説明

自律型撮像装置

【課題】 ジンバル機構を用いない、低コストで簡単な構造によって、周囲の画像撮影が可能な自律型撮像装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 中空の球形外殻から構成された球状フレーム1と、球状フレーム1の内部に固定されたカメラ2と、球状フレーム1の内部に分散して配置され液量調整により重心位置を変化させる複数の液量調整機構5乃至12と、姿勢を検出する姿勢角センサ14と、姿勢角センサ14の出力情報に基づいて球状フレーム1の姿勢を変化させる制御回路15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置の視線方向を自律的に変化させて、周囲の撮像を行う自律型撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上に無人機を浮かべ、信号無線による陸上からの遠隔操作によって、音響測深機による測量調査を行う、自律型調査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この自律型調査装置には撮像装置が搭載されておらず、海面上の目標物を無人で撮影することはできない。
【0003】
一方、多軸のジンバル機構から成る自律型撮像装置を船舶に設置し、ジンバル機構や撮像装置を遠隔操作で制御することにより、撮像装置の撮影画像から海上監視を行う監視装置が利用されている。この自律型撮像装置では、ヨー方向に回転するアウタジンバルの内側に、インナジンバルをピッチ方向に回転可能に軸支し、インナジンバルの内側に撮像装置を設けることで多軸のジンバル機構を構成し、撮像装置の視線方向をヨーおよびピッチの2軸周りに回転移動させることができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−180669号公報
【0005】
【特許文献2】特開平11−341487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の自律型撮像装置は船舶に搭載され、遠隔操作で撮像装置を駆動制御することによって、撮影画像を利用した海上監視や海上調査が行われている。しかし、船舶の航海には、人手と高いコストがかかるので、無人で海上撮影や海上調査を行う自律型撮像装置が望まれていた。
【0007】
また、無人の自律型撮像装置であっても、従来の多軸のジンバル機構から成る自律型撮像装置は、撮像装置の視線方向を空間的に安定化させるために、撮像装置の駆動系を構成する多くの構成部品と、複雑な駆動機構により構成されていた。特に、海上で利用される場合、海上の厳しい波浪環境下で使用されることから、多軸のジンバル機構を防水構造とするために複雑な構造となり、整備性が悪く、高コストであった。
【0008】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低コストで簡単な構造によって、周囲の画像撮影が可能な自律型撮像装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による自律型撮像装置は、中空の球形外殻から成る球状フレームと、球状フレームの内部に設けられた撮像装置と、球状フレームの内部に設けられ、重心位置を変化させる重心位置調整機構と、重心位置調整機構による重心位置変化に応じて、撮像装置の視線方向を所望方向に変化させる制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、重心位置調整機構は、球状フレームの内部に分散して配置され、それぞれの液量調整により重心位置を変化させる複数の液量調整機構から構成されても良い。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、装置全体の重心移動を利用してカメラの視線方向を回転させることで、多軸のジンバル機構を構成しない簡単な構造により、周辺画像の撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の構成を示す図である。
【図2】この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の液量調整機構の配置を示す図である。
【図3】この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の液量調整機構の構成例を示す図である。
【図4】この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の上下回転動作を示す図である。
【図5】この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の視線方向の回転動作を示す図である。
