説明

自脱型のコンバイン

【課題】結束装置に排藁を供給する排藁搬送装置の搬送終端位置を正確に検出して所定位置に排藁を供給することのできる装置を提供する。
【解決手段】排藁放出位置変更手段20により排藁搬送装置9の搬送終端位置を変更するための回転体22の回転量に応じた数の信号を間欠的に出力する近接センサ23を備え、回転体22の一方向への回転による近接センサ23の信号数と、回転体22の逆方向への回転による近接センサ23の信号数とを積算することにより、排藁搬送装置9の案内レール部分9cの基準位置からの位置を検出して、排藁搬送装置9の搬送終端位置を検出するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀後の排藁を結束位置へ案内する排藁搬送装置による搬送終端位置を変更することにより結束位置を変更するようにした自脱型のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているコンバインでは、脱穀装置から出てきた横倒れ姿勢の排藁を、搬送チェーンと搬送チェーンの下側に配置した案内レールとで後方に挟持搬送する排藁搬送装置を備えて、排藁搬送装置を斜め後方横方に延出し、排藁搬送装置の搬送終端位置からの排藁を所定量ずつ結束する結束装置を備えている。
排藁搬送装置において案内レール部分の位置(搬送終端位置)を搬送方向に沿って変更することにより、排藁搬送装置の搬送終端位置から結束装置に供給される排藁の稈長方向の位置を変更することができ、これによって排藁の稈身方向に対する結束位置を変更することができる。
【0003】
特許文献1では、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を検出する検出装置を備えており、この検出装置の検出値に基づいて、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を伸長側及び収縮側に操作している。排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置を検出するのに、特許文献1では排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を伸長側及び収縮側に操作する操作プーリーと同軸の扇型ギヤの揺動角度を検出するポテンショメータを利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−82021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を検出するためにポテンショメータを利用したものは、コストが高くなることがある。ポテンショメータは検出値が連続的に変化するので細かい検出が可能であるが、長年の使用に伴うポテンショメータの検出値の変化の修正を定期的に行う必要があり、メンテナンスと言う面で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、自脱型のコンバインにおいて、結束装置に排藁を供給する排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を正確に検出して所定位置に排藁を供給することのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1発明の構成〕
本第1発明は、以下のような構成を備えている。
脱穀装置から出てきた横倒れ姿勢の排藁を、搬送チェーンと、搬送チェーンの下側に配置した案内レールとで後方に挟持搬送する排藁搬送装置を斜め後方横方に延出し、前記排藁搬送装置の搬送終端位置からの排藁を所定量ずつ結束する結束装置を備え、
前記排藁搬送装置の前記案内レールにおける搬送終端位置の案内レール部分の位置を搬送方向に沿って変更することにより、前記排藁搬送装置の搬送終端位置から結束装置に供給される排藁の稈長方向の位置を変更することで排藁の稈身方向に対する結束位置を変更する排藁放出位置変更手段を備え、
前記排藁放出位置変更手段により前記排藁搬送装置の搬送終端位置を変更するための回転体の回転量に応じた数の信号を間欠的に出力する近接センサを備えた検出装置を設け、
前記回転体の一方向への回転による前記近接センサの信号数と、前記回転体の逆方向への回転による前記近接センサの信号数とを積算することにより、前記案内レール部分の基準位置からの位置を検出して、前記排藁搬送装置の搬送終端位置を検出する搬送終端位置検出手段を備えてある。
【0008】
〔作用〕
本第1発明の構成によると、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)が位置変更されると、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を変更するための回転体の回転に伴って近接センサから信号が出力されるので、近接センサの信号数を積算することによって、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の移動量を検出することができる。
【0009】
この場合、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の移動量を検出することはできるが、移動量だけでは排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置を検出することはできないので、事前に認識されている基準位置から排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)が位置変更される際、回転体の一方向への回転による近接センサの信号数と、回転体の逆方向への回転による近接センサの信号数とを積算することにより、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の基準位置からの距離を検出することができるのであり、これにより排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置を検出することができる。
【0010】
例えば基準位置を原点として、回転体が正方向に回転すると、この回転体の回転による近接センサの信号を正の値として積算し、回転体が逆方向に回転すると、この回転体の回転による近接センサの信号を負の値として積算すれば、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置を検出することができる。
例えば基準位置から回転体が正方向に回転して、この回転体の回転による近接センサの信号の積算値が「10」(正の移動量)であり、次に回転体が逆方向に回転して、この回転体の回転による近接センサの信号の積算値が「5」(負の移動量)であれば、現在の排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置は基準位置から正方向に「5」の距離の位置であることになる。
