自然エネルギー利用システム用鉛蓄電池および鉛蓄電池システム
【課題】鉛蓄電池の均等充電の実施間隔を、鉛蓄電池の使用状況(SOCの推移)に応じて変えることにより鉛蓄電池を長寿命化し、SOCの把握のためのみの均等充電を減らし、コスト的にも優位とする。
【解決手段】鉛蓄電池及び鉛蓄電池システムにおいて、電池状態測定部と、SOCモデルと、電池状態測定部によって測定した情報とSOCモデル情報からSOCを推定するSOC推定部と、鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録しSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、鉛蓄電池の劣化モデルと、SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および劣化モデルの情報をもとに最適な鉛蓄電池の実施方式を計画する均等充電最適計画部と、SOC推移情報・均等充電情報出力部と、均等充電最適計画部により決められた計画に従って鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電制御部を設ける。
【解決手段】鉛蓄電池及び鉛蓄電池システムにおいて、電池状態測定部と、SOCモデルと、電池状態測定部によって測定した情報とSOCモデル情報からSOCを推定するSOC推定部と、鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録しSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、鉛蓄電池の劣化モデルと、SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および劣化モデルの情報をもとに最適な鉛蓄電池の実施方式を計画する均等充電最適計画部と、SOC推移情報・均等充電情報出力部と、均等充電最適計画部により決められた計画に従って鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電制御部を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電システムなどの自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池および鉛蓄電池システムに関する。本発明は、特に風力発電の変動抑制に使用される鉛蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の推移を把握し、SOC推移状況に応じて適切な頻度および方式で均等充電を実施することにより、鉛蓄電池の寿命を長寿命化し、かつ均等充電のコストや、風力発電蓄電システムの停止に伴うロスを低減することが可能な、自然エネルギー利用システム向けの鉛蓄電池および鉛蓄電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化は、全人類にとって重大な問題であり、各国で温暖化の進行を遅らせ食い止めるために、効率の良い電力系統・スマートグリッドを構築し、省エネルギーを推進するとともに、CO2を排出しない太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの大量導入を推進しようとしている。
【0003】
例えば風力発電は、大気循環の自然エネルギーを利用しておりCO2を排出しないというメリットがあるものの、風まかせのため発電出力が安定せず電力系統への悪影響や電力品質の低下が懸念されている。このような電力系統への悪影響を防ぎ、エネルギーを有効利用するためには、鉛蓄電池などを用いてエネルギー変動を平準化し安定化する風力発電・蓄電システムに期待が集まっている。風力発電出力の変動抑制用途向けの鉛蓄電池は、風力発電機と同等の長寿命化や低コスト化が求められている。
【0004】
ところで、風力発電変動抑制向けの鉛蓄電池は、風力出力変動に合わせて充放電ができるように、半放電状態(PSOC:Partial State of Charge)で運用される。従って従来の通常は満充電にしておき必要な時に放電する非常用鉛蓄電池や、夜間に満充電にしておき昼間負荷の多い時に放電する産業用鉛蓄電池と異なり、通常運用状態では満充電とならない。この特殊な用途で、低SOCによる負極のサルフェーションによる劣化を防ぐため、定期的(通常1〜2週間毎)に鉛蓄電池を満充電とする均等充電(回復充電)を実施している。均等充電のもう1つの目的は、SOCの把握を正しく行うために、定期的にSOC値をリセットし、均等充電後100%充電状態とすることにある。
【0005】
しかし、均等充電を頻繁に行い過ぎると、逆に正極に過充電による劣化が起こり寿命を早めるなどの問題があった。
特許文献1には、鉛蓄電池の均等充電間隔を、気温に応じて変更する例が開示されている。また、特許文献2には、鉛蓄電池の均等充電量時の過充電量を従来(110%〜115%)より低い設定(99%〜102%)とし、正極の劣化を防止する旨の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−288947号公報
【特許文献2】特開2004−39434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自然エネルギー利用システム用の鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、鉛蓄電池の均等充電の実施間隔を、鉛蓄電池の使用状況(SOCの推移)に応じて変えることにより鉛蓄電池を長寿命化し、SOCの把握のためのみの均等充電を減らすことで、均等充電のための電力やコスト、自然エネルギー・蓄電システムの停止機会を減らし、コスト的にも優位とする、新しい鉛蓄電池や鉛蓄電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、鉛蓄電池を運用する側で、次回に予定される均等充電のタイミングを把握できるようにすることにより、運用管理しやすい鉛蓄電池および鉛蓄電池システムとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする。
【0011】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする。
【0012】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする。
【0013】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部が決定する「均等充電間隔」は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする。
【0014】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする。
【0016】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、電池状態測定部の情報とSOCモデル情報から充電状態を推定するSOC推定部と、鉛蓄電池の充電状態推移を記録するSOC推移DBと、推定された充電状態の値をSOC推移DBに記録しSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、劣化モデルと、SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことによって、均等充電の実施頻度や充電方式をSOCの推移状況と寿命・劣化の観点から最適化することにより、鉛蓄電池を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1の機能ブロック図
【図2】本発明の実施例1のSOCモデルを利用したSOC推定のグラフ
【図3】本発明の実施例1のSOCモデル(放電特性モデル)のグラフ
【図4】本発明の実施例1のSOC推移DBのデータのグラフ
【図5】SOC推移DBのデータのグラフ
【図6】SOC推移DBのデータのグラフ
【図7】劣化モデルのグラフ
【図8】本発明の実施例1の劣化モデルのグラフ
【図9】劣化モデルのグラフ
【図10】本発明の実施例1の処理フロー図
【図11A】本発明の実施例1のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図11B】本発明の実施例1のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図12】本発明の実施例2の機能ブロック図
【図13】本発明の実施例2の処理フロー図
【図14】本発明の実施例3の機能ブロック図
【図15】本発明の実施例3の処理フロー図