【図6】この発明に係る実施の形態2による自律型撮像装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る実施の形態1による自律型撮像装置の構成を示す図である。図において、自律型撮像装置は、球状フレーム1と、撮像装置を構成するカメラ3と、重心位置調整機構を構成する液量調整部50と、制御装置を構成する姿勢角センサ14および制御回路15とから構成される。球状フレーム1は中空の球形外殻から成り、球状フレーム1の内部には、カメラ3が収納されて保持固定されている。球状フレーム1の内部に金属フレームやCFRP(炭素繊維強化プラスチック)骨組構造などの構造体を設けても良い。カメラ3は中央部にレンズ2が設けられ、レンズ2の背面には、図示しない撮像素子、素子ドライバ回路、画像信号処理回路などが配置されている。球状フレーム1の球形外殻は軽量化のため樹脂やCFRPから構成されると良い。球状フレーム1におけるレンズ2の対向面には、外界からの可視光や赤外光が入射する光学窓(図示せず)が部分的にかつ水密的に設けられており、レンズ2を外囲環境から保護している。自律型撮像装置は、海面や湖面などの液体の水面に投入され、液体Aの水面よりもレンズ2全体が上に出るように、液体に対して浮いている。以下の説明では、液体が海水Aである場合について説明する。
なお、球状フレーム1の外表面は、エンボス加工や突起物の接着などにより凹凸面が形成され、海水Aに対する摩擦抵抗が大きくなっている。
【0014】
カメラ3の周囲には液量調整部50が設けられており、液量調整部50は球状フレーム1の内部に収納されている。液量調整部50は、8つの液量調整機構5,6,7,8,9,10,11,12と、各液量調整機構の間を液体13が流通するように相互に接続するホース4とを備えて構成される。液量調整機構5乃至12は、球状フレーム1の外殻内周面に分散して配置され、それぞれ保持固定される。液量調整機構5乃至12は液体シリンダ(後述するシリンダ18)から構成されており、シリンダ内部には液体13が充填される。液体13は、例えばエチレングリコールを主成分とする不凍結の液体からなる。ホース4は各液量調整機構5乃至12の液体シリンダに直結され、ホース4内部には液体13が充填される。ホース4は、球状フレーム1の外殻内周面に保持固定される。
【0015】
姿勢角センサ14と制御回路15は、球状フレーム1の内部に収納され、保持固定されている。姿勢角センサ14と制御回路15は、カメラ1に内蔵しても良い。姿勢角センサ14は、重力加速度や流体の液面を検出して水平面に対する傾斜角度を検出する傾斜角度センサと、地磁気を検出して東西南北の方位を計測する地磁気センサから構成され、慣性空間に対する球状フレーム1の絶対姿勢角を検出するための姿勢角情報を得る。なお、姿勢角センサ14は、加速度センサやジャイロセンサを用いて姿勢角を検出するものであっても良いが、この場合はバイアス誤差が発生するので、現在の位置姿勢からの相対角度の姿勢角情報を検出することとなる。あるいは、傾斜角度センサ、地磁気センサ、加速度センサおよびジャイロセンサを組み合わせて姿勢角センサ14を構成しても良く、この場合バイアス誤差を補正しセンサ誤差を低減することができる。
【0016】
制御回路15は、姿勢角センサ14から得られる姿勢角情報に基づいて指令信号を生成し、生成した指令信号を液量調整機構5乃至12に供給して液量調整機構5乃至12を駆動制御し、それぞれの液量配分を調整する。この液量配分の調整により装置全体の重心位置を移動させることで、装置全体に回転力を生み、内部に実装されたカメラ3の視線方向を所望方向に向けることができる。
また、制御回路15は、カメラ3のレンズ2のズーミングやフォーカシング、露光調整、シャッタ制御などの撮影制御を行う。制御回路15には画像処理装置が設けられ、カメラ3により撮影された画像(ビデオ信号)は、制御回路15によってリアルタイムにディジタル画像処理が行われ、ディジタル静止画像や動画像が得られる。制御回路15によって処理されたディジタル静止画像や動画像は、球状フレーム1内に設けられた記憶装置(図示せず)に記録される。
【0017】
図2は、液量調整機構5乃至12の配置を説明するための図である。図2において、球状フレーム1の球形と中心点が一致する仮想的な立方体格子について、この立方体格子の8つの格子点に各液量調整機構5乃至12がそれぞれ位置するように、各液量調整機構5乃至12は格子形状に配置されている。これにより、各液量調整機構5乃至12の液体シリンダ内部に均等に液体13が充填された状態で、液量調整部50の重心位置を球状フレーム1の球形の中心点に一致させることができる。
なお、自律型撮像装置全体の重心位置についても、球状フレーム1の球形の中心点に一致するように、カメラ1、姿勢角センサ14や制御回路15などの各構成品の重量および設置位置が設定されている。
【0018】
