説明

苗移植機

【課題】本発明では、ポット状苗を移植したり裸苗を移植したりすることの出来る苗移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】走行車体2の左右に苗植付ホッパー3,3を設け、この苗植付ホッパー3,3の上方で苗収容体19がループ状に周回して苗植付ホッパー3,3に苗を供給する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の周回する苗収容体19の内側で走行車体2の左右略中央に、単独で昇降して植付動作をする苗植付け具57を設けて苗移植機を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セルトレイで育苗したポット状苗やキャベツ等の裸苗を圃場に植え付ける苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポット状苗の苗移植機として例えば特開2004−113206号公報や特開2007−43958号公報に記載の如く、苗収容体がループ状に周回する苗供給装置を設け、この苗収容体に作業者が苗を供給し、苗収容体が所定位置で苗を苗植付装置に供給して、苗植付装置で苗を圃場に植え付けるようにした構成が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−113206号公報
【特許文献2】特開2007−43958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の苗移植機は、ポット状苗の移植専用機で、キャベツ等の裸苗は根の部分が不定形で苗収容体に苗が納まらなかったりして使用できない。
そこで、本発明では、ポット状苗を移植したり裸苗を移植したりすることの出来る苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行車体2の左右に苗植付ホッパー3,3を設け、この苗植付ホッパー3,3の上方で苗収容体19がループ状に周回して苗植付ホッパー3,3に苗を供給する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の周回する苗収容体19の内側で走行車体2の左右略中央に、単独で昇降して植付動作をする苗植付け具57を設けて苗移植機を構成した。
【0006】
この構成で、苗供給装置20と苗植付ホッパー3を駆動して苗を苗収容体19に供給するとポット状苗の移植作業が行え、苗植付け具57を駆動してこの苗植付け具57に直接苗を供給して裸苗の移植作業が行える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によって、一台の苗移植機でポット状苗の移植と裸苗の移植が適宜に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】苗移植機全体の平面図である。
【図2】苗移植機全体の側面図である。
【図3】鎮圧具部分の斜視図である。
【図4】鎮圧具部分の拡大斜視図である。
【図5】鎮圧具部分の拡大平面図である。
【図6】苗植付け具の側面図である。
【図7】苗植付け具の平面図である。
【図8】苗植付け具の拡大側面図である。
【図9】苗植付け具の斜視図である。
【図10】油圧機構図である。
【図11】一部の拡大平面図である。
【図12】甘藷苗移植機全体の平面図である。
【図13】甘藷苗移植機全体の側面図である。
【図14】甘藷苗移植機の一部正面図である。
【図15】苗搬送部の駆動部を示す背面図である
【図16】苗植付け体を示す斜視図である。
【図17】植付軌跡を示す側面図である。
【図18】クリップを示す斜視図である。
【図19】押さえ作動用カムを従動ローラから退避させる退避機構を示す側面図である。
【図20】押さえ部の作動状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
尚、以下の説明では、操縦ハンドル8を配置した側を後とし、その反対側、即チェーンジン6を配置した側を前とする。そして、機体後部において機体前部側に向って立つ作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0010】
走行車体2は、前部にエンジン6、及びミッションケース7を配置して、後端部に操縦ハンドル8を設け、このミッションケース7の両側に張出する左右アクスルハウジング9周りに回動する回動筒部9aに各々上下揺動する左右車輪ケース1を設け、この車輪ケース1の後端部に設けた車軸11に車輪10を軸装して、これら左右の車輪10,10と、走行車体2前端部に設けた前輪軸12に軸装した左右の前輪13,13とによって走行する構成にしている。尚、エンジン6の左側面部には該エンジン6の動力で駆動する油圧ポンプ6a(図10)が設けられている。また、エンジン6の上側には燃料タンク6bが設けられ、その上部をボンネット6cが覆っている。また、7aは、ミッションケース7の左右両側に基部が固定された左右回動筒部9aを回動自在に支持する左右支持フレームである。
【0011】
走行車体2には機体に対し左右の車輪10を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニットBUから後方に向けて昇降アクチュエータとしての昇降油圧シリンダ15が設けられ、該昇降油圧シリンダ15のピストンロッドの先端部に機体左右方向に長いアームとしての連動アーム16が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前部が油圧バルブユニットBUに支持され後部が走行車体2に固着された取付部材2aに支持されたガイド軸2bに沿って摺動するようになっている。連動アーム16の左右両端部と、回動筒部9aに固着した左右ハウジングアーム14とが、連結体としての左右ロッド18を介して連結されている。左側の左ロッド18は、ローリングシリンダ17が組み込まれており、該ローリングシリンダ17を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0012】
昇降油圧シリンダ15及びローリングシリンダ17は、各々前記油圧ポンプ6aから供給される作動油を油圧バルブユニットBU内の昇降制御バルブ49とローリング制御バルブ48とで制御して作動させられる。昇降油圧シリンダ15を伸縮作動させると、左右車輪10が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ17を伸縮作動させると、左車輪10が機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0013】
5は畝上面を検出する昇降センサであって、該昇降センサ5が上下回動すると、その回動を連結ロッド5dにて昇降制御バルブ49に伝え、昇降センサ5の角度が元に戻る方向に昇降油圧シリンダ15を作動させる(昇降制御)。これにより、畝Aの上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝Aの高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0014】
なお、油圧バルブユニットBU内のローリング制御バルブ48は後述の左右鎮圧具4の相対高さの変動による畝A上面の左右傾斜検出に連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ17が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。また、操縦ハンドル8の基部には操作パネル8aが設けられ、該操作パネル8aに、昇降制御バルブ49を手動操作して機体を手動にて上下動させると共に植付部の駆動を止める植付昇降レバー8bとメインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー8cが設けられている。
【0015】
即ち、一方のハウジングアーム14と連動アーム16の側端部との間を連結する一側部の前記ローリングシリンダ17の伸縮によって、この側の車輪10を、他側部の前記ロッド18によって連結された側の車輪10に対して昇降させて、走行車体2をローリングさせて、走行車体2の左右傾斜を水平にしたり、土壌面に対して平行状にしたりすることができ、走行車体2の左右傾斜姿勢を制御することができる。そして、このような昇降制御は、後述の昇降センサ5の検出により行い、ローリング制御は、苗植位置の植付けた苗に対して左右側部から鎮圧作用を行なう鎮圧具4によって左右傾斜状態を検出して行うものである。
【0016】
ここにおいて、左右車輪ケース1を、走行車体2に対して上下揺動可能に設けた苗移植機において、機体左右方向に2つ並列して配置した左右苗植付ホッパー3による左右各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧具4の上下揺動によってローリング制御する構成である。苗植付ホッパー3の昇降によって圃場に植付けた苗の左右側方を鎮圧具4によって鎮圧し、苗植付姿勢を安定した状態とする。このとき、左右の苗植付位置を各々鎮圧する左右鎮圧具4を、苗植付土壌面の左右傾斜を検出するセンサとして機能する構成にしている。左右の各鎮圧具4は、左右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の左右傾斜を検出して、これらの土壌面の傾斜検出によって前記一方の車輪ケース1を上下に揺動させて、走行車体2を土壌面と左右平行状に維持するようにローリング制御する。
【0017】
また、前記左右車輪ケース1の非苗植位置への揺動(左右車輪10を最下動させて機体を最も上昇させた状態)によって、左右両鎮圧具4を非接地高さへ上昇するように連動構成している。即ち、機体を高く上昇させるときは、左右車輪ケース1を最下動させて走行車体2を非苗植姿勢に上昇させ、左右鎮圧具4が非作用姿勢位置へ連動して上昇され、走行車体2の走行旋回の邪魔にならない状態となり、容易に機体の旋回が行える。
【0018】
前記苗植付ホッパー3は、左右一定間隔位置に配置の2条植え構成として、左右車輪10間の後側幅内に配置している。走行車体2の後部には、ターンテーブル構成に複数の苗収容体としての苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の機体後側の下側に苗植付ホッパー3を左右に2つ配置している。この苗カップ19を左右方向へ回転することによって、走行車体2上部の補助苗受台21に予め搭載されている苗トレイから苗を取出しながら各苗カップ19へ供給する。この各苗カップ19が回転して苗植付ホッパー3の上側に位置したときは、カップ底部のシャッタが開かれて、収容していた苗を下側の苗植付ホッパー3に落下供給する構成である。
