説明

自動精米設備

【課題】
利用料金の返却不能のコインメックを搭載している料金式自動精米設備において、利用者の投入ミスで運転時間途中で原料投入ホッパ内の玄米が途切れて精米運転が終了し、無駄料金を投入したことによる利用者の不利益を低減する。
【解決手段】
料金の返却が不能なコインメック(23)を備え、精米運転開始後に原料投入ホッパ(5)の玄米投入センサ(31)が玄米無し検出をすると、精米運転の終了動作に移行し、精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に、前記残存する運転時間だけ精米運転を再開可能とした運転制御を行なうコントローラ(C)を設けた自動精米設備とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金式の自動精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
自動精米設備であって、選択した操作スイッチ及び投入コイン枚数に応じた設定に精米処理すべく、玄米供給手段、精米手段、白米回収手段へ起動信号を出力する制御部を構成し、精米手段の供給ホッパの落下口に米検知センサを設け、この米検知センサの供給終了信号を検知し、残米の精米処理を行なう終了動作を行なう制御部を設けたものは公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−132239号公報(図1、3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用料金の返却不能のコインメックを搭載している料金式自動精米設備では、運転時間途中でも原料投入ホッパ内の玄米が無くなると、精米運転を終了し、かつ余った運転時間分の釣銭が返却されない。そのため、もし、利用者の投入ミスで運転時間途中で原料投入ホッパ内の玄米が途切れると、精米運転が終了してしまう。そうすると、利用者は精米運転をしない無駄料金を投入したことになり、利用者に不利益となってしまう。
【0005】
そこで、本発明はこのような不具合を低減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、玄米を原料投入ホッパ(5)に投入すると共に利用料金を投入し、白度選択スイッチ(25,26,27)を選択すると、該投入した料金に対応する運転時間、精米機(15)で玄米を精米処理する料金式自動精米設備において、料金の返却が不能なコインメック(23)を備え、精米運転開始後に原料投入ホッパ(5)の玄米投入センサ(31)が玄米無し検出をすると、精米運転の終了動作に移行し、精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に、前記残存する運転時間だけ精米運転を再開可能とした運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする自動精米設備とする。
【0007】
請求項2の発明は、精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に、前記残存する運転時間、自動的に精米運転を再開する運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備とする。
【0008】
請求項3の発明は、精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に待機状態とし、白度選択スイッチ(25,26,27)を選択すると前記残存する運転時間、精米運転を再開する運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、精米運転の再開を行なうことができ、料金の返却ができない自動精米設備において、利用者が投入した利用料金分をできるだけ精米運転に使用することができる。
【0010】
請求項2の発明によると、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、後から投入した玄米を自動的に継続して精米することができるため、円滑な精米運転を継続することができる。
【0011】
請求項3の発明によると、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、後から投入した玄米の精米運転を白度選択スイッチ(25,26,27)の選択操作で再開することができるため、利用者が再開したいタイミングで精米運転を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】料金式精米設備の平面図。
【図2】料金式精米設備の工程図。
【図3】操作盤の操作部分の正面図。
【図4】フローチャート。
【図5】タイムチャート。
【図6】タイムチャート。
【図7】フローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。
まず、図1及び図2に基づき本発明を備えた料金式自動精米設備の全体構成について説明する。
【0014】
料金式自動精米設備は、建屋1内を操作室2と機械室3とに仕切り壁4により仕切り、操作室2側に面して原料投入ホッパ5、操作盤6及び白米取出タンク7を設けている。
また、機械室3内には、第1昇降機11、石抜き機12、第2昇降機13、玄米タンク14、精米機15、精米機15の糠を吸引除去する糠排出ファン10、糠と空気を分離するサイクロン16、糠移送装置17、糠袋18,18を設けている。そして、原料投入ホッパ5には玄米繰出手段8及び玄米の有無を検出する玄米投入センサ31を設け、玄米繰出手段8から繰り出された玄米を第1昇降機11で揚穀する構成としている。
【0015】
