説明

落差調整ますの製造方法

【課題】本発明は大きな落差にも対応できる落差調整ますを簡単に製造することを目的とする。
【解決手段】落差調整ます1の縦管2を別個に押出し成形等で製造しておき、該縦管2の下端部を射出成形金型9内にインサートしインバート部3のみを射出成形して該縦管2に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば地中に埋没される下水配管において、流入側と流出側とに落差がある場合に使用される落差調節ますに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10に示す落差調整ます(1A)は、縦管(2A)と、該縦管(2A)の下端に設けられる流出側管接続部(4A)を差出した有底のインバート部(3A)とからなり、該縦管(2A)の所定個所に接続口(5A)を切開き、該接続口(5A)に流入側管接続部(6A)を取付ける。
従来、該落差調整ます(1A)は縦管(2A)とインバート部(3A)とを一体的に射出成形することによって製造されている。
【0003】
【特許文献1】実開平9−567号公報
【特許文献2】実開平5−89581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように縦管とインバート部とを一体的に射出成形する場合、縦管が長くなると射出成形装置が大規模高価になり、また成形物の脱型が困難になる。
したがって上記方法では縦管の長さが限られ、大きな落差に対応出来ないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、縦管の下端に流出側管接続部取付け用の孔を介して流出側管接続部を差出したインバート部を一体的に設け、該インバート部の流出側管接続部側には内外一対の立上り部を設け、該内外一対の立上り部によって該流出側管接続部取付け用の孔の周縁を内外から挟持すると共に、該縦管の所定個所に接続口を穿設して流入側管接続部を取付ける落差調整ますを製造する方法であって、該縦管の下端部を射出成形金型内にインサートし、該射出成形金型によって該縦管下端にインバート部を成形接続することを特徴とする落差調整ますの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
縦管(2) は例えば押出し成形により長さに制限なく製造することが出来る。そこで本発明では縦管(2) は別途に製造しておき、該縦管(2) の下部を射出成形金型(9) 内にインサートし、インバート部(3) を射出成形して該縦管(2) の下部に接合する。
〔効果〕
本発明で落差調整ますの縦管部分は押出し成形等で別個に成形し、インバート部のみ射出成形で成形するので、縦管を長くすることが出来、大きな落差にも対応できる落差調整ますが提供出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図6に示す一実施例によって説明すれば、図1に示すのは縦管(2) であって、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂の押出し成形によって製造される。このような成形方法によれば成形物の長さの制限はない。
【0008】
該縦管(2) の下端部には流出側管接続部(4) 取付け用の孔(7) が設けられ、図2に示すような成形装置(8) にセットされる。該成形装置(8) は射出成形金型(9) を具備し、該金型(9) はインバート部(3) の上側形状を成形する上内型(10)と、インバート部(3) の下側形状を成形する下内型(11)と、流出側管接続部(4) の内側形状を成形する管接続部内型(12)と、インバート部(3) の外側形状を成形する二分割された外型(13,14) および可動基台(15)、固定基台(16)とからなり、可動基台(15)は下内型(11)と一体的にされており、固定基台(16)からはアンギュラピン(17)が差出されている。
【0009】
該金型(9) の外型(13)上面からは左右一対の油圧シリンダー(18,19) が立設され、該一対のシリンダー(18,19) のピストンロッド(20,21) の上端には上下可動盤(22)が差渡され、該上下可動盤(22)からは引抜きロッド(23)が金型(9) の上内型(10)に接続されている。更に外型(13)の側面から差出されている支持枠(24)には油圧シリンダー(25)が支持されており、該油圧シリンダー(25)のピストンロッド(26)は管接続部内型(12)に接続して引抜きロッドとなっている。
【0010】
該金型(9) の外型(14)上面からは支柱(27)が立設されており、該支柱(27)の上端には下側に斜面(29)を有する押圧ヘッド(28)が設けられており、一方該上下可動盤(22)上には該押圧ヘッド(28)の斜面(29)が当接する斜面(31)を有するブロック(30)が設けられている。
【0011】
上記縦管(2) は下端部を上記金型(9) 内にインサートされ、インバート部(3) の材料である熱可塑性合成樹脂が射出成形される。該合成樹脂は縦管(2) の材料と同一にすることが望ましい。この際、縦管(2) の上端には上下可動盤(22)が当接しており、該縦管(2) は該上下可動盤(22)を介して押圧ヘッド(28)によって押圧され、射出成形圧によって該縦管(2) が浮上がることを阻止される。
【0012】
このようにしてインバート部(3) を成形した後、外型(13)を図3矢印イ方向に移動させ、かつ固定基台(16)のピン(17)で可動基台(15)を押して該可動基台(15)を矢印ロ方向に移動させ図4に示す状態とし、更に油圧シリンダー(18,19,25)を作動させて成形物から上内型(10)、管接続部内型(12)を引抜き、図5および図6に示す製品としての落差調整ます(1) を金型(9) から取出す。該落差調整ます(1) のインバート部(3) には側面から流出側管接続部(4) が差出されており、該落差調整ます(1) の縦管(2) の所定個所には従来と同様、接続口を切開き、該接続口に流入側管接続部を取付ける。なお、図2に示すように、該インバート部(3)の流出側管接続部(4)側には内外一対の立上り部を設け、該内外一対の立上り部によって該流出側管接続部(4)取付け用の孔(7)の周縁を内外から挟持するようにしている。
【0013】
図7および図8には他の実施例が示される。本実施例では縦管(2) の下端部をドーム形に切欠いて流出側管接続部(4) の取付け用切欠き(7A)とする。そして前実施例と同様い該縦管(2) の下端部を成形装置の射出成形金型にインサートしてインバート部(3A)を成形する。
【0014】
本実施例以外、本発明は図9に示すようにインバート部(32)の底部から流出側管接続部(42)を差出したドロップ式の落差調整ますにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】縦管部分の斜視図
【図2】成形装置正面図
【図3】成形装置一部切欠き側面図
【図4】型開き状況の成形装置側面図
【図5】落差調整ます断面図
【図6】落差調整ます斜視図 図7および図8は他の実施例を示すものである。
【図7】縦管部分の斜視図
【図8】落差調製ますの斜視図
【図9】更に他の実施例の落差調製ます
【図10】従来の落差調整ます斜視図
【符号の説明】
【0016】
1 落差調整ます
2 縦管
3,3A,32 インバート部
4,42 流出側管接続部
8 成形装置
9 射出成形金型
10 上内型
11 下内型
12 管接続部内型
13,14 外型
18,19 油圧シリンダー
23 引抜きロッド
25 油圧シリンダー
26 ピストンロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦管の下端に流出側管接続部取付け用の孔を介して流出側管接続部を差出したインバート部を一体的に設け、該インバート部の流出側管接続部側には内外一対の立上り部を設け、該内外一対の立上り部によって該流出側管接続部取付け用の孔の周縁を内外から挟持すると共に、該縦管の所定個所に接続口を穿設して流入側管接続部を取付ける落差調整ますを製造する方法であって、
該縦管の下端部を射出成形金型内にインサートし、該射出成形金型によって該縦管下端にインバート部を成形接続することを特徴とする落差調整ますの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−280838(P2008−280838A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162067(P2008−162067)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【分割の表示】特願平11−369701の分割
【原出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】