説明

自動扉

【課題】エンジンケースの落下を防ぐことのできる自動扉を提供する。
【解決手段】所定の間隔を空けて立設された一対の方立A及び方立Aに挟持される無目Bに囲まれて成る建物の出入り口aを開閉する扉本体1と、無目B内に収納されるとともに建物の出入り口aの上辺部に沿って設けられたレール20を有する長尺のエンジンケース2と、エンジンケース2の下面から露設され且つレール20上に載置されて走行自在に扉本体1を吊持する一対のハンガー3とを備え、エンジンケース2の長手方向両端部には、それぞれ取付金具7を介して方立Aに取り付けられる固定部5及びスライド固定部6が取り付けられ、スライド固定部6に、エンジンケース2の長手方向に沿ってスライド可能な範囲を制限する制限板64を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体の接近に応じて扉本体を開閉する自動扉が提供されており、例えば特許文献1に開示されている。以下、従来の自動扉について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、図3における上下左右を上下左右方向、紙面手前側を前方向、紙面奥側を後方向と定めるものとする。この自動扉は、図3に示すように、建物の出入り口aを開閉する扉本体1と、扉本体1の上辺部と所定の間隔を空けて取り付けられて建物の出入り口aの上辺部に沿って設けられたレール20を有する長尺のエンジンケース2と、エンジンケース2の下面から露設され且つレール20上に載置されて走行自在に扉本体1を吊持する一対のハンガー3と、ハンガー3をレール20上で走行させる駆動ブロック4とから成る。
【0003】
駆動ブロック4は、駆動モータ40と、エンジンケース2内の左右両端部に設けられる一対のプーリ42と、一対のプーリ42の間に掛け渡されてレール20と平行に設けられるベルト43とを有し、駆動モータ40の駆動力をギヤ等から成る伝達機構41よってプーリ42に伝達することによりプーリ42及びベルト43が正転又は逆転するように構成している。ここで、一対のハンガー3のうち何れか一方(ここでは、左側)のハンガー3はベルト43に連結されているので、ベルト43の回転に伴ってハンガー3がレール20上を往復走行し、扉本体1の開閉が行われる。また、建物の出入り口aの上側には、人体の接近を検知する人感センサ10が取り付けられており、人感センサ10が人体を検知すると、駆動ブロック4に設けられた制御部44に検知信号が送信され、制御部44は検知信号に応じて駆動モータ40を駆動させて扉本体1の開閉を行う。
【0004】
建物の出入り口aの左右両端部には、それぞれ方立Aが上方に向かって立設されるとともに、建物の出入り口aの上辺部には、一対の方立Aに挟持される形で無目Bが配設されており、上記エンジンケース2は無目B内に収納した状態で方立Aに取付固定される。
【0005】
以下、エンジンケース2の取付方法について図面を用いて説明する。エンジンケース2の長手方向一端部(右端部)には、図4(a)に示すように、略矩形状の取付板50から成る固定部5が取り付けられており、エンジンケース2の長手方向他端部(左端部)には、図4(b)に示すように、略矩形状の取付板60及び取付片62及び案内片63から成るスライド固定部6が左右方向にスライド自在に取り付けられている。エンジンケース2は、これら固定部5及びスライド固定部6を取付金具7を介して方立Aに取付固定することで方立Aに取付固定されるようになっている。
【0006】
エンジンケース2は、図5(b)に示すように、左右方向に長尺で略矩形状の主片21と、主片21の下端縁から前方に向かって立設される略矩形状の下側片22とから断面略L字状に形成され、下側片22の長手方向に亘ってハンガー3が載せられるレール20が設けられている。主片20の上端縁及び上下方向における略中央からは、それぞれ前方に向かって立設された断面略L字状の第一の突片21a及び第二の突片21bが主片20の長手方向に亘って設けられており、これら第一の突片21a及び第二の突片21b、並びに主片20によって後述する案内片63がスライド自在に挿入されるスライド溝23が形成されている。
【0007】
固定部5は、図4(a)に示すように、金属材料から略矩形状に形成された取付板50から成り、その前端部の略中央には、略長円状の一対の取付孔51が上下方向に所定の間隔を空けて貫設されている。取付板50の後側上端部及び前側下端部には、それぞれ組立孔(図示せず)が厚み方向に貫設されており、取付板50をエンジンケース2の右端部に当接させた状態で該組立孔に取付ねじ81を挿通して螺合することで、固定部5がエンジンケース2に取り付けられる。
【0008】
スライド固定部6は、図4(b)に示すように、金属材料から略矩形状に形成された取付板60と、取付板60の後端縁から取付板60に対して略垂直な方向に立設された略矩形状の取付片62と、エンジンケース2のスライド溝23に挿入される略矩形状の案内片63とから成る。取付板60の前端部の略中央には、固定部5の取付板50と同様に略長円状の一対の取付孔61が上下方向に所定の間隔を空けて厚み方向に貫設されている。また、取付片62と案内片63には、それぞれ一対の挿通孔(図示せず)が厚み方向に貫設されている。而して、案内片63をエンジンケース2のスライド溝23に挿入した状態で取付片62及び案内片63の挿通孔にボルト80を挿通して締め付けることで、取付片62及び案内片63で第一の突片21a及び第二の突片21bを挟持し、スライド固定部6をエンジンケース2に対して取付固定できるようになっている。
