説明

芝刈機

【課題】走行機体に,芝刈り機構と,この芝刈り機構から延びる排出ダクトに連通する集草ボックスとを装着して成る芝刈機において,前記集草ボックス内に所定量の刈草が集草されていることの検出を確実にする。
【解決手段】集草ボックス18のうち排出ダクトからの刈草受入れ口の底部に,排出ダクトに向けて突出する底部誘導板28を上下回動可能に設ける一方,走行機体側に,底部誘導板の下向き回動にて集草ボックス18内における刈草量を検出する集草検出手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,走行しながら芝草を刈り取るようにした芝刈機のうち,刈り取った刈草を集草ボックス内に集めるように構成した芝刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,この種の芝刈機においては,例えば,特許文献1に記載されているように,走行機体に,芝刈り機構と,この芝刈り機構から延びる排出ダクトに連通する集草ボックスとを装着するという構成にすることにより,前記芝刈り機構に刈り取った刈草を,前記排出ダクトを介して前記集草ボックス内に受け入れるように構成していることに加えて,前記集草ボックス内の底部に,当該集草ボックス内に入った刈草量を検出するための集草検出手段を設けるという構成にしている。
【特許文献1】特開2005−348653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし,前記特許文献1のように,前記集草ボックス内に入った刈草量を検出するための集草検出手段を,前記集草ボックス内の底部に設けるという構成にした場合には,前記集草検出手段には,前記集草ボックス内に入った刈草の重量が常に作用していることにより,前記集草検出手段が,集草ボックス内に所定量を集草するに至っていないのに,地面の凹凸及び走行速度の増減速等に起因する衝撃によって,所定量を集草しているというように誤作動するという問題があった。
【0004】
また,前記した構成である場合には,前記集草ボックスを走行機体に対して着脱するときに,同時に,前記集草検出手段の前記走行機体側への電気的な接続を着脱しなければならないから,前記集草ボックスの着脱操作が面倒であるという問題がある。
【0005】
本発明は,これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「走行機体に,芝刈り機構と,この芝刈り機構から延びる排出ダクトに連通する集草ボックスとを装着して成る芝刈機において,
前記集草ボックスのうち前記排出ダクトからの刈草受入れ口の底部に,前記排出ダクトに向けて突出する底部誘導板が上下回動可能に設けられ,前記走行機体側に,前記底部誘導板の下向き回動にて前記集草ボックス内における刈草量を検出する集草検出手段が設けられている。」
ことを特徴としている。
【0007】
請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記集草検出手段は,前記底部誘導板における下面に,当該底部誘導板の下向き回動にて作動するように接当している。」
ことを特徴としている。
【0008】
請求項3は,
「前記請求項1又は2の記載において,前記集草検出手段は,一端が前記底部誘導板の下面に接当するように回動自在に枢着したレバー杆と,このレバー杆の下側に,当該レバー杆の下向き回動にて作動するように配設した感知体とで構成され,前記レバー杆には,当該レバー杆のうち前記底部誘導板に接当する部分を上向きに付勢する弾性付勢手段が設けられている。」
ことを特徴としている。
【0009】
請求項4は,
「前記請求項3の記載において,前記弾性付勢手段には,その弾性付勢力を調節するための機構を備えている。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
前記請求項1において,刈り取り作業の進行に伴い,集草ボックス内に所定量の刈草を受け入れると,この集草ボックスのうち刈草受入れ口の底部に設けた底部誘導板における上面に刈草が堆積することになる。
【0011】
