説明

脱穀装置

【課題】 穂先部との摩擦により摩耗し易い受網体の穀稈搬入側部の寿命を延命化すること。
【解決手段】 外周面に多数の扱歯を突設した扱胴と、同扱胴の直下方位置において扱胴の周面に沿わせて張設した受網体とを具備し、同受網体と扱胴の外周面との間に穀稈を挿入すると共に、同穀稈を扱胴の軸線方向に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴の扱歯により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体の網目を通して漏下させるようにした脱穀装置において、受網体は、同受網体の本体を形成するクリンプ網と、同クリンプ網の始端側に連結して穀稈搬入側部を形成する鋼板製網とを具備させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の一形態として、外周面に多数の扱歯を突設した扱胴と、同扱胴の直下方位置において扱胴の周面に沿わせて張設した受網体とを具備し、同受網体と扱胴の外周面との間に穀稈を挿入すると共に、同穀稈を扱胴の軸線方向に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴の扱歯により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体の網目を通して漏下させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、受網体としてはクリンプ網を使用している。
【特許文献1】特開平9−140242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した脱穀装置では、受網体としてクリンプ網を使用しているために、経時的に摩耗して大きな孔が開き、受網体としての機能を果たさなくなることがある。
【0005】
このような場合には、受網体を交換しなければならないが、摩耗により開く大きな孔は、受網体の搬入側半部でかつ穀稈の穂先部側を受ける部分であることが多く、一部に大きな孔が開いただけで受網体全体を交換しなければならないという費用的な不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、外周面に多数の扱歯を突設した扱胴と、同扱胴の直下方位置において扱胴の周面に沿わせて張設した受網体とを具備し、同受網体と扱胴の外周面との間に穀稈を挿入すると共に、同穀稈を扱胴の軸線方向に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴の扱歯により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体の網目を通して漏下させるようにした脱穀装置において、受網体は、同受網体の本体を形成するクリンプ網と、同クリンプ網の始端側に連結して穀稈搬入側部を形成する鋼板製網とを具備することを特徴とする脱穀装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0008】
(1)鋼板製網は、クリンプ網に着脱自在に連結したこと。
【0009】
(2)鋼板製網は、穀稈の穂先部側を受ける一側半部と、穀稈の株元部側を受ける他側半部とを反転させてクリンプ網に連結可能となしたこと。
【発明の効果】
【0010】
(1)請求項1記載の本発明では、外周面に多数の扱歯を突設した扱胴と、同扱胴の直下方位置において扱胴の周面に沿わせて張設した受網体とを具備し、同受網体と扱胴の外周面との間に穀稈を挿入すると共に、同穀稈を扱胴の軸線方向に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴の扱歯により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体の網目を通して漏下させるようにした脱穀装置において、受網体は、同受網体の本体を形成するクリンプ網と、同クリンプ網の始端側に連結して穀稈搬入側部を形成する鋼板製網とを具備している。
【0011】
このようにして、受網体の穀稈搬入側部を鋼板製網により形成しているため、穀稈を鋼板製網上にて円滑に搬入させることができると共に、穂先部との摩擦により摩耗し易い受網体の穀稈搬入側部の寿命を延命化することができる。
【0012】
その結果、受網体の交換回数を大幅に削減することができて、受網体の交換コストの削減を図ることができる。
【0013】
しかも、鋼板製網を通しても脱穀処理物を漏下させることができるため、脱穀処理物の漏下性能を良好に確保することができる。
【0014】
(2)請求項2記載の本発明では、鋼板製網は、クリンプ網に着脱自在に連結している。
【0015】
このようにして、鋼板製網は、クリンプ網に着脱自在に連結しているため、例えば、鋼板製網が経時的に摩耗して、網としての機能を果たさなくなった場合には、同鋼板製網だけを取り替えることができる。その結果、受網体全体を交換する必要性がなくなり、同受網体の交換コストの低減化を図ることができる。
