説明

表示ユニット、表示装置、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置

【課題】焦点が容易に合う表示ユニットなどを提供すること。
【解決手段】 スペーサーと、
スペーサーを介して照明される複数の開口群と、
開口群を投影する複数のレンズとで構成される表示ユニットであって、
開口群は少なくとも一つの開口を有し、
それぞれのレンズは開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、並びに、この表示装置を備えた、表示ユニット、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像や文字を表示する表示装置(ディスプレイ)として、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイがある。しかし、これらの表示装置は視度の調節が出来ないという欠点がある。高齢化社会の進展に伴って老眼(老視)の高齢者が増えており、視度調節が可能な表示装置、特にフラットパネルディスプレイ(FPD)が望まれている。携帯電話の普及やデジタルカメラの普及により、屋外でFPDによる表示を見る機会が増えている。更に本の代わりに電子ブックの利用も増加している。このように携帯電話やデジタルカメラ等のモバイル機器のFPDを見るときに、いちいち老眼鏡を掛け外しするのは非常に煩わしい。
【0003】
携帯電話は、電話として使用するよりも、メールの使用、ゲーム等の場面でFPDを見る機会が多い。デジタル一眼レフカメラには、ライブビューモニターとしてFPDが用いられているが、このデジタル一眼レフカメラにおいて、遠方の被写体を見つつ、ライブビューモニターを見るのに、いちいち老眼鏡を掛けたり外したりするのは、実際的ではない。さらに、撮影モードの変更等、モニターを利用したGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)を使用することが多くモニターを見る必要性は高い。
【0004】
また、カーナビゲーションシステムのモニターを見るときは、観察者は運転中である。このため、老眼鏡を掛け外しするのは危険であり、老眼鏡の掛け外しは事実上不可能である。それ以外の場面として、パソコン(PC)の液晶画面を観察する時も、いちいち老眼鏡を掛けるのは観察者にとって煩わしい。したがって、老眼鏡を掛け外しすることなくモニターを見ることのできる電子機器が望まれている。
【0005】
すなわち、従来、老眼鏡を掛けなくても焦点の合った画像を見ることの出来るFPDは存在していなかった。また、その様なモニターを搭載した電子機器は無かった。しかるに、最近ではこのような問題は指摘されつつあり、特許文献1には、エッジ強調をした補正画像を表示する方法が提案されている。また、特許文献2にはテプリッツ行列の逆行列で生成した事前補正画像を用いる方法が提案されている。更に特許文献3にはルーペを用いる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3552413号公報
【特許文献2】特開2007−128355号公報
【特許文献3】特開2009−63624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1によるエッジ強調の手法では、表示情報を多少見易くはするものの、デフォーカス像を回復することは不可能である。特許文献1における補正は、像がボケる原因のデフォーカスの情報を用いた補正ではないためである。
【0008】
また、特許文献2では、眼の焦点調節不足による点広がり関数からなるテプリッツ行列を元にして補正している。この場合、補正画像データに複素数は生じないものの、その結果、特許文献1と同じエッジ強調程度の補正に留まり、実際の効果は少なく実用には至っていない。
【0009】
更に、特許文献3では、フレネルレンズをデジタルカメラのモニターであるFPDの手前に取り付け、ルーペのようにFPDを覗く例が示されている。しかし、老眼の補正をする為には、フレネルレンズをFPDから数cm距離離す必要があり、実用的ではない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みたもので、焦点が容易に合う表示ユニット、表示装置、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の表示ユニットは、
スペーサーと、
スペーサーを介して照明される複数の開口群と、
開口群を投影する複数のレンズとで構成される表示ユニットであって、
開口群は少なくとも一つの開口を有し、
それぞれのレンズは開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、レンズがマイクロレンズアレイで構成されることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイ或いはスペーサーの平面に印刷で形成されることが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイ或いはスペーサーの平面にエッチングによって形成されることが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、スペーサーがディフューザーであることが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、ディフューザーの散乱角が10°以内であることが望ましい。
【0017】
また、本発明の表示ユニットは、
複数の開口群と、
開口群を投影する複数のレンズとで構成される表示ユニットであって、
開口群は少なくとも一つの開口を有し、
開口の開口部分に散乱特性が与えられていることを特徴とし、
それぞれのレンズは開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、散乱面の散乱角が10°以内であることが望ましい。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口群のピッチPpとレンズのピッチLpが以下の条件式を満たすことが望ましい。
Lp/Pp=L/(L+fb)
ここで、
fbは開口群とレンズとの距離、
Lはレンズと観察者の瞳までの距離、
である。
【0020】
また、本発明の好ましい態様によれば、複数のレンズがマイクロレンズアレイで構成されることが望ましい。
【0021】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイの平面に印刷で形成されることが望ましい。
【0022】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイの平面にエッチングによって形成されることが望ましい。
