蓄電デバイス
【課題】信頼性が高くかつ高電圧の出力が可能な蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】リチウムイオンキャパシタ11は、正極21、負極31及びセパレータ41を1対のみ積層して構成した蓄電セル51が複数直列に接続された構造を有する。蓄電セル51の周囲に配置された絶縁体枠71によって、正極21、負極31、セパレータ41及び電解液が保持される。正極集電体23における正極材22の塗布エリアは、対向配置される負極集電体33における負極材32の塗布エリアの内側に位置する。隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。
【解決手段】リチウムイオンキャパシタ11は、正極21、負極31及びセパレータ41を1対のみ積層して構成した蓄電セル51が複数直列に接続された構造を有する。蓄電セル51の周囲に配置された絶縁体枠71によって、正極21、負極31、セパレータ41及び電解液が保持される。正極集電体23における正極材22の塗布エリアは、対向配置される負極集電体33における負極材32の塗布エリアの内側に位置する。隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極、セパレータ、及び負極を積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有する蓄電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電等の負荷平準化装置、コンピュータ等に代表される電子機器の瞬時電圧低下対策装置、電気自動車やハイブリッドカーのエネルギー回生装置などのような蓄電システムにおいては、エネルギー容量が大きくてかつ急速充放電が可能な蓄電デバイスが必要とされている。従来の鉛蓄電池やその他の二次電池では、大電流の充放電に弱くサイクル寿命が短いため、その蓄電システムに対応することは困難であった。そこで、それらの問題を解決しうる新たな蓄電デバイスとして、近年、非水系の蓄電デバイスが注目されている。
【0003】
現在、この種の蓄電デバイスの主流は、電気二重層機能を使用したキャパシタ(いわゆる電気二重層キャパシタ)である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、電気二重層キャパシタは、容量が小さくて電圧が低いため、大容量・高電圧を実現しようとすると装置全体が大型化するという問題がある。そこで、この問題を解決しうる新たな蓄電デバイスとして、リチウムプレドープ型リチウムイオンキャパシタが提案されている。このタイプのリチウムイオンキャパシタでは、リチウムの吸蔵及び放出が可能な材料からなる負極電極を用い、その負極電極にリチウムをプレドープすることにより、負極電位を下げている。その結果、電池として高い電圧を得ることができ、これによりエネルギー容量も大きくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−170687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の電気二重層キャパシタを直列接続して、例えば90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合、電気二重層キャパシタの充電電圧は2.5V程度であるため、36個のキャパシタが必要となる。これに対して、リチウムイオンキャパシタの充電電圧は3.8Vと高い電圧であるため、90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合には、24個のキャパシタを用いればよく、電気二重層キャパシタを用いる場合と比較して、モジュールの小型化が可能となる。
【0006】
ところが、従来のリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスにおいて、複数の蓄電セルを直列に接続する場合、図11に示されるように、電極100から延びるタブ101を介して行う必要がある。この場合、電極面全体に電流i1が均一に流れ難く、電圧降下のバラツキが発生してしまう。
【0007】
また、リチウムイオンキャパシタには下限電位があり、正極電位がその下限電位を下回ると、還元反応が起こるためキャパシタの電気特性が劣化してしまう。従って、従来のリチウムイオンキャパシタは、正負極間の出力電圧を0Vまで下げることができず、2.2V程度の下限電圧を維持する必要があった。具体的には、従来のリチウムイオンキャパシタにおいて、放電経路を遮断するための保護回路が設けられており、出力電圧が2.2Vとなると、その保護回路が作動するように構成されている。ここで、例えば90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合、24個のリチウムイオンキャパシタを直列接続する必要があるため、下限電圧である2.2Vまで各リチウムイオンキャパシタを放電させた状態でモジュールの組み立てを行ったとしても、モジュール全体では53V程度の高電圧となってしまう。このため、端子間のショート等を十分に注意して組み立てる必要があり、作業時間等が増加して製造コストが嵩んでしまう。さらに、絶縁のための設備等が必要であり、そのためのコストも増加してしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性が高くかつ高電圧の出力が可能な蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段[1]〜[6]を以下に列挙する。
【0010】
[1]正極材を正極集電体の片側に塗布した構造の正極と、負極材を負極集電体の片側に塗布した構造の負極と、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータと、リチウム塩を含んだ電解液とを備え、前記正極、前記負極及び前記セパレータを1対のみ積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有し、あらかじめ前記負極にリチウムイオンをプレドープする蓄電デバイスであって、前記蓄電セルの周囲に配置され、前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記電解液を保持するための絶縁体枠を備え、前記絶縁体枠は、前記正極集電体と前記負極集電体とにより挟まれるようにして配置され、前記蓄電セルの厚さ方向からみて、前記正極集電体における前記正極材の塗布エリアは、対向配置される前記負極集電体における前記負極材の塗布エリアの内側に位置し、隣接する2つの蓄電セルについて、一方の蓄電セルにおける正極集電体の電極未塗布面が他方の蓄電セルにおける負極集電体の電極未塗布面に接触して電気的に接続されることで、前記複数の蓄電セルが直列に接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、蓄電セルが直列に接続されるので、高電圧の出力が可能となる。また、蓄電セルを構成する正極、負極及びセパレータは、その外周に配置された絶縁体枠で囲まれるため、その絶縁体枠内で電解液が確実に保持される。さらに、正極集電体と負極集電体とは絶縁体枠の外側に位置し、隣の蓄電セルの集電体と接触して蓄電セル間の導通が図られている。この場合、従来のようなタブによる接続ではなく、集電体全面で各セルが接続されるので、電流が均一に流れ、電圧降下のバラツキを抑えることができる。さらに、集電体全面で接続されるので、従来のように電極間がタブを介して接続される場合と比較して、蓄電デバイスの小型化が可能となる。また、正極材の塗布エリアは負極材の塗布エリアの内側に位置しているため、大電流を流したときでも負極側への電流集中が回避され、負極におけるリチウム金属の析出が防止される。
【0012】
前記絶縁体枠の形成材料は特に限定されるものではなく、ゴム、樹脂、セラミックなどを用いることができ、特に、水分を通さない絶縁材料を用いることが好ましい。また、絶縁体枠の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることがより好ましい。このようにすると、水分の混入による蓄電性能の劣化を確実に防止することができる。
【0013】
また、直列接続された複数の蓄電セル全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレートを備えることが好ましい。このようにすると、隣接する蓄電セル間の導通をより確実に図ることができる。また、蓄電セルにおける正極及び負極間を適度な間隔に狭めることができ、蓄電性能を十分に確保することができる。
【0014】
[2]手段1において、前記正極集電体及び前記負極集電体として無孔状の集電体が用いられ、前記負極集電体において、電極塗布面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、かつ前記貼付部の位置から100mm以下の領域に前記負極材が塗布され、前記貼付部には、前記負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられることを特徴とする蓄電デバイス。
【0015】
従って、手段2に記載の発明によると、正極集電体及び負極集電体として比較的安価な無孔状の集電体が用いられるので、蓄電デバイスの製造コストを抑えることができる。また、負極集電体における負極材とリチウム金属との距離が100mm以下となるので、負極材にリチウムイオンを確実にプレドープすることができる。さらに、負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられるので、リチウム金属によってセパレータが損傷するといった問題を回避することができる。
【0016】
[3]手段1または2において、前記正極集電体の電極未塗布面と前記負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0017】
従って、手段3に記載の発明によると、正極集電体の電極未塗布面と負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されているので、各集電体間の接続抵抗を低く抑えることができる。
【0018】
なお、正極集電体と負極集電体との溶接接続は、各蓄電セルの電極を積層する前において各集電体の外周部分で行うことが好ましい。このようにすると、各集電体の溶接接続を比較的容易に行うことができる。
【0019】
また、正極集電体及び負極集電体の厚みがそれぞれ10μm以上であることが好ましい。このように各集電体を厚くすると、漏れ電流を抑えることができる。さらに、正極集電体及び負極集電体への正極材及び負極材の塗工を容易に行うことできる。なお、上記正極集電体として、通常、アルミニウムを用いてシート状に形成された集電体が使用され、負極集電体としては、銅を用いてシート状に形成された集電体が使用される。