すると,前記底部誘導板が,その上面に堆積する刈草の重みで下向きに回動して,その下面における集草検出手段が作動するから,前記集草ボックス内に所定量の刈草が集草されていることを検出できる。
【0012】
この場合,前記底部誘導板は集草ボックス側に設けられている一方,この底部誘導板にて作動する集草検出手段は,走行機体側に設けられていて,前記底部誘導板の上面への刈草の堆積は,前記集草ボックス内に所定量の刈草を受け入れた後から始まることにより,前記集草検出手段による検出は,前記集草ボックス内に所定量の刈草を受け入れたあとにおいて行われることになるから,前記集草検出手段が,従来のように,前記集草ボックス内に所定量を集草するに至っていないのに,地面の凹凸及び走行速度の増減速等に起因する衝撃によって誤作動することを回避できる。
【0013】
請求項2によると,前記集草ボックス側における底部誘導板の下面に,前記走行機体側における集草検出手段が接当するという構成であることにより,前記集草ボックスを走行機体に対して着脱に際しては,前記集草検出手段に対する電気的接続の着脱を必要としないから,前記集草ボックスの着脱が簡単にでき,しかも,前記集草検出手段は,前記底部誘導板の下面側に位置しているので,この集草検出手段に刈草が堆積することを回避できる。
【0014】
請求項3によると,前記底部誘導板の下向き回動によって前記集草検出手段を作動することを,簡単な構成で確実に実現できる。
【0015】
請求項4によると,集草検出手段における検出感度を自在に調節できるから,刈草の湿潤状態の変化に容易に対応できるとともに,集草検出手段にて検出するときの刈草量を自在に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本発明の実施の形態を,図1〜図8の図面について説明する。
【0017】
これらの図において,符号1は,乗用型の芝刈機を示し,この芝刈機1は,前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム3にて構成した走行機体2を有し,この走行機体2は,地面4に接地する左右一対の前輪5と,同じく地面4に接地する左右一対の後輪6とで支持され,且つ,この走行機体2には,その上面に前部から順番にエンジン7,操縦ハンドル8,操縦座席9が設けられているとともに,前記エンジン7を着脱可能に覆うボンネットカバー10,前記操縦座席9に対するステップ台11及び前記両後輪6を覆うフェンダー12が設けられ,更に,前記芝刈機1は,前記エンジン7にて両後輪6を回転駆動することによって,前進走行又は後退走行するように構成されている。
【0018】
前記走行機体2における下面には,前輪5と後輪6との間の部位に,前記エンジン6からの動力伝達による駆動にて前記地面4における芝草を刈り取るようにしたロータリー式の芝刈り機構13が昇降可能に設けられているとともに,両後輪5間の部位に,前記ロータリー式の芝刈り機構13にて刈り取った刈草を走行機体2の後方に向かって放出するようにした排出ダクト14が後方に延びるように設けられている。
【0019】
なお,前記両後輪6における中心部の外側面には,図1及び図2に示すように,金属棒を半円形のループ状等に曲げ加工して成るロープ掛け具15が,当該後輪6の中心におけるハブをその車軸に対して着脱可能に取付けための複数本のボルト15aによる同時締結にて着脱自在に取付けされており,前記芝刈機1をトレーラ等に載せて搬送するときにおいて,当該芝刈機1のうち後部をトレーラ等に対して固定するためのロープ又は鎖等を前記ロープ掛け具15に対して掛けることができるように構成しており,このロープ掛け具15は,ループ状にすることに限らず,フック状に構成しても良いが,図示のように半円形のループ状に構成した場合には,これに草等が巻き付くことを低減できるばかりか,剛性を向上できる等の利点がある。また,このような構成のロープ掛け具15は,前記両後輪6に代えて両前輪5に設けるか,或いは,両前輪5及び両後輪6の両方に設けることができる。
【0020】
前記芝刈機1の後部には,前記排出ダクト14から後方に放出される刈草を,詳しくは後述するように,集めて高く持ち上げて排出するように集草排出機構16が装着されている一方,前記芝刈機1の前部には,前記集草排出機構16に対して前後の重量バランスを図るためのウエイト17が取付けられている。
