説明

脱水装置

【課題】透水性シートに付着した固形物を確実に除去して目詰まりを防止する。
【解決手段】本発明に係るベルトコンベヤ1は、透水性ベルト2が内周側を循環し透水性シート3が外周側を循環する二重ベルト構造であり、透水性シート3の戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側には付着物除去機構101を配置してある。付着物除去機構101は、中空体102と、該中空体の内部に配置された噴射管103と、該中空体の内部空間106に連通接続された付着物除去用吸引ポンプ105と、噴射管103に連通接続された水タンク108とで構成してある。中空体102には、透水性シート3の表面に対向するスリット109が形成してあるとともに、噴射管103には、スリット109に向けられた噴出孔110が材軸方向に沿って複数形成してあり、中空体102のスリット開口縁部が透水性シート3の表面に摺動自在となるよう付着物除去機構101を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として含水比の高い掘削土砂を脱水する脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
泥土圧シールド工法において、シールドマシンのチャンバー内に取り込まれた掘削土砂は、排泥ポンプ、スクリューコンベヤ、ベルトコンベヤ等によって地上に搬出され、土砂ピットに貯留される。
【0003】
ここで、泥土圧シールドは、泥土圧によって切羽の安定を図っている関係上、掘削土砂の含水比が高く、それゆえ産業廃棄物扱いとなって処分費用が高くなる。加えて、土粒子の間隙に多くの水を含むため、単位体積当たりの重量が大きく、運搬費用も高くなる。さらには、トンネル掘削であるため、掘削土砂の発生量は膨大である。
【0004】
ここで、天日干し等の方法で掘削土砂を乾燥させれば、含水比が低下し、一般残土としての利用も可能ではあるが、天日干しのための広大な敷地を都市部に確保することは現実的ではない。また、石灰等のセメント系材料を添加することで含水比の低下と強度の改善とを図れば、建設資材としての再利用も可能であるが、発生土が膨大であるため、セメント系材料の材料コストや添加のための作業コストが高くなり、処理用地の確保とも相まって、やはり経済性の面で適用が困難となる。また、セメント系材料の添加によってpHが大きくなるため、一般残土としての処分が困難になる場合がある。
【0005】
そのため、掘削土砂の減容化・軽量化を効率よく図ることができるさまざまな試みが従来からなされてきた。
【0006】
【特許文献1】特開平9−206759号公報
【特許文献2】特開平7−214094号公報
【特許文献3】実開平6−66890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、特許文献1には、メッシュベルトと該メッシュベルトの下側から強制的に真空吸引するバキュームユニットを備えた真空吸引式脱水コンベアが開示されており、かかる真空吸引式脱水コンベアによれば、脱水機のイニシャルコストを下げることができる旨、記載されている。
【0008】
ところが、かかる構成においては、掘削土砂の脱水、目詰まり防止及び土砂の搬送荷重支持という3つの役割をメッシュベルトにすべて持たせる必要があるため、それぞれの機能を十分に発揮させることは本来的に難しい。
【0009】
そこで、本出願人らは、透水性シートが所定の搬送区間にわたって透水性ベルトの上に重なるように、透水性ベルト及び透水性シートを配置してそれらの搬送速度が同一となるようにヘッドプーリを駆動するとともに、上述した搬送区間において脱水の対象となる対象物を搬送している間、該対象物中の水分を透水性シート及び透水性ベルトを介して吸引機構で吸引除去するように構成してなる新規な脱水装置を開発した(特願2007-041651)。
【0010】
かかる脱水装置によれば、透水性ベルト及び透水性シートは、前者が脱水の対象となる対象物の搬送荷重を支持し、後者が対象物を構成する固形物の通過を阻止するという役割分担を果たすることとなり、かくして、尾端側から機首側へと搬送される搬送区間において、透水性ベルト及び透水性シートの上に載置された対象物中の水分を吸引機構で吸引することにより、対象物中の水分を十分かつ高い効率で吸引脱水することが可能となる。
【0011】
ここで、上記脱水装置には、透水性シートの裏側から気体又は液体を噴射する流体噴射機構を透水性シートの戻り側に配置してあり、かかる流体噴射機構によれば、透水性シートに付着した固形物を吹き飛ばして固形物による透水性シートの目詰まりを未然に防止することが可能となる。
【0012】
しかしながら、透水性シートの裏側から噴射された流体である水が透水性シートの裏側で跳ね返され、脱水装置の周囲が水浸しになるという問題や、これを解消するための排水処理設備が別途必要になるという問題を生じていた。
【0013】
一方、透水性シートに付着した固形物を除去する方法としては、スクレーパで掻き落としたり、エアーを吹き付ける方法があるが、スクレーパによる方法では、運転を重ねていくにつれて目詰まりが発生し、エアーの吹付けによる方法はコンプレッサーの騒音が大きいという別の問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、透水性シートに付着した固形物を確実に除去して該透水性シートの目詰まりを未然に防止可能な脱水装置を提供することを目的とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る脱水装置は請求項1に記載したように、第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された対象物中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構と、前記透水性シートの戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構とを備えるとともに、該付着物除去機構を、前記透水性シートの表面に対向するスリットが形成された中空体と該中空体の内部空間に設置され前記スリットに向けられた噴出孔が形成された噴射管と付着物除去用吸引管を介して前記中空体の内部空間に連通接続された付着物除去用吸引ポンプと洗浄液供給管を介して前記噴射管に連通接続された洗浄液供給手段とで構成し、前記中空体のスリット開口縁部が前記透水性シートの表面に摺動自在となるように前記付着物除去機構を配置したものである。
【0016】