【0023】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口群とレンズの配置が同じピッチであることを特徴とし、
複数のレンズが、マイクロレンズアレイで構成され、
マイクロレンズアレイが、それぞれの開口群の投影像を互いに重ねるフィールドレンズの効果を有する複合マイクロレンズアレイであることが望ましい。
【0024】
また、本発明の好ましい態様によれば、マイクロレンズアレイのレンズの大きさが0.05mm以上であることが望ましい。
【0025】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口の像の大きさが0.5mmから2.8mmであることが望ましい。
【0026】
また、本発明の好ましい態様によれば、複数の情報画素で画像を表示する表示デバイスに着脱できる機構を有することが望ましい。
【0027】
また、本発明の好ましい態様によれば、電子機器に着脱できる機構を有することが望ましい。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、携帯用電子機器に着脱できる機構を有することが望ましい。
【0029】
また、本発明の好ましい態様によれば、携帯電話に着脱できる機構を有することが望ましい。
【0030】
また、本発明の好ましい態様によれば、撮像装置に着脱できる機構を有することが望ましい。
【0031】
また、本発明の表示装置は、
複数の情報画素で画像を表示する表示デバイスと、
スペーサーと、
複数の開口群と、
複数のレンズとで構成される表示装置であって、
スペーサーを介して情報画素で開口群を照明し、
開口群は少なくとも一つの開口を有し、
それぞれのレンズは開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする。
【0032】
また、本発明の好ましい態様によれば、スペーサーがディフューザーであることが望ましい。
【0033】
また、本発明の好ましい態様によれば、ディフューザーの拡散角が10°以内であることが望ましい。
【0034】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口群のピッチPpとレンズのピッチLpが下記の関係を満たすことが望ましい。
Lp/Pp=L/(L+fb)
ここで、
fbは開口群とレンズとの距離、
Lはレンズと観察者の瞳までの距離、
である。
【0035】
また、本発明の好ましい態様によれば、複数のレンズがマイクロレンズアレイで構成されることが望ましい。
【0036】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイ或いはスペーサーの平面に印刷で形成されることが望ましい。
【0037】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口がマイクロレンズアレイ或いはスペーサーの平面にエッチングによって形成されることが望ましい。
【0038】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口群とレンズの配置が同じピッチであることを特徴とし、
複数のレンズが、マイクロレンズアレイで構成され、
マイクロレンズアレイが、それぞれの開口群の投影像を互いに重ねるフィールドレンズの効果を有する複合マイクロレンズアレイであることが望ましい。
【0039】
また、本発明の好ましい態様によれば、マイクロレンズアレイのレンズの大きさが0.05mm以上であることが望ましい。
【0040】
また、本発明の好ましい態様によれば、開口の像の大きさが0.5から2.8mmであることが望ましい。
【0041】
また、本発明の好ましい態様によれば、表示デバイスの情報画素ピッチが0.3mm以下であることが望ましい。
【0042】
また、本発明の好ましい態様によれば、表示デバイスの情報画素が少なくともR(赤)、G(緑)、B(青)の三色を含むサブ情報画素で構成されていることが望ましい。
【0043】
また、本発明の好ましい態様によれば、サブ情報画素の画素ピッチが0.1mm以下であることが望ましい。
【0044】
また、本発明の好ましい態様によれば、表示デバイスが液晶デバイスであることが望ましい。
【0045】
また、本発明の好ましい態様によれば、表示デバイスが有機ELデバイスであることが望ましい。
【0046】
また、本発明の電子機器は、上述の表示装置を備えることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の携帯用電子機器は、上述の表示装置を備えることを特徴とする。
【0048】
また、本発明の携帯電話は、上述の表示装置を備えることを特徴とする。
【0049】
また、本発明の好ましい態様によれば、メール機能を備えることが望ましい。
【0050】
また、本発明の好ましい態様によれば、カメラ機能を備えることが望ましい。
【0051】
また、本発明の撮像装置は、上述の表示装置を備えることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の好ましい態様によれば、撮影条件を設定するスイッチが設けられたことが望ましい。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、焦点が容易に合う表示ユニット、表示装置、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置を提供できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の表示装置の光学系を示す図である。
【図3】眼のレンズの瞳一杯に透過した光束による像と、瞳より小さい光射出点像による光束が形成する像と、を比較する図である。
【図4】第1実施形態の他の構成を示す図である。
【図5】本発明の表示原理を表示デバイスに応用する例を説明する図である。
【図6】本発明の表示原理を表示デバイスに応用する例を説明する他の図である。
【図7】(a)は、本発明の第2実施形態にかかる表示ユニットの構成を示す斜視図である。(b)は、第2実施形態の変形例の断面構成を示している。
【図8】マイクロレンズアレイと開口群とを密着して接合する構成を説明する図である。
【図9】(a)は、ディフーザーを用いるときの斜視構成を示す図である。(b)は、その断面構成を示す図である。
【図10】ディフューザー26の散乱面の散乱角を説明する図である。
【図11】(a)は、本発明の第2実施形態にかかる表示ユニットを示す図である。(b)は、表示ユニットの断面構成を示す図である。
【図12】第3実施形態に係る表示装置の概略構成を示す図である。
