説明

苗移植機

【課題】甘薯苗等の蔓状の苗を適正に移植できるようにすることを課題とする。
【解決手段】走行装置4を備えた機体に、苗Nを搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送された苗Nを圃場に植付ける苗植付け体6とを備えた苗移植機において、該苗植付け体6に、苗搬送部5から挟持した苗Nを前後方向へ向けた姿勢で土壌内へ突入させて土壌内において前後方向へ移動する突入作動がなされた後に苗Nの挟持を解除し、挟持を解除した状態で上側へ移動して土壌内から退出する退出作動をする苗植付け挟持具31を設け、該苗植付け挟持具31が植付けた苗Nの土壌を上から押さえる押さえ具91を設けた苗移植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、甘薯苗等の蔓状の苗を移植する苗移植機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
走行装置により機体を前進させながら、苗植付け挟持具で挟持した苗を前後方向へ向けた姿勢で土壌内へ突入させて土壌内において前後方向へ移動する突入作動がなされた後に苗の挟持を解除し、挟持を解除した状態で上側へ移動して土壌内から退出する退出作動がなされる苗植付け体により、苗を前後方向へ向けた姿勢(横向き姿勢)で植え付ける構成の苗移植機が知られている。この苗移植機は、苗植付け挟持具が土壌内において前後方向へ移動した後に苗の挟持を解除することにより、蔓の部分が土壌内で前後に長く埋められるように苗を植え付けることができる(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−236524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術の苗移植機は、苗植付け体が上側へ移動して土壌内から退出する退出作動時に植え付けた苗の土壌内で前後に長く埋められた蔓の部分をひっかけて持ち上げやすく、土壌内に埋めた蔓が土壌から露出したり苗の植付深さが浅くなったりして苗の植付精度が低下するおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、苗を適正に移植できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置4を備えた機体に、苗Nを搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送された苗Nを圃場に植付ける苗植付け体6とを備えた苗移植機において、該苗植付け体6に、苗搬送部5から挟持した苗Nを前後方向へ向けた姿勢で土壌内へ突入させて土壌内において前後方向へ移動する突入作動がなされた後に苗Nの挟持を解除し、挟持を解除した状態で上側へ移動して土壌内から退出する退出作動をする苗植付け挟持具31を設け、該苗植付け挟持具31が植付けた苗Nの土壌を上から押さえる押さえ具91を設けた苗移植機とした。
【0006】
従って、苗搬送部5に苗Nを供給して走行装置4にて機体を走行させると、苗植付け体6の苗植付け挟持具31が苗搬送部5から苗Nを挟持し、苗Nを前後方向へ向けた姿勢で土壌内へ突入させて土壌内において前後方向へ移動する突入作動がなされた後に苗Nの挟持を解除し、挟持を解除した状態で上側へ移動して土壌内から退出する退出作動をして苗Nを植付ける。そして、苗植付け挟持具31が植付けた苗Nの土壌を上から押さえ具91が押さえ、苗Nを前後方向へ向けた姿勢で適正に移植することができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、機体のケース部32cに設けた駆動アーム34に苗植付け挟持具31を設けた苗植付け体6の基部36を連結し、苗植付け挟持具31の退出作動時に、苗植付け挟持具31が土壌内へ突入する突入位置と苗植付け挟持具31が土壌内で苗Nの挟持を解除する挟持解除位置との間の土壌を上から押さえる押さえ具91を該基部36に対して摺動自在に設け、苗植付け挟持具31の退出作動に伴う基部36の上動で前記押さえ具91と一体で摺動する従動体91dに上側から当接する駆動体92を機体側に設け、該駆動体92を苗植付け挟持具31の突入作動時には前記従動体91dから退避させる退避機構37,94,95,97を設けた請求項1記載の苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項1記載の発明の作用に加えて、苗植付け挟持具31の退出作動に伴う基部36の上動で従動体91dが上動するとき、機体側に設けた駆動体92により前記従動体91dの上動が規制され、その結果押さえ具91が基部36に対して下側へ摺動して移動して苗植付け体6の突入位置と挟持解除位置との間の土壌を上から押さえる。そして、苗植付け体6の突入作動時には、退避機構37,94,95,97により前記駆動体92が従動体91dから退避して離れる。よって、押さえ具91により植え付けた苗Nの上方の土壌を押さえることができるので、苗植付け体6の退出作動時に植え付けた苗Nの土壌内で前後に長く埋められた苗Nの部分をひっかけて持ち上げるようなことを防止でき、苗Nを前後方向へ向けた姿勢で適正に移植できる。そして、苗植付け体6の突入作動時には、退避機構37,94,95,97により前記駆動体92が従動体91dから退避して離れ、押さえ具91が苗植付位置近傍の土壌を押さえるようなことを防止でき、苗植付け体6により苗Nを土壌内でスムーズに前後方向で長く案内でき、土壌内で前後に長く埋められるようにして苗Nを前後方向へ向けた姿勢で適正に移植できる。
【0009】
請求項3記載の発明は、土壌内から退出して上昇する苗植付け挟持具31に作用して苗植付け挟持具31に付着する土を落とすスクレーパ120を設けた請求項1または請求項2記載の苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、スクレーパ120が上昇する苗植付け挟持具31に作用して付着する土を落とすことができる。
請求項4記載の発明は、ケース部32cに固定された支持フレーム38に支持軸39で回動自在に支持した揺動リンク37を苗植付け体6の基部36の下端部に回転自在に連結し、スクレーパ120を支持フレーム38に回動可能に設けたスクレーパ用アーム121に取り付け、揺動リンク37の中途部に設けた駆動用ローラ97が揺動リンク37の回動で当接することによりスクレーパ用アーム121を斜め下側へ回動させて土壌内から退出して上昇する苗植付け挟持具31に作用する構成とした請求項3記載の苗移植機とした。
【0011】
従って、請求項3記載の発明の作用に加えて、上昇する苗植付け挟持具31に対してスクレーパ120が下降して苗植付け挟持具31に付着する土を下に落とす構成となり、スクレーパ120に土が溜まることがなく、また苗植付け挟持具31の作動軌跡における短い区間で効率良く土を落とすことができ、特に土壌中で前後に長く移動して地上での移動軌跡が短い苗植付け体6には有効である。
【0012】
請求項5記載の発明は、苗搬送部5に上部横送り部5aと上部横送り部5aから機体下方に向かう下降送り部5bと下降送り部5bから機体上方に向かう上昇送り部5cを備え、上部横送り部5aを走行装置4の後輪7より側方に突出するように構成し、且つ、上部横送り部5aの後端を後輪7より後側の位置に配置すると共に、苗搬送部5を側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜して設けた請求項1乃至請求項4記載の苗移植機とした。