また、本発明に係る脱水装置は請求項2に記載したように、第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された対象物中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構と、前記透水性シートの戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構とからなる脱水機構と、
【0017】
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトが前記搬送区間における前記透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように前記加圧ベルトの走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラと、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラとからなる加圧機構とを備えるとともに、
【0018】
前記付着物除去機構を、前記透水性シートの表面に対向するスリットが形成された中空体と該中空体の内部空間に設置され前記スリットに向けられた噴出孔が形成された噴射管と付着物除去用吸引管を介して前記中空体の内部空間に連通接続された付着物除去用吸引ポンプと洗浄液供給管を介して前記噴射管に連通接続された洗浄液供給手段とで構成し、前記中空体のスリット開口縁部が前記透水性シートの表面に摺動自在となるように前記付着物除去機構を配置したことを特徴とする脱水装置。
【0019】
また、本発明に係る脱水装置は、前記透水性ベルトの裏側に該透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように反力部材を配置したものである。
【0020】
また、本発明に係る脱水装置は、前記加圧ベルトの表面に吸水材を設けたものである。
【0021】
また、本発明に係る脱水装置は、前記吸引機構を、吸引ポンプと該吸引ポンプに接続された吸引管と該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置したものである。
【0022】
また、本発明に係る脱水装置は、前記透水性ベルトの表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、該排水孔が前記吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置したものである。
【0023】
また、本発明に係る脱水装置は、前記第2のヘッドプーリを前記第1のヘッドプーリと兼用したものである。
【0024】
また、本発明に係る脱水装置は、前記対象物に振動を付与する振動付与機構を前記透水性ベルトの裏側に配置したものである。
【0025】
本発明に係る脱水装置においては、透水性と固形物遮断性とを有する透水性シートが所定の搬送区間にわたって透水性ベルトの上に重なるように、透水性ベルト及び透水性シートを配置してそれらの搬送速度が同一となるように第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリを駆動するとともに、上述した搬送区間において脱水の対象となる対象物を搬送している間、該対象物から透水性シート及び透水性ベルトを介して水分を吸引機構で吸引除去し、対象物の含水比を低下させる。
【0026】
すなわち、透水性ベルト及び透水性シートは、前者が脱水の対象となる対象物の搬送荷重を支持し、後者が対象物を構成する固形物の通過を阻止するという役割分担を果たし、それらの上に載置された対象物中の水分は、尾端側から機首側へと搬送される搬送区間において、吸引機構によって吸引され、次いで透水性シート及び透水性ベルトを通過して排水される。
【0027】
また、本発明に係る脱水装置においては、透水性シートの戻り側に配置された付着物除去機構で該透水性シートに付着した付着物を除去する。
【0028】
すなわち、洗浄液供給手段を作動させて噴射管内に洗浄液を圧送するとともに、付着物除去用吸引ポンプを作動させて中空体の内部空間を減圧する。
【0029】
このようにすると、洗浄液は、噴射管に形成された噴出孔からスリットに向かって噴出され、スリットを通過した後、透水性シートの表面に当たって該透水性シートに付着していた付着物を剥落させ、あるいは洗い流す。一方、透水性シートで跳ね返った洗浄液及び該洗浄液によって除去された付着物は、減圧されている中空体内に吸引され、さらに付着物除去用吸引管を介して排出される。また、中空体の内部空間が減圧されることにより、透水性シートの裏面から空気が導入されるとともに、該空気の流れに連行される形で付着物が除去される。
【0030】
付着物除去機構は、中空体のスリット開口縁部が透水性シートの表面に摺動自在となるように配置してあるので、洗浄液や付着物は、付着物除去用吸引ポンプによる減圧作用と相俟って中空体内にスムーズに吸い込まれ、中空体の外部に飛散することはない。加えて、中空体のスリット開口縁部と透水性シートの表面との間には隙間が生じていないため、上述した減圧作用を得るための付着物除去用吸引ポンプの負担は大幅に軽減される。
【0031】
中空体は、スリットが設けられる箇所以外を気密に形成することで確実な減圧が行われるように構成するのが望ましい。このような中空体は例えば、長尺状ボックス管の両端を塞いで構成することが可能であり、該ボックス管の出隅部に長手方向の切込みを形成し、これをスリットとすることができる。
【0032】
噴射管は、例えば一端に洗浄液供給管が接続され他端が塞がれた円筒管を用いて構成することが可能であり、該円筒管に複数の噴射孔を長手方向に列状に形成して構成することができる。
【0033】
吸引機構は、透水性ベルト及び透水性シートを介して搬送中の対象物から水分を吸引除去できる限り、その構成は任意であり、例えば、吸引ポンプと、該吸引ポンプに接続された吸引管と、該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置する構成が考えられる。
【0034】
透水性ベルトは、脱水の対象となる対象物の載荷荷重や搬送荷重を支持しつつ該対象物から吸引された水分を通過させることができる限り、その構成は任意であり、例えば、表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、かかる排水孔が吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置する構成が考えられる。
【0035】
第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリは、個別に設けるようにしてもよいし、兼用させるようにしてもよいが、個別に設ける場合には、透水性シート及び透水性ベルトが同一の搬送速度となるように両ヘッドプーリを駆動制御する。