また、図1に示すように、カメラ1に対して互いに反対側に位置する液量調整機構5と液量調整機構7は、ホース4との接続位置、すなわちシリンダの体積変化する部分空間が互いに逆向になるように設置される。カメラ1に対して互いに反対側に位置する液量調整機構6と液量調整機構8は、ホース4との接続位置、すなわちシリンダの体積変化する部分空間が互いに逆向になるように設置される。同様にして、カメラ1に対して互いに反対側に位置する液量調整機構9と液量調整機構11は、ホース4との接続位置、すなわちシリンダの体積変化する部分空間が互いに逆向になるように設置される。カメラ1に対して互いに反対側に位置する液量調整機構10と液量調整機構12は、ホース4との接続位置、すなわちシリンダの体積変化する部分空間が互いに逆向になるように設置される。
【0019】
図3は、各液量調整機構5乃至12の構成例を示す図である。
液量調整機構5乃至12は、液体シリンダであるシリンダ18と、シリンダ18の内部に収容されたシャフト17と、シャフト17の一方の端部に回転軸(ロータ)が直結されたモータ16を備えて構成される。シリンダ18の他方の端部には、ホース4が水密的に接続されている。シャフト17およびモータ16は直動アクチュエータを構成している。モータ16は、シャフト17を回転させることによってピストン19をシャフト17の軸方向に直線的に移動させる、回転力を直線移動に変換する直動機構で構成され、例えば精密ねじやボールねじあるいはウオームギアなどによって構成される。モータ16は、制御回路15からの駆動信号に基づいて回転駆動するものであり、ステッピングモータや回転角度および角速度検出器付きのサーボモータによって構成される。
【0020】
シリンダ18の内部には、ピストン19とともに構成する内部空間に液体13が充填されている。モータ16を回転駆動し、ピストン19の位置をホース4側(図の右方向)に移動させることで、シリンダ18内の液体13がホース4から押し出され、シリンダ18内の液量は減少する。
【0021】
同様に、モータ16を逆回転するように駆動し、ピストン19の位置をモータ16側(図の左方向)に移動させることで、シリンダ18内の液体13がホース4から供給されてシリンダ18内に充填され、シリンダ18内の液量は増加する。
【0022】
次に、実施の形態1による自律型撮像装置の動作を説明する。
実施の形態1による自律型撮像装置は、海水Aに浮遊する。自律型撮像装置は、海水の波浪によって変化した姿勢角を姿勢角センサ14で検知し、検知した姿勢角情報にもとづいて、制御回路15により、液量調整機構5乃至12を駆動制御する。この駆動制御により、液量調整機構5乃至12がそれぞれピストン19の位置を調整することで、シリンダ18内およびホース4内の液体13の量を変化させ、各液量調整機構5乃至12の重心位置を変える。これによって、自律型撮像装置は、姿勢角の変化をキャンセルする方向へ重心を変化させ、自律型撮像装置本体に回転力を得て、球状フレーム1が回転動作する。かくして、この動作を、制御ループを組んで継続することで、カメラ3のレンズ2の向きおよび視線方向を、自律的に安定化させることができる。
【0023】
この際、レンズ2、カメラ3およびレンズ2を保護する光学窓は、球状フレーム1と一緒に回転動作するので、球状フレーム1との位置関係が相対的に固定されたままの状態でカメラ2の視線方向を変化させることができる。このため、例えばカメラ3が赤外線カメラを構成する場合であっても、レンズ2を保護する光学窓(ゲルマニウムやシリコンなどから構成される赤外線を透過する窓)の大きさを、レンズ2が覆われる程度の最小限の大きさとすることができる。
【0024】
図4は、自律型撮像装置の駆動制御による上下回転動作の例を示した図である。
図4(a)において、例えば液量調整機構5,7について各ピストン19を上方に移動することで、液量調整機構7のシリンダ内液量を増やすとともに、液量調整機構5のシリンダ内液量を減らす。これにより、図4(a)に示す自律型撮像装置の左方に液体13を集中させることで、自律型撮像装置の中心にあった重心を左方に移動させ、図における反時計回りの回転力Bを得る。このとき、液量調整機構6,8については、各ピストン19を移動させず、液量調整機構6,8のシリンダ内液量を変化させない。このようにして、カメラ3の視線方向を下方向に回転させることができる。このとき、カメラ3の視線方向を所定角度範囲(例えば±45度)内で上下回転動作させても良い。
【0025】
また、図4(b)において、例えば液量調整機構5,7について各ピストン19を下方に移動することで、液量調整機構5のシリンダ内液量を増やすとともに、液量調整機構7のシリンダ内液量を減らす。これにより、図4(b)に示す自律型撮像装置の右方に液体13を集中させることで、自律型撮像装置の中心にあった重心を右方に移動させ、時計回りの回転力Cを得る。このとき、液量調整機構6,8については、各ピストン19を移動させず、液量調整機構6,8のシリンダ内液量を変化させない。このようにして、カメラ3の視線方向を上方向に回転させることができる。このとき、カメラ3の視線方向を所定角度範囲(例えば±45度)内で上下回転動作させても良い。
