説明

苗移植機の苗載せ台

【課題】苗移植機において、苗載せ台の苗載せ台ブロックを広狭に調節し、マット苗の左右の縮みに対応した苗載せ台を提供する。
【解決手段】苗載せ台(11)には複数条分の苗植装置に対応する苗取出口付きの苗載せブロックを設け、苗載せ台(11)を左右横移動して苗載せブロックの苗取出口へ順次1株分の苗を供給する。苗載せ台(11)に各苗載せ台ブロックに仕切る仕切り部(11s,…)を設け、この仕切り部(11s,…)を左右幅狭の幅狭仕切り部材(11c,…)と左右幅広の幅広仕切り部材(11d,…)とで構成し、幅狭仕切り部材(11c,…)に幅広仕切り部材(11d,…)を被せて幅広仕切り部材(11d,…)を着脱自在に取付可能に構成し、幅広仕切り部材(11d,…)の装着時には、苗載せ台ブロックの左右幅が狭くなり、幅広仕切り部材(11d,…)の非装着時には、苗載せ台ブロックの左右幅が広くなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機の苗載せ台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数条の苗植付装置を有する苗移植機において、各苗植付装置に対応する各苗載せブロックを備える苗載せ台を左右移動自在に設け、苗載せ台には各苗植付装置に対応する各苗載せブロックに仕切り部を備え、各苗載せブロックに苗送りベルトをそれぞれ設け、この苗載せ台の上方に架設したロール巻き形態のマット苗を苗載せ台の底面で受けて繰り出すように構成したものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−187733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の苗載せ台の苗載せブロックの左右両側には固定状態の仕切り部を設けて左右横幅を一定幅に構成しているために、苗載せ台の左右横移動によりマット苗の左右横幅が縮むようなときには、苗載せブロックの左右両側部ではマット苗が無くなり、植付欠株が生じるという不具合が発生していた。本発明は苗載せ台の苗載せブロックを広狭に変更できるようにし、このような不具合を防止しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数条分の苗植装置(12,…)に対応する苗取出口付きの苗載せブロックを設け、左右横移動して苗載せブロックの苗取出口へ順次1株分の苗を供給可能に構成し、各苗載せブロックに仕切る仕切り部(11s,…)を備え、前記仕切り部(11s,…)は左右幅狭の幅狭仕切り部材(11c,…)と左右幅広の幅広仕切り部材(11d,…)とを備え、前記幅狭仕切り部材(11c,…)に幅広仕切り部材(11d,…)を被せて幅広仕切り部材(11d,…)を着脱自在に構成し、前記幅広仕切り部材(11d,…)の装着時には苗載せブロックの左右幅が狭くなり、前記幅広仕切り部材(11d,…)の非装着時には苗載せブロックの左右幅が広くなるように構成したことを特徴とする苗移植機の苗載せ台とする。
【0005】
前記構成によると、苗載せ台(11)には複数条分の苗植装置(12,…)に対応する苗載せブロックと苗取出口が設けられていて、苗載せ台(11)が左右横移動して苗載せブロックの苗取出口へ順次1株分の苗が供給され、苗植装置(12,…)により苗載せブロックの苗取出口から苗が掻き取られて植え付けられる。
【0006】
また、苗載せ台(11)の各苗載せブロックに仕切る仕切り部(11s,…)は、左右幅狭の幅狭仕切り部材(11c,…)と左右幅広の幅広仕切り部材(11d,…)とを備えていて、幅狭仕切り部材(11c,…)に幅広仕切り部材(11d,…)を被せて取り付けると、苗載せブロックの左右幅が狭くなり、幅広仕切り部材(11d,…)の非取り付け時には苗載せブロックの左右幅が広くなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、苗載せ台(11)の左右横移動によりマット苗の左右幅が縮むようなときには、幅広仕切り部材(11d,…)を取り外して苗載せブロックの左右幅を広くすることにより、苗載せブロックの苗取出口に適確にマット苗を供給し、植付欠株を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態について以下図面に基づき説明する。本発明の一実施形態である苗移植機の側面図を図1に示す。
