説明

自脱型の脱穀装置

【課題】本発明は、穀稈挟持部の排ワラの上に刺さり籾が発生することを抑制しながら、扱室での扱き残しをないようにし、しかも生産性・メンテナンス性を向上させることのできる自脱型の脱穀装置を提供することを目的とする。
【解決手段】扱胴3の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴3側へ案内する可撓性のガイド部材60を設けてある自脱型の脱穀装置であって、ガイド部材60を、扱胴3の長手方向における扱歯39の存在範囲のうち、送塵口側壁57近傍を除く少なくとも長手方向中間部に配置し、ガイド部材60の下手側端部よりも下手側の扱胴3の部分に、扱胴3の上手側の部分よりも密な状態で扱歯39を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室における扱き口の上方にその長手方向に扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴側へ案内する刺さり籾防止用の可撓性のガイド部材を設けた自脱型の脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、扱室9の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴8を備え、前記扱胴8を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方に、前記扱胴8の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒(扱歯による扱き作用を受けて穀稈から脱粒し、扱胴と一緒に回転する穀粒)を受け止めて、この穀粒を前記扱胴8側へ案内する刺さり籾防止用の可撓性のガイド部材(薄板部材30)を、扱胴の長手方向に設けてある自脱型の脱穀装置が知られている。
【0003】
上記特許文献1のものでは、刺さり籾防止用のガイド部材を扱胴の全範囲に亘って設けた場合は、扱歯に扱き作用を受けない扱室終端部を通過する穀稈に刺さり籾が生じるのを防止できる点で有用であるが、全ての扱歯8aを長手方向で所定間隔を隔てて均等に配設すると、扱歯による扱き作用を受けず脱粒せずに排ワラと一緒に排出される穀粒が発生することがある(扱き残し)。
他方、扱胴の全体に扱歯を密に配設すると、扱歯を入り込ませるためのガイド部材の形状が複雑になる上に、穀稈が扱歯による扱き作用を受け過ぎてワラ屑が多く発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−270667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、穀稈挟持部の排ワラの上に刺さり籾が発生することを抑制しながら、扱室での扱き残しをないようにし、しかも生産性・メンテナンス性を向上させることのできる自脱型の脱穀装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、前記扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方に、その長手方向に前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴側へ案内する可撓性のガイド部材を設けてある自脱型の脱穀装置において、前記ガイド部材を、前記長手方向における扱歯の存在範囲のうち、前記送塵口側壁近傍を除く少なくとも前記長手方向中間部に配置し、前記ガイド部材の下手側端部よりも下手側の前記扱胴の部分に、前記扱胴の上手側の部分よりも密な状態で扱歯を設けてある。
【0007】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、少なくとも扱胴の長手方向中間部に対して、刺さり籾防止用のガイド部材が設けられ、扱胴の長手方向中間部に扱歯が比較的粗に設けられた状態となる。扱胴の送塵口側壁近傍の部分に対して、刺さり籾防止用のガイド部材が設けられず、扱胴の送塵口側壁近傍の部分に扱歯が比較的密に設けられた状態となる。
【0008】
これにより、扱胴の長手方向中間部において、穀稈が扱歯による扱き作用を受け脱穀処理されながら、ガイド部材によって刺さり籾の発生が防止される。この場合、扱胴の長手方向中間部に扱歯が比較的粗に設けられた状態となっていることにより、穀稈が扱歯による扱き作用を受け過ぎることがなく、これによってワラ屑の発生が少ない。
【0009】