【0020】
[4]手段1において、前記負極集電体は多孔状であり、前記負極集電体の電極塗布面の反対側の表面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、さらに前記貼付部に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置され、前記無孔状の負極集電体に、隣接する蓄電セルの前記正極集電体が接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0021】
従って、手段4に記載の発明によると、多孔状の負極集電体を用いることにより、負極材とリチウム金属との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置されるため、リチウム金属が正極集電体に直接接触することがなく、リチウム金属とアルミニウムとの合金が形成されることが回避される。この結果、蓄電デバイスの蓄電性能を十分に確保することができる。
【0022】
[5]手段1乃至4のいずれかにおいて、前記複数の蓄電セルのうちの最外部に配置される各蓄電セルにおいて、外側に位置する前記正極集電体及び前記負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続され、前記正負極の外部端子は、銅を用いて形成された端子であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0023】
従って、手段5に記載の発明によると、外側に位置する正極集電体及び負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続されているので、各蓄電セルに蓄えられたエネルギーを外部端子を介して効率よく利用することができる。また、正負極の外部端子が銅を用いて形成されているので、抵抗が低くなり、取り扱い性のよい外部端子を実現することができる。
【0024】
[6]手段1乃至5のいずれかにおいて、前記蓄電セルにおいて、前記正極と前記負極とを短絡させたとき、前記正極及び前記負極の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となることを特徴とする蓄電デバイス。
【0025】
従って、手段6に記載の発明によると、短絡時に正極電位が低下しても、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下の電位に正極電位が下がることがない。このため、電解液が還元されることがなく、還元反応によるガス発生を防止することができる。また、短絡時に負極電位が上昇しても、対リチウム電位より+0.5V以上の電位に負極電位が上がることがない。このため、負極集電体の銅が溶出するといった問題を回避することができる。またこの場合、正極と負極とを短絡させて、出力電圧を0Vにできるため、蓄電デバイスの組み立て時における安全性を確保することができる。さらに、漏れ電流によってセル間の電圧バランスが崩れた場合、一度全ての電荷を放電して出力電圧を0Vにした後、再度充電を行えば、セルバランスを均一の状態に戻すことができる。
【0026】
なお、リチウムイオンのドープ量としては、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分とすることが好ましい。このように、リチウムイオンのドープ量を従来よりも少なくすることにより、正極と負極との短絡時に電圧を0Vにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳述したように、手段1乃至6に記載の発明によると、信頼性が高くかつ高電圧の出力が可能な蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一実施の形態の蓄電モジュールを示す要部断面図。
【図2】蓄電セルを示す断面図。
【図3】負極材及び正極材の塗布エリアを示す説明図。
【図4】リチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図。
【図5】蓄電セルにおける正極電位及び負極電位を示すグラフ。
【図6】蓄電セルにおける正極電位及び負極電位を示すグラフ。
【図7】リチウムイオンキャパシタを流れる電流を示す説明図。
【図8】別の実施の形態の負極を示す断面図。
【図9】別の実施の形態の負極を示す断面図。
【図10】別の実施の形態の負極材及び正極材の塗布エリアを示す説明図。
【図11】従来の電極に流れる電流を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における蓄電モジュール10の概略構成を示す要部断面図である。
【0030】
図1に示されるように、蓄電モジュール10は、複数(具体的には10個)のリチウムイオンキャパシタ11がパラレルに接続されることで構成されている。
【0031】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11は、リチウムプレドープ型リチウムイオンキャパシタである。詳しくは、リチウムイオンキャパシタ11は、正極21と、負極31と、正極21と負極31との間に介在されるセパレータ41とを備え、正極21、負極31及びセパレータ41を1対のみ積層して構成した蓄電セル51が複数直列に接続された構造を有している。本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11において、24個の蓄電セル51が直列に接続されており、各蓄電セル51が、リチウム塩(例えば、LiPF6と表記されるリチウムヘキサフルオロフォスフェート等)を含んだ電解液とともにケース61内に収納されている。本実施の形態において、1つの蓄電セル51の充電電圧は3.8Vであり、リチウムイオンキャパシタ11は出力電圧が90Vの蓄電デバイスとして機能する。
【0032】
セパレータ41は、電解液や電極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する非導電性の多孔体等からなる。通常、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等、セルロース等からなる不織布あるいは多孔体が用いられる。セパレータ41の厚さは、キャパシタの内部抵抗を小さくするために薄いほうが好ましいが、電解液の保持量、流通性、強度等を勘案して適宜設定することができる。なお、本実施の形態では、セパレータ41の厚さは、例えば15μm程度である。
【0033】
図1及び図2に示されるように、正極21は、炭素材料からなる正極材22を正極集電体23上に塗布した構造を有している。正極材22を形成する炭素材料としては、活性炭が用いられる。この炭素材料は、必要に応じて導電剤及びバインダとともに混練され、成形される。正極集電体23は、正極材22を支持しつつ集電を行うための無孔状の集電体であって、例えばアルミニウムからなる導電性金属箔を用いて形成されている。本実施の形態の正極集電体23は、厚さが100μm程度であり、その片面に正極材22が塗布されている。
【0034】
負極31は、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な材料からなる負極材32を負極集電体33上に塗布した構造を有している。負極材32の形成材料としては、黒鉛系炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等の炭素材料がある。これらの炭素材料は、可逆性が高い等の性質を有するため、負極材料として好適である。負極材32用の炭素材料は、必要に応じて導電剤及びバインダとともに混練され、成形される。負極集電体33は、負極材32を支持しつつ集電を行うための無孔状の集電体であって、例えば銅からなる導電性金属箔を用いて形成されている。本実施の形態の負極集電体33は厚さが100μm程度であり、その片面に負極材32が塗布されている。
【0035】
また、リチウムイオンキャパシタ11では、図3に示されるように、蓄電セル51の厚さ方向からみて、正極集電体23における正極材22の塗布エリアA1は、対向配置される負極集電体33における負極材32の塗布エリアA2の内側に位置するようになっている。つまり、負極材32の塗布エリアA2の面積を正極材22の塗布エリアA1よりも広面積とし、かつ塗布エリアA2の外形線を塗布エリアA1の外形線の外側に位置させている。
【0036】
図1〜図3に示されるように、負極材32が塗布されている負極集電体33の電極塗布面35において、その負極材32の塗布エリアA2の両側に帯状に形成されたプレドープ用リチウム金属45の貼付部46が設けられている。この負極集電体33の電極塗布面35において、貼付部46の位置から100mm以下の領域に負極材32が塗布されている。さらに、負極集電体33の貼付部46には、負極材32の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属45が貼り付けられる。
【0037】
リチウムイオンキャパシタ11における各蓄電セル51の周囲には絶縁体枠71が配置されており、絶縁体枠71によって正極21、負極31、セパレータ41及び電解液が保持されている。絶縁体枠71は、正極集電体23と負極集電体33との外縁部分により挟まれるようにして配置されている。そして、この絶縁体枠71の内側に正極材22の塗布エリアA1及び負極材32の塗布エリアA2が配置されている。また、絶縁体枠71の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されている。
【0038】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。具体的には、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とが重ね合わされ、そられ電極未塗布面26,36の外周部分が溶接によって接続されている。この結果、リチウムイオンキャパシタ11において、複数の蓄電セル51が直列に接続される。
【0039】
リチウムイオンキャパシタ11を構成する複数の蓄電セル51のうち最外部に配置される各蓄電セル51に正負極の外部端子28,38が接続されている。具体的には、図1において、右側の最外部に配置される蓄電セル51の正極集電体23に正極用外部端子28が溶接にて接続され、左側の最外部に配置される蓄電セル51の負極集電体33に負極用外部端子38が溶接にて接続されている。なお、正極用外部端子28及び負極用外部端子38は、銅を用いて形成された端子である。
【0040】
リチウムイオンキャパシタ11のケース61内において、各蓄電セル51の外側には一対のエンドプレート53が設けられており、エンドプレート53によって各蓄電セル51全体が厚さ方向に加圧されている。