【0011】
〔第1発明の効果〕
これにより、本第1発明では、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置を、ポテンショメータに比べて低コストの近接センサを利用することにより的確に検出することができるようになって、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の位置の検出装置を安価に得ることができるに至った。
【0012】
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明において以下のような構成を備えている。
エンジンを始動させると前記案内レール部分が前記基準位置に位置するように、前記排藁放出位置変更手段を作動させ、且つ、前記搬送終端位置検出手段に前記近接センサのこれまでの信号数の積算を破棄させて再び前記近接センサの信号数の積算を開始させる始動位置決定手段を備えてある。
【0013】
〔作用効果〕
本第2発明によれば、エンジンの始動操作が行われると、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)が基準位置に自動的に変更され、これまでの近接センサの信号数の積算が破棄されるので、これまでの近接センサの信号数の積算誤差も同時に破棄することができ、再び近接センサの信号数の積算を開始することにより、近接センサの信号数の積算精度を元の状態に容易に戻すことができる。
このように排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の検出にポテンショメータを使用しないので、長年の使用に伴うポテンショメータの検出値の変化の修正や微調節を行う必要がなく、前述の操作がエンジンの始動操作と言う比較的定期的に行われる操作に伴って自動的に行われるようにすることにより、近接センサの信号数の積算精度を良好な状態に維持することが容易に行えて、メンテナンス性が良いものとなる。
【0014】
〔第3発明の構成〕
本第3発明は、第2発明において以下のような構成を備えている。
結束位置が最も穂先側となる前記案内レール部分の位置を前記基準位置としてある。
【0015】
〔作用効果〕
一般に排藁は穂先側が細く、株元側は太いものとなっている。本第3発明によれば、エンジンの始動操作が行われると、結束位置が最も穂先側となる基準位置に排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)が自動的に変更されるのであり、この状態から排藁の結束が開始される。従って、排藁の結束は、排藁において結束不良の生じ難い細い穂先側から開始されるのであり、排藁の太い株元側から結束が開始されて結束不良が生じると言うような状態は生じ難い。
【0016】
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、第1〜3発明のいずれか一つにおいて以下のような構成を備えている。
前記回転体の円周方向沿って間隔を隔てて複数の孔を形成して、前記孔並びに前記孔と孔の間のつなぎ部を前記近接センサが検出することにより、前記近接センサが信号を出力するように、前記検出装置を構成してある。
【0017】
〔作用効果〕
本第4発明によると、孔と孔との間隔や、孔とつなぎ部が一つのピッチとなり、このピッチに基づいて近接センサが信号を出力することになるので、このピッチが排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の検出精度に直接につながる。これにより、ピッチを長短に設定することによって、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の検出精度を適切なものに設定することが容易に行える。
【0018】
〔第5発明の構成〕
本第5発明は、第4発明において以下のような構成を備えている。
前記排藁放出位置変更手段が電動モータにより構成され、前記電動モータの動力を前記案内レール部分に伝達するギヤを備えて、前記電動モータにより前記案内レール部分の位置が変更されるように構成し、
前記回転体が前記ギヤにより構成されている。
【0019】
〔作用効果〕
本第5発明によると、電動モータの動力を案内レール部分に伝達する伝動用のギヤと言う既存の部材を回転体としており、伝動用のギヤを排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)の検出用に兼用することができて、検出装置の構造の簡素化を図ることができる。
【0020】
〔第6発明の構成〕
本第6発明は、第1〜5発明のいずれか一つにおいて以下のような構成を備えている。
排藁の結束位置を設定する結束位置設定手段と排藁の結束位置を検出する結束位置検出手段とを備え、前記結束位置設定手段と結束位置検出手段とに基づいて、検出された排藁の結束位置が設定された排藁の結束位置となるように前記排藁放出位置変更手段を制御する制御装置を備えてある。
【0021】
〔作用効果〕
本第6発明によると、検出された排藁の結束位置が設定された排藁の結束位置となるように排藁放出位置変更手段を自動的に制御するように構成した場合、排藁搬送装置の搬送終端位置(案内レール部分)を近接センサにより的確に検出しながら、排藁放出位置変更手段の自動的な制御が適切に行えて、排藁の結束を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】係止搬送装置、挟持搬送装置、排藁カッター、結束装置及び株揃え装置の付近の平面図である。
【図3】挟持搬送装置、排藁カッター及び結束装置の付近の左側面図である。
【図4】結束装置及び株揃え装置の付近の背面図である。
【図5】結束装置の付近の左側面図である。
【図6】挟持搬送装置の第2レールの伸縮操作の構造を示す左側面図である。
【図7】挟持搬送装置の第1レールの後部の付近の縦断左側面図である。
【図8】挟持搬送装置の第1レールの後部の付近の縦断背面図である。
【図9】挟持搬送装置の第2レールを伸縮操作する操作ボックスの断面図である。
【図10】操作ボックス内の操作プーリーとギヤを示す分解断面図である。
【図11】株揃え装置の側面図である。
【図12】株揃え装置の平面図である。
【図13】紐支持部を示す部分側面図である。
【図14】紐支持部の背面図である。
【図15】紐支持部の弛み杆の作用を示す部分正面図である。
【図16】制御装置、ダイヤルスイッチ、第1及び第2手動スイッチの連係状態を示すブロック図である。
【図17】挟持搬送装置及び株揃え装置の制御の前半の流れを示す流れ図である。
【図18】挟持搬送装置及び株揃え装置の制御の後半の流れを示す流れ図である。