【0016】
(3)請求項3記載の本発明では、鋼板製網は、穀稈の穂先部側を受ける一側半部と、穀稈の株元部側を受ける他側半部とを反転させてクリンプ網に連結可能となしている。
【0017】
このようにして、鋼板製網を反転させてクリンプ網に連結可能となしているため、鋼板製網の穂先部側が摩耗した場合には、同鋼板製網の株元部側が穂先部側に位置するように反転させてクリンプ網に連結することにより、さらに受網体の使用を継続させることができて、より一層受網体の交換コストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1及び図2に示す(A)は、本発明に係る脱穀装置を装備するコンバインであり、(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀装置である脱穀部、(8)は脱穀部(4)にて脱穀された穀粒を選別する選別部、(9)は刈刃(10)及び穀稈搬送機構(11)などを備える刈取部、(12)は刈取フレーム(13)を介して刈取部(9)を昇降させる油圧シリンダ、(14)は排藁チェン(15)終端を臨ませる排藁処理部、(16)は選別部(8)からの一番処理物を揚穀筒(17)を介して搬入する穀物タンク、(18)は前記タンク(16)の一番処理物を機外に搬出する排出オーガ、(19)は運転操作部(20)及び運転席(21)を備える運転キャビン、(22)は運転キャビン(19)下方に設ける原動機部であり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0019】
また、図3及び図4にも示すように、図中(23)は機体の前後方向に軸架する扱胴(6)を内設させる扱室、(24)は前記扱室(23)下方に張架させる受網体、(25)は前記受網体(24)下方に前端を臨ませて前後方向に揺動自在に支持する揺動選別盤、(26)(27)は前記受網体(24)の下方に上下2段に配設する揺動選別盤(25)の前・後部フィードパン、(28)は前部フィードパン(26)の後端側に上下揺動自在に設ける選別篩い線、(29)は後部フィードパン(27)後端後方に連設するチャフシーブ、(30)はチャフシーブ(29)下方に配設するグレンシーブ、(31)は前・後部フィードパン(26)(27)の上下間に選別風を送給するプレファンである送塵ファン、(32)はチャフシーブ(29)とグレンシーブ(30)間及びグレンシーブ(30)下方に選別風を送給するメインの送風装置である唐箕、(33)は揚穀筒(17)に連通させて穀物タンク(16)に穀粒を取出す1番コンベア、(34)は2番物を2番還元装置である2番還元コンベア(35)を介し前記選別盤(25)の篩い線(28)上方に還元する2番コンベアであり、前記扱胴(6)及び処理胴(7)により脱穀された穀粒を揺動選別盤(25)で選別し整粒のみを前記穀物タンク(16)に取出すと共に、排藁を排藁チェン(15)を介して排藁処理部(14)に送り込んで排藁カッタ(図示せず)による切断後機外に排出させるように構成している。
【0020】
また、前記前部フィードパン(26)の後下方位置には、図3及び図5に示すように、後部フィードパン(27)を段差をもたせて配置しており、両者の段差の部分に選別風流入口(53)を形成している。
【0021】
そして、前記送塵ファン(31)は、図3に示すように、前部フィードパン(26)の直下方位置でかつ唐箕(32)の前方位置に設けており、唐箕(32)の唐箕ケース(54)の外側と、前部フィードパン(26)の底部間を送塵ファン(31)のファンケース(55)で覆って、前・後部フィードパン(26)(27)間に形成した前記選別風流入口(53)に連通させている。
【0022】
また、前記唐箕(32)の直上方位置には後部フィードパン(27)を配設して、チャフシーブ(29)とグレンシーブ(30)間及びグレンシーブ(30)下方にそれぞれ選別風を送給する送風口(56)(57)を唐箕(32)の上部及び後部に開設して、前記篩い線(28)や直接的に受網体(24)から落下する穀物や塵に送塵ファン(31)からの選別風を、またチャフシーブ(29)やグレンシーブ(30)から落下する穀物や塵に唐箕(32)からの選別風をそれぞれ別個に作用させて選別性能の安定向上を図るように構成している。
【0023】
さらに、前記篩い線(28)の上下篩い作用によって後部フィードパン(27)やチャフシーブ(29)での穀粒と塵の分散化を促進させることができると共に、前部フィードパン(26)の前部上方位置に2番還元コンベア(35)の還元口(35a)を臨ませて、2番還元物の分散化も図って、限定された選別巾内で大容量の穀物の処理を有効に行えるようにしている。
【0024】
ここで、本実施の形態では、図3に示すように、脱穀部(4)は、外周面に多数の扱歯(6a)を突設した扱胴(6)と、同扱胴(6)の直下方位置において扱胴(6)の外周面に沿わせて湾曲状に張設した受網体(24)とを具備し、同受網体(24)と扱胴(6)の外周面との間に穀稈(K)(図4参照)を挿入すると共に、同穀稈(K)を扱胴(6)の軸線方向(P)に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴(6)の扱歯(6a)により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体(24)の網目を通して漏下させるようにしている。
