脱穀装置
【課題】本発明の課題は、副選別フアンのみ電動モータによって駆動するようにすることで、副選別フアンによる制御を容易にし、選別処理負担がかかる時のみフアンを回転駆動して、無駄な消費電力の削減並びに選別性能の向上を図ることにある。
【解決手段】本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインやハ−ベスタ等に利用される脱穀装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕と、副選別風経路に沿って選別風を圧送する副唐箕を備えて選別性能を高めるようにした技術は知られている。
【特許文献1】特開平5−153849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的には、主唐箕と副選別フアンは共にエンジンからの動力源によって回転駆動するが、本発明の課題とするところは、副選別フアンのみ電動モータによって駆動するようにすることで、副選別フアンによる制御を容易にし、選別処理負担がかかる時のみフアンを回転駆動して、無駄な消費電力の削減並びに選別性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする。
【0005】
主唐箕(21)はエンジン(E)からの回転動力によって回転駆動され、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動される。脱穀クラッチの入切スイッチ(36)を切りにすると、これに連動して副選別フアン(20)の回転が停止する。
【0006】
副選別フアン(20)の回転駆動は電動モータ(35)によるため、該副選別フアン(20)の断続制御が容易となり、また、副選別フアン(20)の回転を脱穀クラッチの入切にて制御し、脱穀クラッチ切り時は副選別フアンの回転が自動的に停止するので、消費電流の減少を図ることができ、脱穀クラッチ入り時にはモータによって副選別フアンを効率よく確実に回転駆動することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、機体の後進制御に起因して副選別フアン(20)の回転を停止させるべく関連構成してあることを特徴とする。
【0008】
一行程刈取作業終了後の旋回時、機体を後進制御に切り替えると、ポジションセンサ(37)の検出結果により副選別フアン(20)の回転が自動的に停止する。後進時には選別部での被選別物が残り少なくなっているため、そのまま、副選別フアン(20)を駆動して選別風を吹き流していると、3番飛散が多量に発生する。そこで、このとき副選別フアン(20)の駆動を停止することで、3番飛散を大幅に減少させることがきる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、刈取作業速度が設定以下の低作業速に達すると、これに関連して副選別フアン(20)の回転を自動停止させるべく連動構成してあることを特徴とする。
【0010】
刈取作業時、走行速度が設定された低作業速にまで変速操作されると、ポジションセンサ(37)の検出結果により副選別フアン(20)の回転が自動的に停止する。低速作業時は、穀稈の刈取量が少なくなり、脱穀選別量も少なくなるので、選別風が強くなり過ぎて3番飛散が多発する。このとき、副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散が防止される。
【発明の効果】
【0011】
要するに、請求項1の本発明によれば、副選別フアン(20)の回転駆動は電動モータ(35)によるため、該副選別フアンの断続制御が容易となり、また、副選別フアンの回転を脱穀クラッチの入切にて制御し、脱穀クラッチ切り時は副選別フアンの回転が自動的に停止するので、消費電流の減少を図ることができ、脱穀クラッチ入り時にはモータによって副選別フアンを効率よく確実に回転駆動することができる。
【0012】
また、請求項2の本発明によれば、旋回時に機体を後進制御に切替操作すると、副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散が低減し、選別性能を高めることができる。
【0013】
更に、請求項3の本発明によれば、低作業時は副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散を防止することができ、選別性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀機)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部5が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。6は変速レバーで、前後方向の操作でHST(油圧式無段変速装置)を駆動し、前後進変速制御を司るように構成している。7は脱穀クラッチレバーで、脱穀部への動力伝達を入切する構成としている。
