説明

脚立及び梯子用転倒防止具、脚立及び梯子

【課題】加工を施すことなく、様々な大きさや種類の脚立や梯子に対し、簡単に取り付け又は取り外しでき、これらの転倒を防止するのに効果的であるという特徴を維持しつつ、耐久性や安全面、さらには便利性を向上させた脚立及び梯子用転倒防止具の提供。
【解決手段】脚立又は梯子の縦材に取付部材によって取り付けられて、棒状の補助部材によって脚立又は梯子の転倒を防止する転倒防止具であって、取付部材は、縦材に取り付ける取付部と、補助部材に回動の中心を形成するための機構が内部に設けられた筒状体部とが一体的に形成された構造を有し、補助部材は、その回動する動きが筒状体部の内壁と当接することで制止されるように設置され、取付部材を取り付けた状態における縦材と、筒状体部の内壁に当接した補助部材とのなす角が5〜25°になるように構成され、さらに、左右対称構造に形成されていることを特徴とする脚立及び梯子用転倒防止具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚立及び梯子用転倒防止具、脚立及び梯子に関する。さらに詳しくは、脚立や梯子の転倒や揺れを防止するのに好適な脚立及び梯子用転倒防止具、及びこれを取り付けしてなる脚立及び梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人の手が届かない高所で作業などをする場合において、脚立や梯子が広く使用されている。例えば、脚立は、2本の縦材とその間に架設された複数の横桟とを各々有する一対の梯子部を上端部で開閉自在に連結した形態をしており、脚立の使用者は脚立の横桟に乗って作業などを行う。
【0003】
しかしながら、脚立は、その構造上、梯子部の正面方向からの衝撃や揺れに対しては比較的耐久力を発揮するが、梯子部の側面方向からの衝撃や揺れに対しては弱く、脚立が転倒したり、転倒の不安から脚立上での作業が制約されたりするなどの問題を有していた。また、梯子においても、同様の問題があった。
【0004】
このため、現在までに、脚立や梯子の転倒や揺れを防止するために、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、脚立の対向する2本の脚柱間に横架され該脚柱に固定される繋ぎ部と、上記対向する脚柱の外側で上記繋ぎ部から下方に延設された一対の支柱とを備えた脚立用転倒防止治具が提案されている。しかしながら、この脚立用転倒防止治具は、脚立への取り付け又は取り外しの作業が煩雑であり、手間がかかるばかりか、様々な種類や大きさの脚立に対応することができないなどの問題を有していた。
【0005】
また、特許文献2には、脚立足と同サイズの長さの支柱ポールを折畳脚立天頭金具に設置しその支柱ポールを開脚接地させ、その支柱ポールにリングにより付随するL型フックで脚立足本体に固定する脚立の横転倒防止装置が提案されている。この横転倒防止装置は、脚立への取り付け又は取り外しを簡単に行うことが可能であるが、予め、脚立にフック受け金具を設置するなどの加工を施す必要があった。つまり、この横転倒防止装置を使用するためには、保有する脚立ごとに、この加工を施す必要があり、非常に煩雑であった。また、この横転倒防止装置も、様々な種類や大きさの脚立に対応して用いることができず、さらには、この横転倒防止装置は、横側からの衝撃や揺れに対して、1本の支柱ポールで支える構造であるため、十分な転倒防止効果が得られない問題もあった。
【0006】
上記のような問題を解決するために、本発明者は、以下の脚立用転倒防止具を提案した。その1つは、脚立の縦材の周囲を囲む略4角筒状の取付部材と、脚立を支える脚となる棒状の補助脚部材と、補助脚部材の位置を調整するストッパー部材と、取付部材を縦材に取り付けるための圧接部材とからなる脚立用転倒防止具である(特許文献3参照)。また、これを改良したものとして、脚立の縦材に取り付けるための取付部材と、脚立を支える脚となる補助脚部材とを備えてなり、上記取付部材が、コの字型の帯状の取付部と、補助脚部材を取り付けるための機構と、補助脚部材の位置を調整するためのストッパー部材とから構成されている脚立用転倒防止具を提案した(特許文献4参照)。
【0007】
そして、特許文献3又は4に提案されている脚立用転倒防止具は、脚立に加工を施すことなく、様々な大きさや種類の脚立に対して簡単に取り付け又は取り外しすることができ、さらには、脚立の転倒を効果的に防止することができる特徴を有するものである。しかしながら、特許文献3又は4に具体的に開示されている脚立用転倒防止具は、その使用時において、補助脚部材を制止させ、その位置を調整するためのストッパー部や、補助脚部材を取り付けるための機構に大きな負荷がかかりやすい構造であるため、耐久性においてさらなる改良の余地があった。また、これらの脚立用転倒防止具は、取付部材と補助脚部材とを連結する箇所において、各部材の凹凸部分がむき出しの状態となっているため、外観面において優れているとはいえなかった。また、この凹凸部分に人や物がひっかかったりするおそれがないともいえず、より安全性に配慮したものの開発が望まれていた。
【0008】
