説明

自動精米設備

【課題】 電気代を節約することができながら、利用客にとって困った事態を生じることを防止できる自動精米設備を提供する。
【解決手段】 時間を検知する時計部と、精米処理を行わせることが可能な営業時間を設定する設定手段と、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、精米作業が行われていることを検知すると、営業時間を延長して精米処理を実行可能に制御する制御手段とを備える。この構成により、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、利用客がいて精米処理を行わせている場合には、営業時間が自動延長されて、精米処理が最後まで良好に行われ、利用者にとって信頼性および利便性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は利用者が投入した被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
コインや紙幣などの貨幣を投入することにより自動的に精米作業を行わせるいわゆるコイン式精米設備などと呼ばれる自動精米設備は知られている。このような自動精米設備において、一般的に用いられている建屋タイプのものとして、特許文献1、2などに開示されているように、建屋の内部を、仕切壁により、利用客が自由に行き来できる客室と、管理者や保守点検員などの限定した人しか入ることができない機械室とに仕切り、機械室内に、実際に精米動作を行う精米機や、石などの異物を除去する石抜機などを配設したものが知られている。
【0003】
この自動精米設備においては、精米対象となる被処理米を投入する投入ホッパや、精米した被処理米を排出する白米ホッパなどが、機械室側より客室内に突出させて設けられている。そして、前記投入ホッパ上面に開口された投入口から利用者が被処理米を投入することで、被処理米が、内部に設けられた昇降機などの搬送装置を介して、石抜機や精米機側に順次送られて石抜き処理(異物除去処理)や精米処理が行われ、白米が白米ホッパに排出されるように構成されている。なお、前記投入口は、客室に露出した状態で配置されており、この投入口には、大きな異物が中に入らないように金属製の網などが設けられている場合が多い。また、客室にその前面が臨むように操作制御部が配設されており、この操作制御部の前面には、利用客からの料金が投入されるコイン投入部や被処理米の種類や希望白度を選択する選択押ボタンを有する操作制御部が配設され、また、この操作制御部の内部には、石抜機や精米機、各種搬送装置を制御する制御部が内蔵されている。
【0004】
この種の自動精米設備において、精米処理を実行させることができる営業時間を設定可能に構成したものがある。具体的には、従来から設けられている精米設備に、電源からの電力供給をON・OFFするタイマーを追加して設置し、営業時間(例えば午前6時から午後8時まで)に対応させて、操作制御部などに対する電源からの供給をON・OFFすることで、営業時間だけ精米処理を行えるように構成している。なお、営業時間を設定している場合には、この営業時間を記載した紙などを客室内に貼って示している。
【0005】
この構成によれば、精米処理が通常行われない時間帯における電気代を節約することができるとともに、深夜等に精米処理が行われることを禁止できるので、深夜などでの精米処理による騒音の発生を防止できる利点もある。
【特許文献1】特開平10−180124号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開平9−276721号公報(図3、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように、電源供給をON・OFFするタイマーを単に追加した従来の自動精米設備では、営業終了時間になると、精米途中であっても精米処理が強制的に終わってしまい、精米中の被処理米が精米機や石抜機、搬送経路中に残ったままとなってしまう。したがって、利用客にとっては精米途中の被処理米を回収できず、しかも、投入した利用料金も戻ってこないという困った事態となり、トラブルの発生原因の一つであった。また、利用者が営業時間外に投入ホッパに被処理米を誤って投入した場合には、この被処理米を回収し直すこともできないという課題も生じる。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、電気代を節約することができながら、利用客にとって困った事態を生じることを防止できる自動精米設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、時間を検知する時計部と、精米処理を行わせることが可能な営業時間を設定する設定手段と、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、精米作業が行われていることを検知すると、営業時間を延長して精米処理を実行可能に制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、基本的には営業時間外には電源の供給を行わない設定にできて電気代を節約することができながら、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、利用客がいて精米処理を行わせている場合には、営業時間が自動延長されて、精米処理が最後まで良好に行われる。