【0019】
この苗植付ホッパー3は、苗植ブラケット22に対して左右へ開閉回動可能に設けられて、上側に前記苗カップ19から供給される苗を落下案内するホッパー23を有し、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としている。前記苗植伝動ケース24は走行車体2フレーム部に固着して、前記ミッションケース7部から伝動構成される。この伝動機構の一部によって回転されるクランクアーム軸27によってロッド28を介して上側のリンクアーム25が昇降回動されて、苗植付ホッパー3を上下方向に軌跡Pにて植付作動する。
【0020】
図9に示す如く、前記苗植ブラケット22のレバー29と下側のリンクアーク26の基端部に形成のアーム30との間はワイヤ31で連結して、苗植付ホッパー3の昇降に伴って、この苗植付ホッパー3を開閉するものである。前記クランクアーム軸27の回転によって苗植付ホッパー3を略楕円形状の植付軌跡Pを描いて昇降させると共に、この上死点直前位置から下降する行程ではこの苗植付ホッパー3を閉鎖状態とし、最下降位置で開き上昇行程は開いたままである。
【0021】
左右苗植付ホッパー3は、図7に示す如く、苗植伝動ケース24に装着した位置から大きく左右外側方に変位した位置になるように構成している。即ち、左苗植付ホッパー3は、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としているが、該平行リンクアーム25、26は苗植伝動ケース24に装着された基部から機体左外側に向けて折り曲げた構成としており、該平行リンクアーム25、26の先端部に装着される左苗植付ホッパー3の前方には空間部Kが構成された構造となっている。
【0022】
後述の左車輪10の左右位置調節(トレッド調節)により、この空間部Kに左車輪10を位置させることができ、左苗植付位置のすぐ近傍に左車輪10を配置することができる。同様に、右苗植付ホッパー3は、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としているが、該平行リンクアーム25、26は苗植伝動ケース24に装着された基部から機体右外側に向けて折り曲げた構成としており、該平行リンクアーム25、26の先端部に装着される右苗植付ホッパー3の前方には空間部Kが構成された構造となっている。後述の右車輪10の左右位置調節(トレッド調節)により、この空間部Kに右車輪10を位置させることができ、右苗植付位置のすぐ近傍に右車輪10を配置することができる。従って、畝Aの左右端のぎりぎりの位置に苗を植付けが行える。
【0023】
ターンテーブル構成に複数の苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20の内側で前左右中央位置に、リンク機構56により駆動されて昇降動作する苗植付け具57を設け、該苗植付け具57の下部を二分割して開閉する構成としている。
【0024】
リンク機構56は、ミッションケース7内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース58に装着している。図例のように植付け伝動ケース58は、その前部がミッションケース7の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部58aと、この第一ケース部58aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部58bと、その第二ケース部58bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部58cと、その第三ケース部58cの下端部外側部に固定され左側方に延びる第四ケース部58dと、その第四ケース部58dの左端部に固定され後方水平状に延びる第五ケース部58eを有するものとしている。これら第一ケース部58a〜第五ケース部58e内にリンク機構56を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。なお、第一ケース部58a内に内装した伝動機構には、リンク機構56及び苗植付け具57をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、リンク機構56及び苗植付け具57の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によって苗植付け具57による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0025】
そして、リンク機構56は、苗植付け具57の前側の開閉支点となる軸59の左右中間部に回動自在に連結する第一昇降アーム60と、苗植付け具57の後側の開閉支点となる軸61の左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム62とを備える。そして、第一昇降アーム60の後端部は、第三ケース部58cの上部側後部に突出する取付部に揺動自在に取り付けた第一揺動アーム63の下端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム62の後端部は、第五ケース部58eの上部に突出する取付部に揺動自在に取り付けた第二揺動アーム64の下端部と回動自在に連結する。
【0026】
また、第一昇降アーム60の中間部は、第三ケース部58cの下部右側部から突出し駆動回転する第一駆動軸65に固定されて駆動回転する第一駆動アーム66の先端部と回動自在に連結し、第二昇降アーム62の中間部は、第五ケース部58eの後部右側部から突出し駆動回転する第二駆動軸67に固定されて駆動回転する第二駆動アーム68の先端部と回動自在に連結する。
【0027】
従って、第一駆動アーム66と第二駆動アーム68とが植付け伝動ケース58内の伝動機構によって動力が伝達されて駆動回転すると、第一昇降アーム60と第二昇降アーム62とが揺動しながら昇降動し、その結果、苗植付け具57の下端部が側面視で上下に長い略楕円形状の軌跡Tで昇降動する。
【0028】
また、第一駆動アーム66と第二駆動アーム68とは、共に、左側方から見て反時計回りに回転して苗植付け具57の下端部が左側方から見て反時計回りに略楕円形状の軌跡Tで昇降回動する。従って、作業走行しながら苗植付け具57が上記回転方向で前記軌跡Tを描くように昇降回動すると、軌跡Tの下端部で苗植付け具57の下端部が圃場の土壌中に付き刺さったとき、苗植付け具57が前後に大きくずれないようになり、前後に大きく植え跡を残さずに適確な姿勢で苗を植付けることができる。
【0029】
なお、苗植付け具57は、その昇降動最下位まで下降すると前後に開いて苗植付け具57内の苗を土壌に放出する。
苗植付け具57は、下方に向かって細くなるように延びるくちばし状に形成したもので前後に開閉可能に構成している。このくちばし状部の前側部分である前側部57Fは、その上部側が後方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け具57の後側の開閉支点となる軸61に回動自在に連結し、くちばし状部の後側部分である後側部57Bは、その上部側が前方にアーム状にのびてその先端部が苗植付け具57の前側の開閉支点となる軸59に回動自在に連結する。
【0030】
尚、前記前側部57Fと後側部57Bとで内部に苗収容部分が構成され、該前側部57Fと後側部57Bとの上端部分により苗植付け具57の上端開口部57aが構成されている。そして、前側部57F上部の後方にのびるアーム状部と後側部57B上部の前方にのびるアーム状部とは、それぞれ前側の軸59と後側の軸61との前後中央位置に設けた長孔に横軸方向の軸部を有するナット69を嵌めて連結し、前側部57Fと後側部57Bの一方側は他方側の動作に連動して回動し両者が前後に開閉動作するようになっている。
【0031】
また、前側部57Fと後側部57Bとはスプリング70にて苗植付け具57を閉じる方向に互いに連結している。更に、第二昇降アーム62と第二揺動アーム64とが互いに連結する軸部分に、苗植付け具57を開閉動作させるための開閉アーム71を回動自在に連結し、その開閉アーム71の先端部と後側部57Bの上部後部側とを連結ロッド72で連結している。
【0032】
開閉アーム71の中間部には、回転自在なローラ73を取付けていて、このローラ73が、苗植付け具57がその昇降動最下位まで下降したときに、第二昇降アーム62を回動自在に連結している第二駆動アーム68の先端部に固定の軸68aに固定したカム74の作用によって上方に押上げられて開閉アーム71が上方に回動し、後側部57Bを前側の回動支点である軸59周りに上方回動し、これとともに前側部57Fを後側の回動支点である軸61周りに上方回動して、苗植付け具57が開く。そして、苗植付け具57が上昇途中でカム74の開き作用から開放され苗植付け具57が閉じる。なお、上記のカム74、開閉アーム71、連結ロッド72等は、苗植付け具57の開閉機構を構成するが、公知の別の開閉機構を採用してもよい。
【0033】
苗植付け具57の上部には、苗植付け具57内に苗を案内する筒状の案内体75を取り付けている。
この案内体75の取付構成について説明すると、前記前側の回動支点である軸59及び後側の回動支点である軸61の中途部に該軸59,61に対して回動自在に取付プレート81を各々取り付ける一方、案内体75の外周面から一体で前側に延びる前側プレート42と後側に延びる後側プレート43とを設け、前記取付プレート81と前側プレート82並びに後側プレート83とをボルト84及びナット85で固着し、苗植付け具57に案内体75を取り付けた構成となっている。
【0034】
この案内体75は、リンク機構56により苗植付け具57とともに昇降し、苗植付け具57の開閉支点となる軸59,61より上方に突出させて設けるとともに、案内体75の上端開口部75aが苗植付け具57が最上位に位置するときに操縦ハンドル8のグリップ部8e,8eの上下位置と同じ上下位置或はその近傍に位置するように設けて、作業者が該案内体75の上端開口部75a内に苗を直接投入して苗植付け具57に苗を供給する構成としている。
【0035】
前記案内体75の上端開口部75aは、弾性体であるゴム材で構成されており、その上端の上面が上側へいくほど大きく外側方へ広がるラッパ状に構成されるとともに下側へ向けて湾曲している。従って、仮に苗を投入する作業者の手が案内体75の上端開口部75aに上側から触れることがあっても、作業者が手を負傷するようなことが防止できる。尚、上端開口部75aより下側の部分は、鉄製である。