【0036】
対象物をどういう状態で脱水装置又は脱水機構に供給するかは任意であるが、対象物に振動を付与する振動付与機構を透水性ベルトの裏側に配置した場合、かかる振動付与機構を駆動することによって、対象物内に存在する水を外側に予め排出させることが可能となり、かかる構成によって脱水効率の向上を図ることが可能となる。
【0037】
ここで、脱水機構及び加圧機構を備えた脱水装置の場合、該加圧機構を構成する加圧ベルトは、透水性ベルト及び透水性シートと同じ搬送速度で循環するとともに、搬送区間における透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように一対の走行角度調整ローラによって走行角度を調整してある。
【0038】
そのため、対象物は、加圧ベルトと透水性ベルト及び透水性シートとの間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラで加圧されることとなり、かくして脱水機構による対象物の脱水作用は、加圧機構による加圧作用によって促進され、高い効率で脱水が行われる。
【0039】
一対の走行角度調整ローラは、加圧ベルトが搬送区間における透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように加圧ベルトの走行角度を調整できるのであれば、その構成は任意であり、各走行角度調整ローラは例えば、ローラ本体をローラ取付体に取り付け、該ローラ取付体を調整ネジを介して架台に取り付けるようにして構成することができる。
【0040】
加圧ベルトは、加圧ローラからの力を対象物に伝達できる限り、どのように構成するかは任意であるが、加圧ベルトの表面に吸水材を設けた場合、該吸水材が対象物から出た水を吸水するため、吸引機構の負荷を減らすことができるとともに、その結果として全体の脱水効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に係る脱水装置をベルトコンベヤに適用した場合の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
(第1実施形態)
【0043】
図1は、本実施形態に係るベルトコンベヤを示した側面図である。同図に示すように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、無端状の透水性ベルト2と、無端状の透水性シート3とを備えており、透水性ベルト2は、第1のヘッドプーリであるヘッドプーリ4と第1のテールプーリであるテールプーリ5とに掛け渡され、図示しない駆動モータによって両プーリの間を循環するようになっている。
【0044】
一方、透水性シート3は、第2のヘッドプーリであるヘッドプーリ4、第2のテールプーリであるテールプーリ6及びリターンローラ7a,7b,7cに掛け渡され、図示しない駆動モータによって各プーリ間及び各リターンローラ間を循環するようになっている。ここで、ヘッドプーリ4は、第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリを兼用する。
【0045】
図2は、透水性ベルト2及び透水性シート3の配置状況を示した斜視図であり、同図でわかるように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、透水性ベルト2が内周側を破線矢印方向に循環し、透水性シート3が外周側を実線矢印方向に循環する二重ベルト構造となっている。
【0046】
透水性ベルト2の表面には図3に示すように、搬送方向に平行なベルト中心線を対称軸として、深さ3mm程度の2つの排水溝21,21を搬送方向に直交するように形成してあるとともに、該排水溝の溝底面には、排水孔22をそれぞれ形成してある。
【0047】
かかる透水性ベルト2は、従来公知の材質で構成することができる。なお、透水性ベルト2の両縁には、搬送方向に沿って波桟23,23を立設してあり、脱水の対象となる対象物としての掘削土砂が搬送中にこぼれ落ちるのを防止するサイドガードの役目を果たしている。
【0048】
透水性シート3は、透水性と固形物遮断性とを有するように不織布で形成してある。
【0049】
ここで、透水性ベルト2及び透水性シート3は、図示しない駆動モータでヘッドプーリ4を駆動することで、両者の搬送速度が等しくなるように構成してあるとともに、図2でよくわかるように透水性シート3の裏面が搬送区間Aにおいて透水性ベルト2の表面に重ねられるように、透水性ベルト2をヘッドプーリ4及びテールプーリ5に掛け渡すとともに、透水性シート3をヘッドプーリ4、リターンローラ7a,7b,7c及びテールプーリ6に掛け渡してある。
【0050】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1は図1に示すように、上述した搬送区間Aにおいて透水性シート3に載置された掘削土砂中の水分を該透水性シート及び透水性ベルト2を介して吸引除去する吸引機構12を備えており、該吸引機構は、吸引ポンプ10と、該吸引ポンプに接続された吸引管9と、該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成されたボックス断面状の吸引部材8とで構成してある。
【0051】
搬送区間Aは、脱水に要求される長さを基本長さとし、ベルトコンベヤとして要求される必要搬送距離に応じて、その基本長さを適宜長くするようにすればよい。
【0052】
吸引部材8は図3に示すように、その開口縁部に沿って気密シール24を取り付けてあり、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って配置してある。気密シール24は例えば、摩擦係数の小さい超高分子ポリエチレンで形成すればよい。
【0053】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1は図1に示すように、透水性シート3の戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構101を備える。
【0054】
付着物除去機構101は図4及び図5に示すように、長尺状のボックス管で構成された中空体102と、該中空体の内部に配置された噴射管103と、付着物除去用吸引管104を介して中空体102の内部空間106に連通接続された付着物除去用吸引ポンプ105と、洗浄液供給管107を介して噴射管103に連通接続された洗浄液供給手段としての水タンク108とで構成してある。
【0055】
中空体102には、透水性シート3の表面に対向するスリット109が形成してあるとともに、噴射管103には、スリット109に向けられた噴出孔110が材軸方向に沿って複数形成してあり、かかる中空体102のスリット開口縁部111,111が透水性シート3の表面に摺動自在となるように、付着物除去機構101を配置してある。
