようにしても良い。
【0124】
また、第二から第四の実施形態では左右の背フレーム5A,5Bをアーム5aと結合板部材5bとを有するものとして構成すると共に結合板部材5bに形成された貫通孔5dを中心に左右の背フレーム5A,5Bを揺動させることによって背板2に左右方向の力を加えるようにしているが、左右の背フレーム5A,5Bの構成及び背フレームを揺動させるための構成はこれに限られるものではない。例えば、図17に示すように(第五の実施形態)、左背フレーム5AをL字形(く字形でも良い)に形成すると共に右背フレーム5Bを左右逆向きのL字形(く字形でも良い)に形成し、左右の背フレーム5A,5Bの下端部のそれぞれに左右のスライダー9,9を連結するようにしても良い。そして、図17に示す例では、左右のスライダー9,9をねじ機構22によって左右方向に摺動させるようにしている。この構成の場合も、操作部としてのねじ機構22により左右のスライダー9,9を左右方向に摺動させることによって左右の背フレーム5A,5Bの間隔を拡げたり狭めたりすることができるので、背板2に左右方向の力を加えることができる。
【0125】
また、第二から第五の実施形態では背板2の後方への撓み量を調整するために左右一対の背フレーム5A,5Bによって背板2に左右方向の力を加えるようにしているが、背板2の後方への撓み量を調整するための構成として図18に示す構成(第六の実施形態)をとるようにしても良い。すなわち、背フレームを背フレーム主部5'と左右方向に延出する背フレームとしての背フレーム左枝部5A'及び背フレーム右枝部5B'とを有するものとして構成し、背フレーム左枝部5A'と背フレーム右枝部5B'とによって背板2の左右両側を支持させる。また、背フレーム左枝部5A'と背フレーム右枝部5B'との中央位置に、グリップ23aとねじ軸部23bとを有する押圧機構23を設ける。そして、グリップ23を回転操作することによってねじ軸部23bを前後方向に出し入れすることによって背板2の左右中央位置への押圧(すなわち、前後方向の力)を調整するようにしても良い。なお、この構成の場合には、押圧機構23による押圧が解除されたときには後方への撓み量が最大になるように背板2が成形される。この構成によっても、背板2の後方への撓み量を調整することができる。
【0126】
また、第二から第六の実施形態では背板2の上部を背フレーム5によって支持するようにしているが、背フレーム5による背板2の支持位置は上部に限られるものではなく、背板2の中間部分であっても構わない。そして、背板2の中間部分において左右方向の力を加えるようにしても背板2の後方への撓み量を調整することができる。なお、背板2の上下中間位置よりも上方において、特に上端寄りの位置において背板2を背フレーム5によって支持するようにすることにより、背板2が下端部において拘束されている場合の当該拘束の影響を受けないので左右方向の力を加えたときに変形させ易い。
【符号の説明】
【0127】
1 背フレーム支持部材
2 背板
3 リンク部材
5 背支桿
11 座受け部材
12 座
20 椅子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、当該座部に揺動可能に連結された背支桿に支持される背凭れとを別体のものとして有する椅子において、前記背凭れの上部が前記背支桿に支持され、前記背凭れの下部は前記背支桿に支持されていないと共にリンク部材を介して前記座部と連結されて前記背支桿の傾動とは独立して動くことを特徴とする背凭れ追従機構。
【請求項2】
前記背凭れの上部は、前記背支桿に設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える横軸によって軸回転可能に前記背支桿に支持されることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項3】
前記リンク部材は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して一端が前記座部の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して他端が前記背凭れの下部と揺動可能に連結されることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項4】
前記リンク部材は左右一対で二つ設けられることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項5】
前記背凭れは、平面視が、後方に撓んでいる湾曲状であることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項6】
前記背凭れは、側面視が、着座者の腰部位置が前方に張り出している突出状であることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項7】
前記背凭れが弾性変形可能であると共に前記背支桿が左右一対の背フレームを有するものとして構成され、前記左右一対の背フレームによって前記背凭れに左右方向の力を加えて前記背凭れを撓ませることにより前記背凭れの後方への撓み量を調整することを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項8】
前記背凭れの上部は、前記左右一対の背フレームのそれぞれに設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える縦軸及び横軸によって軸回転可能に前記左右一対の背フレームに支持されることを特徴とする請求項7記載の背凭れ追従機構。
【請求項1】
座部と、当該座部に揺動可能に連結された背支桿に支持される背凭れとを別体のものとして有する椅子において、前記背凭れの上部が前記背支桿に支持され、前記背凭れの下部は前記背支桿に支持されていないと共にリンク部材を介して前記座部と連結されて前記背支桿の傾動とは独立して動くことを特徴とする背凭れ追従機構。
【請求項2】
前記背凭れの上部は、前記背支桿に設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える横軸によって軸回転可能に前記背支桿に支持されることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項3】
前記リンク部材は、細長板状であると共に長手方向両端部に貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して一端が前記座部の後部と揺動可能に連結されると共に前記貫通孔を貫通する左右方向の連結ピンを介して他端が前記背凭れの下部と揺動可能に連結されることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項4】
前記リンク部材は左右一対で二つ設けられることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項5】
前記背凭れは、平面視が、後方に撓んでいる湾曲状であることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項6】
前記背凭れは、側面視が、着座者の腰部位置が前方に張り出している突出状であることを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項7】
前記背凭れが弾性変形可能であると共に前記背支桿が左右一対の背フレームを有するものとして構成され、前記左右一対の背フレームによって前記背凭れに左右方向の力を加えて前記背凭れを撓ませることにより前記背凭れの後方への撓み量を調整することを特徴とする請求項1記載の背凭れ追従機構。
【請求項8】
前記背凭れの上部は、前記左右一対の背フレームのそれぞれに設けられた連結機構を介して支持されており、当該連結機構が備える縦軸及び横軸によって軸回転可能に前記左右一対の背フレームに支持されることを特徴とする請求項7記載の背凭れ追従機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−55583(P2012−55583A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203663(P2010−203663)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
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