次に、穀稈が扱胴の長手方向中間部を通過して、扱胴の送塵口側壁近傍の部分に達すると、比較的密に設けられた扱歯により扱き作用を多く受けて、穀稈に最後に残った穀粒が残ることなく脱粒する(扱き残しが少なくなる)。この場合、扱胴の送塵口側壁近傍の部分に対してガイド部材が設けられていないので、刺さり籾の発生が懸念されるが、前述のように穀稈が比較的密に設けられた扱歯により扱き作用を多く受けるので、刺さり籾が発生しても前述の扱き作用によって、穀稈から刺さり籾が落とされる。
扱歯が比較的密に設けられていると、ワラ屑が多く発生することが懸念されるが、扱歯が比較的密に設けられているのは、扱胴の送塵口側壁近傍の部分と言う比較的小さな範囲なので、穀稈が比較的密に設けられた扱歯により扱き作用を多く受ける時間が少なく、これによってワラ屑の発生が多くなることはない。
【0010】
〔第1発明の効果〕
従って、第1発明によれば、ワラ屑の発生を抑えながら、扱き残し及び刺さり籾が生じることによる穀粒の回収ロスを低減することができる。又、扱歯を密に設けた箇所にはガイド部材を設けていないので、複雑な形状のガイド部材が不要で、この箇所でのガイド部材が破損することもないので、生産性並びにメンテナンス性が向上する。
【0011】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記ガイド部材の遊端部に前記扱歯と干渉しないようにスリットを設けてある。
【0012】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、扱歯がガイド部材に衝突することをスリットにより回避しながら、ガイド部材を扱歯の作用位置外縁よりも扱胴中心側まで延設することができ、ガイド部材を設けた範囲で穀稈に刺さり籾が生じることが極力防止されるので、籾が穀稈に付着して排出されることの穀粒排出による穀粒回収ロスがより低減できる。
【0013】
〔第3発明の構成〕
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において、前記ガイド部材が垂れ下がらないように、前記ガイド部材の下面を支える支え部材を前記長手方向に沿って取り付けてある。
【0014】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、支え部材によってガイド部材を扱胴側に向くように矯正するので、奥行きの短いガイド部材でも良好に刺さり籾が生じるのを防止できるとともに、ガイド部材が下側で搬送される穀稈と干渉することも低減できるので、可撓性のガイド部材を破損させることも良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインにおける脱穀装置の縦断左側面図である。
【図2】扱室外側壁の上唇板に取り付けた刺さり籾防止用のガイド部材を示す一部縦断側面図である。
【図3】刺さり籾防止用のガイド部材の取付け構造を示す扱き口近傍の一部縦断背面図である。
【図4】上唇板へ刺さり籾防止用のガイド部材を取り付ける取付け構造を示す分解斜視図である。
【図5】排ワラカッタ装置の蓋体の開閉構造を示すための脱穀装置の右側面図である。
【図6】排ワラカッタ装置の蓋体の開閉構造の要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、自脱型コンバインに搭載される脱穀装置の縦断した側面図が示されている。この脱穀装置は、左方の刈取り部(図示せず)から搬送されてきた横倒れ姿勢の刈取り穀稈をフィードチェーン1で受取り、その穂部を扱室2に挿入した状態で図中左方から右方に通過搬送することで、扱室2に前後水平に軸支された横向き姿勢の軸芯P周りで回動する扱胴3によって脱穀処理するよう構成されている。
【0017】
扱室2において穀稈から分離された処理物は扱室2の下部に沿って張設した受網4で選別され、受網4を漏下した処理物は扱室2の下方に配備された選別部5の前半部に落下供給されるとともに、受網4を漏下しなかった処理物は扱室終端の送塵口6から搬出されて選別部5の前後中間部に落下供給される。選別部5に落下供給された処理物は前後に長い揺動選別ケース7で受け止められ、処理物は後方(図1では右方)に向けて揺動搬送されながらグレンパン8で比重差選別されるとともに、粗選別用のチャフシーブ9、精選別用のグレンシーブ10、ほぐし用の選別ラック11、ストローラック12等により篩い選別される。また、選別部前端部に備えた唐箕13から後方上方に向けて流動する選別風が、篩い選別されて落下する処理物に供給されて、処理物に含まれている軽いワラ屑や塵埃が後方に飛散排出されるようになっている。