【0056】
スリット開口縁部111,111には、丸棒からなる摩擦低減部材112,112を長手方向に沿ってそれぞれ固着してあり、透水性シート3との摩擦を低減し該透水性シートやスリット開口縁部の損耗を抑制するようになっている。
【0057】
中空体102は、例えば断面が10cm×10cm程度、長さが3m程度の角型管の両端に塞ぎ板113,113を当接状態で固定することで気密性を確保するとともに、4つの隅部のうち、1つの隅部を長さ方向に切り欠いて構成することができる。上述した噴射管103は、塞ぎ板113,113との間に気密性が確保されるよう、貫通配置すればよい。
【0058】
なお、本実施形態に係るベルトコンベヤ1は、掘削土砂を投入するホッパー14を備えるとともに、その下方に供給フィーダとして機能するベルトコンベヤ15を配置してあり、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15によって透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送開始位置に供給できるようになっている。
【0059】
本実施形態に係るベルトコンベヤ1を用いて掘削土砂を脱水するには、まず、脱水の対象となる掘削土砂をホッパー14に投入する。掘削土砂は、土木建築工事において発生する含水比の高いすべての掘削土砂が対象となり、例えば泥土圧シールド工事で発生する掘削土砂が対象となる。かかる掘削土砂は、例えば上流側に設置されたベルトコンベヤから搬送されてきたものをホッパー14に投入するようにすればよい。
【0060】
次に、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15で移送し、搬送開始位置(搬送区間Aの始点)で透水性ベルト2及び透水性シート3に載せ替える。
【0061】
ここで、透水性シート3は透水性と固形物遮断性とを有し、該透水性シートが重ねられている透水性ベルト2には排水孔22を形成してある。また、吸引部材8は、その開口縁部に取り付けられた気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在となるように、かつボックス断面状空間である減圧空間が透水性ベルト2に形成された排水孔22と連通するように配置してある。
【0062】
そのため、吸引ポンプ10を駆動して吸引部材8に形成された減圧空間の空気を引き抜くことにより、掘削土砂中の水分は、土粒子から分離して外側に排出される。そして、かかる水分は、透水性シート3による濾過作用によって土粒子と分離されつつ、該透水性シートを通過し、さらに透水性ベルト2の排水溝21に集められた後、排水孔22を介して吸引管9内を流れて排水される。一方、水分が除去され含水比が低下した掘削土砂は、搬送区間Aの終点において、図1で言えばその左側に搬出される。
【0063】
一方、掘削土砂の搬送を終えた透水性ベルト2及び透水性シート3は、ヘッドプーリ4を回った後、透水性ベルト2はテールプーリ5に戻るが、透水性シート3は、透水性ベルト2から離れてリターンローラ7aに向かう。
【0064】
次いで、透水性シート3は、リターンローラ7a,7b,7cを経てテールプーリ6に戻り、テールプーリ5で透水性ベルト2に再び重ねられることとなるが、戻り経路中、ヘッドプーリ4とリターンローラ7aとの間に設置された付着物除去機構101を通ることで、その表面に付着した土粒子が除去される。
【0065】
すなわち、洗浄液である水を水タンク108から噴射管103内に圧送するとともに、付着物除去用吸引ポンプ105を作動させて中空体102の内部空間を減圧する。
【0066】
このようにすると、洗浄液である水は図6に示すように、噴射管103に形成されている噴出孔110からスリット109に向かって噴出され、スリット109を通過した後、透水性シート3の表面(図6では戻り側の配置状況を示しているので、上が裏面、下が表面となる)に当たり、該透水性シートに付着していた付着物である土粒子を剥落させ、あるいは洗い流す。
【0067】
一方、透水性シート3で跳ね返った水及び該水によって除去された土粒子は同図(b)の矢印で示すように、減圧されている中空体102内に吸引され、さらに付着物除去用吸引管104を介して排出される。
【0068】
また、中空体102の内部空間が減圧されることにより、透水性シート3の裏面から空気が導入されるとともに、該空気の流れに連行される形で土粒子が除去される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、ベルト構造を二重構造とし、掘削土砂の搬送荷重を透水性ベルト2に支持させる一方、土粒子の通過を阻止する役目を透水性シート3に負わせたので、それぞれの役割に応じて透水性ベルト2及び透水性シート3を製作することが可能となり、脱水効率を大幅に向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、透水性シート3の戻りルートを、透水性ベルト2の戻りルートとは別に設けて、透水性シート3の戻りルートに付着物除去機構101を設置するとともに、該付着物除去機構を、中空体102のスリット開口縁部111,111が透水性シート3の表面に摺動自在となるように配置するようにしたので、水や土粒子は、付着物除去用吸引ポンプ104による減圧作用と相俟って中空体102内にスムーズに吸い込まれ、中空体102の外部に飛散することはない。
【0071】
また、噴射管103から噴出される水の圧力を調整弁114で適宜調整することにより、透水性シート3に付着している土粒子を確実に除去して目詰まりを防止することが可能となる。本出願人の実証試験によれば、透水性シート3の搬送速度が2〜5m/分程度の場合、透水性シート3の表面全体にこびりついていた土粒子を、不織布の表面が見える程度までほぼ完全に土粒子を除去することができた。
【0072】
加えて、中空体102のスリット開口縁部111,111と透水性シート3の表面との間には隙間が生じていないため、上述した減圧作用を得るための付着物除去用吸引ポンプ105の負担を大幅に軽減することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ1によれば、吸引部材8の開口縁部に沿って気密シール24を取り付け、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、吸引部材8と透水性ベルト2の裏面との気密性が高くなり、空気漏れによる圧力ロスを低減して脱水効率を高めることが可能となる。
【0074】