【0036】
また、筒状の案内体75の上端開口部75aを下端開口部75bより広く設けるとともに、案内体75の下端開口部75bを、苗植付け具57の上端開口部57aに入り込ませて該上端開口部57aより広く設けている。更に、案内体75の上端開口部75aが機体平面視で案内体75の下部外周近傍に配置した苗植付け具57と前記リンク機構56との連結部(図例では、苗植付け具57の前側の開閉支点となる軸59と第一昇降アーム60との連結部、及び苗植付け具57の後側の開閉支点となる軸61と第二昇降アーム62との連結部)の上方に重なるように設けている。
【0037】
また、苗植付け具57の開閉機構を構成する動作部材(図例では、カム74、開閉アーム71、連結ロッド72等)の上方にも重なるように設けている。案内体75の下部は、苗植付け具57の開閉支点となる軸59,61の前後間を上下に位置するように設けていて、ここで、該軸59,61に取り付けた支持部材にて該案内体75の下部を支持している。
【0038】
更に、苗植付け具57が最上位に位置するとき苗植付け具57とリンク機構56との連結部の少なくとも側方を覆うガード体86を設け、該ガード体86の上端部より前記案内体75が上方に突出するように設けている。尚、ガード体86は、図例では、苗植付け具57が最上位に位置するとき苗植付け具57とリンク機構56との連結部の側方だけでなく後方も覆うように構成している。
【0039】
苗植付け具57の前方位置には溝を切る作溝具(図示省略)を溝深さ変更可能に設け、苗植付け具57の後下方には、左右の覆土輪87を設けている。この左右の覆土輪87は苗植付け具57によって圃場に植付けられた苗に対し左右から覆土し鎮圧する転動自在な覆土装置として作用する。
【0040】
この左右の覆土輪87の内側には該覆土輪87を支持する覆土輪フレーム88に固着した左右各々の苗巻き込み防止板89を設けている。該苗巻き込み防止板89は、ゴム製であり、苗植付け具57によって植え付けた苗が覆土輪87に干渉して巻き込まれるようなことを防止している。
【0041】
次に、左右車輪10の左右位置調節(トレッド調節)の構成について図11で説明する。
ミッションケース7の両側に張出する左右アクスルハウジング9周りに回動する左右の回動筒部9aに各々上下揺動する左右の車輪ケース1を設け、この左右の車輪ケース1の後端部に各々設けた右車軸11に車輪10を設けているが、左右の回動筒部9aの左右両端部側の内部には各々左右の車輪ケース1の基部に各々固定した移動筒体9cが嵌入支持されており、取手付きボルト9dにて左右移動を固定している。左右の車輪10の左右位置調節(トレッド調節)を行う場合には、取手付きボルト9dを緩めて、左右の回動筒部9aに対して左右の移動筒体9cを機体左右方向に移動させて車輪10の位置調節を行い、再び取手付きボルト9dを締めて左右の回動筒部9aに左右の移動筒体9cを固定する。このようにして、左右の車輪10は、自由にその左右位置調節(トレッド調節)を行うことができる。図に示すように、車輪10を車輪ケース1の内側に付ければトレッドは最短となる。
【0042】
左右苗植付ホッパー3の後方には、各々、これら左右苗植付ホッパー3によって土壌面(畝A)Aに植付けられた苗の左右側方を鎮圧及び覆土する左右鎮圧具4を設ける。この鎮圧具4は、各苗植付位置に対して左右一対の、左右対称状構成とし、支軸32の周りに回転自在に構成して、前側及び上側を左右に開くように傾斜させた構成としている。前記走行車体2には座席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる構成としている。尚、鎮圧具4の前側の開き角度をボルト4aを緩めて調節できる構成としており、圃場条件や苗条件に応じて、鎮圧具4の圃場に植付けた苗に対する土寄せ量を変更できるようにして、圃場の条件や色々な苗に対応できるようにしている。
【0043】
次に、図3に基づいて、左右鎮圧具4の装着構成及び作用について説明する。
前記走行車体2の後部に取付ブラケット38によって取付ける鎮圧フレーム39に、横方向に沿う正六角軸構成の左右一対の鎮圧アーム軸40を、内側端を向かい合わせた状態で回動自在に設ける。そして、鎮圧具4は、この鎮圧アーム軸40に正六角穴で嵌合したアームボス42に前端を溶接固定した鎮圧アーム41の後端に設けている。このアームボス42をセットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設け、左右鎮圧具4の鎮圧位置を左右に移動調節することができる。
【0044】
各鎮圧アーム41の後端部を背面視で門形状のリヤフレーム44に形成して、このリヤフレーム44の左右両側部に前記左右一対の鎮圧具(鎮圧輪)4を配置して、支軸32で回転自在に支持している。このリヤフレーム44は、畝Aに植付けた苗の上部を左右にまたいで前進方向へ移動することができる構成となっている。又、このリヤフレーム44上には支持アーム46によって、複数個のバランスウエイト45を嵌合支持して、バランスウエイト45の装着数を変えて鎮圧圧力を調整できる構成としている。尚、鎮圧アーム41は鉄製のパイプ材41aに鉄製の平板41bを溶接固定して構成されており、また、平板41bは前部(アームボス42側)が上下方向に幅広で後方になるほど幅狭の構成としており、パイプ材41aを径の小さい細いパイプ材を使って基部側ほど幅広い平板41bを設けることによって、鎮圧アーム41を軽量で強固な構成とすることができ、安価でローリング検出精度の良い制御機構の構成部材を構成できる。
【0045】
前記左右各鎮圧アーム軸40の内端部には各々一体回動する左右センサアーム47を設け、各センサアーム47の後端部は各々が平行状になるように構成されており、一方のセンサアーム47にローリング制御バルブ48を切替え作動させるセンサワイヤ50のアウターワイヤ受け50aを装着し、他方のセンサアーム47にセンサワイヤ50のインナーワイヤ受け50bを装着している。
【0046】
従って、左右鎮圧具4が同方向に上下動する時は、各センサアーム47の後端部間隔が変化しないので、センサワイヤ50はローリング制御バルブ48を切替え作動しない。また、左右の畝A上面の高さが異なって左右鎮圧具40の上下移動量が異なる場合には、各センサアーム47の後端部間隔が変化するので、センサワイヤ50はローリング制御バルブ48を切替え作動する。例えば、右鎮圧具4が左鎮圧具4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で右側が高い場合)には、各センサアーム47の後端部間隔が狭まり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが押されてローリング制御バルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を縮小作動させ、左車輪10を下動させて機体が畝Aに機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。逆に、左鎮圧具4が右鎮圧具4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で左側が高い場合)には、各センサアーム47の後端部間隔が広がり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが引かれてローリング制御バルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を伸ばす方向に作動させ、左車輪10を上動させて機体が畝Aに機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。
【0047】
また、各センサアーム47の平行状に設けられた後端部には、各々前後方向の長穴47aが各々設けられており、該各長穴47aに各々上記のアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bが前後方向に移動調節自在且つ締め付けボルト50cにて位置固定自在に設けられている。
【0048】
従って、締め付けボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の前方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤIN−Wの押し引き量が少なくなるので(各センサアーム47の回動支点とアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bとの距離KLが短くなり、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が大きくてもインナーワイヤIN−Wの押し引き量は小さくなるので)、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が大きくないとローリング制御が作動しないような鈍感なローリング制御状態となる。
【0049】
逆に、締め付けボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の後方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤIN−Wの押し引き量が多くなるので(各センサアーム47の回動支点とアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bとの距離KLが長くなり、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が小さくてもインナーワイヤIN−Wの押し引き量は大きくなるので)、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が小さくてもローリング制御が作動するような敏感なローリング制御状態となる。
【0050】
よって、センサワイヤ50を各センサアーム47から外すことなく、単に各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47上をスライド移動させるだけで簡単にローリング制御の感度調節を行うことができる。尚、各センサアーム47には、感度調節位置を示すマークMが刻印されている。
【0051】
尚、アウターワイヤ受け50aにはインナーワイヤIN−Wの張り方向に沿って凹み部50a’が設けてあり、該凹み部50a’にインナーワイヤ受け50bの係合片部50b’が嵌り込んだ状態となっており、左右鎮圧輪4の上下作動量が大きく変動しても、インナーワイヤ受け50bの係合片部50b’がアウターワイヤ受け50aの凹み部50a’の上下端に接当して、各センサアーム47の平行状に設けられた後端部の開き量は規制された構成となっている。即ち、各センサアーム47は、ローリング制御検出に必要な量だけ作動する構成となっている(各センサアーム47が大きく開いて、インナーワイヤIN−Wを切ってしまうような事態を回避できる)。