【図16A】本発明の実施例3の充放電目標設定の説明図
【図16B】本発明の実施例3の充放電目標設定の説明図
【図17A】本発明の実施例3のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図17B】本発明の実施例3のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図18】本発明を適用する風力発電用鉛蓄電池システムを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を各実施例につき、図面を用いて詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
〔システム構成〕
図1に、本発明の実施例1に係る自然エネルギー利用システムに適用される鉛蓄電池および鉛蓄電池システムの機能ブロック図を示す。本発明の鉛蓄電池システムは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル103、SOC推定部104、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、劣化モデル107、均等充電最適計画部108、SOC推移情報・均等充電情報出力部109および、均等充電制御部110からなる。
【0022】
上記構成要素の各機能について説明する。電池状態測定部102は、電流測定部102a、電圧測定部102bおよび温度測定部102cを有し、鉛蓄電池101の電流(A)、電圧(V)、温度(℃)などの鉛蓄電池の状態を測定する。
【0023】
SOCモデル103は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度などと鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すモデルであり、予め鉛電池の特性を調べて作成しておく。
【0024】
なお、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
【0025】
SOC推定部104は、電池状態測定部102によって測定した情報と、SOCモデル103の情報から、鉛蓄電池のSOCを推定する。図2に、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデル(放電モデル)を用いて、SOCを推定する一例を示す。
【0026】
なお、SOCモデルを用いた鉛蓄電池のSOCの推定方法については、本出願の先願である特願2009−225996に詳しく記載している。
【0027】
SOC推移DB105は、鉛蓄電池のSOCがどのように推移しているかの状況を記録するデータベースである。SOC推定部104がSOCの推定結果情報を、SOC推移DB105に記録・追加してゆく。SOCの記録は、随時記録・更新する方法や、一定時間毎に推定結果を記録する方法などがある。
【0028】
SOC推移履歴管理部106は、SOC推定部104によって推定されたSOCの値をSOC推移DB105に記録するとともに、SOC推移DB105から、SOCの過去の推移状況の情報を引き出す。例えば、均等充電最適計画部108の要求により、直前の一定期間のSOC推移状況のデータを抽出し提供する。
【0029】
劣化モデル107は、鉛蓄電池のSOCを含む電池の運用状況と劣化の関係や、SOCとSOCに対応した最適な均等充電間隔・方式などを示した情報を含む。劣化モデル107は、予め鉛蓄電池の運用と寿命・劣化の関係を調べて作成しておく。
【0030】
なお、鉛蓄電池のSOCを含む電池の運用状況と劣化の関係を表すモデルの作成方法は、本出願の先願である、特願2009−001345に詳しく実施方法を記載している。
【0031】
均等充電最適計画部108は、SOC推移履歴管理部106からSOC推移状況を得て、各SOC推移状況に応じて、劣化を防ぎ長寿命化するために最適な鉛蓄電池の均等充電間隔・均等充電方式を決定する均等充電間隔決定部108aと均等充電方式決定部108bを有し、最も鉛蓄電池の予測寿命が長くなる均等充電の最適な実施方式を、劣化モデル107の情報を利用して求める。
【0032】
SOC推移情報・均等充電情報出力部109は、SOC推移DB105に格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部108により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する。
【0033】
均等充電制御部110は、均等充電最適計画部108により決められた計画に従って、鉛蓄電池101に対して、均等充電(回復充電)を実施する。
〔SOC推定方式〕
次に、図2、図3を用いて、SOCモデルとSOCモデルを用いたSOCの推定について説明する。図2、図3は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデル(放電モデル)の例である。
【0034】
図2に示すカーブは、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデルの一例(温度:25℃、放電電流:8A)を示す。グラフは、縦軸が端子電圧(V)、横軸がSOCを示す。従って、例えば温度:25℃の時に8Aの電流を流しており、その時の端子電圧が2.04(V)であったとする。この場合は図7に示すように、鉛蓄電池のSOCは、0.85(85%)であるとSOCモデルから推定できる。
【0035】
図2の例では、温度:25℃、放電電流:8Aのみの例を示したが、例えば、温度:25℃のモデルに限っても、図3に示すように電流毎に複数の特性カーブが存在する。さらに、温度特性や劣化度毎にこのような複数のカーブのモデルが存在する(温度特性毎や、劣化度毎にも、さらに特性カーブを設けるとよい)。
【0036】
なお、SOCモデルや、SOCモデルを用いたSOC推定方法(図2、図3)の詳細は、先に示した特願2009−225996に実施方法を記載している。また、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
〔SOC推移状況〕
次に、図4〜図6を用いて、SOC推移DBに格納されているSOC推移状況の例を示す。図の例では、時刻毎のSOCの推移や、ある時間帯でのSOCの平均・推移幅などを示している。図4では、SOC平均が60%、推移幅が30%〜90%となっている。図5では、SOC平均が80%、推移幅が70%〜90%と、図4よりSOCが高めの範囲(負極のサルフェーションが起こりにくい領域)で推移している。逆に、図6では、SOC平均が40%、推移幅が30%〜50%と、図4よりSOCが低めの範囲(負極のサルフェーションが起こりやすい領域)で推移している。
〔劣化モデル〕
続いて、図7〜図9を用いて、鉛蓄電池の劣化モデル107の例を示す。図7の例では、SOC推移の中心と、それに対して最適な、すなわち鉛蓄電池を最も長寿命化可能な均等充電間隔の関係を示している。図8では、SOC滞在レベルとそれに対して最適な、すなわち鉛蓄電池を最も長寿命化可能な均等充電間隔の関係を示している。SOC滞在レベルは時々刻々と変化するが、例えばその滞在時間に応じた重みをつけて、最適な均等充電間隔を算出することも可能である。なお、均等充電間隔は、図7のように、「何日毎」と決める方法や、図8のように、「何Ah充放電後(何Ah放電後)」と決める方法も有効である。図9は、SOC滞在レベルと、それに対して最適な均等充電時の過充電量の関係を示している。
【0037】
このように、SOCの推移状況に応じて、均等充電のタイミング(均等充電間隔)や、均等充電の方式、過充電量などを適切にすることで、鉛蓄電池を長寿命化することが可能である。なお、劣化モデルの作成方法の詳細についても先の特願2009−225996に実施方法を記載している。
〔システム処理フロー〕
次に、図10を用いて、実施例1の処理フローについて各ステップ毎に説明する。まず、電池状態測定部102が鉛蓄電池101の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S201)。
【0038】
次に、SOC推定部104は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度とSOCの関係を示すSOCモデル103を利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定する(S202)。
そして、SOC推移履歴管理部106は、鉛蓄電池101のSOCの推移をSOC推移DB105に記録する(S203)。
【0039】
