説明

蓄電池格納構造、及び建物

【課題】蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効利用できる蓄電池格納構造を得る。
【解決手段】冬季等で、蓄電池50の温度が低下すると貯蔵した電力を十分に活用できなくなるため、冬季等で掘り炬燵30を使用している場合には、掘り炬燵30と蓄電池50の格納されている蓄電池格納室48との間に設けた第1のガラリ56を開け、炬燵空間44の温まった空気を蓄電池格納室48に導入し、蓄電池50の温度低下を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池格納構造、及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物に蓄電池を設置し、蓄電池に蓄積した電気エネルギーを電気機器に用いることがある。
下記特許文献1には、蓄電池を建物ユニットの床部、天井部、壁部等に収納する技術が開示されている。
下記特許文献2には、蓄電池を土中に設置する技術が開示されている。
また、下記特許文献3には、蓄電池を外壁と内壁との間に収納する技術が開示されている。
これら特許文献1〜3では、蓄電池から発生した熱を放熱することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−333370号公報
【特許文献2】特開2001−211556号公報
【特許文献3】特開2000−333370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の蓄電池格納構造では、以下の点において改良の余地がある。
冬季等で蓄電池の温度が低下すると、蓄電池が不活性状態となって蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効に取り出せなくなる問題がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効利用できる蓄電池格納構造、及び建物を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の蓄電池格納構造は、建物に設けられ、蓄電池を格納する格納室と、建物内で生成された熱エネルギーを前記格納室に格納された前記蓄電池に付与可能な蓄電池調整手段と、を有する。
【0007】
次に、請求項1に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
建物には、居住スペースである部屋とは別に格納室が設けられ、その格納室に蓄電池が格納されている。
冬期等で外気温が低下するに伴って格納室の温度(室温)が低下すると、蓄電池の温度も低下することになる。
建物内では、人、電化製品、暖房機器等から熱エネルギーが発せられる。
【0008】
請求項1に記載の蓄電池格納構造によれば、建物内で生成された熱エネルギーが、蓄電池調整手段によって格納室に格納された蓄電池に付与され、これにより蓄電池の温度低下が抑えられる。
蓄電池に対する熱エネルギーの付与としては、例えば、赤外線として蓄電池に対して直接的に照射させる場合、人、電化製品、暖房機器等によって暖められた空気を用いて蓄電池を暖める場合等、種々の形態をとることが出来る。
【0009】
このようにして蓄電池の温度低下を抑えることで、蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効に利用することが出来る。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄電池格納構造において、前記蓄電池調整手段は、外気温よりも高い温度とされた建物内の空気を前記格納室に導入可能とする。
【0011】
次に、請求項2に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
請求項2に記載の蓄電池格納構造では、蓄電池調整手段が外気温よりも高い温度とされた建物内の空気を格納室に導入する。これにより、蓄電池は、格納室に導入された外気温よりも高い建物内の空気によって暖められ、外気温よりも高い温度となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蓄電池格納構造において、前記建物には、床部に暖房手段が設けられ、前記蓄電池調整手段は、前記暖房手段によって生成された熱エネルギーを前記蓄電池に付与可能とする。
【0013】
次に、請求項3に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
建物には、床部に暖房手段が設けられており、冬季等では、暖房手段によって暖房ができる。
また、蓄電池調整手段によって、暖房手段によって生成された熱エネルギーが格納室に格納された蓄電池に付与され、蓄電池の温度低下が抑えられる。なお、床部に設けた暖房手段としては、例えば、炬燵、床暖房等がある。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の蓄電池格納構造において、前記暖房手段は掘り炬燵であり、前記格納室は前記掘り炬燵に隣接して床下に設けられ、前記掘り炬燵に隣接する第1の壁と、床下空間に面する第2の壁とを有し、前記第1の壁に設けられる第1のガラリと、前記第2の壁に設けられる第2のガラリと、前記格納室の温度を検知する第1の温度センサと、前記第1の温度センサによって検知された前記格納室の温度に基いて、前記格納室の温度が予め定められた温度範囲内となるように、前記第1のガラリ、及び前記第2のガラリの開閉を制御する制御部と、を有する。
【0015】
次に、請求項4に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
請求項4に記載の蓄電池格納構造では、掘り炬燵によって暖められた空気を、第1のガラリを介して格納室に導入することでき、これにより格納室に格納した蓄電池の温度低下を抑えることができる。