これに対して、特許文献5には、脚立や梯子を支える補助脚と、該補助脚の上端側と連結され、かつ脚立や梯子の支柱に取付可能に形成された取付部材と、該取付部材との間に該支柱を挟持するための第1及び第2の当接部材と、該当接部材を押圧することにより該当接部材を支柱に圧接させる第1及び第2の押圧部材とを備えた転倒防止具が提案されている。この転倒防止具も、脚立に加工を施すことなく、様々な大きさや種類の脚立に対して取り付け又は取り外しすることができる構成となっており、また、特許文献5に具体的に開示されている転倒防止具は、取付部材と補助脚とを連結する箇所の周囲が囲まれた構造をしているため、この箇所がむき出しの状態とならず、より外観性や安全性に配慮されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3019139号公報
【特許文献2】実用新案登録第3074804号公報
【特許文献3】実用新案登録第3136249号公報
【特許文献4】実用新案登録第3138358号公報
【特許文献5】特開2008−57308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献5に具体的に開示されている転倒防止具は、脚立のいずれの縦材に対しても共通に使用できる構造のものではなく、使用に際して不都合となる場合があった。一般に、補助脚で脚立を支える構造の転倒防止具は、補助脚の下端を地面に接地させる必要があるが、作業場所などの状況により、補助脚の接地場所が制限される場合がある。このため、このように制限される場合においても問題なく使用できるように、作業の状況に応じて、どの位置の縦材に取り付けするかを選択できることが好ましい。しかし、特許文献5に具体的に開示されている転倒防止具は、前記したように、脚立のいずれの縦材に対しても共通に使用できる構造のものではないため、取り付けする縦材の位置が限られ、作業のあらゆる状況に対応できないという問題があった。また、これに対処するためには、構造の異なったもの、例えば、一対の鏡像関係にあるものを用いることが考えられるが、使用者に負担を強いることとなり、また、転倒防止具を取り付ける際において、各々の縦材に対応する構造のものを見分ける必要も生じて面倒となる。さらには、構造の異なったものを用いることは、生産効率の面からも好ましくなく、汎用性が低く、コスト削減に適しているとはいえない。
【0011】
以上をまとめると、転倒防止具に求められる特性としては、以下のことが挙げられる。先ず、脚立や梯子の転倒や揺れを防止する十分な機能を有しており、また、耐久性や安全性に配慮された設計となっていること。また、脚立や梯子に加工を施すことなく、様々な大きさや種類の脚立や梯子に対して、簡単に取り付け又は取り外しできるものであること。また、使用方法も容易であり、その使用時において、使用者の邪魔とならないこと。脚立や梯子のいずれの縦材に対しても共通に使用できる構造を有しており、あらゆる状況にも対応して使用できるものであること。汎用性が高く、低コスト化が実現できるものであることなどが挙げられる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、前記したような特性を全て併せ持つことができる脚立及び梯子用転倒防止具(以下、単に「転倒防止具」という場合がある)を提供することにある。さらに、本発明の目的は、上記した優れた特徴を有する本発明の転倒防止具を取り付けてなる脚立及び梯子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明は、脚立又は梯子の縦材に取付部材によって着脱自在に取り付けられて、該取付部材に回動自在に取り付けられた棒状の補助部材によって脚立又は梯子の転倒を防止する脚立及び梯子用転倒防止具であって、取付部材は、脚立又は梯子の縦材に取り付けるための取付部と、棒状の補助部材に回動の中心を形成するための機構が内部に設けられた筒状体部とが一体的に形成された構造を有しており、棒状の補助部材は、その回動する動きが筒状体部の内壁と当接することにより制止されるように設置されており、かつ、取付部材を取り付けた状態における脚立又は梯子の縦材と、この状態で筒状体部の内壁に当接した棒状の補助部材とのなす角が5〜25°のいずれかになるように構成されており、さらに、左右対称構造に形成されていることを特徴とする脚立及び梯子用転倒防止具である。
【0014】
また、本発明は、上記本発明の脚立及び梯子用転倒防止具を取り付けてなることを特徴とする脚立である。また、本発明は、上記本発明の脚立及び梯子用転倒防止具を取り付けてなることを特徴とする梯子である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加工を施すことなく、様々な大きさや種類の脚立や梯子に対し、簡単に取り付け又は取り外しすることができ、耐久性や安全面、さらには外観面を向上させた転倒防止具を提供することができる。また、本発明によれば、転倒防止具を取り付けた脚立や梯子を運搬する場合や保管しておく場合などに、邪魔にならない転倒防止具を提供することができる。また、本発明によれば、脚立や梯子を構成するいずれの縦材に対しても共通の構造のものを取り付けすることができ、これにより、あらゆる作業の状況にも対応できるとともに、使用者の負担やコスト高が改善できる転倒防止具が提供される。さらに、本発明によれば、このような優れた特徴を有する本発明の転倒防止具を取り付けてなる脚立及び梯子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の転倒防止具の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の転倒防止具の一実施形態を示す分解斜視図。
【図3】本発明の転倒防止具の他の実施形態を示す分解斜視図。