【図13】第4の実施形態の表示ユニットを示す斜視構成を示す図である。
【図14】撮像装置の一例であるデジタルカメラを示している。
【図15】携帯電子機器の一例として携帯電話を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下に、本発明に係る表示ユニット、表示装置、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0056】
カメラではレンズの絞りを絞ると被写界深度が拡大し、手前から奥まで焦点の合った写真を撮ることが出来ることが知られている。従って、眼の瞳を人為的に絞ることにより被写界深度を拡大して、老眼では焦点の合わせにくい近点にも焦点を合わせることが出来る。本発明は等価的に眼の瞳を絞ったことになる表示ユニット、表示装置、電子機器、携帯用電子機器、携帯電話、及び撮像装置を提供する。
【0057】
(実施形態の基本構成)
図1は、本実施形態に係る表示装置の基本構成を示す斜視図である。図1を参照して、本実施形態に係る表示原理の考え方を説明する。図1において、レンズ3は、表示を観察する者(観察者)の眼のレンズである。瞳3aは、眼3の瞳である。ここで、瞳3aとは、眼のレンズ3の開口のことである。
【0058】
開口1a、1b、1cから射出される光は、レンズ2a、2b、2cによって、瞳3aに、それぞれの像が重なるように投影される。そのため、レンズ2a、2b、2cのピッチ(間隔)は、開口1a、1b、1cから射出される光が瞳3aの位置で重なるように設定される。
【0059】
すなわち、以下の式で示す関係が成立している。
Lp/Pp=L/(L+fb)
ここで、
Lpはレンズ2a、2b、2cのピッチ(間隔)、
Ppは開口1a、1b、1cのピッチ、
Lは瞳3aからレンズ2bまでの距離、
fbは開口1aとレンズ2bとの距離、
である。
【0060】
瞳3aに投影される開口1a、1b、1cの像の大きさ4は、瞳3aの径より小さく設定される。すなわち、瞳3aを通過する光束(大きさ4)は瞳3aより小さい。また、レンズ2a、2b、2cは、眼のレンズ3によって、網膜5に投影され、レンズの像6a、6b、6cを形成する。レンズ2a、2b、2cを画素と考えるとレンズの像6a、6b、6cは画素の像となる。開口1a、1b、1cに画像の信号の光を与えると画像を見ることが出来る。
【0061】
ここで、老眼の人の目の場合、焦点は網膜5上に合わない。しかしながら、画素であるレンズ2a、2b、2cの結像に関しては瞳3aより小さい光束(大きさ4)を用いているので、焦点深度の深い像が形成される。よって、観察者は、容易に焦点の合った画像を見ることが出来る。これに関しては図3を用いて後述する。
【0062】
画素であるレンズ2a、2b、2cのそれぞれに対応して、複数の開口が設けられていても良い。すなわち、レンズ2a、2b、2cにそれぞれ対応して、開口群7a、7b、7cを設ける構成でも良い。
【0063】
開口群7a、7b、7cは、レンズ2bによって投影されて、開口像8a、8b、8cを形成する。ここで、レンズ2aにより、開口群7a、7bの像8b、8cが形成される。レンズ2cにより、開口群7b、7cの像8a、8bが形成される。
【0064】
なお、図1においては、開口群と隣接する開口群との間に直線状の隙間が設けられているように描かれている。この隙間は、説明をより明確にするために記載したものである。このため、実際は、開口群どうしの間には、不必要な隙間は存在していない。開口群どうしの間の隙間の記載に関しては、以下の図においても同様である。
【0065】
図2は、基本構成の表示装置の光学系を示す図である。図2を用いて、開口1、レンズ2、それぞれの結像関係を説明する。
【0066】
開口1は、レンズ2によって眼のレンズ3に投影される。具体的には、開口1上の点12aから射出された光は、レンズ2を透過後、実線で示す光線10a、10bとなる。そして、光線10a、10bにより眼のレンズ3上に点12aの像13aが形成される。
【0067】
また、開口1上の点12bから射出された光は、レンズ2を透過後、点線で示す光線10c、10dとなる。そして、光線10c、10dにより眼のレンズ3上に点12bの像13bが形成される。
【0068】
また、レンズ2は、眼のレンズ3により、網膜5の近傍5aに結像される。具体的には、レンズ2の点2’は、光線10b、11b、10d、11dで示されるように、点6’に結像する。また、レンズ2の点2”は、光線10a、11a、10c、11cで示されるように、点6”に結像する。このように、網膜5の近傍5aに、レンズ2の像6が形成される。
【0069】
開口群の像の性質について説明する。レンズ2の焦点距離は短く、観察者の眼の瞳3aに投影される開口群の像の焦点深度は深い。同じ結像距離で焦点距離が短い場合、倍率が高くなる。すると、像側のNAが非常に小さくなるので焦点深度が深くなる。従って、瞳上で正確に焦点が合っている必要性は低い。
【0070】
瞳より小さい開口の像(大きさ104)を瞳位置に形成することは、瞳を絞ることと同等の効果があることを、図3(a)、(b)、(c)を用いて説明する。観察者が点A、点Bを観察する場合を考える。
【0071】
老眼の場合、眼のレンズ3の屈折力が弱いので、網膜5上に焦点を結ぶことができない。従って、眼のレンズ3の瞳一杯に透過してきた光束14、15によって形成される点Aと点Bの像は、それぞれ網膜5上で円領域A’、円領域B’のように広がる。このため、焦点の合った像を見ることができない。
【0072】
しかも、円領域A’と円領域B’は一部が重なっているので、観察者は円領域A’と円領域B’を分離して認識することはできない。従って、観察者は解像された像を見ることができない。
【0073】
一方、瞳より小さい光束16、17によって形成される点Aと点Bの像は、それぞれ網膜6上で円領域A”、円領域B”のように小さくなる。このため、円領域A’と円領域B’に比べると焦点の合った像を見ることができる。
【0074】
さらに、円領域A”と円領域B”は全く重なっていない。このため、観察者は円領域A”と円領域B”を分離して認識することができる。すなわち、観察者は解像された像を見ることができる。本実施形態では、瞳より細い光束を瞳に入射させることにより、等価的に瞳を絞った状態にすることで、被写界深度を増大させている。
【0075】
なお、ここで言う開口は、上述したように円形が好ましいが、必ずしも丸くなくても良い。
【0076】
図4は、他の基本構成を示す図である。開口1a、1b、1cは、画素であるレンズ2a、2b、2cと同じピッチで配置されている。すなわち、ピッチPpとピッチLpとは等しい構成である。開口1a、1b、1cから射出される光は、レンズ2a、2b、2cによって表示の観察者の眼のレンズ3の瞳に投影される。ここで、図1のように、レンズ2a、2b、2cと眼のレンズ3の間に何も無いと、開口のそれぞれの像は重ならない。