【0015】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴8を内装軸架した扱室9の下半周部に沿って受網10を張設している。11は扱室9の上方部を覆う扱胴カバ−であって、扱胴軸方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に構成している。
【0016】
扱室9の扱口側には穀稈を挟持搬送するフイ−ドチエン12とこの上側に対設する挟持レ−ル12aを配設している。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−11側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。扱室9のフイ−ドチエン12側とは反対側一側には2番処理胴13を内装軸架した2番処理室を並設している。また、前記2番処理胴13の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴14を内装軸架した排塵処理室を構成して設けている。
【0017】
扱室9の下方及び排塵選別室の下方には揺動可能に架設した揺動選別装置Yを設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、副選別フアン(ブロアー)20と、主唐箕21と、1番移送螺旋22、2番移送螺旋23と、その上方一側に吸引排塵フアン24を設けて選別室を構成している。なお、1番揚穀装置15は1番移送螺旋22で回収された穀物を揚送してグレンタンクG内に収容する。また、2番揚穀装置16は2番移送螺旋23で回収された2番処理物を2番処理胴13の室内へ還元するようになっている。
【0018】
そして、揺動選別装置Yは、扱室からの脱穀処理後の処理物、つまり、被処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚25、クリンプ網(選別網)26、チャフシ−ブ27、ストロ−ラック28の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ27の下方にグレンシ−ブ29を配置して一体的に設け、前記副選別フアン20、主唐箕21及び吸引排塵フアン24による選別風と揺動との共同作用によって扱室9から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。
【0019】
前記副選別フアン20は、エアーチャンバ−30、送風ホース31及び送風ノズル32を介して揺動選別棚Y上へ前方から送風するように構成してあり、送風ノズル32は揺動選別棚側の揺動枠33の左右両側に配置して取り付け、各ノズルの送風口32a…を後方に向けて開口している。なお、副選別フアン20の吸気口20aからはエンジンEからの熱気も吸引できる構成としている。
【0020】
前記副選別フアン20は、図5に示すように、発電機を電源とする電動モータ35によって回転駆動されるようになっており、そして、前記脱穀クラッチレバー7のクラッチ入切操作に連動して副選別フアン20の回転を断続制御すべく関連構成している。つまり、脱穀クラッチレバーによって脱穀入切スイッチ36を切りにすると、電動モータ35の駆動停止に伴い副選別フアン20の回転が自動的に停止する構成としてある。
【0021】
また、副選別フアン20は、図6に示す実施例では、変速レバー6の操作によって機体が後進制御に切り替わると、この後進制御に起因して副選別フアン20の回転が自動的に停止するようになっている。つまり、変速レバー6のポジションセンサ37が機体の後進を検出し、該センサの後進検出結果に基づき、電動モータ35の駆動停止に伴い副選別フアン20の回転が自動停止する構成である。
【0022】
更に、前記副選別フアン20は、図6に示すように、変速レバーのポジションセンサ37が車速を検出するようになっており、設定された所定値以下の低作業速を検出すると、この検出結果に基づき、モータ35の停止と同時に副選別フアン20の回転が自動停止するようになっている。
【0023】
図7に示すように、揺動選別棚Yの終端側に穀粒検出センサ39を設け、該穀粒検出センサ39の検出結果により3番飛散が多発している場合は、フィードバックして、副選別フアン20の回転を停止させ、3番飛散が基準値以下になると、副選別フアンを回転させるように構成している。また、副選別フアンの回転を逆回転させることで、圧風から吸引風に切り替えて3番飛散が防止できるように構成することもできる。