【0010】
また、本発明は、投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、時間を検知する時計部と、精米処理を行わせることが可能な営業時間を設定する設定手段と、利用客が自由に行き来できる客室内での人の有無を検知する人検知センサと、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、人がいることを検知した場合に、営業時間を延長して精米処理を実行可能に制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成により、基本的には営業時間外には電源の供給を行わない設定にできて電気代を節約することができながら、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、客室内に利用客がいる場合には、営業時間が自動延長されて、精米処理が最後まで良好に行われる。
【0012】
また、本発明の制御手段は、営業時間を延長した場合、または営業終了時間に近い時間に、精米処理が行われたことを検知した場合には、精米処理が終了してもさらに所定時間だけ営業時間を延長することを特徴とする。
【0013】
この構成により、精米処理の終了後に、さらに追加して精米処理を行いたい場合や、次の利用客がいる場合でも、続けて精米処理を行うことができ、便利である。
また、本発明の制御手段は、営業時間を延長する際に、この営業時間を延長する旨の情報を表示や音声などにより利用者に通知することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、営業時間が延長された場合に、このことを利用者が容易に知ることができ、これにより、利用者はあわてることなく、コインを投入して新規に精米処理を行わせたり、引き続いて精米処理を行わせたりすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、精米作業が行われていることや人がいることを検知すると、営業時間が延長されて精米処理を実行できるので、精米設備が利用されない状態での電気代を節約することができながら、営業終了時間の際などに利用客がいて精米処理を行わせている場合には、営業時間が自動延長されて、精米処理が最後まで良好に行われ、従来のように、精米中に精米処理が強制的に終わってしまい、精米途中の被処理米を回収できなかったり、投入した利用料金も戻ってこなかったりするという利用客にとっての不測かつ不便な事態が生じることがなくなり、利用者にとって信頼性および利便性が向上する。
【0016】
また、営業時間を延長した場合、または営業終了時間間際に精米処理が行われたことを検知した場合に、精米処理が終了してもさらに所定時間だけ営業時間を延長することにより、精米処理の終了後に、さらに利用者が追加して精米処理を行いたい場合や、さらに別の利用客がいる場合でも、続けて精米処理を行うことができ、利用者にとって便利であるともに、営業売上も増加できる。
【0017】
また、営業時間を延長する際に、この営業時間を延長する旨の情報を表示や音声などにより利用者に通知することで、利用者はあわてることなく、コインを投入して新規に精米処理を行わせたり、引き続いて精米処理を行わせたりすることができ、利用者にとって便利であるともに、営業売上も増加できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態にかかる自動精米設備を図面に基づき説明する。
図1〜図5に示すように、この自動精米設備においても、仕切壁1により建屋2の内部が、利用客が自由に出入りできる客室3と、係員や管理人などが出入り可能な機械室4とに仕切られた構造とされている。なお、図1における5は精米済みの白米を収納する白米収納袋、図2における6は、客室3への出入口に配設されている出入口扉、7は係員や管理人などが出入りする管理用扉である。また、建屋2の客室3の一部、例えば、客室3内の出入口扉6が設けられている箇所の上方に、客室3内の利用者の有無を検知する(例えば人体より発せられる赤外線の有無などにより検知する)人検知センサ80が設けられている。