【図19】株揃え制御を示す流れ図である。
【図20】挟持搬送装置の搬送終端位置(第2レール)の検出の流れを示す図である。
【図21】起動センサと株揃え制御と紐切れ検出のタイムチャートである。
【図22】株揃え装置の位置を変更した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すように、右及び左のクローラ走行装置1で支持された機体の前部に刈取部2が昇降駆動自在に支持されて、機体の前部の右側に運転部3が備えられており、機体の後部の左側に脱穀装置4が備えられ、機体の後部の右側にグレンタンク5が備えられて、自脱型のコンバインが構成されている。
【0024】
図1及び図2に示すように、脱穀装置4の後部に排藁カッター6が連結され、排藁カッター6の後部に結束装置7が連結されて、結束装置7の左側に株揃え装置50が備えられており、脱穀装置4の後部から排藁カッター6及び結束装置7に亘って、係止搬送装置8及び挟持搬送装置9(排藁搬送装置に相当)が、斜め後方横方に延出されている。係止搬送装置8は複数の係止爪が下向きに配置されて、係止爪が排藁Aの穂先A2側に上側から接触して、排藁カッター6及び結束装置7に向って押していくように回転駆動される。
【0025】
図3及び図6に示すように、挟持搬送装置9は、回転駆動される搬送チェーン9a、搬送チェーン9aの下側に沿って配置された搬送始端側の第1レール9b(案内レールに相当)、及び搬送終端側の第2レール9c(案内レールに相当)(案内レール部分に相当)を備えて構成されており、搬送チェーン9aと第1及び第2レール9b,9cとの間に排藁Aの株元A1側が挟持されて搬送される。
【0026】
これにより、図1〜図3に示すように、フィードチェーン11により排藁Aの株元A1側が挟持され横倒れ姿勢で脱穀装置4から出てくるのであり、排藁Aの穂先A2側が係止搬送装置8に受け渡され、排藁Aの株元A1側がフィードチェーン11から挟持搬送装置9に受け渡されて、排藁Aが係止搬送装置8及び挟持搬送装置9により横倒れ姿勢で後方に搬送される。
【0027】
次に、挟持搬送装置9について説明する。
図3及び図6に示すように、挟持搬送装置9の第2レール9cの後端部から排藁Aが落下して、係止搬送装置8及び挟持搬送装置9から離れるのであり、挟持搬送装置9の第2レール9cの後端部が挟持搬送装置9の搬送終端位置となる。挟持搬送装置9の第1レール9bが位置固定であるのに対して、挟持搬送装置9の第2レール9cが第1レール9bに沿って伸縮自在に構成されており、挟持搬送装置9の第2レール9cを伸縮操作することにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置を搬送方向に沿って変更することができる。
【0028】
この場合、図2及び図3に示すように、挟持搬送装置9が斜め横後方に延出されているので、挟持搬送装置9の第2レール9cを伸縮操作して、挟持搬送装置9の搬送終端位置を搬送方向に沿って変更することにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置から結束装置7に供給される排藁Aの位置を稈長方向に変更することができ、排藁Aの結束位置を排藁Aの稈長方向に変更することができる。
【0029】
図2及び図3に示すように、挟持搬送装置9の第2レール9cを伸長操作して、挟持搬送装置9の搬送終端位置を後方に設定すると、挟持搬送装置9の搬送終端位置での排藁Aが右側(図2の紙面上方)に位置して、排藁Aの株元A1(図4参照)が結束装置7に接近した状態となり、排藁Aの結束位置は排藁Aの株元A1に近い位置となる。挟持搬送装置9の第2レール9cを収縮操作して、挟持搬送装置9の搬送終端位置を前方に設定すると、挟持搬送装置9の搬送終端位置での排藁Aが左側(図2の紙面下方)に位置して、排藁Aの株元A1が結束装置7から離間した状態となり、排藁Aの結束位置は排藁Aの株元A1から遠い位置となる(排藁搬送装置の搬送終端位置から結束装置に供給される排藁の稈長方向の位置を変更することで排藁の稈身方向に対する結束位置を変更する状態に相当)。
【0030】
図3に示すように、排藁カッター6の上部の横軸芯P1周りにカバー10が開閉操作自在に支持されている。これにより、カバー10を実線で示す閉位置に操作すると、挟持搬送装置9の搬送終端位置からの排藁Aがカバー10の上面に沿って結束装置7に供給される。カバー10を二点鎖線で示す開位置に操作し、挟持搬送装置9の第2レール9cを最収縮位置(図3の紙面左方)に収縮操作すると、挟持搬送装置9の搬送終端位置からの排藁Aが排藁カッター6に供給され細断されて下方に放出される。
【0031】
図16に示すように、カバー10の開閉状態を検出するポテンショメータ74が備えられている。カバー10を開いたときには、図示しないモニターにカッター選択状態であることが表示され、カバー10を閉じたときには結束選択状態であることが表示されるようになっている。
【0032】
次に、挟持搬送装置9の第2レール9cの伸縮操作の構造について説明する。
図6〜図8に示すように、機体の固定部に固定されたブラケット12,13にロッド14,15が上下スライド自在に支持され、後のロッド15の上部に断面U字状の支持ブラケット16が固定されている。挟持搬送装置9の第1レール9bの後部に二股状の支持部9dが固定され、支持部9dのL字状の切欠き部9hに支持ブラケット16の支持軸16aが挿入されて、支持ブラケット16の支持軸16a周りに挟持搬送装置9の第1レール9bの支持部9dが揺動自在に支持されている。挟持搬送装置9の第1レール9bの前部に案内ロッド9eが固定されて、挟持搬送装置9の第1レール9bの案内ロッド9eがロッド14に支持されている。
【0033】
図6〜図8に示すように、挟持搬送装置9の第1レール9bは横長の板材を逆U字状(図8参照)に折り曲げて構成されており、横長のアングル状の受け部材9fが挟持搬送装置9の第1レール9bの下部に固定されて、挟持搬送装置9の第1レール9b及び受け部材9fにより、挟持搬送装置9の第1レール9bがパイプ状に構成されている。挟持搬送装置9の第2レール9cが丸棒状に構成されて、挟持搬送装置9の第1レール9bに移動自在(伸縮自在)に挿入されており、挟持搬送装置9の第2レール9cの前部にローラー9gが回転自在に支持されている。ロッド14,15を上方側に付勢するバネ17が備えられており、バネ17により挟持搬送装置9の第1及び第2レール9b,9cが搬送チェーン9a側に付勢されている。
【0034】