【0013】
従って、請求項1乃至請求項4記載の発明の作用に加えて、作業者は、走行装置4の後輪7及び上部横送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗Nを供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aが配置され、作業者が上部横送り部5aへの苗供給作業を容易に行える。
【0014】
請求項6記載の発明は、下降送り部5bに苗Nを案内する苗落下防止板45を設けた請求項5記載の苗移植機とした。
従って、請求項5記載の発明の作用に加えて、下降送り部5bに苗Nを案内する苗落下防止板45を設けたので、下降送り部5bで苗Nが落下しないように苗Nを案内することができる。
【0015】
請求項7記載の発明は、苗搬送部5に側板部48と左右一対の弾性のある挟持体50,52を設けた苗収容部26を苗搬送方向Cに複数設けた請求項1乃至請求項6記載の苗移植機とした。
【0016】
従って、請求項1乃至請求項6記載の発明の作用に加えて、苗搬送部5の各苗収容部26に苗Nを載置して、左右一対の弾性のある挟持体50,52で苗Nを傷めないように挟持して搬送することができる。
【発明の効果】
【0017】
よって、本発明は、苗Nを前後方向へ向けた姿勢で適正に移植することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の実施の一形態としての甘薯苗移植機1を以下に説明する。
苗移植機1は、走行装置4と操縦ハンドル2を備えた機体に、甘薯苗Nを搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送されてきた苗Nを圃場に植付ける苗植付け装置となる苗植付け体6とを備えている。走行装置4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0019】
エンジン3の後部には、ミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース9の左右両側部に伝動ケース10を回動自在に取り付け、この伝動ケース10の回動中心にミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース10内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側側方に突出する車軸11に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0020】
また、伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム12を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆14の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド15で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ16で連結している。
【0021】
昇降用油圧シリンダ13が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム12は後方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム12は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ13は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサー17の検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付昇降レバー18の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。尚、前記植付昇降レバー18は、苗植付け体6及び苗搬送部5の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー18の側方には、ミッションケース9内の主クラッチ(図示せず)を操作して走行装置4の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー19を設けている。
【0022】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ16が伸縮作動すると、前記天秤杆14が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース10を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ16は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0023】
前記左右前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム20の左右両側部の下方に延びるアーム部分21の下端部側方に固定した車軸22に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0024】
前記操縦ハンドル2は、ミッションケース9に前端部を固定したハンドルフレーム23の後端部に取り付けられている。ハンドルフレーム23は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレーム23の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0025】
尚、上記走行装置4は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成でもよいし、前輪の替わりに畝上面を転動する鎮圧輪としてもよい。また、クローラー式の走行装置としてもよい。次に、苗植付け体6及び苗搬送部5について説明する。
【0026】
苗植付け体6は、その苗保持具となる苗植付け作用部6aを昇降動させる駆動部と連結し、該苗植付け体4の苗植付け作用部6a(一対の苗植付け挟持具31)が、苗搬送部5により搬送されてきた苗に作用して苗を圃場に植付ける構成としたものである。
【0027】