【0018】
前記揺動選別ケース7は樹脂成形されたものであり、その前部における左右外側面に装備されたガイドローラ14が脱穀装置の左右側板15の内側に設けられたガイドレール16に後方から係入支持されるとともに、揺動選別ケース7の後部下側が偏心クランク機構17に連結され、この偏心クランク機構17の回転作動によって揺動選別ケース7の前部は後上がり傾斜した直線状に前後動されるとともに、揺動選別ケース7の後部が前後および上下に回転変位され、揺動選別ケース7の前後中間部は上下に扁平な楕円軌跡で循環回動するよう構成されている。
【0019】
そして、グレンシーブ10から漏下した穀粒は1番回収部18に、また、ストローラック12から漏下した2番物は2番回収部19にそれぞれ選別回収され、ストローラック12で漏下しないワラ屑が選別部後端の排塵口20から外部に排出されるようになっている。また、1番回収部18に回収された1番物(穀粒)は横送りスクリュー21によって機外にまで横送りされた後、スクリュー式の揚穀装置22によって揚送されて図示しない穀粒タンクに供給投入され、2番回収部19に回収された2番物は横送りスクリュー23によって横送りされた後、スクリュー式の還元装置24によって揺動選別ケース7の前部に還元供給されて再選別処理を受けるようになっている。
【0020】
図5に示すように、前記揚穀装置22は、機体右側の横外側に起立姿勢で連結固定された搬送筒25に縦送りスクリュー26を内装して構成されており、縦送りスクリュー26の下端部と前記横送りスクリュー21の終端部とが図示しない伝動機構を介して連動連結されている。縦送りスクリュー26の上端には回転羽根27が設けられており、横送りスクリュー21で送られてきた穀粒は縦送りスクリュー26に受け渡されて揚送され、揚送された穀粒は回転羽根27で図示しない穀粒タンクに放出され貯留される。
【0021】
前記還元装置24は、起立姿勢で連結固定された搬送筒28に縦送りスクリュー29を内装して構成されるとともに、搬送筒28の上端に揚穀された穀粒を選別部5の前部に放出する回転羽根30を内蔵した吐出ケース31が連設されている。吐出ケース31は脱穀装置の扱室3の右側部に位置する側壁15の外側に位置していて、吐出ケース31の吐出口は前向きに開口している。前記吐出口に対応する前方の側壁15は、吐出ケース31側程大きく外方に斜めに張り出させた還元用案内板32として形成してあり、吐出ケース31の吐出口は還元用案内板32の後向き開口端に接続されている。これによって、縦送りスクリュー29によって上方に搬送された2番物は、縦送りスクリュー29の上端の回転羽根30によって吐出ケース31から前方に放出され、前記還元用案内板32に沿って選別部5の前部に飛散供給されるようになっている。
【0022】
扱室2の後方で選別部5の後部上方箇所には、排ワラ搬送経路の下側に位置させて横断流ファンからなる排塵ファン33が横架されており、扱室2の終端の送塵口6から吹き出てきた浮塵やワラ屑、選別風によって選別部5の後部上方に吹き上げられた浮塵やワラ屑が排塵ファン33に吸引されて強制的に機体後方に排出されるようになっている。なお、この排塵ファン33の上方には排ワラ搬送装置34が配備されており、扱室2から搬出されてきた排ワラが前記フィードチェーン1から排ワラ搬送装置34に受継がれて後方かつ穂先側に向けて斜め搬送され、脱穀装置の後端上部に連結装備された排ワラカッタ装置35に供給されて細断されるようになっている。
【0023】
排ワラカッタ装置35の上部には、蓋体36が開閉自在に設けられている。蓋体36が開放されているときは、排ワラ搬送装置34で挟持搬送されてきた排ワラは排ワラ搬送装置34の後端部で落下放出され、排ワラカッタ装置35の開口37を通して排ワラカッタ38に供給され細断される。蓋体36が閉じられているときは、排ワラ搬送装置34の後端部から落下放出された排ワラは、蓋体36の上面に落下し蓋体36の斜面に沿って後方に落下放出される。排ワラカッタ装置35の後方には図示しない収納自在な排ワラドロッパーが備えられていて、排ワラは長ワラの状態で圃場に放出される場合は、排ワラドロッパーを作用姿勢にセットすると、蓋体36から落下してきた排ワラを排ワラドロッパー上に一時捕集し、放出された排ワラが所定重量になるとその自重で排ワラドロッパーが傾いて排ワラが圃場に放出される。
【0024】