【図4(a)】本発明の一実施形態である転倒防止具を構成する棒状の補助部材を回動させて筒状体部に当接させ、さらに固定部材を設けた状態を示す斜視図。
【図4(b)】本発明の一実施形態である転倒防止具を構成する棒状の補助部材を回動させて筒状体部に当接させ、さらに固定部材を設けた状態を示す斜視図。
【図4(c)】本発明の一実施形態である転倒防止具を構成する棒状の補助部材を回動させて筒状体部に当接させ、さらに固定部材を設けた状態を示す斜視図。
【図5(a)】本発明の一実施形態である転倒防止具を脚立の縦材に取り付けた状態を示す断面図であり、棒状の補助部材を閉脚させた状態を示す。
【図5(b)】本発明の一実施形態である転倒防止具を脚立の縦材に取り付けた状態を示す断面図であり、棒状の補助部材を開脚させた状態を示す。
【図5(c)】本発明の一実施形態である転倒防止具を脚立の縦材に取り付けた状態を示す断面図であり、棒状の補助部材を閉脚させた状態を示す。
【図6】本発明の一実施形態である転倒防止具を取り付けた脚立の使用時の状態を示す斜視図。
【図7】本発明の一実施形態である転倒防止具を取り付けた脚立を内側から見た状態を示す正面図。
【図8】本発明の一実施形態である転倒防止具を取り付けた脚立の運搬又は保管時の状態を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態である転倒防止具の収納状態の一例を示す説明図。
【図10】本発明の他の実施形態である、棚を設けた転倒防止具を取り付けた脚立の使用時の状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の転倒防止具について詳細に説明する。なお、本発明の転倒防止具は、脚立だけでなく梯子に対しても共通のものを使用することができるが、以下の説明においては、脚立に使用する場合を例にして説明する。
【0018】
本発明の転倒防止具1は、例えば、図6に示すように、脚立41の縦材42に取り付けすることにより、脚立41を支えるための補助的な脚を形成し、脚立41が転倒したり揺れたりすることを防止するためのものである。そして、基本的には、図1又は図6に示すように、脚立41の縦材42に着脱自在に取り付けられる取付部材11と、取付部材11に回動自在に取り付けられた棒状の補助部材31とから構成されている。
【0019】
そして、本発明の第1の特徴は、図1に示すように、本発明を構成する取付部材11が、脚立41の縦材42に取り付けるための取付部12と、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構が内部に設けられた筒状体部13とが一体的に形成された構造を有していることにある。すなわち、本発明の転倒防止具1は、図1に示すように、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構を筒状体部13の内部に収容させた構造をしているため、取付部材11と棒状の補助部材31を連結することにより形成される各部材の凹凸部分が表面に露出することがない。このため、この凹凸部分に、人や物が引っ掛かったり、擦れたりすることがなく、より高い安全性を確保できる。また、取付部材11と棒状の補助部材31の連結箇所は、表面に露出せずに、筒状体部13によって保護された状態になっているため、使用者に煩雑な感じを与えず、外観に優れるとともに、より高い耐久性を維持できる。さらに、取付部12と筒状体部13を一体的に形成させた構造であることから、部品点数を必要最小限に抑えることができ、低コストで生産することも可能である。
【0020】
また、本発明の第2の特徴は、図4又は図5(b)に示すように、棒状の補助部材31の回動する動きが筒状体部13の内壁と当接することにより制止されるように棒状の補助部材31が設置されており、かつ、図7に示すように、取付部材11を取り付けた状態における脚立41の縦材42と、筒状体部13の内壁に当接した棒状の補助部材31とのなす角が5〜25°のいずれかになるように構成したことにある。すなわち、本発明の転倒防止具1は、棒状の補助部材31の回動する動きを、取付部12と一体的に形成されている筒状体部13の内壁に当接させて制止させる構造であるため、別部材を接合させて棒状の補助部材31を制止させる構造のものと比べて、棒状の補助部材31が当接することによりかかる負荷の影響を取付部材11全体で低減させることができ、優れた耐久性を有することができる。ここで、本発明においては、図7に示すように、取付部材11を取り付けた状態の脚立41の縦材42と、この状態で筒状体部13の内壁に当接した棒状の補助部材31のなす角(a)を5〜25°のいずれかとなるように構成しているが、このように構成させていることにより、図6に示すように、このように筒状体部13の内壁に当接させている棒状の補助部材31と地面とのなす角(b)を、脚立41を安定的に支えることのできる角度とされる、65〜85°の範囲の角度に簡単に設定させることができるようになる。特に、本発明では、取付部材11が取り付けられた際の脚立41の縦材42と棒状の補助部材31のなす角が10〜20°のいずれかとなるように構成することが好ましい。
【0021】