【0021】
そして,前記集草排出機構16は,前面に前記排出ダクト14の後端が臨む開口部18aを備えた集草ボックス18と,前記集草ボックス18を,下降した位置において前記排出ダクト14から放出される刈草を受け入れる前向きの姿勢と,この前向き姿勢のままで高く持ち上げた状態とに往復して昇降動するように構成したリフト機構19とを備えている。
【0022】
前記集草排出機構16における集草ボックス18は,左右両側面及び上面を,多孔板(パンチング板)又は金網等の通気性板製の側面板18b及び天井板18cにて囲う一方,その底面及び後面を開放するという構成であり,この集草ボックス18のうち開放された底面は,開閉自在な底蓋板20にて,同じく開放された後面は,開閉自在な後蓋板21にて塞ぐように構成されている。
【0023】
前記底蓋板20は,前記集草ボックス18の左右両側面板18bの外側に固着したブラケット部材22の下端に枢着ピン23にて回動自在に枢着されており,この底蓋板20は,多孔板(パンチング板)又は金網等のように通気性を有する薄金属板を,図5に示すように,前端から後方に向かって比較的緩やかな角度で斜め上向きに傾斜する傾斜部20aと,この傾斜部20aの後端から下向きに折れ曲がる鉛直部20bとを複数回にわたって繰り返して設けるというように,高さの低い鋸歯状の断面に折り曲げることでその剛性を高めるという構成であり,その枢着ピン23の位置は,当該底蓋板20における後端よりも前側の部位で,且つ,当該底蓋板20における前端と後端との間の中心位置よりも適宜寸法だけ後端にずれた部位に位置しており,従って,前記底蓋板20は,通常の状態においてはその枢着ピン23より前側の重量にて前記集草ボックス18における左右両側面板18bの下端相互間を連結する横部材39の上面に接当して,前記集草ボックス18における開放された底部の全てを閉じて(塞いで)いるが,その後端部に対して下向きに外力が作用すると,その枢着ピン23を中心にして前端がはね上がるように開き回動するという構成にされている。
【0024】
一方,前記後蓋板21は,同じく,多孔板(パンチング板)又は金網等のよう通気性板製であり,その左右両側面において前記集草ボックス18の左右両側面板18bの外側面にピン24a,25aにて回転自在に枢着して成る上下一対のリンク24,25に対して回動自在に連結することにより,前記集草ボックス18において開放された後面を閉じる状態と,後面からはね上がるように開く状態とに開閉作動するように構成されており,この開閉作動を,前記ブラケット部材22と,前記上下一対のリンク24,25のうち下部リンク25との間に装架した復動型の開閉用油圧シリンダ26によって行うように構成している。
【0025】
前記後蓋板21と,前記底蓋板20における前端部との間を,前記集草ボックス18の内部に配設した左右一対の可撓性を有する金属製ワイヤ27又はチエーン等の可撓性部材にて連結することにより,前記後蓋板21が開閉用油圧シリンダ26におけるピストン突出動にて集草ボックス18の後面を開放するように跳ね上がり回動すると,これに前記金属製ワイヤ27を介して連動して,前記底蓋板20が,その前端がはね上がる一方後端が下がるように回動して集草ボックス18の底面を開放し,前記後蓋板21が開閉用油圧シリンダ26におけるピストン後退動にて集草ボックス18の後面を閉じる状態に戻ると,これに連動して,前記底蓋板20が,その前側の重量にて集草ボックス18の底面を閉じる状態に戻るというように構成している。
【0026】
この場合,前記両金属製ワイヤ27の両端を前記底蓋板20及び後蓋板21に対してピン27a,27bにて回動自在に連結するに際して,前記金属製ワイヤ27をその長手軸線の回りに適宜角度(例えば,90〜180度)だけその弾性に抗して捩じった状態にし,この状態で前記ピン27a,27bにて結合することにより,前記底蓋板20及び後蓋板21が閉じた状態にあるとき,前記金属製ワイヤ27における途中で弛んでいる部分は,図1に示すように,前記底蓋板20の上面に接当する状態に維持できることになるから,前記集草ボックス18内への刈草の受け入れに際し,前記金属製ワイヤ27が邪魔になることを回避できる。