【0052】
また、昇降油圧シリンダ15を伸縮することによって左右両車輪10を走行車体2に対して同時に昇降させる昇降制御は、機体と圃場面(畝A上面)との間隔を検出する昇降センサ5の検出により、昇降制御バルブ49を切替えて行う。
【0053】
即ち、鎮圧フレーム39の前部に溶接固定した支持アーム39aの先端に昇降センサ支持板5aを機体左右方向に設けた支持軸5bにて回動自在に支持し、該昇降センサ支持板5aの右側に昇降センサ5をボルト5cにて左右位置調節自在に設けている。そして、昇降センサ5の圃場面(畝A面)の高さ変動検出にて、支持軸5b回りに昇降センサ支持板5aが回動すると、その回動で連結ロッド5dを介して昇降制御バルブ49が切替え作動する構成となっている。
【0054】
即ち、昇降センサ5の下端の圃場接地部5’が圃場面(畝A面)と接地しており、圃場面(畝A面)が高くなると、昇降センサ5の下端の圃場接地部5’が上動して、昇降センサ支持板5aを支持軸5b回りにイ方向に回動させ、連結ロッド5dを押して昇降制御バルブ49を切替え作動し、昇降油圧シリンダ15を伸びる方向に作動させて左右車輪10を下動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように昇降制御する。
【0055】
逆に、圃場面(畝A面)が低くなると、昇降センサ5の下端の圃場接地部5’が下動して、昇降センサ支持板5aを支持軸5b回りに反イ方向に回動させ、連結ロッド5dを引いて昇降制御バルブ49を切替え作動し、昇降油圧シリンダ15を縮小する方向に作動させて左右車輪10を上動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように昇降制御する。
【0056】
そして、昇降センサ5の下端の圃場接地部5’は、右鎮圧具4の前方に位置するように左右位置調節して設け、昇降センサ5の下端の圃場接地部5’が接地する圃場面(畝A面)に右苗植付ホッパー3が苗を植付け、その後を右鎮圧具4が鎮圧作用する。
【0057】
また、昇降センサ5を機体の左右方向で右側(右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置の前方及び右鎮圧具4の前方)に位置させた理由は、前記ローリングシリンダ17を機体の左側に配置して左車輪10を上下動させて機体のローリング制御を行う構成としたので、該ローリングシリンダ17を配置した側と機体左右方向で反対側の右側(機体のローリング制御で上下動する左車輪10と機体左右方向で反対側の右側)に昇降センサ5を配置することにより、ローリング制御時に機体の右側は大きく上下動しないので、昇降センサ5にて正確な圃場面(畝A面)が検出出来て、ローリング制御にあまり影響を受けずに適正な機体の昇降制御が行えて、適切な苗植付け深さで適切に苗の植付け作業が行える。
【0058】
また、支持軸5bと昇降センサ5下端の圃場接地部5’(右鎮圧具4の鎮圧位置)との距離L1よりも、支持軸5bと左鎮圧具4の鎮圧位置との距離L2の方が長くなるように、支持軸5bを配置している。これは、ローリングシリンダ17が機体左側に設けられているので、機体左側はローリング制御の影響による上下動の変化量が大きいが、機体右側はローリング制御による影響が少ないことから、支持軸5bを機体左右中央位置から右側に変位して配置することにより、昇降センサ5がローリング制御の影響を受け難くし、適正な機体の昇降制御が行えるようにしたものである。
【0059】
一方、前記各左右センサアーム47の基端部には、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a後端を連結して、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a前端を左右回動筒部9aに基部を溶接固定した左右アーム9b先端に連結している。尚、各リフトワイヤ51の各アウターワイヤ51bの前後は、各々左右支持フレーム7a及び鎮圧フレーム39に固定されている。
【0060】
従って、この各リフトワイヤ51の連結によって、前記左右車輪ケース1の下動(左右車輪10の下動)により、左右回動筒部9aが回動して左右インナーワイヤ51aを引き、左右のセンサアーム47がロ方向に回動し、左右各鎮圧アーム41を上方に向けて強制回動することができ、機体旋回時に左右車輪10を最下動させて機体を上昇させた時、自動的に左右鎮圧具4が上方に収納回動されて機体の旋回が容易に行える。尚、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a前端と左右回動筒部9aに基部を溶接固定した左右アーム9b先端との連結部には、長穴で構成した融通機構が設けられており、通常の左右車輪10の昇降制御及びローリング制御による下動ではインナーワイヤ51aは引かれず、機体旋回時の左右車輪10を大きく下動させた時にのみインナーワイヤ51aは引かれて自動的に左右鎮圧具4が上方に収納回動される構成となっている。
【0061】
また、右鎮圧具4に連結された右センサアーム47を引く右リフトワイヤ51は、左車輪10を上下動させる左回動筒部9a側に連結されており、左鎮圧具4に連結された左センサアーム47を引く左リフトワイヤ51は、右車輪10を上下動させる右回動筒部9a側に連結されている。即ち、左車輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させ、右車輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させる構成としている。
【0062】
これは、前記のように左右鎮圧具10の相対上下高さ変動による左右センサアーム47の相対位置変動にてローリング制御バルブ48を切替えてローリングシリンダ17を作動させてローリング制御を行なう構成としたから、もし、左車輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させ、右車輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させる構成にすると、右鎮圧具4が上動して右センサアーム47が変位した状態でローリング制御が作動して機体が水平状態になっている時に、機体旋回の為に左右車輪10を下動させると前記ローリング制御でローリングシリンダ17が作動したままで左右車輪10は下動し、機体最上昇時に機体が傾斜した状態となってしまうので、左車輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させ、右車輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させる構成とすることにより、機体旋回又は機体移動の為に左右車輪10を下動させると、左右リフトワイヤ51にて左右センサアーム47がローリングシリンダ17を中立位置に戻すようにローリング制御バルブ48を切替えて、機体は水平状態で上昇する。
【0063】
従って、旋回時に機体は水平状態となり良好に且つ容易に旋回作業が行える。また、機体をリフトして圃場間を移動する場合(路上走行の場合)も機体は水平状態となり良好に且つ容易に機体を走行させることができる。
【0064】
前記鎮圧アーム41を左右に移動調節する時は、この調節操作を容易にするために、鎮圧アーム軸40の周りに切欠目印55を形成しておき、この目印55の位置にアームボス42の位置をあわせることによって的確な植付条位置への鎮圧位置決めを行うことができる。
【0065】
76はU字状に形成したスタンドであって、下方に垂下した状態で機体を支持する作用状態と機体後方に向けて回動上昇させた収納状態とに切替えられる構成となっている。即ち、鎮圧フレーム39にスタンド76の左右上端部を回動支持ピン77にて回動自在に設け、引張バネ78にてスタンド76を作用状態と収納状態とに保持できる構成となっている(引張バネ78の鎮圧フレーム39側に係合した端部とスタンド76側に係合した端部とを結ぶ線が、スタンド76を作用状態と収納状態とにした時に、回動支持ピン77を越えて移動する所謂支点越えする構成とすることにより保持できる)。
【0066】
作業者は、足先等でスタンド76を前方に押せば、収納状態から作用状態となり、足先等でスタンド76を後方に引けば、作用状態から収納状態となって、その取り扱いが容易で、作業性が良い。尚、スタンド76の作用時の高さは、機体を下げてスタンド76が接地して機体を支持した状態で左右鎮圧具4が共に接地する高さにしている。
【0067】
これは、スタンド76にて機体を支持した時、必ず、左右鎮圧具4が共に接地する為に、左右鎮圧具4によるローリング制御が作動して、機体は必ず接地面と水平となり、安定したスタンド76による機体の支持が行える。特に、トラックで機体を搬送する場合には、トラックの荷台にスタンド76を作用状態にして機体を下降させてスタンド76で機体を支持した時、機体はトラックの荷台と水平になっているので、安定した機体の搬送が行える。
【0068】
左右の前輪13の間となる機体の前端部には畝Aの上面に接地して該畝Aの終端を検出する畝終端センサ90を設け、該畝A終端センサ90は下方に向けてバネで付勢した状態となっており、機体の前進により畝Aのないところに到達して畝終端センサ90がバネの付勢力で下動して、畝Aの終端に到達したことを検出する構成となっている。
【0069】
この畝終端センサ90による畝Aの終端の検出に基づいて、主クラッチを自動的に切って左右の車輪10の駆動と左右苗植付ホッパー3並びに苗供給装置20の駆動を停止し、機体を停止させると共に、警報(例えばブザー等の警音)を出して作業者に告知する。これにより、座席33に座る作業者は、機体の進行方向に対して後ろ向きとなり、苗補給作業に集中しているため機体の前方を確認しにくく、機体が畝Aの終端に達したことに気づかず、周囲の構造物への衝突等の事故を発生させるおそれがあるが、前記畝終端センサ90により畝Aの終端で機体を自動停止すると共に警報で畝Aの終端に達したことを告知するため、安全に作業が行え、また機体の前方の状況及び畝Aの終端の位置を気にせずに苗供給装置20への苗補給作業を集中して行え、植付作業能率が向上する。
【0070】