また、本発明の第3の特徴は、例えば、図5に示すように、転倒防止具1が、左右対称構造に形成されていることにある。このため、本発明の転倒防止具1は、脚立41のどの縦材42に対しても共通の構造のものを使用することができる。これにより、作業場所などの状況に応じて、4本ある縦材42のどの縦材42に対して取り付けるかを適宜選択できるようになる。また、従来の左右非対称の転倒防止具は、個々に、取り付け得る縦材42が異なるため、転倒防止具がどの縦材42に対応する構造のものであるかを取り付け前に見分ける必要があったが、本発明の転倒防止具1は、1種で全ての縦材42に対応できる構造であるため、このような手間を必要としない。このことは、転倒防止具を誤った状態で取り付け、その機能を十分に発揮し得ない状態で使用されるのを防止する意味でも好適である。さらに、1種で全ての縦材42に対応できる構造であることから、その生産効率が良く、低コスト化を実現させるのにも有効である。
【0022】
以下、本発明の転倒防止具1の好ましい実施形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本実施形態の転倒防止具1は、図1に示すとおり、略直方体筒状の取付部材11と、該取付部材11に回動自在に取り付けられた棒状の補助部材31とから構成されている。また、本実施形態において、取付部材11は、図2に示すとおり、横断面が略コの字形状をした、側部開口面15を有する筒状の本体14と、本体14の側部開口面15を閉じる蓋壁16と、本体14の中空部分を側部開口面15と平行する方向に仕切る隔壁17とを有した構造をしている。また、隔壁17で本体14の中空部分を仕切ることにより、取付部12と筒状体部13とがそれぞれ形成されており、この筒状体部13の内部には、図5に示すとおり、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構が形成されている。
【0023】
本実施形態において、取付部12の内部は、図5に示すとおり、脚立41の縦材42の周囲を取り囲むことができる大きさに形成されている。より詳細には、縦材42の狭幅面、すなわち、縦材42の、脚立41の前後方向から見た面のそれぞれが蓋壁16及び隔壁17と対面するように縦材42を囲んで収容する大きさに形成されている。また、取付部12における本体14の厚みや長さは、転倒防止具1を取り付けた脚立41に衝撃が加わったとしても、影響を受けない程度の強さが得られるように調整されている。また、図1又は図2に示すとおり、取付部12の内壁を構成する蓋壁16は、蓋壁16の側面と対面する取付部12の内壁面に形成された溝によりスライドされて自在に取り付け又は取り外しできるようになっており、さらに、蓋壁16の面上には、図2に示すとおり、取付部12内に収容させた脚立41の縦材42を固定させるのに用いるネジ式の圧接部材18を挿入して設けるためのネジ孔19が形成されている。なお、ネジ孔19は、1箇所でもよいが、複数個所形成させてもよい。
【0024】
そして、取付部12による取付部材11の脚立41の縦材42への取り付けは、以下のようにして行われる。先ず、蓋壁16をスライドさせて取付部12から取り外し、これにより形成される取付部12の側部開口面15から取付部12を脚立41の縦材42に差し込む。この際、脚立41の内側方向から取付部12を差し込み、縦材42の狭幅面と、隔壁17とを対面させた状態にする。そして、取付部12を脚立41の縦材42に完全に差し込んだ後、側部開口面15に蓋壁16を取り付けして、脚立41の縦材42を取付部12内に完全に収容させた状態にする。次に、蓋壁16面に形成されているネジ穴19にネジ式の圧接部材18を取付部12内に挿入し、取付部12内に固定されて設置されている隔壁17と、取付部12内に挿入する圧接部材18の先端とで、取付部12内に収容させた脚立41の縦材42の狭幅面を挟持する。このように、脚立41の縦材42を挟持することにより、取付部材11は脚立41の縦材42に取り付けられる(図5参照)。本実施形態の転倒防止具1は、取付部12を横断面略コの字形状に形成し、縦材42の狭幅面のみを挟持する構造としているため、前記のように1方向のみから固定するだけで、極めて簡単に取り付けすることができる。また、このような構造とすることにより、横断面筒型の縦材や、横断面略コの字型の縦材のいずれに対しても取り付けできる。なお、この際、図6に示すように、脚立41の前後方向の内側に筒状体部13側が配置されるように取付部材11の取り付け向きを調整することが好ましい。これにより、棒状の補助部材31が、脚立41の前後方向の内側に配置されるようになり、これにより、より安定的に脚立41を支えることが可能となる。また、この場合、脚立41の外側(表側)部分において、突出する凹凸が少なくなるため、作業者の衣服等が引っ掛かったりするのを低減でき、より安全に使用し得る。また、安全面からいえば、取付部材11を脚立41の縦材42に取り付けた際、図5に示すように、圧接部材18の後端が蓋壁16面から極力突出しないように調整されていることが好ましい。なお、取付部材11を脚立41の縦材42から取り外しする場合は、上記と逆の手順により行うことができる。このように本実施形態の転倒防止具1は、脚立41の縦材42を収容させて、一方から固定させるだけでよいため、極めて簡単に取り付け又は取り外しを行うことができるものである。
【0025】