【0019】
機械室4には、被処理米(玄米)が投入される投入ホッパ8の本体枠部分、投入ホッパ8内に投入された被処理米を石抜機9側に搬送する張込昇降機10、投入された被処理米から石などの異物を取り除く石抜機9、石抜機9で異物が取り除かれた被処理米を精米機11側に搬送する精米昇降機12、実際に精米処理を行う精米機11、精米機11で発生した糠を糠回収袋13側に排出するための糠排出用送風機14や糠排出用ダクト15、糠排出用サイクロン16などが配設されている。また、機械室4における精米機11の略上方箇所に、精米機11へ供給する被処理米を一時的に溜める精米タンク17が配置され、さらに、石抜機9の上方には、石抜機9への被処理米が一時的に溜められたり、精米タンク17で溢れた被処理米が一時的に溜められたりする玄米タンク18が配設されている。
【0020】
精米機11は、図6、図7に示すような構造とされている。縦方向に配置された本体ケーシング21内に、駆動モータ27(図5参照)により駆動プーリ25を介して回転される中空の回転軸22が配設され、回転軸22の上部に送りロール23が、また回転軸22の下部に突条部を有する精米ロール24がそれぞれ取り付けられ、これらの送りロール23および精米ロール24が回転軸22とともに一体的に回転する。また、26は送りロール23の外周側に配置されて精米室28の外殻部分をなす金属製の網で、網26内の糠を糠排出部29を介して空気とともに糠排出用送風機14により吸引して糠回収袋13内に排出する。なお、図示しないが、糠排出用送風機14は送風ケーシング内で送風羽根が糠排出用モータによって回転される構造とされている。また、本体ケーシング21の上部には、精米タンク17からの被処理米(玄米)を精米室28内に送り込む供給用スクリュ30および供給用ケーシング31を配設している。本体ケーシング21の下端部には、精米室28からの開度を調節することで精米の際の圧力などを調整する開度規制部材32と、この開度規制部材32と精米ロール24との間から排出される白米を下方に案内する排出筒33とが、それぞれ昇降自在に嵌合されている。そして、精米ロール24を駆動させる駆動モータ27の電力量などから精米ロール24の負荷(精米状態の負荷)を検出しながら、開度調整用モータ34を作動させることで、開度調整用アーム35を介して開度規制部材32の上下位置を変えて、利用者が選択した精米白度に合った白度の米が得られるように白度制御が行われる。なお、図6、図7における36は、供給用スクリュ30を回転させる玄米供給用モータ、37は、開度調整用モータ34に連結されたねじ軸に螺合して昇降される開度調整用ブロック、38は、開度調整用ブロック37によりその下方への押圧力が調整される付勢ばねである。
【0021】
図3および図8〜図12に示すように、投入ホッパ8の上面開口部分である投入口40の上方箇所には、仕切壁1から機械室4側(奥側)に窪むように一体形成されてなる投入フード41が設けられ、この投入フード41によって投入空間部42が形成されている。そして、この投入空間部42を介して投入口40が客室3に連通するとともに開口するように配設されている。なお、投入口40には、大きな異物が中に入らないように金属製の網が取り付けられている。また、投入ホッパ8における被処理米を導入する導入部8a(図11参照)の近傍箇所には、投入ホッパ8に被処理米が投入されたことを検知する投入状態検知センサ8bが取り付けられている。
【0022】
この自動精米設備においては、投入口40を臨む投入空間部42と客室3内空間とが連通する連通開口部43が、開閉扉44によって開閉される構成とされている。この開閉扉44は、連通開口部43を閉鎖する閉鎖姿勢(図3の仮想線(二点鎖線)部、および図10の実線部参照)と、この閉鎖姿勢より真上に移動して連通開口部43を開放する開放姿勢(図3の実線部、および図10の仮想線(二点鎖線)部参照)とにわたって昇降する。そして、開閉扉44により連通開口部43を閉鎖した時には、開閉扉44が略鉛直面に沿った姿勢となるように配置されている。つまり、仕切壁1の裏面における開閉扉44や投入ホッパ8が設けられている箇所の左側側部には上下に延びる左縦枠77Aが、また、右側側部には上下に延びる右縦枠77Bが固着され、これらの左縦枠77Aと右縦枠77Bとにおける連通開口部43の両側部から上方に延びるようにそれぞれガイドレール78が取り付けられている。そして、開閉扉44の両側部の上下寄り箇所にそれぞれ転動自在に取り付けられた4つのガイドローラ79が、前記のガイドレール78に対して内側から摺接した状態で、開閉扉44が昇降するように案内されている。
【0023】
図3、図8〜図10、図12(a)、(b)に示すように、開閉扉44の上辺部には、開閉扉44を昇降させるためのループ状の昇降用チェーン45の一部と、開閉扉44を、この開閉扉44の重量と略同じ力で引上げるための引上げ用チェーン46の下端部とが固定されている。