苗植付け体6を駆動する駆動部は、ミッションケース9内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース32に設けている。植付け伝動ケース32は、その前部がミッションケース9の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部32aと、この第一ケース部32aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部32bと、その第二ケース部32bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部32cとを有するものとしている。これら第一ケース部32aから第三ケース部32c内に苗植付け体6を駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。第三ケース部32c内の伝動構成は、該第三ケース部32cの入力軸33からチェーン110を介して中継軸111へ伝動し、該中継軸111から一対の伝動ギヤ100,101を介して該ケース部32cから出力される駆動軸35へ伝動される構成となっている。尚、前記第三ケース部32cは、第二ケース部32bの出力軸すなわち該第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。そして、苗植付け体6及び苗搬送部5は、走行装置4に対してこの第三ケース部32cの入力軸33回りに回動自在に設けられている。また、第一ケース部32a内に内装した伝動機構には、苗植付け体6をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構(図示せず)と、苗植付け体6及び苗搬送部5を作動停止させる植付クラッチ(図示せず)とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構(図示せず)によって調節され、この調節によって苗植付け体6による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0028】
そして、苗植付け体6は、その駆動部としての駆動回転する駆動アーム34と連結して駆動される。駆動アーム34は、機体左側から見て右回りに回転駆動し、前記第三ケース部32cの後部右側部から突出し駆動回転する駆動軸35にセットボルト34aにより外れないように取り付けられている。そして、駆動アーム34の先端部に苗植付け体6の基部となる支持リンク部36の上端部を回転自在に連結し、その支持リンク部36の下端部に揺動リンク37の前端部を回転自在に連結している。揺動リンク37の後端部は、第三ケース部32cに前部が固定されて後方に延びる支持フレーム38の後端部に設けた支持軸39で回転自在に支持している。従って、苗植付け体6は、駆動アーム34が駆動回転すると、その先端部(下端部)の苗植付け作用部6aは、図1に示すように、略上方から土壌内に突入して土中で後方へ移動する突入作動がなされて下死点位置まで移動し、前記突入作動の軌跡の上側で該軌跡の近くを通過するように前側へ移動しながら上側へ移動して土壌内から退出する退出作動がなされ、前後に長い軌跡Tを描いて運動することになる。なお、図1に示すような軌跡Tは、機体に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡(静軌跡)であり、軌跡T'は、設定した作業時速度で機体が前進走行したときの圃場に対して苗植付け作用部6aが描く運動軌跡(動軌跡)である。
【0029】
図5の苗植付け体6の拡大斜視図に示すように、苗植付け体6は連結軸40回りに回動連結される一対の支持部41と該支持部41の先端部に固着した苗を挟持する一対の苗植付け挟持具31と、支持部41の連結軸40に対して前記苗植付け挟持具31とは反対側に支持部41に固着した一対の苗植付け挟持具作動アーム42とから構成されている。尚、これらの支持部41、一対の苗植付け挟持具31及び一対の苗植付け挟持具作動アーム42は、機体側面視で若干前側に傾斜して上下方向に長い構成となっている。該苗植付け挟持具作動アーム42の上端部にはそれぞれ円板42aを設け、この円板42aが開閉用カム43の側面に当接している。連結軸を支持リンク部36に取り付けており、開閉用カム43の側面に設けた突部43aが円板42aに当接することにより一対の苗植付け挟持具作動アーム42の互いの間隔が広くなってひいては一対の支持部41が互いに連結軸40回りに回動して、一対の苗植付け挟持具31の間隔が広がるようになっている。従って、開閉用カム43により、一対の苗植付け挟持具31を苗を挟持したりその挟持を解除したりする構成となっている。尚、一対の支持部41の間には引張スプリング44を設けており、この引張スプリング44により一対の苗植付け挟持具31を互いに近づく方向へ付勢している。また、苗植付け挟持具31の対向する面にディンプルを設けて苗を挟持し易くしている。
【0030】
開閉用カム43は、駆動アーム34の先端側に固着されており、駆動アーム34と一体で回転するようになっている。従って、伝動ケ−ス32cからの駆動力でカム43が回動すると、植付軌跡T(T')の上死点付近の苗植付け体6への植付供給位置Aで、カム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42に当接して一対の苗植付け挟持具31の先端部が閉じる方向に動き、植付供給位置Aにある甘薯苗Nの蔓tの下端部(植付供給位置では甘薯苗が前後方向に向いているのでその後端部)を挟持する。そして、支持リンク部36すなわち苗植付け挟持具31は、該苗植付け挟持具31により苗を挟持したままで駆動アーム34の回転により植付軌跡T(T')の下死点付近まで苗を土壌内に埋め込みながらその先端が後方へ移動するように前後姿勢を前倒れ側に傾けながら作動し、前記下死点付近でカム43の突部43aが苗植付け挟持具作動アーム42から離れ、一対の支持部41の間の引張スプリング44により付勢されて一対の苗植付け挟持具31の先端部が開く方向に動き、挟持していた苗を放して土壌内に移植するようになっている。尚、後述する苗搬送部5により甘薯苗Nを前後方向に向いた姿勢で植付供給位置Aへ供給するので、苗植付け体6が甘薯苗Nをそのまま前後方向に向いた姿勢で土壌内へ移植し、甘薯苗Nの蔓tを土壌面Dに対して傾斜した姿勢で移植するようになっている。尚、苗植付け体6が後下方に延びる植付軌跡T上を作動して植え付けるので、苗が前側に傾いた状態で植え付けられることとなる。このように、苗の植付姿勢の前傾を大きくして船底植えにすると、苗の根が多数本伸長しやすくなり栽培される甘薯の個数が増え、加工等の甘薯を栽培するとき等、一個当たりの甘薯の大きさが小さくても多数個の甘薯を栽培したい場合に有用である。
【0031】
そして、植付軌跡T(T')の下死点付近で開いて苗の挟持を解除した一対の苗植付け挟持具31ひいては支持リンク部36は、その姿勢を更に前倒れ側に傾けながら前側に移動するが、その移動途中で転じて鉛直姿勢となる側に前後傾斜姿勢を変えながら作動し、前方へ移動しながら上昇して土中から抜ける退出作動を行う。従って、苗植付け挟持具31は、土壌内へ突入する突入軌跡と土壌から土壌内から退出する退出軌跡とが近くなるので、圃場の植付穴を無闇に大きくすることなく苗の植付を適正に行える。
【0032】
支持リンク部36には平行に筒状のスライドガイド90を一体的に固着して設けており、このスライドガイド90により、苗植付け挟持具31の退出作動時に苗植付け挟持具31が土壌内へ突入する突入位置と該苗植付け挟持具31が土壌内で苗の挟持を解除する挟持解除位置すなわち植付軌跡T(T')の下死点付近との間の土壌を上から押さえる押さえ具91が苗植付け挟持具31(苗植付け体6)に対してスライド可能に設けられている。押さえ具91は、スライドガイド90に挿入されるスライド部91aと土壌面に接触する押さえ部91bとを備えている。前記押さえ部91bは、ゴム等の弾性のある板体で構成され、その下側の面が押さえ面91cとなる。前記スライド部91aには従動体となる従動ローラ91dを設け、苗植付け挟持具31の退出作動時(上昇時)に、前記従動ローラ91dが支持フレーム38から支持されて機体側に取り付けられた駆動体となる押さえ作動用カム92に下側から当たることにより従動ローラ91dの上動が規制され、押さえ具91がスライド移動により下側に突出して押さえ面91cで上方から土壌を押さえる構成となっている。尚、押さえ具91は、スライドガイド90との間に設けたスプリング93により常時上側に付勢されている。