【0041】
図4に示されるように、ケース61は、矩形箱状に形成された蓄電容器であって、ケース本体62とケース本体62にネジ止めされる平板状の蓋部材63とによって構成されている。ケース61の形成材料としては、ある程度硬質な材料であればよく、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料などの中から任意に選択することが可能である。なお、樹脂材料を用いる場合、水分を通さない、あるいは水分を通し難い材料を用いることが好ましい。また、ケース61の表面には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることが好ましい。なお、本実施の形態では、ケース61において、正極用外部端子28と負極用外部端子38とがケース本体62の側面から外部に突出している。
【0042】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、リチウムイオンのプレドープ量を従来のリチウムイオンキャパシタよりも少なくしている。具体的には、リチウムイオンキャパシタ11において、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分だけリチウムイオンをプレドープしている。この結果、蓄電セル51の正極21と負極31とを短絡させたときに、正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるようにしている。
【0043】
従来のリチウムイオンキャパシタのように、リチウムイオンをプレドープして負極電位を低くした場合(図5参照)、正極21と負極31との短絡時に、正極電位が下がって、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下となるため、電解液が還元されガスが発生する。また逆に、リチウムイオンのプレドープ量を少なくして負極電位を高くした場合(図6参照)、正極21と負極31との短絡時に、負極電位が上がって、対リチウム電位(=3V)より+0.5V以上となると、負極集電体33の銅が溶出してしまう。従って、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極21と負極31とを短絡させたときに正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるように、リチウムイオンのプレドープ量を設定している。
【0044】
次に、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11の製造方法について説明する。
【0045】
先ず、正極21、負極31及びセパレータ41を準備する。
【0046】
正極21の作製は下記の手順で行う。まず、炭素材料、導電剤及びバインダを含む混合スラリーを用意し、これを正極集電体23であるアルミニウム箔に塗布して、正極材22を形成する。ここでは、従来周知の塗工機を用い、正極集電体23の片面に正極材22を形成する。正極材22の乾燥及びプレスを行った後、金型で所定サイズに裁断して、矩形シート状の正極21とする。
【0047】
負極31の作製は下記の手順で行う。まず、炭素材料及びバインダを含む混合スラリーを用意し、これを負極集電体33である銅箔に塗布して、負極材32を形成する。ここでは、従来周知の塗工機を用いて、負極集電体33の片面に負極材32を形成する。そして、負極材32の乾燥及びプレスを行った後、金型で所定サイズに裁断して、矩形シート状の負極31とする。
【0048】
さらに、セパレータ原紙を切断することで矩形シート状のセパレータ41とする。また、絶縁体枠71を準備し、その外周面に防湿性の高いフッ素樹脂をコートする。
【0049】
そして、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とを重ね合わせた状態で正極21及び負極31を配置し、電極周辺の集電体23,33が溶接によって接合される。なお、この接合方法としては、超音波溶接が好ましいが他の手法で接合してもよい。
【0050】
次に、負極31の負極集電体33における貼付部46にプレドープ用リチウム金属45を貼り付ける。そして、正極21及び負極31に所定量の電解液を含浸させるとともに、セパレータ41を電解液に浸す。
【0051】
その後、正極21、絶縁体枠71、セパレータ41、負極31の順で積層する。なお、正極21と負極31とは逆の積層順番としてもよい。ここでは、24個分の蓄電セル51に相当する正極21、絶縁体枠71、セパレータ41及び負極31を積層配置する。そして、最外部に配置された正極集電体23に正極用外部端子28を溶接にて接続するとともに、最外部に配置された負極集電体33に負極用外部端子38を溶接にて接続する。なおここでは、超音波溶接やレーザ溶接などの周知の手法で各集電体23,33に各外部端子28,38を接続する。
【0052】
さらに、積層配置した複数の蓄電セル51の外側に一対のエンドプレート53を配置し、ボルト締め等の固定手段で各エンドプレート53を固定するとともに、各エンドプレート53により複数の蓄電セル51をその外側から締め付ける。これによって、リチウムイオンキャパシタ11を構成する各蓄電セル51全体がその厚さ方向に加圧される。
【0053】
そして、エンドプレート53で挟み込んだ複数の蓄電セル51を電解液とともにケース本体62内に収納した後、ケース本体62の開口部を蓋部材63で閉じて、ケース61を密封封止する。さらに、ケース61の表面に対して防湿性の高いフッ素樹脂をコートする。
【0054】
以上の工程を経て、リチウムイオンキャパシタ11が製造される。そして、上記の方法で製造した10個のリチウムイオンキャパシタ11を専用のスタックケース(図示略)内に収納する。さらに、それらリチウムイオンキャパシタ11の正極用外部端子28同士を接続用ケーブルや接続用端子などの部材で接続するとともに、負極用外部端子38同士を接続用ケーブルや接続用端子などの部材で接続して、図1に示す蓄電モジュール10を構成する。
【0055】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0056】
(1)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。これら集電体23,33間の接続により、複数の蓄電セル51が直列に接続されることとなり、高電圧である90Vの出力が可能となる。またこの場合、リチウムイオンキャパシタ11では、従来のようなタブ101による接続(図11参照)ではなく、集電体全面で接続されるので、図7に示されるように、隣接する蓄電セル51間を電流i1が均一に流れ、電圧降下のバラツキを回避することができる。さらに、タブ101を介して接続する従来のリチウムイオンキャパシタと比較して各蓄電セル51をコンパクトに接続できるため、リチウムイオンキャパシタ11の小型化が可能となる。また、正極材22の塗布エリアA1は負極材32の塗布エリアA2の内側に位置しているため、大電流を流したときでも負極31側への電流集中が回避され、リチウム金属の析出が防止される。なお、本実施の形態のように、集電体全面で隣接する蓄電セル51間を接続する場合、電極形状を任意の形状(矩形状から例えば円形状や楕円形状など)に変更しても電流が均一に流れるため、電圧降下のバラツキを回避することができる。
【0057】
(2)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、蓄電セル51を構成する正極21、負極31及びセパレータ41が、その外周に配置された絶縁体枠71によって囲まれているため、絶縁体枠71内に電解液を確実に保持することができる。また、正極集電体23と負極集電体33とが絶縁体枠71の外側に位置しているため、隣の蓄電セル51の各集電体23,33が接触して蓄電セル51間の導通を確実に図ることができる。さらに、絶縁体枠71の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されているので、水分の混入による蓄電性能の劣化を確実に防止することができる。
【0058】
(3)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23及び負極集電体33として比較的安価な無孔状の集電体が用いられるので、リチウムイオンキャパシタ11の製造コストを抑えることができる。また、負極集電体33における負極材32とプレドープ用リチウム金属45との距離が100mm以下となっているので、負極材32にリチウムイオンを確実にプレドープすることができる。さらに、負極材32の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属45が貼り付けられるので、リチウム金属45によってセパレータ41が損傷するといった問題を回避することができる。また、本実施の形態では、リチウムイオンキャパシタ11を構成する全ての負極31の負極集電体33にプレドープ用リチウム金属45の貼付部46がそれぞれ設けられているので、貼付部46に貼るプレドープ用リチウム金属45の厚さが薄くなる。この場合、リチウム金属45が溶け易くなり、リチウムイオンのプレドープを短時間で行うことができる。
【0059】
(4)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とが重ね合わされ、各集電体23,33の外縁部が超音波溶接にて接続されているので、各集電体23,33間の接続抵抗を低く抑えることができる。また、リチウムイオンキャパシタ11は、直列接続された複数の蓄電セル51全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレート53を備えるので、隣接する蓄電セル51間の導通をより確実に図ることができる。さらに、蓄電セル51における正極21及び負極31間を適度な間隔に狭めることができ、蓄電性能を十分に確保することができる。
【0060】
(5)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、最外部に配置される各蓄電セル51において、外側に位置する正極集電体23及び負極集電体33に正負極の外部端子28,38がそれぞれ接続されているので、各蓄電セル51に蓄えられたエネルギーを外部端子28,38を介して効率よく利用することができる。また、正負極の外部端子28,38が銅を用いて形成されているので、抵抗が低くなり、取り扱い性がよい外部端子を実現することができる
【0061】