【0024】
昇降用チェーン45は、投入フード41の天面部上側に固着された横枠74(図12(a)参照)上に取り付けられたブラケット81を介して回転自在に支承された従動スプロケット47と、仕切壁1の裏面上端部に取り付けられた昇降用モータ82(図10参照)により回転される駆動スプロケット48との間で、上下に循環するようにループ状に配置されており、この昇降用チェーン45の一部に、開閉扉44の上辺部が固定部材77(図12(a)参照)を介して固定されている。そして、昇降用モータ82で駆動スプロケット48が回転駆動されることにより、開閉扉44が昇降するように構成されている。
【0025】
図3および図8〜図12に示すように、引上げ用チェーン46は、仕切壁1の裏面上端部に回転自在な状態で取り付けられた第1中間スプロケット49と、張込昇降機10上端部にブラケット83を介して回転自在な状態で取り付けられた第2中間スプロケット50とにわたって掛け渡されており、第1中間スプロケット49から垂下する引上げ用チェーン46の前側の下端部が開閉扉44に取り付けられている一方、第2中間スプロケット50から垂下する引上げ用チェーン46の後側の下端部に、開閉扉44と略同様の重さのカウンタウェイト51が取り付けられている。そして、このカウンタウェイト51の重量が、開閉扉44に対して引上げ方向に作用して、開閉扉44の重量とカウンタウェイト51の重量とが釣り合い、昇降用チェーン45が移動されていない状態では、開閉扉44はその位置が変動しないように図られているとともに、比較的小さな駆動力の昇降用モータ82の力で支障無く開閉扉44を昇降できるように構成されている。
【0026】
このように、昇降用モータ82、駆動スプロケット48、従動スプロケット47、昇降用チェーン45により、開閉扉44を開閉させる開閉扉開閉手段が構成されている。
さらに、図8、図10に示すように、開閉扉44の上辺の一部には、開閉扉44の昇降位置を検知するための位置検知用突片71が取り付けられ、また、仕切壁1の裏面上端部には、開閉扉44が上限位置(開放姿勢の位置)に移動された際に、前記位置検知用突片71が当接する上限位置検知スイッチ72が取り付けられ、また、開閉扉44が下限位置(閉鎖姿勢の位置)に移動された際に、前記位置検知用突片71が当接する下限位置検知スイッチ73が前記横枠74の一部に取り付けられている。そして、前記上限位置検知スイッチ72により、開閉扉44が開放姿勢まで移動されたことを検知し、また、前記下限位置検知スイッチ73により、開閉扉44が閉鎖姿勢まで移動されたことを検知するようになっている。
【0027】
また、図10、図11、図12(c)に示すように、開閉扉44の上辺の一部には、一部に孔が開けられたロック用プレート75が上方に延出するように取り付けられ、一方、前記横枠74には、横方向に出退自在の出退ロッド76aを備えたロック手段としてのソレノイド76が取り付けられている。そして、開閉扉44が閉鎖姿勢にある状態で、ソレノイド76の出退ロッド76aが突出されることで、この出退ロッド76aがロック用プレート75の孔75a(図12(c)参照)に挿入されて、開閉扉44が閉鎖姿勢にロックされるようになっている。
【0028】
なお、図10に示すように、開閉扉44の一部には透明板が嵌め込まれた覗き窓81が設けられ、投入空間部42や投入口40の様子を外側から見ることができるようになっている。また、仕切壁1の表側における連通開口部43の下方箇所には、手前側に突出する姿勢で載せ台20が設けられており、利用者が持参した被処理米入りの袋などを載せることができるようになっている。
【0029】
図1、図2に示すように、客室3に対してその前面部が臨むように操作制御盤60が配設されている。操作制御盤60の前面部には、精米処理料金としてのコインを投入するコイン投入口61や、精白度(例えば、5ぶ、7ぶ、普通、上白など)を選択する複数の精白度選択ボタン62、もち米を選択するもち米選択ボタン63などが設けられている。操作制御盤60の内部には、コインの投入の検知や精白度選択ボタン62の選択などに応じて各部分を制御するとともに後述するように自動閉鎖手段や自動開放手段としても機能する制御部64が内蔵され、制御部64には計時して年月日時分秒などの時間データを出力する時計機能が備えられている。
【0030】
ここで、操作制御盤60の前面部には、錠付きのハンドル65が設けられている。そして、管理者や係員などがハンドル65の錠に所定の鍵を差し込んで解錠し、ハンドル65を把持して手前側に引くことで、操作制御盤60の前面部が手前側に回動し、内部に設けられた、図13に示すような設定手段としての設定用操作部66を操作できるようになっている。この設定用操作部66には、この自動精米設備の種々の動作条件を設定したり、精米機や石抜機のテスト動作を行わせたりするための複数の入力用押しボタン67a〜67iと液晶の表示部68とが設けられている。そして、これらの入力用押しボタン67a〜67iを用いながら所定の操作を行うことで、営業開始時間および営業終了時間を設定することができるようになっている。なお、図13においては、営業開始時間の入力画面を表示させている状態を示している。