【0025】
上記のような構成において、本発明の要旨は、図4に示すように、受網体(24)は、同受網体(24)の本体を形成するクリンプ網(40)と、同クリンプ網(40)の始端側に連結して穀稈搬入側部を形成する鋼板製網(41)とを具備していることにある。
【0026】
すなわち、受網体(24)は、網体支持枠(42)にクリンプ網(40)と鋼板製網(41)とを張設・支持しており、同網体支持枠(42)は、クリンプ網(40)を補強リブ片(43)を介して着脱自在に張設・支持する四角形枠状のクリンプ網支持枠形成片(44)と、鋼板製網(41)を補強リブ片(45)を介して着脱自在に張設・支持する四角形枠状の鋼板製網支持枠形成片(46)とから形成している。(a)は穀稈搬入側、(b)は穀稈搬出側である。
【0027】
そして、クリンプ網(40)は、素線を波形に加工した縦線(40a)と横線(40b)とを一定間隔で配列した金網であり、クリンプ網(40)の表面に凹凸面を形成して、扱胴(6)に突設した扱歯(6a)と協働して穀稈(図示せず)の穂先部をもみほぐして脱穀するようにしている。
【0028】
また、鋼板製網(41)は、板厚が4.5mmから3.2mmの鋼板に、プレス加工による打ち抜きによって、処理物漏下孔としての網目(41a)を多数穿設しているものであり、網目(41a)は四角形状に形成して前後左右方向にそれぞれ整然と配置している。
【0029】
このようにして、受網体(24)の穀稈搬入側部を鋼板製網(41)により形成しているため、穀稈を鋼板製網(41)上にて円滑に搬入させることができると共に、穂先部との摩擦により摩耗し易い受網体(24)の穀稈搬入側部の寿命を延命化することができる。
【0030】
その結果、受網体(24)の交換回数を大幅に削減することができて、受網体(24)の交換コストの削減を図ることができる。
【0031】
しかも、鋼板製網(41)を通しても脱穀処理物を漏下させることができるため、脱穀処理物の漏下性能を良好に確保することができる。
【0032】
また、鋼板製網(41)は、網体支持枠(42)を介してクリンプ網(40)に着脱自在に連結しているため、例えば、鋼板製網(41)が経時的に摩耗して、網としての機能を果たさなくなった場合には、同鋼板製網(41)だけを取り替えることができる。その結果、受網体(24)全体を交換する必要性がなくなり、同受網体(24)の交換コストの低減化を図ることができる。
【0033】
しかも、鋼板製網(41)は、穀稈の穂先部側を受ける一側半部(本実施の形態では右側半部)と、穀稈の株元部側を受ける他側半部(本実施の形態では左側半部)とを反転させて網体支持枠(42)を介してクリンプ網(40)に連結可能となしている。
【0034】
従って、鋼板製網(41)の穂先部側が摩耗した場合には、同鋼板製網(41)の株元部側が穂先部側に位置するように反転させてクリンプ網(40)に連結することにより、さらに受網体(24)の使用を継続させることができて、より一層受網体(24)の交換コストの低減化を図ることができる。
【0035】
さらには、本実施の形態では、鋼板製網(41)の前後幅(W1)は、2番還元コンベア(35)から前部フィードパン(26)上に還元される2番還元物を放出する還元口(35a)の前後開口幅(W2)と同一幅ないしは略同一幅に形成すると共に、前部フィードパン(26)の前後幅(W3)よりも幅狭に形成している。
【0036】
このようにして、還元口(35a)を通して2番還元物が還元される前部フィードパン(26)上には、鋼板製網(41)を通して脱穀処理物が漏下されるようにしているため、同前部フィードパン(26)上への脱穀処理物の漏下量をクリンプ網(40)に比して低減させることができる。
【0037】
その結果、前部フィードパン(26)上で処理される脱穀処理物の量を規制することができて、同前部フィードパン(26)による脱穀処理物の分散・均一化機能を良好に確保することができ、後続の揺動選別効率と風選別効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、図5〜図7に示すように、前部フィードパン(26)の上面に複数(本実施の形態では二個)の前部選別物案内体(60)を配置する一方、後部フィードパン(27)の上面に複数(本実施の形態では三個)の後部選別物案内体(61)を配置すると共に、同後部選別物案内体(61)は、平面視にて、前部選別物案内体(60)の仮想延長線(L)上に配置している。
【0039】
すなわち、図6〜図8に示すように、前部フィードパン(26)の右側部に、左右方向に伸延する前後一対の固定体(62,62)を前後方向に一定の間隔を開けて取り付け、両固定体(62,62)の左右側部間に、前後方向に伸延する左右一対の支持体(63,63)を左右方向に一定の間隔を開けて横架状態に固定し、各支持体(63,63)にそれぞれ左右一対の前部選別物案内体(60,60)を取り付けている。(67)は前部固定ボルトである。