図2に示すように、操作ボックス18がグレンタンク5の後側の下側で、排藁カッター6の右側の前側部に固定されている。図6及び図9に示すように、操作ボックス18の内部において、支持軸18aの操作ボックス18の前カバー18b側に操作プーリー19が回転自在に支持されており、支持軸18aの操作プーリー19から隔てた操作ボックス18の後壁18c側にギヤ22(回転体に相当)が配設され、ギヤ22が操作プーリー19に固定されて、ギヤ22と操作プーリー19が一体回転自在に同軸に設けられている。操作ボックス18の内部で操作プーリー19の上部で且つ操作プーリー19とは平面視で重複しないように後壁18cに電動モータ20(排藁放出位置変更手段に相当)及び減速機構21が固定され、減速機構21のピニオンギヤ21aが操作ボックス18の内部に配置されてギヤ22の真上に配置された状態でギヤ22と咬合している。電動モータ20は制御装置26(図16参照)によって制御され、挟持搬送装置9の第2レール9cの位置を搬送方向に沿って変更する。
【0035】
図6、図9及び図10に示すように、電動モータ20により減速機構21のピニオンギヤ21aが回転駆動されると、ギヤ22が回転駆動されて、操作プーリー19が回転駆動される。ギヤ22を形成しているギヤ板22aの外周部近くには、等間隔に円周方向に沿って15個の略四角形の孔22bを形成してある。孔22bの径方向中央部における円周方向の幅(孔22bのピッチ)、並びに、孔22bと孔22bの間のつなぎ部22cの幅との比率は略2:1である。
【0036】
操作ボックス18の後壁18cにおける操作軸18aの横側位置に平面視クランク状のステー18dを固定し、孔穴22b及びつなぎ部22cが通過するステー18dの位置に非接触式(無接触式)でON/OFF信号を出力する近接センサ23を取り付けてある。近接センサ23は、ギヤ22のつなぎ部22cが近づいたことを検出するとON信号を出力し、ギヤ22のつなぎ部22cが離れて孔22bか近づいたことを検出するとON信号を出力しない(OFF信号を出力しているとみなせる)。これにより、近接センサ23のON信号が制御装置26に入力されて、ON信号数(ギヤ22のつなぎ部22cの数)を積算して操作プーリー19の回転角度を検出することができ、挟持搬送装置9の第2レール9cの移動量を検出することができる。近接センサ23とギヤ22のつなぎ片22cを含めて検出装置76とする。
【0037】
図6及び図9に示すように、支持ブラケット16と操作ボックス18とに亘って2本のワイヤ24,25が接続されて、ワイヤ24,25のインナー24a,25aの一方がピン19a,19bに止着された状態で操作プーリー19に接続されて巻回されている。図6〜図8に示すように、支持ブラケット16の支持軸16aにプーリー27が回転自在に支持されており、ワイヤ24のインナー24aの他方がプーリー27に巻回されながらピン24bに止着された状態で、挟持搬送装置9の第2レール9cの後端部に接続されている。ワイヤ25のインナー25aの他方がプーリー27に巻回されながらピン25bに止着された状態で、挟持搬送装置9の第2レール9cの前端部(ローラー9gの近傍)の接続されている。
【0038】
図6に示す状態は、電動モータ20及び減速機構21により操作プーリー19が図6の紙面時計方向に回転駆動された状態であり、ワイヤ24のインナー24aが引き操作されて、挟持搬送装置9の第2レール9cが最も収縮移動された状態である。図6に示す状態から、電動モータ20及び減速機構21により操作プーリー19が図6の紙面反時計方向に回転駆動されて、ワイヤ25のインナー25aが引き操作されると、挟持搬送装置9の第2レール9cが伸長操作(図6の紙面右方)されるのであり、電動モータ20及び減速機構21により操作プーリー19が図6の紙面時計方向に回転駆動されて、ワイヤ24のインナー24aが引き操作されると、挟持搬送装置9の第2レール9cが収縮操作(図6の紙面左方)される。
【0039】
図6及び図9に示すように、操作ボックス18の後壁18cにおける支持軸18aの斜め横下方位置に、平面視クランク状のステー18eを操作プーリー19の後部近くまで延出して固定し、ステー18eに収縮停止スイッチ70aと伸長停止スイッチ70bとを取り付けてある。収縮停止スイッチ70a及び伸長停止スイッチ70bは、板バネ71a,71bを押圧することで入り状態となる。収縮停止スイッチ70a及び伸長停止スイッチ70bは、挟持搬送装置9の第2レール9cを停止させるリミットスイッチとして機能する。ワイヤ24,25のインナー24a,25aの端部を止着しているピン19a,19bのうち、一方のピン19aは図9に示すように側方に突出して、収縮停止スイッチ70a及び伸長停止スイッチ70bに対する押圧体として機能する。
【0040】
次に、結束装置7について説明する。
図2及び図3に示すように、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)からの排藁Aがカバー10の上面に沿って結束装置7に供給され、結束装置7において排藁Aが所定量ずつ結束処理されて後方に排出されるのであり、縦長の伝動ケース28の左側の上下中間部に排藁Aを集める集束空間Sが形成されている。
【0041】
図3〜図5に示すように、伝動ケース28の下部に伝動ケース29が連結されて、伝動ケース29が左方に延出されて集束空間Sの下側に位置している。排藁Aを集束空間Sに送り込むクランク式のパッカー30、結束紐Bを運ぶニードル31、集束空間Sに集められた排藁Aの集束圧を機械的に感知する感知ドア32、集束空間Sの底部を構成する平板状の支持板41及び丸棒材で構成された支持部材42が、伝動ケース29に備えられている。ロール状に巻かれた結束紐Bを支持する紐支持部43が、集束空間Sの下方の下部支持フレーム54に取り付けられている。
【0042】
伝動ケース28の上部に伝動ケース33が連結され、伝動ケース33が左方に延出されて集束空間Sの上側に位置している。排藁Aをパッカー30の移動軌跡内に送り込むクランク式の補助パッカー34、集束空間Sの天井部を構成する紐案内板35、ノッタ・ビル方式に構成された結節ビル36及び紐ホルダ37、結節ビル36及び紐ホルダ37を駆動する1個の駆動ギヤ49、クランク式の放出アーム38が、伝動ケース33に備えられている。湾曲した板バネ状の分離バネ39及び支持バネ40が、集束空間Sの上側に片持ち状に支持されて斜め後方下方に延出されている。
【0043】
図3、図4、図13及び図14に示すように、紐支持部43は、結束紐Bを収容する収納ケース44が、下部支持フレーム54より後方に延設された支持枠52を介して取り付けられている。収納ケース44の後側板44aに紐繰出し孔45が形成されており、紐繰出し孔45から後方に導出された結束紐Bに作用する紐ブレーキ46が、後側板44aの外面に装着されている。
【0044】
紐ブレーキ46に通された結束紐Bは、紐案内ローラ47に案内され弛み取り杆48を介して、図示されない供給管に挿通案内されて、後退位置にあるニードル31の先端部まで導かれる。弛み取り杆48は弾性線材で構成されており、弛み取り杆48の基部48aはコイル状に形成されている。
【0045】