(6)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極21と負極31との短絡時に、正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるようにリチウムイオンがドープされている。このようにすると、短絡時に正極電位が低下しても、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下の電位に正極電位が下がることがない。このため、電解液が還元されることがなく、還元反応によるガス発生を防止することができる。また、短絡時に負極電位が上昇しても、対リチウム電位より+0.5V以上の電位に負極電位が上がることがない。このため、負極集電体33の銅が溶出するといった問題を回避することができる。またこの場合、正極21と負極31とを短絡させて、出力電圧を0Vにできるため、リチウムイオンキャパシタ11の組み立て時における安全性を確保することができる。さらに、漏れ電流によってセル51間の電圧バランスが崩れた場合、一度全ての電荷を放電して出力電圧を0Vにした後、再度充電を行えば、セルバランスを均一の状態に戻すことができる。従って、バランス回路を設けて各蓄電セル51の電圧バランスを調整するといった制御が不要となる。
【0062】
(7)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23及び負極集電体33は、100μmの厚さであり、従来のリチウムイオンキャパシタで用いられる集電体の厚さ(例えば、10μm程度)よりも厚い集電体が用いられている。このように、正極集電体23及び負極集電体33を厚くすると、蓄電セル51における漏れ電流を低く抑えることができる。また、正極集電体23及び負極集電体33への正極材22及び負極材32の塗工を厚さバラツキが無く均一に行うことできる。さらに、正極21及び負極31が製造し易くなるため、リチウムイオンキャパシタ11の製造コストを抑えることができる。また、本実施の形態では、10個のリチウムイオンキャパシタ11がパラレルに接続されて蓄電モジュール10が構成されているので、モジュール全体としては、薄い集電体を用いた従来のリチウムイオンキャパシタと同等の内部抵抗となる。従って、蓄電モジュール10では、エネルギーロスを抑えつつ、高電圧の出力を確実に行うことができる。
【0063】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0064】
・上記実施の形態では、無孔状の負極集電体33を用いて負極31を構成していたが、図8に示される負極31Aのように、多孔状の負極集電体33Aを用いて構成してもよい。負極31Aでは、負極集電体33Aにおいて負極材32が塗布されている電極塗布面35の反対側の表面(電極未塗布面)36に、プレドープ用リチウム金属45の貼付部46が設けられる。さらに、貼付部46に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属45の外側(図8では下側)に無孔状の負極集電体33Bが配置され、無孔状の負極集電体33Bに、隣接する蓄電セル51の正極集電体23が接続される。図8の負極31のように、多孔状の負極集電体33Aを用いることにより、負極材32とリチウム金属45との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、リチウム金属45の外側に無孔状の負極集電体33Bが配置されるため、アルミニウムからなる正極集電体23にリチウム金属45が直接接触することがなく、リチウム金属45とアルミニウムとの合金が形成されることが回避される。この結果、リチウムイオンキャパシタ11の蓄電性能を十分に確保することができる。
【0065】
・上記実施の形態では、負極集電体33の電極塗布面35において、塗布エリアA2の両側にプレドープ用リチウム金属45の貼付部46(図3参照)が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、図9及び図10に示す負極31Bのように、負極材32の塗布エリアA2を複数に分割して、それら塗布エリアA2の間にもプレドープ用リチウム金属45の貼付部46を設けるように構成してもよい。なおこの場合、正極集電体23における正極材22の塗布エリアA1も負極材32の塗布エリアA2と同様に複数に分割し、正極材22の各塗布エリアA1が負極材32の各塗布エリアA2の内側に位置するように正極21及び負極31を形成する。このように構成しても、負極材32とリチウム金属45との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、負極31B側への電流集中が回避されるため、負極31Bにおけるリチウム金属の析出が防止される。
【0066】
・上記実施の形態では、アルミニウムからなる正極集電体23と銅からなる負極集電体33とを用いたが、これら集電体23,33の代わりに、銅とアルミニウムとからなるシート状のクラッド材を用いてもよい。この場合、クラッド材のアルミニウムの表面に正極材22を塗布するとともに、クラッド材の銅の表面に負極材32を塗布する。このようにクラッド材を用いる場合、キャパシタの内部抵抗を低く抑えることができる。
【0067】
・上記実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極用外部端子28及び負極用外部端子38がケース61の同一方向から引き出されていたが、これに限定するものではなく、正極用外部端子28及び負極用外部端子38を互いに反対方向に引き出す構成としてもよい。
【0068】
・上記実施の形態では、本発明をリチウムイオンキャパシタ11に具体化したが、リチウムイオン二次電池などの他の蓄電デバイスに具体化してもよい。
【0069】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0070】
(1)手段1乃至6のいずれかにおいて、複数の蓄電セル全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレートを備えることを特徴とする蓄電デバイス。
【0071】
(2)手段1乃至6のいずれかにおいて、前記正極集電体は、アルミニウムを用いてシート状に形成された集電体であり、前記負極集電体は、銅を用いてシート状に形成された集電体であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0072】
(3)手段1乃至6のいずれかにおいて、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分だけリチウムイオンを前記負極にドープしたことを特徴とする蓄電デバイス。
【0073】
(4)手段1乃至6のいずれかにおいて、前記絶縁体枠の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることを特徴とする蓄電デバイス。
【0074】
(5)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記正極集電体及び前記負極集電体の厚みがそれぞれ10μm以上であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0075】
(6)手段1または2において、直列に接続される前記正極集電体及び前記負極集電体として、あらかじめ接続された銅とアルミとのクラッド材を用いたことを特徴とする蓄電デバイス。
【0076】
(7)手段3において、前記正極集電体と前記負極集電体との溶接接続は、各蓄電セルの電極を積層する前に行われることを特徴とする蓄電デバイス。
【0077】
(8)手段1乃至6のいずれかに記載の蓄電デバイスをパラレルに複数接続して構成されたことを特徴とする蓄電ユニット。
【符号の説明】
【0078】
11…蓄電デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタ
21…正極
22…正極材
23…正極集電体
26…電極未塗布面
28…正極用外部端子
31,31A,31B…負極
32…負極材
33,33A,33B…負極集電体
35…電極塗布面
36…電極未塗布面
38…負極用外部端子
41…セパレータ
45…プレドープ用リチウム金属
46…貼付部
51…蓄電デバイス
71…絶縁体枠
A1,A2…塗布エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極、セパレータ、及び負極を積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有する蓄電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電等の負荷平準化装置、コンピュータ等に代表される電子機器の瞬時電圧低下対策装置、電気自動車やハイブリッドカーのエネルギー回生装置などのような蓄電システムにおいては、エネルギー容量が大きくてかつ急速充放電が可能な蓄電デバイスが必要とされている。従来の鉛蓄電池やその他の二次電池では、大電流の充放電に弱くサイクル寿命が短いため、その蓄電システムに対応することは困難であった。そこで、それらの問題を解決しうる新たな蓄電デバイスとして、近年、非水系の蓄電デバイスが注目されている。
【0003】
現在、この種の蓄電デバイスの主流は、電気二重層機能を使用したキャパシタ(いわゆる電気二重層キャパシタ)である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、電気二重層キャパシタは、容量が小さくて電圧が低いため、大容量・高電圧を実現しようとすると装置全体が大型化するという問題がある。そこで、この問題を解決しうる新たな蓄電デバイスとして、リチウムプレドープ型リチウムイオンキャパシタが提案されている。このタイプのリチウムイオンキャパシタでは、リチウムの吸蔵及び放出が可能な材料からなる負極電極を用い、その負極電極にリチウムをプレドープすることにより、負極電位を下げている。その結果、電池として高い電圧を得ることができ、これによりエネルギー容量も大きくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−170687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の電気二重層キャパシタを直列接続して、例えば90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合、電気二重層キャパシタの充電電圧は2.5V程度であるため、36個のキャパシタが必要となる。これに対して、リチウムイオンキャパシタの充電電圧は3.8Vと高い電圧であるため、90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合には、24個のキャパシタを用いればよく、電気二重層キャパシタを用いる場合と比較して、モジュールの小型化が可能となる。
【0006】