【0027】
この場合,他の実施の形態としては,前記集草ボックス18における両外側において,前記後蓋板21に対する開閉機構であるところの前記上下リンク24,25のうち一方又は前記開閉用油圧シリンダ26と,前記底蓋板20とを連結することによって,前記後蓋板21の開き作動に連動して前記底蓋板20が開き回動するように構成することができる。
【0028】
なお,前記集草ボックス18の前面における開口部18aの下辺には,前記排出ダクト14の後端から後方に放出される刈草を前記集草ボックス18内に零すことなく円滑に誘導するための底部誘導板28が,前記排出ダクト14に向かって突出するように配設され,この底部誘導板28の後端は,前記集草ボックス18の前端に対して,当該底部誘導板28の前端が上下動するように回動自在にピン28aにて枢着されている。
【0029】
前記集草排出機構16におけるリフトフレーム19は,図3及び図4に示すように構成されている。
【0030】
すなわち,このリフトフレーム19は,前記集草ボックス18を挟む左右両側の各々に配設したマスト部材29,及び復動型の昇降用油圧シリンダ30及び上下一対のリフト用リンク31,32を備え,前記両マスト部材29は,中空断面の角パイプ製で上下方向に延びて,その下端部29aにおいて前記走行機体2の後部に対してボルト56の締結等にて着脱可能に取付けられおり,且つ,その相互間は複数本の横部材33にて連結され,前記芝刈機1の走行方向から見て井桁状に構成されている。
【0031】
なお,この両マスト部材29の走行機体2への着脱可能な状態での取付けは,前記走行機体2における両サイドフレーム3の後端へのボルト55による締結と,前記両サイドフレーム3の後端から下向きに延びる後輪支持用フレーム3aへのボルト56による締結にて行うように構成している。
【0032】
また,前記両マスト部材29は,側面視(図1,図3,及び図4)において,その上端部29bが前記走行機体2に対する取付け部である下端部29aよりも適宜寸法Eだけ前方(走行機体2側)に位置するように,その途中の部分において前側に曲げられており,この両マスト部材29における上端部29bの後面には,後ろ向きの溝型断面に構成した上部ブラケット部材34が溶接等にて固着されている一方,この両マスト部材29における下端には,下部ブラケット部材35が,後ろ向きに突出するように固着されている。
【0033】
前記上下一対のリフト用リンク31,32の基端は,前記両マスト部材29の上端部29bにおける上部ブラケット部材34に対して,当該上部ブラケット部材34における溝内に挿入した状態で,この上部ブラケット部材34を貫通するように着脱自在に差し込んだリフトピン36,37にて回動自在に枢着されている。
【0034】
つまり,前記両リフト用リンク31,32の基端に対するリフトピン36,37は,前記上部ブラケット部材34に対して両端支持の構造であることにより,当該リフトピン36,37による支持の剛性と耐久性とを向上でき,これに加えて,前記両リフト用リンク31,32の基端は,前記上部ブラケット部材34における溝内に挿入されていることにより,前記リフトピン36,37における支持の剛性が高いことと相俟って,前記リフト用リンク31,32の横方向への振れを確実に低減できる。
【0035】
また,前記両マスト部材29を,上端部29bが下端部29aよりも適宜寸法Eだけ前方に位置するというように前側に曲げた構成にしたことにより,前記上下一対のリフト用リンク31,32基端のリフトピン36,37における前記走行機体2の前後方向に沿った位置を,前記マスト部材29を真っ直ぐの構成にした場合よりも,前記適宜寸法Eだけ前方の部位に位置することができるから,前記集草ボックス18を,後述するように,最高に上昇動したときに,その最高上昇高さを前記適宜寸法Eの分だけ高くすることができ,しかも,この集草ボックス18における前記走行機体2に対する支持荷重の作用点を,前記適宜寸法Eの分だけ前方に位置するから,前記走行機体2における後ろ荷重を低減できる。
【0036】