【0077】
従って、レンズ2a、2b、2cの像側に、フィールドレンズ9を配置する。これにより、開口1a、1b、1cのそれぞれの像は、眼のレンズ3の瞳で重なるように形成される。このように、開口1a、1b、1cのピッチPpと、レンズ2a、2b、2cのピッチLpとを同じにする場合は、フィールドレンズ9を用いる必要がある。
【0078】
また、画素であるレンズ2a、2b、2cそれぞれに対応して複数の開口が設けられている構成でも良い。すなわち、レンズ2a、2b、2cそれぞれに対応して、開口群7a、7b、7cを形成する。
【0079】
開口群7a、7b、7cは、レンズ2bによって投影されて、開口像8a、8b、8cを形成する。ここで、レンズ2aにより、開口群7a、7bの像8b、8cが形成される。レンズ2cにより、開口群7b、7cの像8a、8bが形成される。
【0080】
次に、図1、図4の実施形態に共通する光学的性質について述べる。
【0081】
開口を投影する時、少なくとも一つの開口の像が瞳の中に投影される。被写界深度を拡大する為には、観察者の瞳に入射する光束の径、すなわち開口のレンズによる投影像の大きさは瞳径より小さい径が望ましい。
【0082】
通常の明るさ時の瞳径は3mm程度である。このため、被写界深度を拡大するには、光束径、すなわち開口の像の径、大きさは、2.8mm以下が好ましい。
他方、光束径が小さくなると眼の解像力は悪化する。
【0083】
眼の角解像力θは、次式(1)で表すことができる。
θ=λ/Φ (1)
ここで、
λは波長、
Φは光束径、
をそれぞれ示している。
【0084】
従って、波長を0.55μmとしたとき、光束径2mmの解像力(回折限界)は、ほぼ視力1.0に相当する。光束を1mmに絞ると、視力は0.5に低下する。しかしながら、300mm先で0.17mm程度の解像力があるので通常は問題が無い。
【0085】
光束径を0.5mmにまで絞ると、視力は0.25相当まで低下する。300mm先での解像力は0.33mm程度にまで低下する。この程度であれば、3mm程度の大きさの文字は何とか識別することが出来る。
【0086】
さらに、光束径を0.2mmにまで絞ると、視力は0.1相当にまで低下する。この場合、300mm先での解像力は0.9mmに低下する。従って、光束径を0.5mm程度に絞るのが下限である。
【0087】
なお、開口の投影像の強度分布の境界が、回折の影響などにより、はっきりしない場合がある。このように投影像の境界がはっきりしない場合、投影像の大きさは、等価的に半値全幅と考えることが出来る。
【0088】
老眼の人が物を見難い距離は、近距離が多い。このため、300mm程度の距離が見やすくなるように、観察者までの距離を300mmと考えて、開口の像を300mm先に投影するのが好ましい。また、応用によっては、より短距離も考えられる。
【0089】
被写界深度拡大の効果を得るには、開口の投影された大きさは、2.8mm程度或いは、2.8mm以下に設定することが好ましい。また、レンズの大きさは、一つ一つが画素の大きさに相当するので、高精細の表示を行うには500μm以下が好ましい。
【0090】
更に、視力1.0の人が300mm離れている物体を見るときの解像力は、約0.1mmである。このとき、レンズの大きさは、その半分の0.05mm、すなわち50μm程度が好ましい。レンズの大きさとは、レンズの直径、またはレンズの一辺の長さをいう。
【0091】
一方、回折による光束の広がりも考慮する必要がある。回折による広がり角ψは、次式(2)で示される。
ψ=λ/D (2)
ここで、
λは波長、
Dは開口の大きさ(直径或いは一辺の長さ)、
である。
【0092】
従って、距離Zにおいて観察すると、光束の大きさφは、次式(3)で示される。
φ=λZ/D (3)
ここで、
λは波長、
Zは観察距離、
Dは開口の大きさ(直径或いは一辺の長さ)、
である。
【0093】
D=50μmの場合、φ=3.3mmとなる。瞳を光束で等価的に絞る効果がほとんどなくなることが分かる。従って、レンズの大きさは50μm以上であることが好ましい。また、光束の大きさを瞳上で1mmに保つ為のレンズの大きさは、観察距離300mmの時、165μmである。以上より、レンズの大きさは50〜500μmであることが望ましい。
【0094】
次に、図5(a)、(b)、図6を参照して、図1から図4を用いて説明してきた表示原理を、通常のLCD(液晶ディスプレイ、液晶デバイス)や有機EL(有機ELディスプレイ、有機ELデバイス)などの表示デバイスに応用する時に発生する課題について述べる。
【0095】
なお、通常のLCD、有機EL等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の画素を、本願の画素であるレンズと区別するため、「情報画素」という。図5(b)に示すように、表示ユニットは、マイクロレンズアレイ18と、開口を有する開口群19とで構成されている。
【0096】
マイクロレンズアレイ18のレンズは、図1において説明したレンズ2a、2b、2cの作用・効果を有する。また、開口群19の開口は、同様に図1の開口1a、1b、1cの作用・効果を有している。
【0097】
表示ユニットは、表示デバイス20に載せて用いられる。表示デバイス20の情報画素21は、図5(a)に示すような、R(Red)、G(Green)、B(Blue)のストライプ構成である。
【0098】
なお図5(b)は、図1に示した基本構成の場合で、表示デバイス20、開口群19の大きさに比較して、マイクロレンズアレイ18は小さくなっている。
【0099】
開口群19は、表示デバイス20の情報画素21によって照明され、情報画素のストライプ構成と同様にR、G、Bのストライプパターンとなる。R、G、Bの開口群19に応じてマイクロレンズアレイ18のレンズも、ストライプ(短冊状)の形状を有している。
【0100】
最近のLCDの進歩により高精細化が進み、情報画素の大きさは0.09mm×0.09程度になっている。R、G、Bの各色のサブ情報画素の大きさは、30μm×90μm程度まで小さくなっている。すると、その大きさに対応するレンズの大きさは、30μm×90μm以下となる。
【0101】
レンズの大きさが上記のようになるのは、フィールドレンズ効果を用いた場合、Pp=Lpとなるからである。また、フィールドレンズを用いない場合は、Lp/Pp=L/(L+fb)の関係があり、レンズのピッチLp<Ppとなるからである。
【0102】
レンズの大きさが30μmの場合、式(3)より、回折広がりが5.5mmにも達する。このため、開口を瞳径よりも小さく投影することが出来ない。