均等充電最適計画部108は、SOCの推移状況をSOC推移履歴管理部106に照会し、SOC推移履歴管理部106は、SOC推移DB105を参照し、SOCの推移状況を均等充電最適計画部108に知らせる。均等充電最適計画部108は、そのSOC推移履歴に対して、寿命を長寿命とできる最適な運用条件(均等充間隔・均等充電方式)を鉛蓄電池の運用と劣化に関する情報(SOCと最適な運用に関する情報)である劣化モデル107を利用して求める(S204)。
【0040】
SOC推移情報・均等充電情報出力部109は、鉛蓄電池のSOC推移情報、および、均等充電実施予定情報・実施情報を出力する(S205)。即ち、SOC推移DB105に格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部108により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する。
【0041】
均等充電実施部110は、均等充電最適計画部108の決定した方法に従って、鉛蓄電池に対して均等充電を実施する(S206)。
【0042】
以上の処理により、鉛蓄電池の使用状況(SOC推移状況)に応じて、鉛蓄電池の寿命を長寿命とする最適な均等充電を実施することができる。
【0043】
図11A、11Bは、実施例1の出力例(画面)を示す。出力には、SOCの推移状況、および、均等充電の実施予告を表示している。グラフで、SOC100%(以上)となっているところが、均等充電を実施している部分である。均等充電間隔は、SOCの推移状況によって、寿命を長寿命とできるよう、実施タイミングが変わる。しかし、図11A、11Bのように、これまでのSOC推移状況から予測される均等充電の実施タイミングを予告することにより、鉛蓄電池ユーザは鉛蓄電池の運用・制御がしやすくなる。
【実施例2】
【0044】
〔システム構成〕
次に、図12に、本発明の実施例2において、より高精度を期待できる詳細な機能ブロック図を示す。実施例2の機能ブロックは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル301、SOC推定モデル選択部302、SOC推定部303、仮SOC推定結果DB304、SOC決定部305、SOCモデル信頼度DB306、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、劣化モデル107、均等充電最適計画部108、SOC推移情報・均等充電情報出力部109および、均等充電実施部110、学習部307からなる。
【0045】
実施例2の各機能のうち、図1と異なる部分についてのみ説明する。SOCモデル301は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度等の出力ファクタと鉛蓄電池のSOCの関係を表すモデルであり、放電時の鉛蓄電池の電流・電圧・温度等の出力ファクタと鉛蓄電池のSOCの関係を表す放電時SOCモデル301aと、充電時の鉛蓄電池の電流・電圧・温度などと鉛蓄電池のSOCの関係を表す充電時SOCモデル301bとから成る。ここで、予め放電・充電を行いながら鉛電池の特性データを収集して調べ、放電時SOCモデル301aと充電時SOCモデル301bからなるSOCモデルを作成しておく。
【0046】
なお、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
【0047】
SOC推定モデル選択部302は、電池状態測定部102を介して鉛蓄電池に流れる電流を調べて、「放電時」か「充電時」かの電流状態を調べ、電流状態に応じて、SOCの推定に用いるモデルをSOCモデル301の中から、放電時SOCモデル301aまたは充電時SOCモデル301bのいずれか適切なモデルを選択する。
【0048】
SOC推定部303は、放電時SOCモデル301aまたは充電時SOCモデル301bのいずれか選択されたモデルを使って鉛蓄電池のSOCを推定し、仮SOCとする。なお、求められた仮SOC推定値は、仮SOC推定結果DB304に、放電時推定結果304aと充電時推定結果304bに分けて格納する。
【0049】
SOC決定部305は、仮SOC推定結果DB304に格納されている、放電時の仮SOC推定結果、充電時の仮SOC推定結果を、SOCモデル信頼度DB306の情報をもとに重み付けして、現在のSOCを決定する。
【0050】
例えば、SOCが低い領域では、放電時SOCモデル301aと充電時SOCモデル301bのいずれも信頼度が同程度であるが、SOCが高い領域では、「充電モデル」よりも放電時SOCモデル301aの方が信頼度が高い、といったSOCモデルの信頼度を予め調べておき、仮SOCの値に信頼度に応じた重みや、推定したい時刻からの近さなどに応じた重みをつけて、最終的なSOCを決定することができる。
【0051】
例えば、今「SOCが高い領域」であるが、今は「充電」中だが、ごくわずか前に「放電」していてその時の仮SOC値があるといった場合に、信頼度と、求めたい時刻からどの程度離れているか等の情報により、仮SOC推定結果(「放電時」「充電時」別の仮SOC推定値)に重みづけして、現在のSOCを決定することができる。
【0052】
求められたSOCは、SOC推移DB105に格納され、後は、同様に、均等充電間隔・均等充電方式が決定される。なお、SOCモデル信頼度DB306は、学習部307を設けることにより、随時、情報の更新・学習ができるようにしてもよい。
【0053】
以上により、放電時SOCモデル301a、充電時SOC推定モデル301bと「信頼度」をもとに、高精度にSOCを推定しつつ、均等充電間隔や均等充電方式を決定することができる。
〔システム処理フロー〕
次に、図13を用いて、実施例2の処理フローについて、簡単に説明する。電池状態測定部が鉛蓄電池の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S401)。電池の状態は、放電状態か、あるいは、充電状態か調べ(S402)、放電状態ならば、SOCモデルは、放電時SOCモデルを選択する(S402a)。充電状態ならば、SOCモデルは、放電時SOCモデルを選択する(S402b)。SOC推定部は、選択したSOCモデルを利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定し、仮SOC推定値とする(S403)。仮SOC推定値は、電池状態(放電・充電)に応じて、仮SOC推定結果DBに格納する(S404)。SOC推移DBを参照し、直前のSOC状態・充放電状態、および、その状態でのSOCモデルの信頼度を調べる(S405)。前ステップの電池状態、SOCモデルの信頼度に応じて、直近のSOC推定結果、および、仮SOC推定結果を用いて、現在のSOC(推定結果)を決定する(S406)。
【0054】
SOC推移履歴管理部は、鉛蓄電池のSOCの推移をSOC推移DBに記録するとともに、SOCの推移状況を評価する(S407)。均等充電最適計画部は、SOCの推移状況をSOC推移履歴管理部に照会し、そのSOC推移履歴に対して、寿命を長寿命とできる最適な運用条件均等充間隔・均等充電方式を劣化モデルを利用して求める(S408)。SOC推移情報・均等充電情報出力部は、鉛蓄電池のSOC推移情報、および、均等充電実施予定情報・実施情報を出力する(S409)。均等充電実施部は、均等充電最適計画部の決定した方法に従って鉛蓄電池に対して均等充電を実施する(S410)。以上の処理により、鉛蓄電池の使用状況(SOC推移状況)に応じて、鉛蓄電池の寿命を長寿命とする最適な均等充電を実施することができる。
【実施例3】
【0055】
次に、本発明の実施例3として、自然エネルギーとして風力発電の予測値が得られる場合に、SOCの推移履歴と劣化モデルを使って、鉛蓄電池を長寿命化可能な充放電の計画や充放電目標を立て、長寿命化する方式について図14、図15を用いて説明する。
【0056】
図14は、本発明の実施例3の機能ブロックを表す。機能ブロックは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル103、SOC推定部104、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、風力発電予測DB501、風力発電予測部502、劣化モデル503、充放電計画部504、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部505、充放電実施部506、学習部507からなる。
【0057】
実施例3の特徴は、風力発電予測DB501、風力発電予測部502により、この先の風力発電の予測値を得て、その時の状況、SOCの推移状況、および、鉛蓄電池の運用と劣化に関する知見(劣化モデル503)を考慮して、充放電計画部504が鉛蓄電池の充放電を計画することにある。
〔システム処理フロー〕