この苗移植機1の機体には、左右の操舵輪2,2と左右の後輪3,3とにより四輪駆動可能に走行支持され、この機体にはステアリングハンドル4a等を有する機体操縦用のステアリングポスト4と、このステアリングポスト4に対向するように後側に運転席4bが配置され、この運転席4bの下側に苗移植機の各部に動力を供給するエンジン5が搭載され、これらステアリングポスト4及び運転席4bの基部にステップフロア6を設け、そのステップフロア6の後側端部は後輪3,3のフェンダカバーを兼ねている。また、機体後部には、苗ロールRを装着することにより、ロングマット苗を機体の走行と連動して植え付ける植付部7を平行リンク機構7aを介して昇降装置可能に設けている。なお、本明細書では苗移植機1の前進側を向いて左方向、右方向をそれぞれ左側、右側という。
【0009】
植付部7は、その拡大側面図を図2に示すように、エンジン5から動力の伝達を受ける伝動ケース7bは左右方向中心部に配設され、ロングマット苗をロール状に形成した苗ロールRの巻取芯Cを左右両側から保持するロールホルダ10を備えて、そのロングマット苗を案内移送する苗植付条数分に区分した傾斜面からなる苗載せ台11、所定の周回軌跡Tに沿って一株分の苗を掻き取り土中に植え込む植付装置12、圃場の苗植付面を整地するフロート13等から構成されている。
【0010】
苗ロールRは、苗載せ台11の苗載せブロックの案内幅に適合する幅寸法でその前後方向の案内長さより長く連続するロングマット苗Mを巻取芯Cに巻き付けて、ロール状に形成したものである。ロールホルダ10は、苗ロールRのロングマット苗Mを繰出し可能に苗載せ台11に保持し、苗載せ台11に対して着脱自在に構成している。
【0011】
苗載せ台11は、ロングマット苗Mを傾斜面に沿って移送する苗送りベルト15からなる苗送り手段を備え、その苗送りベルト15の下端にはロングマット苗Mの先端を受ける掻き取り口付きの苗受け板14を備え、この苗受け板14まで苗ロールRのロングマット苗Mを案内する。この苗載せ台11を横移動可能に構成し、苗ロールRの幅寸法と等しい範囲で機体左右方向に往復駆動することにより、苗受け板14の掻取り口(図示省略)から植付装置12がロングマット苗Mの全幅について順次株分け可能に構成している。
【0012】
苗載せ台11の傾斜面は、各条についてロングマット苗Mをスライド可能に支持する底板11bとその両側に立ち上がってマット苗の左右両側を案内する左右の仕切り部11s,11sとから構成している。傾斜面には、苗受け板14の近傍にロングマット苗Mを移送する左右の苗送りベルト15,15を設けると共に、マット苗幅維持手段を付設している。
【0013】
このマット苗幅維持手段は、苗載せ台11に繰り出されて苗受け板14まで移送されるロングマット苗Mの幅寸法の左右方向へのズレを防止しようとするものである。例えば、図3に示すように、苗載せ台11の苗受け板14の手前側直前位置において、ロングマット苗Mをスライド可能に支持する案内部材16aにより構成している。この案内部材16aの上手側は、ロングマット苗Mをスムーズに案内するために、苗載せ台11の傾斜面を進にしたがって左右中央部位で底板11bから次第に高くなるように構成している。
【0014】
しかして、苗載せ台11の傾斜面からロングマット苗Mが案内部材16aにより苗受け板14まで送られる際に、その左右中央部の山形から左右方向の傾斜面に沿って左右方向に開くように延ばされることから、苗受け板14まで当初のロングマット苗Mの幅寸法が延ばされて維持され、植付装置12によりロングマット苗Mの全幅にわたり順次掻き取られ、欠株を生じることなく植え付けることができる。
【0015】
また、マット苗幅維持手段を図4に示すように構成してもよい。苗載せ台11の傾斜面を通過するロングマット苗Mの中央部を持ち上げるように、植付条別に底板11bから一部を突出して回転可能な回転体21と、その両側位置でロングマット苗Mの左右両側部を移送する左右の苗送りベルト15,15とで構成している。この左右の苗送りベルト15,15の表面には、ロングマット苗Mの底面を滑ることなく捉える複数の突起15a,…を形成し、これら複数の突起15a,…はロングマット苗Mを左右両側に拡げるようにハの字状に配列して構成している。
【0016】