また、より大きな情報画素、例えば0.18mm×0.18mmの大きさの場合でも、開口群19にサブ情報画素を対応させるには、表示デバイス20の表示範囲で情報画素の大きさの0.18mm以下に表示ユニットと情報画素21の傾きを合わせる必要がある。
【0103】
すなわち、図6に示すように、表示デバイス20(情報画素21)と開口群19の傾きθを、表示デバイス20の表示範囲内で、一情報画素の大きさ内に収める必要がある。従って、情報画素の大きさが小さいとき、表示デバイス20と開口群19を高精度で位置合わせ、すなわち傾きの調整を行う必要が生じる。表示デバイス20と開口群19の傾きには、両者を接触させた状態で、面の法線を軸として一方を回転させたような状態も含まれる。
【0104】
(第1実施形態)
図7(a)は、第1実施形態にかかる表示ユニットの構成を示す斜視図である。通常レンズは多数設けられているが、ここでは簡便のため、多数のレンズのうち3×3個を示している。
【0105】
表示ユニットは、マイクロレンズアレイ22、開口群23、スペーサー24で構成されている。LCDの情報画素21のR、G、Bのサブ情報画素からの光は、スペーサー24の間で広がり、開口群23の開口に到達する。
【0106】
なお、図7(a)は、図1に示す基本構成の場合で、開口群23、スペーサー24の大きさに比較して、マイクロレンズアレイ22は小さくなっている。
【0107】
従って、一つの開口に対して、R、G、Bの光が入射する。このため、マイクロレンズアレイのレンズの大きさは情報画素より大きくても良いことになる。すなわち、本実施形態では、レンズの大きさを大きくできることから、回折広がりを抑えることができる。その結果、開口を瞳径よりも小さく投影することができる。また、スペーサー24を基準にして、表示デバイス20(情報画素21)と開口群19の位置合わせを行なえばよいので、両者の位置合わせに高い精度が要求されることがない(位置合わせが容易にできる)。
【0108】
(第1変形例)
図7(b)は、第1実施形態の第1変形例の断面構成を示している。図4に示した基本構成の場合で、開口群23、スペーサー24の大きさと、マイクロレンズアレイ22の大きさとが等しい構成である。なお、この構成では、上述したフィールドレンズを用いる。
【0109】
また、図7(a)では、マイクロレンズアレイ22と開口群23との間に空間を設けている。これに限られず、図8に示すように、空間を無くして、マイクロレンズアレイ22と開口群23とを密着して接合する構成でも良い。
【0110】
このように、本実施形態は、情報画素の大きさ(情報画素ピッチ)が0.3mm以下の表示デバイスに特に有効である。また、R、G、Bのサブ情報画素の大きさ(サブ情報画素ピッチ)が0.1mm以下の場合に特に有効となる。
【0111】
開口を形成するためには、まず、マイクロレンズアレイ22やスペーサー24の平面側に対して、クロムなどの金属薄膜を形成する。次に、金属薄膜をエッチングすることで、開口を形成する。
【0112】
開口を形成する他の手順は、マイクロレンズアレイ22やスペーサー24の平面側に対して、ブラックカーボンなどを含む遮光樹脂を塗布して、開口を開けることでも良い。塗布の方法としては、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷方法を用いることができる。
【0113】
(第2変形例)
図9は、第1実施形態の第1変形例の断面構成を示している。本変形例では、スペーサー24の厚さを十分に取ることができない場合について説明する。この場合、スペーサーの代わりに、図9(a)、(b)に示すようなディフューザー26を用いる。
図9(a)は、ディフーザー26を用いるときの斜視構成を示す図である。図9(b)は、その断面構成を示す図である。ディフューザー26は、微小なランダムな凹凸を形成した散乱面25を有する。ディフューザー26を用いることにより、一つの開口にR、G、Bの光を入射させることができる。
【0114】
ここで、散乱面25は、ディフューザー26の開口群23側の面に形成する構成、及びディフューザー26の開口群23とは反対側の面に形成する構成のいずれの構成でも良い。また、散乱面25とディフューザー26は一体で形成されていても良い。
【0115】
図10は、ディフューザー26の散乱面の散乱角を説明する図である。表示デバイスの情報画素21の拡散の程度が小さい場合、情報画素21に接する面を散乱面とする場合もある。ここで、光量を有効に用いる為に、ディフューザー26の散乱面の散乱角は、10°以内が望ましい。本明細書において、散乱角とは、散乱強度が半値となる角度である。もちろん、ディフューザー26自体が散乱物質により構成されていても良い。
【0116】
上記のように、第1変形例はスペーサー24を備え、第2変形例はディフューザー26を備えている。よって、両変形例においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0117】
(第2実施形態)
図11(a)は、第2実施形態にかかる表示ユニットを示す図である。図11(b)は、表示ユニットの断面構成を示す図である。図に示すように、本実施形態の表示ユニットは、マイクロレンズアレイ22、開口群23、散乱面25を有している。本実施形態の表示ユニットは、不図示の表示デバイスに載せて使用する。表示デバイスとは液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイが一般的である。本実施形態の表示ユニットは拡散面25を備えているので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0118】
すなわち、表示ユニットを取り付ける表示デバイスに保護ガラス等がある場合には、厚さのあるディフューザーは必要ない。開口群23の開口部分が散乱面25であれば良い。また、光量を有効に用いる為に、散乱角は10°以内が望ましい。
【0119】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る表示装置について説明する。
図12は、第3実施形態に係る表示装置の概略構成を示す図である。通常、レンズは多数あるが、ここでは、そのうち3×3個のみを示している。
【0120】
表示装置は、マイクロレンズアレイ22、開口群23、スペーサー24、表示デバイス27で構成されている。表示デバイスとは液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイが一般的である。
【0121】
マイクロレンズアレイ22のレンズは、表示原理の説明図である図1において説明したレンズ2a、2b、2cの作用・効果を有している。開口群23の開口は、同じく、開口1a、1b、1cの作用・効果を有している。スペーサー24の代わりにディフューザー26を使用してよい。
【0122】