【0024】
また、パワステレバー(操向レバー)の左右方向の操作で機体を旋回制御するとき、副選別フアンの回転を停止させるように構成することもできる。旋回時は負荷が軽くなるため扱胴の回転がアップし3番飛散が多くなるが、副選別フアンの回転を停止させることで、3番飛散を防止することができる。
【0025】
次に、図8〜図11に示す実施例について説明する。
図に示すように、脱穀装置4の前部で入口漏斗41の下方に、HST(油圧式無段変速装置)42で駆動する減速ギヤボックス43を設け、刈取部3とフィードチエン12の内側に設けたシンクロチエン44を駆動可能とした構成のものにおいて、このHST42のニュートラルゾーンNzを逆転側に設けた構成とする(図11参照)ことで、ゼロ回転からのシンクロ回転数が可能となり、逆転側にニュートラルゾーンがあるため、シンクロチエンが逆転することがない。
【0026】
刈取部3側への駆動構成は、前記減速ギヤボックス43から出力される刈取駆動プーリ45と、刈取入力軸47の刈取入力プーリ48との間に刈取伝動ベルト49を券回して駆動するようになっている。前記刈取入力軸47を架設する刈取懸架メタル52と前記減速ギヤボックス43とは第一連結部材53で連結保持してあり、減速ギヤボックス43と脱穀部側の前機枠54とは第二連結部材55により連結保持することで、刈取部懸架構成の剛性アップを図るようにしている。
【0027】
前記刈取駆動プーリ45にはワンウエイクラッチ46を設けることでシンクロチエンの逆転を防止するように構成している。なお、シンクロチエン44は減速ギヤボックス43から出力されるシンクロチエン駆動スプロケット50によって回転駆動される。
【0028】
前記HST42はコンバインの運転席側に配置し、刈取部3への刈取駆動部と、シンクロチエン44への駆動部はフィードチエン12の内側に設置することで、フィードチエン12のフィードチエンオープン軸56を支点とした揺動開閉が容易にできる構成としてある。なお、フィードチエンをオープンした場合、シンクロチエンのメンテナンスが容易にできる。また、刈取部を揺動開閉する刈取オープン軸58は、刈取入力プーリ48の外側で、シンクロチエン44の下側に設置することで、刈取部をオープンする場合、刈取入力プーリ等の構成物が干渉することがなく、刈取伝動ベルトの取り外しも簡単にできて刈取オープンが容易となり、しかも、シンクロチエン下方の空きスペースを有効利用することができる。
【0029】
フィードチエンオープン軸56は、前記第二連結部材55によって支持された支持枠57に装着され、刈取オープン軸58は軸受支持部材59によって軸受保持される。そして、前記フィードチエンオープン軸56を、図に示すように刈取オープン軸58の外側に設置することにより、刈取部オープンとフィードチエンオープンが互いに干渉せず、両者同時にオープンすることができる。
【0030】
図12〜図14に示す実施例は、排ワラチエンの駆動構成及び揺動開閉構成を例示すもので、排ワラチエン60、60は終端側の駆動軸61によって回転駆動されるようになっている。駆動軸61と平行する上方又は後方適所には、一端に入力プーリ62を有する排ワラ入力軸63を架設し、排ワラ入力軸63に対し回動自在に外嵌した回動軸64と前記駆動軸61とは、チエン保持プレート65,65及びチエンケース66を介して軸受保持させてあり、揺動棚駆動軸68から排ワラ入力プーリ62間に掛け渡した排ワラ伝動ベルト69を介して排ワラ入力軸63を回転駆動し、更に、この排ワラ入力軸63からチエンケース66内の排ワラ駆動チエン67を介して前記駆動軸61を駆動し排ワラチエン60、60を回転移行させる構成としてある。そして、排ワラチエン60、60は、排ワラ入力軸63を回動支点として始端側が上下に揺動開閉するように構成している。これにより、簡単な構成での排ワラチエンオープンが可能となり、排ワラ挟持レールとの排ワラの詰り解消並びに扱室後板近くのワラ溜り解消が容易となる。なお、前記排ワラ入力軸63は、前後方向のメインフレーム70と横方向のリヤフレーム71とによって強固に軸受連結保持させた構成としている。
【0031】
図15及び図16はグレンタンクGの構成例を示し、グレンタンクG内で1番揚穀装置15の穀粒排出口15aの下方部に、複数枚の仕切板74,74…を所定間隔を開けて上下方向に立設し、タンク下部の搬出コンベア75側は仕切板で仕切らない(仕切板欠除)ように構成している。現行のグレンタンクでは穀粒が山形状に溜まるため、タンク内の充填量が少なくなり、満杯時の実質的なタンク容量通りには穀粒を充填できない。図例のように仕切板を設けることにより、タンク内での穀粒の大きな山形状がなくなり、平均してなだらかな積り状態となり充填量が増大することになる。