【0040】
そして、前後方向に伸延する支持体(63)は、前後方向に伸延させて形成した左側連結片(63a)と、同左側連結片(63a)の右側縁部より右側上方へ傾斜状に伸延させて形成した傾斜支持片(63b)と、同傾斜支持片(63b)の右側縁部より直下方へ伸延させて形成した起立支持片(63c)と、同起立支持片(63c)の下端縁部より略水平に伸延させて形成した右側連結片(63d)とを一体成形してなるものである。
【0041】
ここで、支持体(63)は、機体の前後方向線(P)に対して、前端部が右側に位置すると共に、後端部が左側に位置すべく交叉状に配置している。
【0042】
また、前部選別物案内体(60)は、図7及び図8に示すように、一側縁部(本実施の形態では左側縁部)を前部フィードパン(26)に近接させて配置する一方、他側縁部(本実施の形態では右側縁部)を前部フィードパン(26)から上方へ離隔させて配置して、上面を他側縁部から一側縁部に向けて下り傾斜状の前部案内作用面(64)となしている。
【0043】
すなわち、前部選別物案内体(60)は、左側連結片(63a)の上面に沿わせて前後方向に伸延させて形成した下部案内片(60a)と、同下部案内片(60a)の右側縁部より傾斜支持片(63b)に沿わせて前後方向に伸延させて形成した中途部案内片(60b)と、同中途部案内片(60b)の右側縁部より右側外方へ片持ち状態に張り出させて前後方向に伸延させて形成した上部案内片(60c)とを一体成形してなるものである。
【0044】
しかも、図6に示すように、中途部案内片(60b)と上部案内片(60c)は、後端部を支持体(63)、さらには、前部フィードパン(26)の後端縁部(26a)よりも後方へ張り出させて、後部フィードパン(27)の前部上方に位置させている。
【0045】
さらには、上部案内片(60c)は、図8に示すように、中途部案内片(60b)の傾斜面仮想延長線(Q)よりも下方に配置して、同中途部案内片(60b)よりも緩やかな傾斜面となしている。
【0046】
このようにして、上部案内片(60c)の上面と中途部案内片(60b)の上面と下部案内片(60a)の上面とにより、前記した前部案内作用面(64)を形成している。
【0047】
また、図6、図7及び図9に示すように、後部フィードパン(27)の右側前部に、三個の固定・支持体(65,65,65)を左右方向に一定の間隔を開けて取り付け、各固定・支持体(65,65,65)にそれぞれ後部選別物案内体(61,61,61)を取り付けている。
【0048】
そして、左側の固定・支持体(65)は、図6に示すように、左側の固定体(62)の後方位置に配置し、また、中間部の固定・支持体(65)は、右側の固定体(62)の後方位置に配置し、また、右側の固定・支持体(65)は右側の固定体(62)の右側後方位置に配置している。(68)は、後部固定ボルトである。
【0049】
固定・支持体(65)は、左右方向に伸延する前後一対の固定片(65a,65a)と、前後方向に伸延させて固定片(65a,65a)の右側端部間に傾斜状態に架設した支持本片(65b)と、同支持本片(65b)の略前半部の上端縁部より右側外方へ略水平に突出させて形成した支持縁片(65c)とを一体成形してなるものである。
【0050】
ここで、支持本片(65b)は、その伸延方向が、図6に示す平面視にて、前記支持体(63)の伸延方向と略平行となるように配置している。
【0051】
また、後部選別物案内体(61)は、図9に示すように、一側縁部(本実施の形態では左側縁部)を後部フィードパン(27)に近接させて配置する一方、他側縁部(本実施の形態では右側縁部)を後部フィードパン(27)から上方へ離隔させて配置して、上面を他側縁部から一側縁部に向けて下り傾斜状の後部案内作用面(66)となしている。
【0052】
すなわち、後部選別部案内体(61)は、固定片(65a,65a)の上面と略平行させて前後方向に伸延させて形成した下部案内片(61a)と、同下部案内片(61a)の右側縁部より支持本片(65b)に沿わせて前後方向に伸延させて形成した中途部案内片(61b)と、同中途部案内片(61b)の右側縁部より支持縁片(65c)に沿わせて前後方向に伸延させて形成した上部案内片(61c)とを一体成形してなるものである。
【0053】
このようにして、上部案内片(61c)の上面と中途部案内片(61b)の上面と下部案内片(61a)の上面とにより、前記した後部案内作用面(66)を形成している。
【0054】
ここで、前記した前部案内作用面(64)は、一側縁部から他側縁部までの傾斜案内幅(Wf)、すなわち、下部案内片(60a)と中途部案内片(60b)と上部案内片(60c)とからなる左右幅を、後部案内作用面(66)の傾斜案内幅(Wr)よりも略3倍の広幅に形成している。
【0055】
本発明の実施形態は上記のように構成しているものであり、本実施の形態によれば、次のような作用効果が得られる。