ところが、従来のリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスにおいて、複数の蓄電セルを直列に接続する場合、図11に示されるように、電極100から延びるタブ101を介して行う必要がある。この場合、電極面全体に電流i1が均一に流れ難く、電圧降下のバラツキが発生してしまう。
【0007】
また、リチウムイオンキャパシタには下限電位があり、正極電位がその下限電位を下回ると、還元反応が起こるためキャパシタの電気特性が劣化してしまう。従って、従来のリチウムイオンキャパシタは、正負極間の出力電圧を0Vまで下げることができず、2.2V程度の下限電圧を維持する必要があった。具体的には、従来のリチウムイオンキャパシタにおいて、放電経路を遮断するための保護回路が設けられており、出力電圧が2.2Vとなると、その保護回路が作動するように構成されている。ここで、例えば90Vの蓄電モジュールを組み立てる場合、24個のリチウムイオンキャパシタを直列接続する必要があるため、下限電圧である2.2Vまで各リチウムイオンキャパシタを放電させた状態でモジュールの組み立てを行ったとしても、モジュール全体では53V程度の高電圧となってしまう。このため、端子間のショート等を十分に注意して組み立てる必要があり、作業時間等が増加して製造コストが嵩んでしまう。さらに、絶縁のための設備等が必要であり、そのためのコストも増加してしまう。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性が高くかつ高電圧の出力が可能な蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段[1]〜[6]を以下に列挙する。
【0010】
[1]正極材を正極集電体の片側に塗布した構造の正極と、負極材を負極集電体の片側に塗布した構造の負極と、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータと、リチウム塩を含んだ電解液とを備え、前記正極、前記負極及び前記セパレータを1対のみ積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有し、あらかじめ前記負極にリチウムイオンをプレドープする蓄電デバイスであって、前記蓄電セルの周囲に配置され、前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記電解液を保持するための絶縁体枠を備え、前記絶縁体枠は、前記正極集電体と前記負極集電体とにより挟まれるようにして配置され、前記蓄電セルの厚さ方向からみて、前記正極集電体における前記正極材の塗布エリアは、対向配置される前記負極集電体における前記負極材の塗布エリアの内側に位置し、隣接する2つの蓄電セルについて、一方の蓄電セルにおける正極集電体の電極未塗布面が他方の蓄電セルにおける負極集電体の電極未塗布面に接触して電気的に接続されることで、前記複数の蓄電セルが直列に接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0011】
従って、手段1に記載の発明によると、蓄電セルが直列に接続されるので、高電圧の出力が可能となる。また、蓄電セルを構成する正極、負極及びセパレータは、その外周に配置された絶縁体枠で囲まれるため、その絶縁体枠内で電解液が確実に保持される。さらに、正極集電体と負極集電体とは絶縁体枠の外側に位置し、隣の蓄電セルの集電体と接触して蓄電セル間の導通が図られている。この場合、従来のようなタブによる接続ではなく、集電体全面で各セルが接続されるので、電流が均一に流れ、電圧降下のバラツキを抑えることができる。さらに、集電体全面で接続されるので、従来のように電極間がタブを介して接続される場合と比較して、蓄電デバイスの小型化が可能となる。また、正極材の塗布エリアは負極材の塗布エリアの内側に位置しているため、大電流を流したときでも負極側への電流集中が回避され、負極におけるリチウム金属の析出が防止される。
【0012】
前記絶縁体枠の形成材料は特に限定されるものではなく、ゴム、樹脂、セラミックなどを用いることができ、特に、水分を通さない絶縁材料を用いることが好ましい。また、絶縁体枠の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることがより好ましい。このようにすると、水分の混入による蓄電性能の劣化を確実に防止することができる。
【0013】
また、直列接続された複数の蓄電セル全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレートを備えることが好ましい。このようにすると、隣接する蓄電セル間の導通をより確実に図ることができる。また、蓄電セルにおける正極及び負極間を適度な間隔に狭めることができ、蓄電性能を十分に確保することができる。
【0014】
[2]手段1において、前記正極集電体及び前記負極集電体として無孔状の集電体が用いられ、前記負極集電体において、電極塗布面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、かつ前記貼付部の位置から100mm以下の領域に前記負極材が塗布され、前記貼付部には、前記負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられることを特徴とする蓄電デバイス。
【0015】
従って、手段2に記載の発明によると、正極集電体及び負極集電体として比較的安価な無孔状の集電体が用いられるので、蓄電デバイスの製造コストを抑えることができる。また、負極集電体における負極材とリチウム金属との距離が100mm以下となるので、負極材にリチウムイオンを確実にプレドープすることができる。さらに、負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられるので、リチウム金属によってセパレータが損傷するといった問題を回避することができる。
【0016】
[3]手段1または2において、前記正極集電体の電極未塗布面と前記負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0017】
従って、手段3に記載の発明によると、正極集電体の電極未塗布面と負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されているので、各集電体間の接続抵抗を低く抑えることができる。
【0018】
なお、正極集電体と負極集電体との溶接接続は、各蓄電セルの電極を積層する前において各集電体の外周部分で行うことが好ましい。このようにすると、各集電体の溶接接続を比較的容易に行うことができる。
【0019】
また、正極集電体及び負極集電体の厚みがそれぞれ10μm以上であることが好ましい。このように各集電体を厚くすると、漏れ電流を抑えることができる。さらに、正極集電体及び負極集電体への正極材及び負極材の塗工を容易に行うことできる。なお、上記正極集電体として、通常、アルミニウムを用いてシート状に形成された集電体が使用され、負極集電体としては、銅を用いてシート状に形成された集電体が使用される。
【0020】
[4]手段1において、前記負極集電体は多孔状であり、前記負極集電体の電極塗布面の反対側の表面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、さらに前記貼付部に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置され、前記無孔状の負極集電体に、隣接する蓄電セルの前記正極集電体が接続されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【0021】
従って、手段4に記載の発明によると、多孔状の負極集電体を用いることにより、負極材とリチウム金属との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置されるため、リチウム金属が正極集電体に直接接触することがなく、リチウム金属とアルミニウムとの合金が形成されることが回避される。この結果、蓄電デバイスの蓄電性能を十分に確保することができる。
【0022】
[5]手段1乃至4のいずれかにおいて、前記複数の蓄電セルのうちの最外部に配置される各蓄電セルにおいて、外側に位置する前記正極集電体及び前記負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続され、前記正負極の外部端子は、銅を用いて形成された端子であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0023】
従って、手段5に記載の発明によると、外側に位置する正極集電体及び負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続されているので、各蓄電セルに蓄えられたエネルギーを外部端子を介して効率よく利用することができる。また、正負極の外部端子が銅を用いて形成されているので、抵抗が低くなり、取り扱い性のよい外部端子を実現することができる。
【0024】
[6]手段1乃至5のいずれかにおいて、前記蓄電セルにおいて、前記正極と前記負極とを短絡させたとき、前記正極及び前記負極の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となることを特徴とする蓄電デバイス。
【0025】
従って、手段6に記載の発明によると、短絡時に正極電位が低下しても、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下の電位に正極電位が下がることがない。このため、電解液が還元されることがなく、還元反応によるガス発生を防止することができる。また、短絡時に負極電位が上昇しても、対リチウム電位より+0.5V以上の電位に負極電位が上がることがない。このため、負極集電体の銅が溶出するといった問題を回避することができる。またこの場合、正極と負極とを短絡させて、出力電圧を0Vにできるため、蓄電デバイスの組み立て時における安全性を確保することができる。さらに、漏れ電流によってセル間の電圧バランスが崩れた場合、一度全ての電荷を放電して出力電圧を0Vにした後、再度充電を行えば、セルバランスを均一の状態に戻すことができる。
【0026】
なお、リチウムイオンのドープ量としては、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分とすることが好ましい。このように、リチウムイオンのドープ量を従来よりも少なくすることにより、正極と負極との短絡時に電圧を0Vにすることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳述したように、手段1乃至6に記載の発明によると、信頼性が高くかつ高電圧の出力が可能な蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】一実施の形態の蓄電モジュールを示す要部断面図。