【0032】
図17に示す実施例は、モータによりクラッチワイヤー76を押し引きしてクラッチを断続する構成において、トルクの不安定さを補うためにスプリング77にてアシストする構成としている。つまり、上記クラッチワイヤー76は、モータの駆動により往復回転する回転盤78の円周側一端部に止着してあり、この回転盤78の円周側他端部と機体側取付ステー79との間には引張スプリング77を張設してクラッチの入切をアシストする構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の切断側面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】脱穀装置の要部の正面図
【図5】副選別フアンの制御回路図
【図6】同上別実施例の制御回路図
【図7】同上別実施例の制御回路図
【図8】コンバイン要部の側面図
【図9】同上要部の平面図
【図10】同上要部の拡大平面図
【図11】HSTの正逆転ニュートラルゾーンを示すグラフ
【図12】脱穀機の要部の側面図
【図13】同上要部の平面図
【図14】同上一部の平面図
【図15】グレンタンクの側断面図
【図16】同上背断面図
【図17】クラッチ断続操作機構の要部側面図
【符号の説明】
【0034】
6 変速レバー 7 脱穀クラッレバー
20 副選別フアン 21 主唐箕
35 電動モータ 36 脱穀入切スイッチ
37 ポジションセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインやハ−ベスタ等に利用される脱穀装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕と、副選別風経路に沿って選別風を圧送する副唐箕を備えて選別性能を高めるようにした技術は知られている。
【特許文献1】特開平5−153849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的には、主唐箕と副選別フアンは共にエンジンからの動力源によって回転駆動するが、本発明の課題とするところは、副選別フアンのみ電動モータによって駆動するようにすることで、副選別フアンによる制御を容易にし、選別処理負担がかかる時のみフアンを回転駆動して、無駄な消費電力の削減並びに選別性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする。
【0005】
主唐箕(21)はエンジン(E)からの回転動力によって回転駆動され、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動される。脱穀クラッチの入切スイッチ(36)を切りにすると、これに連動して副選別フアン(20)の回転が停止する。
【0006】
副選別フアン(20)の回転駆動は電動モータ(35)によるため、該副選別フアン(20)の断続制御が容易となり、また、副選別フアン(20)の回転を脱穀クラッチの入切にて制御し、脱穀クラッチ切り時は副選別フアンの回転が自動的に停止するので、消費電流の減少を図ることができ、脱穀クラッチ入り時にはモータによって副選別フアンを効率よく確実に回転駆動することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、機体の後進制御に起因して副選別フアン(20)の回転を停止させるべく関連構成してあることを特徴とする。
【0008】
一行程刈取作業終了後の旋回時、機体を後進制御に切り替えると、ポジションセンサ(37)の検出結果により副選別フアン(20)の回転が自動的に停止する。後進時には選別部での被選別物が残り少なくなっているため、そのまま、副選別フアン(20)を駆動して選別風を吹き流していると、3番飛散が多量に発生する。そこで、このとき副選別フアン(20)の駆動を停止することで、3番飛散を大幅に減少させることがきる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、刈取作業速度が設定以下の低作業速に達すると、これに関連して副選別フアン(20)の回転を自動停止させるべく連動構成してあることを特徴とする。
【0010】
刈取作業時、走行速度が設定された低作業速にまで変速操作されると、ポジションセンサ(37)の検出結果により副選別フアン(20)の回転が自動的に停止する。低速作業時は、穀稈の刈取量が少なくなり、脱穀選別量も少なくなるので、選別風が強くなり過ぎて3番飛散が多発する。このとき、副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散が防止される。