本実施形態では、ヘッドプーリ4を第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリとし、透水性シート3の駆動プーリと透水性ベルト2の駆動プーリを兼用するようにしたが、これに代えて、それぞれ個別にヘッドプーリを設けるようにしてもかまわない。この場合には、透水性シート3の搬送速度と透水性ベルト2の搬送速度を同一にするための制御手段を必要に応じて設置する。
【0075】
また、本実施形態では、気密シール24によって吸引時の気密性を高めるようにしたが、圧力損失が問題とならないのであれば、かかる気密シール24を省略してもかまわない。
【0076】
また、本実施形態では、透水性シート3を不織布で構成したが、土粒子の通過を阻止できる限り、その材質は任意であり、不織布に代えて、メッシュ状に形成されたシートを適宜採用することができる。
【0077】
また、本実施形態では、本発明の脱水装置をベルトコンベヤに適用した場合について説明したが、搬送機能は必ずしも必要ではなく、透水性ベルト及び透水性シートの搬送区間が短くて、実質的にベルトコンベヤとして用いることができなくてもかまわない。
【0078】
これに関連して、本実施形態に係る脱水装置の使用の形態としては、ベルトコンベヤとして、他のベルトコンベヤとともに連続ベルコンを構成する、脱水装置として、ベルトコンベヤ間に適宜配置する、据置型の脱水装置としてプラント内に設置するといった使用形態が考えられる。
【0079】
また、本実施形態では、脱水の対象物を含水比が高い掘削土砂としたが、本発明に係る脱水装置はかかる用途に限定されるものではなく、化学分野、食品分野など、広い産業分野で利用することが可能である。
【0080】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図7に示すように、掘削土砂等の脱水対象物に振動を付与する振動付与機構としてのバイブレータ61を透水性ベルト2の裏側に配置してもよい。
【0081】
かかる構成においては、バイブレータ61を駆動することによって、脱水対象物内に存在する水を外側に予め排出させることが可能となり、脱水効率の向上を図ることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、透水性シート3に付着した土粒子を除去するにあたり、該土粒子を予め掻き落とすスクレーパーを付着物除去機構101の上流側に設置してもかまわない。
【0083】
かかる構成によれば、付着物除去機構101の負担を軽減することができるとともに、付着物除去機構101によるより完全な土粒子除去が可能となる。
【0084】
上記実施形態に係るベルトコンベヤ1を稼働して掘削土砂の脱水を行った後、透水性シート3を取り外し、未使用の透水性シートとともに透水試験を行って比較した結果、両者の透水係数はほぼ同等であった。かかる透水性試験により、付着物除去機構101が十分な除去作用を果たし得ることがわかった。
【0085】
(第2実施形態)
【0086】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図8は、本実施形態に係るベルトコンベヤを示した側面図である。同図に示すように、本実施形態に係るベルトコンベヤ201は、脱水機構1aと加圧機構1bとから構成してある。
【0088】
脱水機構1aは、無端状の透水性ベルト2と、無端状の透水性シート3とを備えており、透水性ベルト2は、第1のヘッドプーリであるヘッドプーリ4と第1のテールプーリであるテールプーリ5とに掛け渡し、駆動モータ31によって両プーリの間を循環するようになっており、ヘッドプーリ4は第2のヘッドプーリを兼用する。
【0089】
一方、透水性シート3は、ヘッドプーリ4、第2のテールプーリであるテールプーリ6及びリターンローラ7a,7b,7cに掛け渡してあり、駆動モータ31によって各プーリ間及び各リターンローラ間を循環するようになっている。
【0090】
脱水機構1aは図9に示すように、透水性ベルト2が内周側を破線矢印方向に循環し、透水性シート3が外周側を実線矢印方向に循環する二重ベルト構造となっており、透水性ベルト2及び透水性シート3は、駆動モータ31でヘッドプーリ4を駆動することで、両者の搬送速度が等しくなるように構成してあるとともに、透水性シート3の裏面が搬送区間Aにおいて透水性ベルト2の表面に重ねられるように、透水性ベルト2をヘッドプーリ4及びテールプーリ5に掛け渡すとともに、透水性シート3をヘッドプーリ4、リターンローラ7a,7b,7c及びテールプーリ6に掛け渡してある。以下、透水性ベルト2及び透水性シート3については、第1実施形態で詳細に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0091】
脱水機構1aは図8に示すように、上述した搬送区間Aにおいて透水性シート3に載置された脱水の対象物としての掘削土砂中の水分を該透水性シート及び透水性ベルト2を介して吸引除去する吸引機構12を備えており、該吸引機構は、吸引ポンプ10と、該吸引ポンプに接続された吸引管9と、該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成されたボックス断面状の吸引部材8とで構成してある。
【0092】
以下、吸引機構12については、第1実施形態で詳細に説明したので、ここではその説明を省略する。また、脱水機構1aは図8に示すように、透水性シート3の戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構101を備えるが、該付着物除去機構101については、第1実施形態で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0093】
加圧機構1bは、図8に示したように脱水機構1aの上方に配置してあり、第3のヘッドプーリであるヘッドプーリ33と第3のテールプーリであるテールプーリ34とに掛け渡された無端状をなす加圧ベルト32を備える。
【0094】
ここで、加圧ベルト32は図9でよくわかるように、循環経路が透水性ベルト2及び透水性シート3の循環経路(同図では反時計回り)と逆回り、すなわち同図では時計回りとなるように、かつ循環速度が透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送速度と等しくなるようにヘッドプーリ33とテールプーリ34とに掛け渡してある。
【0095】
加圧機構1bは、加圧ベルト32が搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように加圧ベルト32の走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラ35,35と、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラ36とを備える。