前記構成によると、苗載せ台11の傾斜面に沿ってロングマット苗Mが下降すると、左右の苗送りベルト15,15の複数の突起15a,…に捉えられつつ中央部が回転体21により持ち上げられて上昇し、ロングマット苗Mが左右に延ばされることから、苗受け板14の位置では当初の苗幅が維持される。
【0017】
次に、図5に基づき苗ロール装着作業補助に関する苗載せ台のロールホルダ10の構成について説明する。
苗移植機の植付作業において、苗載せ台11に新しい苗ロールRを装着する際には、従来は苗ロールRの巻き取り中心に合うように片手でロールホルダ10を保持しつつ、他方の手で凡そ10kgの重量の苗ロールRを装着するという作業負担を強いられていた。そこで、この負担軽減のために苗ロールRの装着のために、ロールホルダ10の一時支持装置を苗載せ台11に設けたものである。
【0018】
その具体的な構成は、図5に示すように、苗載せ台11に対してロールホルダ10の支軸10bを回動可能に支持し、その回動操作のためのハンドル10hを苗載せ台11の傾斜面から遠ざかるように設けると共に、苗載せ台11に連結したばね剛性のフック31によりロールホルダ10を支持して所定高さに保持するアーム10aを設けている。
【0019】
苗ロールRの装着の際には、使用状態の側面図を図5(C)に示すように、ハンドル10hの操作によってロールホルダ10を上方に回動し、フック31にアーム10aを係止することによって、ロールホルダ10が苗ロールRの装着高さ位置に浮いたように係止保持される。この状態で苗ロールRをロールホルダ10の装着口10rに容易に装着することができる。
【0020】
次に、図6に基づきロングマット苗Mの終端部の苗送りのためのロールホルダ移動装置について説明する。
ロールホルダ移動装置32は、図6に示すように、ロールホルダ10に移動装置32を設けている。ロールホルダ10の基部に延長部32Sを連結し、この延長部32aを上段と下段の2位置に選択保持可能なポジションガイド32p,32pを苗載せ台11に設け、そのシフト操作のための握り32hを延長部32sに取り付けて構成している。
【0021】
通常時は、苗ロールRの装着時を含めて、図の右条側のように、延長部32sを上段位置に係止して使用する。苗ロールRからロングマット苗Mが終端まで繰り出されてロングマット苗Mの巻き部分がなくなった場合は、それまで苗ロールRに巻き付いていたロングマット苗Mが苗ロールRから切り離されて同苗ロールRによる苗押さえ作用が無くなることから、植付性能に支障を来さないように、図6の左条側のように、握り32hを持って延長部32sを下段位置に移動操作することにより、ロールホルダ10をワンタッチで下方に移動できる。従って、特段の押え手段を要することなく、塩ビパイプ等によって構成した巻取芯Cによって残りのロングマット苗Mの苗押さえを兼用し、浮き上がりを防止することができる。
【0022】
次に、図7に基づき苗載せ台11の他の実施形態について説明する。
苗載せ台11の傾斜面には、各条のロングマット苗Mをスライド可能に支持する底板11aと、底板11aの両側に立ち上がってマット苗の左右両側部を案内する左右の仕切り部11s,11sとから苗載せブロックを構成し、この苗載せブロックを各植付装置12,…に対応するように複数個並列配置している。
【0023】
底板11aの左右両側に配設する左右の仕切り部11s,11sを、幅狭仕切り部11c,11cと、幅広仕切り部11d,11dとを予め構成しておき、幅広の苗載せブロックを構成するときには、図7(A)に示すように、底板11aの左右両側に幅狭仕切り部11c,11cを取り付け、また、幅狭の苗載せブロックを構成するときには、図7(B)に示すように、幅狭仕切り部11cに幅広仕切り部11dを被せるようにして取り付ける。
【0024】
苗載せ台11の底板11aによりロングマット苗Mを下手側に移送し苗受け板14に到達する状態となると、苗幅が縮み両端部で欠株を生じるという不具合が発生することがある。このようにマット苗が縮むようなときには、幅広仕切り部11dを取り外して苗載せブロックの左右幅を広げることにより、苗受け板14までマット苗を適確に供給することができ、植付欠株を防止できる。
【0025】
また、前記構成によると、苗載せ台11の苗載せブロックの底板11a左右両側部に、幅狭仕切り部11c,11cを取り付け状態とするか、幅広仕切り部11d,11dを取り付け状態とするるかにより、幅狭苗載せブロックとしたり、幅広苗載せブロックとすることができ、部品点数を少なくすることができる。