一方,前記上下一対のリフト用リンク31,32のうち上部リンク31の先端は,前記集草ボックス18の左右両側面板18bの外側に固着したブラケット部材22にピン38にて回動自在に枢着され,前記上下一対のリフト用リンク31,32のうち下部リンク32の先端は,前記底蓋板20に対する枢着ピン23にて前記集草ボックス18の左右両側面板18bの下端部に対して回動自在に枢着されている。
【0037】
前記両マスト部材29の下端における下部ブラケット部材35の内面の各々には,レバー体40が回動自在にピン41にて枢着され,この両レバー体40の相互間は,両レバー体40が同時に回動するように横部材42を介して一体的に連結されており,この両レバー体40の各々には,前記昇降用油圧シリンダ30の基端がシリンダ枢着用ピン43にて回動自在に連結されている。
【0038】
また,前記両レバー体40は,当該レバー体40が後方に回動したときに,前記シリンダ枢着用ピン43が前記下部ブラケット部材35の後端におけるストッパー部44に対して,これ以上の後方回転を阻止するように接当するという構成である。
【0039】
この場合,前記ストッパー部44に対して前記シリンダ枢着用ピン43が接当するという構成にすることに代えて,前記ストッパー部44に対して前記レバー体40に設けた別のストッパー部材が接当するという構成にしても良い。
【0040】
これに加えて,前記両レバー体40には,当該レバー体40が後方回動して,シリンダ枢着用ピン43がストッパー部44に対して接当した状態において,前記下部ブラケット部材35の下面から下向きに突出するようにしたアウトリガー45と,前記下部ブラケット部材35におけるストッパー部44と実質的に同じ位置にまで後方に突出するか,このストッパー部44よりも更に後方に突出するようにしたバンパー体46とが設けられている。
【0041】
更に,前記両レバー体40には,当該レバー体40が前方に回動したときに,前記下部ブラケット部材35又は前記マスト部材29に対して,これ以上の前方回転を阻止するように接当するストッパー片47が設けられている。
【0042】
そして,前記両昇降用油圧シリンダ30の先端を,前記上下一対のリフト用リンク31,32のうち下部リンク32に対してピン48にて連結して,前記上下一対のリフト用リンク31,32を,前記両昇降用油圧シリンダ30にて上下方向に回動することにより,前記集草ボックス18を,下降位置において前記排出ダクト14から放出される刈草を受け入れる前向きの姿勢と,この前向きの姿勢のままで高く持ち上げた状態とに往復して昇降動するように構成している。
【0043】
すなわち,前記昇降用油圧シリンダ30におけるピストン突出動にて前向き姿勢の集草ボックス18を高く持ち上げる一方,前記昇降用油圧シリンダ30におけるピストン後退動にて前向き姿勢の集草ボックス18を元の位置に下降するように構成している。
【0044】
なお,上下一対のリフト用リンク31,32のうち下部リンク32には,前記集草ボックス18を高く持ち上げた姿勢のときに,前記両マスト部材29の上端部29b又は第1ブラケット部材34に対して,下向き回動を阻止するように着脱自在に係合するフック状のロック手段49が設けられており,このフック状のロック手段49は,上部リンク31に設けるか,前記両マスト部材29の上端部29b又は第1ブラケット部材34側に設けても良い。
【0045】
また,右側におけるリフト用リンク31,32と,左側におけるリフト用リンク31,32との相互間は,これらの各リンクが同時に回動するように,その上端の部分において横部材50,51を介して連結されている。
【0046】
更にまた,前記芝刈機1のうちその操縦座席9から手が届く部位には,前記ロータリー式の芝刈り機構13をON・OFF操作するためのPTO操作レバー52が設けられているとともに,前記開閉用油圧シリンダ26を,ピストン突出動する開位置,ピストン後退動する閉位置及びその中間でピストン作動停止する中立位置に切り換え操作するための開閉操作レバー53が設けられ,更に,前記昇降用油圧シリンダ30を,ピストン突出動する上げ位置,ピストン後退動する下げ位置及びその中間でピストン作動停止する中立位置に切り換え操作するための昇降操作レバー54が設けられている。
【0047】