【0016】
また、第2のガラリを開けることで、格納室と床下空間との間で空気の出入りが可能となる。このため、格納室の温度が必要以上に高くなり過ぎた場合、蓄電池を冷却したい場合等に第2のガラリを開け、部屋の温度よりも低い床下の冷たい空気を格納室に導入することができる。
【0017】
なお、制御装置は、第1の温度センサによって検知された格納室の温度に基いて、第1のガラリ、及び第2のガラリの開閉を行い、格納室の温度を予め定められた温度範囲内とする。
また、格納室は、掘り炬燵に隣接して床下に設けられているため、複数の蓄電池を格納しても居住スペースを狭くすることが無い。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の蓄電池格納構造において、前記掘り炬燵の内部空間の温度を検知する第2の温度センサと、前記床下空間の温度を検知する第3の温度センサと、を有し、前記制御部は、前記第1の温度センサによって検知された前記格納室の温度、前記第2の温度センサによって検知された前記掘り炬燵の内部空間の温度、及び前記第3の温度センサによって検知された前記床下空間の温度に基いて、前記格納室の温度が予め定められた温度範囲内となるように、前記第1のガラリ、及び前記第2のガラリの開閉を制御する。
【0019】
次に、請求項5に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
請求項5に記載の蓄電池格納構造では、制御装置は、第1の温度センサによって検知された格納室の温度、第2の温度センサによって検知された掘り炬燵の内部空間の温度、及び第3の温度センサによって検知された床下空間の温度に基いて、第1のガラリ、及び第2のガラリの開閉を行い、格納室の温度を予め定められた温度範囲内とする。
掘り炬燵使用時には、掘り炬燵の内部空間の温度低下は避けたい。請求項5に記載の蓄電池構造では、掘り炬燵使用時に、掘り炬燵の内部空間の温度を検知することで、掘り炬燵の内部空間の温度が低下しないように第1のガラリ、及び第2のガラリの開閉を行うことができる。例えば、掘り炬燵使用時には、第1のガラリは開けても、掘り炬燵の内部空間の温度が低下しないように第2のガラリを開けない様に制御することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の蓄電池格納構造において、前記第1のガラリ、前記第2のガラリ、及び前記格納室の壁面には、断熱材が貼り付けられている。
【0021】
次に、請求項6に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
第1のガラリ、第2のガラリ、及び格納室の壁面に断熱材が貼り付けられているので、第1のガラリ、及び第2のガラリを閉めた時に、格納室全体が断熱材で覆われることとなり、格納室の内部に取り込んだ熱エネルギーが、例えば、床下等の格納室の外部に漏れることが抑えられ、建物内の熱エネルギーを効率的に蓄電池に付与することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の蓄電池格納構造において、前記格納室には、前記蓄電池を加熱する補助ヒータが設けられている。
【0023】
次に、請求項7に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
建物内で生成された熱エネルギーが、蓄電池調整手段によって格納室に格納された蓄電池に付与されるが、付与される熱エネルギーが不足する場合、建物内で熱エネルギーが生成されない場合には、補助ヒータによって蓄電池を加熱し、蓄電池の温度低下を抑えることが出来る。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電池格納構造において、前記蓄電池を冷却可能な冷却手段を有する。
【0025】
次に、請求項8に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
請求項8に記載の蓄電池格納構造では、蓄電池を冷却したい場合、例えば、蓄電池の温度が推奨使用温度範囲よりも高くなる場合に、冷却手段によって蓄電池を冷却することができる。
冷却手段としては、水道水を流すパイプを用いる等、電気エネルギーを用いないものが好ましい。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の蓄電池格納構造において、前記蓄電池調整手段は、前記蓄電池が充電状態以外の場合に前記熱エネルギーの付与を行う。
【0027】
次に、請求項9に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
蓄電池が充電状態の場合は、蓄電池が発熱しているため、熱エネルギーを付与する必要がない。したがって、蓄電池が充電状態の場合は、建物内で生成された熱エネルギーを、蓄電池の温度低下を抑える事以外に使用し、熱エネルギーの有効活用を図ることができる。
【0028】
蓄電池を使用する場合(放電時)に蓄電池の温度低下が抑えられていれば良いため、少なくとも使用時(放電時)には熱エネルギーを付与する必要がある。
また、蓄電池が冷えている場合、使用を開始してから熱エネルギーを付与するのでは、使用初期に蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効に利用することが出来なくなる場合があるので、使用初期から蓄電池に蓄積した電気エネルギーを有効に利用するには、非使用時においても熱エネルギーを付与しておくことが好ましい。
【0029】
請求項10に記載の蓄電池格納構造は、蓄電池を格納する格納室を備え、前記格納室に、発熱源を有する給湯機器、または発熱源を有する空調機器の少なくとも一方が設置されている。
【0030】
次に、請求項10に記載の蓄電池格納構造の作用を説明する。
請求項10に記載の蓄電池格納構造では、給湯機器の発熱源、または空調機器の発熱源の少なくとも一方から発生する熱エネルギーが蓄電池に付与され、蓄電池の温度低下が抑えられる。