本実施形態において、筒状体部13は、前記したとおり、取付部材11の本体14を隔壁17によって仕切ることにより形成されており、その内部には、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構が設けられている(図1又は図5参照)。筒状体部13の大きさは、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構が設置できる程度に調整されている(図1又は図5参照)。また、本実施形態において、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構は、図1又は図5に示すとおり、筒状体部13を構成する内壁のうち、隔壁17と隔壁17に対面する内壁を繋ぎ、棒状の補助部材31の回動の中心となる円柱状の軸20を中心に、棒状の補助部材31を回動させる機構となっている。棒状の補助部材31の先端部分32には、軸20を挿入するための貫通孔33が設けられており、この貫通孔33に軸20を通すことで、棒状の補助部材31は回動自在に取り付けされている。そして、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構の特に好ましい形態としては、以下の2つの形態が挙げられる。先ず、第1は、図2又は図5(a)、(b)に示すような、取付部材11を取り付けた状態における脚立41の縦材42と棒状の補助部材31とが平行な位置になるように棒状の補助部材31の回動に反発力を付与する弾性体21が備えられている形態である。なお、取付部材11を取り付けた状態の脚立41の縦材42と棒状の補助部材31とが平行な位置になるとは、図5(a)又は図8に示すように、本発明の転倒防止具1において、棒状の補助部材31が開脚していない状態のことをいう。
【0026】
この特に好ましい形態の第1をより詳細に説明すると、図2又は図5(a)、(b)に示すとおり、軸20は、隔壁17及び隔壁17に対面する内壁に軸20の両端が接続ネジ22によって接続されることで、これらの内壁を繋いでおり、また、軸20は、軸20の直径と同程度の直径を有する貫通穴33が先端部分32に形成された棒状の補助部材31の貫通孔33に差し込まれている。さらに、棒状の補助部材31と隔壁17には弾性体である螺旋バネ21の先端部分がそれぞれ挿入されており、螺旋バネ21がこれらを接続した状態となっている。そして、棒状の補助部材31は、軸20を中心にして回動するようになっており、また、棒状の補助部材31の回動に対しては、棒状の補助部材31が取付部材11を取り付けた状態の脚立41の縦材42と平行になる方向に、螺旋バネ21の巻き締まり力が反発力として働くようになっている。この螺旋バネ21の巻き締まり力は、使用者が手動で簡単に棒状の補助部材31を回動させることができる程度に弱く、かつ、棒状の補助部材31を地面から浮かせた際には、棒状の補助部材31が自動的に脚立41の縦材42と平行となる位置に戻る程度に強く調整されている。このような螺旋バネ21などの弾性体を用いた構造にすることにより、脚立41を使用時の状態(図6参照)から、収納時の状態(図8参照)にする際において、棒状の補助部材31を脚立41の内側に自動的に配置させることが可能となり便利であるばかりか、使用者が脚立41を保管や運搬するにあたって、棒状の補助部材31が邪魔になりにくいという効果が得られる。また、螺旋バネ21の使用は、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁との接触を低減させるので、磨耗による部材の消耗を防止することができる。さらに、螺旋バネ21の使用により、筒状体部13に取り付けられた棒状の補助部材31の位置が安定して左右にブレないので、棒状の補助部材31が、傾いたり、ぐらついたりすることも有効に防止できる。
【0027】
また、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構の特に好ましい形態の第2は、図3又は図5(c)に示すような、前記した円柱状の軸20に通され、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁との間を介在するワッシャー部材23が設けられており、設置されるワッシャー部材23の少なくとも1つが、軸20の長さ方向に対して弾性力が働く構造をした形態である。棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁との間にワッシャー部材23、例えば、樹脂性ワッシャー部材23aやステンレスなどの金属製ワッシャー部材23bを介在させることにより、各部材が擦り減ったり、ガタついたりするのを防止できる。すなわち、耐久性がより高い構造となる。また、前記弾性力が働く構造のワッシャー部材23c、例えば、波形ワッシャーやゴム製ワッシャーを用いることにより、この弾性力で、棒状の補助部材31の動きを適宜な位置で制止させておくことができるようになる。つまり、転倒防止具1を取り付けた状態で脚立1を運搬させる場合などにおいて、棒状の補助部材31が動いて位置ズレを起こしたり、ぶらついて邪魔となったりするのを有効に防止できる。なお、ワッシャー部材23の材質や数は、摺動性能や、ガタつき防止性能などが最適となるように適宜調整できる。
【0028】
なお、本発明において、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構は、上記した実施形態以外にも、様々な形態を採ることができる。例えば、螺旋バネなどの弾性体21を隔壁17と対面する筒状体部13の内壁面側に棒状の補助部材31と連結させて設けた形態とすることができる。また、軸20を用いずに、螺旋バネなどの弾性体21を、隔壁17側と、この隔壁17と対面する筒状体部13の内壁面側の両方に設置する形態も挙げられる。この場合、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁が磨耗するのをより低減させることが可能となる。本発明においては、このように、棒状の補助部材31に回動の中心を形成するための機構が、棒状の補助部材31が当接されない筒状体部13の内壁の少なくとも一方と、棒状の補助部材31とを繋ぐ弾性体21によって、取付部材11を取り付けた状態の脚立41の縦材42に対して、棒状の補助部材31が平行な位置になるように棒状の補助部材31の回動に反発力を付与する構成が設けられたものであることが好ましい。また一方で、棒状の補助部材31の先端部分32を、螺旋バネ21を設けずに、軸20のみで取り付けする形態にすることも可能である。この場合においては、より簡易的な構造にすることができる。