この畝終端センサ90は、機体の左右方向右側位置で昇降センサ5下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧具4の前方に配置されている。即ち、畝A終端センサ90及び昇降センサ5下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧具4は、機体左側に配置されたローリングシリンダ17とは機体左右方向で反対側の機体右側に機体前後方向で一直線上に配置された構成となっている。従って、ローリングシリンダ17を配置した側と機体左右方向で反対側の右側(機体のローリング制御で上下動する左車輪10と機体左右方向で反対側の右側)に畝A終端センサ90及び昇降センサ5下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧具4を機体前後方向で一直線上に配置することにより、ローリング制御時に機体の右側は大きく上下動しないので、畝終端センサ90にて正確な畝Aの終端を検出でき、昇降センサ5にて正確な圃場面(畝A面)の検出が行えて、ローリング制御にあまり影響を受けずに正確な畝Aの終端を検出による各部停止や報知が行え、また、適正な機体の昇降制御が行えて、適切な苗植付け深さで適切に苗の植付け作業が行える。尚、畝終端センサ90も他の部材と同様に、ボルト90aを緩めて畝A終端センサ90の基部を機体左右方向に移動調節して再びボルト90aにて固定することにより、機体左右方向に位置調節をすることができる。
【0071】
次に、苗植付け具57を用いて裸苗を植付ける作用を説明する。
苗植付け具57を使用する場合は、前記の苗植付ホッパー3と苗供給装置20の駆動を停止し、苗植付け具57のみを駆動することになる。
【0072】
苗植付け具57を駆動させて機体を前進させると、下部を二分割して開閉する苗植付け具57が昇降駆動するリンク機構56によって昇降動作して苗植付け具57内に供給された苗を圃場に植付けていく。苗植付け具57内への苗の供給は、苗植付け具57の上部に設けた筒状の案内体75の上端開口部75a内に作業者が苗を直接投入し、その投入された苗が案内体75により案内されて苗植付け具57内に落下していって、苗植付け具57内に苗が供給される。
【0073】
そして、案内体75が上方に突出し、しかも、苗植付け具57が最上位に位置するとき、案内体75の上端開口部75aが操縦ハンドル8のグリップ部8e,8eの上下位置近傍に位置する。また、筒状の案内体75の上端開口部75aが、下端開口部75bより広く、且つ、機体平面視で案内体75の下部外周近傍に配置した苗植付け具57とリンク機構56との連結部の上方に重なる。
【0074】
更に、ガード体86が、苗植付け具57が最上位に位置するとき苗植付け具57とリンク機構56との連結部の少なくとも側方を覆う。しかし、案内体75は、ガード体86の上端部より上方に突出する。従って、作業者は苗植付け具57の上部に設けた筒状の案内体75の上端開口部75a内に苗を直接投入して苗植付け具57に苗を供給するものとなり、よって、茎葉部が長い苗や重量が軽い裸苗の場合でも、従来のように苗が引っかかって苗植付け具に適確に落下しないというようなことは生じにくくなり、苗の種類や形状、大きさ等が相違しても適確に移植できるものとなる。しかも、案内体75の上端開口部75aが苗植付け具57が最上位に位置するときに操縦ハンドル8のグリップ部8e,8eの上下位置近傍に位置するので、作業者が案内体に苗を投入するとき案内体の上端開口部が適当な高さに位置することになって、苗の投入が容易且つ適確に行なえ作業が能率よく行える。
【0075】
更に、筒状の案内体75の上端開口部75aが、下端開口部75bより広く、且つ、機体平面視で案内体75の下部外周近傍に配置した苗植付け具57とリンク機構56との連結部の上方に重なるので、案内体75の上端開口部75a内への苗の投入が容易に行え、また、苗を案内体75内に投入するときに、昇降動する苗植付け具57及びリンク機構56に手などが上方から接触してしまうことが生じにくくなり作業が安全に行える。
【0076】
また、苗植付け具57が最上位に位置するとき苗植付け具57とリンク機構56との連結部の少なくとも側方を覆うガード体86を設けているので、苗を案内体75内に投入するときに、昇降動する苗植付け具57及びリンク機構56に手などが側方から接触してしまうことが生じにくくなり作業が安全に行え、しかも、案内体75はガード体86の上端部より上方に突出するので、ガード体86を設けながらも苗を案内体75内に投入する作業は容易に行えるものとなる。
【0077】
図12以降に示す図面は、甘薯苗等の蔓状苗Nを移植する乗用苗移植機である。
苗移植機101は、走行装置104と操縦ハンドル102を備えた機体に、苗Nを搬送する苗搬送部105と、該苗搬送部105によって搬送されてきた苗Nを圃場に植付ける苗植付け装置となる苗植付け体106とを左右に一対備えている。走行装置104は、図示例では、エンジン103と、該エンジン103の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪107と、該後輪107の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪108とを備えたものとしている。
【0078】
エンジン103の後部には、ミッションケース109を配置し、そのミッションケース109は、その左側部からエンジン103の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン103の左側部と連結している。このケース部分にエンジン103の出力軸が入り込んでミッションケース109内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース109の左右両側部に伝動ケース110を回動自在に取り付け、この伝動ケース110の回動中心にミッションケース109から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース110内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース110内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側方に突出する車軸11に伝動し、後輪107が駆動回転するようになっている。
【0079】
また、伝動ケース110のミッションケース109への取付部には、上方に延びるアーム112を一体的に取り付けていて、これがミッションケース109に固定された昇降用油圧シリンダ113のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆114の左右両側部と連結している。その連結部の右側はロッド115で連結し、左側は伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダ116で連結している。
【0080】
昇降用油圧シリンダ113が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム112は後方に回動し、これに伴い伝動ケース110が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ113のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム112は前方に回動し、これに伴い伝動ケース110が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ113は、機体に対する畝A上面高さを検出するセンサ117の検出結果に基づいて機体を畝A上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル102近傍に配置した植付昇降レバー118の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。
【0081】
尚、前記植付昇降レバー118は、苗植付け体106及び苗搬送部105の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー118の側方には、ミッションケース109内の主クラッチ(図示せず)を操作して走行装置104の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー119を設けている。
【0082】
また、前記左右水平制御用油圧シリンダ116が伸縮作動すると、前記天秤杆114が、その左右中央部の昇降用油圧シリンダ113のピストンロッド先端と連結する上下軸心周りに回動して左右の伝動ケース110を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ116は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
【0083】
前記左右前輪108は、エンジン103下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム120の左右両側部の下方に延びるアーム部分121の下端部側方に固定した車軸122に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪108は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。
【0084】
前記操縦ハンドル102は、ミッションケース109に前端部を固定したハンドルフレーム123の後端部に取り付けられている。ハンドルフレーム123は、機体の左右中央に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル102は、ハンドルフレーム123の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル102のグリップ部102a,102aとしている。操縦ハンドル102の左右のグリップ部102a,102aは、作業者がそのグリップ部102a,102aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部102a,102aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル102の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0085】
尚、上記走行装置104は、四輪構成としたものであるが、左右一対の駆動輪のみの2輪構成でもよいし、前輪の替わりに畝A上面を転動する鎮圧輪としてもよい。また、クローラー式の走行装置としてもよい。
【0086】
次に、苗植付け体106について説明する。