次に、図15を用いて、処理フローについて説明する。まず、電池状態測定部が鉛蓄電池の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S601)。次に、SOC推定部は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度とSOCの関係を示すSOCモデルを利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定する(S602)。
【0058】
そして、SOC推移履歴管理部は、鉛蓄電池のSOCの推移をSOC推移DBに記録する(S603)。
【0059】
風力発電予測部は、風力発電予測DBを利用し、今後、風力発電量がどのように推移するか予測する(S604)。
【0060】
充放電計画部は、SOCの推移状況、風力発電量の今後の推移予測結果、および、鉛蓄電池の運用(充放電)と劣化の関係を示す劣化モデルを利用し、最適な充放電の計画を行う(S605)。
【0061】
SOC推移情報・充放電情報・風力発電情報出力部は、風力発電予測情報、鉛蓄電池のSOC推移情報、および充放電に関する情報を出力する(S606)。充放電実施部は、充放電計画部の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を実施する(S607)。
【0062】
さらに、学習部は、風力発電予測DB(風力発電の予測結果と実際の結果)、劣化モデル(鉛蓄電池の運用(充放電)と劣化の関係)、および、SOCモデル(電流・電圧・温度とSOCの関係モデル)を更新・学習する(S608)。
【0063】
以上の処理により、自然エネルギーとして風力発電の予測値が得られる場合に、SOCの推移履歴と劣化モデルを使って、鉛蓄電池を長寿命化可能な充放電の計画や充放電目標を立て、長寿命化する方式が実施できる。
〔出力例〕
図16A、16Bに、充放電計画の出力例を示す。例えば、今から××時間後に風が急激に弱まり、出力が急激に落ち、それを補うために、鉛蓄電池に放電が多く要求される見込みであるとする。すると、充放電計画部504は、SOC使用範囲内で充放電の目標値を高めに設定して大量放電に備える、といった計画を立てることができる。このように、現時点から先の未来の状況も予測しながら鉛蓄電池を長寿命化可能な運用を計画することにより、さらに、鉛蓄電池の寿命を延ばすことが期待できる。
【0064】
図17A、17Bは、本実施例の出力例(風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部505の出力)を示す。出力画面には、SOCの推移状況(グラフ)の他、風力発電の予測情報、充放電の目標値、均等充電の実施予定などを表示している。この例では、風力発電の予測が「××時間後、風が強すぎて、風車がカットアウトとなる見通し」となっている。カットアウトとなると風車の出力が「最大」から「0」となってしまうため、鉛蓄電池に対してたくさんの放電要求がくる。そのため、この例では、「充放電の目標値は、SOC使用範囲内の高め(SOC75%)に設定します」と表示されている。このように、風力発電の予測結果や、充放電の目標などを出力することで、運用側が計画的に鉛蓄電池を利用することができる。また、均等充電の実施タイミング予告も、鉛蓄電池を制御する鉛蓄電池ユーザにとって、運用・制御しやすくすることができる。
【0065】
図18は、本発明を風力発電システムに適用した場合のシステム構成を示す。図18において、風力発電の発電出力は。鉛蓄電池または鉛蓄電池システムの蓄電システム出力により平準化され、安定した系統出力として系統に供給される。この風力発電システムにおいて、本発明の鉛蓄電池または鉛蓄電池システムは、SOCの推移情報により適切な頻度で充電されることにより長寿命化され、自然エネルギーシステム全体の効率的運用に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0066】
101:鉛蓄電池
102:電池状態測定部
103:SOCモデル
110:均等充電実施部
104:SOC推定部
105:SOC推移DB
106:SOC推移履歴管理部
107:劣化モデル
108:均等充電最適計画部
108a:均等充電間隔決定部
108b:均等充電方式決定部
109:SOC推移情報・均等充電情報出力部
301a:放電時SOCモデル
301b:充電時SOCモデル
302:SOC推定モデル選択部
304:仮SOC推定結果DB
306:SOCモデル信頼度DB
506:充放電実施部
501:風力発電予測DB
502:風力発電予測部
504:充放電計画部
505:風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電システムなどの自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池および鉛蓄電池システムに関する。本発明は、特に風力発電の変動抑制に使用される鉛蓄電池の充電状態(SOC:State of Charge)の推移を把握し、SOC推移状況に応じて適切な頻度および方式で均等充電を実施することにより、鉛蓄電池の寿命を長寿命化し、かつ均等充電のコストや、風力発電蓄電システムの停止に伴うロスを低減することが可能な、自然エネルギー利用システム向けの鉛蓄電池および鉛蓄電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化は、全人類にとって重大な問題であり、各国で温暖化の進行を遅らせ食い止めるために、効率の良い電力系統・スマートグリッドを構築し、省エネルギーを推進するとともに、CO2を排出しない太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーの大量導入を推進しようとしている。
【0003】
例えば風力発電は、大気循環の自然エネルギーを利用しておりCO2を排出しないというメリットがあるものの、風まかせのため発電出力が安定せず電力系統への悪影響や電力品質の低下が懸念されている。このような電力系統への悪影響を防ぎ、エネルギーを有効利用するためには、鉛蓄電池などを用いてエネルギー変動を平準化し安定化する風力発電・蓄電システムに期待が集まっている。風力発電出力の変動抑制用途向けの鉛蓄電池は、風力発電機と同等の長寿命化や低コスト化が求められている。
【0004】
ところで、風力発電変動抑制向けの鉛蓄電池は、風力出力変動に合わせて充放電ができるように、半放電状態(PSOC:Partial State of Charge)で運用される。従って従来の通常は満充電にしておき必要な時に放電する非常用鉛蓄電池や、夜間に満充電にしておき昼間負荷の多い時に放電する産業用鉛蓄電池と異なり、通常運用状態では満充電とならない。この特殊な用途で、低SOCによる負極のサルフェーションによる劣化を防ぐため、定期的(通常1〜2週間毎)に鉛蓄電池を満充電とする均等充電(回復充電)を実施している。均等充電のもう1つの目的は、SOCの把握を正しく行うために、定期的にSOC値をリセットし、均等充電後100%充電状態とすることにある。
【0005】
しかし、均等充電を頻繁に行い過ぎると、逆に正極に過充電による劣化が起こり寿命を早めるなどの問題があった。
特許文献1には、鉛蓄電池の均等充電間隔を、気温に応じて変更する例が開示されている。また、特許文献2には、鉛蓄電池の均等充電量時の過充電量を従来(110%〜115%)より低い設定(99%〜102%)とし、正極の劣化を防止する旨の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−288947号公報
【特許文献2】特開2004−39434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自然エネルギー利用システム用の鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、鉛蓄電池の均等充電の実施間隔を、鉛蓄電池の使用状況(SOCの推移)に応じて変えることにより鉛蓄電池を長寿命化し、SOCの把握のためのみの均等充電を減らすことで、均等充電のための電力やコスト、自然エネルギー・蓄電システムの停止機会を減らし、コスト的にも優位とする、新しい鉛蓄電池や鉛蓄電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、鉛蓄電池を運用する側で、次回に予定される均等充電のタイミングを把握できるようにすることにより、運用管理しやすい鉛蓄電池および鉛蓄電池システムとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする。
【0011】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする。