【0026】
次に、自律型撮像装置のカメラ3の視線方向を、上下および左右方向に回転させて、目標方向に移動させる動作について説明する。図5は、自律型撮像装置のレンズ2を所望の目標回転角に移動させる動作例を示す図である。自律型撮像装置の目標回転角が、重力Eに平行な軸を回転軸とする水平面内での目標回転角Dである場合は、複数の上下往復回転動作を繰り返し行うことで、レンズ2を水平面内で全周回転させることができる。
【0027】
例えば、図2の液量調整機構7のシリンダ内液量を増加させるとともに、液量調整機構9のシリンダ内液量を減少させることで、液量調整機構7,5,9,11を含む傾斜面に垂直な傾斜回転軸の周りで、レンズ2が図2の右下方向に移動するように回転する。
また、図2の液量調整機構11のシリンダ内液量を増加させるとともに、液量調整機構5のシリンダ内液量を減少させることで、液量調整機構11,8,5,10を含む傾斜面に垂直な傾斜回転軸の周りで、レンズ2が図2の右上方向に移動するように回転する。
【0028】
このように、液量調整機構5乃至12の液量制御により、図5に示す回転軌道Fに沿って、垂直面に対し傾斜した傾斜回転軸の周りに上下斜め方向に所定角度だけ往復回転動作させながらレンズ2を旋回させる動作を、異なる傾斜回転軸毎に繰り返し行う。かくして、複数の上下往復回転を複合させた回転軌道Fに沿ってレンズ2をジグザグまたは波状に移動し、カメラ3の視線方向を所望の目標回転角へ旋回させる回転運動を行うことができる。
【0029】
なお、自律型撮像装置は、液量調整機構5乃至12を立体的に配置しているために、すべての角度への回転が可能となる。
自律型撮像装置の回転方法は、重心位置の移動によって姿勢変化を行うことができるものであれば、海上以外の地上、空中においても適用することができる。
例えば、自律型撮像装置を地上に設置する場合は、球状フレーム1を地面に置き、液量調整機構5乃至12の液量調整により重心位置を移動させることで、球状フレーム1が地面の上を転がり、カメラ3の視線方向を所望の方向に変化させることができる。
また、例えば自律型撮像装置を空中に浮遊させる場合は、球状フレーム1内にヘリウムガスを詰めて球状フレーム1を気球のように浮かせ、液量調整機構5乃至12の液量調整により重心位置を移動させることで、球状フレーム1が空中で回転し、カメラ3の視線方向を所望の方向に変化させることができる。この場合、液量調整機構5乃至12の代わりにヘリウムガスよりも重量の重い気体を充填した気体量調整機構を設けても良い。
【0030】
また、液量調整機構をさらに多数分散配置し、可撓性に優れ実装スペースの小さいホースで連結することで、液量調整機構の可動量が少なく、かつ実装スペースを抑えた自律型撮像装置を構成することができるとともに、視線方向をより滑らかに移動させることができる。例えば、各液量調整機構が、正八面体や正十二面体などより頂点数の多い正多面体の格子点に位置するように配置することで、レンズ2の旋回時における上下往復動作の最小可動範囲が小さくなり、より滑らかな旋回動作が可能になる。
【0031】
さらに、レンズ2に広角レンズを用いて広い視野角範囲を得ることにより、旋回時のレンズ2のジグザグまたは波状移動により、カメラ3の視線方向がジグザグまたは波状に移動しても、移動途中で視野角範囲を順次重ねることができるので、旋回時におけるカメラ2の視野角の欠損をなくすことができる。
【0032】
以上説明したとおり、この実施の形態1による自律型撮像装置は、中空の球形外殻から構成された球状フレーム1と、球状フレーム1の内部に設けられた撮像装置であるカメラ2と、球状フレーム1の内部に設けられて装置の重心位置を変化させる重心位置調整機構(液量調整部50)と、重心位置調整機構による重心位置変化に応じて、撮像装置の視線方向を所望方向に変化させる制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0033】
また、重心位置調整機構は、球状フレーム1の内部に分散して配置され、それぞれの液量調整により重心位置を変化させる複数の液量調整機構5乃至12から構成される。各液量調整機構5乃至12はそれぞれシリンダ18とピストン19から構成され、各液量調整機構5乃至12のシリンダ18は互いにホース4により接続される。
【0034】
また、制御装置は、球状フレーム1の姿勢を検出する姿勢角センサ14と、姿勢角センサ14の出力情報に基づいて球状フレーム1の姿勢を変化させる指令信号を生成する制御回路15とを備える。
【0035】
このように、装置全体の重心移動を利用してカメラの視線方向を回転させることで、多軸のジンバル機構を構成しない簡単な構造により、無人で周辺画像の撮影を行うことができる。
【0036】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、通信機能を持たない自律型撮像装置を例にして説明した。この実施の形態2では、通信機能を有した自律型撮像装置について説明する。