【0026】
次に、図8に基づき苗載せ台11のマット苗を押える苗押え板41について説明する。
この苗押え板41は、苗載せ台11の左右の仕切り部11s,11sに立設している左右支持棒41a,41aと、左右支持棒41a,41aに上下回動自在に軸支されている苗押え板体41bと、苗押え板体41bの先端部のぎざぎざ突起41cとにより構成し、このぎざぎざ突起41cの左右両側部のものだけを先端が中央寄りに向かうように角度を付けた構成としている。
【0027】
前記構成によると、ロングマット苗Mの上側部が苗押え板41のぎざぎざ突起41cにより上側から押さえつけながら移送されるので、ロングマット苗Mの左右の縮みを防止することができ、また、ロングマット苗Mの左右両側部はぎざぎざ突起41cの左右両側の中央寄りに向かう突起により支持され、マット苗の左右両側への移動が阻止されマット苗の縮みを抑制し、苗植装置12により左右両端部の苗を確実に植え付けることができる。
【0028】
次に、図9(A)について説明する。苗載せ台11の左右の仕切り部11s,11sの下側部に、マット苗の葉部を左右中央寄りに誘導する葉部誘導板42,42を設けている。前記構成によると、葉部誘導板41,41によりマット苗の葉部を内側に誘導することにより、葉部の左右両側へのはみ出しを防止し、マット苗を円滑に移送することができる。
【0029】
次に、図9(B)について説明する。苗載せ台11における左右の仕切り部11s,11s下側部に苗押え板41を設けている。この苗押さえ板41は、仕切り部11s,11sに左右方向に沿うように軸支している支持軸41aと、支持軸41aに取り付けられている複数の苗押え棒41b,…とで構成されている。そして、支持軸41aの左右両側部には、上手側が順次幅広になる葉部誘導体43,43を設けている。
【0030】
前記構成によると、苗押さえ板41を支持軸41a回りに下方に回動すると、苗押え棒41b,…によりマット苗の葉部を押え、また、左右の葉部誘導体43,43により葉部を順次内側に誘導することができ、マット苗を円滑に移送することができる。
【0031】
また、苗押え装置44を図10に示すように構成してもよい。苗載せ台11の左右仕切り部11s,11sの下側部に、左右支持棒(図示省略)を立設し、左右支持棒により左右方向に沿うように苗押え装置44を支持し、苗受け板14の上方に対向するように配置している。そして、この苗押え装置44は、図10(C)に示すように、側面視で円板状の多数の苗押え板44b,…を左右方向に沿うように配設したり、また、図10(B)に示すように、側面視で下端部が尖っていて、上側ほど徐々に広がり、次いで徐々に狭くなる多数の苗押え体44a,…を左右方向に沿うように配設して構成し、このように構成されたものを苗受け板14に対向するように左右方向に並列配置して構成している。
【0032】
前記苗押え装置44の苗押え体44a,…あるいは苗押え板44b,…によりロングマット苗Mの上面を押えることにより、苗載せ台11を移送中のロングマット苗Mの横ズレを防止することができる。
【0033】
また、苗載せ台11横移動用の後述する横移動棒11jにリードカムを設けるにあたり、1横移動行程の横移動棒11jの回転数が偶数であるようにし、前記苗押え体44a,…、苗押え板44b,…を苗載せ台11の苗載せブロックに奇数個設けると、苗植装置12のマット苗の掻き取りに邪魔にならず円滑に植付作業をすることができる。
【0034】
また、苗押え装置44を図11に示すように構成してもよい。苗載せ台11における左右仕切り部11s,11sの移送方向中途部に、苗載せ台11の苗載せブロック毎に左右方向に沿うように苗押え装置44をそれぞれ設ける。この苗押え装置44は、クランク状のに折曲した苗押え棒44eの左右両側部を左右仕切り部11s,11sに軸支して、上下回動調節自在に構成し、中央屈折部11f、左右屈折部11g,11gに苗押え体11h,…をそれぞれ取り付けている。
【0035】
そして、苗押え棒44eを下方に回動して、移送中のロングマット苗Mの上方に接近させると、中央屈折部11fが移送上手側に、左右屈折部11g,11gが移送下手側に位置し、苗押え体11h,…によりロングマット苗Mの中央部、左右両側部を押えるように構成している。
【0036】