表示デバイス27の情報画素からの光は、発散して進行した後、開口群23の開口に伝達する。情報画素からの光量を有効に使い、尚且つ情報画素の画像情報を出来るだけ損なわずに開口群23に伝える為には、ディフューザー26の拡散角度が適切であることが望ましい。
【0123】
以下、幾つかの数値例を示して説明する。
ここで、観察者までの距離をL、レンズによる投影倍率をmとすると開口とレンズの距離fbは、fb=L/mとなる。また、レンズの焦点距離Fは、fbL/(L+fb)となる。
【0124】
表示デバイス27の情報画素の大きさを0.18mm×0.18mmとする。開口群23のピッチを情報画素のピッチ合わせるとPpは0.18mmとなる。開口の大きさを10μmとする。観察者の瞳に1mmの投影像を入射させるには、レンズの投影倍率は100倍となる。
【0125】
観察者までの距離を300mmとすると、レンズの焦点距離は2.97mmとなる。開口はレンズの後側焦点位置3mmに置かれる。レンズの焦点距離が小さいので300mm先に投影する場合、無限投影とほぼ同じになる。互いに最も近接する開口の間隔を30μmとすると、観察者の位置では3mm間隔となる。
【0126】
瞳を3mm移動すると隣の開口の投影像による光束で画像を見ることになる。マイクロレンズアレイのレンズピッチLpは、Lp=PpL(L+fb)より、0.178mmとなる。マイクロレンズアレイ22のレンズの開口数は、0.03となり、大きさ0.18mmの情報画素からの光をレンズに入れるには、スペーサー24の厚さも3mm程度必要になる。ディフューザー26を用いると薄く出来る。さらに、散乱角10°のディフューザー26を用いると1mm程度に薄く出来る。
【0127】
表示デバイス27の情報画素の大きさを0.09mm×0.09mmとする。開口群23のピッチを情報画素のピッチに合わせるとPpは0.09mmとなる。開口の大きさを10μmとして、観察者の瞳に1.5mmの投影像を入射させるには、レンズの投影倍率は、150倍となる。
【0128】
観察者までの距離を300mmとすると、レンズの焦点距離は2.01mmとなる。レンズの焦点距離が小さいので300mm先に投影する場合、無限投影とほぼ同じになる。開口はレンズの後側焦点位置2mmに置かれる。互いに最も近接する開口の間隔を30μmとすると、観察者の位置では4.5mm間隔となる。瞳を4.5mm移動すると隣接の開口の投影像による光束で画像を見ることになる。
【0129】
マイクロレンズアレイ22のレンズピッチLpは、Lp=PpL(L+fb)より、0.089mmとなる。マイクロレンズアレイ22のレンズの開口数は、0.022となる。大きさ0.09mmの情報画素からの光をレンズに入れるには、スペーサー24の厚さも2mm程度必要になる。ディフューザー26を用いると薄く出来る。さらに、散乱角10°のディフューザー26を用いると0.5mm程度に薄く出来る。
【0130】
上述の数値例は、第1実施形態、第2実施形態の表示ユニットにも当てはめることが出来る。
【0131】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る表示ユニットについて説明する。
図13は、第4の実施形態の表示ユニットを示す斜視構成を示す図である。表示ユニット28は電子機器に着脱できる機能を有している。本実施形態では、電子機器の例としてデジタルカメラを用いる。
【0132】
デジタルカメラ29は、その前面に図示しない撮像レンズを備えている。デジタルカメラ29には、レリースボタン34、モードボタン33、表示デバイス30が設けられている。表示デバイス28としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが一般的に用いられる。
【0133】
表示ユニット28には、取り付け用フック31が上下に設けられており、デジタルカメラに対するアタッチメントとなっている。デジタルカメラ29側には、取り付け用フック31に対応する位置(上下)に取付け穴32が設けられている。
【0134】
取り付け用フック31を取付け穴32に係合させることで、表示デバイス30に表示ユニット28を密着して取り付けることができる。取り付け用フック31は、柔軟性のあるプラスチックなどで形成されている。これにより、表示ユニット28は自在に着脱できる。
【0135】
表示ユニット28をデジタルカメラ29へ取り付けると、老眼や近眼、乱視の人でもメガネを掛け外しすることなく、表示デバイス30に表示された像や情報を確認することができる。これにより、ピントや構図だけでなくGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)を容易に確認することができる。このため、モードボタン34で好みの撮影モードを選択して撮影することも可能となる。
本表示ユニット28をアタッチメントとして、デジタルカメラ29に取り付けることにより、本来の機能を使用することができる。
【0136】
ここで示した着脱機構は、表示デバイスやデジタルカメラ以外の撮像装置はもちろんのこと、携帯電話等の携帯用電子機器を含む電子機器への着脱に有効である。また、ここに示した着脱機構以外でも同様の作用・効果を生じる機構を用いても良いのは言うまでもない。
【0137】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る撮像装置について説明する。
図14は、撮像装置の一例であるデジタルカメラを示している。デジタルカメラ35は、その前面に図示しない撮像レンズを備えている。デジタルカメラ35には、レリースボタン36、モードボタン37、表示装置38が設けられている。
【0138】
使用者は、撮像レンズを通して撮像された像を表示装置38で確認しながらレリースボタン37を押して撮影を行う。本実施例では、表示装置38に図12等で示した表示装置を用いる。
【0139】
従って、老眼や近眼、乱視の人でもメガネを掛け外しすることなく表示された像を確認することができる。さらに、ピントや構図を確認することができる。また、GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)も確認することができる。このため、モードボタン37で好みの撮影モードを選択して撮影することも可能となる。
【0140】
なお、モードボタンとは、撮影感度や風景モード、夜景モードなど、撮影条件を設定するスイッチ類のことである。モードボタンには、図示しないズームレバー(ズームの操作用スイッチ)も含む。ここでは、モードボタンは、一つしか示していないが、複数設けらている場合もある。
【0141】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る携帯電子機器について説明する。