【発明の効果】
【0011】
要するに、請求項1の本発明によれば、副選別フアン(20)の回転駆動は電動モータ(35)によるため、該副選別フアンの断続制御が容易となり、また、副選別フアンの回転を脱穀クラッチの入切にて制御し、脱穀クラッチ切り時は副選別フアンの回転が自動的に停止するので、消費電流の減少を図ることができ、脱穀クラッチ入り時にはモータによって副選別フアンを効率よく確実に回転駆動することができる。
【0012】
また、請求項2の本発明によれば、旋回時に機体を後進制御に切替操作すると、副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散が低減し、選別性能を高めることができる。
【0013】
更に、請求項3の本発明によれば、低作業時は副選別フアン(20)の回転が自動的に停止するので、3番飛散を防止することができ、選別性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀機)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部5が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。6は変速レバーで、前後方向の操作でHST(油圧式無段変速装置)を駆動し、前後進変速制御を司るように構成している。7は脱穀クラッチレバーで、脱穀部への動力伝達を入切する構成としている。
【0015】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴8を内装軸架した扱室9の下半周部に沿って受網10を張設している。11は扱室9の上方部を覆う扱胴カバ−であって、扱胴軸方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に構成している。
【0016】
扱室9の扱口側には穀稈を挟持搬送するフイ−ドチエン12とこの上側に対設する挟持レ−ル12aを配設している。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−11側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。扱室9のフイ−ドチエン12側とは反対側一側には2番処理胴13を内装軸架した2番処理室を並設している。また、前記2番処理胴13の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴14を内装軸架した排塵処理室を構成して設けている。
【0017】
扱室9の下方及び排塵選別室の下方には揺動可能に架設した揺動選別装置Yを設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、副選別フアン(ブロアー)20と、主唐箕21と、1番移送螺旋22、2番移送螺旋23と、その上方一側に吸引排塵フアン24を設けて選別室を構成している。なお、1番揚穀装置15は1番移送螺旋22で回収された穀物を揚送してグレンタンクG内に収容する。また、2番揚穀装置16は2番移送螺旋23で回収された2番処理物を2番処理胴13の室内へ還元するようになっている。
【0018】
そして、揺動選別装置Yは、扱室からの脱穀処理後の処理物、つまり、被処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚25、クリンプ網(選別網)26、チャフシ−ブ27、ストロ−ラック28の順に配置し、且つ、前記チャフシ−ブ27の下方にグレンシ−ブ29を配置して一体的に設け、前記副選別フアン20、主唐箕21及び吸引排塵フアン24による選別風と揺動との共同作用によって扱室9から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。
【0019】
前記副選別フアン20は、エアーチャンバ−30、送風ホース31及び送風ノズル32を介して揺動選別棚Y上へ前方から送風するように構成してあり、送風ノズル32は揺動選別棚側の揺動枠33の左右両側に配置して取り付け、各ノズルの送風口32a…を後方に向けて開口している。なお、副選別フアン20の吸気口20aからはエンジンEからの熱気も吸引できる構成としている。
【0020】
前記副選別フアン20は、図5に示すように、発電機を電源とする電動モータ35によって回転駆動されるようになっており、そして、前記脱穀クラッチレバー7のクラッチ入切操作に連動して副選別フアン20の回転を断続制御すべく関連構成している。つまり、脱穀クラッチレバーによって脱穀入切スイッチ36を切りにすると、電動モータ35の駆動停止に伴い副選別フアン20の回転が自動的に停止する構成としてある。