精米機15には、図示を省略したが、搗精室内に搗精ロールを配設し、搗精室の排出口には精白度調節用の圧迫板を設け、圧迫板を圧迫板調節モータで調節するように構成し、精米初期と精米終了時には精白度を高くして未精白米を排出しにくくするよう圧迫板を制御する構成である。搗精室の搗精網から漏過した糠は糠排出ファン10でサイクロン16に搬送する構成としている。
【0016】
また、操作盤Sの操作面には、図3に示すように、玄米投入表示灯21、コイン枚数表示部22、料金投入口29、利用料金の返却や釣銭の不能のコインメック23、もち米選択スイッチ24、白度選択スイッチ(上白)25、白度選択スイッチ(標準)26、白度選択スイッチ(8分)27、料金表28を設けている。
【0017】
また、玄米投入センサ31が原料投入ホッパ5への玄米の投入を検出すると、操作盤6に内蔵しているコントローラCの指令により、精米設備の各作業部が駆動手段を介して駆動される。しかして、玄米繰出手段8が駆動され、原料投入ホッパ5に投入された玄米が順次繰り出されて第1昇降機11を経て石抜き機12に移送され、玄米から石等の異物が除去される。次いで、第2昇降機13で玄米は揚穀されて玄米タンク14を経て精米機15に移送され、精米機15で精米処理され、精米機15で精米された白米が白米取出タンク7に取り出され、精米機15の糠は糠排出ファン10によりサイクロン16に搬送され、糠移送装置17を経て糠袋18,18に収納されるように構成している。
【0018】
次に、図4に基づきコントローラCの精米運転制御の内容について説明する。
利用料金が投入され(ステップS1)、玄米が原料投入ホッパ5に投入され(ステップS2)、白度選択スイッチ(もち米選択スイッチ24、白度選択スイッチ25〜27)の選択操作がなされると、精米設備の各装置が起動して精米運転が開始され、利用料金の減算処理が実行される(ステップS4)。
【0019】
次いで、玄米投入センサ31がOFF(玄米無し)かON(玄米有り)かを判定し(ステップS5)、OFFすなわち玄米無しを検出すると、所定時間(例えば15秒後)精米運転の終了動作に移行する。精米運転の終了動作とは、残り少なくなった玄米を精米処理し、かつ、精米設備の装置各部に玄米が残らないように、装置各部を工程順に停止する制御である(ステップS6)。
【0020】
終了動作時間中に玄米投入センサ31がON(新たな玄米の追加)したか否かを判定し(ステップS7)、Noであると、そのまま終了動作を終了して精米運転の全工程を終了し(ステップS9)、Yesすなわち新たな玄米の追加投入を検出すると、1単価以上の運転時間が残存しているか否かを判定し(ステップS8)、1単価以上の運転時間が残存していると、再び始めに設定した精白度で精米運転が自動的に再開し、残りの運転時間について精米運転がなされる(ステップS4に戻る)。1単価以上の運転時間が残存していない場合には、そのまま終了動作を終了して精米運転の全工程を終了する(ステップS9)。
【0021】
また、玄米投入センサ31がOFFかONを判定し(ステップS5)、ONすなわち、玄米が有ると利用料金に応じた運転時間について設定時間毎に料金の減算処理を実行しながら精米運転が継続される(ステップS10)。そして、料金に対応する運転時間が経過すると、玄米投入センサ31がOFF(玄米無し)かON(玄米有り)かを判定し(ステップS11)、OFF(玄米無し)であると、精米運転の終了動作に移行し(ステップS12)、終了動作を終了して精米運転を全終了する(ステップS9)。また、ON(玄米有り)であると、投入ホッパ5に玄米を残したまま利用料金切れによる装置各部が一度に停止する料金切れ途中停止工程に移行し(ステップS13)する。次いで、利用料金の追加投入があるか否かを判定し(ステップS14)、Yesであると、前記ステップS4に戻り精米運転を再開し、Noであると、投入ホッパ5に玄米を残したまま精米運転の全工程を終了することになる(ステップS9)。
【0022】
図4と図7と精米運転制御の違いについて述べる。
図7の精米運転では終了動作中に玄米投入センサ31が追加玄米を検出し(ステップ7)、1単価以上の運転時間が残存しているとき(ステップ8)に、白度選択スイッチ24,25,26,27を選択操作(ステップ3)したら精米運転が再開される。すなわち、自動的に精米運転を再開するか、利用者の意思で再開するかの違いである。
【0023】
なお、図4の精米運転、図7の精米運転で、1単価以上の運転時間が残存することを判定するタイミングについて、終了動作に移行した時点で1単価以上残存している場合でも良いし、終了動作中も料金の減算処理を行ない、終了動作が終了した時点で1単価以上残存している場合でも良いし、終了動作中の任意時点(時間・装置停止のタイミング等)で1単価以上残存している場合でも良い。
【0024】
次に、図5に基づき精米運転制御について説明する。
精米運転制御は、利用料金の返却や釣銭が不能なコインメック23を搭載している料金式自動精米設備に関するもので、運転途中で原料投入ホッパ5の玄米投入センサ31が玄米無し検出をした場合には、所定時間(例えば15秒)の経過後に精米運転の終了動作に移行する。
【0025】
そして、終了動作中に原料投入ホッパ5の玄米投入センサ31が再度玄米有り検出をした際に、1単価分以上の運転時間が残っておれば、精米運転の終了動作を停止する。そして、残存運転時間だけ精米運転を自動的に再開し、玄米繰出手段8が繰り出しを再開すると共に、装置各部が運転を再開して精米運転を行なう。そして、料金分の運転時間が経過して玄米投入センサ31が玄米無しの検出をすると、精米運転の終了動作に移行して終了する。
【0026】
なお、白度選択スイッチ24,25,26,27を選択して精米運転を再開する構成でも良い。