【図2】蓄電セルを示す断面図。
【図3】負極材及び正極材の塗布エリアを示す説明図。
【図4】リチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図。
【図5】蓄電セルにおける正極電位及び負極電位を示すグラフ。
【図6】蓄電セルにおける正極電位及び負極電位を示すグラフ。
【図7】リチウムイオンキャパシタを流れる電流を示す説明図。
【図8】別の実施の形態の負極を示す断面図。
【図9】別の実施の形態の負極を示す断面図。
【図10】別の実施の形態の負極材及び正極材の塗布エリアを示す説明図。
【図11】従来の電極に流れる電流を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における蓄電モジュール10の概略構成を示す要部断面図である。
【0030】
図1に示されるように、蓄電モジュール10は、複数(具体的には10個)のリチウムイオンキャパシタ11がパラレルに接続されることで構成されている。
【0031】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11は、リチウムプレドープ型リチウムイオンキャパシタである。詳しくは、リチウムイオンキャパシタ11は、正極21と、負極31と、正極21と負極31との間に介在されるセパレータ41とを備え、正極21、負極31及びセパレータ41を1対のみ積層して構成した蓄電セル51が複数直列に接続された構造を有している。本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11において、24個の蓄電セル51が直列に接続されており、各蓄電セル51が、リチウム塩(例えば、LiPF6と表記されるリチウムヘキサフルオロフォスフェート等)を含んだ電解液とともにケース61内に収納されている。本実施の形態において、1つの蓄電セル51の充電電圧は3.8Vであり、リチウムイオンキャパシタ11は出力電圧が90Vの蓄電デバイスとして機能する。
【0032】
セパレータ41は、電解液や電極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する非導電性の多孔体等からなる。通常、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等、セルロース等からなる不織布あるいは多孔体が用いられる。セパレータ41の厚さは、キャパシタの内部抵抗を小さくするために薄いほうが好ましいが、電解液の保持量、流通性、強度等を勘案して適宜設定することができる。なお、本実施の形態では、セパレータ41の厚さは、例えば15μm程度である。
【0033】
図1及び図2に示されるように、正極21は、炭素材料からなる正極材22を正極集電体23上に塗布した構造を有している。正極材22を形成する炭素材料としては、活性炭が用いられる。この炭素材料は、必要に応じて導電剤及びバインダとともに混練され、成形される。正極集電体23は、正極材22を支持しつつ集電を行うための無孔状の集電体であって、例えばアルミニウムからなる導電性金属箔を用いて形成されている。本実施の形態の正極集電体23は、厚さが100μm程度であり、その片面に正極材22が塗布されている。
【0034】
負極31は、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な材料からなる負極材32を負極集電体33上に塗布した構造を有している。負極材32の形成材料としては、黒鉛系炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等の炭素材料がある。これらの炭素材料は、可逆性が高い等の性質を有するため、負極材料として好適である。負極材32用の炭素材料は、必要に応じて導電剤及びバインダとともに混練され、成形される。負極集電体33は、負極材32を支持しつつ集電を行うための無孔状の集電体であって、例えば銅からなる導電性金属箔を用いて形成されている。本実施の形態の負極集電体33は厚さが100μm程度であり、その片面に負極材32が塗布されている。
【0035】
また、リチウムイオンキャパシタ11では、図3に示されるように、蓄電セル51の厚さ方向からみて、正極集電体23における正極材22の塗布エリアA1は、対向配置される負極集電体33における負極材32の塗布エリアA2の内側に位置するようになっている。つまり、負極材32の塗布エリアA2の面積を正極材22の塗布エリアA1よりも広面積とし、かつ塗布エリアA2の外形線を塗布エリアA1の外形線の外側に位置させている。
【0036】
図1〜図3に示されるように、負極材32が塗布されている負極集電体33の電極塗布面35において、その負極材32の塗布エリアA2の両側に帯状に形成されたプレドープ用リチウム金属45の貼付部46が設けられている。この負極集電体33の電極塗布面35において、貼付部46の位置から100mm以下の領域に負極材32が塗布されている。さらに、負極集電体33の貼付部46には、負極材32の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属45が貼り付けられる。
【0037】
リチウムイオンキャパシタ11における各蓄電セル51の周囲には絶縁体枠71が配置されており、絶縁体枠71によって正極21、負極31、セパレータ41及び電解液が保持されている。絶縁体枠71は、正極集電体23と負極集電体33との外縁部分により挟まれるようにして配置されている。そして、この絶縁体枠71の内側に正極材22の塗布エリアA1及び負極材32の塗布エリアA2が配置されている。また、絶縁体枠71の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されている。
【0038】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。具体的には、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とが重ね合わされ、そられ電極未塗布面26,36の外周部分が溶接によって接続されている。この結果、リチウムイオンキャパシタ11において、複数の蓄電セル51が直列に接続される。
【0039】
リチウムイオンキャパシタ11を構成する複数の蓄電セル51のうち最外部に配置される各蓄電セル51に正負極の外部端子28,38が接続されている。具体的には、図1において、右側の最外部に配置される蓄電セル51の正極集電体23に正極用外部端子28が溶接にて接続され、左側の最外部に配置される蓄電セル51の負極集電体33に負極用外部端子38が溶接にて接続されている。なお、正極用外部端子28及び負極用外部端子38は、銅を用いて形成された端子である。
【0040】
リチウムイオンキャパシタ11のケース61内において、各蓄電セル51の外側には一対のエンドプレート53が設けられており、エンドプレート53によって各蓄電セル51全体が厚さ方向に加圧されている。
【0041】
図4に示されるように、ケース61は、矩形箱状に形成された蓄電容器であって、ケース本体62とケース本体62にネジ止めされる平板状の蓋部材63とによって構成されている。ケース61の形成材料としては、ある程度硬質な材料であればよく、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料などの中から任意に選択することが可能である。なお、樹脂材料を用いる場合、水分を通さない、あるいは水分を通し難い材料を用いることが好ましい。また、ケース61の表面には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることが好ましい。なお、本実施の形態では、ケース61において、正極用外部端子28と負極用外部端子38とがケース本体62の側面から外部に突出している。
【0042】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、リチウムイオンのプレドープ量を従来のリチウムイオンキャパシタよりも少なくしている。具体的には、リチウムイオンキャパシタ11において、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分だけリチウムイオンをプレドープしている。この結果、蓄電セル51の正極21と負極31とを短絡させたときに、正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるようにしている。
【0043】
従来のリチウムイオンキャパシタのように、リチウムイオンをプレドープして負極電位を低くした場合(図5参照)、正極21と負極31との短絡時に、正極電位が下がって、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下となるため、電解液が還元されガスが発生する。また逆に、リチウムイオンのプレドープ量を少なくして負極電位を高くした場合(図6参照)、正極21と負極31との短絡時に、負極電位が上がって、対リチウム電位(=3V)より+0.5V以上となると、負極集電体33の銅が溶出してしまう。従って、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極21と負極31とを短絡させたときに正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるように、リチウムイオンのプレドープ量を設定している。
【0044】
次に、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11の製造方法について説明する。
【0045】
先ず、正極21、負極31及びセパレータ41を準備する。
【0046】
正極21の作製は下記の手順で行う。まず、炭素材料、導電剤及びバインダを含む混合スラリーを用意し、これを正極集電体23であるアルミニウム箔に塗布して、正極材22を形成する。ここでは、従来周知の塗工機を用い、正極集電体23の片面に正極材22を形成する。正極材22の乾燥及びプレスを行った後、金型で所定サイズに裁断して、矩形シート状の正極21とする。
【0047】
負極31の作製は下記の手順で行う。まず、炭素材料及びバインダを含む混合スラリーを用意し、これを負極集電体33である銅箔に塗布して、負極材32を形成する。ここでは、従来周知の塗工機を用いて、負極集電体33の片面に負極材32を形成する。そして、負極材32の乾燥及びプレスを行った後、金型で所定サイズに裁断して、矩形シート状の負極31とする。
【0048】
さらに、セパレータ原紙を切断することで矩形シート状のセパレータ41とする。また、絶縁体枠71を準備し、その外周面に防湿性の高いフッ素樹脂をコートする。