【0096】
ここで、各走行角度調整ローラ35は図10に示すように、ローラ本体51をローラ取付体52に取り付け、該ローラ取付体を調整ネジ53を介して架台54に取り付けて構成してあり、かかる構成により、ローラ本体51で加圧ベルト32をその裏面から押さえて該加圧ベルトの走行角度を決定するようになっているとともに、調整ネジ53でローラ本体51の据付け高さを調整し、ひいては加圧ベルト32の押さえ位置を調整できるようになっている。
【0097】
加圧ローラ36は、コの字状フレーム55及び調整ネジ56,56を介して架台54に取り付けてあり、かかる構成により、加圧ベルト32にその裏面から圧力を載荷できるようになっているとともに、調整ネジ56,56でコの字状フレーム55の据付け高さを調整し、ひいては加圧ベルト32の圧力作用位置を調整できるようになっている。
【0098】
なお、本実施形態に係るベルトコンベヤ201は、掘削土砂を投入するホッパー14を備えるとともに、その下方に供給フィーダとして機能するベルトコンベヤ15を配置してあり、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15によって脱水機構1aを構成する透水性ベルト2及び透水性シート3の搬送開始位置に供給できるようになっている。
【0099】
本実施形態に係るベルトコンベヤ201を用いて掘削土砂を脱水するには、まず、脱水の対象物である掘削土砂をホッパー14に投入する。掘削土砂は、土木建築工事において発生する含水比の高いすべての掘削土砂が対象となり、例えば泥土圧シールド工事で発生する掘削土砂が対象となる。かかる掘削土砂は、例えば上流側に設置されたベルトコンベヤから搬送されてきたものをホッパー14に投入するようにすればよい。
【0100】
次に、ホッパー14に投入された掘削土砂をベルトコンベヤ15で移送し、搬送開始位置(搬送区間Aの始点)で透水性ベルト2及び透水性シート3に載せ替える。
【0101】
ここで、透水性シート3は透水性と土粒子遮断性とを有し、該透水性シートが重ねられている透水性ベルト2には排水孔22を形成してある。また、吸引部材8は、その開口縁部に取り付けられた気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在となるように、かつボックス断面状空間である減圧空間が透水性ベルト2に形成された排水孔22と連通するように配置してある。
【0102】
そのため、吸引ポンプ10を駆動して吸引部材8に形成された減圧空間の空気を引き抜くことにより、掘削土砂中の水分は、土粒子から分離して外側に排出される。そして、かかる水分は、透水性シート3による濾過作用によって土粒子と分離されつつ、該透水性シートを通過し、さらに透水性ベルト2の排水溝21に集められた後、排水孔22を介して吸引管9内を流れて排水される。
【0103】
一方、加圧機構1bを構成する加圧ベルト32は、透水性ベルト2及び透水性シート3と同じ搬送速度で循環するとともに、搬送区間Aにおける透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように、一対の走行角度調整ローラ35,35によって走行角度を調整してある。
【0104】
そのため、図10に示すように掘削土砂57は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラ35,35の間に配置された加圧ローラ36で加圧される。
【0105】
かくして掘削土砂57は、加圧機構1bによる加圧作用によって脱水が促進されるとともに、水分が除去され含水比が低下した掘削土砂は、搬送区間Aの終点において、図8で言えばその左側に搬出される。
【0106】
加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との離間距離は、例えば脱水の程度と掘削土砂の処理効率の兼ね合いで適宜決定すればよく、十分な脱水を行いたい場合には、離間距離を小さくとり、処理効率を重視する場合には、離間距離を大きくとればよい。
【0107】
一方、掘削土砂の搬送を終えた透水性ベルト2及び透水性シート3は、ヘッドプーリ4を回った後、透水性ベルト2はテールプーリ5に戻るが、透水性シート3は、透水性ベルト2から離れてリターンローラ7aに向かう。
【0108】
次いで、透水性シート3は、リターンローラ7a,7b,7cを経てテールプーリ6に戻り、テールプーリ5で透水性ベルト2に再び重ねられることとなるが、戻り経路中、ヘッドプーリ4とリターンローラ7aとの間に設置された付着物除去機構101を通ることで、その表面に付着した土粒子が除去される。
【0109】
すなわち、洗浄液である水を水タンク108から噴射管103内に圧送するとともに、付着物除去用吸引ポンプ105を作動させて中空体102の内部空間を減圧する。
【0110】
このようにすると、洗浄液である水は図6(第1実施形態)で既に説明したように、噴射管103に形成されている噴出孔110からスリット109に向かって噴出され、スリット109を通過した後、透水性シート3の表面に当たり、該透水性シートに付着していた付着物である土粒子を剥落させ、あるいは洗い流す。
【0111】
一方、透水性シート3で跳ね返った水及び該水によって除去された土粒子は、減圧されている中空体102内に吸引され、さらに付着物除去用吸引管104を介して排出される。
【0112】
また、中空体102の内部空間が減圧されることにより、透水性シート3の裏面から空気が導入されるとともに、該空気の流れに連行される形で土粒子が除去される。
【0113】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤ201によれば、脱水機構1aのベルト構造を二重構造とし、掘削土砂の搬送荷重を透水性ベルト2に支持させる一方、土粒子の通過を阻止する役目を透水性シート3に負わせたので、それぞれの役割に応じて透水性ベルト2及び透水性シート3を製作することが可能となり、脱水効率を大幅に向上させることができる。
【0114】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ201によれば、透水性シート3の戻りルートを、透水性ベルト2の戻りルートとは別に設けて、透水性シート3の戻りルートに付着物除去機構101を設置するとともに、該付着物除去機構を、中空体102のスリット開口縁部111,111が透水性シート3の表面に摺動自在となるように配置するようにしたので、水や土粒子は、付着物除去用吸引ポンプ104による減圧作用と相俟って中空体102内にスムーズに吸い込まれ、中空体102の外部に飛散することはない。