【0033】
前記押さえ作動用カム92は、左右方向の回動軸92a回りに上下に回動する構成となっており、引張スプリング94を介して同軸92a回りに上下に回動する駆動用アーム95に連結されている。尚、前記駆動用アーム95は押さえ作動用カム92に対して上側位置に設けられ、駆動用アーム95と押さえ作動用カム92との間に設けた規制具(規制ボルト)96により駆動用アーム95に対して押さえ作動用カム92が所定以上上側に回動しないように規制している。そして、揺動リンク37の中途部に設けた駆動用ローラ97が前記駆動用アーム95を下側から押し上げることにより、引張スプリング94に引かれて押さえ作動用カム92が斜め後上方へ回動する構成となっている。従って、苗植付け体6が前側へ移動しながら上昇する退出作動行程の終盤(苗植付け体6が作動軌跡Tの上死点に到達する手前)で、揺動リンク37が斜め前上方へ回動して駆動用ローラ97が斜め前上方へ移動することにより、該駆動用ローラ97がその前側にある駆動用アーム95に下側から当たって該アーム95を押し上げ、押さえ作動用カム92を斜め後上方へ回動させて従動ローラ91dから離して退避させ、突出している押さえ具91をスプリング93により上側へ退入させて土壌面から退避させる。よって、前記引張スプリング94、駆動用アーム95、駆動用ローラ97及び揺動リンク37等により、押さえ作動用カム92を従動ローラ91dから退避させる退避機構が構成されている。尚、規制具(規制ボルト)96により押さえ作動用カム92が所定以上上側に回動しないように規制しているので、押さえ作動用カム92が前側へ移動する駆動用ローラ97に干渉して揺動リンク37の前側への回動を阻害するようなことがなく、苗植付け体6がメカロックを起こして破損するようなことを防止している。そして、苗植付け体6が上死点を越えて下降し土中へ突入するまで、駆動用ローラ97が駆動用アーム95を押し上げて押さえ作動用カム92を斜め後上方へ回動させた状態を維持する。従って、苗植付け体6が下降するときに押さえ作動用カム92が従動ローラ91dに作用することがなく、苗植付け体6を抵抗なくスムーズに作動させることができると共に、押さえ具91が苗植付位置近傍の土壌を押さえるようなことを防止でき、苗植付け体6により苗の蔓を土壌内でスムーズに前後方向で長く案内でき、蔓の部分が土壌内で前後に長く埋められるようにして苗を横向き姿勢で適正に移植できる。よって、押さえ作動用カム92を苗植付け体6の作動に連動させて苗植付け体6の退出作動時(上昇時)にのみ押さえ具91が突出作動するように構成されているため、苗植付け体6の上昇時に押さえ具91が確実に突出作動し、苗植付け体6の下降時には押さえ作動用カム92が確実に作用しないようにでき、押さえ作動用カム92自体の寸法や形状の自由度が増すため、押さえ具91の作動量、作動速度又は作動タイミングを所望に設定できる。また、規制具(規制ボルト)96の長さ(規制位置)を調節することにより、押さえ作動用カム92の位置を調節して押さえ具91のスライド作動量、作動速度又は作動タイミングを調節できる調節手段が構成されている。
【0034】
尚、押さえ具91の退入状態(上昇状態)では、押さえ部91bが側面視で一対の苗植付け挟持具31の上部と重複する位置で該苗植付け挟持具31間に設けた空間部に位置する。この空間部は、一対の苗植付け挟持具31の開閉状態に拘らず形成されている。そして、押さえ具91の突出時(下降時)には、開いた状態の一対の苗植付け挟持具31の先端(下端)の間を押さえ部91bが通過して下降するため、押さえ部91bにより一対の苗植付け挟持具31に近い位置で土壌を押さえることができ、苗の株元を的確に押圧できる。従動ローラ91dの押さえ作動用カム92への当接が外れて押さえ具91が退入(上昇)する際には、一対の苗植付け挟持具31は未だ上死点に到達せず開いた状態であるから、押さえ具91を退入(上昇)させることができる。尚、押さえ具91のスライド作動により、押さえ部91bが一対の苗植付け挟持具31の内側をスクレープしながら移動するように構成すれば、押さえ具91と苗植付け体6のスクレーパとを兼用することができる。尚、苗植付け体6のスクレーパを、押さえ部91bとは別部材で押さえ具91のスライド作動と共に移動する構成としてもよい。また、開閉用カム43の突部43aを2段に構成し、押さえ具91が突出するときには一対の苗植付け挟持具31が小さく開いてスクレーパで苗植付け挟持具31の内側に付着する土を剥ぎ落とすようにし、押さえ具91が退入するときには一対の苗植付け挟持具31が大きく開いて押さえ具91をスプリング93により作動抵抗が少なくてスムーズに退入できる構成としてもよい。また、開閉用カム43の突部43aを2段に構成し、押さえ具91の突出及び退入作動時の一方で一対の苗植付け挟持具31を大きく開いてスクレーパで苗植付け挟持具31の内側に付着する土を剥ぎ落とすようにし、他方で一対の苗植付け挟持具31が小さく開いてスクレーパで苗植付け挟持具31の外側に付着する土を剥ぎ落とすように構成してもよい。
【0035】
尚、図10には、押さえ具91とは別に設けたスクレーパ120を設けた構成を示している。このスクレーパ120は、支持フレーム38に回動可能に設けたスクレーパ用アーム121の先端に取り付けられ、揺動リンク37の中途部に設けた駆動用ローラ97が揺動リンク37の前側への回動で後側から当接することにより前記スクレーパ用アーム121を斜め前下側へ回動させて土中から抜け出て上昇する苗植付け挟持具31に作用する構成となっている。尚、前記スクレーパ用アーム121は、スクレーパ用スプリング122により斜め後上側へ回動付勢されている。これにより、上昇する苗植付け挟持具31に対してスクレーパ120が下降して苗植付け挟持具31に付着する土を下に落とす構成としているので、スクレーパ120に土が溜まることがなく、また苗植付け挟持具31の作動軌跡Tにおける短い区間で効率良く土を落とすことができ、特に土中で前後に長く移動して地上での移動軌跡が短い本形態の苗植付け体6に有用である。尚、スクレーパ120が下降した後、苗植付け挟持具31がその作動軌跡T上でスクレーパ120を通過するように構成すれば、スクレーパ120により苗植付け挟持具31を2度スクレープすることができ、苗植付け挟持具31の土落とし作用を向上させることができる。
【0036】
また、押さえ部91bは、ゴム等の弾性のある板体で構成されているため、土壌面に押圧されることで自由に変形し確実に苗を押さえることができる。更に、図9に示すように、押さえ部91bは、支持リンク部36すなわちスライド部91aが前倒れ側に傾斜しながら下側に突出移動するので、下端が前側へ湾曲した状態で土壌面に押し付けられ、十分な苗の押圧力を得ることができ、苗が持ち上がるようなことを確実に防止できる。そして、図9に示すように、押さえ部91bを本来の姿勢が後下がりに傾斜するようにして土壌面から離れたときに下端が後側へ向くように設定すると、上記のように押さえ部91bが押さえ作動して下端が前側へ湾曲した状態で土壌(苗)の押圧力を更に向上させることができると共に、押さえ具91が退入(上昇)したときに、押さえ部91bの下端が後側へ向く本来の姿勢となるため、押さえ部91bがその前側で地上に突出する苗に干渉するようなことを防止でき、苗を引っかけて苗の植付姿勢を悪化させるようなことを防止できる。
【0037】