【0056】
すなわち、本実施の形態では、前部フィードパン(26)の後下方位置に段差をもたせて後部フィードパン(27)を配置して、段差の部分に選別風流入口(53)を形成しているため、前部フィードパン(26)から後部フィードパン(27)に移送・落下される選別物は、段差の部分の選別風流入口(53)から流入する送塵ファン(31)からの選別風により風選別される。
【0057】
そのため、大量の選別物が前部フィードパン(26)上において扱胴(6)の回転方向(本実施の形態では正面視にて時計廻り)下手側、すなわち、穂先側に漏下した場合にも、同前部フィードパン(26)上に配置した前部選別物案内体(60)により大量の選別物は、扱胴(6)の回転方向下手側から回転方向上手側、すなわち、穂先側から株元側に案内されて、風選別された後に後部フィードパン(27)上に移送され、同後部フィードパン(27)上に移送された選別物は、後部選別物案内体(61)によりさらに穂先側から株元側に案内されて均一に分散される。
【0058】
この際、後部選別物案内体(61)は、平面視にて、前部選別物案内体(60)の仮想延長線(L)上に配置しているため、選別物の分散化を良好に確保することができる。
【0059】
しかも、前・後部フィードパン(60,61)の上面に他側縁部から一側縁部に向けて下り傾斜状の前・後部案内作用面(64,66)を形成しているため、各前・後部案内作用面(64,66)を可及的に大きく形成することができて、大量の選別物でも確実に穂先側から株元側に移送・案内しながら均一に分散させることができる。
【0060】
さらには、前部案内作用面(64)の傾斜案内幅(Wf)を後部案内作用面(66)の傾斜案内幅(Wr)よりも広幅に形成しているため、大量の選別物でも確実に前部案内作用面(64)で受けて、ある程度分散させた後に後部案内作用面(66)に引き継いで、同後部案内作用面によりさらに分散化することができる。
【0061】
ここで、上部案内片(60c)は、中途部案内片(60b)の傾斜面仮想延長線(Q)よりも下方に配置して、同中途部案内片(60b)よりも緩やかな傾斜面となしているため、上部案内片(60c)により左右方向に幅広い範囲で選別物を受けて、受けた選別物を確実に中途部案内片(60b)に流下・案内させることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、選別部(8)により選別された二番還元処理物は、前部フィードパン(26)の前部に臨ませた2番還元コンベア(35)の還元口(35a)より前部選別物案内体(60)の前部に向けて放出させるようにしている。
【0063】
このようにして、二番還元処理物を再度前部選別物案内体(60)により移送・案内しながら均一に分散させて、確実に選別することができる。その結果、一番処理物の回収効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るコンバインの側面図。
【図2】同コンバインの平面図。
【図3】同コンバインの脱穀部と選別部の側面説明図。
【図4】受網体の平面展開説明図。
【図5】同選別部の平面説明図。
【図6】同選別部の前・後部選別物案内体の側面説明図。
【図7】同前・後部選別物案内体の平面説明図。
【図8】図6のI-I線断面図。
【図9】図6のII−II線断面図。
【符号の説明】
【0065】
(A)コンバイン
(8)選別部
(24)受網体
(26)前部フィードパン
(27)後部フィードパン
(60)前部選別物案内体
(61)後部選別物案内体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に多数の扱歯を突設した扱胴と、同扱胴の直下方位置において扱胴の周面に沿わせて張設した受網体とを具備し、同受網体と扱胴の外周面との間に穀稈を挿入すると共に、同穀稈を扱胴の軸線方向に移送させながら軸線廻りに回転する扱胴の扱歯により脱穀し、脱穀・処理した脱穀処理物を受網体の網目を通して漏下させるようにした脱穀装置において、
受網体は、同受網体の本体を形成するクリンプ網と、同クリンプ網の始端側に連結して穀稈搬入側部を形成する鋼板製網とを具備することを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
鋼板製網は、クリンプ網に着脱自在に連結したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
鋼板製網は、穀稈の穂先部側を受ける一側半部と、穀稈の株元部側を受ける他側半部とを反転させてクリンプ網に連結可能となしたことを特徴とする請求項2記載の脱穀装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−254733(P2006−254733A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74018(P2005−74018)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】