【0029】
本実施形態において、このような機構により筒状体部13に先端部分32が取り付けられている棒状の補助部材31は、図4又は図5(b)に示すとおり、その回動する動きが、筒状体部13の内壁と当接することによって制止されるように設置されている。棒状の補助部材31が当接する筒状体部13の内壁は、図4又は図5に示すとおり、棒状の補助部材31の当接する先端部分32の形状が円柱状であるため、これに合せて半円状に形成されており、棒状の補助部材31と筒状体部13は、点ではなく面で当接できるようになっている。すなわち、局所的に力が負荷されるのを防止して、より耐久性の向上がはかれるような構造となっている。また、本実施形態において、棒状の補助部材31は、その先端部分32が筒状体部13の内壁に当接するだけでなく、筒状体部13の下端内壁にも当接するようにして、より負荷が分散されるようになっている。
【0030】
また、本実施形態において、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁が当接させた棒状の補助部材31と、取付部材11を取り付けた状態における脚立41の縦材42とのなす角は、上述した適宜の角度(a)となるように調整されている(図7参照)。また、棒状の補助部材31は、脚立41側面の外側方向だけでなく内側方向にも回動できるようになっている。さらに、本実施形態では、図4に示すとおり、棒状の補助部材31を筒状体部13の内壁に当接させた状態で棒状の補助部材31の回動を固定させるための固定部材37を設けることができる。この固定部材37には、例えば、図4(a)に示すように、隔壁17と、隔壁17と対面する筒状体部13の内壁とを繋ぐネジ式のものや、図4(b)に示すように、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁とを当接させた際に形成される筒状体部13の内部空間を埋める差込式のものを用いることができる。
【0031】
差込式の固定部材37としては、さらに、図4(c)に示すような、棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁とを当接させた際に、棒状の補助部材31の上方に形成される筒状体部13の内部空間を埋めることで棒状の補助部材の回動を規制する回動規制部37aと、筒状体部31の上面を覆うキャップ部37bとから構成されているものを好ましく用いることができる。この形態の固定部材37を用いることにより、筒状体部13内に指などが入ったり、物が挟まったりするのをより効果的に防止できる。また、この形態の固定部材37は、さらに、鍔37cを設けて、しっかり筒状体部13に固定できるようにしてもよい。これらの差込式の固定部材37は、木製であっても、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂製であってもよい。また、これらの固定部材37は、紐などで取付部材11と一体化させることができる。なお、本実施形態の転倒防止具は、図6に示すように、固定部材37を設置しなくても使用することは可能である。
【0032】
また、本実施形態において、図1又は図2に示すとおり、棒状の補助部材31は、筒状体部13内で取り付けられる先端部分32と、その下方に位置するパイプ状部分34とが、ネジ方式で接続された構造となっている。すなわち、本実施形態における棒状の補助部材31は、先端部分32と、パイプ状部分34とが分離可能に形成されている。棒状の補助部材31をこのような形態にすることで、脚立41の不使用時において、脚立41の縦材42に取付部材11を取り付けた状態にしたまま、棒状の補助部材31の大部分を取り外しておくことができる。すなわち、転倒防止具1を取り付けることによる重量増加を抑えることで、運搬時に使用者の負担を低減でき、運搬がより容易となる。また、パイプ状部分34の交換も容易に行なえ得る。このことは、パイプ状部分34が万が一破損した場合や、パイプ状部分34を使用状況に合せて異なる形態のものに変更させる場合において特に有効である。
【0033】