【0012】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする。
【0013】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部が決定する「均等充電間隔」は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする。
【0014】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする。
【0016】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池または鉛蓄電池システムにおいて、電池状態測定部の情報とSOCモデル情報から充電状態を推定するSOC推定部と、鉛蓄電池の充電状態推移を記録するSOC推移DBと、推定された充電状態の値をSOC推移DBに記録しSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、劣化モデルと、SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことによって、均等充電の実施頻度や充電方式をSOCの推移状況と寿命・劣化の観点から最適化することにより、鉛蓄電池を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1の機能ブロック図
【図2】本発明の実施例1のSOCモデルを利用したSOC推定のグラフ
【図3】本発明の実施例1のSOCモデル(放電特性モデル)のグラフ
【図4】本発明の実施例1のSOC推移DBのデータのグラフ
【図5】SOC推移DBのデータのグラフ
【図6】SOC推移DBのデータのグラフ
【図7】劣化モデルのグラフ
【図8】本発明の実施例1の劣化モデルのグラフ
【図9】劣化モデルのグラフ
【図10】本発明の実施例1の処理フロー図
【図11A】本発明の実施例1のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図11B】本発明の実施例1のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図12】本発明の実施例2の機能ブロック図
【図13】本発明の実施例2の処理フロー図
【図14】本発明の実施例3の機能ブロック図
【図15】本発明の実施例3の処理フロー図
【図16A】本発明の実施例3の充放電目標設定の説明図
【図16B】本発明の実施例3の充放電目標設定の説明図
【図17A】本発明の実施例3のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図17B】本発明の実施例3のSOC推移状況と均等充電予告出力の説明図
【図18】本発明を適用する風力発電用鉛蓄電池システムを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を各実施例につき、図面を用いて詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
〔システム構成〕
図1に、本発明の実施例1に係る自然エネルギー利用システムに適用される鉛蓄電池および鉛蓄電池システムの機能ブロック図を示す。本発明の鉛蓄電池システムは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル103、SOC推定部104、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、劣化モデル107、均等充電最適計画部108、SOC推移情報・均等充電情報出力部109および、均等充電制御部110からなる。
【0022】
上記構成要素の各機能について説明する。電池状態測定部102は、電流測定部102a、電圧測定部102bおよび温度測定部102cを有し、鉛蓄電池101の電流(A)、電圧(V)、温度(℃)などの鉛蓄電池の状態を測定する。
【0023】
SOCモデル103は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度などと鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すモデルであり、予め鉛電池の特性を調べて作成しておく。
【0024】
なお、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
【0025】
SOC推定部104は、電池状態測定部102によって測定した情報と、SOCモデル103の情報から、鉛蓄電池のSOCを推定する。図2に、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデル(放電モデル)を用いて、SOCを推定する一例を示す。
【0026】
なお、SOCモデルを用いた鉛蓄電池のSOCの推定方法については、本出願の先願である特願2009−225996に詳しく記載している。
【0027】
SOC推移DB105は、鉛蓄電池のSOCがどのように推移しているかの状況を記録するデータベースである。SOC推定部104がSOCの推定結果情報を、SOC推移DB105に記録・追加してゆく。SOCの記録は、随時記録・更新する方法や、一定時間毎に推定結果を記録する方法などがある。
【0028】
SOC推移履歴管理部106は、SOC推定部104によって推定されたSOCの値をSOC推移DB105に記録するとともに、SOC推移DB105から、SOCの過去の推移状況の情報を引き出す。例えば、均等充電最適計画部108の要求により、直前の一定期間のSOC推移状況のデータを抽出し提供する。
【0029】
劣化モデル107は、鉛蓄電池のSOCを含む電池の運用状況と劣化の関係や、SOCとSOCに対応した最適な均等充電間隔・方式などを示した情報を含む。劣化モデル107は、予め鉛蓄電池の運用と寿命・劣化の関係を調べて作成しておく。
【0030】
なお、鉛蓄電池のSOCを含む電池の運用状況と劣化の関係を表すモデルの作成方法は、本出願の先願である、特願2009−001345に詳しく実施方法を記載している。
【0031】
均等充電最適計画部108は、SOC推移履歴管理部106からSOC推移状況を得て、各SOC推移状況に応じて、劣化を防ぎ長寿命化するために最適な鉛蓄電池の均等充電間隔・均等充電方式を決定する均等充電間隔決定部108aと均等充電方式決定部108bを有し、最も鉛蓄電池の予測寿命が長くなる均等充電の最適な実施方式を、劣化モデル107の情報を利用して求める。
【0032】
SOC推移情報・均等充電情報出力部109は、SOC推移DB105に格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部108により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する。
【0033】
均等充電制御部110は、均等充電最適計画部108により決められた計画に従って、鉛蓄電池101に対して、均等充電(回復充電)を実施する。
〔SOC推定方式〕
次に、図2、図3を用いて、SOCモデルとSOCモデルを用いたSOCの推定について説明する。図2、図3は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデル(放電モデル)の例である。
【0034】
図2に示すカーブは、鉛蓄電池の電流・電圧・温度と鉛蓄電池の電池SOCの関係を表すSOCモデルの一例(温度:25℃、放電電流:8A)を示す。グラフは、縦軸が端子電圧(V)、横軸がSOCを示す。従って、例えば温度:25℃の時に8Aの電流を流しており、その時の端子電圧が2.04(V)であったとする。この場合は図7に示すように、鉛蓄電池のSOCは、0.85(85%)であるとSOCモデルから推定できる。
【0035】
図2の例では、温度:25℃、放電電流:8Aのみの例を示したが、例えば、温度:25℃のモデルに限っても、図3に示すように電流毎に複数の特性カーブが存在する。さらに、温度特性や劣化度毎にこのような複数のカーブのモデルが存在する(温度特性毎や、劣化度毎にも、さらに特性カーブを設けるとよい)。
【0036】
なお、SOCモデルや、SOCモデルを用いたSOC推定方法(図2、図3)の詳細は、先に示した特願2009−225996に実施方法を記載している。また、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
〔SOC推移状況〕