【0115】
また、噴射管103から噴出される水の圧力を調整弁114で適宜調整することにより、透水性シート3に付着している土粒子を確実に除去して目詰まりを防止することが可能となる。本出願人の実証試験によれば、透水性シート3の搬送速度が2〜5m/分程度の場合、透水性シート3の表面全体にこびりついていた土粒子を、不織布の表面が見える程度までほぼ完全に土粒子を除去することができた。
【0116】
加えて、中空体102のスリット開口縁部111,111と透水性シート3の表面との間には隙間が生じていないため、上述した減圧作用を得るための付着物除去用吸引ポンプ105の負担を大幅に軽減することができる。
【0117】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ201によれば、脱水機構1aを構成する吸引部材8の開口縁部に沿って気密シール24を取り付け、該気密シールが透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように、かつ透水性ベルト2に形成された排水孔22が吸引部材8の減圧空間と連通するように、透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、吸引部材8と透水性ベルト2の裏面との気密性が高くなり、空気漏れによる圧力ロスを低減して脱水効率を高めることが可能となる。
【0118】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ201によれば、加圧機構1bを構成する加圧ベルト32を、透水性ベルト2及び透水性シート3と同じ搬送速度で循環させるとともに、搬送区間における透水性シート3の表面から所定距離だけ離間するように一対の走行角度調整ローラ35,35によって走行角度を調整したので、掘削土砂は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間に挟み込まれながら搬送されるとともに、搬送中、一対の走行角度調整ローラ35,35の間に配置された加圧ローラ36で加圧される。
【0119】
そのため、脱水機構1aによる掘削土砂の脱水作用は、加圧機構1bによる加圧作用によって促進されることとなり、かくして掘削土砂をさらに高い効率で脱水することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤ201によれば、上述したように気密シール24が透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように透水性ベルト2の搬送方向に沿って吸引部材8を配置するようにしたので、加圧機構1bによって載荷された圧力は吸引部材8で支持され、該吸引部材で反力が発生する。ちなみに、吸引部材8は、例えば架台54に固定しておけばよい。
【0121】
すなわち、吸引部材8は、透水性ベルト2に形成された排水孔22の裏側で減圧空間を形成する役目を果たすのみならず、加圧機構1bからの圧力を透水性ベルト2の裏側で支持する反力部材としての役目をも果たす。
【0122】
そのため、加圧機構1bによる圧力は逃げることなく掘削土砂に作用し、該掘削土砂は、加圧ベルト32と透水性ベルト2及び透水性シート3との間で十分に脱水される。
【0123】
本実施形態では、脱水機構1aのヘッドプーリ4を第1のヘッドプーリ及び第2のヘッドプーリとし、透水性シート3の駆動プーリと透水性ベルト2の駆動プーリを兼用するようにしたが、これに代えて、それぞれ個別にヘッドプーリを設けるようにしてもかまわない。この場合には、透水性シート3の搬送速度と透水性ベルト2の搬送速度を同一にするための制御手段を必要に応じて設置する。
【0124】
また、本実施形態では、気密シール24によって吸引時の気密性を高めるようにしたが、圧力損失が問題とならないのであれば、かかる気密シール24を省略してもかまわない。
【0125】
また、本実施形態では、透水性シート3を不織布で構成したが、土粒子の通過を阻止できる限り、その材質は任意であり、不織布に代えて、メッシュ状に形成されたシートを適宜採用することができる。
【0126】
また、本実施形態では、本発明に係る掘削土砂の脱水装置をベルトコンベヤに適用した場合について説明したが、搬送機能は必ずしも必要ではなく、透水性ベルト及び透水性シートの搬送区間が短くて、実質的にベルトコンベヤとして用いることができなくてもかまわない。
【0127】
これに関連して、本実施形態に係る脱水装置の使用の形態としては、ベルトコンベヤとして、他のベルトコンベヤとともに連続ベルコンを構成する、掘削土砂の脱水装置として、ベルトコンベヤ間に適宜配置する、据置型の掘削土砂の脱水装置としてプラント内に設置するといった使用形態が考えられる。
【0128】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、吸引部材8のみでは加圧機構1bによる圧力を支持できない場合、反力部材を別途設けるようにすればよい。
【0129】
図11は、透水性ベルト2の裏面と摺動自在になるように該透水性ベルトの裏側に反力部材52を複数本並設した変形例を示したものである。
【0130】
同図でわかるように、反力部材52は、吸引部材8が配置されている箇所を除いた位置に透水性ベルト2の搬送軸線と平行に配置してあり、キャリアローラ51の動作に支障なきよう、その長さを、例えばキャリアローラ51,51のピッチよりも若干短く設定してある。かかる反力部材52は、吸引部材8と同様、架台54に適宜固定すればよい。
【0131】
反力部材52は、吸引部材8の開口縁部に取り付けた気密シール24と同様、摩擦係数の小さい超高分子ポリエチレンで形成することができる。なお、反力部材52の設置によって気密シール24による吸引部材8と透水性ベルト2との気密性が損なわれないよう、反力部材52を弾性材料で形成し、又はゴム等の弾性部材を介して反力部材52を架台54に取り付けるようにする。
【0132】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、加圧ベルト32の表面に吸水材である多孔質シート、例えばスポンジシートを貼着してもよい。
【0133】
かかる構成によれば、掘削土砂から出た水をスポンジシートが吸水するため、吸引機構12の負荷を減らすことができるとともに、その結果として脱水装置であるベルトコンベヤ201の脱水効率を向上させることが可能となる。
【0134】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図12に示すように、掘削土砂に振動を付与する振動付与機構としてのバイブレータ61を透水性ベルト2の裏側に配置してもよい。
【0135】