さらに、本実施形態においては、パイプ状部分34は、その長さの調整ができるように、伸縮可能な構造に形成されている。本実施形態におけるパイプ状部分34は、図1に示すように、2本の直径の異なるパイプから構成されるものであって、2本のパイプを回転させることにより、これらを固定させたり又はこれらを緩めてスライド可能にし、長さを伸縮できる状態にしたりする、いわゆる突っ張り棒方式によって形成されている。しかし、本発明においては、他の形態を用いて長さ調整してもよい。パイプ状部分34の長さを調整可能な形態にすることにより、脚立41の使用時において、パイプ状部分34の長さを変更させることで、棒状の補助部材31が地面に接する最適位置を微調整することができるようになる(図6参照)。また、脚立41の収納時には、図8に示すとおり、パイプ状部分34の長さを地面に接しないように短くすることで、転倒防止具1を脚立41に取り付けた状態のままにして脚立41の内側に配置させることが可能となる。なお、脚立41の内側に配置させた棒状の補助部材31を、面ファスナーなどの脚固定部材36を用いて、脚立41の内側に配置させた棒状の補助部材31を固定させることもできる(図8参照)。また、本実施形態の転倒防止具1は、前記したように、棒状の補助部材31を脚立41の外側だけでなく内側にも回動させることができる構造となっている。また、本実施形態の転倒防止具1は、棒状の補助部材31が、取付部材11を取り付けた状態における脚立41の縦材42の狭幅面と平行して回動するように設置されている。このため、図9に示すように、脚立41の側面に対する内側方向に棒状の補助部材31を回動させて棒状の補助部材31と筒状体部13の内壁とを当接させた状態にし、さらに、上記した固定部材37を設けて棒状の補助部材31の回動を固定させることによっても、棒状の補助部材31を脚立41の内側に簡単に配置させて収納することができる。このように、本実施形態の転倒防止具1は、棒状の補助部材31を簡単に脚立41の内側に配置させて収納することができるものであるため、転倒防止具1を取り付けたままの状態で脚立41を容易に運搬することができる。
【0034】
また、本実施形態において、パイプ状部分34の、先端部分32と接続する反対側の端部、すなわち、棒状の補助部材31の接地部分には、滑り止め部35が設けられている。なお、滑り止め部35には、ゴム足などを用いることができ、また、直径の大きい滑り止め部35を採用することで、脚立41の安定性をより向上させることもできる。なお、このような構成を有することができる棒状の補助部材31の全長や直径は、脚立41を安定的に支えることができる程度であれば、特に制限はない。
【0035】
以上の構成をした本実施形態の転倒防止具1は、図1に示すように、左右対称の構造となっており、脚立41のどの縦材42に対しても共通の構造のものを使用することができる。したがって、作業場所などの状況に応じて、転倒防止具1を取り付ける縦材42の位置を変更させることができ、また、各々の縦材42に対応する構造を見分ける作業をしなくてもよい。また、本実施形態における取付部材11の本体14は、横断面が略コの字形状のものを連続的に長尺に押出加工した後、所定の大きさに切断することで効率的に得られる。すなわち、本実施形態の転倒防止具1は、より生産性の高いものであり、低コストで作製できるものである。なお、本発明においては、実質的に左右対称構造であればよく、脚立41への取り付けや、生産効率に影響のない箇所において、部分的に非対称となっていてもよい。
【0036】
以上、本発明の転倒防止具1を好ましい実施形態を中心にして説明したが、本発明の要旨を変更しない範囲において、前記で説明した以外の実施形態であってもよい。例えば、脚立の縦材が円筒形状のものである場合においては、この形状に合わせて、取付部の形状も変更することができる。例えば、このような縦材に差し込むための側部開口面を形成させた略円筒形状の取付部を用いることができる。
【0037】
また、本発明の転倒防止具1は、上述したように、取付部材11を脚立41の縦材42に取り付けすることにより使用される。そして、脚立41の使用時において、棒状の補助部材31を筒状体部13と当接するまで回動させて開脚し、脚立41を支える補助的な脚を形成させる(図6参照)。この際、必要により、棒状の補助部材31の長さを調整して脚立41を安定的に支えることができるようにする。一方、脚立41の収納時においては、棒状の補助部材31を回動させて閉脚し、脚立41の内側に配置させるか(図8参照)、棒状の補助部材31のパイプ状部分34を取り外しておく。棒状の補助部材31を脚立41の内側に配置させる場合も、必要により、棒状の補助部材31の長さの調整を行なう。また、本発明において、脚立41に取り付けられる取付部材11は、横桟43の真下に取り付けられることが好ましい。これにより、脚立41の使用者が、取付部材11を踏みつけてしまうのを防止することができる。また、本発明の転倒防止具1は、脚立41の縦材42に1本取り付けるだけでも脚立41を安定化させる効果を得ることができるが、脚立41の左右に少なくとも1本ずつ合計2本以上取り付けすることが好ましい。特には、脚立41の全ての縦材42に取り付けすることがより好ましい。また、本発明の転倒防止具1の材質は、特に制限はないが、より強度の高い、鉄製やアルミ製などの金属製であることが好ましい。
【0038】
さらに、本発明の転倒防止具1は、必要に応じて、他の部材を備えることができる。例えば、図10に示すように、道具類を載せる棚51をスライドさせて設置するためのスライド機構を取付部12に設けていてもよい。このようなスライド機構を取付部12に設けて棚51を設置することにより、棚上に道具類を置いて作業することが可能となる。特に、本発明の転倒防止具1を用いることで、脚立41は、その安定性が飛躍的に向上されているため、棚51上に重量のある道具類を載せても、脚立41は、その安定性を保つことができる。すなわち、脚立41の使用者は、このような実施形態の転倒防止具1を用いることにより、効率的な作業を行なうことが可能となる。また、本発明においては、棚51が、脚立41を閉じた状態とした際に連動して折れ曲がるように構成されていることが好ましい(図10参照)。これにより、脚立41を閉じる際にわざわざ棚51を取り外す必要がなくなり、脚立41を運搬する場合などにおいて便利である。棚51が折れ曲がる構成は、棚51を複数の部材で形成し、これらの部材を蝶番などで繋ぎ合わせることにより得られる。以上、本発明の転倒防止具1を、脚立41に用いる場合を例にして説明したが、梯子に対しても好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:脚立用転倒防止具