【0031】
制御部64は、営業時間、すなわち、営業開始時間(例えば午前6時)および営業終了時間(例えば午後8時)が設定されると、図14に示すように、まずステップS1において、営業終了時間に達したかどうかを判定し、営業終了時間に達したことを検出した場合には、ステップS2に進み、人検知センサ80により客室3内に人がいるかどうかを判別する。そして、人検知センサ80により客室3内で人を感知しなかった場合には、ステップS3に進み、待機中であるかどうか、すなわち、精米機11や石抜機9などの一連の精米処理が全く行われずに駆動されていないことを確認し、待機中である場合には、ステップS4に進み、後述する営業中ランプ70を消灯するとともに、コイン投入口61からのコインの受入を禁止して、営業を終了する。
【0032】
一方、ステップS1において営業終了時間に達したことを検出した後に、ステップS2において客室3内に人がいることを検知したり、ステップS3において精米機11や石抜機9などの一連の精米処理の少なくとも一部が駆動されていることを検知したりすると、ステップS4の営業終了動作を行うことなく、ステップS2の人の検知動作や、ステップS3の精米処理の確認動作を再度行い、営業を終了しない(すなわち、営業時間を延長する)。
【0033】
営業の終了時には、コインが投入できない状態にコイン投入口61を切り換え、操作制御盤60のタイマー制御関連以外の箇所への通電を遮断させる。また、図示しないが、一般に、建屋2には、客室1内を照らす照明装置が設けられているが、この照明装置も営業の終了に伴って消灯させる。
【0034】
次の日の営業開始時間になると、操作制御盤60および精米機11、石抜機9などを営業可能な待機状態とするとともに、コイン投入口61をコインが投入可能な状態に切り換える。そして、コイン投入口61からコインが投入されたことを制御部64により検知した時点で、開閉扉44のロックが解除されるとともにこの開閉扉44が開放姿勢に移動されて開けられるようになっている。
【0035】
なお、客室3内の目立つ箇所には、案内表示板が取り付けられ、営業時間や、コインの投入により開閉扉44が自動的に開けられることなどを示す案内表示が記載されている。また、図1に示すように、仕切壁1における、連通開口部43よりも上方箇所には、営業中であることを示す営業中ランプ70が設けられており、この営業中ランプ70は営業時間(営業延長時間を含む)中は点灯し、営業時間外には消灯されるようになっている。また、図示しないが、操作制御盤60の一部にはスピーカなどの音声発生手段が設けられ、制御部64に設けられた記憶部には、利用者などへの案内メッセージが記憶されている。
【0036】
上記構成において、営業開始時間になったことが制御部64により認識されると、営業待機状態となり、営業中ランプ70が点灯されるとともに、コイン投入口がコインを投入できる状態に切り換えられる。
【0037】
また、この実施の形態においては、営業開始時間になった場合でも、利用者などが建屋2の客室3内にいない状態では、開閉扉44が閉じられているとともに、ロック用プレート75の孔にソレノイド76の出退ロッド76aが突入されており、開閉扉44が閉じられた状態にロックされている。そして、この状態で、単なる通行人など、利用者でない者が建屋2の客室3内に入った場合でも、開閉扉44は閉じられてロックされたままとされている。これにより、利用者でない者などによってごみなどが投入口40内に投げ込まれることが防止され、これに起因する不具合、すなわち、被処理米が導入される内部搬送通路や精米機11、石抜機9などの内部の処理装置が不潔となったり、これらの装置が損傷したり、ごみに含まれていたものが白米に混じったりする不具合を防止することができ、精米機11、石抜機9などの処理装置などが衛生的に維持されている。
【0038】
営業時間中に、利用者が建屋2の客室3内に入ると、人検知センサ80にて利用者などが入ってきたことが検知され、料金(コイン)の投入を促す音声が出力される。これに応じて利用者が建屋2の客室3内に入ってコイン投入口61からコインなどの精米料金を投入すると、この料金の投入が検知されて、制御部64により、開閉扉44のロックが解除されるとともに開閉扉44が自動的に開けられる。なお、この際、音声により、開閉扉44が自動的に開けられることが利用者に通知される。また、所望の精白度の精白度選択ボタン62を選択することを促すための音声も出力される。
【0039】