【0031】
給湯機器の発熱源、または空調機器の発熱源の少なくとも一方から発生する熱エネルギーによって格納室の室温が屋外の外気温よりも高くなるので、温まった格納室の空気によって蓄電池を暖めることができる。なお、発熱源から放射される赤外線を蓄電池に当てて、蓄電池を暖めることも出来る。
【0032】
請求項11に記載の建物は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載された蓄電池格納構造を備えている。
【0033】
次に、請求項11に記載の建物の作用を説明する。
請求項11に記載の建物は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載された蓄電池格納構造を備えているため、蓄電池に蓄積した電気エネルギーを、建物に設けられた電気機器に対して有効利用することが出来る。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、請求項1に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、蓄電池の温度低下を抑え、蓄電池に溜めた電力を有効利用することができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項2に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、格納室の温度を外気温よりも高くでき、蓄電池の温度も外気温よりも高くできる。
【0036】
請求項3に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、暖房使用時に、蓄電池の温度低下が抑えられ、蓄電池の温度低下を抑えるために暖房の熱エネルギーを有効利用できる。
【0037】
請求項4に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、必要に応じて蓄電池を冷却し、蓄電池が推奨使用温度以上にならないようすることで、蓄電池に溜めた電力を有効利用することができる。
【0038】
請求項5に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、蓄電池の温度を最適な温度に自動調整でき、また、蓄電池によって居住スペースを狭くすることが無い。
【0039】
請求項6に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、建物内の熱エネルギーを効率的に蓄電池に付与することができる。
【0040】
請求項7に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、蓄電池に付与される熱エネルギーが不足する場合であっても、蓄電池の温度低下を抑えることが出来る。
【0041】
請求項8に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、蓄電池の温度が推奨使用温度範囲よりも高くなる場合に蓄電池を冷却でき、蓄電池を推奨使用温度範囲内で使用することができる。
【0042】
請求項9に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、蓄電池に付与する熱エネルギーを、蓄電池の温度低下を抑える事以外に使用し、熱エネルギーの有効活用を図ることができる。
【0043】
請求項10に記載の蓄電池格納構造は上記構成としたので、給湯機器の発熱源、または空調機器の発熱源の少なくとも一方から発生する熱エネルギーを、蓄電池の温度低下抑制に有効利用できる。
【0044】
請求項11に記載の建物は上記構成としたので、蓄電池に蓄積した電気エネルギーを、建物に設けられた電気機器に対して有効利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る蓄電池格納構造の要部を示す掘り炬燵周辺の断面図である。
【図2】ユニット建物の概略を示す側面図である。
【図3】図1に示す掘り炬燵の一部を断面にした斜視図である。
【図4】電気系のブロック図である。
【図5】補助ヒータを用いた掘り炬燵周辺の断面図である。
【図6】掘り炬燵を使用しない場合の断面図である。
【図7】(A)、(B)は、は第2の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す断面図である。
【図9】(A)は、第4の実施形態に係る蓄電池格納構造を示すキッチンの冷蔵庫設置部分を示す平面図であり、(B)はキッチンの冷蔵庫設置部分を示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す格納室の断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す蓄電池格納室の断面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す床下の断面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る蓄電池格納構造の概略を示す床下の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[第1実施形態]
以下、図1乃至図6にしたがって、本発明の蓄電池格納構造の適用されたユニット建物10一実施形態について説明する。
図2に示すように、本実施形態のユニット建物10は、基礎14上に複数個の箱型等の建物ユニット16を据え付けることにより構成された一階部分18と、当該一階部分18の上に複数の箱型等の建物ユニット16を据え付けることにより構成された二階部分20と、二階部分20の上に据え付けられた屋根部分22と、を含んで構成されている。
【0047】