かかる構成においては、バイブレータ61を駆動することによって、掘削土砂の土粒子間隙に存在する水を土塊の外側に予め排出させることが可能となり、かかる構成によっても脱水効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本実施形態に係るベルトコンベヤの全体図。
【図2】透水性ベルト2及び透水性シート3の斜視図。
【図3】透水性ベルト2及び透水性シート3の図であり、(a)は平面図、(b)はB−B断面に沿った断面図。
【図4】付着物除去機構101の図であり、(a)は中空体102の材軸方向から見た断面図、(b)は洗浄液の供給経路と洗浄液及び付着物の回収経路とを示した全体図、(c)は噴射管109の斜視図。
【図5】同じく側面図。
【図6】付着物除去機構101で付着物を除去する様子を示した図で、(a)は斜視図、(b)は断面図。
【図7】バイブレータ61の配置状況を示した図。
【図8】第2実施形態に係るベルトコンベヤの全体図。
【図9】透水性ベルト2、透水性シート3及び加圧ベルト32の配置状況を示した斜視図。
【図10】走行角度調整ローラ35及び加圧ローラ36を示した詳細図。
【図11】反力部材52の設置状況を示した図であり、(a)は平面図、(b)はC−C断面に沿った断面図。
【図12】バイブレータ61の配置状況を示した図。
【符号の説明】
【0137】
1,201 ベルトコンベヤ(脱水装置)
1a 脱水機構
1b 加圧機構
2 透水性ベルト
3 透水性シート
4 ヘッドプーリ(第1のヘッドプーリ)
5 テールプーリ(第1のテールプーリ)
6 テールプーリ(第2のテールプーリ)
8 吸引部材
9 吸引管
10 吸引ポンプ
12 吸引機構
21 排水溝
22 排水孔
24 気密シール
32 加圧ベルト
33 ヘッドプーリ(第3のヘッドプーリ)
34 テールプーリ(第3のテールプーリ)
35 走行角度調整ローラ
36 加圧ローラ
52 反力部材
61 バイブレータ(振動付与機構)
101 付着物除去機構
102 中空体
103 噴射管
104 付着物除去用吸引管
105 付着物除去用吸引ポンプ
107 洗浄液供給管
108 洗浄液供給手段
109 スリット
110 噴出孔
111 スリット開口縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された対象物中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構と、前記透水性シートの戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構とを備えるとともに、該付着物除去機構を、前記透水性シートの表面に対向するスリットが形成された中空体と該中空体の内部空間に設置され前記スリットに向けられた噴出孔が形成された噴射管と付着物除去用吸引管を介して前記中空体の内部空間に連通接続された付着物除去用吸引ポンプと洗浄液供給管を介して前記噴射管に連通接続された洗浄液供給手段とで構成し、前記中空体のスリット開口縁部が前記透水性シートの表面に摺動自在となるように前記付着物除去機構を配置したことを特徴とする脱水装置。
【請求項2】
第1のヘッドプーリと第1のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性ベルトと、搬送速度が前記透水性ベルトの搬送速度と等しくなるようにかつ裏面が所定の搬送区間において前記透水性ベルトの表面に重ねられるように第2のヘッドプーリと第2のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす透水性シートと、前記搬送区間において前記透水性シートに載置された対象物中の水分を前記透水性シート及び前記透水性ベルトを介して吸引除去する吸引機構と、前記透水性シートの戻り側であって該透水性シートの循環経路外周側に配置された付着物除去機構とからなる脱水機構と、
前記脱水機構の上方に配置され循環経路が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの循環経路と逆回りとなるようにかつ循環速度が前記透水性ベルト及び前記透水性シートの搬送速度と等しくなるように第3のヘッドプーリと第3のテールプーリとに掛け渡された無端状をなす加圧ベルトと、該加圧ベルトが前記搬送区間における前記透水性シートの表面から所定距離だけ離間するように前記加圧ベルトの走行角度を調整する一対の走行角度調整ローラと、該一対の走行角度調整ローラの間に配置された加圧ローラとからなる加圧機構とを備えるとともに、
前記付着物除去機構を、前記透水性シートの表面に対向するスリットが形成された中空体と該中空体の内部空間に設置され前記スリットに向けられた噴出孔が形成された噴射管と付着物除去用吸引管を介して前記中空体の内部空間に連通接続された付着物除去用吸引ポンプと洗浄液供給管を介して前記噴射管に連通接続された洗浄液供給手段とで構成し、前記中空体のスリット開口縁部が前記透水性シートの表面に摺動自在となるように前記付着物除去機構を配置したことを特徴とする脱水装置。
【請求項3】
前記透水性ベルトの裏側に該透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように反力部材を配置した請求項2記載の脱水装置。
【請求項4】
前記加圧ベルトの表面に吸水材を設けた請求項2記載の脱水装置。
【請求項5】
前記吸引機構を、吸引ポンプと該吸引ポンプに接続された吸引管と該吸引管に連通接続され内部に減圧空間が形成された吸引部材とで構成するとともに、該吸引部材の開口縁部に沿って気密シールを取り付けて構成し、該気密シールが前記透水性ベルトの裏面と摺動自在になるように前記吸引部材を配置した請求項1又は請求項2記載の脱水装置。
【請求項6】
前記透水性ベルトの表面に排水溝を形成するとともに該排水溝の溝底面に排水孔を形成し、該排水孔が前記吸引部材の減圧空間と連通するように該吸引部材を配置した請求項5記載の脱水装置。
【請求項7】
前記第2のヘッドプーリを前記第1のヘッドプーリと兼用した請求項1又は請求項2記載の脱水装置。
【請求項8】
前記対象物に振動を付与する振動付与機構を前記透水性ベルトの裏側に配置した請求項1又は請求項2記載の脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−131819(P2009−131819A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311845(P2007−311845)
【出願日】平成19年12月2日(2007.12.2)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】