この後、利用者により被処理米が投入空間部42を通して投入口40内に投入され、何れかの精白度選択ボタン62が選択されて精白度(例えば、5ぶ、7ぶ、普通、上白など)が決定されたり、或いは、もち米選択ボタン63によりもち米が選択されたりすると、精米処理が開始される。すなわち、張込昇降機10および石抜機9が駆動されて異物除去動作が行われ、引き続き、精米昇降機12および精米機11が駆動されて精米処理が行われる。精米処理が終了した際には、白米が白米ホッパ19内に排出されているので、利用者が白米ホッパ19の下方に白米収納袋5を置いた状態で、足踏み式の踏み台19aを踏んで、白米収納袋5内に白米を回収する。
【0040】
白米を回収した利用者が、客室3を出ると、この利用客が出たことが人検知センサ80により検知される。そして、人検知センサ80からの信号を入力した制御部64により、開閉扉44が下限位置(閉鎖位置)に達するまで閉鎖姿勢側に移動されて自動的に閉じられる。なお、この実施の形態においては、音声により、開閉扉44が自動的に閉じられることもアナウンスされる。このように開閉扉44が完全に閉じられると、開閉扉44が閉鎖姿勢にロックされる。
【0041】
この構成により、基本的には営業時間外には電源の供給を行わない設定にできて電気代を節約することができ、また、深夜等の精米処理の禁止による騒音の発生の防止を行えながら、営業終了時間の際に、利用客がいることを検知したり、精米処理が行われていることを認識したりした場合には、営業時間が自動延長されて、精米処理が最後まで良好に行われる。したがって、従来のように、精米中に精米処理が強制的に終わってしまい、精米途中の被処理米を回収できなかったり、投入した利用料金も戻ってこなかったりするという利用客にとっての不測かつ不便な事態が生じることがなくなり、利用者にとって信頼性および利便性が向上する。
【0042】
なお、この実施の形態では、営業終了時間に達した際に、精米処理が終了し、かつ利用客がいなくなった場合に、即座に、営業を終了する場合を述べたが、これに限るものではなく、営業時間を延長した場合には、精米処理が終了し、かつ利用客がいなくなった場合でも、さらにこの時点から所定時間(例えば5分間)だけ営業時間を延長するように構成してもよい。
【0043】
この構成により、例えば、次の利用客が建屋2の外で待っていた場合でも、前の利用客が出て行った後でも、直ぐには営業が終了しないので、この待っていた利用客が続けて建屋2内に入って精米処理を行うことができ、便利であるとともに、営業売上も増加できる。
【0044】
さらに、上記のように、精米処理が終了し、かつ利用客がいなくなった場合でも、さらに所定時間だけ営業時間を延長するように構成する場合などに、利用客がいることを検知したり、精米処理が行われていることを認識したりする動作を、営業終了時間に近づいた際(例えば、営業終了時間の5分前に達した際)に行わせて、利用客の検知などに応じて、営業時間の延長を行わせてもよい。
【0045】
また、営業終了予定時間に達したり、営業終了予定時間に近づいたりした際に、利用客が客室3に入ってきたことを検知して営業時間を延長する際に、制御部64により、例えば、「営業終了予定時間になりました(営業終了予定時間に近づきました)が、営業を延長いたします。」というように、営業時間を延長する旨の情報を音声(または延長表示ランプなどを設けてもよい)により利用者に通知してもよい。
【0046】
このように、営業時間を延長する際に、この営業時間を延長する旨の情報を音声や表示などにより利用者に通知することで、利用者はあわてることなく、コインを投入して新規に精米処理を行わせたり、引き続いて精米処理を行わせたりすることができ、利用者にとって便利であるとともに、営業売上も増加できる。
【0047】
また、上記実施の形態においては、開閉扉44を、コインの投入に伴って開放し、客室3から利用客が出たことを検知した際に閉じてロックするように構成したが、これに限るものではなく、営業開始時間または営業開始時間に近づいた際に開閉扉44を開け、営業終了時間および営業終了延長時間になった際に開閉扉44を閉じてロックするように構成してもよい。この場合には、営業時間には利用者が投入口40へ自由に被処理米を投入することができる一方、営業時間外には利用者が投入口40へ被処理米を誤って投入すること自体を防止できる。したがって、従来のように、利用者が営業時間外に被処理米を誤って投入してこの被処理米を回収できなくなるというような不具合が生じることがなくなり、信頼性を向上させることができる。また、営業時間外での利用者以外の者によるごみの投入などの悪戯を防止できる利点もある。
【0048】