【0021】
また、副選別フアン20は、図6に示す実施例では、変速レバー6の操作によって機体が後進制御に切り替わると、この後進制御に起因して副選別フアン20の回転が自動的に停止するようになっている。つまり、変速レバー6のポジションセンサ37が機体の後進を検出し、該センサの後進検出結果に基づき、電動モータ35の駆動停止に伴い副選別フアン20の回転が自動停止する構成である。
【0022】
更に、前記副選別フアン20は、図6に示すように、変速レバーのポジションセンサ37が車速を検出するようになっており、設定された所定値以下の低作業速を検出すると、この検出結果に基づき、モータ35の停止と同時に副選別フアン20の回転が自動停止するようになっている。
【0023】
図7に示すように、揺動選別棚Yの終端側に穀粒検出センサ39を設け、該穀粒検出センサ39の検出結果により3番飛散が多発している場合は、フィードバックして、副選別フアン20の回転を停止させ、3番飛散が基準値以下になると、副選別フアンを回転させるように構成している。また、副選別フアンの回転を逆回転させることで、圧風から吸引風に切り替えて3番飛散が防止できるように構成することもできる。
【0024】
また、パワステレバー(操向レバー)の左右方向の操作で機体を旋回制御するとき、副選別フアンの回転を停止させるように構成することもできる。旋回時は負荷が軽くなるため扱胴の回転がアップし3番飛散が多くなるが、副選別フアンの回転を停止させることで、3番飛散を防止することができる。
【0025】
次に、図8〜図11に示す実施例について説明する。
図に示すように、脱穀装置4の前部で入口漏斗41の下方に、HST(油圧式無段変速装置)42で駆動する減速ギヤボックス43を設け、刈取部3とフィードチエン12の内側に設けたシンクロチエン44を駆動可能とした構成のものにおいて、このHST42のニュートラルゾーンNzを逆転側に設けた構成とする(図11参照)ことで、ゼロ回転からのシンクロ回転数が可能となり、逆転側にニュートラルゾーンがあるため、シンクロチエンが逆転することがない。
【0026】
刈取部3側への駆動構成は、前記減速ギヤボックス43から出力される刈取駆動プーリ45と、刈取入力軸47の刈取入力プーリ48との間に刈取伝動ベルト49を券回して駆動するようになっている。前記刈取入力軸47を架設する刈取懸架メタル52と前記減速ギヤボックス43とは第一連結部材53で連結保持してあり、減速ギヤボックス43と脱穀部側の前機枠54とは第二連結部材55により連結保持することで、刈取部懸架構成の剛性アップを図るようにしている。
【0027】
前記刈取駆動プーリ45にはワンウエイクラッチ46を設けることでシンクロチエンの逆転を防止するように構成している。なお、シンクロチエン44は減速ギヤボックス43から出力されるシンクロチエン駆動スプロケット50によって回転駆動される。
【0028】
前記HST42はコンバインの運転席側に配置し、刈取部3への刈取駆動部と、シンクロチエン44への駆動部はフィードチエン12の内側に設置することで、フィードチエン12のフィードチエンオープン軸56を支点とした揺動開閉が容易にできる構成としてある。なお、フィードチエンをオープンした場合、シンクロチエンのメンテナンスが容易にできる。また、刈取部を揺動開閉する刈取オープン軸58は、刈取入力プーリ48の外側で、シンクロチエン44の下側に設置することで、刈取部をオープンする場合、刈取入力プーリ等の構成物が干渉することがなく、刈取伝動ベルトの取り外しも簡単にできて刈取オープンが容易となり、しかも、シンクロチエン下方の空きスペースを有効利用することができる。
【0029】
フィードチエンオープン軸56は、前記第二連結部材55によって支持された支持枠57に装着され、刈取オープン軸58は軸受支持部材59によって軸受保持される。そして、前記フィードチエンオープン軸56を、図に示すように刈取オープン軸58の外側に設置することにより、刈取部オープンとフィードチエンオープンが互いに干渉せず、両者同時にオープンすることができる。
【0030】