図15に示すように、弛み取り杆48の基部48aを支持する支持部44bには、結束紐Bが切れて弛み取り杆48が自由状態(図15に二点鎖線で示す位置)に伸長復帰すると、これに伴ってON状態となるエンジン停止スイッチ72が設けられている。エンジン停止スイッチ72は、結束装置7が作動しているときにおいて、結束紐Bが切れて弛み取り杆48が伸びて板バネ72aが押圧されると、エンジン駆動回路73が開き、エンジンが緊急停止される。これにより、未結束の排藁Aの発生を抑えることができる。
【0046】
次に、結束装置7での結束の流れについて説明する。
紐支持部43から出た結束紐Bが、弛み取り杆48を通ってニードル31の先端部の支持孔を通り、集束空間Sの後側を通って上方に延出されており、結束紐Bの端部が紐ホルダ37に保持されている。挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)からの排藁Aが、補助パッカー34により後方に送り込まれ、パッカー30により集束空間Sに送り込まれて集められるのであり、集束空間Sの排藁Aが支持板41及び支持部材42により支持されながら感知ドア32を押圧する。排藁Aがパッカー30及び補助パッカー34で集束空間Sに送り込まれているときに、株揃え装置50のバネ付勢された株元揃え板63により排藁Aの株元A1が揃えられる。
【0047】
この間、図4及び図5に示すように、分離バネ39は集束空間Sの排藁Aにより上方に押し上げられており、感知ドア32から後方に出て行こうとする集束空間Sの排藁Aが支持バネ40により止められる。感知ドア32が受ける集束圧が設定値未満であると、1回転クラッチ(図示せず)が停止状態であり、ニードル31が集束空間Sの下側の待機位置で停止し、放出アーム38が集束空間Sの上側の待機位置で停止しており、結節ビル36及び紐ホルダ37が待機状態で停止している。
【0048】
集束空間Sに所定量の排藁Aが集められて、パッカー30による送り込みにより感知ドア32が受ける集束圧が設定値を越えると、感知ドア32が後方下方に移動して、1回転クラッチが起動可能状態となる。1回転クラッチが起動可能状態となった次のパッカー30による送り込みに同調して、1回転クラッチが起動状態となり、ニードル31が待機位置から上方に駆動され、駆動ギヤ49が回転駆動され始めて結節ビル36及び紐ホルダ37が駆動され始める。
【0049】
ニードル31が待機位置から上方に駆動される際、パッカー30が排藁Aを前後に押し分けた空間を通過してニードル31が上方に移動し、紐案内板35の開口部35aを通過して、結節ビル36による結束紐Bの結節、紐ホルダ37による結束紐Bの切断及び結束紐Bの端部の保持が行われて、結束された排藁Aが放出アーム38により後方に放出される。このとき、結束された排藁Aにより支持バネ40が上方に押し上げられるが、結束されていない排藁Aは分離バネ39により止められるので放出されない。
【0050】
この後、ニードル31が下方に駆動されて図4及び図5に示す待機位置に移動し、放出アーム38及び感知ドア32も図5に示す元の位置に戻る。これで1回の結束を終了するのであり、引き続き集束空間Sに所定量の排藁Aが集められて、パッカー30による送り込みにより感知ドア32が受ける集束圧が設定値を越えると、感知ドア32が後方下方に移動して、前述と同様な結束が行われる。
【0051】
次に、株揃え装置50について説明する。
図2、図4及び図5に示すように、結束装置7の上部と下部に左右に亘たる上部支持フレーム53及び下部支持フレーム54が固定され、上部支持フレーム53と下部支持フレーム54とに亘って、右側に伝動ケース28、左側にサイドケース55が固定されている。上部支持フレーム53の中間部に配置された伝動ケース56と、サイドケース55とに亘って、駆動軸57が回転自在に支持されている。サイドケース55に配置された伝動チェーン(図示せず)を介して、排藁カッター6の動力が駆動軸57の左側部に伝達されており、伝動ケース56の内部に配置された伝動チェーン58により、駆動軸57の動力が補助パッカー34に伝達されて、補助パッカー34が駆動される。
【0052】
図2、図4、図11及び図12に示すように、上部支持フレーム53に位置変更自在に取り付けられた支持フレーム59が前方に延出されており、支持フレーム59の前端部にボス部60を取り付け、ボス部60に支持された縦軸61の縦軸芯P5周りに揺動アーム62が揺動自在に支持されて後方に延出され、揺動アーム62に株元揃え板63を固定している。ボス部60に外嵌されて支持フレーム59と揺動アーム62の基部板62aに付設した係止杆64に亘って取り付けたバネ65を介して、株元揃え板63が排藁Aの株元A1を穂先A2側に押圧するように構成してある。以上のように、支持フレーム59、ボス部60、縦軸61、揺動アーム62、株元揃え板63、バネ65等により株揃え装置50が構成されている。
【0053】
支持フレーム59にポテンショメータ66(結束位置検出手段に相当)が固定され、ポテンショメータ66の検出軸66aが下方に延出されて縦軸61に接続されている。ポテンショメータ66の検出値が制御装置26(図16参照)に入力されており、ポテンショメータ66の検出値により、株揃え装置50(株元揃え板63)の位置(揺動角度)が検出される。
【0054】
図16に示すように、ダイヤルスイッチ67(結束位置設定手段に相当)、及び手動スイッチ69が運転部3に備えられて、ダイヤルスイッチ67及び手動スイッチ69による株元の設定位置が制御装置26に入力される。ダイヤルスイッチ67は5個の排藁Aの設定結束位置C1,C2,C3,C4,C5と手動位置Wに操作自在に構成されている。設定結束位置C1〜C5は結束装置7において排藁Aが結束される結束位置であり、設定結束位置C1が株元A1に最も近い結束位置であり、設定結束位置C5が株元A1から最も遠い結束位置である。
【0055】
手動スイッチ69は右及び左に押し操作自在なシーソー型式に構成されて、中立位置に付勢されており、ダイヤルスイッチ67が手動位置Wに操作された状態で手動スイッチ69が機能する。手動スイッチ69を左(伸)に操作すると挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が伸長側に操作され、手動スイッチ69を右(縮)に操作すると挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が収縮側に操作される。手動スイッチ69から手が離れると手動スイッチ69が中立位置に戻され、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)がその位置で停止する。カバー10を開けたカッター選択状態では、手動スイッチ69を左(伸)に操作しても挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)は停止している。この場合に、警報ブザー75が作動するように構成して、カッター選択状態で挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が伸長側又は収縮側に操作されようとしたことを報知するように構成してもよい。