尚、図12乃至図14に示すように、押さえ部91bを、ゴム等の弾性のある板体に代えて側面視ループ状(輪状)に構成された布製のもの(ベルト材)としてもよい。これにより、押さえ部91bの可撓性が増すため、機体の前進に追従して地面に対して押さえ部91bが移動せずに転がるように接地し、押さえ部91bにより土壌を荒らすようなことを確実に防止できる。この押さえ部91bは、十分な可撓性があるため左右幅を広くしても適確に土壌面を押圧することができ、苗に対して十分な左右幅で押圧することができる。尚、図13に示すように、押さえ具本体に取り付けるための取付部となる押さえ部91bの上部は左右幅が小さく構成され、押さえ部91bが左右に撓みやすくなるので、土壌面が左右に傾斜していても追従して適確に土壌又は苗を押圧できる。尚、図14に示すように、押さえ部91bは、押さえ具本体に対して上下位置調節可能に取り付けでき、適正な苗植付姿勢となるよう押圧作用位置を調節できる。また、押さえ部91bの左右両端部には左右内側へ延びるスリット123を設けており、押さえ具91の突出又は退入作動で押さえ部91bの左右幅を広くしたことにより苗植付け挟持具31と干渉することがあっても、押さえ具91又は苗植付け挟持具31の作動抵抗を低減できスムーズな作動を得ることができる。また、押さえ部91bは、退入している状態で苗植付け挟持具31に対して前側且つ下側に突出しているので、後述する苗搬送部5の植付供給位置Aにある苗収容体26のクリップ49に保持されている苗Nの蔓tを上側から押して苗Nをクリップ49から取り外すように作用し、苗収容体26から苗植付け体6への苗の受け継ぎの円滑化が図れる。
【0038】
また、図15に示すように、押さえ部91bをスライド部91aに対して支点軸124回りに前後に回動自在に設け、該押さえ部91bをトルクスプリング125で後側へ回動するように付勢すれば、仮に対地高さが変化しても押さえ部91bが地面に追従して回動し、確実に土壌を押圧して苗を押さえることができる。また、組付誤差等により仮に退入(上昇)する押さえ具91が苗植付け挟持具31と干渉するようなことがあっても、押さえ部91bが回動して苗植付け挟持具31から退避し、押さえ部91bあるいは苗植付け挟持具31の破損や装置のメカロックを防止することができる。このとき、押さえ部91bの下端が後側へ向く状態にまで回動可能な構成とすれば、押さえ具91が退入(上昇)したときに押さえ部91bがその前側で地上に突出する苗に干渉するようなことを防止できる。また、前記支点軸124の上側に押さえ部91bと一体で回動するストッパ部126を設け、押さえ具91が退入(上昇)したときに該ストッパ部126に揺動リンク37が前側から当たって押さえ部91bが後側へ回動するのを規制する構成とすれば、一対の苗植付け挟持具31が閉じる前に該苗植付け挟持具31の間に押さえ部91bを確実に収めることができ、押さえ部91bあるいは苗植付け挟持具31の破損や装置のメカロックを防止することができる。この構成により、押さえ具91が突出するまでは押さえ部91bの後側への回動が規制されるので、苗植付け挟持具31が苗を挟持してからその挟持を解除するまでは押さえ部91bが苗植付け挟持具31の先端側(挟持される苗側)に回動せず、押さえ部91bが苗植付け挟持具31で挟持される苗に干渉して苗植付姿勢を悪化させるようなことを防止できる。尚、スライド部91aによる押さえ具91のスライド機構に代えて上記の押さえ部91bの回動機構を採用し、一対の苗植付け挟持具31が開くことで該一対の苗植付け挟持具31に収められていた押さえ部91bが斜め後下側に回動して土壌ひいては苗を押さえる構成としてもよい。このとき、図16(b)に示すように、揺動リンク37は後側に回動して前傾姿勢となるので、ストッパ部126が揺動リンク37に当たらず押さえ部91bの後下側への回動が規制されない。そして、図16(a)に示すように、苗植付け体6が上死点の手前位置まで上昇すると、揺動リンク37は前側に回動して後傾姿勢となるので、ストッパ部126が揺動リンク37に当たって押さえ部91bがトルクスプリング125に抗して前上側へ回動し、押さえ部91bが上昇して地面から離れる。
【0039】
尚、押さえ具91の退入(上昇)のタイミングを苗植付け挟持具31が植付軌跡T(T')の上死点を越えて下降しているときに設定しても、挟持される苗の大部分は苗植付け挟持具31の前側に位置するから、苗にあまり作用させずに押さえ具91を退入(上昇)させることができる。
【0040】
また、植付軌跡T(T')における下死点から上死点までの軌跡すなわち上昇軌跡は、苗植付け挟持具31が土壌内へ突入する突入位置より後側で、苗植付け挟持具31が土壌内で苗の挟持を解除する下死点付近の挟持解除位置から前側にあり、押さえ具91が突出作動するとき、苗植付け挟持具31が前記突入位置より後側で前記挟持解除位置より前側に位置する。よって、押さえ具91を支持リンク部36ひいては苗植付け体6と平行で該苗植付け体6に取り付けているので、押さえ具91をコンパクトに配置できる。また、押さえ作動用カム92が機体側に取り付けられているので、苗植付け体6が上昇するほど押さえ具91が前倒れ姿勢で斜め後下方に突出することになり、従って押さえ作動用カム92及び従動ローラ91dにより押さえ部91bの押さえ面91cを機体の前進に伴って後側へ移動させる移動機構が構成されている。尚、押さえ作動用カム92における従動ローラ91dの当接面を前側ほど下方に突出させると、苗植付け体6が斜め前上方へ移動しながら上昇するほど土壌を強く押圧することができ、土壌ひいては苗の押圧を確実に行える。
【0041】
苗搬送部5は、甘薯苗Nを蔓tが前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体26を機体上部側で右方向に搬送する上部横送り部5aと、該上部横送り部5aにより搬送されてきた苗収容体26を機体下方に搬送する下降送り部5bと、該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26を機体上方に搬送し前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻す上昇送り部5cとを備えており、苗収容体26を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。また、上部横送り部5aは、左側の前輪8及び後輪7より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。また、前記上部横送り部5aの後端は、左側の前輪8及び後輪7より後側の位置に配置されている。従って、作業者は、左側の後輪7及び上部横送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aの苗収容体26が配置され、作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。尚、苗植付け体6は、前記下降送り部5bにより苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部26の苗を圃場に植付けるようになっている。尚、前記下降送り部5bには、苗が落下しないように苗収容部26内に苗を案内する苗落下防止板45をその上部で支持部材46から支持して設けている。
【0042】