【0037】
図6は、この発明に係る実施の形態2による自律型撮像装置の構成を示す図である。図において、自律型撮像装置は、球状フレーム1の内部に、通信装置を構成するアンテナ103および送受信機102が設けられる。なお、図1と同一符号のものは同一構成のものであり、同一動作を行う。
【0038】
自律型撮像装置は、外部の制御装置から、遠隔操作による移動指示指令信号を指令電波101によって与えられる。自律型撮像装置は、アンテナ103を介して指令電波101を受け、送受信機102によって指令電波101の信号増幅や復調、再生などの受信信号処理を行い、移動指示指令信号を得る。制御回路15は、送受信機102によって得られた移動指示指令信号に基づいて、液量調整機構5乃至12を駆動制御し、カメラ3の視線方向を回転移動する。また、制御回路15は、送受信機102によって得られた移動指示指令信号に基づいて、カメラ2の撮影制御を行う。これによって、外部からの遠隔操作により、所望の方向におけるカメラ3の画像を得ることができる。
【0039】
また、自律型撮像装置は、制御回路15による撮影制御によって、カメラ3の撮影画像を得ると、カメラ3により撮影されたディジタル静止画像や動画像などのビデオ信号を、送受信機102によって無線信号に変調し、アンテナ103を介して外部の制御装置に送信する。外部の制御装置は、アンテナ103から送られた無線信号を復調してカメラ3の撮影画像を再生し、ディジタル静止画像や動画像を得る。外部の制御装置の操作者は、得られたカメラ3の画像をディスプレイに再生し、再生された画像を用いて遠隔による海上監視や海上調査を行う。
【0040】
なお、自律型撮像装置を複数台導入することによって、自律型撮像装置同士でネットワーク型のカメラ通信システムを構築することができる。このようにネットワークを組むことで、複数の自律型撮像装置による多数の撮影画像を用いて、より精度の高い遠隔海上監視や、遠隔海上調査を行うことができる。
【0041】
このように、実施の形態2による自律型撮像装置は、球状フレームの内部に通信装置を備え、通信装置により受信した制御指令に基づいて制御回路15が撮像装置の視線方向を所望方向に変化させるように、液量調整機構5乃至12を駆動制御する。これによって、遠隔操作によって自律型撮像装置のカメラ2の視線方向を、無人で所望の方向に操作することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 球状フレーム、2 レンズ、3 カメラ、4 ホース、5〜12 液量調整機構、13 液体、14 姿勢角センサ、15 制御回路、16 モータ、17 シャフト、18 シリンダ、19 ピストン、102 送受信機、103 アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の球形外殻から成る球状フレームと、
球状フレームの内部に設けられた撮像装置と、
球状フレームの内部に設けられ、重心位置を変化させる重心位置調整機構と、
重心位置調整機構による重心位置変化に応じて、撮像装置の視線方向を所望方向に変化させる制御装置と、
を備えた自律型撮像装置。
【請求項2】
中空の球形外殻から構成された球状フレームと、
球状フレームの内部に設けられた撮像装置と、
球状フレームの内部に分散して配置され、それぞれの液量調整により重心位置を変化させる複数の液量調整機構と、
を備えた自律型撮像装置。
【請求項3】
各液量調整機構はそれぞれシリンダとピストンから構成され、各液量調整機構のシリンダは互いにホースにより接続されるとともに、
各液量調整機構の液量調整による重心位置変化に応じて、撮像装置の視線方向を所望方向に変化させる制御装置を備えたことを特徴とする請求項2記載の自律型撮像装置。
【請求項4】
制御装置は、球状フレームの姿勢を検出する姿勢角センサと、姿勢角センサの出力情報に基づいて球状フレームの姿勢を変化させる指令信号を生成する制御回路とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の自律型撮像装置。
【請求項5】
球状フレームに設けられた通信装置を備え、制御装置は通信装置により受信した制御指令に基づいて撮像装置の視線方向を所望方向に変化させることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の自律型撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−276772(P2010−276772A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127687(P2009−127687)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】