次に、図4〜図6を用いて、SOC推移DBに格納されているSOC推移状況の例を示す。図の例では、時刻毎のSOCの推移や、ある時間帯でのSOCの平均・推移幅などを示している。図4では、SOC平均が60%、推移幅が30%〜90%となっている。図5では、SOC平均が80%、推移幅が70%〜90%と、図4よりSOCが高めの範囲(負極のサルフェーションが起こりにくい領域)で推移している。逆に、図6では、SOC平均が40%、推移幅が30%〜50%と、図4よりSOCが低めの範囲(負極のサルフェーションが起こりやすい領域)で推移している。
〔劣化モデル〕
続いて、図7〜図9を用いて、鉛蓄電池の劣化モデル107の例を示す。図7の例では、SOC推移の中心と、それに対して最適な、すなわち鉛蓄電池を最も長寿命化可能な均等充電間隔の関係を示している。図8では、SOC滞在レベルとそれに対して最適な、すなわち鉛蓄電池を最も長寿命化可能な均等充電間隔の関係を示している。SOC滞在レベルは時々刻々と変化するが、例えばその滞在時間に応じた重みをつけて、最適な均等充電間隔を算出することも可能である。なお、均等充電間隔は、図7のように、「何日毎」と決める方法や、図8のように、「何Ah充放電後(何Ah放電後)」と決める方法も有効である。図9は、SOC滞在レベルと、それに対して最適な均等充電時の過充電量の関係を示している。
【0037】
このように、SOCの推移状況に応じて、均等充電のタイミング(均等充電間隔)や、均等充電の方式、過充電量などを適切にすることで、鉛蓄電池を長寿命化することが可能である。なお、劣化モデルの作成方法の詳細についても先の特願2009−225996に実施方法を記載している。
〔システム処理フロー〕
次に、図10を用いて、実施例1の処理フローについて各ステップ毎に説明する。まず、電池状態測定部102が鉛蓄電池101の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S201)。
【0038】
次に、SOC推定部104は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度とSOCの関係を示すSOCモデル103を利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定する(S202)。
そして、SOC推移履歴管理部106は、鉛蓄電池101のSOCの推移をSOC推移DB105に記録する(S203)。
【0039】
均等充電最適計画部108は、SOCの推移状況をSOC推移履歴管理部106に照会し、SOC推移履歴管理部106は、SOC推移DB105を参照し、SOCの推移状況を均等充電最適計画部108に知らせる。均等充電最適計画部108は、そのSOC推移履歴に対して、寿命を長寿命とできる最適な運用条件(均等充間隔・均等充電方式)を鉛蓄電池の運用と劣化に関する情報(SOCと最適な運用に関する情報)である劣化モデル107を利用して求める(S204)。
【0040】
SOC推移情報・均等充電情報出力部109は、鉛蓄電池のSOC推移情報、および、均等充電実施予定情報・実施情報を出力する(S205)。即ち、SOC推移DB105に格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部108により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する。
【0041】
均等充電実施部110は、均等充電最適計画部108の決定した方法に従って、鉛蓄電池に対して均等充電を実施する(S206)。
【0042】
以上の処理により、鉛蓄電池の使用状況(SOC推移状況)に応じて、鉛蓄電池の寿命を長寿命とする最適な均等充電を実施することができる。
【0043】
図11A、11Bは、実施例1の出力例(画面)を示す。出力には、SOCの推移状況、および、均等充電の実施予告を表示している。グラフで、SOC100%(以上)となっているところが、均等充電を実施している部分である。均等充電間隔は、SOCの推移状況によって、寿命を長寿命とできるよう、実施タイミングが変わる。しかし、図11A、11Bのように、これまでのSOC推移状況から予測される均等充電の実施タイミングを予告することにより、鉛蓄電池ユーザは鉛蓄電池の運用・制御がしやすくなる。
【実施例2】
【0044】
〔システム構成〕
次に、図12に、本発明の実施例2において、より高精度を期待できる詳細な機能ブロック図を示す。実施例2の機能ブロックは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル301、SOC推定モデル選択部302、SOC推定部303、仮SOC推定結果DB304、SOC決定部305、SOCモデル信頼度DB306、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、劣化モデル107、均等充電最適計画部108、SOC推移情報・均等充電情報出力部109および、均等充電実施部110、学習部307からなる。
【0045】
実施例2の各機能のうち、図1と異なる部分についてのみ説明する。SOCモデル301は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度等の出力ファクタと鉛蓄電池のSOCの関係を表すモデルであり、放電時の鉛蓄電池の電流・電圧・温度等の出力ファクタと鉛蓄電池のSOCの関係を表す放電時SOCモデル301aと、充電時の鉛蓄電池の電流・電圧・温度などと鉛蓄電池のSOCの関係を表す充電時SOCモデル301bとから成る。ここで、予め放電・充電を行いながら鉛電池の特性データを収集して調べ、放電時SOCモデル301aと充電時SOCモデル301bからなるSOCモデルを作成しておく。
【0046】
なお、SOCモデルの作成方法については、一例として、「階段状電流を用いた鉛蓄電池シミュレーションモデリング手法(電学論B,128巻8号,2008年)」にモデルの作成手順を含め、詳しく記載されている。
【0047】
SOC推定モデル選択部302は、電池状態測定部102を介して鉛蓄電池に流れる電流を調べて、「放電時」か「充電時」かの電流状態を調べ、電流状態に応じて、SOCの推定に用いるモデルをSOCモデル301の中から、放電時SOCモデル301aまたは充電時SOCモデル301bのいずれか適切なモデルを選択する。
【0048】
SOC推定部303は、放電時SOCモデル301aまたは充電時SOCモデル301bのいずれか選択されたモデルを使って鉛蓄電池のSOCを推定し、仮SOCとする。なお、求められた仮SOC推定値は、仮SOC推定結果DB304に、放電時推定結果304aと充電時推定結果304bに分けて格納する。
【0049】
SOC決定部305は、仮SOC推定結果DB304に格納されている、放電時の仮SOC推定結果、充電時の仮SOC推定結果を、SOCモデル信頼度DB306の情報をもとに重み付けして、現在のSOCを決定する。
【0050】
例えば、SOCが低い領域では、放電時SOCモデル301aと充電時SOCモデル301bのいずれも信頼度が同程度であるが、SOCが高い領域では、「充電モデル」よりも放電時SOCモデル301aの方が信頼度が高い、といったSOCモデルの信頼度を予め調べておき、仮SOCの値に信頼度に応じた重みや、推定したい時刻からの近さなどに応じた重みをつけて、最終的なSOCを決定することができる。
【0051】
例えば、今「SOCが高い領域」であるが、今は「充電」中だが、ごくわずか前に「放電」していてその時の仮SOC値があるといった場合に、信頼度と、求めたい時刻からどの程度離れているか等の情報により、仮SOC推定結果(「放電時」「充電時」別の仮SOC推定値)に重みづけして、現在のSOCを決定することができる。
【0052】
求められたSOCは、SOC推移DB105に格納され、後は、同様に、均等充電間隔・均等充電方式が決定される。なお、SOCモデル信頼度DB306は、学習部307を設けることにより、随時、情報の更新・学習ができるようにしてもよい。
【0053】
以上により、放電時SOCモデル301a、充電時SOC推定モデル301bと「信頼度」をもとに、高精度にSOCを推定しつつ、均等充電間隔や均等充電方式を決定することができる。
〔システム処理フロー〕
次に、図13を用いて、実施例2の処理フローについて、簡単に説明する。電池状態測定部が鉛蓄電池の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S401)。電池の状態は、放電状態か、あるいは、充電状態か調べ(S402)、放電状態ならば、SOCモデルは、放電時SOCモデルを選択する(S402a)。充電状態ならば、SOCモデルは、放電時SOCモデルを選択する(S402b)。SOC推定部は、選択したSOCモデルを利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定し、仮SOC推定値とする(S403)。仮SOC推定値は、電池状態(放電・充電)に応じて、仮SOC推定結果DBに格納する(S404)。SOC推移DBを参照し、直前のSOC状態・充放電状態、および、その状態でのSOCモデルの信頼度を調べる(S405)。前ステップの電池状態、SOCモデルの信頼度に応じて、直近のSOC推定結果、および、仮SOC推定結果を用いて、現在のSOC(推定結果)を決定する(S406)。