前記構成によると、苗押え棒44eの中央屈折部11f、左右屈折部11g,11g、苗押え体11h,…と、前記案内部材16a、回転体21、移送面に突起15a,…の多数設けられている左右苗送りベルト15,15との共同作用により、ロングマット苗Mを左右に拡げながら移送することができる。
【0037】
また、図12(A)に示すように構成してもよい。苗載せ台11の苗受け板14の上手側に、ロングマット苗Mを左右方向に分割する多数の切断刃体46,…を左右方向に沿うように配設する。
【0038】
前記構成によると、ロングマット苗Mの上手側端部を切断刃体46,…により切断分離してマット苗の横幅を拡げることができ、マット苗Mの左右両側部での空植を防止することができる。
【0039】
また、図12(B)に示すように構成してもよい。苗載せ台11の左右の仕切り部11s,11sに、左右方向の支持棒44jを取り付け、この支持棒44jにロングマット苗Mの移送方向に沿うように複数の苗押え棒44k,…を設ける。そして、中央の苗押え棒44kを平面視で移送方向に沿うように直線状に構成し、左右両側の苗押え棒44k,…を下手側ほど左右両側に向けて屈曲するようにし、また、苗押え棒44k,…を下方に回動した状態ではマット苗を押さえるように構成する。前記構成によると、苗押え棒44k,…によりロングマット苗Mの横幅の縮みを防止することができる。
【0040】
次に、図13について説明する。苗載せ台11の底板11bには、ロングマット苗Mの終了検出用の苗無し検出スイッチ47を設けている。そして、この苗無し検出スイッチ47を、ロールホルダ10の苗ロールRの巻取芯Cの下方位置と苗受け板14との中間位置よりも巻取芯Cに近い位置に設けている。
【0041】
前記構成によると、ロールホルダ10の苗ロールRが無くなると、すぐに苗無し検出スイッチ47がオンして警報を発し、苗の無くなったことを早く知ることができる。
次に、図14について説明する。苗載せ台11の左右仕切り部11s,11sには、ロールホルダ10を上下回動自在に軸支し、左右仕切り部11s,11sのいずれか一方には、ロールホルダ10の回動下方位置に苗無し検出スイッチ47を設けている。そして、ロールホルダ10のロングマット苗Mが減少し、ロールホルダ10が下方に回動すると、ロールホルダ10が直接苗無し検出スイッチ47に接触してオンし、警報手段である例えば苗減少ランプ(図示省略)が点灯する構成である。
【0042】
ロングマット苗Mが接触して苗無し検出スイッチ47をオンする構成であると、マット苗が柔らかかったり、浮き上がるとスイッチがオンしないという不具合が発生することがある。しかし、前記構成によると、スイッチを確実にオンすることができ、前記不具合を解消することができる。
【0043】
また、図15に示すように、苗載せ台11の底板11bにおけるロールホルダ10がマット苗無しの状態で下方に回動し、巻取芯Cが接触する部位の近くに苗無し検出スイッチ47を設けると、マット苗Mの無くなったことを早く検出することができる。
【0044】
次に、図16について説明する。これは苗載せ台11に新しい苗ロールRを装着する際のロールホルダ10を上方に保持するスタンド49に関するものである。
ロールホルダ10の苗ロール支持用の凹部11eにスタンド49の上端部を軸49aにより上下回動自在に支持し、スタンド49の下端部側を苗載せ台11の仕切り部11s側に直交状態に回動延出すると、その下端部が仕切り部11sに当接支持されて、ロールホルダ10を苗ロール保持位置に支持するように構成し、スタンド49の上端部にピン50を取り付けている。
【0045】
そして、ロールホルダ10の凹部11eに苗ロールRの巻取芯Cを装着すると、巻取芯Cによりピン50を下方に押し、スタンド49が上方に回動し、仕切り部11sから離れるように構成している。前記構成によると、ロールホルダ10に苗ロールRを楽に装着することができる。
【0046】
なお、ロングマット苗Mは土台の不織布(図示省略)に種籾を播種して育成している。この不織布に古新聞紙等の古紙や、パルプを混合して土台を造ると、土台をある程度固く構成することができ、ロングマット苗Mの左右方向の縮みを防止することができる。
【0047】
次に、図17について説明する。ロングマット苗M育成用の苗箱52を構成するにあたり、基部側板52aに対して上部側板52bを上下調節自在に支持する。そして、ロングマット苗Mを巻き取る際に、上部側板52bを高く調節し、マット苗の葉部をはみ出さないようにすると、マット苗を楽に巻き取ることができる。