苗植付け体106は、その苗保持具となる苗植付け作用部106aを昇降動させる駆動部と連結し、該苗植付け体106の苗植付け作用部106a(一対の苗植付け挟持具131)が、苗搬送部105により搬送されてきた苗に作用して苗を圃場に植付ける構成としたものである。
【0087】
苗植付け体106を駆動する駆動部は、ミッションケース109内から苗植付け具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース132に設けている。植付け伝動ケース132は、その前部がミッションケース109の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部132aと、この第一ケース部132aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部132bと、その第二ケース部132bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部132cとを有するものとしている。
【0088】
これら第一ケース部132aから第三ケース部132c内に苗植付け体106を駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。第三ケース部132c内の伝動構成は、該第三ケース部132cの入力軸133からチェーン210を介して中継軸211へ伝動し、該中継軸211から一対の伝動ギヤ200,201を介して該ケース部132cから出力される駆動軸135へ伝動される構成となっている。尚、前記第三ケース部132cは、第二ケース部132bの出力軸すなわち該第三ケース部132cの入力軸133回りに回動自在に設けられている。そして、苗植付け体106及び苗搬送部105は、走行装置104に対してこの第三ケース部132cの入力軸133回りに回動自在に設けられている。
【0089】
また、第一ケース部132a内に内装した伝動機構には、苗植付け体106をその昇降動最上位の位置で或はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構(図示せず)と、苗植付け体106及び苗搬送部105を作動停止させる植付クラッチ(図示せず)とを備える。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構(図示せず)によって調節され、この調節によって苗植付け体106による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0090】
そして、苗植付け体106は、その駆動部としての駆動回転する駆動アーム134と連結して駆動される。駆動アーム134は、機体左側から見て右回りに回転駆動し、前記第三ケース部132cの後部右側部から突出し駆動回転する駆動軸135にセットボルト134aにより外れないように取り付けられている。そして、駆動アーム134の先端部に苗植付け体106の基部となる支持リンク部136の上端部を回転自在に連結し、その支持リンク部136の下端部に揺動リンク137の前端部を回転自在に連結している。揺動リンク137の後端部は、第三ケース部132cに前部が固定されて後方に延びる支持フレーム138の後端部に設けた支持軸139で回転自在に支持している。
【0091】
従って、苗植付け体106は、駆動アーム134が駆動回転すると、その先端部(下端部)の苗植付け作用部106aは、図13に示すように、略上方から土壌内に突入して土中で後方へ移動する突入作動がなされて下死点位置まで移動し、前記突入作動の軌跡の上側で該軌跡の近くを通過するように前側へ移動しながら上側へ移動して土壌内から退出する退出作動がなされ、前後に長い軌跡Tを描いて運動することになる。なお、図13に示すような軌跡Tは、機体に対して苗植付け作用部106aが描く運動軌跡(静軌跡)であり、軌跡T'は、設定した作業時速度で機体が前進走行したときの圃場に対して苗植付け作用部106aが描く運動軌跡(動軌跡)である。
【0092】
図16の苗植付け体106の拡大斜視図に示すように、苗植付け体106は連結軸140回りに回動連結される一対の支持部141と該支持部141の先端部に固着した苗を挟持する一対の苗植付け挟持具131と、支持部141の連結軸140に対して前記苗植付け挟持具131とは反対側に支持部141に固着した一対の苗植付け挟持具作動アーム142とから構成されている。
【0093】
尚、これらの支持部141、一対の苗植付け挟持具131及び一対の苗植付け挟持具作動アーム142は、機体側面視で若干前側に傾斜して上下方向に長い構成となっている。該苗植付け挟持具作動アーム142の上端部にはそれぞれ円板142aを設け、この円板142aが開閉用カム143の側面に当接している。連結軸を支持リンク部136に取り付けており、開閉用カム143の側面に設けた突部143aが円板142aに当接することにより一対の苗植付け挟持具作動アーム142の互いの間隔が広くなってひいては一対の支持部141が互いに連結軸140回りに回動して、一対の苗植付け挟持具131の間隔が広がるようになっている。
【0094】
従って、開閉用カム143により、一対の苗植付け挟持具131を苗を挟持したりその挟持を解除したりする構成となっている。尚、一対の支持部141の間には引張スプリング144を設けており、この引張スプリング144により一対の苗植付け挟持具131を互いに近づく方向へ付勢している。また、苗植付け挟持具131の対向する面にディンプルを設けて苗を挟持し易くしている。
【0095】
開閉用カム143は、駆動アーム134の先端側に固着されており、駆動アーム134と一体で回転するようになっている。従って、第三ケース部132cからの駆動力でカム143が回動すると、植付軌跡T(T')の上死点付近の苗植付け体106への植付供給位置UKで、カム143の突部143aが苗植付け挟持具作動アーム142に当接して一対の苗植付け挟持具131の先端部が閉じる方向に動き、植付供給位置UKにある苗Nの蔓tの下端部(植付供給位置では甘薯苗が前後方向に向いているのでその後端部)を挟持する。
【0096】
そして、支持リンク部136すなわち苗植付け挟持具131は、該苗植付け挟持具131により苗を挟持したままで駆動アーム134の回転により植付軌跡T(T')の下死点付近まで苗を土壌内に埋め込みながらその先端が後方へ移動するように前後姿勢を前倒れ側に傾けながら作動し、前記下死点付近でカム143の突部143aが苗植付け挟持具作動アーム142から離れ、一対の支持部141の間の引張スプリング144により付勢されて一対の苗植付け挟持具131の先端部が開く方向に動き、挟持していた苗を放して土壌内に移植するようになっている。
【0097】
尚、後述する苗搬送部105により苗Nを前後方向に向いた姿勢で植付供給位置UKへ供給するので、苗植付け体106が苗Nをそのまま前後方向に向いた姿勢で土壌内へ移植し、苗Nの蔓tを土壌面Dに対して傾斜した姿勢で移植するようになっている。尚、苗植付け体106が後下方に延びる植付軌跡T上を作動して植え付けるので、苗が前側に傾いた状態で植え付けられることとなる。このように、苗の植付姿勢の前傾を大きくして船底植えにすると、苗の根が多数本伸長しやすくなり栽培される甘薯の個数が増え、加工等の甘薯を栽培するとき等、一個当たりの甘薯の大きさが小さくても多数個の甘薯を栽培したい場合に有用である。
【0098】
そして、植付軌跡T(T')の下死点付近で開いて苗の挟持を解除した一対の苗植付け挟持具131ひいては支持リンク部136は、その姿勢を更に前倒れ側に傾けながら前側に移動するが、その移動途中で転じて鉛直姿勢となる側に前後傾斜姿勢を変えながら作動し、前方へ移動しながら上昇して土中から抜ける退出作動を行う。従って、苗植付け挟持具131は、土壌内へ突入する突入軌跡と土壌から土壌内から退出する退出軌跡とが近くなるので、圃場の植付穴を無闇に大きくすることなく苗の植付を適正に行える。
【0099】
支持リンク部136には平行に筒状のスライドガイド190を一体的に固着して設けており、このスライドガイド190により、苗植付け挟持具131の退出作動時に苗植付け挟持具131が土壌内へ突入する突入位置と該苗植付け挟持具131が土壌内で苗の挟持を解除する挟持解除位置すなわち植付軌跡T(T')の下死点付近との間の土壌を上から押さえる押さえ具191が苗植付け挟持具131(苗植付け体106)に対してスライド可能に設けられている。押さえ具191は、スライドガイド190に挿入されるスライド部191aと土壌面に接触する押さえ部191bとを備えている。前記押さえ部191bは、ゴム等の弾性のある板体で構成され、その下側の面が押さえ面191cとなる。前記スライド部191aには従動体となる従動ローラ191dを設け、苗植付け挟持具131の退出作動時(上昇時)に、前記従動ローラ191dが支持フレーム138から支持されて機体側に取り付けられた駆動体となる押さえ作動用カム192に下側から当たることにより従動ローラ191dの上動が規制され、押さえ具191がスライド移動により下側に突出して押さえ面191cで上方から土壌を押さえる構成となっている。尚、押さえ具191は、スライドガイド190との間に設けたスプリング193により常時上側に付勢されている。
【0100】
前記押さえ作動用カム192は、左右方向の回動軸192a回りに上下に回動する構成となっており、引張スプリング194を介して同軸192a回りに上下に回動する駆動用アーム195に連結されている。尚、前記駆動用アーム195は押さえ作動用カム192に対して上側位置に設けられ、駆動用アーム195と押さえ作動用カム192との間に設けた規制具(規制ボルト)196により駆動用アーム195に対して押さえ作動用カム192が所定以上上側に回動しないように規制している。そして、揺動リンク137の中途部に設けた駆動用ローラ197が前記駆動用アーム195を下側から押し上げることにより、引張スプリング194に引かれて押さえ作動用カム192が斜め後上方へ回動する構成となっている。
【0101】
従って、苗植付け体106が前側へ移動しながら上昇する退出作動行程の終盤(苗植付け体106が作動軌跡Tの上死点に到達する手前)で、揺動リンク137が斜め前上方へ回動して駆動用ローラ197が斜め前上方へ移動することにより、該駆動用ローラ197がその前側にある駆動用アーム195に下側から当たって該アーム195を押し上げ、押さえ作動用カム192を斜め後上方へ回動させて従動ローラ191dから離して退避させ、突出している押さえ具191をスプリング193により上側へ退入させて土壌面から退避させる。よって、前記引張スプリング194、駆動用アーム195、駆動用ローラ197及び揺動リンク137等により、押さえ作動用カム192を従動ローラ191dから退避させる退避機構が構成されている。