本実施の自動精米設備では利用料金の返却や釣銭が出きないコインメック23のため、運転時間途中でも投入ホッパ8内の玄米が無くなると、精米運転の終了動作に移行して精米運転を終了し、かつ余った運転時間分の利用料金が返却されない。そのため、もし、利用者の投入ミスで運転時間途中で原料投入ホッパ5内の玄米が途切れると、終了動作に移行して精米運転が終了し、利用者は再度玄米と料金を投入して精米運転を再開する必要があるため、利用者は余分な金額を投入することになり、利用者に不利益となってしまう不具合が発生する。
【0027】
しかし、本実施例の構成によると、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、精米運転の再開を行なうことができ、料金の返却ができない自動精米設備において、利用者が投入した利用料金分をできるだけ精米運転に使用することができる。
【0028】
また、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、後から投入した玄米を自動的に継続して精米することができるため、円滑な精米運転を継続することができる。
【0029】
また、利用者の玄米投入が途中で途切れて終了動作に移行しても、終了動作中に玄米が再度投入されたときに1単価以上の運転時間が残っていれば、後から投入した玄米の精米運転を白度選択スイッチ24,25,26,27の選択操作で再開することができるため、利用者が再開したいタイミングで精米運転を再開することができる。
【0030】
なお、図5は図4又は図7のフローチャートに基づく精米運転時間、玄米投入センサのON/OFF状態、精米作業終了動作の移行状態、装置各部の作動状態を示すタイムチャートである。
【0031】
次に、図6に基づき他の精米運転制御について説明する。
本精米運転制御は、利用料金の返却や釣銭の出ないコインメック23を搭載している料金式自動精米設備に関するもので、原料投入ホッパ5の玄米投入センサ31が玄米無し検出をした場合には、所定時間の経過後に精米運転の終了動作に移行する。
【0032】
そして、精米運転の終了動作中に原料投入ホッパ5の玄米投入センサ31が再度玄米有りを検出した際に、1単価分以上の運転時間が残っておれば、精米作業の終了動作を終了して精米運転を一旦全停止した後、自動的に又は白度選択スイッチ24,25,26,27を選択すると、残存運転時間だけ精米運転を再開する。
【0033】
前記構成によると、利用者の玄米投入が途中で一時中断しても、利用料金に応じた運転時間内に玄米が再度投入されると、後から投入した玄米を精米することができ、利用者は誤投入時にも投入した利用料金分をできるだけ精米運転に使用することができる。
【0034】
また、精米機15における精米初期及び精米終了時の前述の圧迫板(図示せず)の制御を行ない易く、未精白米を出難い構成にすることができる。
なお、図6は運転時間、玄米投入センサ31のON/OFF状態、精米作業の終了動作の移行状態、精米設備の装置各部のON/OFF状態を示すタイムチャートである。
【0035】
また、利用料金投入後において原料投入ホッパ5の玄米投入センサ31が玄米有りのON検出をしない場合には、所定時間経過後に白度選択スイッチ24〜27を点灯・又は点滅させ、精米設備の利用可能状態を表示し、利用者に精白度玄米の投入を促すことができる。
【0036】
また、前述白度選択スイッチ24,25,26,27を選択操作すると、精米運転を再開する構成においては、白度選択スイッチ24,25,26,27を点灯又は点滅させて利用者に知らせる構成にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施の形態は玄米を精米処理する精米設備について説明したが、籾を籾摺精米処理する籾摺精米設備についても適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 建屋
2 操作室
3 機械室
5 原料投入ホッパ
8 操作盤
7 白米取出タンク
8 玄米繰出手段
14 玄米タンク
15 精米機
23 コインメック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米を原料投入ホッパ(5)に投入すると共に利用料金を投入し、白度選択スイッチ(25,26,27)を選択すると、該投入した料金に対応する運転時間、精米機(15)で玄米を精米処理する料金式自動精米設備において、
料金の返却が不能なコインメック(23)を備え、精米運転開始後に原料投入ホッパ(5)の玄米投入センサ(31)が玄米無し検出をすると、精米運転の終了動作に移行し、
精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に、前記残存する運転時間だけ精米運転を再開可能とした運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする自動精米設備。
【請求項2】
精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に、前記残存する運転時間、自動的に精米運転を再開する運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。
【請求項3】
精米運転の終了動作中に、玄米投入センサ(31)が投入玄米有り検出をした時に、1単価分以上の運転時間が残存した状態であると、前記精米運転の終了動作の停止後又は終了後に待機状態とし、白度選択スイッチ(25,26,27)を選択すると前記残存する運転時間、精米運転を再開する運転制御を行なうコントローラ(C)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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