なお、投入口40に連通する連通開口部43を開閉する開閉扉44を設ける代わりに、客室3への出入口に配設されている出入口扉6を自動的に開閉できるいわゆる自動扉の構造とし、営業時間外となった際には、この出入口扉6を閉状態にロックさせるように構成してもよく、この場合には、客室3内への人の侵入自体を防止することができるので、利用料金の盗難などを防止できる防盗機能の向上を図ることができる。
【0049】
また、上記の実施の形態では、人検知センサ80を設けて、営業終了時間に達した際に、人がいないことも検知して、営業を終了するように構成した場合を述べたが、この場合に、人がいる場合でも、所定時間(例えば10分間)以上、コインの投入がない場合には、精米処理を行う意思がないと判断して営業を終了するように構成してもよい。また、これに限るものではなく、人検知センサ80を設けずに、単に、営業終了時間等に精米処理等の動作を認識して、この動作が終了したり、終了して所定時間たったりした後に営業を終了してもよい。また、反対に、人検知センサ80を設けて、単に営業終了時間等に人がいなくなったことを検知して、営業を終了するように構成してもよい。
【0050】
なお、上記の実施の形態では、投入口40に連通する連通開口部43を開閉する開閉扉44を設けた場合を述べたが、このような開閉扉44を有しない自動精米設備にも適用可能であることは申すまでもない。
【0051】
また、上記実施の形態では、被処理米が玄米である場合を述べたが、これに限るものではなく、籾摺装置を備えて、投入口に投入される被処理米が籾である自動精米設備にも適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動精米設備の正面図である。
【図2】同自動精米設備の平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視側面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視側面図である。
【図5】同自動精米設備の概略構成を示す図である。
【図6】同自動精米設備の精米機の正面断面図で、開度規制部材により精米室が閉じられている状態を示す。
【図7】同自動精米設備の精米機の正面断面図で、開度規制部材により精米室が開けられている状態を示す。
【図8】同自動精米設備の開閉扉とその近傍箇所の構成を示す側面断面図である。
【図9】同自動精米設備の開閉扉とその近傍箇所の構成を示す側面断面図である。
【図10】同自動精米設備の開閉扉とその近傍箇所の構成を示す正面図である。
【図11】同自動精米設備の投入ホッパおよび載せ台やその近傍箇所の構成を示す平面図である。
【図12】(a)〜(c)はそれぞれ同自動精米設備の開閉扉およびその近傍箇所の要部拡大側面断面図である。
【図13】同自動精米設備の設定用操作部の正面図である。
【図14】同自動精米設備における営業の終了および営業の延長に係る制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
2 建屋
3 客室
4 機械室
6 出入口扉
11 精米機
40 投入口
43 連通開口部
44 開閉扉
60 操作制御盤
61 コイン投入口
62 精白度選択ボタン
64 制御部
66 設定用操作部
67a〜67i 入力用押しボタン
68 表示部
70 営業中ランプ
80 人検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、
時間を検知する時計部と、
精米処理を行わせることが可能な営業時間を設定する設定手段と、
営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、精米作業が行われていることを検知すると、営業時間を延長して精米処理を実行可能に制御する制御手段と
を備えた自動精米設備。
【請求項2】
投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、
時間を検知する時計部と、
精米処理を行わせることが可能な営業時間を設定する設定手段と、
利用客が自由に行き来できる客室内での人の有無を検知する人検知センサと、
営業終了時間の際または営業終了時間に近づいた際に、人がいることを検知した場合に、営業時間を延長して精米処理を実行可能に制御する制御手段と
を備えた自動精米設備。
【請求項3】
制御手段は、営業時間を延長した場合、または営業終了時間に近い時間に、精米処理が行われたことを検知した場合には、精米処理が終了してもさらに所定時間だけ営業時間を延長する
請求項1または2に記載の自動精米設備。
【請求項4】
制御手段は、営業時間を延長する際に、この営業時間を延長する旨の情報を外部に出力する
請求項1〜3の何れか1項に記載の自動精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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