苗収容体26は、前後に長い樋状の形態で、上部横送り部5aで苗Nを載せる受け面となる受け板部47と、隣接する苗収容体26とを仕切る面となる側板部48とを備え、上部横送り部5aで上方に開放部を有する形態となっている。尚、苗収容体26は、樹脂で構成され、収容する苗を傷めないようにしている。尚、苗収容体26の受け板部47は、上部横送り部5aに位置するときに後側が下位になるように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。また、苗収容体26の前後方向の略中央には、左右の側板部48の上下方向の略中央で該両側板部48を繋ぐように左右方向の苗規制ロッド115を設けている。従って、作業者が、上部横送り部5aで、この苗規制ロッド115の上側に苗Nの蔓tを載せただけで苗Nの蔓tの曲がった側が下側となり、蔓tの曲がりと同じ側に曲がる蔓tの下端が下側に曲がった状態となり、後述する所望の状態で苗収容体26へ苗を供給することができる。
【0043】
また、苗収容体26は、前後にも開放された形状であるが、後端部には苗Nの蔓tの後端部を保持するクリップ49を備えている。このクリップ49は、苗収容体26の左右方向中央位置に設けられ、該苗収容体26と一体で受け板部47から上に突出する左右一対の挟持体50,52で構成されている。尚、前記左右一対の挟持体50,52は、弾性のあるゴムで構成され、挟持する苗Nの蔓tを傷めないようにしている。左右一対の挟持体50,52のうち、左側の挟持体50は、正面視又は背面視で内部に空間を有する中空状態になっており、上面50aが他方(右側)の挟持体52側にいくにつれて低くなる若干傾斜した平面状に構成されると共に、右側の挟持体52側の側面50bが鉛直方向に向く平面の上下中央に右側の挟持体52側と反対側(左側)に屈曲して右側の挟持体52との間に若干の空間を構成する苗保持部分50cを備えた構成となっている。前記右側の挟持体52は、屈曲する一枚の板状で構成され、上端部に下にいくにつれて左側の挟持体50側に近づくように傾斜する傾斜部分52aと該傾斜部分52aの下に続く鉛直方向に向く平面状の側面52bとを備えている。作業者が上部横送り部5aでクリップ49へ苗を供給するとき、左側の挟持体50の上面50aと右側の挟持体52の傾斜部分52aとで甘薯苗Nの蔓tを左側の挟持体50の側面50bと右側の挟持体52の側面52bとの間に供給しやすくしている。そして、作業者が苗Nを下方に押し込むことにより、右側の挟持体52が左側の挟持体50と離れる側(右側)に撓み、苗Nの蔓tが左側の挟持体50の苗保持部分50cに供給されると苗が左右一対の挟持体50,52で挟持されて固定される。尚、右側の挟持体52は、苗Nが前記苗保持部分50cに供給されたとき、この苗保持部分50cの左右一対の挟持体50,52の間隔より苗Nの蔓tの径が大きいため、弾性のあるゴムで構成される右側の挟持体52が左側の挟持体50側に付勢され蔓tに挟持力が作用する。
【0044】
そして、この苗収容体26をチェン54に複数並べて取り付け、そのチェン54を、機体上部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット55,56と、機体下部側の左右に各前後一対づつ設けたスプロケット57,58とに巻きかけている。機体上部側の左右のスプロケット55,56は、支持フレーム38に固着した支持部材46で支持した軸59,60に取り付けている。機体下部側の左右のスプロケット57,58は、支持フレーム38に固着した支持プレート61で支持した軸62,63に取り付けている。そして、上部右側のスプロケット56を駆動すると、苗収容体26が設定搬送方向Cに移動するよう苗搬送部5が駆動する構成となっている。そして、苗搬送部5の駆動部64は、揺動リンク37と一体に上下揺動する連動リンク65の先端部と連動ロッド66を介して連動連結している。また、苗植付け体6の苗植付け作用部6aが苗を挟持するときから下降するまでは苗収容体26が停止して、それ以外のときに苗収容体26が移動するよう、苗搬送部5が間欠駆動するように設けている。
【0045】
苗搬送部5の駆動部64の具体的な構造は、例えば、図4に示すようなものとしている。まず、支持部材46で支持した軸60を上部右側のスプロケット56を一体回転するよう取り付けている軸67の後部と軸継手を介して連結し、この軸67に一体回転するよう取り付けた突起68a付きの従動ディスク68を取付ける。そして、この従動ディスク68の後側に駆動アーム69を軸67に回転自在に取付け、この駆動アーム69の先端部に前記連動ロッド66の上端部を回動自在に取付ける。また、駆動アーム69には、従動ディスク68の突起68aに係合する爪70を取り付けていて、この爪70は、駆動アーム69が苗搬送部5の設定搬送方向Cに作動させるようにスプロケット56を駆動回転させる方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が上動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合固定されて従動ディスク68を一体回転させる。反対方向に回動するとき(図4では駆動アーム69が下動するとき)には、従動ディスク68の突起68aに係合しても逃げて従動ディスク68を一体回転させないというように、ラチェット機構を構成している。そして、従動ディスク68を時計回り及び反時計回りの回り止めとして従動ディスク68の突起68aに係合する二つの爪71を設けている。なお、従動ディスク68を一体的に回転するように駆動アーム69が回動すると、前記ラチェット機構を構成する駆動アーム69の爪70が従動ディスク68の突起68aに係合するのに先行して、駆動アーム69と一体に設けた回り止め解除カム72が、従動ディスク68の一体回動を阻止するように回り止め作用をする爪71の先端部を従動ディスク68の突起68aと係合しない位置に移動させるようになっている。そして、駆動アーム69がそのストローク上限位置まで回動して従動ディスク68が設定角度(図4では90度)回動されると、回り止め解除カム72が前記回り止め用の爪71から外れて、該回り止め用の爪71は再び、従動ディスク68の突起68aと係合して従動ディスク68の回転が固定される。
【0046】
よって、苗植付け体6の苗植付け挾持具31が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体26が停止しているので、苗が円滑に苗収容体26から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。このように、苗植付け体6又は該苗植付け体6に連結して動作する部材と前記苗搬送部5の駆動部64を連動連結した構成としているため、この苗移植機は、苗植付け体6と苗搬送部5の駆動タイミングを容易にとることができ、しかも苗搬送部5の駆動構成を簡潔なものにできる利点がある。
【0047】
尚、下降送り部5bから前記上昇送り部5cに移行する間に機体下部側で苗収容体26を左右水平状に搬送する下部横送り部5dを設け、該下部横送り部5dに植付供給位置Aを設けている。従って、下降送り部5bから上昇送り部5cに移行する間(図示例では、下部右側スプロケット58と下部左側スプロケット357とで搬送される区間)で、下部横送り部5dにより苗収容体26が機体下部側で左右水平状に搬送され、ここで苗収容体26に収容された苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。よって、組付け時のずれ等によって苗植付け体6の苗Nへの植付け作用時における苗収容体26の位置がずれても、苗植付け体6は、移動経路中最下端に移動した状態で且つ同じ姿勢の状態にある苗収容体26の苗Nを植付けられることになり、苗植付け状態の変化を極力少なくできる。