【0056】
図5及び図16に示すように、伝動ケース56の前部の下部にリミットスイッチ型式の起動スイッチ68が固定され、起動スイッチ68の検出アーム68aが下方に延出されており、起動スイッチ68の検出信号が制御装置26に入力されている。
【0057】
図2〜図4に示すように、刈取作業を開始する前の最初の状態(刈取部2や脱穀装置4に穀稈が存在せず、挟持搬送装置9に排藁Aが存在しない状態)において、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が最収縮位置(基準位置)で停止している。設定結束位置C1〜C5から排藁Aの株元A1までの長さが事前に認識されているので、ダイヤルスイッチ67により設定結束位置C1〜C5を選択すれば、選択された設定結束位置C1〜C5に対応する目標となる株元揃え板63の揺動角度(位置a1〜a5)が決まる。
【0058】
図17〜図19により株揃え制御について説明する。
図示しないキースイッチがON操作されると、フラグf1=0、フラグf2=0に初期化される。従って、キースイッチがON操作されて、フラグf1=0で(ステップS1がNo)、エンジン(図示せず)が始動すると(ステップS2がYes)、フラグf1=1となり(ステップS3)、制御装置26に備えられた始動位置決定手段78により、電動モータ20により図6に示す操作プーリー19が時計方向に回転駆動されて、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が最収縮位置(基準位置)に収縮側に操作され(ステップS4)、収縮停止スイッチ70aがON状態になると(ステップS5のYes)、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が停止する。
【0059】
これにより、始動位置決定手段78により近接センサ23のON信号の積算値LCが「0」に設定されて(ステップS6)(近接センサのこれまでの信号数の積算が破棄される状態に相当)、後述するように挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)の検出が開始される。この状態ではフラグf2=0であり(ステップS7)、脱穀作業が行われていない状態で起動スイッチ68はOFF状態にある(ステップS8のNo)。
【0060】
上記の状態から刈取作業が開始され、係止及び挟持搬送装置8,9により排藁Aが搬送されて、排藁Aが起動スイッチ68の検出アーム68aに接触して起動スイッチ68がON状態になると(ステップS8のYes)、フラグf2=1となり(ステップS9)、タイマーが作動し(ステップS10)、設定時間T1の経過後に(ステップS11のYes)、選択された設定結束位置C1〜C5に対応する設定信号と、株元揃え板63の位置a1〜a5に対応するポテンショメータ66の検出信号とに基づいて、図18及び図19に示す株揃え制御が行われる(ステップS12)。
【0061】
株揃え制御(ステップS12)は、エンジンが作動している間の結束作業中(起動スイッチ68がON状態の間)、繰り返し行われ、これに伴って紐切れ検出作動が繰り返し継続される(ステップS13)。紐切れ検出作動において、結束作業中に結束紐Bが切れてエンジン停止スイッチ72がON状態になると(ステップS13のYes)、エンジンが緊急停止される(ステップS15)。
【0062】
紐切れが生じないで起動スイッチ68がON状態である結束作業中は(ステップS14のNo)、ステップS1,S7,S12,S13,S14を通って株揃え制御(ステップS12)及び紐切れ検出作動が繰り返される。旋回時等で刈取作業が停止されて起動スイッチ68がOFF状態になると(ステップS14のYes)、タイマーがスタートし(ステップS16)、設定時間T2が経過すると(ステップS17)、フラグf2=0となる(ステップS18)。この状態からUターンするなどして、刈取作業が再開されて起動スイッチ68がON状態になるまでは、株揃え制御(ステップS12)及び紐切れ検出作動は行われない(ステップS1,S7,S8となる)。この状態から再び刈取作業が開始されて、起動スイッチ68の検出アーム68aに接触して起動スイッチ68がON状態になると、ステップS1,S7〜S14により、フラグf2=1となって、以後はステップS1,S7,S12,S13,S14により株揃え制御(ステップS12)及び紐切れ検出作動が再度繰り返される。
【0063】
株揃え制御(ステップS12)において、排藁Aが結束空間Sに存在しないときは、株元揃え板63はバネ65の付勢力で図12に示す二点鎖線の位置a6に位置している。排藁Aが起動スイッチ68の検出アーム68aに接触しながら、連続的に結束空間Sに送り込まれると、株元揃え板63は排藁Aの株元A1に押されて図12に示す実線の位置a0の方向に揺動し、現在の挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)の位置に対応する位置a1〜a5のいずれかの位置又はこれに近い位置まで揺動する。
【0064】
例えばダイヤルスイッチ67により設定結束位置C3が選択されているとすると、株元揃え板63は位置a3で安定することになる。図12に示す位置a0〜a6は株元揃え板63が揺動できる範囲を示し、位置a1〜a5の位置は設定結束位置C1〜C5に対応する目標となる株元揃え板63の予定位置を示す。エンジンを始動して刈取作業を開始すると、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)は最収縮位置(基準位置)に操作され、最収縮位置(基準位置)の挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)から放出される排藁Aは、株元揃え板63に対して排藁Aの株元A1が図12の位置a1に向けて放出されるので、株元揃え板63も位置a1又はこれに近い位置まで揺動する。
【0065】
エンジンを始動すると、最初の一回だけステップS1〜S7を通り、刈取作業が開始されて、起動スイッチ68がON状態になった後に設定時間T1が経過すると、株揃え制御(ステップS12)に入り、ステップS1,S7,S12〜S14により株揃え制御(ステップS12)及び紐切れ検出作動が行われる。
【0066】