図12〜図14に示す実施例は、排ワラチエンの駆動構成及び揺動開閉構成を例示すもので、排ワラチエン60、60は終端側の駆動軸61によって回転駆動されるようになっている。駆動軸61と平行する上方又は後方適所には、一端に入力プーリ62を有する排ワラ入力軸63を架設し、排ワラ入力軸63に対し回動自在に外嵌した回動軸64と前記駆動軸61とは、チエン保持プレート65,65及びチエンケース66を介して軸受保持させてあり、揺動棚駆動軸68から排ワラ入力プーリ62間に掛け渡した排ワラ伝動ベルト69を介して排ワラ入力軸63を回転駆動し、更に、この排ワラ入力軸63からチエンケース66内の排ワラ駆動チエン67を介して前記駆動軸61を駆動し排ワラチエン60、60を回転移行させる構成としてある。そして、排ワラチエン60、60は、排ワラ入力軸63を回動支点として始端側が上下に揺動開閉するように構成している。これにより、簡単な構成での排ワラチエンオープンが可能となり、排ワラ挟持レールとの排ワラの詰り解消並びに扱室後板近くのワラ溜り解消が容易となる。なお、前記排ワラ入力軸63は、前後方向のメインフレーム70と横方向のリヤフレーム71とによって強固に軸受連結保持させた構成としている。
【0031】
図15及び図16はグレンタンクGの構成例を示し、グレンタンクG内で1番揚穀装置15の穀粒排出口15aの下方部に、複数枚の仕切板74,74…を所定間隔を開けて上下方向に立設し、タンク下部の搬出コンベア75側は仕切板で仕切らない(仕切板欠除)ように構成している。現行のグレンタンクでは穀粒が山形状に溜まるため、タンク内の充填量が少なくなり、満杯時の実質的なタンク容量通りには穀粒を充填できない。図例のように仕切板を設けることにより、タンク内での穀粒の大きな山形状がなくなり、平均してなだらかな積り状態となり充填量が増大することになる。
【0032】
図17に示す実施例は、モータによりクラッチワイヤー76を押し引きしてクラッチを断続する構成において、トルクの不安定さを補うためにスプリング77にてアシストする構成としている。つまり、上記クラッチワイヤー76は、モータの駆動により往復回転する回転盤78の円周側一端部に止着してあり、この回転盤78の円周側他端部と機体側取付ステー79との間には引張スプリング77を張設してクラッチの入切をアシストする構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の切断側面図
【図3】同上要部の平面図
【図4】脱穀装置の要部の正面図
【図5】副選別フアンの制御回路図
【図6】同上別実施例の制御回路図
【図7】同上別実施例の制御回路図
【図8】コンバイン要部の側面図
【図9】同上要部の平面図
【図10】同上要部の拡大平面図
【図11】HSTの正逆転ニュートラルゾーンを示すグラフ
【図12】脱穀機の要部の側面図
【図13】同上要部の平面図
【図14】同上一部の平面図
【図15】グレンタンクの側断面図
【図16】同上背断面図
【図17】クラッチ断続操作機構の要部側面図
【符号の説明】
【0034】
6 変速レバー 7 脱穀クラッレバー
20 副選別フアン 21 主唐箕
35 電動モータ 36 脱穀入切スイッチ
37 ポジションセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、機体の後進制御に起因して副選別フアン(20)の回転を停止させるべく関連構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、刈取作業速度が設定以下の低作業速に達すると、これに関連して副選別フアン(20)の回転を自動停止させるべく連動構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項1】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、脱穀クラッチの入切に連動して副選別フアン(20)の回転を断続制御すべく関連構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、機体の後進制御に起因して副選別フアン(20)の回転を停止させるべく関連構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
主選別風経路に沿って選別風を圧送する主唐箕(21)と副選別風経路に沿って選別風を圧送する副選別フアン(20)とを備え、副選別フアン(20)は電動モータ(35)によって回転駆動する構成とし、刈取作業速度が設定以下の低作業速に達すると、これに関連して副選別フアン(20)の回転を自動停止させるべく連動構成してあることを特徴とする脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−230313(P2006−230313A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51211(P2005−51211)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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