【0048】
次に、図18に基づき苗載せ台11の横移動構成について説明する。
苗載せ台11は、図18(A)に示すように、苗載せ面の裏側下部に左右方向に設けた苗受け板14に沿って左右方向に移動自在に支持されている。なお、この苗受け板14には植付条数分の苗取出口が設けられている。前記伝動ケース7bの左右両側に突出して該伝動ケース7b内の動力で左右往復移動する横移動棒11jが設けられ、この横移動棒11jの両端部に固着した連結部材11kと苗載せ台11とが連結されていて、横移動棒11jが左右往復移動することにより苗載せ台11が左右往復移動するように構成している。
【0049】
長方形のマット苗を載置する苗載せ台11にロングマット苗Mを載置して往復横移動しながら植え付けると、ロングマット苗Mの左右横幅が縮み、ロングマット苗Mの両端部では植付装置12で植え付けできなく欠株になるという不具合が発生することがある。従って、横移動棒11jの横移動量を減らすために、横移動棒11jのリードカムを横移動量の少ないリードカムに変更する必要があった。そこで、この実施形態では次のようにしてこのような不具合を解消しようとするものである。
【0050】
横移動棒11jの両端部と連結部材11kとの間にがたを持たせておき、左右両側端部において苗植装置12の1回分の掻き取り量分だけ苗載せ台11の移動量を減らすように構成する。前記構成によると、長方形の通常のマット苗植付用の苗載せ台11の横移動棒11jをそのまま使用しながら、ロングマット苗Mの植付作業をすることができる。
【0051】
また、図18(B)に示すように構成してもよい。長方形のマット苗用の横移動棒を、リードカムの移動量が中央部から左右両側部まで同じになるように横移動棒11jaに構成し、また、ロングマット苗M用の横移動棒を、リードカムの左右両端部の移動量だけを中央部の移動量に対して2倍になるようにして横移動棒11jbのように構成する。前記構成によると、苗載せ台11を横移動棒11jbに変更することにより、ロングマット苗Mに縮みが生じても左右両側部での植付欠株を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】苗移植機の全体側面図
【図2】植付部の側面図
【図3】苗載せ台の側面図、平面図
【図4】苗載せ台の側面図、平面図、正面図
【図5】苗載せ台の側面図、平面図
【図6】苗載せ台の斜視図
【図7】苗載せ台の平面図、側面図、正面図
【図8】苗載せ台部の側面図、正面図
【図9】苗載せ台の斜視図
【図10】苗載せ台の側面図
【図11】苗載せ台の平面図
【図12】苗載せ台の側面図、平面図
【図13】苗載せ台の斜視図
【図14】苗載せ台の平面図、側面図
【図15】苗載せ台の平面図、側面図
【図16】苗載せ台の平面図、側面図
【図17】苗箱の斜視図
【図18】苗載せ台の切断側面図、横移動棒の側面図
【符号の説明】
【0053】
11 苗載せ台
12 苗植装置
11s 仕切り部
11c 幅狭仕切り部材
11d 幅広仕切り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数条分の苗植装置(12,…)に対応する苗取出口付きの苗載せブロックを設け、左右横移動して苗載せブロックの苗取出口へ順次1株分の苗を供給可能に構成し、各苗載せブロックに仕切る仕切り部(11s,…)を備え、前記仕切り部(11s,…)は左右幅狭の幅狭仕切り部材(11c,…)と左右幅広の幅広仕切り部材(11d,…)とを備え、前記幅狭仕切り部材(11c,…)に幅広仕切り部材(11d,…)を被せて幅広仕切り部材(11d,…)を着脱自在に構成し、前記幅広仕切り部材(11d,…)の装着時には苗載せブロックの左右幅が狭くなり、前記幅広仕切り部材(11d,…)の非装着時には苗載せブロックの左右幅が広くなるように構成したことを特徴とする苗移植機の苗載せ台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−228706(P2008−228706A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77056(P2007−77056)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】