図15は、携帯電子機器の一例として携帯電話を示している。携帯電話39は、通話スイッチや文字入力用のテンキー41や表示装置40を備えている。携帯電話39は、電話だけでなく、メールやインターネット接続による情報取得のため表示装置を備えている。
【0142】
本実施例の携帯電話39は、表示装置40として図12等に記載の表示装置を用いている。このため、老眼や近視、乱視の人でもメガネを掛け外しすることなく表示装置に表示した情報を焦点の合った状態で見ることが出来る。従って、通話だけでなくメールをすることができる。
【0143】
また、カメラモードスイッチ42を押すことによって、携帯電話39に一体的に設けられている図示しないカメラによって写真を撮影することも可能である。老眼や近視、乱視の人でも老眼鏡を掛け外しることなく構図やピントを確認して写真を撮影することができる。すなわち、老眼や遠視、近視、乱視の人でもメガネの掛け外しすることなく表示を確認できるモニター(表示装置40)を備えているために、携帯電話に付加された機能を使用することができる。
【0144】
本発明に係る表示ユニット、表示装置及びそれを備える電子機器は、観察者の瞳に入射する光束を瞳径より小さくすることにより、眼の焦点深度を拡大する効果がある。その結果被写界深度が拡大して、表示位置に焦点の合わない人でも焦点の合った表示を見ることが可能な表示装置と電子機器を提供することが出来る、という効果を奏する。
本発明の表示ユニット、表示装置或いは電子機器を用いれば、老眼の人でも老眼鏡を掛ける(外す)ことなく、焦点の合った表示を見ることが出来る。さらに、本発明の表示ユニット、表示装置或いは電子機器は、老眼の観察者の眼の負担を軽減し、老眼鏡その他の光学部材を追加することなく観察することができる。
従って、本発明になる携帯電話やデジタルカメラ、電子ブック等のモバイル機器やカーナビゲーションシステム、PCのモニター画面等は、老眼鏡の掛け外しすることなく、老眼の人でも焦点が合った状態でその表示を見ることが出来る。更に、遠視や近視の人でもメガネを用いることなく、焦点の合った画像(絵だけでなく文字など、表示される全ての情報のこと)を見ることが出来る。この結果、本発明に係る電子機器では、通常の電子機器では表示が見えない老眼あるいは近視、乱視等の人でも、焦点が合った表示でその表示内容を理解して、正確に電子機器の操作を行うことが出来る。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上のように、本発明は、焦点が容易に合う表示ユニット、表示装置、電子機器などに有用である。
【符号の説明】
【0146】
1a、1b、1c 開口
2a、2b、2c レンズ
3 眼のレンズ
4 大きさ
5 網膜
6a、6b、6c レンズの像
7a、7b、7c 開口群
8a、8b、8c 像
9 フィールドレンズ
10a、10b、10c、10d 光線
11a、11b、11c、11d 光線
12a、12b 点
13a、13b 点
14、15、16、17 光束
18 マイクロレンズアレイ
19 開口群
20 表示デバイス
21 情報画素
22 マイクロレンズアレイ
23 開口群
24 スペーサー
25 散乱面
26 ディフーザー
27 表示デバイス
28 表示ユニット
29 デジタルカメラ
30 表示デバイス
31 取り付け用フック
32 取付け穴
33 モードボタン
34 モードボタン
35 デジタルカメラ
36 レリースボタン
37 モードボタン
38 表示装置
39 携帯電話
40 表示装置
41 テンキー
42 カメラモードスイッチ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサーと、
前記スペーサーを介して照明される複数の開口群と、
前記開口群を投影する複数のレンズとで構成される表示ユニットであって、
前記開口群は少なくとも一つの開口を有し、
前記それぞれのレンズは前記開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
前記開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより前記複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
前記レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする表示ユニット。
【請求項2】
前記レンズがマイクロレンズアレイで構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記開口が前記マイクロレンズアレイ或いは前記スペーサーの平面に印刷で形成されることを特徴とする請求項2に記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記開口が前記マイクロレンズアレイ或いは前記スペーサーの平面にエッチングによって形成されることを特徴とする請求項2に表示ユニット。
【請求項5】
前記スペーサーがディフューザーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項6】
前記ディフューザーの散乱角が10°以内であることを特徴とする請求項5に記載の表示ユニット。
【請求項7】
複数の開口群と、
前記開口群を投影する複数のレンズとで構成される表示ユニットであって、
前記開口群は少なくとも一つの開口を有し、
前記開口の開口部分に散乱特性が与えられていることを特徴とし、
前記それぞれのレンズは前記開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
前記開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより前記複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
前記レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする表示ユニット。
【請求項8】
前記散乱面の散乱角が10°以内であることを特徴とする請求項7に記載の表示ユニット。
【請求項9】
前記開口群のピッチPpと前記レンズのピッチLpが以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の表示ユニット。
Lp/Pp=L/(L+fb)
ここで、
fbは前記開口群と前記レンズとの距離、
Lは前記レンズと前記観察者の瞳までの距離、
である。
【請求項10】
前記複数のレンズがマイクロレンズアレイで構成されることを特徴とする請求項9に記載の表示ユニット。
【請求項11】
前記開口が前記マイクロレンズアレイの平面に印刷で形成されることを特徴とする請求項10に記載の表示ユニット。