11:取付部材
12:取付部
13:筒状体部
14:本体
15:側部開口面
16:蓋壁
17:隔壁
18:圧接部材
19:ネジ孔
20:軸
21:弾性体
22:接続ネジ
23:ワッシャー部材
31:棒状の補助部材
32:棒状の補助部材の先端部分
33:貫通孔
34:棒状の補助部材のパイプ状部分
35:滑り止め部
36:脚固定部材
37:固定部材
41:脚立
42:縦材
43:横桟
51:棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚立又は梯子の縦材に取付部材によって着脱自在に取り付けられて、該取付部材に回動自在に取り付けられた棒状の補助部材によって脚立又は梯子の転倒を防止する脚立及び梯子用転倒防止具であって、取付部材は、脚立又は梯子の縦材に取り付けるための取付部と、棒状の補助部材に回動の中心を形成するための機構が内部に設けられた筒状体部とが一体的に形成された構造を有しており、棒状の補助部材は、その回動する動きが筒状体部の内壁と当接することにより制止されるように設置されており、かつ、取付部材を取り付けた状態における脚立又は梯子の縦材と、この状態で筒状体部の内壁に当接した棒状の補助部材とのなす角が5〜25°のいずれかになるように構成されており、さらに、左右対称構造に形成されていることを特徴とする脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項2】
棒状の補助部材に回動の中心を形成するための機構が、筒状体部の、棒状の補助部材が当接されない内壁間を繋ぐ円柱状の軸を中心に、棒状の補助部材を回動させる構成が設けられたものであり、さらに、円柱状の軸には、この軸に通され、棒状の補助部材と、上記当接されない内壁との間を介在するワッシャー部材が設けられており、設置されるワッシャー部材の少なくとも1つが、円柱状の軸の長さ方向に対して弾性力が働く構造のものである請求項1に記載の脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項3】
棒状の補助部材に回動の中心を形成するための機構が、筒状体部の、棒状の補助部材が当接されない内壁の少なくとも一方と、棒状の補助部材とを繋ぐ弾性体によって、取付部材を取り付けた状態の脚立又は梯子の縦材に対して、棒状の補助部材が平行な位置となるように棒状の補助部材の回動に反発力を付与する構成が設けられたものである請求項1に記載の脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項4】
棒状の補助部材が、取付部材を取り付けた状態における脚立又は梯子の縦材の狭幅面と平行して回動するように設置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項5】
取付部材が、横断面が略コの字形状をした、側部開口面を有する筒状の本体と、該本体の側部開口面を閉じる蓋壁と、該本体の中空部分を側部開口面と平行する方向に仕切り、取付部と筒状体部とをそれぞれ形成させる隔壁とを有した構造のものであり、取付部内に収容させた状態の脚立又は梯子の縦材の狭幅面を、蓋壁の外側面から取付部内に挿入される圧接部材と隔壁とで挟持することで、脚立又は梯子の縦材に取り付けされる構成である請求項1〜4のいずれか1項に記載の脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項6】
さらに、棒状の補助部材を筒状体部の内壁に当接させた状態で、棒状の補助部材の回動を規制して固定させるための固定部材を有しており、固定部材が、棒状の補助部材と筒状体部の内壁とを当接させた際に、棒状の補助部材の上方に形成される筒状体部の内部空間を埋めることで棒状の補助部材の回動を規制する回動規制部と、筒状体部の上面を覆うキャップ部とから構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の脚立及び梯子用転倒防止具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の脚立及び梯子用転倒防止具を取り付けてなることを特徴とする脚立。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の脚立及び梯子用転倒防止具を取り付けてなることを特徴とする梯子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−13922(P2010−13922A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94384(P2009−94384)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【特許番号】特許第4362636号(P4362636)
【特許公報発行日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(505213231)株式会社藤村工務店 (1)
【Fターム(参考)】