株揃え制御(ステップS12)において、結束装置7の集束空間Sで収束されている排藁Aの株元A1の位置(結束位置)が株元揃え板63の揺動角度(ポテンショメータ66の検出値)として検出されて、検出された排藁Aの結束位置と選択された設定結束位置C1〜C5とが比較される(ステップS20)。検出された排藁Aの結束位置が選択された設定結束位置C1〜C5よりも排藁Aの穂先A2側であると(ステップS20のC>D)、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が所定量L1だけ伸長側に操作されて停止し(ステップS21)、所定時間の経過後に(ステップS22)、株揃え制御(ステップS12)を抜け出す。再び株揃え制御(ステップS12)を通ることにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が所定量L1だけ伸長側に操作されて停止し(ステップS21)、所定時間の経過後に(ステップS22)、株揃え制御(ステップS12)を抜け出す。
【0067】
このように挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が間欠的に伸長側に操作されることにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が後方に移動し、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)での排ワラAが右側(図2の紙面上方)に位置して、検出された排藁Aの結束位置が選択された設定結束位置C1〜C5に接近していくのであり、検出された排藁Aの結束位置と選択された設定結束位置C1〜C5とが一致すると(ステップS20のC=D)、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)は停止した状態を維持する。
【0068】
株揃え制御(ステップS12)において、検出された排藁Aの結束位置が選択された設定結束位置C1〜C5よりも排藁Aの株元A1側であると(ステップS20のC<D)、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が所定量L1だけ収縮側に操作されて停止し(ステップS23)、所定時間の経過後に(ステップS24)、株揃え制御(ステップS12)を抜け出す。次に再び株揃え制御(ステップS12)を通ることにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が所定量L1だけ収縮側に操作されて停止し(ステップS23)、所定時間の経過後に(ステップS24)、株揃え制御(ステップS12)を抜け出す。
【0069】
このように挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が間欠的に収縮側に操作されることにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が前方に移動し、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)での排ワラAが左側(図2の紙面下方)に位置して、検出された排藁Aの結束位置が選択された設定結束位置C1〜C5に接近していくのであり、検出された排藁Aの結束位置と選択された設定結束位置C1〜C5とが一致すると(ステップS20のC=D)、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)は停止した状態を維持する。
【0070】
次に、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)の検出について、図20により説明する。
前述の株揃え制御(ステップS12)において、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が伸長側及び収縮側に操作される場合、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が以下のようにして検出されてフィードバックされている。
【0071】
株揃え制御(ステップS12)において、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が伸長側に操作されるのに伴って、近接センサ23のON信号の信号数PUが検出されて(ステップS30,S31)、近接センサ23のON信号の積算値LCに近接センサ23のON信号の信号数PUが積算される(ステップS32)。この場合、電動モータ20に伸長側への操作信号が出力され、ギヤ22が図6の紙面反時計方向に回転駆動されるので(回転体の一方向への回転に相当)、電動モータ20の伸長側への操作信号により近接センサ23のON信号の信号数PUが正の値として積算される(加算される)。
【0072】
株揃え制御(ステップS12)において、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が収縮側に操作されるのに伴って、近接センサ23のON信号の信号数PUが検出されて(ステップS30,S33)、近接センサ23のON信号の積算値LCに近接センサ23のON信号の信号数PUが積算される(ステップS34)。この場合、電動モータ20に収縮側への操作信号が出力され、ギヤ22が図6の紙面時計方向に回転駆動されるので(回転体の逆方向への回転に相当)、電動モータ20の収縮側への操作信号により近接センサ23のON信号の信号数PUが負の値として積算される(減算される)。
【0073】
近接センサ23のON信号の積算値LCが「0」である場合の挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が最収縮位置(基準位置)であるので、前述のように近接センサ23のON信号の積算値LCを得ることにより、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が、最収縮位置(基準位置)から挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)までの距離として検出される(ステップS35)。以上のように、ステップS30〜S35により搬送終端位置検出手段77が構成されており、搬送終端位置検出手段77は制御装置26に備えられている。
【0074】
結束位置を大きく排藁Aの穂先A2側に変更したい場合は、株揃え装置50を図2に示す位置から図21に示すように、排藁Aの株元A1側(図面の紙面下方)へ移動させる。図21に示すように株揃え装置50を移動させた分だけ、結束位置が排藁Aの穂先A2側の位置となる。結束位置を大きく排藁Aの株元A1側に変更したい場合は、株揃え装置50を図2に示す位置から排藁Aの穂先A2側(図面の紙面上方)に移動させる。
【0075】