前記蓋体36は、運転部に近い脱穀装置の右の側壁15の前部に取付けた図5に示すモータ駆動装置40と連係されている。蓋体36は後部軸41の支点Q周りで揺動し、後部軸41に下方に向けて取り付けられたアーム42に、スプリング43を介してレリーズワイヤ44のインナーワイヤ45が連結されている。インナーワイヤ45の他端は、前記モータ駆動装置40のプーリ50に止着されている。
【0025】
前記モータ駆動装置40は、カッタ切換えレバー46による操作で正転または逆転駆動するモータ47と、モータ47により駆動されるピニオン48と、ピニオン48に噛合うセクターギヤ49と、セクターギヤ49の揺動によって正転または逆転する前記プーリ50とを備え、プーリ50に前記インナーワイヤ45が巻回されている。尚、符号51は蓋体36の開閉状態を検出するボリュームセンサで、センサ軸52の回動量によってセクタギヤ49の回動位置を検出することで蓋体36の開閉状態を検出する。
【0026】
センサ軸52にはアーム53が固定されていて、アーム53の遊端部に固定したピン54が、支持部材71に形成した円弧状の長孔72に挿通されている。アーム53は図6において時計周りに付勢されていて、前記ピン54は常時セクターギヤ49の側端面55に接当している。図6の実線は蓋体36が閉じた状態を示し、蓋体36を開ける方向にカッタ切換えレバー46を操作すると、セクターギヤ49が時計回りに回動してインナーワイヤ45がプーリ50に巻き取られる方向に移動し、アーム42が支点Qを中心とした反時計周りに回動して蓋体36が開放される。蓋体36が所定角度まで開かれたことをボリュームセンサ51で検出されると、モータ47が停止して蓋体36の開放動作が止まる。蓋体36が開放された状態で、脱穀作業を行うと、排ワラ搬送装置34から放出された排ワラは開口37を通って排ワラカッタ装置35により細断される。
【0027】
ボリュームセンサ51の検出信号は制御部73に送られ、検出信号に基づく蓋体36の開度状態の信号は運転部に設けたモニター(図示せず)に送られて蓋体36の開閉状態が運転者に分かるように表示するように構成されている。
【0028】
扱胴3を軸架する穀稈供給口側壁56と送塵口側壁57との間の扱き口58の上方の上唇板59に、その長手方向に扱胴3の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴3側へ案内する可撓性のガイド部材60を設けてある。
扱胴3の外周に設けた扱歯39は、扱胴3の下手側部分(範囲W2参照)を、扱胴3の上手側の部分(範囲W1参照)よりも密な状態で設けてある(扱胴3の長手方向において、扱胴3の下手側部分(範囲W2参照)の扱歯39の配列ピッチが、扱胴3の上手側部分(範囲W1参照)の扱歯39の配列ピッチよりも小さい状態)。これは、穀稈に付いている穂の扱き残しを防止するためと、穀稈(排ワラ)が扱室2を出る直前において、ここを通過する全穀稈に対して数多くの扱歯39で密な扱き作用を施すことによって、穀稈に対する連続的な叩き作用としごき作用を与えて、扱き残し防止と、脱粒後に排ワラに付着した穀粒振るい落としをして、穀粒の回収効率を向上させるようにするためのものである。
【0029】
前記ガイド部材60は、範囲W1の中である扱胴3の長手方向中間部に配置され、扱胴3の送塵口側壁57の部分(範囲W2)及び扱胴3の穀稈供給口側壁56の部分には設けられていない。上唇板59に取り付けられるガイド部材60の外面及び屈曲部の下方の下面には、ガイド部材60が垂れ下がらないように、当該ガイド部材60を支える支え部材61を長手方向に沿って取り付けてある。
図4に示すように、ガイド部材60及び支え部材61には、複数のボルト挿通孔62,63を形成してあり、上唇板59に固定したボルト64にガイド部材60のボルト挿通孔62と支え部材61のボルト挿通孔63を通してガイド部材60と支え部材61をナット65で固定する。
【0030】
前記ガイド部材60は、扱歯39の作用が及ぶ範囲まで穀稈に刺さり籾が生じないようにするために、上唇板59への取付け位置から扱歯39と交差する範囲を越える奥行き幅にしてある。そして、ガイド部材60の扱胴3側遊端部に扱歯39と干渉しないようにスリット66を設けてある。
【0031】
尚、図1に示されている符号67は、扱室2の天板68の内面に取り付けられたワラ切り刃、符号69は扱室2の天板68の内面に取り付けられ、扱室2の終端側への送り量を調節する送塵弁である。
【0032】