図1に示すように、1階の建物ユニット16の床下地材24の上面には、仕上げ下地26が載置されており、仕上げ下地26の上面には、床仕上げ材28が張り合わされている。なお、床下地材24は、1階の建物ユニット16の床大梁(図1では図示省略)の上部に図示しないビス等により固定されている。
【0048】
図1、及び図3に示すように、1階の建物ユニット16の床には掘り炬燵30が設けられている。
1階の床下地材24、仕上げ下地26、及び床仕上げ材28には、掘り炬燵30を設けるために各々矩形の開口部が設けられている。
掘り炬燵30は、床下に配置される掘り炬燵本体32と、床上に配置される櫓34を備えている。掘り炬燵30を使用する場合、櫓34の上に、炬燵布団36、及び炬燵天板38が載せられる。
【0049】
掘り炬燵本体32は、箱状に形成され、床の開口部よりも面積が大きい矩形の底板40を備えている。
底板40と床下地材24との間には、床下地材24の開口部分と底板40とを連結するように炬燵本体側壁42が設けられている。
【0050】
底板40の中央には電気ヒータ等の加熱源41が配置され、加熱源41からの熱によって底板40、炬燵本体側壁42、櫓34、及び炬燵布団36で囲まれる炬燵空間44の空気が暖められる。なお、加熱源41は、赤外線を放射するもの、温風を出すもの等、何れのタイプのものであっても良い。
【0051】
また、底板40と床下地材24との間には、炬燵本体側壁42を囲むように、炬燵本体側壁42とは間隔を開け、かつ床下地材24と底板40とを連結するように周側壁46が設けられている。
【0052】
底板40、炬燵本体側壁42、周側壁46、及び床下地材24とで囲まれる枠状の部分が蓄電池格納室48となっている。本実施形態では、蓄電池格納室48の底板40の上部に複数の蓄電池50が搭載されている。
【0053】
炬燵本体側壁42の一部には開口部51が形成されており、開口部51には蓄電池50を出し入れ可能な扉52が蝶番54を介して開閉可能に取り付けられている。
また、炬燵本体側壁42の他の一部には炬燵空間44と蓄電池格納室48との間で空気の出入りを可能とする第1のガラリ56が設けられている。
【0054】
第1のガラリ56は、複数枚の板状の可動片56Aが回動可能に設けられている。可動片56Aは、図1及び図3に示すように、モータ等の第1のアクチュエータ57で回動され、その傾斜角度は後述する制御部60が第1のアクチュエータ57を制御することで変更される様になっている。
【0055】
なお、第1のガラリ56の各可動片56Aが鉛直方向に配置されると、炬燵空間44と蓄電池格納室48との空気の出入りが遮断され、各可動片56Aが鉛直方向に対して角度を有するように傾斜すると炬燵空間44と蓄電池格納室48と間で空気の出入りが可能となる。
【0056】
また、周側壁46には、蓄電池格納室48と床下空間62との間で空気の出入りを可能とする第2のガラリ64が設けられている。
第2のガラリ64も第1のガラリ56と同様の構造であり、複数枚の板状の可動片64Aが回動可能に設けられている。可動片64Aは、モータ等の第2のアクチュエータ59で回動され、その傾斜角度は制御部60が第2のアクチュエータ59を制御することで変更される様になっている。各可動片64Aが鉛直方向に配置されると、蓄電池格納室48と床下空間62との間で空気の出入りが遮断され、各可動片64Aが鉛直方向に対して角度を有するように傾斜すると蓄電池格納室48と床下空間62との間で空気の出入りが可能となる。
なお、底板40の下面、周側壁46の外面、及び第2のガラリ64の可動片64Aには、各々断熱材66が貼り付けられている。
【0057】
蓄電池格納室48には、蓄電池格納室48の内部の温度(室温)を検出する格納室温度センサ67が設けられている。格納室温度センサ67で検出した温度検出データは、後述する制御部60に出力される。
制御部60には、加熱源41がオンしているかオフしているかを認識するためのオンオフ信号が加熱源41から出力されるようになっている。
【0058】
蓄電池格納室48に収容された蓄電池50は、図4に示すように、ユニット建物10の建物用蓄電システム11のために用いられる。概要について説明すると、建物用蓄電システム11は、蓄電池50及び制御部60等からなる蓄電部63を備えている。
【0059】
制御部60は、蓄電池50の温度を蓄電、及び放電に最適となるように調整すると共に、蓄電池50への蓄電と放電の切換を制御し、更に、格納室温度センサ67から出力された温度データ等に基いて第1のアクチュエータ57、及び第2のアクチュエータ59を制御することができる。
【0060】
また、蓄電部63には、商用電力系統電源65及び太陽電池等の外部独立電源61がAC線68を介して接続されている。外部独立電源61と蓄電部63とを繋ぐAC線68上には、直流を交流に変換するインバーター70が介在されている。
【0061】
一方、上述した蓄電部63は、DC線72を介してユニット建物10内の直流負荷74に接続されている。また、蓄電部63はAC線76を介してユニット建物10内の交流負荷(図示せず)とも接続されている。なお、このAC線76上には直流を交流に変換するインバーター78が介在されている。さらに、上述した外部独立電源61は、DC線80を介して直流負荷74とも直接接続されている。
【0062】
建物用蓄電システム11では、蓄電池50が商用電力系統電源65から受電することにより、或いは図示しない太陽電池等の外部独立電源61から受電することにより、或いは図示しない燃料電池の余剰電力等から受電することにより、蓄電される。蓄電した電力は必要に応じてユニット建物10で使用するエアコン、照明装置、プラグインハイブリッド車、自然冷媒ヒートポンプ給湯器等の負荷に給電される。
【0063】
つまり、この建物用蓄電システム11は、蓄電池50を使い、ユニット建物10で使用する電気を蓄電及び給電する省エネ技術の一種である。例えば、この建物用蓄電システム11を用いた場合、昼間は太陽電池等の外部独立電源61で得られた電力等を蓄電池50に蓄えると共に夜間は料金が安い深夜電力を蓄電池50に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池50で蓄電した電力を放電して利用するといった使い方ができる。