【0102】
尚、規制具(規制ボルト)96により押さえ作動用カム192が所定以上上側に回動しないように規制しているので、押さえ作動用カム192が前側へ移動する駆動用ローラ197に干渉して揺動リンク137の前側への回動を阻害するようなことがなく、苗植付け体106がメカロックを起こして破損するようなことを防止している。そして、苗植付け体106が上死点を越えて下降し土中へ突入するまで、駆動用ローラ197が駆動用アーム195を押し上げて押さえ作動用カム192を斜め後上方へ回動させた状態を維持する。
【0103】
従って、苗植付け体106が下降するときに押さえ作動用カム192が従動ローラ191dに作用することがなく、苗植付け体106を抵抗なくスムーズに作動させることができると共に、押さえ具191が苗植付位置近傍の土壌を押さえるようなことを防止でき、苗植付け体106により苗の蔓を土壌内でスムーズに前後方向で長く案内でき、蔓の部分が土壌内で前後に長く埋められるようにして苗を横向き姿勢で適正に移植できる。
【0104】
よって、押さえ作動用カム192を苗植付け体106の作動に連動させて苗植付け体106の退出作動時(上昇時)にのみ押さえ具191が突出作動するように構成されているため、苗植付け体106の上昇時に押さえ具191が確実に突出作動し、苗植付け体106の下降時には押さえ作動用カム192が確実に作用しないようにでき、押さえ作動用カム192自体の寸法や形状の自由度が増すため、押さえ具191の作動量、作動速度又は作動タイミングを所望に設定できる。また、規制具(規制ボルト)96の長さ(規制位置)を調節することにより、押さえ作動用カム192の位置を調節して押さえ具191のスライド作動量、作動速度又は作動タイミングを調節できる調節手段が構成されている。
【0105】
尚、押さえ具191の退入状態(上昇状態)では、押さえ部191bが側面視で一対の苗植付け挟持具131の上部と重複する位置で該苗植付け挟持具131間に設けた空間部に位置する。この空間部は、一対の苗植付け挟持具131の開閉状態に拘らず形成されている。
【0106】
そして、押さえ具191の突出時(下降時)には、開いた状態の一対の苗植付け挟持具131の先端(下端)の間を押さえ部191bが通過して下降するため、押さえ部191bにより一対の苗植付け挟持具131に近い位置で土壌を押さえることができ、苗の株元を的確に押圧できる。従動ローラ191dの押さえ作動用カム192への当接が外れて押さえ具191が退入(上昇)する際には、一対の苗植付け挟持具131は未だ上死点に到達せず開いた状態であるから、押さえ具191を退入(上昇)させることができる。
【0107】
尚、押さえ具191のスライド作動により、押さえ部191bが一対の苗植付け挟持具131の内側をスクレープしながら移動するように構成すれば、押さえ具191と苗植付け体106のスクレーパとを兼用することができる。尚、苗植付け体106のスクレーパを、押さえ部191bとは別部材で押さえ具191のスライド作動と共に移動する構成としてもよい。
【0108】
また、開閉用カム143の突部143aを2段に構成し、押さえ具191が突出するときには一対の苗植付け挟持具131が小さく開いてスクレーパで苗植付け挟持具131の内側に付着する土を剥ぎ落とすようにし、押さえ具191が退入するときには一対の苗植付け挟持具131が大きく開いて押さえ具191をスプリング193により作動抵抗が少なくてスムーズに退入できる構成としてもよい。
【0109】
また、開閉用カム143の突部143aを2段に構成し、押さえ具191の突出及び退入作動時の一方で一対の苗植付け挟持具131を大きく開いてスクレーパで苗植付け挟持具131の内側に付着する土を剥ぎ落とすようにし、他方で一対の苗植付け挟持具131が小さく開いてスクレーパで苗植付け挟持具131の外側に付着する土を剥ぎ落とすように構成してもよい。
【0110】
次に、苗搬送部105について説明する。
苗搬送部105は、苗Nを蔓tが前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体126を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体126を機体上部側で右方向に搬送する上部横送り部105aと、該上部横送り部105aにより搬送されてきた苗収容体126を機体下方に搬送する下降送り部105bと、該下降送り部105bにより搬送されてきた苗収容体126を機体上方に搬送し前記上部横送り部105aの搬送始端側に戻す上昇送り部105cとを備えており、苗収容体126を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。また、上部横送り部105aは、左側の前輪108及び後輪107より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。また、前記上部横送り部105aの後端は、左側の前輪108及び後輪107より後側の位置に配置されている。
【0111】
従って、作業者は、左側の後輪107及び上部横送り部105aの後側で該上部横送り部105aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部105aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部105の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部105aの苗収容体126が配置され、作業者が上部横送り部105aの苗収容体126への苗供給作業を容易に行えるようにしている。
【0112】
尚、苗植付け体106は、前記下降送り部105bにより苗搬送部105の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置UKへ搬送された苗収容部26の苗を圃場に植付けるようになっている。尚、前記下降送り部105bには、苗が落下しないように苗収容体126内に苗を案内する苗落下防止板145をその上部で支持部材146から支持して設けている。
【0113】
苗収容体126は、前後に長い樋状の形態で、上部横送り部105aで苗Nを載せる受け面となる受け板部147と、隣接する苗収容体126とを仕切る面となる側板部148とを備え、上部横送り部105aで上方に開放部を有する形態となっている。この苗収容体126は、樹脂で構成され、収容する苗を傷めないようにしている。
【0114】
尚、苗収容体126の受け板部147は、上部横送り部105aに位置するときに後側が下位になるように傾斜しており、苗搬送部105の後側にいる作業者が上部横送り部105aの苗収容体126への苗供給作業を容易に行えるようにしている。また、苗収容体126の前後方向の略中央には、左右の側板部148の上下方向の略中央で該両側板部148を繋ぐように左右方向の苗規制ロッド115を設けている。
【0115】
従って、作業者が、上部横送り部105aで、この苗規制ロッド115の上側に苗Nの蔓tを載せただけで苗Nの蔓tの曲がった側が下側となり、蔓tの曲がりと同じ側に曲がる蔓tの下端が下側に曲がった状態となり、後述する所望の状態で苗収容体126へ苗を供給することができる。
【0116】
また、苗収容体126は、前後にも開放された形状であるが、後端部には苗Nの蔓tの後端部を保持するクリップ149を備えている。このクリップ149は、苗収容体126の左右方向中央位置に設けられ、該苗収容体126と一体で受け板部147から上に突出する左右一対の挟持体150,152で構成されている。尚、前記左右一対の挟持体150,152は、弾性のあるゴムで構成され、挟持する苗Nの蔓tを傷めないようにしている。
【0117】
左右一対の挟持体150,152のうち、左側の挟持体50は、正面視又は背面視で内部に空間を有する中空状態になっており、上面150aが他方(右側)の挟持体152側にいくにつれて低くなる若干傾斜した平面状に構成されると共に、右側の挟持体152側の側面150bが鉛直方向に向く平面の上下中央に右側の挟持体152側と反対側(左側)に屈曲して右側の挟持体152との間に若干の空間を構成する苗保持部分150cを備えた構成となっている。前記右側の挟持体152は、屈曲する一枚の板状で構成され、上端部に下にいくにつれて左側の挟持体150側に近づくように傾斜する傾斜部分152aと該傾斜部分152aの下に続く鉛直方向に向く平面状の側面152bとを備えている。
【0118】
作業者が上部横送り部105aでクリップ149へ苗を供給するとき、左側の挟持体150の上面150aと右側の挟持体152の傾斜部分152aとで苗Nの蔓tを左側の挟持体150の側面150bと右側の挟持体152の側面152bとの間に供給しやすくしている。そして、作業者が苗Nを下方に押し込むことにより、右側の挟持体152が左側の挟持体150と離れる側(右側)に撓み、苗Nの蔓tが左側の挟持体150の苗保持部分150cに供給されると苗が左右一対の挟持体150,152で挟持されて固定される。尚、右側の挟持体152は、苗Nが前記苗保持部分150cに供給されたとき、この苗保持部分150cの左右一対の挟持体150,152の間隔より苗Nの蔓tの径が大きいため、弾性のあるゴムで構成される右側の挟持体152が左側の挟持体150側に付勢され蔓tに挟持力が作用する。
【0119】
そして、この苗収容体126をチェーン154に複数並べて取り付け、そのチェーン154を、機体上部側の左右に各前後一対ずつ設けたスプロケット155,156と、機体下部側の左右に各前後一対ずつ設けたスプロケット157,158とに巻きかけている。機体上部側の左右のスプロケット155,156は、支持フレーム138に固着した支持部材146で支持した軸159,160に取り付けている。機体下部側の左右のスプロケット157,158は、支持フレーム138に固着した支持プレート161で支持した軸162,163に取り付けている。
【0120】
そして、上部右側のスプロケット156を駆動すると、苗収容体126が設定搬送方向Cに移動するよう苗搬送部105が駆動する構成となっている。そして、苗搬送部105の駆動部164は、揺動リンク137と一体に上下揺動する連動リンク165の先端部と連動ロッド166を介して連動連結している。また、苗植付け体106の苗植付け作用部106aが苗を挟持するときから下降するまでは苗収容体126が停止して、それ以外のときに苗収容体126が移動するよう、苗搬送部105が間欠駆動するように設けている。
【0121】