【0009】
取付金具7は、図4(a),(b)に示すように、金属材料から略矩形状に形成されて成り、方立Aに取り付けられる側の面(以下、「方立取付面」と呼ぶ)には、ビス82の頭部がスライド自在に挿入される断面略コ字状の一対のガイド溝70が上下方向に所定の間隔を空けて幅方向に亘って設けられている。また、固定部5又はスライド固定部6に取り付けられる側の面(以下、「エンジンケース取付面」と呼ぶ)には、ボルト80の頭部がスライド自在に挿入される断面略コ字状の一対のガイド溝70が上下方向に所定の間隔を空けて幅方向に亘って設けられている。
【0010】
各方立Aの上端部には、図4(a),(b)に示すように、ビス82が螺合する雌ねじ部を有する略円形状の挿通孔A1がそれぞれ4つずつ貫設されている。而して、取付金具7の方立取付面に設けられた一対のガイド溝にそれぞれ2つずつビス82の頭部を挿入させた状態で各挿通孔A1にビス82を螺合することで各取付金具7が方立Aにそれぞれ取付固定されるようになっている。
【0011】
エンジンケース2を方立Aに取付固定するには、先ず、各方立Aに取付金具7を取り付けるとともに、エンジンケース2の左右両端部にそれぞれ固定部5及びスライド固定部6を取り付ける。次に、右側の方立Aに取り付けられた取付金具7のエンジンケース取付面の一対のガイド溝70に各々1つずつボルト80の頭部を挿入する。そして、該ボルト80を固定部5の取付孔51に挿通させるとともにワッシャ80bを介してナット80aで締め付けることで固定部5、即ちエンジンケース2の右端部が取付金具7を介して右側の方立Aに取付固定される。
【0012】
最後に、左側の方立Aに取り付けられた取付金具7のエンジンケース取付面の一対のガイド溝70に各々1つずつボルト80の頭部を挿入し、該ボルト80をスライド固定部6の取付孔61に挿通させるとともにワッシャ80bを介してナット80aで締め付けることでスライド固定部6、即ちエンジンケース2の左端部が取付金具7を介して左側の方立Aに取付固定される。尚、スライド固定部6を取付金具7に取り付ける際には、図5(a)に示すように、案内片63を左右方向にスライドさせることでエンジンケース2の左端部の取付位置を調整することができるようになっている。
【特許文献1】特開平10−306651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、方立Aの挿通孔A1は、エンジンケース2を無目Bの底面に載置した状態でエンジンケース2を方立Aに取り付けることができるような位置に貫設されているが、挿通孔A1を貫設する加工にバラツキが生じた場合、エンジンケース2を無目Bの底面に載置した状態でエンジンケース2を方立Aに取り付けることができず、エンジンケース2を無目Bの底面から浮かした状態で方立Aに取り付けなければならない。しかしながら、上記従来例では、図5(c)に示すように、エンジンケース2を無目Bの底面から浮かした状態で取付作業を行う際に、取付位置の調整のためにスライド固定部6をスライドさせるとスライド固定部6がエンジンケース2のスライド溝23から外れてエンジンケース2が落下してしまう虞があった。
【0014】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、エンジンケースの落下を防ぐことのできる自動扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、所定の間隔を空けて立設された一対の方立及び方立に挟持される無目に囲まれて成る建物の出入り口を開閉する扉本体と、無目内に収納されるとともに建物の出入り口の上辺部に沿って設けられたレールを有する長尺のエンジンケースと、エンジンケースの一面から露設され且つレール上に載置されて走行自在に扉本体を吊持する一対のハンガーとを備えた自動扉であって、エンジンケースは、その長手方向の一端部に取り付けられるとともに一方の方立に固定される固定部と、長手方向の他端部に取り付けられるとともに他方の方立にエンジンケースの長手方向に沿ってスライド自在に固定されるスライド固定部とを備え、エンジンケース及びスライド固定部の少なくとも何れか一方には、スライド固定部のスライド範囲を制限する制限手段が設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制限手段は、エンジンケースの前記他端部に設けられた係止孔と、スライド固定部に設けられて係止孔に係止される係止片とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エンジンケース及びスライド固定部の少なくとも何れか一方にスライド固定部のスライド範囲を制限する制限手段を設けたので、スライド固定部を必要以上にスライドさせてもスライド固定部がエンジンケースから外れることが無いので、エンジンケースの落下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明に係る自動扉の実施形態1について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的構成は従来例と共通であるので、従来例と共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態はスライド固定部6に特徴があり、図1に示すように、制限手段として制限板64をエンジンケース2の左端部に取り付けている。