【0064】
蓄電池50としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池といった蓄電池が適用可能であるが、ニッケルカドミウム蓄電池等の他の蓄電池であってもよい。
【0065】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
蓄電池50は、推奨使用温度の範囲内で使用されることが好ましく、推奨使用温度から外れると十分な電力を取り出せなくなる等の問題が生じる。
このため、冬季等で、蓄電池50の温度が低下すると(一例として、20°C未満)、貯蔵した電力を十分に活用できなくなる。
【0066】
図1は、冬季等で掘り炬燵30を使用している状態が示されており、通常は、可動片64Aが垂直に向けられて第2のガラリ64は床下空間62との間で空気が出入りしないように閉じられており、炬燵空間44の熱(温まった空気)が床下空間62に逃げないように保温する。この状態では、掘り炬燵本体32、及び蓄電池格納室48の床下空間62に面する外面全体が隙間無く断熱材66で覆われることになるので、高い保温効果が得られる。
【0067】
制御部60は、蓄電池格納室48の室温を格納室温度センサ67でモニタしており、本実施形態では、蓄電池50を格納している蓄電池格納室48の室温が、蓄電池50の推奨使用温度範囲(本実施形態の蓄電池50の推奨使用温度範囲は、例えば、20〜30°C)未満になったことが検出されると、制御部60は第1のアクチュエータ57を制御し、閉じていた第1のガラリ56を開ける。
これにより、炬燵空間44の暖められた空気(一例として、35〜40°C)が第1のガラリ56を介して蓄電池格納室48に流入し、蓄電池50の温度低下が抑えられる。
【0068】
なお、蓄電池格納室48の室温が、蓄電池50の推奨使用温度範囲を超えたことが検出されると、制御部60は第1のアクチュエータ57を制御し、第1のガラリ56を閉め、蓄電池50の温度上昇を抑える。なお、制御部60は、第2のアクチュエータ59を制御し、第2のガラリ64を開けて床下空間62の空気を蓄電池格納室48に導入し、蓄電池50の温度上昇を抑えることもできる。
【0069】
このように、制御部60は、蓄電池格納室48の室温を蓄電池50の推奨使用温度範囲から外れないように第1のアクチュエータ57、及び第2のアクチュエータ59を制御することができる。なお、蓄電池50の推奨使用温度範囲は、予め制御部60に記憶されており、第1のアクチュエータ57、及び第2のアクチュエータ59は制御部60によってフィードバック制御されている。
【0070】
本実施形態では、蓄電池50の温度低下を抑えるために炬燵空間44の暖められた空気を用いたが、掘り炬燵30を使用していない場合、炬燵空間44の暖められた空気では不十分な場合、蓄電池50を迅速に暖めたい場合等には、図5に示すように蓄電池格納室48に補助電気ヒータ82を設け、補助電気ヒータ82で蓄電池50を直接的に暖めるようにしても良い。
【0071】
図6には、掘り炬燵30を使用していない状態が示されている。
夏季等で、掘り炬燵30を使用しない場合には、櫓34、炬燵布団36、及び炬燵天板38が外され、その代わりに蓋板84で開口部分を塞ぐ。蓋板84としては、例えば、合板86に床仕上げ材28を貼り付けたものを用いることができる。
【0072】
夏場における床下空間62の温度は、一般的に外気温よりも低く、例えば20〜30°Cのため、夏場等で、蓄電池格納室48の室温が蓄電池50の推奨使用温度範囲(例えば、20〜30°C)を超えたことが検出された場合、制御部60は、閉めていた第2のガラリ64を2点鎖線で示すように開けて、外気よりも温度の低い床下空間62の空気を蓄電池格納室48に導入するように第2のアクチュエータ59を制御する。
【0073】
この場合、床下に床下空間62の温度を検知する床下空間温度センサ88を設け、床下空間温度センサ88を制御部60に連結し、制御部60により蓄電池格納室48の室温と床下空間62の温度との比較を行い、蓄電池格納室48の室温よりも床下空間62の温度が低い場合に第2のガラリ64を開けるように制御しても良い。
【0074】
このように、本実施形態の蓄電池格納構造によれば、蓄電池50の温度低下、及び温度上昇を抑えることで、蓄電池50に蓄積した電気エネルギーを有効利用することが出来る。
【0075】
なお、図1に2点鎖線で示すように、炬燵空間44の温度を検知する炬燵空間温度センサ69、床下空間62の温度を検知する床下空間温度センサ71を追加して設けて、これらを制御部60に連結し、制御部60が炬燵空間44の温度、床下空間62の温度、及び蓄電池格納室48の温度を常時モニタし、蓄電池50の推奨使用温度範囲となるように、制御部60が第1のガラリ56、及び第2のガラリ64の開閉を制御しても良い。
例えば、蓄電池格納室48の温度が高くなり過ぎた場合には、第1のガラリ56を閉め、第2のガラリ64を開閉して蓄電池格納室48の室温を蓄電池50の推奨使用温度範囲にできる。
【0076】
なお、蓄電池の推奨使用温度範囲は、電池の種類によって種々異なるため、蓄電池の種類が変われば、上述した推奨使用温度範囲は変更されるものである。なお、制御部60には記憶装置が備えられており、記憶装置には蓄電池の推奨使用温度範囲が予め記憶されている。
【0077】
また、蓄電池50を充電している間は、蓄電池50が発熱するため、制御部60は第1のガラリ56を閉め、炬燵空間44の暖められた空気を蓄電池格納室48へ導入しないようにする。これにより、加熱源41の熱エネルギーを炬燵空間44の空気を暖めるのみに利用でき、熱エネルギーを有効利用でき、また省エネにもなる。
【0078】
なお、制御部60は、蓄電池50の充電時に蓄電池格納室48の温度をモニタし、充電に適した温度範囲を超えた場合に、第2のガラリ64を開けるように第2のアクチュエータ59を制御し、床下空間62の冷たい空気によって蓄電池50を冷却しても良い。
【0079】