【0049】
そして、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とを重ね合わせた状態で正極21及び負極31を配置し、電極周辺の集電体23,33が溶接によって接合される。なお、この接合方法としては、超音波溶接が好ましいが他の手法で接合してもよい。
【0050】
次に、負極31の負極集電体33における貼付部46にプレドープ用リチウム金属45を貼り付ける。そして、正極21及び負極31に所定量の電解液を含浸させるとともに、セパレータ41を電解液に浸す。
【0051】
その後、正極21、絶縁体枠71、セパレータ41、負極31の順で積層する。なお、正極21と負極31とは逆の積層順番としてもよい。ここでは、24個分の蓄電セル51に相当する正極21、絶縁体枠71、セパレータ41及び負極31を積層配置する。そして、最外部に配置された正極集電体23に正極用外部端子28を溶接にて接続するとともに、最外部に配置された負極集電体33に負極用外部端子38を溶接にて接続する。なおここでは、超音波溶接やレーザ溶接などの周知の手法で各集電体23,33に各外部端子28,38を接続する。
【0052】
さらに、積層配置した複数の蓄電セル51の外側に一対のエンドプレート53を配置し、ボルト締め等の固定手段で各エンドプレート53を固定するとともに、各エンドプレート53により複数の蓄電セル51をその外側から締め付ける。これによって、リチウムイオンキャパシタ11を構成する各蓄電セル51全体がその厚さ方向に加圧される。
【0053】
そして、エンドプレート53で挟み込んだ複数の蓄電セル51を電解液とともにケース本体62内に収納した後、ケース本体62の開口部を蓋部材63で閉じて、ケース61を密封封止する。さらに、ケース61の表面に対して防湿性の高いフッ素樹脂をコートする。
【0054】
以上の工程を経て、リチウムイオンキャパシタ11が製造される。そして、上記の方法で製造した10個のリチウムイオンキャパシタ11を専用のスタックケース(図示略)内に収納する。さらに、それらリチウムイオンキャパシタ11の正極用外部端子28同士を接続用ケーブルや接続用端子などの部材で接続するとともに、負極用外部端子38同士を接続用ケーブルや接続用端子などの部材で接続して、図1に示す蓄電モジュール10を構成する。
【0055】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0056】
(1)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、隣接する2つの蓄電セル51について、一方の蓄電セル51における正極集電体23の電極未塗布面26が他方の蓄電セル51における負極集電体33の電極未塗布面36に接触して電気的に接続されている。これら集電体23,33間の接続により、複数の蓄電セル51が直列に接続されることとなり、高電圧である90Vの出力が可能となる。またこの場合、リチウムイオンキャパシタ11では、従来のようなタブ101による接続(図11参照)ではなく、集電体全面で接続されるので、図7に示されるように、隣接する蓄電セル51間を電流i1が均一に流れ、電圧降下のバラツキを回避することができる。さらに、タブ101を介して接続する従来のリチウムイオンキャパシタと比較して各蓄電セル51をコンパクトに接続できるため、リチウムイオンキャパシタ11の小型化が可能となる。また、正極材22の塗布エリアA1は負極材32の塗布エリアA2の内側に位置しているため、大電流を流したときでも負極31側への電流集中が回避され、リチウム金属の析出が防止される。なお、本実施の形態のように、集電体全面で隣接する蓄電セル51間を接続する場合、電極形状を任意の形状(矩形状から例えば円形状や楕円形状など)に変更しても電流が均一に流れるため、電圧降下のバラツキを回避することができる。
【0057】
(2)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、蓄電セル51を構成する正極21、負極31及びセパレータ41が、その外周に配置された絶縁体枠71によって囲まれているため、絶縁体枠71内に電解液を確実に保持することができる。また、正極集電体23と負極集電体33とが絶縁体枠71の外側に位置しているため、隣の蓄電セル51の各集電体23,33が接触して蓄電セル51間の導通を確実に図ることができる。さらに、絶縁体枠71の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されているので、水分の混入による蓄電性能の劣化を確実に防止することができる。
【0058】
(3)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23及び負極集電体33として比較的安価な無孔状の集電体が用いられるので、リチウムイオンキャパシタ11の製造コストを抑えることができる。また、負極集電体33における負極材32とプレドープ用リチウム金属45との距離が100mm以下となっているので、負極材32にリチウムイオンを確実にプレドープすることができる。さらに、負極材32の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属45が貼り付けられるので、リチウム金属45によってセパレータ41が損傷するといった問題を回避することができる。また、本実施の形態では、リチウムイオンキャパシタ11を構成する全ての負極31の負極集電体33にプレドープ用リチウム金属45の貼付部46がそれぞれ設けられているので、貼付部46に貼るプレドープ用リチウム金属45の厚さが薄くなる。この場合、リチウム金属45が溶け易くなり、リチウムイオンのプレドープを短時間で行うことができる。
【0059】
(4)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23の電極未塗布面26と負極集電体33の電極未塗布面36とが重ね合わされ、各集電体23,33の外縁部が超音波溶接にて接続されているので、各集電体23,33間の接続抵抗を低く抑えることができる。また、リチウムイオンキャパシタ11は、直列接続された複数の蓄電セル51全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレート53を備えるので、隣接する蓄電セル51間の導通をより確実に図ることができる。さらに、蓄電セル51における正極21及び負極31間を適度な間隔に狭めることができ、蓄電性能を十分に確保することができる。
【0060】
(5)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、最外部に配置される各蓄電セル51において、外側に位置する正極集電体23及び負極集電体33に正負極の外部端子28,38がそれぞれ接続されているので、各蓄電セル51に蓄えられたエネルギーを外部端子28,38を介して効率よく利用することができる。また、正負極の外部端子28,38が銅を用いて形成されているので、抵抗が低くなり、取り扱い性がよい外部端子を実現することができる
【0061】
(6)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極21と負極31との短絡時に、正極21及び負極31の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となるようにリチウムイオンがドープされている。このようにすると、短絡時に正極電位が低下しても、対リチウム電位(=3V)より−1.5V以下の電位に正極電位が下がることがない。このため、電解液が還元されることがなく、還元反応によるガス発生を防止することができる。また、短絡時に負極電位が上昇しても、対リチウム電位より+0.5V以上の電位に負極電位が上がることがない。このため、負極集電体33の銅が溶出するといった問題を回避することができる。またこの場合、正極21と負極31とを短絡させて、出力電圧を0Vにできるため、リチウムイオンキャパシタ11の組み立て時における安全性を確保することができる。さらに、漏れ電流によってセル51間の電圧バランスが崩れた場合、一度全ての電荷を放電して出力電圧を0Vにした後、再度充電を行えば、セルバランスを均一の状態に戻すことができる。従って、バランス回路を設けて各蓄電セル51の電圧バランスを調整するといった制御が不要となる。
【0062】
(7)本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極集電体23及び負極集電体33は、100μmの厚さであり、従来のリチウムイオンキャパシタで用いられる集電体の厚さ(例えば、10μm程度)よりも厚い集電体が用いられている。このように、正極集電体23及び負極集電体33を厚くすると、蓄電セル51における漏れ電流を低く抑えることができる。また、正極集電体23及び負極集電体33への正極材22及び負極材32の塗工を厚さバラツキが無く均一に行うことできる。さらに、正極21及び負極31が製造し易くなるため、リチウムイオンキャパシタ11の製造コストを抑えることができる。また、本実施の形態では、10個のリチウムイオンキャパシタ11がパラレルに接続されて蓄電モジュール10が構成されているので、モジュール全体としては、薄い集電体を用いた従来のリチウムイオンキャパシタと同等の内部抵抗となる。従って、蓄電モジュール10では、エネルギーロスを抑えつつ、高電圧の出力を確実に行うことができる。
【0063】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0064】
・上記実施の形態では、無孔状の負極集電体33を用いて負極31を構成していたが、図8に示される負極31Aのように、多孔状の負極集電体33Aを用いて構成してもよい。負極31Aでは、負極集電体33Aにおいて負極材32が塗布されている電極塗布面35の反対側の表面(電極未塗布面)36に、プレドープ用リチウム金属45の貼付部46が設けられる。さらに、貼付部46に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属45の外側(図8では下側)に無孔状の負極集電体33Bが配置され、無孔状の負極集電体33Bに、隣接する蓄電セル51の正極集電体23が接続される。図8の負極31のように、多孔状の負極集電体33Aを用いることにより、負極材32とリチウム金属45との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、リチウム金属45の外側に無孔状の負極集電体33Bが配置されるため、アルミニウムからなる正極集電体23にリチウム金属45が直接接触することがなく、リチウム金属45とアルミニウムとの合金が形成されることが回避される。この結果、リチウムイオンキャパシタ11の蓄電性能を十分に確保することができる。
【0065】