【0054】
SOC推移履歴管理部は、鉛蓄電池のSOCの推移をSOC推移DBに記録するとともに、SOCの推移状況を評価する(S407)。均等充電最適計画部は、SOCの推移状況をSOC推移履歴管理部に照会し、そのSOC推移履歴に対して、寿命を長寿命とできる最適な運用条件均等充間隔・均等充電方式を劣化モデルを利用して求める(S408)。SOC推移情報・均等充電情報出力部は、鉛蓄電池のSOC推移情報、および、均等充電実施予定情報・実施情報を出力する(S409)。均等充電実施部は、均等充電最適計画部の決定した方法に従って鉛蓄電池に対して均等充電を実施する(S410)。以上の処理により、鉛蓄電池の使用状況(SOC推移状況)に応じて、鉛蓄電池の寿命を長寿命とする最適な均等充電を実施することができる。
【実施例3】
【0055】
次に、本発明の実施例3として、自然エネルギーとして風力発電の予測値が得られる場合に、SOCの推移履歴と劣化モデルを使って、鉛蓄電池を長寿命化可能な充放電の計画や充放電目標を立て、長寿命化する方式について図14、図15を用いて説明する。
【0056】
図14は、本発明の実施例3の機能ブロックを表す。機能ブロックは、鉛蓄電池101、電池状態測定部102、SOCモデル103、SOC推定部104、SOC推移DB105、SOC推移履歴管理部106、風力発電予測DB501、風力発電予測部502、劣化モデル503、充放電計画部504、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部505、充放電実施部506、学習部507からなる。
【0057】
実施例3の特徴は、風力発電予測DB501、風力発電予測部502により、この先の風力発電の予測値を得て、その時の状況、SOCの推移状況、および、鉛蓄電池の運用と劣化に関する知見(劣化モデル503)を考慮して、充放電計画部504が鉛蓄電池の充放電を計画することにある。
〔システム処理フロー〕
次に、図15を用いて、処理フローについて説明する。まず、電池状態測定部が鉛蓄電池の状態(電流・電圧・温度など)を測定する(S601)。次に、SOC推定部は、鉛蓄電池の電流・電圧・温度とSOCの関係を示すSOCモデルを利用し、現在の鉛蓄電池のSOCを推定する(S602)。
【0058】
そして、SOC推移履歴管理部は、鉛蓄電池のSOCの推移をSOC推移DBに記録する(S603)。
【0059】
風力発電予測部は、風力発電予測DBを利用し、今後、風力発電量がどのように推移するか予測する(S604)。
【0060】
充放電計画部は、SOCの推移状況、風力発電量の今後の推移予測結果、および、鉛蓄電池の運用(充放電)と劣化の関係を示す劣化モデルを利用し、最適な充放電の計画を行う(S605)。
【0061】
SOC推移情報・充放電情報・風力発電情報出力部は、風力発電予測情報、鉛蓄電池のSOC推移情報、および充放電に関する情報を出力する(S606)。充放電実施部は、充放電計画部の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を実施する(S607)。
【0062】
さらに、学習部は、風力発電予測DB(風力発電の予測結果と実際の結果)、劣化モデル(鉛蓄電池の運用(充放電)と劣化の関係)、および、SOCモデル(電流・電圧・温度とSOCの関係モデル)を更新・学習する(S608)。
【0063】
以上の処理により、自然エネルギーとして風力発電の予測値が得られる場合に、SOCの推移履歴と劣化モデルを使って、鉛蓄電池を長寿命化可能な充放電の計画や充放電目標を立て、長寿命化する方式が実施できる。
〔出力例〕
図16A、16Bに、充放電計画の出力例を示す。例えば、今から××時間後に風が急激に弱まり、出力が急激に落ち、それを補うために、鉛蓄電池に放電が多く要求される見込みであるとする。すると、充放電計画部504は、SOC使用範囲内で充放電の目標値を高めに設定して大量放電に備える、といった計画を立てることができる。このように、現時点から先の未来の状況も予測しながら鉛蓄電池を長寿命化可能な運用を計画することにより、さらに、鉛蓄電池の寿命を延ばすことが期待できる。
【0064】
図17A、17Bは、本実施例の出力例(風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部505の出力)を示す。出力画面には、SOCの推移状況(グラフ)の他、風力発電の予測情報、充放電の目標値、均等充電の実施予定などを表示している。この例では、風力発電の予測が「××時間後、風が強すぎて、風車がカットアウトとなる見通し」となっている。カットアウトとなると風車の出力が「最大」から「0」となってしまうため、鉛蓄電池に対してたくさんの放電要求がくる。そのため、この例では、「充放電の目標値は、SOC使用範囲内の高め(SOC75%)に設定します」と表示されている。このように、風力発電の予測結果や、充放電の目標などを出力することで、運用側が計画的に鉛蓄電池を利用することができる。また、均等充電の実施タイミング予告も、鉛蓄電池を制御する鉛蓄電池ユーザにとって、運用・制御しやすくすることができる。
【0065】
図18は、本発明を風力発電システムに適用した場合のシステム構成を示す。図18において、風力発電の発電出力は。鉛蓄電池または鉛蓄電池システムの蓄電システム出力により平準化され、安定した系統出力として系統に供給される。この風力発電システムにおいて、本発明の鉛蓄電池または鉛蓄電池システムは、SOCの推移情報により適切な頻度で充電されることにより長寿命化され、自然エネルギーシステム全体の効率的運用に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0066】
101:鉛蓄電池
102:電池状態測定部
103:SOCモデル
110:均等充電実施部
104:SOC推定部
105:SOC推移DB
106:SOC推移履歴管理部
107:劣化モデル
108:均等充電最適計画部
108a:均等充電間隔決定部
108b:均等充電方式決定部
109:SOC推移情報・均等充電情報出力部
301a:放電時SOCモデル
301b:充電時SOCモデル
302:SOC推定モデル選択部
304:仮SOC推定結果DB
306:SOCモデル信頼度DB
506:充放電実施部
501:風力発電予測DB
502:風力発電予測部
504:充放電計画部
505:風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池であって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する鉛蓄電池において、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項2】
請求項1に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記均等充電最適計画部が決定する均等充電間隔は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項7】
請求項6に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項8】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池であって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池において、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項9】
請求項8に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項10】
鉛蓄電池と、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、前記鉛蓄電池の電流・電圧・温度などのファクタと鉛蓄電池の電池充電状態の関係を表すSOCモデルと、前記鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項11】