本実施形態では、掘り炬燵30の横の床下に蓄電池格納室48を設けて蓄電池50を格納したので、生活する上で蓄電池50が邪魔になることが無く、また、炬燵側から扉52を開けることで、蓄電池50の出し入れや、点検等が容易になる。
【0080】
なお、第1のガラリ56、及び第2のガラリ64の近傍に送風ファンを設け、第1のガラリ56、及び第2のガラリ64を通過する空気の速度を上げても良い(所謂、強制換気)。
また、本実施形態では、料金が安い深夜電力を蓄電池50に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池50で蓄電した電力を掘り炬燵30の加熱源41や、補助電気ヒータ82専用として用いることも可能である。これにより、コンパクトな蓄電池50が活用できる。
【0081】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図7にしたがって説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態の変形例であり、前述した第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態では、基礎90に、外気と床下空間62との空気の出入りを可能とする電動開閉式の基礎用ガラリ92が複数設けられている。
【0082】
夏季等で、蓄電池格納室48の室温を下げたい場合等には、図7(A)に示すように、第1のガラリ56、第2のガラリ64、及び基礎用ガラリ92を開け、自然換気によって外気を蓄電池格納室48に導入することが出来る。
【0083】
この場合、例えば、制御部60に外気温を検知する外気温センサ94を連結し、制御部60により蓄電池格納室48の室温と外気温との比較を行い、比較した結果に基いて第1のガラリ56、第2のガラリ64、及び基礎用ガラリ92の開閉を行うようにしても良い。
【0084】
なお、冬季等では、図7(B)に示すように、基礎用ガラリ92を閉めて床下空間62を密閉し、室内からの熱や、掘り炬燵(図7(B)では図示省略)からの熱等を利用して蓄電池50の温度低下を抑えることができる。
【0085】
本実施形態は、温度差や風による自然換気で蓄電池格納室48の室温を下げるが、自然換気だけでは不十分な場合、基礎用ガラリ92や蓄電池格納室48の近傍にファン等を取り付けて強制換気しても良い。
【0086】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を図8にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態のユニット建物10では、掘り炬燵30が設けられておらず、床下には蓄電池格納室48のみが設けられている。
蓄電池格納室48には、温度センサ96が設けられ、側壁には第2のガラリ64が設けられている点は上述した実施形態と同様である。
【0087】
図8に示すように、本実施形態では、例えば、暖房機能付きエアコン98、ガス、或いは石油を燃料とするファンヒータ、電気ヒータ、オイルヒータ等の暖房機器100で、部屋の空気が暖められるようになっている。
【0088】
蓄電池格納室48の上部の床(床下地材24、仕上げ下地26、及び床仕上げ材28)に換気扇102が取り付けられている。
本実施形態では、換気扇102を作動し、暖められた部屋の空気を蓄電池格納室48に導入することができる。
【0089】
本実施形態では、例えば、蓄電池格納室48の温度が20°C未満になったことが温度センサ96で検出された場合に、制御部60は換気扇102を駆動し、部屋の暖かい空気を蓄電池格納室48に導入する。なお、第2のガラリ64は、必要に応じて開閉される。
【0090】
本実施形態は、掘り炬燵30が無い部屋の床下に蓄電池格納室48を設ける場合、掘り炬燵30が無いユニット建物10等に適用することが出来る。
【0091】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態を図9にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9には、キッチン104の床下に蓄電池格納室48を設けた例が示されており、キッチン104の床105には、冷蔵庫106の背面側に換気扇108が取り付けられている。
【0092】
冷蔵庫106の背面側には、冷蔵庫106の側面に沿った側壁板110A、及び左右の側壁板110Aを連結すると共に、冷蔵庫106の背面と一定の間隔をおいて配置された背面壁板110Bとを備えた囲い部材110が配置されている。
【0093】
冷蔵庫106の背面側からは、コンデンサからの排熱があるので、排熱によって暖められた空気を換気扇108で蓄電池格納室48へ導入することができる。
【0094】
本実施形態では、例えば、蓄電池格納室48の温度が20°C未満になったことが温度センサ96で検出された場合に、制御部60は換気扇108を駆動し、冷蔵庫106の排熱で暖められた空気を蓄電池格納室48に導入する。なお、第2のガラリ64は、必要に応じて開閉される。
【0095】
本実施形態では、冷蔵庫106の排熱を利用することで、部屋の空気よりも高い温度の空気を利用できる。
【0096】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態を図10にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図10には、電気ヒータ、及び貯湯タンク等からなる電気温水器112が収容された格納室114が示されている。この格納室114には、棚116が配置されており、この棚116に複数の蓄電池50が収容されている。即ち、本実施形態では、格納室114が蓄電池格納室48を兼用している。
【0097】
電気温水器112からは多少なりとも熱が発せられるため、格納室114の室温は、外気温よりも高くなる。したがって、前述した実施形態の様に、炬燵や暖房機器を作動させない場合であっても、蓄電池50の温度低下を抑えることができる。なお、格納室114に換気扇118を設け、外気を導入して格納室114の温度調整を行っても良い。