苗搬送部105の駆動部164の具体的な構造は、例えば、図15に示すようなものとしている。まず、支持部材146で支持した軸160を上部右側のスプロケット156を一体回転するよう取り付けている軸167の後部と軸継手を介して連結し、この軸167に一体回転するよう取り付けた突起168a付きの従動ディスク168を取付ける。そして、この従動ディスク168の後側に駆動アーム169を軸167に回転自在に取付け、この駆動アーム169の先端部に前記連動ロッド166の上端部を回動自在に取付ける。
【0122】
また、駆動アーム169には、従動ディスク168の突起168aに係合する爪170を取り付けていて、この爪170は、駆動アーム169が苗搬送部105の設定搬送方向Cに作動させるようにスプロケット156を駆動回転させる方向に回動するとき(図15では駆動アーム169が上動するとき)には、従動ディスク168の突起168aに係合固定されて従動ディスク168を一体回転させる。反対方向に回動するとき(図15では駆動アーム169が下動するとき)には、従動ディスク168の突起168aに係合しても逃げて従動ディスク168を一体回転させないというように、ラチェット機構を構成している。そして、従動ディスク168を時計回り及び反時計回りの回り止めとして従動ディスク168の突起168aに係合する二つの爪171を設けている。なお、従動ディスク168を一体的に回転するように駆動アーム169が回動すると、前記ラチェット機構を構成する駆動アーム169の爪170が従動ディスク168の突起168aに係合するのに先行して、駆動アーム169と一体に設けた回り止め解除カム172が、従動ディスク168の一体回動を阻止するように回り止め作用をする爪171の先端部を従動ディスク168の突起168aと係合しない位置に移動させるようになっている。
【0123】
そして、駆動アーム169がそのストローク上限位置まで回動して従動ディスク168が設定角度(図15では90度)回動されると、回り止め解除カム172が前記回り止め用の爪171から外れて、該回り止め用の爪171は再び、従動ディスク168の突起168aと係合して従動ディスク168の回転が固定される。
【0124】
よって、苗植付け体106の苗植付け挟持具131が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体126が停止しているので、苗が円滑に苗収容体126から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。このように、苗植付け体106又は該苗植付け体106に連結して動作する部材と前記苗搬送部105の駆動部164を連動連結した構成としているため、この苗移植機は、苗植付け体106と苗搬送部105の駆動タイミングを容易にとることができ、しかも苗搬送部105の駆動構成を簡潔なものにできる利点がある。
【0125】
尚、下降送り部105bから前記上昇送り部105cに移行する間に機体下部側で苗収容体126を左右水平状に搬送する下部横送り部105dを設け、該下部横送り部105dに植付供給位置UKを設けている。従って、下降送り部105bから上昇送り部105cに移行する間(図示例では、下部右側スプロケット158と下部左側スプロケット157とで搬送される区間)で、下部横送り部105dにより苗収容体126が機体下部側で左右水平状に搬送され、ここで苗収容体126に収容された苗Nを苗植付け体106が圃場に植付ける。よって、組付け時のずれ等によって苗植付け体106の苗Nへの植付け作用時における苗収容体126の位置がずれても、苗植付け体106は、移動経路中最下端に移動した状態で且つ同じ姿勢の状態にある苗収容体126の苗Nを植付けられることになり、苗植付け状態の変化を極力少なくできる。
【0126】
苗搬送部105の前側には、植付け伝動ケース132の第一ケース部132aから苗載台支持フレーム181を介して苗載台182を設けている。この苗載台182上に収容箱216等に収容した状態で苗Nを載置するようになっており、作業者は苗載台182上の苗を苗搬送部105の上部横送り部105aへ供給する。
【0127】
苗搬送部105の後側には、ミッションケース109内の伝動機構を切り替えて走行装置104の走行速度を有段変速操作できる変速レバー183をミッションケース109の位置から後側に延ばして設けている。この苗移植機101は、前部に機体を走行させる走行装置104と、所定の搬送経路で苗を搬送する苗搬送部105と該苗搬送部105によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け体106と後部に操縦ハンドル102とを備えているが、走行装置104から前記苗搬送部105の上部横送り部105a、下降送り部105b及び上昇送り部105cとで囲まれる空間内を通過して苗搬送部105の後側に延びる操作レバ−である変速レバー183を設けた構成となっている。すなわち、変速レバー183は、苗搬送部105の所定のループ状の搬送経路内を通過している。
【0128】
苗植付け体106の後方には、左右一対の鎮圧輪184を設けている。この鎮圧輪184は、遊転輪であり、土壌面に接地して植え付けた苗の上方乃至左右側方の土壌を鎮圧するようになっており、支持フレーム138の後端部から鎮圧輪支持フレーム185を介して設けられ、左右の苗植付け体106の間隔を変更する条間調整に伴って鎮圧輪184も左右に移動する。
【0129】
従って、この左右一対の鎮圧輪184の接地により、植付け伝動ケース132の第三ケース部132cの入力軸133回りに回動する苗植付け体106及び苗搬送部105が支持され、土壌面Dの凹凸に追従して苗植付け体106及び苗搬送部105が揺動して土壌面Dに対して所定の高さに維持されるようになっている。尚、苗植付け体106及び苗搬送部105の自重が鎮圧輪184に作用するので、鎮圧輪184により充分な鎮圧作用を得ることができる。
【0130】
また、図13に示すように、苗植付け体106の植付軌跡Tの上方に鎮圧輪184が配置されており、鎮圧輪184と植付けた苗Nとの位置関係が近づくので密接となり、鎮圧輪184による鎮圧を適正に維持でき鎮圧効果を良好に得ることができる。
【0131】
以上により、この苗移植機は、左右の前輪108及び後輪107により畝Aをまたいだ状態で走行装置104により機体は自走し、その自走する機体の苗搬送部105の上部横送り部105aに左側の前輪108及び後輪107が通る畝Aの谷部を歩行するべく左側の後輪107の後方にいる作業者から苗Nが供給される。
【0132】
苗搬送部105は供給された苗Nを搬送し、そして、苗搬送部105によって植付供給位置UKへ搬送されてきた苗Nを苗植付け体106が圃場に植付ける。苗搬送部105は、苗収容体126を苗搬送方向Cに複数備え、この苗収容体126に苗Nがその蔓tが前後方向に向く姿勢で収容される。
【0133】
上部横送り部105aにより機体上部側で左右一方向に搬送される苗収容体126に作業者が苗Nを供給するわけであるが、作業者は苗Nの蔓tの下端部をクリップ149に供給し苗を苗収容体126に固定する。苗が供給された苗収容体126は、上部横送り部105aに続いて下降送り部105bにより機体下方に搬送される。該下降送り部105bにより搬送されてきた苗収容体126は、上昇送り部105cにより機体上方に搬送されて前記上部横送り部105aの搬送始端側に戻る。苗植付け体106は、その苗植付け作用部106aが駆動部によって昇降動し、下降送り部105bにより植付供給位置UKへ搬送されてきた苗収容体126に収容された苗Nの後端部に該苗収容体126の後側で作用して苗を圃場に植付ける。このとき、苗Nが苗収容体126のクリップ149に挟持され固定されているが、このクリップ149の挟持力より苗植付け体106の苗植付け挟持具131の挟持力の方が大きいため、苗植付け体106が植付軌跡Tに沿って苗を後側に移動させることにより苗Nの蔓tがクリップ149から外れるようになっている。
【0134】
この苗移植機で甘薯苗を移植するとき、作業者が苗の蔓tの下端部を苗搬送部105の上部横送り部105aにある苗収容体126のクリップ149へ固定させて供給するが、曲がっている蔓tの下端が下側へ向く状態で供給すると、その苗が苗搬送部105により搬送されて植付供給位置UKで蔓tの下端が上側へ向く状態となり苗の葉が蔓に対して上側に向く。そして、苗植付け体106によりその姿勢のままで苗を土壌内に移植する。
【0135】
従って、苗植付け体106の苗の土壌内への搬送行程が単純であるため蔓が折れ曲がたり捩れたりしにくく移植精度が向上すると共に、傾斜させた蔓に対して葉が上側に集中的に向けられた状態で甘薯苗を移植できる。
【0136】
また、上下に延びる一対の苗植付け挟持具131が植付供給位置UKで前側に傾斜した状態で上側へ曲がった蔓tの下端を挟持するので、苗植付け挟持具131の向きを曲がった蔓tの下端の向きに対して垂直方向に近い状態にすることができ、植付供給位置UKで苗の位置が多少ずれても苗の挟持の確実化、安定化を図ることができ、適正な姿勢で苗を植え付けることができ、安定した苗の移植を行える。
【0137】
よって、傾斜させた蔓tに対して葉が上側に集中的に向けられた状態で苗Nを移植できるので、移植された苗の葉93は土壌の外に突出して太陽光等の光を受光することができ、根の伸長も旺盛になり良好な成育が行え甘薯の栽培を旺盛にできる。
【0138】
また、蔓tの特に曲がりやすい蔓の下端の向きにより蔓の軸心に対する葉93の向きを判別して移植するので、この判別が容易となり、クリップ149へ苗を供給する作業を容易に行え、作業者の苗収容体126への苗供給作業の作業能率が向上し、移植作業能率を向上させるべく苗搬送部105を高速で作動させることができ、苗搬送部105の苗搬送作業の作業能率の向上を図ることができる。
【0139】
以上は歩行型の苗移植機について詳述したが、左右苗植付け体106の後側で機体中央に作業者が座る座席と足を置くステップを設けた乗用型の苗移植機を構成すると機体バランスが良くなる。その際に、座席には背もたれを設けない方が乗降が楽になる。
【符号の説明】
【0140】
2 走行車体
3 苗植付ホッパー
19 苗収容体
20 苗供給装置
57 苗植付け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の左右に苗植付ホッパー(3,3)を設け、この苗植付ホッパー(3,3)の上方で苗収容体(19)がループ状に周回して苗植付ホッパー(3,3)に苗を供給する苗供給装置(20)を設け、この苗供給装置(20)の周回する苗収容体(19)の内側で走行車体(2)の左右略中央に、単独で昇降して植付動作をする苗植付け具(57)を設けてなる苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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