図20に示すように、起動スイッチ68がON状態となって設定時間T1が経過した後(図17のステップS8〜S11以降)で紐切れ検出作動が有効となるのであり、有効となった後に結束紐Bが切れてエンジン停止スイッチ72がON状態になると(ステップS13のYes)、エンジンの停止操作(ステップS15)が実行されてエンジン駆動回路73が開き、エンジンが緊急停止する。この場合、設定時間T1の経過前は、排藁Aが結束装置7に十分に到達していないので、この状態においてエンジン停止スイッチ72がON状態になっても、エンジンの停止操作は行われないようにしている。
【0076】
旋回時や刈取作業が終了して排藁Aが結束装置7に送られなくなって起動スイッチ68がOFF状態になった場合(図18のステップS14のYes)、設定時間T2が経過すると(ステップS17のYes)、フラグf2=0(ステップS18)となって、株揃え制御及び紐切れ検出作動が停止する。この場合、起動スイッチ68がOFF状態になっても、起動スイッチ68と結束装置7との間に残る排藁Aの結束はまだ行われていないので、株揃え制御及び紐切れ検出作動の停止を設定時間T2だけ遅らせることにより、起動スイッチ68と結束装置7との間に残る排藁Aの結束が支障なく行われるようにしている。
【0077】
このように起動スイッチ68の状態により、エンジン停止スイッチ72の状態を有効・無効にすることで、結束作業中以外のときに紐切れの原因によりエンジンを停止させるということが回避できるのであり、結束作業が行われていないときで結束紐Bを収納ケース44に収容していなくても、エンジン停止スイッチ72がON状態となってエンジンが停止するということもない。
【0078】
〔別実施の形態〕
(1)主たる実施の形態では、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)において最収縮位置を基準位置としたが、基準位置としては挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)の最伸長位置としてもよく、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)の伸長側及び収縮側の範囲内で定めた任意の特定位置を基準位置と定めてもよい。
【0079】
(2)主たる実施の形態では、排藁カッター6のカバー10を開けたカッター選択状態からカバー10を閉じても挟持搬送装置9の第2レール9cは動かないが、カバー10を開けたカッター選択状態からカバー10を閉じ、ポテンショメータ74でカバー10を開けたカッター選択状態からカバー10が閉じられたことの検出に基づいて、挟持搬送装置9の搬送終端位置(第2レール9c)が前回に結束していたときの位置まで自動的に伸長側又は収縮側に操作されるように構成してもよい。
【0080】
(3)紐切れ検出作動は図21に示すように、起動スイッチ68がON状態になって設定時間T1が経過した後(図17のステップS8〜S11以降)に有効となるようにしておけばよいので、主たる実施の形態の図18に示すステップS12とステップS13とを入れ替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、排藁カッターを備えていないコンバインにも適用できる。又、収穫作物としては米の他、麦の収穫用のコンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
4 脱穀装置
7 結束装置
9 排藁搬送装置
9a 搬送チェーン
9b,9c 案内レール
9c 案内レール部分
20 排藁放出位置変更手段,電動モータ
22 回転体
22b 孔
22c つなぎ部
23 近接センサ
26 制御装置
66 結束位置検出手段
67 結束位置設定手段
76 検出装置
78 始動位置決定手段
A 排藁
A2 穂先
PU 近接センサの信号数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置から出てきた横倒れ姿勢の排藁を、搬送チェーンと、搬送チェーンの下側に配置した案内レールとで後方に挟持搬送する排藁搬送装置を斜め後方横方に延出し、前記排藁搬送装置の搬送終端位置からの排藁を所定量ずつ結束する結束装置を備え、
前記排藁搬送装置の前記案内レールにおける搬送終端位置の案内レール部分の位置を搬送方向に沿って変更することにより、前記排藁搬送装置の搬送終端位置から結束装置に供給される排藁の稈長方向の位置を変更することで排藁の稈身方向に対する結束位置を変更する排藁放出位置変更手段を備え、
前記排藁放出位置変更手段により前記排藁搬送装置の搬送終端位置を変更するための回転体の回転量に応じた数の信号を間欠的に出力する近接センサを備えた検出装置を設け、
前記回転体の一方向への回転による前記近接センサの信号数と、前記回転体の逆方向への回転による前記近接センサの信号数とを積算することにより、前記案内レール部分の基準位置からの位置を検出して、前記排藁搬送装置の搬送終端位置を検出する搬送終端位置検出手段を備えてある自脱型のコンバイン。
【請求項2】
エンジンを始動させると前記案内レール部分が前記基準位置に位置するように、前記排藁放出位置変更手段を作動させ、且つ、前記搬送終端位置検出手段に前記近接センサのこれまでの信号数の積算を破棄させて再び前記近接センサの信号数の積算を開始させる始動位置決定手段を備えてある請求項1に記載の自脱型のコンバイン。
【請求項3】
結束位置が最も穂先側となる前記案内レール部分の位置を前記基準位置としてある請求項2に記載の自脱型のコンバイン。
【請求項4】
前記回転体の円周方向沿って間隔を隔てて複数の孔を形成して、前記孔並びに前記孔と孔の間のつなぎ部を前記近接センサが検出することにより、前記近接センサが信号を出力するように、前記検出装置を構成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の自脱型のコンバイン。
【請求項5】
前記排藁放出位置変更手段が電動モータにより構成され、前記電動モータの動力を前記案内レール部分に伝達するギヤを備えて、前記電動モータにより前記案内レール部分の位置が変更されるように構成し、
前記回転体が前記ギヤにより構成されている請求項4に記載の自脱型のコンバイン。
【請求項6】
排藁の結束位置を設定する結束位置設定手段と排藁の結束位置を検出する結束位置検出手段とを備え、前記結束位置設定手段と結束位置検出手段とに基づいて、検出された排藁の結束位置が設定された排藁の結束位置となるように前記排藁放出位置変更手段を制御する制御装置を備えてある請求項1〜5のいずれか一項に記載の自脱型のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−177122(P2011−177122A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45485(P2010−45485)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】