【0019】
制限板64は、金属材料から略矩形状に形成され、その上端縁には、幅寸法が取付片62の厚み寸法と略等しいスリット64bが長手方向に亘って設けられている。また、制限板64の後側上端部及び前側下端部には、それぞれ略円形状の丸孔64aが厚み方向に貫設されており、制限板64をエンジンケース2の左端部に当接させた状態でこれら丸孔64aに取付ねじ81を挿通して螺合することで、制限板64がエンジンケース2に取り付けられる。
【0020】
上述のように制限板64をエンジンケース2の左端部に取り付け、該制限板64のスリット64bにスライド固定部6の取付片62を挿入することで、スライド固定部6をエンジンケース2から離れる方向、即ち左方向にスライドさせる場合に、取付片62の挿通孔に挿通されているボルト80の頭部が制限板64に引っ掛かることで所定の距離以上スライドさせることができないようになっている。ここでは、取付板60が制限板64に当接する位置からボルト80の頭部が制限板64に当接する位置までの距離t1がスライド可能な範囲となっている。而して、スライド固定部6を必要以上にスライドさせようとしてもスライド固定部6がエンジンケース2から外れることが無いので、エンジンケース2の落下を防ぐことができる。
【0021】
尚、上記の制限板64の代わりに、図2に示すように、エンジンケース2の左端部に係止孔24を貫設するとともに、スライド固定部6の取付片62に係止孔24に挿入される略鈎状の係止片65を突設しても構わない。この場合、スライド固定部6をエンジンケース2から離れる方向、即ち左方向にスライドさせると、係止片65の先端部が係止孔24の内周縁に引っ掛かることで所定の距離以上スライドできないようになっている。ここでは、係止片65の先端部が係止孔24の右側内周縁に当接する位置から係止片65の先端部が係止孔24の左側内周縁に当接する位置までの距離t2がスライド可能な範囲となっている。而して、スライド固定部6を必要以上にスライドさせようとしてもスライド固定部6がエンジンケース2から外れることが無いので、エンジンケース2の落下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る自動扉の実施形態を示す要部斜視図である。
【図2】同上の他の制限手段を設けた場合を示す一部断面図である。
【図3】従来の自動扉を示す全体概略図である。
【図4】同上のエンジンケースの取付方法の説明図で、(a)は固定部側の斜視図で、(b)はスライド固定部側の斜視図である。
【図5】同上のスライド固定部を示す図で、(a)は要部正面図で、(b)は要部側面図で、(c)はスライド固定部が外れた場合を示す要部正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 扉本体
2 エンジンケース
20 レール
3 ハンガー
5 固定部
6 スライド固定部
64 制限板
A 方立
B 無目
a 建物の出入り口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて立設された一対の方立及び方立に挟持される無目に囲まれて成る建物の出入り口を開閉する扉本体と、無目内に収納されるとともに建物の出入り口の上辺部に沿って設けられたレールを有する長尺のエンジンケースと、エンジンケースの一面から露設され且つレール上に載置されて走行自在に扉本体を吊持する一対のハンガーとを備えた自動扉であって、エンジンケースは、その長手方向の一端部に取り付けられるとともに一方の方立に固定される固定部と、長手方向の他端部に取り付けられるとともに他方の方立にエンジンケースの長手方向に沿ってスライド自在に固定されるスライド固定部とを備え、エンジンケース及びスライド固定部の少なくとも何れか一方には、スライド固定部のスライド範囲を制限する制限手段が設けられたことを特徴とする自動扉。
【請求項2】
前記制限手段は、エンジンケースの前記他端部に設けられた係止孔と、スライド固定部に設けられて係止孔に係止される係止片とから成ることを特徴とする請求項1記載の自動扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−240311(P2008−240311A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80667(P2007−80667)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】