この構成において,前記集草排出機構16における集草ボックス18を,その底蓋板20及び後蓋板21を閉じた状態で下降した位置に保持することにより,前記排出ダクト14から放出される刈草を受け入れる姿勢し,この状態で,芝刈機1を,そのロータリー式芝刈り機構13を駆動しながら前進走行することにより,所定の芝刈りを行うことができ,前記ロータリー式芝刈り機構13にて刈り取られた刈草は,排出ダクト14及び底部誘導板28を介して前記集草ボックス18内に入るように集められる。
【0048】
そして,前記集草ボックス18内に所定量の刈草が溜まると,刈取作業及び前進走行を停止して,集草ボックス18内からの刈草の放出作業を開始する。
【0049】
この放出作業に際しては,先ず,前記両昇降用油圧シリンダ30を,その昇降操作レバー54の上げ位置への操作によりピストンが突出動するように作動して,前記集草ボックス18を持ち上げるようにする。
【0050】
すると,先ず,この両昇降用油圧シリンダ30の基端におけるレバー体40が後方に回動して,その枢着ピン43がストッパー部44に接当する状態になるから,このレバー体40に設けたアウトリガー45が,地面4に接近するように突出して,芝刈機1が前部が浮き上がるように後ろ方向に傾くことを阻止できる状態になる。これと同時に,前記レバー体40に設けたバンパー体46が,前記ストッパー部44と実質的に同じ位置にまで後方に突出するか,このストッパー部44よりも更に後方に突出する状態になる。
【0051】
つまり,前記集草ボックス18の持ち上げ作動の前に,アウトリガー45が地面4に接近するように突出し,バンパー体46が後方に突出する。
【0052】
次いで,前記両昇降用油圧シリンダ30における更なるピストン突出動にて上下一対のリフト用リンク31,32が上向きに回動することにより,前記集草ボックス18が,その底蓋体20及び後蓋板21を閉じた状態のままで持ち上げられ,そして,最も高い位置まで持ち上げられると,前記昇降操作レバー54を中立位置に操作することにより,前記両昇降用油圧シリンダ30における更なるピストン突出動,つまり,前記集草ボックス18が持ち上げが停止すると同時に,前記集草ボックス18がロック手段49にて前記した最も高い位置から下降しないようにロックするようにしている。
【0053】
なお,前記両昇降用油圧シリンダ30は,前記集草ボックス18を最高位置に持ち上げた状態になると,自動的にそのピストン作動停止する中立位置になるように構成することができる。また,前記集草ボックス18は,下降位置において排出ダクト14から放出される刈草を受け入れる状態のときには,前部が低くて後部が高くなるように前傾斜しているが,最も高い位置まで持ち上げられた状態においては,逆に前部が高くて後部が低くなるように後ろ傾斜になるように構成されている。
【0054】
そして,この状態で,前記芝刈機1を,前進又は後進走行するように走行操作することで,図8に示すように,その後部が地面4に置かれた集草用コンテナAに接近するように移動して,前記のように高く持ち上げた集草ボックス18が前記集草用コンテナAの真上に位置する。
【0055】
前記芝刈機1をその後部が前記集草用コンテナAに接近するように後進走行する際に,前記集草用コンテナAへの衝突にて破損が発生することを前記バンパー体46にて確実に回避できる。
【0056】
そして,前記開閉用油圧シリンダ26を,その開閉操作レバー53の開位置への操作によりピストンが突出動するように作動させる。
【0057】
すると,図8に示すように,前記集草ボックス18に対する後蓋板21が開き回動するから,前記集草ボックス18内における刈草の前記集草用コンテナA内への排出が始まる。
【0058】
次いで,前記集草ボックス18に対する底蓋板20が,前記後蓋板21における開き回動に可撓性を有する金属製ワイヤ27を介して連動して,その前端がはね上がる一方後端が下がるように回動して集草ボックス18の底面を開放するから,前記集草ボックス18内における刈草の前記集草用コンテナA内への排出が更に進行する。
【0059】
前記後蓋板21が全開になると,前記開閉操作レバー53を中立位置に操作することにより,前記両開閉用油圧シリンダ26における更なるピストン突出動,つまり,前記後蓋板21の開き作動を停止する。
【0060】
なお,前記両開閉用油圧シリンダ26は,前記後蓋板21が最大に開くと,自動的にそのピストンが作動停止する中立位置になるように構成することができる。