【0098】
例えば、外気温を測定する外気温センサ94と、格納室114の室温を検知する格納室温センサ120を制御部60に接続し、制御部60が、格納室114の温度が例えば、30°C以上で、外気温が格納室114の温度よりも低いと判断した場合に、換気扇118を作動させて格納室114の温度よりも低い温度の外気を格納室114へ導入することができる。なお、換気扇118を作動させて格納室114の空気を屋外へ排気しても良い。
なお、格納室114には、電気温水器112の代わりに、お湯、スチーム等を得るためのボイラーが設置されていても良い。
【0099】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態を図11にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態のユニット建物10では、床下地材24と仕上げ下地26との間に、床暖房用の発熱体122が挟まれている。発熱体122としては、電気ヒータ、温水が通る温水パイプ等を上げることができる。
【0100】
床下には、床下地材24の下部に蓄電池格納室48が設けられている。なお、図示は省略しているが、蓄電池格納室48の外側面及び底面に断熱材が貼り付けられており、蓄電池格納室48を除く床下面全体にも断熱材が貼り付けられている。
【0101】
本実施形態では、発熱体122によって蓄電池格納室48の上壁を構成している床下地材24が暖められる。そして、床下地材24によって蓄電池格納室48の空気が暖められ、これによって蓄電池50の温度低下が抑えられる。
なお、床下地材24からの輻射熱(赤外線)によっても蓄電池50の温度低下は抑えられる。
【0102】
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態を図12にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図12に示すように、床下の基礎90には、建物中央側(矢印IN方向側)と基礎外周側(矢印OUT方向側)に延びるレール124が設置され、蓄電池50を搭載した移動ベース126がこのレール124に沿って移動可能に設けられている。
【0103】
移動ベース126には、移動ベース126を移動させるモータ128、モータ128で回転される車輪130が設けられている。
また、床下には、建物中央側の床下空間温度を検知する建物中央側温度センサ132と、基礎外周側の床下空間温度を検知する基礎外周側温度センサ134が設けられている。
建物中央側温度センサ132、基礎外周側温度センサ134、及びモータ128は制御部60に連結されている。
【0104】
本実施形態では、制御部60が建物中央側温度センサ132で建物中央側の床下空間温度を常時検知すると共に、基礎外周側温度センサ134で基礎外周側の床下空間温度を常時検知し、蓄電池50の温度低下を抑える場合には、制御部60は、モータ128を制御して建物中央側の床下空間及び基礎外周側の床下空間の内の何れか温度の高い側へ蓄電池50を移動する。
【0105】
一方、蓄電池50の温度を低下させたい場合には、制御部60は、モータ128を制御して建物中央側の床下空間及び基礎外周側の床下空間の内の何れか温度の低い側へ蓄電池50を移動する。
なお、本実施形態では、床下が蓄電池格納室48となっている。
【0106】
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態を図13にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図13に示すように、床下の基礎90には、鉛直方向に延びるガイドレール136、送りねじ138、これらガイドレール136と送りねじ138とで上下に移動される上下移動ベース140が設けられている。上下移動ベース140には、蓄電池50が搭載されている。なお、送りねじ138は、モータ146で回転されるようになっており、送りねじ138が回転されると、送りねじ138に螺合させたナット148が上下に移動し、ナット148を保持した上下移動ベース140が上下に移動する。
【0107】
また、床下には、床下空間62の上部の温度を測定する上部温度センサ142と、床下空間62の下部の温度を測定する下部温度センサ144とが設けられており、上部温度センサ142、下部温度センサ144、及びモータ146は制御部60に連結されている。
【0108】
本実施形態では、蓄電池50の温度低下を抑える場合には、上部温度センサ142で床下空間62の上部の温度が常時検知されると共に、下部温度センサ144で床下空間62の下部の温度が常時検知され、制御部60は、モータ146を制御して床下空間62の内の上部または下部の何れか温度の高い側へ蓄電池50を移動する。
【0109】
一方、蓄電池50の温度を低下させたい場合には、制御部60は、モータ146を制御して床下空間62の内の上部または下部の何れか温度の低い側へ蓄電池50を移動する。
なお、本実施形態では、床下が蓄電池格納室48となっている。
【0110】
[第9の実施形態]
上記実施形態では、床下の空気、または外気を用いて蓄電池50の温度上昇を抑えるようにしたが、例えば、蓄電池格納室48の底板40に、水道管を敷設し、必要に応じて水道管に水道水を通過させて蓄電池50を冷却しても良い。
【0111】
[第10の実施形態]
上記実施形態では、掘り炬燵30で暖められた空気を用いて蓄電池50の温度低下を抑えたが、例えば、ユニット建物10に24時間換気システムが設けられている場合、建物内の空気を屋外へ排出する排出経路中に蓄電池格納室48を設けたり、屋外に排出する空気の一部を蓄電池格納室48に導入するようにしても良い。
【0112】