請求項10に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項13】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項14】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部が決定する均等充電間隔は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項15】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項16】
請求項15に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項17】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池システムにおいて、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項18】
請求項17に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項1】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池であって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する鉛蓄電池において、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項2】
請求項1に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記均等充電最適計画部が決定する均等充電間隔は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項7】
請求項6に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項8】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池であって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池において、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項9】
請求項8に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池において、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池。
【請求項10】
鉛蓄電池と、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、前記鉛蓄電池の電流・電圧・温度などのファクタと鉛蓄電池の電池充電状態の関係を表すSOCモデルと、前記鉛蓄電池の均等充電を実施する均等充電実施部を有する自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から、前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池の充電状態がどのように推移しているかを記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部に推定された充電状態の値を前記SOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、前記鉛蓄電池の充電状態を含む鉛蓄電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに均等充電の最適な実施方式を計画する均等充電最適計画部とを設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項11】
請求項10に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部は、さらに均等充電間隔決定部と均等充電方式決定部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOCモデルは放電時SOCモデルと充電時SOCモデルを有し、前記電池状態測定部の情報に基づいて前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれかを選択するSOC推定モデル選択部を有することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項13】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、仮SOC推定結果DBとSOCモデル信頼度DBを有し、前記SOC推定部は前記放電時SOCモデルと充電時SOCモデルのいずれか選択されたモデルを用いて前記鉛蓄電池のSOCである仮SOCを推定し、前記仮SOC推定結果DBに放電時推定結果と充電時推定結果に分けて格納し、前記SOC推定部は放電時推定結果と充電時推定結果と前記SOCモデル信頼度DBの情報を基に現在のSOCを推定することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項14】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記均等充電最適計画部が決定する均等充電間隔は、鉛蓄電池の放電量(Ah)、充放電量(Ah)、放電時間または放電日数のいずれか一つを基準とすることを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項15】
請求項10又は11に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、均等充電最適計画部により決められた均等充電の実施予定の情報を外部に出力する、SOC推移情報・均等充電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項16】
請求項15に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記SOC推移情報・均等充電情報出力部は、SOC推移状況と、均等充電の実施予定の他に、鉛蓄電池の放電量(Ah)、又は充放電量(Ah)の情報を出力することを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項17】
自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムであって、鉛蓄電池の状態を測定する電池状態測定部と、鉛蓄電池の電流・電圧・温度を含む出力ファクタと鉛蓄電池の充電状態の関係を表すSOCモデルと、鉛蓄電池の均等充電を実施する充放電実施部を有する鉛蓄電池システムにおいて、
前記電池状態測定部によって測定した情報と前記SOCモデルの情報から前記鉛蓄電池の充電状態を推定するSOC推定部と、前記鉛蓄電池のSOCの推移状況を記録するSOC推移DBと、前記SOC推定部により推定されたSOCの値をSOC推移DBに記録するとともにSOCの推移状況を調べるSOC推移履歴管理部と、風力発電の予測値を得るために過去の風力発電情報を分析して作成した風力発電予測DBと、該風力発電予測DBを用いて将来の風力発電量を予測する風力発電予測部と、前記鉛蓄電池のSOCおよび電池の充放電を含む電池の運用状況と劣化の関係を表す劣化モデルと、前記風力発電予測部からの将来の風力発電予測結果と、前記SOC推移履歴管理部からのSOC推移状況および前記劣化モデルの情報をもとに、前記鉛蓄電池の長寿命化に最適な鉛蓄電池の充放電を計画する充放電計画部と、該充放電計画部により決められた充放電の計画に従って、鉛蓄電池の充放電を制御する充放電実施部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【請求項18】
請求項17に記載された自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システムにおいて、前記風力発電予測部による風力発電の予測結果と、前記SOC推移DBに格納されているSOC推移状況と、前記充放電計画部により決められた充放電に関する情報を外部に出力する、風力発電情報・SOC推移情報・充放電情報出力部を設けたことを特徴とする自然エネルギー利用システムに用いられる鉛蓄電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【公開番号】特開2012−37464(P2012−37464A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179912(P2010−179912)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]