【0061】
次いで,前記集草ボックス18内における刈草の排出に伴い,その排出落下中の刈草が,前記底蓋板20における後端に当たることにより,前記底蓋板20が,図5に二点鎖線で示すように,当該底蓋板20と前記後蓋板21とを連動連結する金属製ワイヤ27を弛ませながら,前記後蓋体21の開き回動にかかわらず,自動的に更に大きく開き回動するから,前記集草ボックス18内における刈草の全てを排出することができる。
【0062】
このようにして,前記集草ボックス18内における刈草の集草用コンテナA内への排出が完了すると,前記開閉操作レバー53の閉位置への操作にて前記後蓋板21を閉じることにより,前記底蓋板20が,その前端における重量によって自動的に閉じる。
【0063】
そこで,前記芝刈機1を前記集草用コンテナAから離れるように移動したのち,前記昇降操作レバー54を下げ位置に操作して,前記両昇降用油圧シリンダ30をピストン後退動に作動することにより,前記集草ボックス18は,前記図1に示すように,下降して前記排出ダクト14から放出される刈草を受け入れる姿勢に戻る。
【0064】
次いで,前記両昇降用油圧シリンダ30が更にピストン後退動することにより,前記両レバー体40が,その枢着ピン43がストッパー部44から離れるように前方向に回動して,そのストッパー片47が下部ブラケット部材35又はマスト部材29に接当するように前方回転するから,前記アウトリガー45及びバンパー体46が,図1に示すように,元の後退した位置に戻って,前記刈取作業を行う状態に復帰する。
【0065】
そして,前記走行機体2側に取付けた前記リフトフレーム19のうち前記集草ボックス18の底部誘導板28における下面側の部分には,図4〜図7に示すように,集草検出手段57が設けられている。
【0066】
この集草検出手段57は,前記底部誘導板28における左右両側のうち片側に配設したレバー杆58と,このレバー杆58の下側に配設したリミットスイッチ59等の感知体とを備え,前記レバー杆58は,断面下向きコ字状であり,その中程部が前記リフトフレーム19にピン60にて回動自在に枢着されている一方,前記リミットスイッチ59は,前記リフトフレーム19にブラケット61にて取付けられ,前記レバー杆58の一端部58aにおける下向き回動にて作動するように構成されているほか,このリミットスイッチ59の上部は,前記断面下向きコ字状のレバー杆58にて覆われている(カバーされている。)
【0067】
更に,前記レバー杆58は,その一端部58aが前記集草ボックス18における底部誘導板28の下面に接当してこれを下向き回動可能に状態に支持するという構成であり,その他端部58bと,前記リフトフレーム19との間には,当該レバー杆58の一端部58aを上向きに付勢する引っ張りばね62等の弾性付勢手段が設けられ,この引っ張りばね62には,そのばね力(弾性付勢力)を調節するためのねじ63が設けられているほか,前記レバー杆58は,前記底部誘導板28を,前記引っ張りばね62等の弾性付勢手段にて下向き回動可能に支持した状態において,その他端部58bが,前記リフトフレーム19に設けたストッパー64に接当している。
【0068】
この構成において,刈り取り作業の進行に伴い,集草ボックス18内に所定量の刈草を受け入れると,この集草ボックス18のうち刈草受入れ口の底部に設けた底部誘導板28における上面に刈草が堆積することになる。
【0069】
すると,前記底部誘導板28が,その上面に堆積する刈り草の重みで,前記集草検出手段57における引っ張りばね62に抗して下向きに回動して,その下面における集草検出手段57におけるレバー杆58が下向きに回動してリミットスイッチ59が作動するから,前記集草ボックス18内に所定量の刈草が集草されていることを検出できる。
【0070】
この場合,前記リミットスイッチ59の作動により,前記走行機体2側に設けられている表示灯及びブザーのいずれか一方又は両方を作動するか,或いは,前記刈り取り作業を自動的に停止するように構成できる。
【0071】