【0048】
苗搬送部5の前側には、植付け伝動ケース32の第一ケース部32aから苗載台支持フレーム81を介して苗載台82を設けている。この苗載台82上に収容箱116等に収容した状態で甘薯苗Nを載置するようになっており、作業者は苗載台82上の苗を苗搬送部5の上部横送り部5aへ供給する。
【0049】
苗搬送部5の後側には、ミッションケース9内の伝動機構を切り替えて走行装置4の走行速度を有段変速操作できる変速レバー83をミッションケース9の位置から後側に延ばして設けている。この苗移植機1は、前部に機体を走行させる走行装置4と、所定の搬送経路で苗を搬送する苗搬送部5と該苗搬送部5によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け体6と後部に操縦ハンドル2とを備えているが、走行装置4から前記苗搬送部5の上部横送り部5a、下降送り部5b及び上昇送り部5cとで囲まれる空間内を通過して苗搬送部5の後側に延びる操作レバ−である変速レバー83を設けた構成となっている。すなわち、変速レバー83は、苗搬送部5の所定のループ状の搬送経路内を通過している。
【0050】
苗植付け体6の後方には、左右一対の鎮圧輪84を設けている。この鎮圧輪84は、遊転輪であり、土壌面に接地して植え付けた苗の上方乃至左右側方の土壌を鎮圧するようになっており、支持フレーム38の後端部から鎮圧輪支持フレーム85を介して設けられている。従って、この左右一対の鎮圧輪84の接地により、植付け伝動ケース32の第三ケース部32cの入力軸33回りに回動する苗植付け体6及び苗搬送部5が支持され、土壌面Dの凹凸に追従して苗植付け体6及び苗搬送部5が揺動して土壌面Dに対して所定の高さに維持されるようになっている。尚、苗植付け体6及び苗搬送部5の自重が鎮圧輪84に作用するので、鎮圧輪84により充分な鎮圧作用を得ることができる。また、図1に示すように、苗植付け体6の植付軌跡Tの上方に鎮圧輪84が配置されており、鎮圧輪84と植付けた苗Nとの位置関係が近づくので密接となり、鎮圧輪84による鎮圧を適正に維持でき鎮圧効果を良好に得ることができる。
【0051】
尚、図17及び図18には、他の鎮圧輪84を示している。この鎮圧輪84は、材質がアルミニウムでお椀型に構成され、接地面の左右幅が狭くてその接地圧を向上させることができる。従って、この鎮圧輪84により、土の崩れを促進させることができ、覆土作用を増すことができる。特に、マルチフィルムを敷設した圃場では、覆土作用が十分に得られないことが多いので、上記鎮圧輪84を使用するとよい。また、この鎮圧輪84は、接地圧が高いので、苗植付け体6の作動でマルチフィルムに孔を開けて苗を植え付ける場合に、マルチフィルムを引っ張ることができて苗植付け体6によりマルチフィルムに容易に孔を開けることができる。特に、本形態の苗植付け体6は前後に大きく移動するのでマルチフィルムに大きな孔を開けることになるが、上記の鎮圧輪84によりマルチフィルムに容易に孔を開けることができるため、苗植付け体6の作動抵抗を少なくしてスムーズな苗植付作動を得ることができる。
【0052】
図19に示すように、ハンドルフレーム23には上下方向に向くボス部128を固着し、該ボス部128に駐車スタンド129を挿入して取り付けることができる構成となっている。ボス部128及び駐車スタンド129の上部129aには前後方向のピン孔を備え、この両者のピン孔に取付ピン130を挿入して機体に駐車スタンド129を固定するようになっている。駐車スタンド129は、上下に延びる上部129aと、該上部129aの下端から屈曲して側方(右側)に延びる中央部129bと、該中央部129bの外端(右端)から屈曲して下方に延び下端部が後方に屈曲する下部129cと、下部129cの下端に固着した接地体129dとを備え、中央部129bにより上部129aに対して接地体129dを左右一方(右側)の後輪7の後方に偏位させた構成となっている。従って、左右の走行車輪7、8により畝をまたいでいる状態でも、畝の溝部に接地体129dを接地させて畝に干渉させることなく駐車スタンド129を立てることができる。また、前記上部129aと前記中央部129bとの間の屈曲部分から前方へ延びる前部129eを設け、この前部129eにもピン孔131を設けている。従って、前記前部129eを下方へ向けた状態でボス部128に上側から挿入し、前記前部129eとボス部128とのピン孔に取付ピン130を挿入して接地体129dが後側へ向く姿勢で機体に取り付けて駐車スタンド129を格納することができる。よって、駐車スタンド129は、ハンドルフレーム23に対して苗搬送部5及び苗植付け体6と反対側(右側)の空間部を利用して効率良く格納できる。
【0053】
以上により、この甘しょ苗移植機は、左右の前輪8及び後輪7により畝をまたいだ状態で走行装置4により機体は自走し、その自走する機体の苗搬送部5の上部横送り部5aに左側の前輪8及び後輪7が通る畝の谷部を歩行するべく左側の後輪7の後方にいる作業者から甘薯苗Nが供給される。苗搬送部5は供給された苗Nを搬送し、そして、苗搬送部5によって植付供給位置Aへ搬送されてきた苗Nを苗植付け体6が圃場に植付ける。苗搬送部5は、苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備え、この苗収容体26に甘薯苗Nがその蔓tが前後方向に向く姿勢で収容される。上部横送り部5aにより機体上部側で左右一方向に搬送される苗収容体26に作業者が苗Nを供給するわけであるが、作業者は苗Nの蔓tの下端部をクリップ49に供給し苗を苗収容体26に固定する。苗が供給された苗収容体26は、上部横送り部5aに続いて下降送り部5bにより機体下方に搬送される。該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26は、上昇送り部5cにより機体上方に搬送されて前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻る。苗植付け体6は、その苗植付け作用部6aが駆動部によって昇降動し、下降送り部5bにより植付供給位置Aへ搬送されてきた苗収容体26に収容された苗Nの後端部に該苗収容体26の後側で作用して苗を圃場に植付ける。このとき、苗Nが苗収容体26のクリップ49に挟持され固定されているが、このクリップ49の挟持力より苗植付け体6の苗植付け挾持具31の挟持力の方が大きいため、苗植付け体6が植付軌跡Tに沿って苗を後側に移動させることにより苗Nの蔓tがクリップ49から外れるようになっている。
【0054】
この甘薯苗を移植するとき、作業者が苗の蔓tの下端部を苗搬送部5の上部横送り部5aにある苗収容体26のクリップ49へ固定させて供給するが、曲がっている蔓tの下端が下側へ向く状態で供給すると、その苗が苗搬送部5により搬送されて植付供給位置Aで蔓tの下端が上側へ向く状態となり苗の葉が蔓に対して上側に向く。そして、苗植付け体6によりその姿勢のままで苗を土壌内に移植する。従って、苗植付け体6の苗の土壌内への搬送行程が単純であるため蔓が折れ曲がっりねじれたりしにくく移植精度が向上すると共に、傾斜させた蔓に対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗を移植できる。また、上下に延びる一対の苗植付け挟持具31が植付供給位置Aで前側に傾斜した状態で上側へ曲がった蔓tの下端を挟持するので、苗植付け挟持具31の向きを曲がった蔓tの下端の向きに対して垂直方向に近い状態にすることができ、植付供給位置Aで苗の位置が多少ずれても苗の挟持の確実化、安定化を図ることができ、適正な姿勢で苗を植え付けることができ、安定した苗の移植を行える。