上記構成により、図示しない刈取り部で刈取られた穀稈が、搬送装置で搬送され、フィードチェーン1に受け継がれ、フィードチェーン1で挟持搬送されながら脱穀装置の穀稈供給口70から扱室2に入ると、扱胴3により脱穀される。脱穀された脱穀処理物は、扱胴3の回転に伴って、扱胴3の外周面と扱室2の内周面との間の空間内を移動する。扱歯39で持ち回られた脱穀処理物はワラ切り刃67で分断され、送塵弁69で脱穀処理物が扱室2の終端側に向けて移送される。送塵弁69を通り過ぎて扱き口58側に移動してきた脱穀処理物はガイド部材60の傾斜上面より扱胴2側に移動する。ガイド部材60を設けていることにより、脱穀処理物中の脱粒籾(穀粒)が、フィードチェーン1で挟持搬送されている穀稈の株元部に混入して刺さり籾を生じさせることが防止される。扱胴3の下手側部分(範囲W2参照)に扱歯39が比較的粗な状態で設けられていることにより、穀稈が扱歯39による扱き作用を受け過ぎることがなく、これによってワラ屑の発生が少ない。
【0033】
送塵口側壁57の近くに位置する扱胴終端部近傍では、それよりも前方部分よりも扱歯39が密に植設されており、ガイド部材60は扱歯39が密に植設されている手前(上手)で終わっている。フィードチェーン1で挟持搬送されてきた穀稈は密に植設されている扱歯39で扱き残しが出ないように穀稈に対して扱き作用をするとともに、密に植設された扱歯39に扱き作用されることで穀稈の株元部に付着した穀粒も多く離脱されて扱室2の外に搬送される。ガイド部材60が設けられていないことにより刺さり籾が発生しても、比較的密な扱歯39による扱き作用によって、ワラ屑の発生が抑えられながら、穀稈から刺さり籾が落とされる。
【0034】
〔別実施の形態〕
上記実施の形態では、前記ガイド部材60を、扱胴3の長手方向の中間部に設けたが、下手側端部を除いた全範囲、即ち、ガイド部材60を下手側端部を除いて扱室2の前端部にまで及ぶ範囲に配置してもよい。
要するに、ガイド部材60を、扱胴3の長手方向における扱歯39の存在範囲のうち、送塵口側壁57近傍を除く少なくとも長手方向中間部に配置し、ガイド部材60の下手側端部よりも下手側の扱胴3の部分に、扱胴3の上手側の部分よりも密な状態で扱歯39を設けるようにすればよいものである。
密に設けられる扱歯39の構成として、扱胴3の周方向において、扱胴3の下手側部分(範囲W2参照)の扱歯39の配列ピッチを、扱胴3の上手側部分(範囲W1参照)の扱歯39の配列ピッチよりも小さいものに設定してもよい。又、扱胴3の長手及び周方向の両方において、扱胴3の下手側部分(範囲W2参照)の扱歯39の配列ピッチを、扱胴3の上手側部分(範囲W1参照)の扱歯39の配列ピッチよりも小さいものに設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、定置型の脱穀装置や刈取装置を備えていない移動式のハーベスタにも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
2 扱室
3 扱胴
39 扱歯
56 穀稈供給口側壁
57 送塵口側壁
58 扱き口
60 ガイド部材
61 支え部材
66 スリット
P 軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、前記扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方に、その長手方向に前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴側へ案内する可撓性のガイド部材を設けてある自脱型の脱穀装置において、
前記ガイド部材を、前記長手方向における扱歯の存在範囲のうち、前記送塵口側壁近傍を除く少なくとも前記長手方向中間部に配置し、前記ガイド部材の下手側端部よりも下手側の前記扱胴の部分に、前記扱胴の上手側の部分よりも密な状態で扱歯を設けてある自脱型の脱穀装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の遊端部に前記扱歯と干渉しないようにスリットを設けてある請求項1記載の自脱型の脱穀装置。
【請求項3】
前記ガイド部材が垂れ下がらないように、前記ガイド部材の下面を支える支え部材を前記長手方向に沿って取り付けてある請求項1または2記載の自脱型の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−4659(P2011−4659A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151174(P2009−151174)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】