【請求項12】
前記開口が前記マイクロレンズアレイの平面にエッチングによって形成されることを特徴とする請求項10に記載の表示ユニット。
【請求項13】
前記開口群と前記レンズの配置が同じピッチであることを特徴とし、
前記複数のレンズが、マイクロレンズアレイで構成され、
前記マイクロレンズアレイが、前記それぞれの開口群の投影像を互いに重ねるフィールドレンズの効果を有する複合マイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項14】
前記マイクロレンズアレイのレンズの大きさが0.05mm以上である請求項10または請求項13に記載の表示ユニット。
【請求項15】
前記開口の像の大きさが0.5mmから2.8mmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項16】
複数の情報画素で画像を表示する表示デバイスに着脱できる機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項17】
電子機器に着脱できる機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項18】
携帯用電子機器に着脱できる機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項19】
携帯電話に着脱できる機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項20】
撮像装置に着脱できる機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示ユニット。
【請求項21】
複数の情報画素で画像を表示する表示デバイスと、
スペーサーと、
複数の開口群と、
複数のレンズとで構成される表示装置であって、
前記スペーサーを介して前記情報画素で前記開口群を照明し、
前記開口群は少なくとも一つの開口を有し、
前記それぞれのレンズは前記開口群の像を重なるように投影するように配置されていることを特徴とし、
前記開口群の重なりを観察者の瞳に入射させることにより前記複数のレンズの投影像を観察者の網膜上に生じせしめることを特徴とし、
前記レンズによって投影される開口の大きさが観察者の眼の瞳径より小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項22】
前記スペーサーがディフューザーであることを特徴とする請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記ディフューザーの拡散角が10°以内であることを特徴とする請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
前記開口群のピッチPpと前記レンズのピッチLpが下記の関係を満たすことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の表示装置。
Lp/Pp=L/(L+fb)
ここで、
fbは前記開口群と前記レンズとの距離、
Lは前記レンズと前記観察者の瞳までの距離、
である。
【請求項25】
前記複数のレンズがマイクロレンズアレイで構成されることを特徴とする請求項24に記載の表示装置。
【請求項26】
前記開口が前記マイクロレンズアレイ或いは前記スペーサーの平面に印刷で形成されることを特徴とする請求項25に記載の表示ユニット。
【請求項27】
前記開口が前記マイクロレンズアレイ或いは前記スペーサーの平面にエッチングによって形成されることを特徴とする請求項25に記載の表示ユニット。
【請求項28】
前記開口群と前記レンズの配置が同じピッチであることを特徴とし、
前記複数のレンズが、マイクロレンズアレイで構成され、
前記マイクロレンズアレイが、前記それぞれの開口群の投影像を互いに重ねるフィールドレンズの効果を有する複合マイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項29】
前記マイクロレンズアレイのレンズの大きさが0.05mm以上である請求項25或いは請求項28の表示装置。
【請求項30】
前記開口の像の大きさが0.5から2.8mmであることを特徴とする請求項21〜29のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項31】
前記表示デバイスの情報画素ピッチが0.3mm以下であることを特徴とする請求項21〜30のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項32】
前記表示デバイスの情報画素が少なくとも赤、緑、青の三色を含むサブ情報画素で構成されていることを特徴とする請求項31に記載の表示装置。
【請求項33】
前記サブ情報画素の画素ピッチが0.1mm以下であることを特徴とする請求項32に記載の表示装置。
【請求項34】
前記表示デバイスが液晶デバイスであることを特徴とする請求項21〜33のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項35】
前記表示デバイスが有機ELデバイスであることを特徴とする請求項21〜33のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項36】
請求項21から請求項35のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項37】
請求項21から請求項35のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする携帯用電子機器。
【請求項38】
請求項21から請求項35のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする携帯電話。
【請求項39】
メール機能を備えることを特徴とする請求項38に記載の携帯電話。
【請求項40】
カメラ機能を備えることを特徴とする請求項38に記載の携帯電話。
【請求項41】
請求項21から請求項35のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項42】
撮影条件を設定するスイッチが設けられたことを特徴とする請求項41に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−221046(P2011−221046A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86265(P2010−86265)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】