【0055】
よって、傾斜させた蔓tに対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗Nを移植できるので、移植された苗の葉93は土壌の外に突出して太陽光等の光を受光することができ、根の伸長も旺盛になり良好な成育が行え甘薯の栽培を旺盛にできる。また、蔓tの特に曲がりやすい蔓の下端の向きにより蔓の軸心に対する葉93の向きを判別して移植するので、この判別が容易となり、クリップ49へ苗を供給する作業を容易に行え、作業者の苗収容体26への苗供給作業の作業能率が向上し、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部5を高速で作動させることができ、苗搬送部5の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0056】
以上は歩行型の苗移植機について詳述したが、作業者が座る座席を備える乗用型の苗移植機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】甘薯苗移植機の側面図である。
【図2】甘薯苗移植機の平面図である。
【図3】苗搬送部と苗植付け体とを示す一部省略した背面図である。
【図4】苗搬送部の駆動部を示す背面図である。
【図5】苗植付け体を示す斜視図である。
【図6】植付軌跡を示す側面図である。
【図7】クリップを示す斜視図である。
【図8】押さえ作動用カムを従動ローラから退避させる退避機構を示す側面図である。
【図9】押さえ部の作動状態を示す側面図である。
【図10】スクレーパを示す側面図である。
【図11】苗植付け体及びその周辺の作動機構を判りやすく示した側面図である。
【図12】布製の押さえ部の作動状態を示す側面図である。
【図13】布製の押さえ部を示す図((a)展開図、(b)斜視図)である。
【図14】布製の押さえ部の取付構成を示す斜視図である。
【図15】前後に回動する押さえ部を示す側面図である。
【図16】前後に回動する押さえ部と揺動リンクとの関係を示す側面図(a:押さえ部上昇時、b:押さえ部下降時)である。
【図17】他の鎮圧輪を示す側面図である。
【図18】他の鎮圧輪を示す背面図である。
【図19】駐車スタンドを示す背面図である。
【図20】駐車スタンドを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
4 走行装置 5 苗搬送部
5a 上部横送り部 5b 下降送り部
5c 上昇送り部 6 苗植付け体
7 後輪 26 苗収容部
31 苗植付け挟持具 32c ケース部
34 駆動アーム 36 支持リンク部(基部)
37 揺動リンク(退避機構) 38 支持フレーム
39 支持軸 45 苗落下防止板
48 側板部 50 挟持体
52 挟持体 91 押さえ具
91d 従動体 92 駆動体
94 引張スプリング(退避機構) 95 駆動用アーム(退避機構)
97 駆動用ローラ(退避機構) 120 スクレーパ
121 スクレーパ用アーム C 苗搬送方向
N 苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(4)を備えた機体に、苗(N)を搬送する苗搬送部(5)と、該苗搬送部(5)によって搬送された苗(N)を圃場に植付ける苗植付け体(6)とを備えた苗移植機において、該苗植付け体(6)に、苗搬送部(5)から挟持した苗(N)を前後方向へ向けた姿勢で土壌内へ突入させて土壌内において前後方向へ移動する突入作動がなされた後に苗(N)の挟持を解除し、挟持を解除した状態で上側へ移動して土壌内から退出する退出作動をする苗植付け挟持具(31)を設け、該苗植付け挟持具(31)が植付けた苗(N)の土壌を上から押さえる押さえ具(91)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
機体のケース部(32c)に設けた駆動アーム(34)に苗植付け挟持具(31)を設けた苗植付け体(6)の基部(36)を連結し、苗植付け挟持具(31)の退出作動時に、苗植付け挟持具(31)が土壌内へ突入する突入位置と苗植付け挟持具(31)が土壌内で苗(N)の挟持を解除する挟持解除位置との間の土壌を上から押さえる押さえ具(91)を該基部(36)に対して摺動自在に設け、苗植付け挟持具(31)の退出作動に伴う基部(36)の上動で前記押さえ具(91)と一体で摺動する従動体(91d)に上側から当接する駆動体(92)を機体側に設け、該駆動体(92)を苗植付け挟持具(31)の突入作動時には前記従動体(91d)から退避させる退避機構(37,94,95,97)を設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
土壌内から退出して上昇する苗植付け挟持具(31)に作用して苗植付け挟持具(31)に付着する土を落とすスクレーパ(120)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の苗移植機。
【請求項4】
ケース部(32c)に固定された支持フレーム(38)に支持軸(39)で回動自在に支持した揺動リンク(37)を苗植付け体(6)の基部(36)の下端部に回転自在に連結し、スクレーパ(120)を支持フレーム(38)に回動可能に設けたスクレーパ用アーム(121)に取り付け、揺動リンク(37)の中途部に設けた駆動用ローラ(97)が揺動リンク(37)の回動で当接することによりスクレーパ用アーム(121)を斜め下側へ回動させて土壌内から退出して上昇する苗植付け挟持具(31)に作用する構成としたことを特徴とする請求項3記載の苗移植機。
【請求項5】
苗搬送部(5)に上部横送り部(5a)と上部横送り部(5a)から機体下方に向かう下降送り部(5b)と下降送り部(5b)から機体上方に向かう上昇送り部(5c)を備え、上部横送り部(5a)を走行装置(4)の後輪(7)より側方に突出するように構成し、且つ、上部横送り部(5a)の後端を後輪(7)より後側の位置に配置すると共に、苗搬送部(5)を側面視で上部横送り部(5a)が後側に位置するように傾斜して設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の苗移植機。
【請求項6】
下降送り部(5b)に苗(N)を案内する苗落下防止板(45)を設けたことを特徴とする請求項5記載の苗移植機。
【請求項7】
苗搬送部(5)に側板部(48)と左右一対の弾性のある挟持体(50,52)を設けた苗収容部(26)を苗搬送方向(C)に複数設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−307057(P2008−307057A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215581(P2008−215581)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2005−159083(P2005−159083)の分割
【原出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】