・上記実施の形態では、負極集電体33の電極塗布面35において、塗布エリアA2の両側にプレドープ用リチウム金属45の貼付部46(図3参照)が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、図9及び図10に示す負極31Bのように、負極材32の塗布エリアA2を複数に分割して、それら塗布エリアA2の間にもプレドープ用リチウム金属45の貼付部46を設けるように構成してもよい。なおこの場合、正極集電体23における正極材22の塗布エリアA1も負極材32の塗布エリアA2と同様に複数に分割し、正極材22の各塗布エリアA1が負極材32の各塗布エリアA2の内側に位置するように正極21及び負極31を形成する。このように構成しても、負極材32とリチウム金属45との距離が短くなるため、リチウムイオンのプレドープを短時間で効率よく行うことができる。また、負極31B側への電流集中が回避されるため、負極31Bにおけるリチウム金属の析出が防止される。
【0066】
・上記実施の形態では、アルミニウムからなる正極集電体23と銅からなる負極集電体33とを用いたが、これら集電体23,33の代わりに、銅とアルミニウムとからなるシート状のクラッド材を用いてもよい。この場合、クラッド材のアルミニウムの表面に正極材22を塗布するとともに、クラッド材の銅の表面に負極材32を塗布する。このようにクラッド材を用いる場合、キャパシタの内部抵抗を低く抑えることができる。
【0067】
・上記実施の形態のリチウムイオンキャパシタ11では、正極用外部端子28及び負極用外部端子38がケース61の同一方向から引き出されていたが、これに限定するものではなく、正極用外部端子28及び負極用外部端子38を互いに反対方向に引き出す構成としてもよい。
【0068】
・上記実施の形態では、本発明をリチウムイオンキャパシタ11に具体化したが、リチウムイオン二次電池などの他の蓄電デバイスに具体化してもよい。
【0069】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0070】
(1)手段1乃至6のいずれかにおいて、複数の蓄電セル全体を外側から厚さ方向に加圧するエンドプレートを備えることを特徴とする蓄電デバイス。
【0071】
(2)手段1乃至6のいずれかにおいて、前記正極集電体は、アルミニウムを用いてシート状に形成された集電体であり、前記負極集電体は、銅を用いてシート状に形成された集電体であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0072】
(3)手段1乃至6のいずれかにおいて、最初の充放電と2回目の充放電の容量差である不可逆容量分だけリチウムイオンを前記負極にドープしたことを特徴とする蓄電デバイス。
【0073】
(4)手段1乃至6のいずれかにおいて、前記絶縁体枠の周囲には、防湿性のコート材を用いて防湿処理が施されることを特徴とする蓄電デバイス。
【0074】
(5)手段1乃至3のいずれかにおいて、前記正極集電体及び前記負極集電体の厚みがそれぞれ10μm以上であることを特徴とする蓄電デバイス。
【0075】
(6)手段1または2において、直列に接続される前記正極集電体及び前記負極集電体として、あらかじめ接続された銅とアルミとのクラッド材を用いたことを特徴とする蓄電デバイス。
【0076】
(7)手段3において、前記正極集電体と前記負極集電体との溶接接続は、各蓄電セルの電極を積層する前に行われることを特徴とする蓄電デバイス。
【0077】
(8)手段1乃至6のいずれかに記載の蓄電デバイスをパラレルに複数接続して構成されたことを特徴とする蓄電ユニット。
【符号の説明】
【0078】
11…蓄電デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタ
21…正極
22…正極材
23…正極集電体
26…電極未塗布面
28…正極用外部端子
31,31A,31B…負極
32…負極材
33,33A,33B…負極集電体
35…電極塗布面
36…電極未塗布面
38…負極用外部端子
41…セパレータ
45…プレドープ用リチウム金属
46…貼付部
51…蓄電デバイス
71…絶縁体枠
A1,A2…塗布エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極材を正極集電体の片側に塗布した構造の正極と、負極材を負極集電体の片側に塗布した構造の負極と、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータと、リチウム塩を含んだ電解液とを備え、前記正極、前記負極及び前記セパレータを1対のみ積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有し、あらかじめ前記負極にリチウムイオンをプレドープする蓄電デバイスであって、
前記蓄電セルの周囲に配置され、前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記電解液を保持するための絶縁体枠を備え、前記絶縁体枠は、前記正極集電体と前記負極集電体とにより挟まれるようにして配置され、
前記蓄電セルの厚さ方向からみて、前記正極集電体における前記正極材の塗布エリアは、対向配置される前記負極集電体における前記負極材の塗布エリアの内側に位置し、
隣接する2つの蓄電セルについて、一方の蓄電セルにおける正極集電体の電極未塗布面が他方の蓄電セルにおける負極集電体の電極未塗布面に接触して電気的に接続されることで、前記複数の蓄電セルが直列に接続されている
ことを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
前記正極集電体及び前記負極集電体として無孔状の集電体が用いられ、
前記負極集電体において、電極塗布面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、かつ前記貼付部の位置から100mm以下の領域に前記負極材が塗布され、前記貼付部には、前記負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記正極集電体の電極未塗布面と前記負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記負極集電体は多孔状であり、前記負極集電体の電極塗布面の反対側の表面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、さらに前記貼付部に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置され、前記無孔状の負極集電体に、隣接する蓄電セルの前記正極集電体が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記複数の蓄電セルのうちの最外部に配置される各蓄電セルにおいて、外側に位置する前記正極集電体及び前記負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続され、前記正負極の外部端子は、銅を用いて形成された端子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記蓄電セルにおいて、前記正極と前記負極とを短絡させたとき、前記正極及び前記負極の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項1】
正極材を正極集電体の片側に塗布した構造の正極と、負極材を負極集電体の片側に塗布した構造の負極と、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータと、リチウム塩を含んだ電解液とを備え、前記正極、前記負極及び前記セパレータを1対のみ積層して構成した蓄電セルが複数直列に接続された構造を有し、あらかじめ前記負極にリチウムイオンをプレドープする蓄電デバイスであって、
前記蓄電セルの周囲に配置され、前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記電解液を保持するための絶縁体枠を備え、前記絶縁体枠は、前記正極集電体と前記負極集電体とにより挟まれるようにして配置され、
前記蓄電セルの厚さ方向からみて、前記正極集電体における前記正極材の塗布エリアは、対向配置される前記負極集電体における前記負極材の塗布エリアの内側に位置し、
隣接する2つの蓄電セルについて、一方の蓄電セルにおける正極集電体の電極未塗布面が他方の蓄電セルにおける負極集電体の電極未塗布面に接触して電気的に接続されることで、前記複数の蓄電セルが直列に接続されている
ことを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
前記正極集電体及び前記負極集電体として無孔状の集電体が用いられ、
前記負極集電体において、電極塗布面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、かつ前記貼付部の位置から100mm以下の領域に前記負極材が塗布され、前記貼付部には、前記負極材の厚みよりも薄いプレドープ用リチウム金属が貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記正極集電体の電極未塗布面と前記負極集電体の電極未塗布面とが溶接によって接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記負極集電体は多孔状であり、前記負極集電体の電極塗布面の反対側の表面にプレドープ用リチウム金属の貼付部が設けられ、さらに前記貼付部に貼り付けられたプレドープ用リチウム金属の外側に無孔状の負極集電体が配置され、前記無孔状の負極集電体に、隣接する蓄電セルの前記正極集電体が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記複数の蓄電セルのうちの最外部に配置される各蓄電セルにおいて、外側に位置する前記正極集電体及び前記負極集電体に正負極の外部端子がそれぞれ接続され、前記正負極の外部端子は、銅を用いて形成された端子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記蓄電セルにおいて、前記正極と前記負極とを短絡させたとき、前記正極及び前記負極の電圧が−1.5V〜0.5Vの範囲となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−238885(P2011−238885A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111474(P2010−111474)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】
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