例えば、冬季では、建物内の空気は、人体から発する熱、電気機器から発する熱、暖房器具から発する熱等によって暖められ、屋外の空気(外気)よりも温度が高くなる。24時間換気システムでは、建物内の空気を屋外へ排出すると共に、屋外の新鮮な空気を建物内に取り入れるシステムであるため、屋外へ排出する熱エネルギーを利用して蓄電池50の温度低下を抑えることが出来る。
【0113】
[第11の実施形態]
ユニット建物10に全館空調システム(別名セントラルヒーティング)が設けられている場合、蓄電池格納室48に建物内の空気を通過させるようにしても良い。
この場合、蓄電池格納室48と部屋との間に換気扇等を設け、部屋の空気を蓄電池格納室48に導入するようにしても良く、室内機通過後の予め設定された温度に調整された空気が通過するダクト等の途中に蓄電池格納室48を設けても良い。
【0114】
人間の快適と感ずる温度範囲も、蓄電池50の適正な活性状態を維持する温度範囲も略同じであるため、全館空調システムを用いている場合には、建物内の空気を蓄電池格納室48に導入することが効果的である。
【0115】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、格納室温度センサ67で蓄電池格納室48の室温を検知したが、格納室温度センサ67を蓄電池50に接触させて蓄電池50の温度を直接的に検知しても良い。
上記実施形態では、蓄電池50を床下の蓄電池格納室48、または電気温水器112を設置する格納室114に収容したが、蓄電池格納室48は、床下に限らず、外壁と内壁との間、1階の天井と2階の床との間等のデッドスペースに設けることもできる。
【0116】
上述した各実施形態では、ユニット建物を例にして説明したが、これに限らず、ユニット工法以外の工法によって建築される建物に対して本発明を適用してもよい。
上述した実施形態に限らず、蓄電池50の温度低下を抑えるためには、建物内の発熱源から発せられる熱は全て利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
10 ユニット建物(建物)
30 掘り炬燵(暖房手段)
42 炬燵本体側壁(第1の壁)
46 周側壁(第2の壁)
48 蓄電池格納室(格納室)
50 蓄電池
56 第1のガラリ(蓄電池調整手段)
64 第2のガラリ(蓄電池調整手段)
66 断熱材
67 格納室温度センサ(第1の温度センサ)
69 炬燵空間温度センサ(第2の温度センサ)
71 床下空間温度センサ(第3の温度センサ9
82 補助電気ヒータ(補助ヒータ)
112 電気温水器(給湯機器)
122 発熱体(暖房手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられ、蓄電池を格納する格納室と、
建物内で生成された熱エネルギーを前記格納室に格納された前記蓄電池に付与可能な蓄電池調整手段と、
を有する蓄電池格納構造。
【請求項2】
前記蓄電池調整手段は、外気温よりも高い温度とされた建物内の空気を前記格納室に導入可能とする、請求項1に記載の蓄電池格納構造。
【請求項3】
前記建物には、床部に暖房手段が設けられ、
前記蓄電池調整手段は、前記暖房手段によって生成された熱エネルギーを前記蓄電池に付与可能とする、請求項1または請求項2に記載の蓄電池格納構造。
【請求項4】
前記暖房手段は掘り炬燵であり、
前記格納室は前記掘り炬燵に隣接して床下に設けられ、前記掘り炬燵に隣接する第1の壁と、床下空間に面する第2の壁とを有し、
前記第1の壁に設けられる第1のガラリと、
前記第2の壁に設けられる第2のガラリと、
前記格納室の温度を検知する第1の温度センサと、
前記第1の温度センサによって検知された前記格納室の温度に基いて、前記格納室の温度が予め定められた温度範囲内となるように、前記第1のガラリ、及び前記第2のガラリの開閉を制御する制御部と、
を有する請求項3に記載の蓄電池格納構造。
【請求項5】
前記掘り炬燵の内部空間の温度を検知する第2の温度センサと、
前記床下空間の温度を検知する第3の温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記第1の温度センサによって検知された前記格納室の温度、前記第2の温度センサによって検知された前記掘り炬燵の内部空間の温度、及び前記第3の温度センサによって検知された前記床下空間の温度に基いて、前記格納室の温度が予め定められた温度範囲内となるように、前記第1のガラリ、及び前記第2のガラリの開閉を制御する、請求項4に記載の蓄電池格納構造。
【請求項6】
前記第1のガラリ、前記第2のガラリ、及び前記格納室の壁面には、断熱材が貼り付けられている、請求項4または請求項5に記載の蓄電池格納構造。
【請求項7】
前記格納室には、前記蓄電池を加熱する補助ヒータが設けられている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の蓄電池格納構造。
【請求項8】
前記蓄電池を冷却可能な冷却手段を有する、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電池格納構造。
【請求項9】
前記蓄電池調整手段は、前記蓄電池が充電状態以外の場合に前記熱エネルギーの付与を行う、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の蓄電池格納構造。
【請求項10】
蓄電池を格納する格納室を備え、
前記格納室に、発熱源を有する給湯機器、または発熱源を有する空調機器の少なくとも一方が設置されている、蓄電池格納構造。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載された蓄電池格納構造を備えた建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−165593(P2010−165593A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7972(P2009−7972)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】