前記底部誘導板28は集草ボックス18側に設けられている一方,この底部誘導板28にて作動する集草検出手段57は,走行機体2側に設けられていて,前記底部誘導板28の上面への刈草の堆積は,前記集草ボックス18内に所定量の刈草を受け入れた後から始まることにより,前記集草検出手段57による検出は,前記集草ボックス18内に所定量の刈草を受け入れたあとにおいて行われることになるから,前記集草検出手段57が,従来のように,前記集草ボックス18内に所定量を集草するに至っていないのに,地面の凹凸及び走行速度の増減速等に起因する衝撃によって誤作動することを回避できる。
【0072】
また,前記集草ボックス18側における底部誘導板28の下面に,前記走行機体2側における集草検出手段57が接当するという構成であることにより,前記集草ボックス18を走行機体2に対して着脱するに際しては,前記集草検出手段57に対する電気的接続の着脱を必要としないから,前記集草ボックス18の着脱が簡単にでき,しかも,前記集草検出手段57は,前記底部誘導板28の下面側に位置しているので,この集草検出手段57に刈草が堆積することを回避できる。
【0073】
更にまた,前記集草ボックス18側における底部誘導板28の下面に,前記走行機体2側における集草検出手段57が接当するという構成であることにより,前記集草ボックス18の昇降動を自在に行うことができる。
【0074】
加えて,前記集草検出手段57が刈草量を感知するときの感度は,その引っ張りばね62をねじ63にて調節することによって任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1において集草ボックスを取り外して斜め後方から見た斜視図である。
【図4】図1において集草排出機構を斜め前方から見た斜視図である。
【図5】図4のIV−IV視断面図である。
【図6】図4のV−V視断面図である。
【図7】図6のVII −VII 視断面図である。
【図8】前記集草ボックスを最大上昇位置した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 芝刈機
2 走行機体
3 サイドフレーム
4 地面
5 前輪
6 後輪
7 エンジン
8 操縦ハンドル
9 操縦座席
13 ロータリー式芝刈り機構
14 排出ダクト
16 集草排出機構
18 集草ボックス
19 リフトフレーム
28 底部誘導板
57 集草検出手段
58 レバー杆
59 リミットスイッチ(感知体)
62 引っ張りばね(弾性付勢手段)
63 調節ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に,芝刈り機構と,この芝刈り機構から延びる排出ダクトに連通する集草ボックスとを装着して成る芝刈機において,
前記集草ボックスのうち前記排出ダクトからの刈草受入れ口の底部に,前記排出ダクトに向けて突出する底部誘導板が上下回動可能に設けられ,前記走行機体側に,前記底部誘導板の下向き回動にて前記集草ボックス内における刈草量を検出する集草検出手段が設けられていることを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記集草検出手段は,前記底部誘導板における下面側に設けられていることを特徴とする芝刈機。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記集草検出手段は,一端が前記底部誘導板の下面に接当するように回動自在に枢着したレバー杆と,このレバー杆の下側に,当該レバー杆の下向き回動にて作動するように配設した感知体とで構成され,前記レバー杆には,当該レバー杆のうち前記底部誘導板に接当する部分を上向きに付勢する弾性付勢手段が設けられていることを特徴とする芝刈機。
【請求項4】
前記請求項3の記載において,前記弾性付勢手段には,その弾性付勢力を調節するための機構を備えていることを特徴とする芝刈機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−213441(P2009−213441A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62802(P2008−62802)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】